(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係るポリオキシエチレン誘導体は、式(1):
【0032】
(式中、ポリオキシエチレン誘導体の全体の分子量は500〜160,000であり、nは5〜3650である。L
1、L
2、L
3はそれぞれ独立して、アルキレン基、フェニレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合、2級アミノ基またはこれらの結合を示す。Xは生体関連物質と反応可能な官能基を示す。Yはキシリトールもしくはボレミトールの残基または3〜31量体のポリグリセリンの残基からなる複数の水酸基を有する親水性基を示す。Zは2〜5個の活性水素を持つ化合物の残基を示す。bおよびcは1≦b≦4、1≦c≦4、かつ2≦b+c≦5である。dおよびeはそれぞれ独立して0または1である。)
で表されるポリオキシエチレン誘導体(以下、「本発明のポリオキシエチレン誘導体(1)」とも称す。)である。
【0033】
かかる式(1)のポリオキシエチレン誘導体の分子量は、通常500〜160,000
であり、好ましくは1,000〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜40,000である。
【0034】
式(1)中の、L
1、L
2、L
3は、それぞれ、複数の水酸基を有する親水性基Yとポリオキシエチレン間を共有結合にて繋ぐリンカー、ポリオキシエチレンと2〜5個の活性水素を持つ化合物の残基Z間を共有結合にて繋ぐリンカー、2〜5個の活性水素を持つ化合物の残基Zと生体関連物質と反応可能な官能基X間を共有結合にて繋ぐリンカーを示す。
【0035】
これらのリンカーは共有結合を形成しうる基であれば特に制限は無いが、好ましくは、アルキレン基、フェニレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合、2級アミノ基またはこれらの結合であり、より好ましくは、アルキレン基、フェニレン基、または、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合もしくは2級アミノ基と1個または2個のアルキレン基との結合であり、特に好ましい態様は、下記の群(I)に示されるものである。
【0037】
(式中、sは0または1〜10の整数である。)
【0038】
式(式(z1)〜式(z6))において、式中のsは1〜10の整数を示し、好ましくは1〜6の整数、更に好ましくは1〜3の整数を示す。また、式(z3)および式(z6)において、式中の2個のsは同一でも、異なっていてもよいが、同一が好ましい。
【0039】
L
1の特に好ましい態様は、−OCO−NH−、−O−、−(CH
2)s−CO−NH−である。
【0040】
式(1)中のXで示される「生体関連物質と反応可能な官能基」は、生体関連物質が有するアミノ基、メルカプト基、アルデヒド基、カルボキシル基、不飽和結合またはアジド基などの官能基と化学結合可能な官能基であれば特に制限されない。具体的には、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、マレイミド基、置換マレイミド基、ヒドラジド基、ジチオピリジン基、置換スルホネート基、ビニルスルホン基、アミノ基、オキシアミノ基、ヨードアセトアミド基、アルキルカルボニル基、アルケニル基、アルキニル基、アジド基等が挙げられる。
【0041】
好適な実施形態において、かかる官能基Xは、下記の群(II)、群(III)、群(IV)、群(V)、群(VI)および群(VII)に分類することができる。
【0042】
群(II):生体関連物質が有するアミノ基と反応可能な官能基
下記の (a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(i)
【0043】
群(III):生体関連物質が有するメルカプト基と反応可能な官能基
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)
【0044】
群(IV):生体関連物質が有するアルデヒドと反応可能な官能基
下記の(g)、 (k)、(l)、(m)
【0045】
群(V):生体関連物質が有するカルボキシル基と反応可能な官能基
下記の(g)、(k)、(l)、(m)
【0046】
群(VI):生体関連物質が有する不飽和結合と反応可能な官能基
下記の(g)、(k)、(n)
【0047】
群(VII):生体関連物質が有するアジド基と反応可能な官能基
下記の(j)
【0049】
官能基(i)において、式中のWは塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)またはヨウ素原
子(I)などのハロゲン原子を示し、好ましくはBr、I、より好ましくはIである。
【0050】
また、官能基(d)及び官能基(j)において、式中のY
1、Y
3は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基である。炭素数1〜5の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三ブチル基などが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基である。
【0051】
また、官能基(e)において、式中のY
2はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜
10の炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三ブチル基、ヘキシル基、ノニル基、ビニル基、フェニル基、ベンジル基、4−メチルフェニル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、ビニル基、4−メチルフェニル基、2,2,2−トリフルオロエチル基である。
【0052】
活性エステル基とは、カルボキシル基を脱離能の高いアルコキシ基と縮合させたエステ
ル基である。カルボキシル基とニトロフェノール、N-ヒドロキシスクシンイミド、ペン
タフルオロフェノールなどとのエステルが挙げられ、好ましくはカルボキシル基をN-ヒ
ドロキシスクシンイミドと縮合させたエステル基である。
【0053】
活性カーボネート基とは、脱離能の高いアルコキシ基を有したカーボネート基である。脱離能の高いアルコキシ基はニトロフェノールやN-ヒドロキシスクシンイミド、ペンタ
フルオロフェノール等が挙げられ、好ましくはニトロフェノール、N-ヒドロキシスクシ
ンイミドと結合したカーボネート基である。
【0054】
置換マレイミド基とは、マレイミド基の二重結合の片方の炭素原子に炭化水素基が結合しているマレイミド基である。炭化水素基は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三ブチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。
【0055】
置換スルホネート基とは、スルホネート基の硫黄原子にフッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基が結合しているスルホネート基である。フッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三ブチル基、ヘキシル基、ノニル基、ビニル基、フェニル基、ベンジル基、4−メチルフェニル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、ビニル基、4−メチルフェニル基、2,2,2−トリフルオロエチル基である。
【0056】
式(1)中のZで示される「2〜5個の活性水素を持つ化合物の残基」とは、2〜5個の水酸基を有する多価アルコール(エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、キシリトールなど)から水酸基を除いた残基、リジンからアミノ基の一つの活性水素を除いた残基、アスパラギン酸からカルボキシ基のOHを除いた残基、グルタミン酸からカルボキシル基のOHを除いた残基等が挙げられる。好ましくは、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、キシリトール、リジンの残基であり、さらに好ましくはエチレングリコール、グリセリンの残基である。
【0057】
式(1)中のbは、複数の水酸基を有する親水性基Yが結合したポリオキシエチレン鎖の数を示し、cは、生体関連物質と反応可能な官能基Xの数を示す。bおよびcは、1≦b≦4、1≦c≦4、かつ、2≦b+c≦5であり、好ましくは、1≦b≦2、1≦c≦2、かつ、2≦b+c≦4である。
【0058】
また、式(1)中の、dおよびeは、リンカーの有無を示し、dが0の場合、リンカーは無く、dが1の場合、リンカーを有する。
【0059】
式(1)中のYは、キシリトールもしくはボレミトールの残基または3〜31量体のポリグリセリンの残基からなる複数の水酸基を有する親水性基を示す。ここで「キシリトールもしくはボレミトールの残基または3〜31量体のポリグリセリンの残基」とは、キシリトールもしくはボレミトール、または、3〜31量体のポリグリセリンにおける、ポリオキシエチレン鎖との結合反応に寄与した水酸基が除かれた残基のことである。
【0060】
式(1)中の親水性基Yがキシリトールまたはボレミトールの残基の場合、キシリトールおよびボレミトールはこれらの1位、3位のいずれの水酸基がポリオキシエチレン鎖と結合してもよいが、好ましくは1位の水酸基である。また、式(1)中の親水性基Yがポリグリセリンの場合、ポリグリセリンは直鎖でもデンドリマーでもよいが、デンドリマーが好ましく、また、3量体、7量体、15量体、31量体が好ましく、より好ましくは3量体、7量体である。
【0061】
以下の式(2)は、複数の水酸基を有する親水性基Yがキシリトールまたはボレミトールの残基からなる、好適態様のポリオキシエチレン誘導体を示しており、式中のaが1の場合はキシリトール構造、aが2の場合はボレミトール構造である。
【0063】
(式中、ポリオキシエチレン誘導体の全体の分子量は500〜160,000であり、nは5〜3650である。また、L
1、L
2、L
3、X、Z、a、b、c、d、eは前記と同義である。)
【0064】
また、かかる式(2)のポリオキシエチレン誘導体においては、式中のZがエチレングリコール残基、bが1、cが1、dが0、eが1であるのがより好ましく、以下の式(3)は、そのようなより好ましい態様のポリオキシエチレン誘導体を示している。
【0066】
(式中、L
1、L
3、X、aは前記と同義であり、n1は11〜3650である。)
【0067】
式(3)中のn1はオキシエチレン基の平均付加モル数であり、n1は通常11〜3650、好ましくは22〜1825、さらに好ましくは44〜910である。
【0068】
また、式(2)のポリオキシエチレン誘導体においては、式中のZがグリセリン残基、bが2、cが1、dが0であるのがより好ましく、下記の式(4)は、そのようなより好ましい態様のポリオキシエチレン誘導体を示している。
【0070】
(式中、L
1、L
3、X、a、eは前記と同義であり、n2は11〜1825である。)
【0071】
式(4)中のn2はオキシエチレン基の平均付加モル数であり、n2は通常11〜1825、好ましくは22〜1370、さらに好ましくは44〜925である。
【0072】
本発明のポリオキシエチレン誘導体は、例えば次のような工程図(工程図(I))に示すルートにより製造することができる。
【0074】
(式中、POEはポリオキシエチレン鎖を示し、L
3、X、aは前記と同義である。)
【0075】
工程(A)は、多価アルコールの偶数個の水酸基を環状アセタール化して保護する工程である。
【0076】
工程(B)は、工程(A)で保護された多価アルコール誘導体の残存した水酸基へ、エチレンオキシドを11〜3650モル重合する工程である。
【0077】
工程(C)は、ポリオキシエチレン誘導体の末端の水酸基を官能基化する工程である。官能基の種類によっては、工程(D)の脱アセタール後にさらに官能基化を行うこともで
きる。また官能基の種類によっては、官能基化の際に同時に工程(D)の脱アセタールを行うことができる。
【0078】
工程(D)は、環状アセタール構造を切断する工程である。a=1の場合は4個の水酸基を出現させ、a=2の場合は6個の水酸基を出現させる。
【0079】
上記の工程(A)(B)(C)(D)を行うことで、式(2a)で表されるポリオキシエチレン誘導体(ポリオキシエチレン誘導体(2a))が製造される。
【0080】
以下に、かかるポリオキシエチレン誘導体(2a)の製造方法の好適な具体例をさらに説明するが、a=1と、a=2のどちらの場合においても、同様の製法にて製造することができるため、a=1の誘導体、すなわち、以下の式(10)で表されるポリオキシエチレン誘導体(ポリオキシエチレン誘導体(10))について説明を行う。
【0082】
(式中、POE、L
3、Xは前記と同義である。)
【0083】
ポリオキシエチレン誘導体(10)は、次のような工程図(工程
図II)に示すルートにより製造することができる。
【0085】
(式中、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して炭素数1〜10の炭化水素基を示し、Wはハロゲン原子を示す。POE、L
3、Xは前記と同義である。)
【0086】
工程(A)は以下の(A1)、(A2)、(A3)の3つの工程から成る。
【0087】
工程(A1)は多価アルコールの水酸基を環状アセタール化する工程である。この工程ではキシリトールの4つの水酸基を環状アセタール化して、式(5)で示される1,2,3,4−ジイソプロピリデンキシリトールと式(6)で示される1,2,4,5−ジイソプロピリデンキシリトールの異性体の混合物を得る。
【0088】
アセタール化の方法としては、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(THEODORA W.GREENE et al)等に記載があるような一般的な水酸基の保護法であれば特に制限はないが
、具体的には、酢酸、塩酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物などの酸触媒存在下、キシリトールに2,2−ジメトキシプロパンを反応させることにより、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物がモル比約9:1で得られる。
【0089】
酸の使用量は、キシリトールに対して5×10
−6〜5×10
−3当量が好ましく、5×10
−5〜5×10
−4当量がより好ましい。
2,2−ジメトキシプロパンの使用量は、キシリトールに対して2.0〜4.0当量が好ましく、2.5〜3.5当量がより好ましい。
当該反応は、溶媒中または無溶媒で行うことができる。溶媒を用いる場合は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンなどを用いることができるが、無溶媒が好ましい。
反応温度は、通常0〜90℃、好ましくは、30〜80℃である。反応時間は、1〜24時間が好ましい。反応時間が短いと反応が不十分となる。
【0090】
反応で副生したアセタール化されていない不純物またはキシリトール分子間がアセタールで結合された不純物などは、精製除去を行うのが好ましい。精製は、特に制限されないが、カラムクロマトグラフィー、抽出、蒸留、超臨界抽出等を行うことができる。好適には、常圧下、蒸留で行うことができる。
【0091】
工程(A2)は構造異性体の片方のみを選択的に保護し、もう一方と分離する工程である。式(5)で示される1,2,3,4−ジイソプロピリデンキシリトールの1級水酸基の
みを選択的に保護し、式(6)で示される1,2,4,5−ジイソプロピリデンキシリトー
ルと分離する。
【0092】
工程(A1)のアセタール化で得られた式(5)と式(6)で示される化合物の混合物から、式(5)で示される化合物を単離するには、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどを利用することができる。しかし、これら構造異性体は沸点や分子極性等の物理的性質が類似している。そのため物理的性質を利用した蒸留やカラムクロマトグラフィーは、効率良く分離することができず、低収率となるためスケールアップに不向きである。一方、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物をシリルエーテル化すると、式(7)と式(8)で示される化合物の混合物が得られる。これらは水酸基とシリルエーテル基の違いにより、分子極性が大きく異なるものになる。沸点などの物理的性質が大幅に変わることで、式(6)で示される化合物との分離が容易になり、効率的な精製が可能になる。
【0093】
式(5)と式(6)で示される化合物の混合物を式(11)で示されるケイ素化合物と第三級アミンを用いて反応を行い、化合物(5)の1級水酸基のみをシリルエーテル化することにより、式(7)で示される化合物が得られる。
シリルエーテル化の反応は、無溶媒中では高粘度のため攪拌効率が低下し、シリルエーテル化率が低下するため、反応溶媒中で行うのが好ましい。溶媒種については、特に制限はないが、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジ
メチルホルムアミド、トルエン、ベンゼンなど非プロトン性溶媒が挙げられるが、より好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。溶媒の使用量は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物の1〜40重量倍、好ましくは2〜20重量倍、さらに好ましくは3〜10重量倍である。
【0094】
式(11)で示されるケイ素化合物において、Wで示されるハロゲン原子は、Cl,Br、Iが挙げられ、好ましくはClである。R
1、R
2およびR
3は、同一または異なった炭素数1〜10の炭化水素基である。当該炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖のアルケニル基、炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から10の直鎖または分岐鎖のアリールアルキル基、炭素数8から24の直鎖または分岐鎖のアリールアケニル基、炭素数8から24の直鎖または分岐鎖のアリールアルキニル基、炭素数7から10の直鎖または分岐鎖のアルキルアリール基等が挙げられる。
【0095】
ケイ素化合物(11)としては、具体的には、塩化トリメチルシラン、塩化トリエチルシラン、塩化トリイソプルピルシラン、塩化ジメチルイソプロピルシラン、塩化ジメチルエチルシラン、塩化tert-ブチルジメチルシラン、塩化tert-ブチルジフェニルシラン、塩化トリフェニルシラン等が挙げられるが、より好ましくは、塩化tert-ブチルジメチルシ
ラン、塩化tert-ブチルジフェニルシラン、塩化トリフェニルシラン等であり、更に好ま
しくは塩化tert-ブチルジフェニルシランである。
【0096】
ケイ素化合物(11)の使用量は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物に対して0.8〜20モル当量倍、好ましくは0.9〜10モル当量倍、さらに好ましくは1.0〜5モル当量倍である。
【0097】
第三級アミンには、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8−ジアザジビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン(DABCO)およびエチルジイソプロピルアミンからなる群から選択されるいずれか単独で使用するか、あるいは、トリエチルアミンまたはピリジンと混合させても用いるのが好ましく、より好ましくはDMAPまたはDBUの単独か、あるいは、DMAPまたはDBUとトリエチルアミンとの混合が好ましく、特に好ましくはDMAPとトリエチルアミンの混合である。混合塩基中のDBUまたはDMAPの割合は、5〜100モル%が好ましく、より好ましくは5〜80モル%であり、さらには5〜50モル%が好ましい。
【0098】
第三級アミンの使用量は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物に対して0.9〜20モル当量倍、好ましくは1.0〜10モル当量倍、さらに好ましくは1.1〜5モル当量倍である。第三級アミンが不足すると反応の進行に伴って副生する酸を効率よくトラップできないため反応率が低くなる可能性がある。
【0099】
シリルエーテル化の反応温度は、通常−20〜80℃、好ましくは、−10〜60℃である。反応時間は、30分〜24時間が好ましい。
【0100】
反応終了後の混合物には、未反応の式(6)で示される化合物が含まれている。式(6)で示される化合物が残存した場合、工程(B)のエチレンオキシドの重合にて目的物と同分子量の不純物となる。したがって、この段階で分離精製するのが好ましい。精製する方法は、特に制限はないが、カラムクロマトグラフィー、蒸留、抽出、超臨界抽出等の精製手段にて未反応の式(4)で示される化合物を分離するのが好ましく、蒸留にて精製するのがさらに好ましい。
蒸留にて精製する場合、80〜160℃、真空度10mmHg以下にて式(6)で示さ
れる化合物を分離することが好ましい。160℃より高い場合、高温によりアセタール基が脱離した不純物が生じる恐れがある。
【0101】
工程(A3)は工程(A2)にて保護された式(7)で示される化合物の脱保護工程。構造異性体の無い、式(5)の1,2,3,4−ジイソプロピリデンキシリトールを得る。
【0102】
式(7)で示される化合物の脱保護反応を行う。脱保護反応の条件は、特に制限されないが、脱シリル化剤による脱シリル化反応により、式(5)で示される化合物を得ることができる。
【0103】
反応溶媒は、非プロトン性溶剤であれば特に制限されないが、好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼンなど挙げられるが、より好ましくはテトラヒドロフランである。無溶媒では、式(7)で示される化合物の粘性が高く、攪拌効率が低下し、脱シリル化の割合が低下し、式(7)で示される化合物が残存してしまう恐れがある。溶媒の使用量は、式(7)で示される化合物の0.4〜30重量倍、好ましくは0.6〜20重量倍、さらに好ましくは0.8〜10重量倍である。
【0104】
脱シリル化剤には、フッ化テトラブチルアンモニウムの無水物が好ましく用いられるが、市販のフッ化テトラブチルアンモニウム/テトラヒドロフランの混合溶液を利用してもよい。フッ化テトラブチルアンモニウムの水和物では、フッ化テトラブチルアンモニウムの触媒作用を阻害し、脱シリル化が進行せずに式(7)で示される化合物が残存してしまう恐れがある。また、塩酸や酢酸等の酸触媒では、脱シリル化と共に脱アセタール化が起こるため好ましくない。
【0105】
脱シリル化剤の使用量は、式(7)で示される化合物に対して、1.0〜20モル当量倍、好ましくは1.1〜10モル当量倍、さらに好ましくは1.2〜5モル当量倍である。脱シリル化剤が不足すると、反応が完全に進行しなくなり、式(7)で示される化合物が残存してしまう。
【0106】
反応温度については、副反応を抑制するためには60℃以下が好ましく、また反応液の粘性上昇を抑制するために−20℃以上が好ましい。反応時間については、30分〜24時間が好ましい。30分より短いと反応率が低い恐れがあり、24時間より長いと副反応が起る恐れがある。
【0107】
反応終了後、式(5)で示される化合物を精製する方法は、特に制限はないが、カラムクロマトグラフィー、蒸留、抽出、超臨界抽出等を行うことが好ましく、さらには好ましくはカラムクロマトグラフィー、抽出である。式(5)に含まれている脱シリル化剤のフッ化テトラブチルアンモニウムやテトラブチルアンモニウム塩は残存すると、次工程に使用する触媒を阻害し、反応率が低下する可能性があり、式(7)で示される化合物が残存すると、工程(B)のエチレンオキシドの重合の際に分解し、モノマーであるエチレンオキシドを消費し、ポリオキシエチレン不純物となる可能性があるため、除去する必要がある。
【0108】
工程(B)は以下の(B1)、(B2)の2つの工程から成る。
【0109】
工程(B1)は、式(5)の化合物をアルコラート化する工程であり、工程(B1−1)または工程(B1−2)のどちらを用いてもよい。
【0110】
工程(B1−1)は触媒として金属ナトリウム又は金属カリウム等を用いる。
【0111】
工程(B1−2)は触媒としてナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシドまたはカリウムメトキシド等を用いる。
【0112】
工程(B2)は50〜130℃の反応温度でエチレンオキシドを付加重合する工程である。
【0113】
工程(B1−1)は触媒として金属ナトリウム又は金属カリウムを用い、好ましくは金属ナトリウムを用い、触媒量を5〜50モル%、10〜50℃で溶解させる。
【0114】
工程(B1−1)における触媒量は、5モル%未満だとエチレンオキシドの重合反応速度が遅くなり、長時間の高温反応により末端ビニルエーテル体等の不純物が生じるため、5モル%以上が高品質の高分子量体を製造する上で有利である。触媒が50モル%を超えると、アルコラート化反応の際に反応液の粘性が高まり、あるいは固化してしまい、攪拌効率が低下し、アルコラート化が促進されない傾向がある。また固化した場合はハンドリングが悪くなる傾向があり、吸湿の原因となる。アルコラート化物が吸湿してしまうと、水分由来のポリアルキレングリコール体が生成し、医薬品用途としては望ましくない不純物として混入してしまう。
【0115】
溶解時の温度が50℃より高いと、分解反応がおき、メタノールやキシリトールが生成する。メタノールが生成した場合、目的物と同様にエチレンオキシドとの付加重合が起き、目的物と同分子量を有する不純物が生成する。メタノール由来の不純物が生成した場合は、目的物と同様に次工程(C)の官能基化にて官能基が導入されるので、生体関連物質と反応可能な不純物となる。また、キシリトールが生成した場合も同様に、エチレンオキシドとの付加重合が起き、目的物の5倍の分子量を有する高分子量不純物が生成する。この高分子量不純物は、次工程(C)の官能基化にて複数の官能基が導入されるので、生体関連物質と複数反応可能な不純物となる。これらの不純物を有したポリオキシエチレン誘導体は、高純度品が求められる医薬品用途には望ましくないものとなる。
【0116】
10℃より低い温度で溶解する場合、触媒量が50モル%より多い場合と同様、アルコラート化反応の際に反応液の粘性が高まり、あるいは固化してしまい、ハンドリングが悪くなる傾向があり、また吸湿の原因となる。
【0117】
アルコラート化反応に使用する溶媒については、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性溶媒であれば特に制限はないが、トルエンあるいは無溶媒が好ましい。反応時間については、1〜24時間が好ましい。1時間より短いと触媒が完全に溶解しない恐れがある。24時間より長いと、前述の分解反応が起きる恐れがある。
【0118】
工程(B1−2)は触媒としてナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド又はカリウムメトキシドを、好ましくはナトリウムメトキシドを5〜50モル%の量で添加し、20〜80℃で反応させる。このとき交換反応が促進するように、減圧操作を行ってもよい。
【0119】
触媒量は前述の理由で5〜50モル%の量が好ましい。反応温度については、20℃より低いと、交換反応の反応率が低下し、メタノール等のアルコールが残存し、エチレンオキシドの付加重合を経て、目的物と同分子量を有する不純物が生成する。80℃より高いと分解反応が起きる。このアルコラート化反応は、分解反応が起き易いため、反応時間は1〜3時間とするのが望ましい。反応溶媒においては、非プロトン性溶媒であれば特に制
限はないが、好ましくはトルエン、あるいは無溶媒である。
【0120】
工程(B2)は、50〜130℃の反応温度でエチレンオキシドを付加重合し、式(8)の化合物(ポリオキシエチレン誘導体(8))を得る。反応温度は、50℃より低いと重合反応の速度が遅く、式(8)の化合物の品質が低下する傾向がある。また、130℃より高いと、重合中に末端のビニルエーテル化等の副反応が起き、目的物の品質が低下する傾向がある。重合中、分子量が大きくなるにつれ、反応液の粘度が上がるため、適宜非プロトン性溶剤、好ましくはトルエンを加えてもよい。
【0121】
工程(C)は、式(8)の化合物(ポリオキシエチレン誘導体(8))の末端の水酸基を官能基化する工程である。官能基の種類によっては、官能基化の際に同時に工程(D)の脱アセタールを行うことができる。
【0122】
式(8)の化合物(ポリオキシエチレン誘導体(8))の末端の水酸基を用いて、群(II)、群(III)、群(IV)、群(V)、群(VI)および群(VII)に示した各種官能基へ変性させることで、式(9)で示されるポリオキシエチレン誘導体を製造することができる。
また、群(II)、群(III)、群(IV)、群(V)、群(VI)および群(VII)の各官能基を有する化合物を中間体として、これらに更に他の化合物と反応させて官能基化を行うことができる。例えば、(k)の官能基を有する中間体を原料とし、(a)や(d)の官能基を得ることができる。
【0123】
以下、式(9)で示されるポリオキシエチレン誘導体(ポリオキシエチレン誘導体(9))の合成方法を詳細に説明する。
【0124】
[官能基(b)、(e)の導入方法]
化合物(8)とトルエン、ベンゼン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、もしくは炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム等の無機塩基と、下記の式(b1)、
式(e1)で示される化合物(化合物(b1)、化合物(e1))のいずれかとを反応させ
ることで、それぞれ官能基(b)、(e)を導入することができる(官能基(b)、(e)が導入された化合物(b)(e)が得られる)。有機塩基、無機塩基の使用割合は、特に制限はないが、化合物(8)に対して等モル以上が好ましい。また、有機塩基を溶媒として用いてもよい。式(b1)及び式 (e1)におけるW
2はCl、Br、Iより選択されるハロゲン
原子であり、好ましくはClである。化合物(b1)及び化合物(e1)の使用割合は、
特に制限はないが、化合物(8)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜50倍モルの範囲で反応させるのが好ましい。反応温度としては、0〜300℃が好ましく、更に好ましくは、20〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。生成した化合物は、抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよい。
【0126】
(式中、W
2はCl、Br、Iより選択されるハロゲン原子を示す。Y
2は炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基を示す。)
【0127】
[官能基(f)の導入方法]
化合物(8)や後述するアミン(k)を無水コハク酸や無水グルタル酸等のジカルボン酸無水物と反応させることで、官能基(f)が導入されたカルボキシル体(f)を得ることができる。化合物(8)やアミン(k)とジカルボン酸無水物との反応は、上述の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中で行う。ジカルボン酸無水物の使用割合は、特に制限はないが、化合物(8)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、更に好ましくは、20〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。反応にはトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の有機塩基や炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム等の無機塩基を触媒として用いてもよい。触媒の使用割合は0.1〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜20重量%である。このようにして生成したカルボキシル体(f)は、抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよいし、縮合反応の原料として用いる場合は、そのまま用いてもよい。
【0128】
化合物(8)を、6−ブロモヘキサン酸エチルや7−ブロモヘプタン酸エチル等のハロゲン化アルキルエステルと反応させることで、カルボキシル体(f)を得ることができる。化合物(8)とハロゲン化アルキルエステルとのエーテル化反応は、上述の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中で行う。ハロゲン化アルキルエステルの使用割合は、特に制限はないが、化合物(8)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜30倍モルである。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、更に好ましくは、20〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。反応にはトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の有機塩基や炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム等の無機塩基を触媒として用いてもよい。触媒の使用割合は0.1〜500重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜300重量%である。エーテル化後、有機塩基の場合は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水溶液を、無機塩基の場合は、水を追加してエステルの加水分解を行う。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、20〜100℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。反応後、塩酸や硫酸等で中和を行う。このようにして生成したカルボキシル体(f)は、抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよいし、縮合反応の原料として用いる場合は、そのまま用いてもよい。
【0129】
[官能基(a)の導入方法]
カルボキシル体(f)を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)等の縮合剤存在下、N−ヒドロキシコハク酸イミドと縮合反応させることで、官能基(a)が導入されたコハク酸イミド体(a)を得ることができる。かかる縮合反応は、上述の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中で行う。縮合剤としては、特に制限は無いが、好ましくはDCCである。DCCの使用割合は、カルボキシル体(f)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。N−ヒドロキシコハク酸イミドの使用割合はカルボキシル体(f)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成したコハク酸イミド体(a)は抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよい。
【0130】
また、コハク酸イミド体(a)は、化合物(8)とN,N'−ジスクシンイミドカーボ
ネートとを反応させることでも得ることができる。反応は、上記の反応と同様に非プロトン性溶媒中、もしくは無溶媒中で行う。N,N'−ジスクシンイミドカーボネートの使用
割合は化合物(8)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した化合物は抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよい。
【0131】
[官能基(k)の導入方法]
化合物(8)を水、アセトニトリル等の溶媒中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基を触媒とし、アクリロニトリル等を付加させてニトリル体を得たあと、オートクレーブ中でニッケルやパラジウム触媒下でニトリル基の水添反応を行うことで、官能基(k)を有するアミン体(k)を得ることができる。ニトリル体を得る際の無機塩基の使用割合は、特に制限はないが、化合物(8)に対して0.01〜50重量%が好ましい。アクリロニトリル等の使用割合は、特に制限はないが、化合物(8)の重量に対して0.5〜5倍重量が好ましく、更に好ましくは1〜4倍重量の範囲で反応させるのが、より好ましい。また、アクリロニトリルを溶媒として用いてもよい。反応温度としては、−50〜100℃が好ましく、更に好ましくは、−20〜60℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。続くニトリル体の水添反応における反応溶媒は、反応に関与しない溶媒であれば特に制限は無いが、好ましくはトルエンである。ニッケル、もしくはパラジウム触媒の使用割合は、特に制限は無いが、ニトリル体に対して0.05〜30重量%であり、好ましくは0.5〜20重量%である。反応温度は20〜200℃が好ましく、更に好ましくは50〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。水素圧は2〜10MPaが好ましく、更に好ましくは3〜8MPaである。また、2量化を防ぐために反応系中にアンモニアを加えてもよい。アンモニアを加える場合のアンモニア圧は特に制限はないが、0.1〜10MPaであり、更に好ましくは0.3〜2MPaである。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0132】
アミン体(k)は、化合物(e)をアンモニア水と反応させることでも得ることができ
る。反応は、アンモニア水中で行い、アンモニアの濃度は特に制限は無いが、好ましくは10〜40%の範囲である。アンモニア水の使用割合は、化合物(e)の重量に対して1
〜300倍であるのが好ましい。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜72時間が好ましく、更に好ましくは1〜36時間である。また、アミン体(k)は、オートクレーブ中、化合物(e)をアンモニアと反応させても得ることができる。反応溶剤については、特に制限はないが、好ましくはメタノール、エタノールが挙げられる。アンモニア量は化合物(e)に対して10〜300重量%が好ましく、更に好ましくは20〜200重量%である。反応温度としては、50〜200℃が好ましく、80〜150℃が更に好ましい。反応時間については、10分〜24時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0133】
また、アミン体(k)は非プロトン性溶媒中、光延反応で化合物(8)とフタルイミドを結合させ、多価アミンで脱保護することで得ることもできる。光延反応の反応条件は特に制限は無いが、反応溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタンが好ましい。また、トリフェニルホスフィンを化合物(8)に対して等モル以上、好ましくは等モル〜50倍モル、アゾジカルボン酸ジイソプロピルを化合物(8)に対して等モル以上、好ましくは等モル〜50倍モル使用するのが好ましい。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、10〜50℃である。反応時間は10分〜72時間が好ましく、更に好ま
しくは30分〜6時間である。
【0134】
脱保護については、ヒドラジン、もしくはエチレンジアミンのような多価アミンを化合物(8)に対して等モル以上、好ましくは等モル〜500倍モル使用するのが好ましい。反応溶媒としては特に制限は無いが、メタノールが好ましい。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜72時間が好ましく、更に好ましくは1〜10時間である。生成した化合物は抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよい。
【0135】
[官能基(d)の導入方法]
前述の手法により得られたアミン体(k)のアミノ基を、前述の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、無水マレイン酸と反応させてマレイミド体を得たあと、無水酢酸及び酢酸ナトリウムを触媒として、閉環反応させることで、官能基(d)が導入されたマレイミド体(d)を得ることができる。マレイミド化反応における無水マレイン酸の使用割合は、特に制限はないが、アミン体(k)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、更に好ましくは、20〜120℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成したマレイミド体(d)は、前述の精製手段にて精製してもよいし、そのまま次の閉環反応に用いてもよい。
【0136】
続く閉環反応における反応溶媒は特に限定されないが、非プロトン性溶媒または無水酢酸が好ましい。酢酸ナトリウムの使用割合は、特に制限はないが、マレイミド体(d)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜50倍モルである。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、更に好ましくは、20〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0137】
上記マレイミド体(d)は、下記の式(d1)に示される化合物(d1)と、上述のアミン体(k)のアミノ基を反応させることでも得ることができる。反応は、前述の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中で行い、化合物(d1)をアミン体(k)のアミノ基に対して等モル以上加えて反応させる。化合物(d1)の使用割合はアミン体(k)のアミノ基に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。反応時は遮光してもよい。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0139】
(式中、Qは炭素数1〜9の炭化水素基を示す。Y
1は水素原子または炭素数1〜5の炭化水素を示す。)
【0140】
[官能基(i)の導入方法]
前述の手法により得られたアミン体(k)のアミンを、前述の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、ヨード酢酸無水物と反応させることで官能基(i)を得ることができる。ヨード酢酸無水物の使用割合は、特に制限はないが、アミン体(k)のアミノ基に対して
等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、更に好ましくは、20〜120℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した官能基(i)を有する化合物(i)は、抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよい。
【0141】
また、官能基(i)は、アミン体(k)を、DCC、EDC等の縮合剤存在下、ヨード酢酸と縮合反応させることで、得ることができる。縮合反応も同様に前述の非プロトン性溶媒中、もしくは無溶媒中で行う。縮合剤としては、特に制限は無いが、好ましくはDCCである。DCCの使用割合はアミン体(k)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。ヨード酢酸の使用割合はアミン体(k)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0142】
[官能基(l)の導入方法]
カーボネート体(b)を、トリエチルアミンやピリジン等のアルカリ触媒存在下、下記の式(l1)で示される化合物(化合物(l1))と反応させることで、オキシフタルイミド基が導入されたオキシフタルイミド体を得ることができる。反応は無溶媒下もしくは極性溶媒下で行うことができ、溶媒は特に制限はないが、好ましくはメタノールである。アルカリ触媒の使用割合は、特に制限はないが、カーボネート体(b)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜20倍モルである。化合物(l1)の使用割合は、カーボネート体(b)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜20モルである。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した化合物は抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよいし、精製せず次の工程に進めてもよい。
【0144】
(式中、Qは炭素数1〜9の炭化水素基を示す。)
【0145】
オキシフタルイミド体は非プロトン性溶媒中、光延反応で化合物(8)とヒドロキシフタルイミドを結合させ、多価アミンで脱保護することで得ることもできる。光延反応の反応条件は特に制限は無いが、反応溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタンが好ましい。また、トリフェニルホスフィンを化合物(8)に対して等モル以上、好ましくは等モル〜50倍モル、アゾジカルボン酸ジイソプロピルを化合物(8)に対して等モル以上、好ましくは等モル〜50倍モル使用するのが好ましい。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、10〜50℃である。反応時間は10分〜72時間が好ましく、更に好ましくは30分〜6時間である。
【0146】
これらの方法で得られたオキシフタルイミド体を、ヒドラジンやエチレンジアミン等の多価アミン存在下で反応させることで、官能基(l)が導入されたオキシアミン体(l)を得ることができる。
【0147】
反応溶媒は、特に制限はないが、メタノール、ジクロロメタン、水が好ましい。多価アミンの使用割合は、特に制限はないが、オキシフタルイミド体に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜50倍モルである。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した化合物は抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよい。
【0148】
[官能基(c)の導入方法]
化合物(e)を下記の式(c1)で示されるアセタール化合物(化合物(c1))と反応させてアセタール体を得た後、酸性条件にて加水分解を行うことで、官能基(c)を有するアルデヒド体(c)を得ることができる。アセタール化反応は前述の非プロトン性溶媒中、もしくは無溶媒中、化合物(e)と等モル以上、好ましくは等モル〜50倍モルの化合物(c1)を反応させることで得ることができる。化合物(c1)は相当するアルコールから、金属ナトリウム、金属カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等を用いて調製することができる。反応温度としては、0〜300℃が好ましく、更に好ましくは、20〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。
【0149】
下記の式(c2)で示される化合物(化合物(c2))を用いる場合、化合物(8)の水酸基を上述の方法でアルコラートとした後、前述の非プロトン性溶媒中、もしくは無溶媒中、化合物(c2)を等モル以上、好ましくは等モル〜100倍モルの割合で反応させることでアセタール体を得ることができる。反応温度としては、0〜300℃が好ましく、更に好ましくは、20〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、特に好ましくは30分〜24時間である。
【0150】
下記の(c3)で示される化合物(化合物(c3))を用いる場合、前述の官能基(a)、(b)、(e)もしくは(f)が導入された化合物(化合物(a)、(b)、(e)もしくは(f))と該化合物(c3)を反応させることでアセタール体を得ることができる。該反応の溶媒は特に制限されないが、好ましくは前述の非プロトン性溶媒中で行う。化合物(a)、(b)、(e)もしくは(f)に対する化合物(c3)の仕込み割合は、等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜10倍モルである。反応温度としては、−30〜200℃が好ましく、更に好ましくは、0〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。化合物(f)を用いる場合は、適宜DCC、EDC等の縮合剤を用いてもよい。いずれのアセタール化反応も遮光して行ってもよい。このようにして得られたアセタール体は前述の精製手段にて精製してもよいし、精製を行わずにそのまま次のアルデヒド化反応に用いてもよい。
【0151】
アセタール体を0.1〜50%の水溶液とし、酢酸、リン酸、硫酸、塩酸等の酸にてpH1〜4に調整した水溶液中で加水分解させることで、アルデヒド体(c)を得ることができる。反応温度としては、−20〜100℃が好ましく、更に好ましくは、0〜80℃である。反応時間は10分〜24時間が好ましく、更に好ましくは30分〜10時間である。反応は遮光して行ってもよい。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。また、このアルデヒド化においては、同時に工程(D)の脱アセタールを行うこともできる。
【0153】
(式中、R
4、R
5はそれぞれ独立して炭素数1〜3の炭化水素基を示し、互い同一であっても、異なっていてもよい。また、相互に環を形成していてもよい。Mはナトリウムもしくはカリウムを示し、W
2はCl、Br、Iから選択されるハロゲン原子であり、tは1〜5の整数である。)
【0154】
[官能基(g)の導入方法]
官能基(g)を有するメルカプト体(化合物(g))は、化合物(e)とチオウレア等のチア化剤と反応させることで得ることができる。化合物(e)の製造は前述の通りである。チア化反応は水、アルコール、アセトニトリル等の溶媒中もしくは無溶媒中で行う。チオウレアの使用割合は、化合物(e)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モルから50倍モルの範囲である。反応温度としては、0〜300℃が好ましく、更に好ましくは、20〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。反応後、生成したチアゾリウム塩をアルカリ加水分解し、メルカプト体を得ることができる。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。また、このメルカプト化においては、加水分解後のpH調製において、同時に工程(D)の脱アセタールを行うこともできる。
【0155】
また、上記メルカプト体は、化合物(e)を下記の式(g1)で示される化合物(化合物(g1))と反応させ、1級アミンにて分解させることでも得ることができる。(e)と(g1)との反応は、前述の非プロトン性溶媒中、もしくは無溶媒中で行う。化合物(g1)の使用割合は、化合物(e)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モルから50倍モルの範囲である。反応温度としては、0〜300℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。続く1級アミンによるアルカリ分解は、前述の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中で行う。用いる1級アミンとしては特に制限は無いが、好ましくはアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン等が挙げられる。当然、これらの1級アミンを溶媒として用いてもよい。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0157】
[官能基(h)の導入方法]
官能基(h)を有する化合物(化合物(h))は、化合物(g)を2,2−ジピリジルジスルフィドと反応させることで得ることができる。反応では、溶媒は特に制限されないが、好ましくはアルコール中で行う。化合物(g)に対する2,2−ジピリジルジスルフィドの仕込み割合は、等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜50倍モルである。反応温度としては、−30〜100℃が好ましく、更に好ましくは、0〜60℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。このようにして得られたアセタール体は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0158】
[官能基(m)の導入方法]
前述の化合物(a)、(b)、(c)もしくは(e)を、前述の非プロトン性溶媒、もしくは無溶媒中、カルバジン酸tert−ブチルと反応させ、tert−ブトキシカルボニル基(Boc基)を脱保護することで、官能基(m)を有する化合物(化合物(m))を得ることができる。カルバジン酸tert−ブチルの使用割合は、特に制限はないが、化合物(a)、(b)、(c)もしくは(e)に対して等モル以上が好ましく、更に好ま
しくは等モル〜10モルである。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した化合物(m)は、前述の精製手段にて精製してもよい。また、このBoc基を脱保護する際に、同時に工程(D)の脱アセタール化を行うこともできる。
【0159】
[官能基(j)の導入方法]
前述の化合物(a)、(b)、(c)もしくは(e)を、下記式(j1)で示されるアセチレン化合物(化合物(j1))と反応させることで、官能基(j)を有するアセチレン化合物(化合物(j))を得ることができる。アセチレン化反応はプロトン性溶媒中、もしくは無溶媒中、化合物(a)、(b)、(c)もしくは(e)に対して等モル以上、好ましくは等モル〜50倍モルの化合物(j1)を反応させることで得ることができる。反応温度としては、0〜300℃が好ましく、更に好ましくは、20〜150℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜24時間である。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0161】
(式中、tは1〜5の整数である。Y
3は水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を示す。)
【0162】
[官能基(n)の導入方法]
前述の通りの手法で得られたアミン体(k)を、DCC、EDC等の縮合剤存在下、下記の式(n1)で示される化合物(化合物(n1))と反応させることで、官能基(n)を有するアジド化合物(化合物(n))を得ることができる。縮合反応は前述の非プロトン性溶媒中、もしくは無溶媒中で行う。縮合剤としては、特に制限は無いが、好ましくはDCCである。DCCの使用割合はアミン体(k)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。化合物(n1)の使用割合は化合物(k)に対して等モル以上が好ましく、更に好ましくは等モル〜5倍モルである。反応温度としては、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは、20〜80℃である。反応時間は10分〜48時間が好ましく、更に好ましくは30分〜12時間である。生成した化合物は前述の精製手段にて精製してもよい。
【0164】
(式中、Qは炭素数1〜9の炭化水素基を示す。)
【0165】
工程(D)は、官能基を有した式(9)で示されるポリオキシエチレン誘導体(以下、「化合物(9)」とも称す。)の環状アセタール構造を切断する脱保護工程である。官能基の種類によっては、工程(D)の脱アセタール後にさらに官能基化を行うこともできる。
【0166】
環状アセタールの脱保護の方法としては、 PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(THEODORA W.GREENE et al)等に記載があるような一般的な脱保護法であれば特に制限はないが、具体的には、酸触媒存在下、脱保護することができる。酸触媒は酢酸、塩酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、好ましくは塩酸、リン酸であり、より好ましくはリン酸である。
【0167】
酸の使用量は、化合物(9)に対して0.05〜2重量倍が好ましく、0.1〜1重量倍がより好ましい。脱保護反応に使用する溶媒については、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドであり、水あるいはメタノールが好ましい。溶媒の使用量は、化合物(8)の1〜50重量倍、好ましくは2〜35重量倍、さらに好ましくは5〜20重量倍である。
【0168】
反応時間は、1〜24時間が好ましい。1時間より短いと脱保護反応が不十分となる。24時間より長いと、酸によるポリオキシエチレンの酸化分解や官能基の失活が起こる恐れがある。反応温度は、通常0〜60℃、好ましくは、10〜40℃である。
【0169】
脱保護後、抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよく、好適には、再結晶を行い、結晶を減圧下にて乾燥することで、化合物(9)を得ることができる。
【0170】
工程(D)の脱アセタール後にさらに官能基化を行うこともできる。脱アセタール条件にて反応、分解してしまう恐れのある官能基については、工程(D)後に官能基化を行うことが望ましい。
【0171】
本発明のポリオキシエチレン誘導体(1)は以下の工程図(工程
図III)に示す製法によっても製造することができる。
【0173】
(式中、POE、L
1、L
3、X、aは前記と同義である。Rは保護基で保護された官能基または保護されていてもよい水酸基を示し、X
2はアミノ基、活性カーボネート基または活性スルホネート基を示す。)
【0174】
工程(E)は、保護された多価アルコール誘導体の残存した水酸基を官能基に変換する工程である。
【0175】
工程(F)は、工程(E)で官能基化された多価アルコール誘導体と、ポリオキシエチレン誘導体を反応にて結合する工程である。
【0176】
工程(G)は保護基であるRの脱保護により、官能基化を行う工程である。必要であれば、前述の工程
図I、IIにおける工程(C)にならって官能基化を行うこともできる。
ポリオキシエチレン末端のRの保護基の種類によっては、脱保護と同時に、次工程の脱アセタールを行うことができる。
【0177】
工程(H)は、環状アセタール構造を切断する工程である。a=1の場合は4個の水酸基を出現させ、a=2の場合は6個の水酸基を出現させる。ポリオキシエチレン末端の官能基Xの種類によっては、工程(H)後にさらに官能基化を行うこともできる。
【0178】
上記の工程工程(E)(F)(G)(H)を行うことで、式(2b)で表されるポリオキシエチレン誘導体(ポリオキシエチレン誘導体(2b))が製造される。
【0179】
以下に、かかるポリオキシエチレン誘導体(2b)の製造方法の好適な具体例をさらに説明するが、a=1と、a=2のどちらの場合においても、同様の製法にて製造することができるため、a=1の誘導体、すなわち、以下の式(15)で表されるポリオキシエチレン誘導体(ポリオキシエチレン誘導体(15))について説明を行う。
【0181】
(式中、POE、L
1、L
3、Xは前記と同義である。)
【0182】
ポリオキシエチレン誘導体(15)は、次のような工程図(工程
図IV)に示すルートにより製造することができる。
【0184】
(式中、R
1、R
2、R
3は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、Wはハロゲン原子を示す。POE、L
3、Xは前記と同義である。)
(式中、POE、L
1、L
3、R、X
2、Xは前記と同義である。)
【0185】
上記工程図において、化合物(15)は、式(2b)で示される化合物に相当する。
【0186】
工程(E)は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物を官能基化し、構造異性
体を含まない式(12)の化合物を得るための工程である。工程(E)は、以下の工程(E1)または工程(E2)のどちらを用いてもよい。
【0187】
工程(E1)は、以下の(E1−1)、(E1−2)の2つの工程から成る。
【0188】
工程(E1−1)は、構造異性体の片方のみを選択的にフタルイミド化し、もう一方と分離する工程。式(5)で示される1,2,3,4−ジイソプロピリデンキシリトールの1級水酸基のみ選択的にフタルイミド化し、式(6)で示される1,2,4,5−ジイソプ
ロピリデンキシリトールと分離する。
【0189】
工程(E1−2)は、フタルイミド基の脱保護工程である。
【0191】
上記工程図において、化合物(17)は、式(12)で示される化合物に相当する。
【0192】
工程(E1−1)は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物をフタルイミドと反応させ、化合物(5)の1級水酸基のみをフタルイミド化することにより、式(17)で示される化合物を得る。
【0193】
フタルイミド化は、反応前に共沸脱水し、反応系中の水分を除去することが好ましく、使用する溶媒は共沸脱水できる非プロトン性溶媒であれば特に制限されないが、好ましくは、トルエン、キシレンまたはシクロヘキセンであり、さらに好ましくはトルエンである。溶媒量は、混合物の1〜10重量倍、好ましくは2〜6重量倍、さらに好ましくは3〜5重量倍である。
【0194】
式(5)と式(6)で示される化合物の混合物を共沸脱水できる有機溶媒に溶解後、仕込んだ有機溶媒量の5〜75重量%、好ましくは10〜50重量%の溶媒量を共沸温度以上で30分以上、3時間以内で還流、留去する。留去量が少ないか、または還流時間が30分より短いと脱水が不十分となり、反応にて残存水分が副反応を起し、純度が低下する恐れがある。
【0195】
脱水後、反応に適した反応溶媒を添加する。反応溶媒としては有機溶媒が好ましく、非プロトン性溶剤であれば特に制限されないが、脱水処理された溶媒が好ましく、その中でも好ましくはクロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドであり、更に好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。有機溶媒の量は、混合物の1〜50重量倍、好ましくは2〜30重量倍、さらに好ましくは3〜20重量倍である。含水量が低い溶媒を使用するのは前述した副反応を抑制するためである。
【0196】
フタルイミド化に用いられるフタルイミドの量は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物に対して1〜10モル当量倍、好ましくは1.01〜5モル当量倍、さらに好
ましくは1.02〜3モル当量倍である。
【0197】
フタルイミド化に用いられるアゾ系試薬としては1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン、アゾジカルボン酸ジベンジル、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジメチル、1,1’−アゾビス(N,N−ジイソプロピルホルムアミド)、1,6−ジメチル−1,5,7−ヘキサヒドロ−1,4,6,7−テトラゾシン−2,5−ジオン、などが挙げられ、好ましくはアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピルであり、さらに好ましくはアゾジカルボン酸ジイソプロピルである。アゾ系試薬の量は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物に対して1〜10モル当量倍、好ましくは1.01〜5モル当量倍、さらに好ましくは1.02〜3モル当量倍である。
【0198】
フタルイミド化に用いられるホスフィン系試薬としてはジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン、ジフェニル−2−ピリジルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられ、好ましくはトリフェニルホスフィンである。ホスフィン系試薬の量は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物に対して1〜10モル当量倍、好ましくは1.01〜5モル当量倍、さらに好ましくは1.02〜3モル当量倍である。
【0199】
フタルイミド、ホスフィン系試薬を投入し、最後にアゾ系試薬をゆっくり仕込み反応を行う。反応温度については特に制限されないが、好ましくは室温である。また反応時間は5分以上が好ましく、5分未満であると反応率が低くなる恐れがある。
【0200】
反応終了後の反応液には、式(6)で示される未反応物が含まれている。これを除去する方法は、特に制限はないが、カラムクロマトグラフィー、蒸留、抽出、再結晶、超臨界抽出等の精製手段にて式(6)で示される未反応物を分離するのが好ましく、再結晶にて精製するのがさらに好ましい。
【0201】
再結晶にて精製する場合、良溶媒はトルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、アセトニトリルなどが挙げられ、好ましくはトルエン、酢酸エチル、エタノールであり、さらに好ましくは酢酸エチルである。これらの溶媒は1種単独で使用することもでき、2種以上を組み合せて使用することもできる。また貧溶媒はヘキサン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテルなどが挙げられ、好ましくはヘキサンである。良溶媒の量は、混合物の1〜50重量倍、好ましくは2.5〜35重量倍、さらに好ましくは5〜20重量倍である。また貧溶媒の量は、0.5〜30重量倍、好ましくは1〜20重量倍、さらに好ましくは2〜10重量倍である。
【0202】
再結晶の温度は−20〜30℃であり、好ましくは−10〜20℃である。温度が30℃を超えると結晶が溶解して歩留まりが低下する恐れがある。また再結晶時間は15分以上が好ましい。時間が15分未満であると不純物の除去が不十分になる恐れがある。再結晶は繰り返し行うことで精製効率が上がり、回数は特に制限されないが、好ましくは1〜5回、さらに好ましくは2〜4回である。得られた化合物(17)の結晶は減圧にて乾燥する。
【0203】
工程(E1−2)は、工程(E1−1)で得られた化合物(17)の脱保護工程である。脱保護方法は、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(THEODORA W.GREENE et al)
等に記載があるような一般的なフタルイミドの脱保護法であれば特に制限はないが、アミ
ノ基を有した脱保護試薬を用いることが好ましい。
【0204】
脱保護工程に使用する溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノールなどが挙げられ、好ましくはクロロホルム、エタノールである。溶媒の量は、式(17)で示される化合物の1〜50重量倍、好ましくは2〜30重量倍、さらに好ましくは3〜20重量倍である。
【0205】
工程(E1−2)で用いられる脱保護試薬は1級のアミノ基を有するアミン低分子化合物であれば特に制限されないが、具体的にはヒドラジン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどが挙げられ、好ましくはヒドラジン、エチレンジアミンである。脱保護試薬の量は、式(17)で示される化合物に対して、1〜30モル当量倍、好ましくは2〜20モル当量倍、さらに好ましくは3〜10モル当量倍である。
反応温度については特に制限されないが、好ましくは10〜80℃であり、さらに好ましくは20〜60℃である。また反応時間は1時間以上であり、1時間より短いと反応率が低い恐れがある。
【0206】
反応終了後の精製方法は、特に制限はないが、カラムクロマトグラフィー、蒸留、抽出、再結晶、超臨界抽出等の精製手段にて脱保護試薬等の化合物を分離するのが好ましく、抽出にて精製するのがさらに好ましい。
【0207】
抽出にて精製する場合、有機溶媒はトルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノールなどが挙げられ、好ましくはジクロロメタンである。これらの溶媒は1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合せて使用することもできる。有機溶媒の量は、式(17)で示される化合物の1〜20重量倍、好ましくは2〜10重量倍である。また使用する水溶液は1〜25重量%のアルカリ金属無機塩の水溶液であり、アルカリ金属無機塩は好ましくはアルカリ金属ハロゲン塩、より好ましくは塩化ナトリウムである。水溶液の量は、式(17)で示される化合物の1〜20重量倍、好ましくは2〜10重量倍である。
抽出工程の混合、分層時間は特に制限されないが、好ましくは1分〜6時間であり、より好ましくは10分〜3時間である。また抽出温度は10〜80℃、好ましくは20〜60℃である。抽出は繰り返し行うことで精製効率が向上する。回数は特に制限されないが、好ましくは1〜4回、さらに好ましくは2〜3回である。抽出後、好ましくは脱水剤を用いた脱水を行う。脱水剤をろ別後、溶媒を留去し、式(16)で示される化合物を得ることができる。
【0208】
工程(E2)は、以下の(E2−1)、(E2−2)の2つの工程から成る。
【0209】
工程(E2−1)は、構造異性体の両方を活性化カーボネートまたはスルホネート化する工程である。
【0210】
工程(E2−2)は、官能基化された構造異性体のわずかな物性の違いを利用して、構造異性体を分離する精製工程である。
【0212】
上記工程図において、化合物(19)は、前記工程
図IV中の式(12)で示される化合物に相当する。
【0213】
工程(E2−1)は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物と、下記の式(b1)、式(e1)で示される化合物(化合物(b1)、化合物(e1))のいずれかとを反応させることで、それぞれ活性化カーボネート基、活性スルホネート基を導入する工程である。例えば、活性化スルホネート基においては、式(19)と式(20)で示される化合物を得る。活性化カーボネート基、活性スルホネート基、どちらを導入する場合においても、ほぼ同様の製法にて製造することができるため、以下、活性化スルホネート基の導入について説明を行う。
【0215】
(式中、W
2、Y
2は前記と同義である。)
【0216】
工程(E2−1)に使用する反応溶媒は、トルエン、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン等の非プロトン性溶媒が挙げられ、もしくは無溶媒中であり、好ましくはトルエン、クロロホルムである。溶媒の量は、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物の1〜50重量倍、好ましくは2〜30重量倍、さらに好ましくは3〜20重量倍である。
【0217】
工程(E2−1)に使用する上記一般式(e1)で示される化合物におけるW
2はCl
、Br、Iより選択されるハロゲン原子であり、好ましくはClである。(e1)で示さ
れる化合物の使用量は特に制限はないが、式(5)と式(6)で示される化合物の混合物に対して1〜10モル当量倍、好ましくは1.01〜5モル当量倍、さらに好ましくは1.02〜3モル当量倍である。
【0218】
反応に使用する塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、もしくは炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム等の無機塩基であり、好ましくはトリエチルアミンである。塩基の使用量は、特に制限はないが、混合物に対して1〜15モル当量倍、好ましくは1.1〜10モル当量倍、さらに好ましくは1.2〜5モル当量倍であ
る。
反応温度については特に制限されないが、好ましくは0〜80℃であり、さらに好ましくは20〜60℃である。また反応時間は1時間以上であり、1時間より短いと反応率が低い恐れがある。
【0219】
工程(E2−2)は、工程(E2−1)にて生成した式(19)と式(20)で示される化合物の混合物を分離精製する工程である。
【0220】
精製法は、特に制限はないが、カラムクロマトグラフィー、蒸留、抽出、再結晶、超臨界抽出等の精製手段にて、式(20)で示される化合物を分離するのが好ましく、再結晶にて精製するのがさらに好ましい。
【0221】
再結晶にて精製する場合、良溶媒はトルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、アセトニトリルなどが挙げられ、好ましくはトルエン、酢酸エチル、エタノールであり、さらに好ましくは酢酸エチルである。これらの溶媒は1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合せて使用することもできる。また貧溶媒はヘキサン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどが挙げられ、好ましくはヘキサンである。良溶媒の量は、混合物の1〜50重量倍、好ましくは2.5〜35重量倍、さらに好ましくは5〜20重量倍である。また貧溶媒の量は、0.5〜30重量倍、好ましくは1〜20重量倍、さらに好ましくは2〜10重量倍である。
【0222】
再結晶の温度は−20〜30℃であり、好ましくは−10〜20℃である。温度が30℃を超えると結晶が溶解して歩留まりが低下する恐れがある。また再結晶時間は15分以上が好ましい。時間が15分未満であると不純物の除去が不十分になる恐れがある。再結晶は繰り返し行うことで精製効率が上がり、回数は特に制限されないが、好ましくは1〜5回、さらに好ましくは2〜4回である。得られた化合物(15)の結晶は減圧にて乾燥する。
【0223】
工程(F)は、以下の工程図(工程
図V)に示されるように、工程(E)で官能基化された多価アルコール誘導体(12)とポリオキシエチレン誘導体(21)を反応にて結合する工程である。
【0225】
(式中、POE、L
1、L
3、X
2は前記と同義である。Rは保護基で保護された官能基または保護されていてもよい水酸基を示す。L
4はリンカー、X
3はX
2と反応可能な官能基を示す。)
【0226】
リンカーL
4の具体例は前述のリンカーL
1〜L
3の具体例として挙げたものと同じである。
【0227】
工程(F)に使用される、上記の式(21)で示されるポリオキシエチレン誘導体は、
式(12)で示される化合物のX
2と反応可能な官能基X
3を有する。X
2がアミノ基の
場合、X
3はアミノ基と反応する官能基であれば特に制限はないが、例えば、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、置換スルホネート基、カルボキシル基などであり、好ましくは活性エステル基、活性カーボネート基である。X
2が活性カーボネート基またはスルホネート基の場合、X
3は活性カーボネート基またはスルホネート基と反応する官能基であれば特に制限はないが、好ましくはアミノ基、アルコキシド基である。
【0228】
Rは保護基で保護された官能基または保護されていてもよい水酸基を示す。保護されている官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、チオール基が挙げられる。具体的なアミノ基の保護基としてはt−ブチルカーバーメート基、ベンジル基、トリチル基等が挙げられるが、好ましくはt−ブチルカーバーメート基である。具体的なカルボキシル基の保護基としてはt−ブチル基、ベンジル基等が挙げられるが、好ましくはベンジル基である。具体的なアルデヒド基の保護基としては3〜9個の炭素原子を含むアセタール基等が挙げられるが、好ましくはジエチルアセタール基である。具体的なチオール基の保護基としてはt−ブチル基、ベンジル基、トリチル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等が挙げられるが、好ましくはt−ブチル基、ベンジル基であり、さらに好ましくはt−ブチル基である。
【0229】
また、水酸基の具体的な保護基としてはt−ブチル基、ベンジル基、トリチル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等が挙げられるが、好ましくはt−ブチル基、ベンジル基であり、さらに好ましくはベンジル基である。
【0230】
工程(F)にて使用する式(12)で示される化合物の使用量は特に制限はないが、式
(21)で示されるポリオキシエチレン誘導体に対して1〜20モル当量倍、好ましくは1.5〜15モル当量倍、さらに好ましくは2〜10モル当量倍である。
【0231】
工程(F)に使用する反応溶媒は、トルエン、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン等の非プロトン性溶媒が挙げられ、好ましくはトルエン、クロロホルムである。溶媒の量は、式(21)で示される化合物の1〜50重量倍、好ましくは2〜25重量倍、さらに好ましくは3〜10重量倍である。
【0232】
反応温度については特に制限されないが、好ましくは0〜100℃であり、さらに好ましくは20〜80℃である。また反応時間は1時間以上であり、1時間より短いと反応率が低い恐れがある。
【0233】
精製法は、特に制限はないが、カラムクロマトグラフィー、蒸留、抽出、再結晶、超臨界抽出等の精製手段が挙げられ、好ましくは、再結晶にて精製するのがさらに好ましい。
【0234】
再結晶にて精製する場合、良溶媒はトルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、アセトニトリルなどが挙げられ、好ましくはトルエン、酢酸エチルであり、さらに好ましくは酢酸エチルである。これらの溶媒は1種を単独で使用することができ、2種以上を組み合せて使用することもできる。また貧溶媒はヘキサン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどが挙げられ、好ましくはヘキサンである。良溶媒の量は、混合物の1〜50重量倍、好ましくは2.5〜35重量倍、さらに好ましくは5〜20重量倍である。また貧溶媒の量は、0.5〜30重量倍、好ましくは1〜20重量倍、さらに好ましくは2〜10重量倍である。
【0235】
再結晶の温度は−20〜30℃であり、好ましくは−10〜20℃である。温度が30℃を超えると結晶が溶解して歩留まりが低下する恐れがある。また再結晶時間は15分以上が好ましい。時間が15分未満であると不純物の除去が不十分になる恐れがある。再結晶は繰り返し行うことで精製効率が上がり、回数は特に制限されないが、好ましくは1〜
5回、さらに好ましくは2〜4回である。得られた化合物(13)の結晶は減圧にて乾燥する。
【0236】
工程(G)は、工程(F)で得られた式(13)で示されるポリオキシエチレン誘導体の保護基Rの脱保護により、官能基または水酸基を出現させる工程である。水酸基を出現させた場合は、続けて前述の工程
図IIの工程(C)と同製法にて官能基の導入を行う。ポリオキシエチレン末端のRの保護基の種類によっては、脱保護と同時に、次工程の脱アセタールを行うことができるものもある。
【0237】
これらの保護基の脱保護の方法としては、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(THEODORA W.GREENE et al)等に記載があるような一般的な脱保護法を用いて脱保護を行う
ことができる。
脱保護後、抽出、再結晶、吸着処理、再沈殿、超臨界抽出等の精製手段にて精製してもよく、好適には、再結晶を行い、結晶を減圧下にて乾燥することで、式(13)で示される化合物を得ることができる。
【0238】
工程(H)は、工程(G)で得られた式(14)で示されるポリオキシエチレン誘導体の環状アセタール構造を切断する脱保護工程である。ポリオキシエチレン末端の官能基の種類によっては、工程(H)後にさらに官能基化を行うこともできる。
【0239】
工程(H)は、工程(D)と同工程である。工程(D)を行うことで目的物である式(15)で示される化合物を得ることができる。
【0240】
本発明により、末端に複数の水酸基を有するポリオキシエチレン誘導体(1)を高純度で効率よく、工業的に製造することができる。
また、本発明により得られるポリオキシエチレン誘導体(1)は、従来のポリオキシエチレン誘導体に比べ、血中半減期、抗原性を改善できる利点を有しており、生体関連物質を修飾するのに有用である。
【実施例】
【0241】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中の化合物の分析、同定には
1H-NMR、GPCを用いた。
【0242】
<
1H-NMRの分析方法>
1H-NMR分析では、日本電子データム(株)製JNM-ECP400を用いた。NMR測定値における積分値は理論値である。
【0243】
<GPC分析の分析方法>
GPC分析は、下記条件にて測定を行った。
装置:島津LC-10Avp
カラム:PL gel MIXED-D×2(ポリマーラボラトリー)
展開溶媒:ジメチルホルムアミド
流速:0.7ml/min
カラム温度:65℃
検出器:RI
サンプル量:1mg/g、100μl
分子量はピークトップ分子量Mpである。
【0244】
(実施例1)
ポリオキシエチレン誘導体(1)の合成
(L
1=−O−、L
3=−CH
2CH
2−NHCO−CH
2CH
2−、X=マレイミド基、Z=エチレングリコール残基、a=1、b=1、c=1、d=0、e=1、分子量約20000の場合)
(実施例1−1)
化合物(5)(6):ジイソプロピリデンキシリトールの合成
【0245】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機を付した5L丸底フラスコへキシリトール1000g、2,2-ジメトキシプロパン1916g、およびp-トルエンスルホン酸・1水和物37.5
mgを入れ、窒素を吹き込みながら65℃で反応を行った。反応液の溶媒を留去し、蒸留精製(b.p.108℃/0.15mmHg)し、1,2,3,4−ジイソプロピリデンキシリトール(式(5))と1,2,4,5−ジイソプロピリデンキシリトール(式(6))の異性体混合物を得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm): 1.37-1.44(12H,m,-C(C
H3)
2) 、3.59-3.65(1H,m,-C
H-O-)、3.81-3.90(2H,m,-C
H2-O-)、3.98-4.01(1H,m,-C
H-O-)、4.04-4.10(2H,m,-C
H2-O-) 4.11-4.23(1H, m, -C
H-O-)
【0246】
【化30】
【0247】
(実施例1−2)
化合物(7):1,2,3,4−ジイソプロピリデン−5−(t−ブチルジフェニルシリル)キシリトールの合成
【0248】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機を付した2L丸底フラスコに、1−1で精製したジイソプロピリデンキシリトール(異性体混合物)250g、ジクロロメタン1000g、4−ジメチルアミノピリジン26g、およびトリエチルアミン109gを入れ、窒素を吹き込みながら室温で溶解させ、10℃以下に冷却後、t−ブチルクロロジフェニルシラン297gを滴下した。滴下後室温に戻して2時間反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去し、135℃、減圧下(0.2mmHg)
で1,2,4,5−ジイソプロピリデンキシリトールを除去し、1,2,3,4−ジイソプロピリデン−5−(t−ブチルジフェニルシリル)キシリトール(式(7))を200g得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS) δ(ppm): 1.06(9H,m, -Si-C-
(CH3)3) 1.37、1.42、1.43(12H,s, -O-C-C
H3) 3.72-3.82(1H,m,-C
H-O-、-C
H2-O-)、3.95(1H,dd, -C
H-O-)
3.99-4.06(2H,m,-C
H2-O-) 4.11-4.15(1H,m,-C
H-O-) 7.36-7.54(6H,m,
Ph-Si(-
Ph)-O-)
7.66-7.70(4H,m,
Ph-Si(-
Ph)-O-)
【0249】
【化31】
【0250】
(実施例1−3)
化合物(5):1,2,3,4−ジイソプロピリデンキシリトールの合成
【0251】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機を付した2L丸底フラスコに、1−2で得られた1,2,3,4−ジイソプロピリデン−5−(t−ブチルジフェニルシリル)キシリトール500gと脱水テトラヒドロフラン440gを入れ、窒素を吹き込みながら室温で均一化させ、20℃以下に冷却後、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)1270mlを滴下した。滴下後室温に戻して2時間反応後、減圧下で溶媒を留去した。酢酸エチル2000gで溶解後、精製水で酢酸エチル層を水洗し、硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去し、クロロホルムとメタノールを溶媒、充填剤にシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにて1,2,3,4−ジイソプロピリデンキシリトール(式(5))を250g得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS) δ(ppm): 1.39、1.44(12H,s,-C
H3) 、3.62(1H,dd,-C
H-O-)、3.08-3.89(2H,m,-C
H2-O-)、3.98-4.08(1H,m,-C
H-O-,2H,m,-C
H2O-)、4.18-4.23(1H,m,-C
H-O-)
【0252】
【化32】
【0253】
(実施例1−4)
化合物(p1):α−ジイソプロピリデンキシリトール ポリオキシエチレン(分子量20,000)の合成
【0254】
1,2,3,4−ジイソプロピリデンキシリトール(5)を100g(0.43mol
)、脱水トルエンを200g、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液10.8gを5Lオートクレーブへ仕込み、系内を窒素置換後、50℃に昇温し、減圧にてトルエンと
メタノールを留去した。100〜150℃、1MPa以下の圧力でエチレンオキシド4205g(95.6mol)を加えた後、更に1時間反応を続け、内容物の半量2150gを抜き取った。続いて100〜150℃、1MPa以下の圧力でエチレンオキシド2150g(48.9mol)を加えた後、更に1時間反応を続けた。減圧にて未反応のエチレンオキシドガスを除去後、下記化合物(p1)を得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm):1.37-1.44(12H,m,-C(C
H3)
2)、3.40-3.90(約1880H, m, -
CH2O(
CH2CH2O)
mH)
分子量(GPC/Mp):20678(m=約470)
【0255】
【化33】
【0256】
(実施例1−5)
化合物(p2):α−ジイソプロピリデンキシリトール ω−アミン ポリオキシエチレン(分子量20,000)の合成
【0257】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean−Stark管及び冷却管を付した1L四
つ口フラスコに、α−ジイソプロピリデンキシリトール ポリオキシエチレン(p1)を200g(10mmol)、トルエン600gを加え、撹拌、窒素吹込みをしながら60℃に加温して溶解した。110℃に昇温し、トルエンと共沸させながら約300gの留分を抜き取り、脱水を行った。40℃まで冷却し、脱水アセトニトリル1.0kgを加え、フタルイミド2.2g(15mmol)、トリフェニルホスフィン3.9g(15mmol)を加えた後、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート3.0g(15mmol)を加え、室温で2時間反応した。
【0258】
反応後、減圧にて溶剤を留去し、メタノール400g、エチレンジアミン30g(0.5mol)を加え、60℃で4時間反応した。これにジクロロメタン1.0kgで希釈し、25%食塩水500gで2回抽出を行った。40℃、微減圧下で約1.5kgの留分を抜き取り、その後室温まで冷却し、これに酢酸エチル600gを加え、硫酸マグネシウムを添加し脱水を行った。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液にn−へキサン600gを加えて結晶化した。結晶を濾取した後、酢酸エチル800gに40℃で溶解し、室温に冷却後n−へキサン600gを加えて結晶化した。濾取した結晶をn−へキサン1.0kgで洗浄した。結晶を濾取して真空下で乾燥して下記化合物(p2)184gを得た。
1H−NMR(D
2O)δ(ppm):1.37-1.44(12H,m,-C(C
H3)
2)、2.84-2.88(2H,t,-C
H2-NH
2)
、3.40-3.90(約1880H, m, -
CH2O(
CH2CH2O)
m-C
H2O-)
【0259】
【化34】
【0260】
(実施例1−6)
化合物(p3):α−キシリトール ω−アミン ポリオキシエチレン(分子量20,000)の合成
【0261】
温度計、撹拌機を付した3L三つ口フラスコに、α−ジイソプロピリデンキシリトール
ω−アミン ポリオキシエチレン(p2)を100g(5mmol)、イオン交換水1.8kgを加え、撹拌、窒素吹込みをしながら溶解した。85%リン酸を滴下しながらpH1.40になるように添加し、室温で8時間反応した。
【0262】
反応後、10N水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、食塩360gを添加後、更に10N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0に調製した。そこにトルエンを500g加え、50℃で2回抽出を行った。減圧にて溶剤を留去し、酢酸エチル500gを加え、硫酸マグネシウムを添加し脱水を行った。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液にn−へキサン400gを加えて結晶化した。濾取した結晶をn−へキサン400gで洗浄した。結晶を濾取して真空下で乾燥して下記化合物(p3)90gを得た。
1H−NMR(D
2O)δ(ppm): 2.84-2.88(2H,t,-
CH2-NH2)、3.40-3.90(約1880H, m, -
CH2O(
CH2CH2O)
m-
CH2-)
【0263】
【化35】
【0264】
(実施例1−7)
化合物(p4)α−キシリトール ω−マレイミド ポリオキシエチレン(分子量20,000)の合成
【0265】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機及び冷却管を付した100mL四つ口フラスコに、α
−キシリトール ω−アミン ポリオキシエチレン(p3)を10g(0.5mmol)、トルエンを50g仕込み、40℃に加温して溶解した。遮光後、N−スクシンイミジルマレイミドプロピオン酸を160mg(0.6mmol)添加し、40℃で4時間反応した。
反応後、ろ過し、酢酸エチル30gを加え希釈し、n−へキサン40gを加えて結晶化した。結晶を濾取した後、酢酸エチル100gに40℃で溶解し、室温に冷却後n−へキサン50gを加えて結晶化した。結晶の溶解、結晶化工程をさらに1回繰り返した。濾取した結晶をn−へキサン50gで洗浄した。結晶を濾取して真空下で乾燥して下記化合物(p4)9gを得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm):2.49-2.54(2H,t, -NHCO
CH2CH
2-)、3.40-3.90(約1880H, m, -
CH2O(
CH2CH2O)
m-
CH2-,-
CH2NHCO-)、6.70(2H, s, -
CH=CH-)
【0266】
【化36】
【0267】
(実施例2)
ポリオキシエチレン誘導体(1)の合成
(L
1=−OCO−NH−、X=p−ニトロフェニルカーボネート基、Z=グリセリン残基、a=1、b=2、c=1、d=0、e=0、分子量約40000の場合)
【0268】
(実施例2−1)
化合物(17)の合成
【0269】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean−Stark管及び冷却管を付した1L四
つ口フラスコに、ジイソプロピリデンキシリトール(5)(6)を50g(0.22mol)、トルエン100gを加え、撹拌、窒素吹込みをしながら110℃に昇温し、トルエンと共沸させながら約80gの留分を抜き取り、脱水を行った。40℃まで冷却し、脱水アセトニトリル500gを加え、ヒドロキシフタルイミド31.7g(0.22mol)、トリフェニルホスフィン56.5g(0.22mol)を加えた後、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート43.5g(0.22mol)をゆっくり滴下し、室温で2時間反応した。
【0270】
反応後、減圧にて溶剤を留去し、酢酸エチル500g、エタノール300g、n−へキサン200gを加えて、10℃以下に冷却し結晶化した。結晶を濾取して真空下で乾燥し、下記化合物(17)50gを得た。
【0271】
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm): 1.34-1.44(12H,m, -C(
CH3)
2) 、3.80-3.90(2H,m,N-
CH2-CH)、3.93-4.02(2H,m,-
CH2-O-)、4.07-4.12(1H,m,-
CH-O-)、4.23-4.32(2H,m,-
CH-O-)、7.71-7.89(4H, m,
Ph)
【0272】
【化37】
【0273】
(実施例2−2)
化合物(18)の合成
【0274】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機及び冷却管を付した1L四つ口フラスコに、化合物(
15)を25g(69mmol)、クロロホルム125g、エチレンジアミン20.8g(0.345mol)を加え、60℃で4時間反応した。これに25%食塩水100gを加え、2回抽出し、硫酸マグネシウムを添加し脱水を行った。硫酸マグネシウムを濾別後、減圧にて溶剤を留去し、真空下で乾燥して粘性液体である下記化合物(18)12.5gを得た。
【0275】
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm): 1.36-1.44(12H,m,-C(C
H3)
2) 、2.78-2.96(2H,m, -
CH2-NH
2)、3.81-3.86(2H,m,-
CH2-O-)、3.95-3.99(1H,m,-
CH-O-)、4.03-4.06(1H,m,-
CH-O-)、4.15-4.19(1H,m,-
CH-O-)
【0276】
【化38】
【0277】
(実施例2−3)
ポリオキシエチレン誘導体(p6)(分子量40,000)の合成
【0278】
【化39】
【0279】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean−Stark管及び冷却管を付した1L四
つ口フラスコに、特開2004-197077号公報の実施例16に準じて合成した分子量40,0
00の2分岐型PEGである上記化合物(p5)を100g(2.5mmol)、トルエン500gを加え、撹拌、窒素吹込みをしながら60℃に加温して溶解した。110℃に昇温し、トルエンと共沸させながら約100gの留分を抜き取り、脱水を行った。60℃まで冷却し、トリエチルアミンを1.5g(15.0mmol)、p−ニトロフェニルクロロホルメートを2.5g(12.5mmol)を加え、60℃で6時間反応した。
これにトルエン300gを加え希釈し、濾過後、n−へキサン300gを加えて結晶化した。結晶を濾取した後、酢酸エチル700gに40℃で溶解し、室温に冷却後n−へキサン300gを加えて結晶化した。結晶の溶解、結晶化工程をさらに2回繰り返した。濾取した結晶をn−へキサン500gで洗浄した。結晶を濾取して真空下で乾燥して下記化合物(p6)94gを得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm):3.40-3.80(約3840H, m, -
CH2(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-, -
CH(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-、-
CH2-O-CH
2-Ph)、4.44(4H, t, -OCH
2CH2-O-CO-O-)、4.54(2H, s, -O-
CH2-Ph)、7.39(4H, d, -
Ph-NO
2)、8.28(4H, d, -
Ph-NO
2)
分子量(GPC/Mp):42273(m=約480)
【0280】
【化40】
【0281】
(実施例2−4)
ポリオキシエチレン誘導体(p7)(分子量40,000)の合成
【0282】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機及び冷却管を付した500mL四つ口フラスコに、化
合物(p11)を50g(1.25mmol)、トルエン250gを加え、撹拌、窒素吹込みをしながら40℃に加温して溶解した。化合物(18)を1.2g(5.0mmol)加え、40℃で4時間反応した。
反応後、酢酸エチル250gで希釈し、室温に冷却後n−へキサン200gを加えて結晶化した。結晶を濾取した後、酢酸エチル500gに40℃で溶解し、室温に冷却後n−へキサン200gを加えて結晶化した。結晶の溶解、結晶化工程をさらに2回繰り返した。濾取した結晶をn−へキサン200gで洗浄した。結晶を濾取して真空下で乾燥して下記化合物(p7)44gを得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm):1.36-1.44(24H, m, -C(C
H3)
2)、3.40-3.80(約3840H, m, -
CH2(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-, -
CH(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-、-
CH2-O-CH
2-Ph)、4.02-4.09(4H, m, -
CH-O-)、4.15-4.25(6H, m, -NH-CH
2-
CH-O-, -OCH
2CH2-O-CO-NH-)、4.54(2H, s, -O-
CH2-Ph)
【0283】
【化41】
【0284】
(実施例2−5)
ポリオキシエチレン誘導体(p8)(分子量40,000)の合成
【0285】
温度計、撹拌機を付した500mL三つ口フラスコに、化合物(p7)を40g(1.
0mmol)、5%パラジウムカーボン(50%含水品)20gを仕込み、窒素置換後、メタノール400mL、シクロヘキセン67mLを加えて昇温し、52〜55℃で緩やかに還流させ、3時間反応させた。室温まで冷却後、パラジウムカーボンを濾別し、濾液を濃縮した。濃縮液にトルエン350g、n−ヘキサン250gを加えて結晶化した。濾取した結晶をn−へキサン200gで洗浄した。結晶を濾取して真空下で乾燥して下記化合物
(p8)36gを得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm):1.36-1.44(24H, m,-C(C
H3)
2)、3.40-3.80(約3840H, m, -
CH2(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-, -
CH(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-、-
CH2-OH)、4.02-4.09(4H, m, -
CH-O-)、4.15-4.25(6H, m, -NH-CH
2-
CH-O-,-OCH
2CH2-O-CO-NH-)
【0286】
【化42】
【0287】
(実施例2−6)
ポリオキシエチレン誘導体(p9)(分子量40,000)の合成
【0288】
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機及び冷却管を付した300mL四つ口フラスコに、化合物(p8)を30g(0.75mmol)、トルエン150gを加え、撹拌、窒素吹込みをしながら60℃に加温して溶解した。トリエチルアミンを228mg(2.25mmol)、p−ニトロフェニルクロロホルメートを378mg(1.88mmol)加え、60℃で4時間反応した。
これにトルエン150gを加え希釈し、濾過後、n−へキサン120gを加えて結晶化した。結晶を濾取した後、酢酸エチル210gに40℃で溶解し、室温に冷却後n−へキサン90gを加えて結晶化した。結晶の溶解、結晶化工程をさらに2回繰り返した。濾取した結晶をn−へキサン90gで洗浄した。結晶を濾取して真空下で乾燥して下記化合物(p9)26gを得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm):1.36-1.44(24H, m, -C(C
H3)
2)、3.40-3.80(約3840H, m, -
CH2(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-, -
CH(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-)、4.02-4.09(4H, m, -
CH-O-)、4.15-4.25(6H, m, -NH-CH
2-
CH-O-, -OCH
2CH2-O-CO-NH-)、4.32-4.50(2H, m, -
CH2-O-CO-O-Ph-NO
2)、 7.39(2H, d, -
Ph-NO
2)、8.28(2H, d, -
Ph-NO
2)
【0289】
【化43】
【0290】
(実施例2−7)
ポリオキシエチレン誘導体(p10)(分子量40,000)の合成
【0291】
温度計、撹拌機を付した500mL三つ口フラスコに、化合物(p9)を25g(0.
63mmol)、イオン交換水450gを加え、撹拌、窒素吹込みをしながら溶解した。85%リン酸を滴下しながらpH1.0になるように添加し、室温で3時間反応した。
反応後、クロロホルムを250g加え、室温で2回抽出を行った。硫酸マグネシウムを添加し脱水を行い、硫酸マグネシウムを濾別後、減圧にて溶剤を留去した。そこに酢酸エチル150gを加え、n−へキサン100gを加えて結晶化した。濾取した結晶をn−へキサン100gで洗浄した。結晶を濾取して真空下で乾燥して下記化合物(p10)20gを得た。
1H−NMR(CDCl
3 , 内部標準TMS)δ(ppm):3.40-3.80(約3840H, m, -
CH2(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-, -
CH(O
CH2CH2)
mO
CH2CH
2-O-CO-)、4.02-4.09(4H, m, -
CH-O-)、4.15-4.25(6H, m, -NH-CH
2-
CH-O-, -OCH
2CH2-O-CO-NH-)、4.32-4.50(2H, m, -
CH2-O-CO-O-Ph-NO
2)、7.39(2H, d, -
Ph-NO
2)、8.28(2H, d, -
Ph-NO
2)
【0292】
【化44】