(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の扉開閉装置を、航空機の化粧室ユニットの出入口を開閉する二つ折り扉に適用した場合について説明する。
図1に示すように、化粧室ユニット10の出入口12を開閉する扉14は、第1の扉体16と第2の扉体18とで構成された二つ折り扉であり、この実施の形態では、開口部は出入口12である。
第1の扉体16の幅方向の一端は、第1の扉体16の上端に設けられたガイド軸1602が、取り付け枠20の上縁部に設けられたガイドレールに沿ってスライドすることで、出入口12の幅方向に移動するように構成されている。
第1の扉体16の幅方向の他端の上下部は、扉開閉装置22を介して第2の扉体18の幅方向の一端に折曲可能に結合されている。
また、第1の扉体16には把手1610が設けられている。
第2の扉体18の幅方向の他端は、取り付け枠20の上縁部と下縁部に回転軸1802を介して回転可能に結合されている。
第1の扉体16と第2の扉体18は、化粧室の外側に凸の曲面状を呈しており、第1の扉体16と第2の扉体18とが展開した状態で出入口12を閉塞し、第1の扉体16と第2の扉体18とが折曲した状態で出入口12を開放するように構成されている。
【0009】
より詳細に説明すると、第1の扉体16の幅方向の他端に第1のヒンジピース24が取着され、第2の扉体18の幅方向の一端に第2のヒンジピース26が取着されている。したがって、第1の扉体16は、第1のヒンジピース24を含んで構成され、第2の扉体18は、第2のヒンジピース26を含んで構成されている。
そして、第1のヒンジピース24の上下端の凸部2402が第2のヒンジピース26の凸部2602の上下にそれぞれ合わされ、扉開閉装置22により折曲可能に結合されている。
第1のヒンジピース24の上端の凸部2402と第2のヒンジピース26の凸部2602の上部とを結合する扉開閉装置22と、第1のヒンジピース24の下端の凸部2402と第2のヒンジピース26の凸部2602の下部とを結合する扉開閉装置22は同一の構成であるため、第1のヒンジピース24の上端の凸部2402と第2のヒンジピース26の凸部2602の上部とを結合する扉開閉装置22を例にとって説明する。
【0010】
図2に示すように、扉開閉装置22は、軸部材30、捩じりばね32、外側筒状部材34、内側筒状部材36、ブッシュ38を含んで構成されている。
【0011】
図3(A)、(B)に示すように、軸部材30は、第1の軸40と第2の軸42と連結部材44とを含んで構成されている。
第1の軸40は、軸部4002と、軸部4002の上端に設けられた扇型の軸部材側ストッパ4004と、軸部4002の下端に設けられた溝4006とを備えている。
軸部4002の上端には、ねじ4602を介して取り付け片46が、第1の軸40に一体回転可能に結合される。この取り付け片46は、第1のヒンジピース24の上端面にねじで取着され、したがって、第1の軸40の上端は、第1のヒンジピース24の上端面、すなわち、第1の扉体16側に回転不能に取り付けられて配設される。
【0012】
第2の軸42は、軸部4202と、軸部4202の下端に設けられた小径部4204と、軸部4202の上端に設けられた溝4206と備えている。なお、この小径部4204は後述するように第2の扉体18側で回転可能に支持される。
【0013】
図4(A)、(B)に示すように、連結部材44は、筒状部材48と係止板50とを含んで構成されている。
筒状部材48は、筒状の本体部4802と、本体部4802の中心孔4804の内周面の互いに対向する箇所に形成された一対の嵌合溝4806と、本体部4802の外周面に形成され軸方向に延在する溝状の係止部4808とを備えている。
係止板50は、一対の嵌合溝4806に装入されている。
第1の軸40の下端は、上方から筒状部材48の中心孔4804に挿入され、溝4006に係止板50の上半部が嵌め込まれることで、第1の軸40と連結部材44とは一体に回転するように結合される。
また、第2の軸42の上端は、下方から筒状部材48の中心孔4804に挿入され、溝4206に係止板50の下半部が嵌め込まれることで、第2の軸42と連結部材44とは一体に回転するように結合される。
したがって、連結部材44を介して第1の軸40と第2の軸42とは同軸上で一体回転するように結合される。
【0014】
図5に示すように、捩じりばね32は、単一の線材から形成され、第1コイル部3202と第2コイル部3204と被係止部3206を備えている。
図6に示すように、第1コイル部3202は第1の軸40に巻装され、第2コイル部3204は第2の軸42に巻装され、被係止部3206は係止部4808に係止される。
第1コイル部3202と第2コイル部3204とは、同一内径、同一外径、同一の巻き数で同軸上に形成され、線材が巻かれる向きが互いに逆向きである。
被係止部3206は、第1コイル部3202と第2コイル部3204との間で直線状に延在し、それらコイル部3202、3204を連結している。
第1コイル部3202の端部に第1コイル部用係止端32Aが突設しており、第2コイル部3204の端部に第2コイル部用係止端32Bが突設している。
【0015】
本実施の形態では、軸部材30と捩じりばね32は、外側筒状部材34および内側筒状部材36を用いて第1の扉体16と第2の扉体18に配設されている。
図7(A)に示すように、外側筒状部材34は、小径部3402と大径部3404とを有し、それらの中心に均一内径の収容孔3406が形成されている。
収容孔3406の内部で小径部3402側の端部に捩じりばね用係止壁3408が突設されている。
また、小径部3402の端部には、収容孔3406に連通する挿入用孔3410が開口され、挿入用孔3410の周囲に筒状部材側ストッパ壁3412が突設されている。
大径部3404には、周方向に間隔をおいて軸方向に延在する係合溝3414が複数形成され、また、ねじ3415の頭部を収容する座ぐり3416が形成され、大径部3404の端部には収容孔3406の開口3420が位置している。
【0016】
図7(B)に示すように、内側筒状部材36は、外側筒状部材34の大径部3404の開口3420から収容孔3406に挿入され、後述するようにねじ3415により外側筒状部材34に回転不能に取着される。
内側筒状部材36の一端には、第2の軸42の小径部4204を回転可能に支持する支持孔3602が形成され、支持孔360の周囲に捩じりばね用係止壁3604が突設されている。
また、内側筒状部材36の他端には溝3606が形成されている。
また、内側筒状部材36には、ねじ3415が螺合するねじ孔3608が形成されている。
【0017】
軸部材30と捩じりばね32の第1の扉体16と第2の扉体18への配設は次のようになされる。
図7、
図8に示すように、外側筒状部材34の一端の挿入用孔3410から収容孔3406に、溝4006から第1の軸40が挿入される。
また、被係止部3206に係止部4808を係止させて捩じりばね32に連結部材44が組み付けられ、第2コイル部3204に、溝4206から第2の軸42が挿通され、第2の軸42の先部が筒状部材48の中心孔4804に挿入され、溝4206が係止板50に係止される。
この状態で、捩じりばね32と第2の軸42が外側筒状部材34の開口3420から収容孔3406に挿入され、これにより第1コイル部3202に第1の軸40が挿入され、第1の軸40の先部が筒状部材48の中心孔4804に挿入され、溝4006が係止板50に係止される。
【0018】
そして、外側筒状部材34の開口3420に内側筒状部材36を挿入し、ねじ3415により外側筒状部材34と内側筒状部材36とを一体回転可能に結合する。
この状態で、第1コイル部3202の端部の第1コイル部用係止端32Aは、外側筒状部材34の内部の捩じりばね用係止壁3408に係止し、第2コイル部3204の端部の第2コイル部用係止端32Bは、外側筒状部材34の内部で内側筒状部材36の捩じりばね用係止壁3604に係止する。
また、軸部材側ストッパ4004は、外側筒状部材34の端部の筒状部材側ストッパ壁3412に当接可能に配置され、第1の扉体16と第2の扉体18の全閉状態で、軸部材側ストッパ4004が筒状部材側ストッパ壁3412の周方向の一端に当接し、また、第1の扉体16と第2の扉体18の全開状態で、軸部材側ストッパ4004が筒状部材側ストッパ壁3412の周方向の他端に当接し、全閉状態および全開状態が規制される。
【0019】
このように、軸部材30、捩じりコイルばね、内側筒状部材36が組み込まれた外側筒状部材34は、小径部3402が、第1のヒンジピース24の取り付け孔に嵌合された
図3に示すブッシュ38の内周面に回転可能に結合される。
また、外側筒状部材34から露出している取り付け片46は、第1のヒンジピース24にねじで取り付けられる。
また、大径部3404は、第2のヒンジピース26の取り付け孔に挿入され、この取り付け孔に設けられた不図示の凸部が係合溝3414に係合することで、大径部3404は第2のヒンジピース26に回転不能に取り付けられる。
このように、小径部3402がブッシュ38の内周面に回転可能に結合され、取り付け片46が第1のヒンジピース24にねじで取り付けられ、大径部3404が第2のヒンジピース26に回転不能に取り付けられる際には、外側筒状部材34に対して軸部材30が予め定められた回数で回転され、第1の扉体16と第2の扉体18とで出入口を閉塞した状態で、第1コイル部3202と第2コイル部3204とがそれぞれ巻き拡げられる方向に復帰しようとする弾性力により、出入口12を閉塞する方向に付勢するように調節される。
【0020】
したがって、外側筒状部材34は上半部がブッシュ38を介して第1の扉体16側で回転可能に支持され、下半部が第2の扉体18側で回転不能に支持されることから、本実施の形態では、外側筒状部材34は、第1の扉体16と第2の扉体18とを折曲可能に結合する支軸を構成している。
また、外側筒状部材34の内部に軸部材30を介して捩じりばね32が支軸と同軸上に配設されることになる。
このように配設された状態で、第1の扉体16と第2の扉体18は、第1コイル部3202と第2コイル部3204とがそれぞれ巻き拡げられる方向に復帰しようとする弾性力により、出入口12を閉塞する方向に付勢されている。
【0021】
なお、第1のヒンジピース24の下端の凸部2402と第2のヒンジピース26の凸部2602の下部とを結合する扉開閉装置22は、前記実施の形態と上下の向きが逆になるだけで同様な構成である。
【0022】
本実施の形態では、軸部材30は第1の扉体16側に回転不能に取り付けられ、捩じりばね32の両端の端部はそれぞれ捩じりばね用係止壁3408、3604を介して第2の扉体18側に係止し、捩じりばね32の中間部は、被係止部3206、係止部4808、軸部材30を介して第1の扉体16側に係止している。すなわち、捩じりばね32の両端は第2の扉体18側に係止し、捩じりばね32の中間部は第1の扉体16側に係止している。
したがって、出入口12を閉塞した状態から第1の扉体16の把手1610を引き、捩じりばね32の弾性力に抗して第1の扉体16および第2の扉体18を開くと、外側筒状部材34を中心として第1の扉体16と第2の扉体18とが折曲され、軸部材30に対して相対的に外側筒状部材34が回転し、第1コイル部3202と第2コイル部3204とが、それぞれ巻き締められる方向に弾性変形し、第1の扉体16および第2の扉体18が開いて出入口12が開放される。
また、把手1610から手を離すと、第1の扉体16と第2の扉体18は、第1コイル部3202と第2コイル部3204とがそれぞれ巻き拡げられる方向に復帰しようとする弾性力により出入口12を閉じる方向に移動し、出入口12は第1の扉体16および第2の扉体18により閉塞される。そして、この閉塞状態は、第1コイル部3202と第2コイル部3204とがそれぞれ巻き拡げられる方向に復帰しようとする弾性力により維持される。
【0023】
本実施の形態によれば、第1の扉体16および第2の扉体18を開く際、すなわち負荷がかかった時に、第1コイル部3202と第2コイル部3204が巻き締められる方向に変形するので、捩じりばね32の耐久性上好ましく、したがって、捩じりばね32の耐久性を高め、扉開閉装置22の耐久性を高める上で有利となる。
また、第1コイル部3202が巻装される第1の軸40と、第2コイル部3204が巻装される第2の軸42と、それらを着脱可能に連結し被係止部3206が係止される連結部材44とからなる軸部材30を設けたので、第1の扉体16および第2の扉体18への捩じりばね32の配設を簡単に行なえ、組み立て作業効率を高める上で有利となる。
【0024】
また、捩じりばね32が巻装された軸部材30の部分を覆い第1の扉体16と第2の扉体18の回転用支軸を構成する外側筒状部材34を設けたので、第1、第2の扉体16、18の回転用支軸と同軸上に捩じりばね32を簡単にかつ確実に配設する上で有利となり、また、外側筒状部材34により捩じりばね32を保護し、捩じりばね32の耐久性をより高める上で有利となる。
なお、第1の扉体16と第2の扉体18とを回転可能に結合する回転用支軸を、軸部材30や捩じりばね32が配設される箇所と別の箇所に配置してもよいが、実施の形態のように、捩じりばね32を保護する外側筒状部材34を回転用支軸として利用すると、部品点数を削減し、扉開閉装置の小型化を図る上で有利となる。
【0025】
なお、本実施の形態では、航空機の化粧室ユニット10の出入口12を開閉する二つ折り扉に適用した場合について説明したが、本発明において開口部は、出入口12を含むことは無論のこと、クロゼットや収納棚の開口部を含む広い概念であり、開口部を開閉する二つ折り扉の扉開閉装置に広く適用される。