特許第5949086号(P5949086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949086
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20160623BHJP
   F21V 13/04 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   F21S8/10 170
   F21V13/04 300
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-96686(P2012-96686)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-225403(P2013-225403A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】井上 寿佳
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】安部 俊也
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−296609(JP,A)
【文献】 特開2011−018517(JP,A)
【文献】 特開2007−123027(JP,A)
【文献】 実開平03−124510(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21V 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源と、リフレクタと、レンズと、を備え、
前記半導体型光源は、下向きもしくは上向きの発光面を有し、
前記リフレクタは、反射面を有し、
前記レンズは、複数の領域に区画されていて、
前記レンズのうち少なくとも、下辺もしくは上辺は、車両の正面視において、車両の内側から外側にかけて、車両の下側から上側にあるいは車両の上側から下側に傾斜していて、
前記領域は、車両の正面視において、偶数の多角形の形状をなし、かつ前記下辺もしくは前記上辺に平行な第1方向と前記第1方向に直交するピッチ線に平行な第2方向とに複数並んで配置され、
前記領域の偶数多角形形状は、上下に対向する2辺を有し、上下に対向する前記2辺の間隔が等間隔であり、
複数の前記領域の左右のピッチ線は、前記レンズの下辺もしくは上辺に対して垂直であり、
前記レンズの下辺もしくは上辺の一部と、複数の前記領域のうちの一部の下辺もしくは上辺とは、合致する、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記発光面が下向きの場合には、前記レンズの下辺の一部と複数の前記領域のうちの一部の下辺とが合致し、もしくは、前記発光面が上向きの場合には、前記レンズの上辺の一部と複数の前記領域のうちの一部の上辺とが合致する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源とリフレクタと複数の領域を有するレンズとを備える車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。
【0003】
特許文献1の従来の車両用前照灯は、LEDと、リフレクタと、第一のレンズカット部と第2のレンズカット部を有するレンズと、を備えるものである。LEDを点灯させると、LEDからの光がリフレクタで反射して、その反射光が第一のレンズカット部から集束された配光パターンとしてまた第二のレンズカット部から拡散された配光パターンとして車両の前方に照射される。
【0004】
ここで、車両用前照灯ではないが、レンズ、反射面、光源、を備える車両用灯具(特許文献2、特許文献3)について説明する。
【0005】
特許文献2の従来の車両用灯具は、第1レンズカットが形成されている第1レンズ部と第2レンズカットが形成されている第2レンズ部とが交互に配置されているレンズ、反射面、光源を備えるものである。光源を点灯させると、光源からの光が反射面で反射して、その反射光が第1レンズから左右方向に拡散された配光パターンとしてまた第2レンズから左右方向に拡散された配光パターンとして照射される。
【0006】
特許文献3の従来の車両用灯具は、レンズカットが形成されているレンズ体とリフレクタと光源とを備えるものである。光源を点灯させると、光源からの光がリフレクタで反射して、その反射光がレンズ体から広角に拡散された配光パターンとして照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4895831号公報
【特許文献2】特開2010−165485号公報
【特許文献3】特開2010−118254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる車両用前照灯および車両用灯具においては、車体デザイン上から、レンズの下辺あるいは上辺あるいは上下両辺が、車両の正面視において、車両の内側から外側にかけて、車両の下側から上側にあるいは車両の上側から下側に傾斜している場合がある。この場合において、レンズカット部の形状がレンズの下辺あるいは上辺あるいは上下両辺で不規則になる場合がある。レンズカット部の形状が不規則になると、レンズカット部から照射される配光パターンの配光制御が影響される場合がある。特に、車両用前照灯において、配光パターンのうちスポット部を形成するレンズカット部の形状が不規則となると、影響が大きくなり、レンズカット部の配光制御設計を補正する必要がある場合がある。
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用前照灯では、レンズカット部の形状が不規則になって配光パターンの配光制御が影響される場合があるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源と、リフレクタと、レンズと、を備え、半導体型光源が下向きもしくは上向きの発光面を有し、リフレクタが反射面を有し、レンズが複数の領域に区画されていて、レンズのうち少なくとも、下辺もしくは上辺が、車両の正面視において、車両の内側から外側にかけて、車両の下側から上側にあるいは車両の上側から下側に傾斜していて、領域が偶数の多角形の形状をなし、領域の偶数多角形形状が、上下に対向する2辺を有し、上下に対向する前記2辺の間隔が等間隔であり、複数の領域の左右のピッチ線が、レンズの下辺もしくは上辺に対して垂直であり、レンズの下辺もしくは上辺の一部と、複数の領域のうちの一部の下辺もしくは上辺とは、合致する、ことを特徴とする。
【0011】
この発明(請求項2にかかる発明)は、発光面が下向きの場合には、レンズの下辺の一部と複数の領域のうちの一部の下辺とが合致し、もしくは、発光面が上向きの場合には、レンズの上辺の一部と複数の領域のうちの一部の上辺とが合致する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明の車両用前照灯は、レンズのうち発光面と対向する辺の一部と複数の領域のうちの一部であって発光面と対向する辺とが合致するので、レンズのうち発光面と対向する辺において、複数の領域のうちの一部の形状が規則正しい形状となる。これにより、領域の形状の不規則による配光パターンの配光制御の影響をなくすことができる。特に、配光パターンのうちスポット部を形成する領域の形状を規則正しい形状にすることにより、配光パターンの配光制御に影響がなく、領域の配光制御設計を補正する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示し、左右両側の車両用前照灯を搭載した車両の平面図である。
図2図2は、左側のランプユニットを示す斜視図である。
図3図3は、左側のランプユニットを示す正面図である。
図4図4は、図3におけるIV−IV線断面図である。
図5図5は、複数の領域の左右のピッチ線がレンズの下辺に対して垂直である場合のレンズを示す正面説明図である。
図6図6は、複数の領域の左右のピッチ線が水平線に対して垂直である場合のレンズを示す正面説明図である。
図7図7は、車両の前方に照射されるロービーム用配光パターン、ハイビーム用配光パターンを示す説明図である。
図8図8は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示し、下辺が曲線であるレンズの一部を示す正面説明図である。
図9図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示し、領域が正八角形の形状をなすレンズの一部を示す正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。この明細書および特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両に搭載した際の前、後、上、下、左、右である。
【0015】
図面において、符号「F」は、車両の前側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両の後側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前側を見た上側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前側を見た下側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前側を見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前側を見た場合の右側を示す。また、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。スクリーンの左側とは、上下の垂直線VU−VDより左側を言う。スクリーンの右側とは、上下の垂直線VU−VDより右側を言う。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。
【0016】
図7は、コンピュータシミュレーションにより作図されたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。
【0017】
(実施形態1の構成の説明)
以下、この実施形態1における車両用前照灯の構成について説明する。図1中、符号1L、1Rは、この実施形態1における車両用前照灯(たとえば、ヘッドランプなど)である。前記車両用前照灯1L、1Rは、左側通行用の車両Cの前部の左右両端部に搭載されている。以下、車両Cの左側Lに搭載される左側の車両用前照灯1Lについて説明する。なお、車両Cの右側Rに搭載される右側の車両用前照灯1Rは、左側の車両用前照灯1Lとほぼ同様の構成をなすので、説明を省略する。
【0018】
(車両用前照灯1Lの説明)
前記車両用前照灯1Lは、図2図4に示すように、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、第1半導体型光源(ロービーム用半導体型光源)2、図示しない第2半導体型光源(ハイビーム用半導体型光源)と、第1リフレクタ(ロービーム用リフレクタ)3、図示しない第2リフレクタ(ハイビーム用リフレクタ)と、レンズ4と、ヒートシンク部材5と、カバー部材6と、を備えるものである。
【0019】
前記第1半導体型光源2、前記第2半導体型光源、前記第1リフレクタ3、前記第2リフレクタ、前記レンズ4、前記ヒートシンク部材5、前記カバー部材6は、ランプユニットを構成する。前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記ランプユニット2、3、4、5、6は、前記灯室内に配置されていて、かつ、上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0020】
(第1半導体型光源2の説明)
前記第1半導体型光源2は、図4に示すように、この例では、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記第1半導体型光源2は、発光チップ(LEDチップ)20と、前記発光チップ20を封止樹脂部材で封止したパッケージ(LEDパッケージ)と、前記パッケージを実装した基板21と、前記基板21に取り付けられていて前記発光チップ20に電源(バッテリー)からの電流を供給するコネクタ22と、から構成されている。前記基板21は、スクリュー(図示せず)により、前記ヒートシンク部材5に固定されている。この結果、前記第1半導体型光源2は、前記ヒートシンク部材5に固定されている。
【0021】
前記発光チップ20は、平面矩形形状(平面長方形状)をなす。すなわち、4個の正方形のチップを図示しないX軸方向(水平方向)に配列してなるものである。なお、2個もしくは3個もしくは5個以上の正方形のチップ、あるいは、1個の長方形のチップ、あるいは、1個の正方形のチップ、を使用しても良い。前記発光チップ20の長方形の下側Dの面(下面)は、発光面をなす。この結果、前記発光面は、下側Dに向いている。前記発光チップ20の前記発光面の中心Oは、前記第1リフレクタ3の基準焦点F1もしくはその近傍に位置し、かつ、前記第1リフレクタ3の基準光軸(基準軸)Z上もしくはその近傍に位置する。
【0022】
図4において、Y、Zは、直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。図示しないX軸は、前記発光チップ20の前記発光面の中心Oを通る左右方向の水平軸である。前記X軸は、車両Cの内側、すなわち、この実施形態1において、右側Rが+方向であり、車両Cの外側、すなわち、この実施形態1において、左側Lが−方向である。また、前記Y軸は、前記発光チップ20の前記発光面の中心Oを通る上下方向の鉛直軸(垂直軸、法線、垂線)である。前記Y軸は、この実施形態1において、上側Uが+方向であり、下側Dが−方向である。さらに、前記Z軸は、前記第1リフレクタ3の基準光軸Zであり、前記発光チップ20の前記発光面の中心Oを通り、かつ、前記X軸および前記Y軸と直交する前後方向の軸である。前記Z軸は、この実施形態1において、前側Fが+方向であり、後側Bが−方向である。図5図6において、X1は、前記X軸に平行な水平軸である。また、Y1は、前記Y軸に平行な鉛直軸である。
【0023】
前記第2半導体型光源は、前記第1半導体型光源2とほぼ同様の構成をなすので、前記第2半導体型光源の構成の詳細な説明を省略する。なお、前記第2半導体型光源の発光チップの発光面は、下側に向いている。また、前記第2半導体型光源の発光光量は、前記第1半導体型光源2の発光光量よりも少ない。さらに、前記第2半導体型光源は、前記第1半導体型光源2よりも車両Cの内側(右側R)に位置する。
【0024】
(第1リフレクタ3の説明)
前記第1リフレクタ3は、図4に示すように、反射部30と、取付部(図示せず)と、から構成されている。前記取付部は、スクリュー(図示せず)により、前記ヒートシンク部材5に固定されている。この結果、前記第1リフレクタ3は、前記ヒートシンク部材5に固定されている。前記反射部30の前側Fの面(内面)には、ひとつの連続面で形成された反射面32が設けられている。
【0025】
前記反射面32は、パラボラ系の自由曲面からなる反射面である。この結果、前記反射面32(前記第1リフレクタ3)は、前記基準焦点F1および前記基準光軸Zを有する。前記反射面32は、前記第1半導体型光源2からの光を、斜めカットオフラインと水平カットオフラインとエルボー点(斜めカットオフラインと水平カットオフラインとの交点もしくはその近傍の点)とを有する第1基本配光パターン(ロービーム用基本配光パターン、図示せず)として反射させる自由曲面の反射面である。
【0026】
前記第2リフレクタは、前記第1リフレクタ3とほぼ同様の構成をなすので、前記第2リフレクタの構成の詳細な説明を省略する。なお、前記第2リフレクタは、前記第2半導体型光源からの光を、図示しない高光度帯を有する第2基本配光パターン(ハイビーム用基本配光パターン、図示せず)として反射させる自由曲面の反射面を有する。また、前記第2リフレクタは、前記第1リフレクタ3よりも車両Cの内側(右側R)に位置する。
【0027】
(レンズ4の説明)
前記レンズ4は、図2図6に示すように、正面視長方形形状をなすレンズ部40と、取付部(図示せず)と、から構成されている。前記取付部は、スクリュー(図示せず)により、前記ヒートシンク部材5に固定されている。この結果、前記レンズ4は、前記ヒートシンク部材5に固定されている。前記レンズ4と前記第1リフレクタ3、前記第2リフレクタとの間の前後方向の距離は、小さい。
【0028】
前記レンズ部40は、複数の領域42(プリズム、プリズムカット、カット、プリズム面、プリズムカット面、カット面)42に区画されているレンズ(薄肉レンズ、プリズムレンズ)である。前記レンズ4の前記レンズ部40は、車両Cの正面視において、車両Cの内側(右側R)から外側(左側L)にかけて車両Cの下側Dから上側Uに傾斜(スラント)している(つり上がっている)。
【0029】
すなわち、前記レンズ4のうち少なくとも、前記第1半導体型光源2および前記第2半導体型光源の前記発光面が下向きの場合には下辺は、車両Cの正面視において、車両Cの内側(右側R)から外側(左側L)にかけて車両Cの下側Dから上側Uに傾斜している。前記レンズ4の上辺は、下辺と平行であり、下辺と同じく、車両Cの正面視において、車両Cの内側(右側R)から外側(左側L)にかけて車両Cの下側Dから上側Uに傾斜している。この結果、前記レンズ4の上下両辺は、水平線(前記水平軸X1)に対して角度θ分傾斜している。前記レンズ4の上下両辺は、直線をなす。
【0030】
前記レンズ4の前記レンズ部40の内面(後側Bの面)には、入射面45が設けられている。前記レンズ4の前記レンズ部40の外面(前側Fの面)には、出射面46が設けられている。前記入射面45は、平面もしくは複合2次曲面をなす。前記出射面46は、複数の前記領域42であって、凸状自由曲面をなす。なお、前記領域42(前記出射面46)は、前記の凸状自由曲面(凸面)以外に、平面(素通し)、凸面あるいは平面の一部に凹面を設けたものであっても良い。
【0031】
前記レンズ4の前記レンズ部40は、第1レンズ部(ロービーム用レンズ部)と、第2レンズ部(ハイビーム用レンズ部)と、から一体に構成されている。前記第2レンズ部は、前記第1レンズ部よりも車両Cの内側(右側R)に位置する。
【0032】
前記第1レンズ部は、前記第1リフレクタ3の前記反射面32に対応して設けられている。前記第1レンズ部は、前記第1リフレクタ3の前記反射面32からの前記第1基本配光パターンを、図7(A)に示す第1配光パターンすなわちロービーム用配光パターンLPとして配光制御して車両Cの前方に照射するレンズ部である。前記ロービーム用配光パターンLPは、斜めカットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2とエルボー点E(斜めカットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2との交点もしくはその近傍の点)とを有する。
【0033】
前記第2レンズ部は、前記第2リフレクタの前記反射面に対応して設けられている。前記第2レンズ部は、前記第2リフレクタの前記反射面からの前記第2基本配光パターンを、図7(B)に示す第2配光パターンP2として配光制御して車両Cの前方に照射するレンズ部である。前記第2配光パターンP2は、高光度帯(ホットゾーン)HZを有する。前記ロービーム用配光パターンLPと前記第2配光パターンP2とを重畳(合成)することにより、図7(C)に示すハイビーム用配光パターンHPが得られる。
【0034】
(レンズ4の領域42の説明)
複数の前記凸状自由曲面すなわち前記領域42(前記出射面46)は、図2図4に示すように、偶数の多角形の形状、この実施形態1において、正六角形の形状をなす。前記領域42の正六角形形状は、上下に対向する2辺を有し、上下に対向する前記2辺の間隔が等間隔すなわち平行である。
【0035】
複数の前記領域42の左右のピッチ線Pは、前記第1半導体型光源2および前記第2半導体型光源の前記発光面が下向きの場合には前記レンズ4の下辺に対して垂直である。前記レンズ4の下辺の一部と、複数の前記領域42のうちの一部(図5中の実線で示されている前記領域42)の下辺とは、合致する。また、前記レンズ4のうち上辺の一部と、複数の前記領域42のうちの一部(図5中の実線で示されている前記領域42)の上辺とは、合致する。
【0036】
(ヒートシンク部材5の説明)
前記ヒートシンク部材5は、図2図4に示すように、水平板部50と、フィン部51と、取付部と、シェード部53と、から構成されている。前記水平板部50の一面(下側Dの面)には、前記第1半導体型光源2および前記第2半導体型光源および前記第1リフレクタ3および前記第2リフレクタが前記スクリューにより取り付けられている。
【0037】
前記水平板部50の他面(上側Uの面)には、複数枚の垂直板形状の前記フィン部51が一体に設けられている。前記フィン部51は、前記第1半導体型光源2の前記発光チップ20、前記第2半導体型光源の前記発光チップで発生する熱を外部に放出するものである。
【0038】
前記水平板部50の一面の前側Fの縁の左右両端部には、前記取付部が一体に設けられている。前記取付部には、前記レンズ4が前記スクリューにより取り付けられている。
【0039】
前記水平板部50の一面の前側Fの縁の中央部には、前記シェード部53が一体に設けられている。前記シェード部53は、前記第1半導体型光源2の前記発光面からの光が前記レンズ4の前記レンズ部40に直接入射するのを防ぐものである。
【0040】
(カバー部材6の説明)
前記カバー部材6は、図2図4に示すように、前側Fの部分が閉塞し、かつ、後側Bの部分が開口した中空状のカバー形状をなす。前記カバー部材6は、光不透過性部材から構成されている。
【0041】
前記カバー部材6の前側Fの部分には、長方形形状をなす挿入開口部60が設けられている。前記挿入開口部60には、前記レンズ4の前記レンズ部40が挿入されている。前記カバー部材6の前側Fの部分の前記挿入開口部60の内側の左右両側の縁には、取付部が一体に設けられている。前記取付部は、前記レンズ4の前記取付部に取り付けられている。この結果、前記カバー部材6は、前記レンズ4を介して前記ヒートシンク部材5に固定されている。前記カバー部材6の後側Bの開口部の上下の縁の中央部には、通気開口部62が設けられている。
【0042】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1L、1Rは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0043】
第1半導体型光源2の発光チップ20を点灯する。すると、発光チップ20の発光面から放射される光の大部分は、第1リフレクタ3の反射面32でレンズ4側に反射される。
【0044】
反射面32で反射された反射光は、斜めカットオフラインと水平カットオフラインとエルボー点とを有する第1基本配光パターン(図示せず)に配光制御されて、レンズ4の第1レンズ部を、入射面45から出射面46へと、透過する。第1レンズ部から出射する出射光は、図7(A)に示すように、斜めカットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2とエルボー点Eとを有するロービーム用配光パターンLPに配光制御されて車両Cの前方に照射される。
【0045】
また、第2半導体型光源の発光チップを点灯する。すると、発光チップの発光面から放射される光の大部分は、第2リフレクタの反射面でレンズ4側に反射される。
【0046】
反射面で反射された反射光は、高光度帯を有する第2基本配光パターン(図示せず)に配光制御されて、レンズ4の第2レンズ部を、入射面45から出射面46へと、透過する。第2レンズ部から出射する出射光は、図7(B)に示すように、高光度帯(ホットゾーン)HZを有する第2配光パターンP2に配光制御されて車両Cの前方に照射される。
【0047】
図7(A)に示すロービーム用配光パターンLPと、図7(B)に示す第2配光パターンP2とを重畳(合成)することにより、図7(C)に示すハイビーム用配光パターンHPが得られる。
【0048】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1L、1Rは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0049】
この実施形態1における車両用前照灯1L、1Rは、図5に示すように、レンズ4の下辺の一部と、複数の領域42のうちの一部の下辺とが合致するので、レンズ4の下辺において、複数の領域42の形状が規則正しい形状となる。すなわち、レンズ4の下辺と図5中の実線で示されている領域42の下辺とは、合致するので、レンズ4の下辺において、図5中の実線で示されている領域42の形状が規則正しい形状となる。また、レンズ4の下辺と図5中の破線で示されている領域42の左右の頂角を結ぶ線分とは、合致する。すなわち、レンズ4の下辺が図5中の破線で示されている領域42を2等分するので、レンズ4の下辺において、図5中の破線で示されている領域42の形状が2等分の規則正しい形状となる。
【0050】
ここで、下辺が複数の領域420の下辺と合致しないレンズ400について図6を参照して説明する。前記レンズ400においては、複数の前記領域420の左右のピッチ線P1が水平線(X軸)に対して垂直である。このために、前記レンズ400においては、前記レンズ400の下辺と複数の前記領域420の下辺とが合致しない。これにより、前記レンズ400の下辺において、前記領域420の形状が不規則になる。
【0051】
これに対して、この実施形態1における車両用前照灯1L、1Rは、図5に示すように、複数の領域42の左右のピッチ線Pをレンズ4の下辺に対して垂直とするものである。このために、レンズ4の下辺と領域42の下辺とが合致するものである。これにより、レンズ4の下辺において、領域42の形状が規則正しくなるものである。
【0052】
これにより、領域42の形状の不規則による配光パターンの配光制御の影響をなくすことができる。特に、配光パターンのうちスポット部、たとえば、ロービーム用配光パターンLPのうちのエルボー点E付近の部分を形成する領域42の形状を規則正しい形状にすることにより、配光パターンの配光制御に影響がなく、たとえば、迷光の発生がなく、領域42の配光制御設計を補正する必要がない。
【0053】
この実施形態1における車両用前照灯1L、1Rは、図5に示すように、レンズ4の上辺と複数の領域42のうちの一部の上辺が合致するので、複数の領域42のうちの一部の形状が規則正しい形状となる。すなわち、レンズ4の上辺と図5中の実線で示されている領域42の上辺とは、合致するので、レンズ4の上辺において、図5中の実線で示されている領域42の形状が規則正しい形状となる。また、レンズ4の上辺と図5中の破線で示されている領域42の左右の頂角を結ぶ線分とは、合致する。すなわち、レンズ4の上辺が図5中の破線で示されている領域42を2等分するので、レンズ4の上辺において、図5中の破線で示されている領域42の形状が2等分の規則正しい形状となる。これにより、見栄えが向上される。
【0054】
(実施形態2の説明)
図8は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す。以下、この実施形態2における車両用前照灯について説明する。図中、図1図7と同符号は、同一のものを示す。
【0055】
前記の実施形態1における車両用前照灯1L、1Rは、レンズ4の下辺が直線をなすものである。これに対して、この実施形態2の車両用前照灯は、レンズ401の下辺が曲線をなすものである。すなわち、複数の領域421の左右のピッチ線P11をレンズ401の曲線下辺に対して垂直とする。領域421の下辺をレンズ401の曲線下辺に合わせて曲線としてレンズ401の曲線下辺に合致させるものである。領域421の上辺を領域421の下辺と等間隔となるように曲線とするものである。
【0056】
この実施形態2における車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1における車両用前照灯1L、1Rとほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0057】
(実施形態3の説明)
図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示す。以下、この実施形態3における車両用前照灯について説明する。図中、図1図8と同符号は、同一のものを示す。
【0058】
前記の実施形態1、2における車両用前照灯1L、1Rは、レンズ4、401の領域42、421が正六角形状をなすものである。これに対して、この実施形態3の車両用前照灯は、レンズ402の領域422が正八角形をなすものである。なお、この実施形態3の車両用前照灯においては、正八角形の領域422と、正八角形の領域422の1辺を1辺とするひし形の領域423からなる。
【0059】
この実施形態3における車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1、2における車両用前照灯1L、1Rとほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0060】
(実施形態1、2、3以外の例の説明)
この実施形態1、2、3においては、車両Cが左側通行の場合の車両用前照灯1L、1Rについて説明するものである。ところが、この発明においては、車両Cが右側通行の場合の車両用前照灯にも適用することができる。
【0061】
また、この実施形態1、2、3においては、第1半導体型光源2の発光チップ20の発光面および第2半導体型光源の発光チップの発光面が下側Dに向いているものである。ところが、この発明においては、第1半導体型光源2の発光チップ20の発光面および第2半導体型光源の発光チップの発光面が上側Uに向いているものであっても良い。ここで、第1半導体型光源2の発光チップ20の発光面および第2半導体型光源の発光チップの発光面が上向きの場合においては、レンズのうち少なくとも上辺が、車両の正面視において、車両の内側から外側にかけて、車両の下側から上側にあるいは車両の上側から下側に傾斜している。複数の領域の左右のピッチ線は、レンズの上辺に対して垂直である。レンズの上辺の一部と、複数の領域のうちの一部の上辺とは、合致する。なお、レンズの下辺の一部と複数の領域のうちの一部の下辺とが合致していても良い。
【0062】
さらに、この実施形態1、2、3においては、レンズ4の出射面46が複数の領域42、421、422、423をなすものである。ところが、この発明においては、レンズ4の入射面45が複数の領域42、421、422、423をなすものであっても良いし、レンズ4の出射面46および入射面45が複数の領域42、421、422、423をなすものであっても良い。
【0063】
さらにまた、この実施形態1、2、3においては、レンズ4の入射面45が平面もしくは複合2次曲面をなし、レンズ4の出射面46が複数の領域42、421、422、423であって、凸状自由曲面をなすものである。ところが、この発明においては、レンズ4の入射面45が複数の領域42、421、422、423であって、凸状自由曲面をなし、レンズ4の出射面46が平面もしくは複合2次曲面をなすものであっても良い。
【0064】
さらにまた、この実施形態1、2、3においては、第1半導体型光源2および第1リフレクタ3およびレンズ4の第1レンズ部により、図7(A)に示すロービーム用配光パターンLPを照射し、第2半導体型光源および第2リフレクタおよびレンズ4の第2レンズ部により、図7(B)に示す高光度帯(ホットゾーン)HZを有する第2配光パターンP2を照射して、図7(A)に示すロービーム用配光パターンLPと図7(B)に示す第2配光パターンP2とを重畳(合成)して図7(C)に示すハイビーム用配光パターンHPを称するものである。ところが、この発明においては、ロービーム用配光パターンLPのみを照射するもの、あるいは、フォグランプ用配光パターンを照射するもの、あるいは、カットオフラインを有する配光パターンを照射するものであってもよい。
【0065】
さらにまた、この実施形態1、2、3においては、レンズ4、401、402の下辺(またはおよび上辺)と、複数の領域42、421、422の下辺(またはおよび上辺)とを合致するものである。ところが、この発明においては、配光パターンのうちスポット部、たとえば、ロービーム用配光パターンLPのうちのエルボー点E付近の部分を形成する領域42、421、422のみの下辺(またはおよび上辺)とレンズ4、401、402の下辺(またはおよび上辺)とを合致させるだけであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1L 左側の車両用前照灯
1R 右側の車両用前照灯
2 第1半導体型光源
20 発光チップ
21 基板
22 コネクタ
3 第1リフレクタ
30 反射部
32 反射面
4、400、401、402 レンズ
40 レンズ部
42、420 領域
45 入射面
46 出射面
5 ヒートシンク部材
50 水平板部
51 フィン部
53 シェード部
6 カバー部材
60 挿入開口部
62 通気開口部
C 車両
F 前側
B 後側
U 上側
D 下側
L 左側(車両外側)
R 右側(車両内側)
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
LP ロービーム用配光パターン
CL1 斜めカットオフライン
CL2 水平カットオフライン
E エルボー点
P2 第2配光パターン
HZ 高光度帯(ホットゾーン)
HP ハイビーム用配光パターン
F1 リフレクタの基準焦点
O 発光面の中心
P、P1、P11 ピッチ線
Y Y軸
Z リフレクタの基準光軸(Z軸)
X1 X軸に平行な水平軸
Y1 Y軸に平行な鉛直軸
θ レンズの上下両辺の傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9