(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949220
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】伝送線路
(51)【国際特許分類】
H01P 3/08 20060101AFI20160623BHJP
H01P 3/06 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
H01P3/08 200
H01P3/06
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-146459(P2012-146459)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-11605(P2014-11605A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 登
(72)【発明者】
【氏名】石野 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 純
【審査官】
米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−313300(JP,A)
【文献】
特開平10−098315(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/023626(WO,A1)
【文献】
特開2011−176381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 3/08
H01P 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のグランド導体パターンと、
第1のグランド導体パターンと対向するように形成される第2のグランド導体パターンと、
前記第1のグランド導体パターンと前記第2のグランド導体パターンとの間に形成される信号線路導体と、
前記第1のグランド導体パターンと前記第2のグランド導体パターンとの間を埋めるように形成され、可撓性を有する基材部と、
前記基材部の側面を被覆し、可撓性と耐湿性とを有する吸湿防止層とを備え、
前記第1のグランド導体パターンと前記第2のグランド導体パターンとは、前記基材部における前記信号線路導体の延伸方向に平行な側面を避けて配置されており、
前記吸湿防止層は、前記第1のグランド導体パターンの端面から所定の範囲と前記第2のグランド導体パターンの端面から所定の範囲とを被覆し、かつ、前記第1のグランド導体パターンおよび前記第2のグランド導体パターンの少なくとも一部を被覆しないように形成されていることを特徴とする伝送線路。
【請求項2】
前記吸湿防止層は、前記基材部側に貼り付け層を有する金属箔であることを特徴とする請求項1に記載の伝送線路。
【請求項3】
前記吸湿防止層は、前記基材部側に貼り付け層を有する樹脂フィルムであり、
前記樹脂フィルムは、蒸着または塗布された金属もしくは無機酸化物を有することを特徴とする請求項1に記載の伝送線路。
【請求項4】
前記吸湿防止層は、前記基材部の側面に蒸着または塗布された金属もしくは無機酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の伝送線路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号を伝送するための伝送線路に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送線路は、回路や回路素子の間で信号を伝送するための配線であり、携帯電話等の電子機器に使用されている。同軸ケーブルは、代表的な伝送線路であり、信号を効率よく伝送する。しかし、同軸ケーブルは、十分な薄さを有さないため、薄型の電子機器での使用に適さない。
【0003】
積層構造を有する伝送線路は、同軸ケーブルに比べて薄い。また、当該伝送線路は、優れた可撓性を有し、狭いスペースに配置することができる。したがって、当該伝送線路は、薄型の電子機器での使用に適する。
【0004】
積層構造を有する従来の伝送線路として、例えば、
図8に示すものがある(特許文献1参照)。
図8(A)は、伝送線路1Pの外観斜視図である。
図8(B)は、伝送線路1PのA−A’断面図である。以下では、それぞれの図の上側を向いている面を上面、下側を向いている面を下面と称して説明する。
【0005】
伝送線路1Pは、グランド導体パターン11,12、信号線路導体21、基材層31,32、レジスト層41,42およびコネクタ43,44を備える。
【0006】
グランド導体パターン11,12は、基材層31,32を間に挟んで、積層されている。グランド導体パターン11,12は、略矩形平板状の導体である。基材層32は、基材層31の上面に形成されている。基材層31,32は、略矩形平板状の誘電体である。基材層31,32は、樹脂材料等から作られ、可撓性を有する。
【0007】
信号線路導体21は、基材層31と基材層32との間に形成されている。信号線路導体21の周囲は、基材層31,32により満たされている。信号線路導体21は、略矩形平板状の導体である。
【0008】
レジスト層41は、グランド導体パターン11の下面に形成されている。レジスト層42は、グランド導体パターン12の上面に形成されている。レジスト層41,41は、略矩形平板状の外形形状を有する。
【0009】
コネクタ43,44は、レジスト層42の上面に形成されている。コネクタ43は伝送線路1Pの一方端に、コネクタ44は伝送線路1Pの他方端に、それぞれ形成されている。コネクタ43は信号線路導体21の一方端に、コネクタ44は信号線路導体21の他方端に、それぞれ接続されている。
【0010】
グランド導体パターン11,12の電位をグランドとし、信号線路導体21の一方端に所定の電圧を印加する。これにより、伝送線路1Pの一方端から伝送線路1Pの他方端に信号を伝送することができる。
【0011】
伝送線路1Pは,可撓性を有する構成要素が積層されることにより形成されている。したがって、伝送線路1Pは、可撓性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−178265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図8に示すように、基材層31,32は、伝送線路1Pの側面に露出している。また、基材層31,32に用いられる樹脂材料等は、一般的に吸湿性を有する。このため、大気中の水分が伝送線路1Pの側面から基材層31,32に浸入し、基材層31,32の比誘電率は変化する。基材層31,32の比誘電率の変化により、伝送線路1Pの特性インピーダンスは変化する。
【0014】
本発明の目的は、可撓性と特性インピーダンスの安定性とを有する伝送線路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る伝送線路は、以下のように構成される。本発明に係る伝送線路は、第1および第2のグランド導体パターンと信号線路導体と基材部と吸湿防止層とを備える。第2のグランド導体パターンは、第1のグランド導体パターンと対向するように形成される。信号線路導体は、第1のグランド導体パターンと第2のグランド導体パターンとの間に形成される。基材部は、第1のグランド導体パターンと第2のグランド導体パターンとの間を埋めるように形成され、可撓性を有する。吸湿防止層は、基材部の側面を被覆し、可撓性と耐湿性とを有する。
第1のグランド導体パターンと第2のグランド導体パターンとは、基材部における信号線路導体の延伸方向に平行な側面を避けて配置されている。吸湿防止層は、第1のグランド導体パターンの端面から所定の範囲と第2のグランド導体パターンの端面から所定の範囲とを被覆
し、かつ、第1のグランド導体パターンおよび第2のグランド導体パターンの少なくとも一部を被覆しないように形成されている。
【0016】
この構成では、大気中の水分は、伝送線路の内部にほとんど浸入しない。このため、基材部の比誘電率の変化は、小さくなる。したがって、伝送線路の特性インピーダンスを安定させることができる。また、積層構造により優れた可撓性を得ることができる。
【0017】
本発明に係る伝送線路では、吸湿防止層は、基材部側に貼り付け層を有する金属箔であってもよい。この構成では、第1および第2のグランド導体パターンは、金属箔を介した容量結合または接触により接続されている。これにより、ビア導体により第1および第2のグランド導体パターンを接続する必要がなくなる。
【0018】
本発明に係る伝送線路では、吸湿防止層は、基材部側に貼り付け層を有する樹脂フィルムであってもよい。樹脂フィルムは、蒸着または塗布された金属もしくは無機酸化物を有する。この構成では、外部からの機械的接触により吸湿防止層が損傷することを防止することができる。
【0019】
本発明に係る伝送線路では、以下のように構成されてもよい。吸湿防止層は、第1のグランド導体パターンの主面のうち、第1のグランド導体パターンの長手方向の中心線に沿った範囲を被覆しない。吸湿防止層は、第2のグランド導体パターンの主面のうち、第2のグランド導体パターンの長手方向の中心線に沿った範囲を被覆しない。この構成では、吸湿防止層が第1および第2のグランド導体パターンの中央部分を被覆している場合に比べて、高い可撓性を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、大気中の水分が伝送線路の内部に浸入することを抑制することができる。これにより、伝送線路の特性インピーダンスを安定させることができる。また、可撓性に優れた伝送線路を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1(A)は、第1の実施形態に係る伝送線路の外観斜視図である。
図1(B)は、第1の実施形態に係る伝送線路のA−A’断面図である。
図1(C)は、第1の実施形態に係る伝送線路の層構成分解図である。
【
図2】
図2(A)は、第2の実施形態に係る伝送線路の外観斜視図である。
図2(B)は、第2の実施形態に係る伝送線路のA−A’断面図である。
【
図3】第3の実施形態に係る伝送線路のA−A’断面図である。
【
図4】
図4(A)は、第4の実施形態に係る伝送線路の外観斜視図である。
図4(B)は、第4の実施形態に係る伝送線路のA−A’断面図である。
【
図5】
図5(A)は、第5の実施形態に係る伝送線路の外観斜視図である。
図5(B)は、第5の実施形態に係る伝送線路のA−A’断面図である。
【
図6】第5の実施形態に係る伝送線路のA−A’断面図である。
【
図7】
図7(A)は、第6の実施形態に係る伝送線路のA−A’断面図である。
図7(B)は、第6の実施形態に係る伝送線路の層構成分解図である。
【
図8】
図8(A)は、従来の伝送線路の外観斜視図である。
図8(B)は、従来の伝送線路のA−A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る伝送線路1について説明する。
図1(A)は、伝送線路1の外観斜視図である。
図1(B)は、伝送線路1のA−A’断面図である。
図1(C)は、伝送線路1の層構成分解図である。以下では、それぞれの図の上側を向いている面を上面、下側を向いている面を下面、上面に略垂直な面を側面と称して説明する。
【0023】
伝送線路1は、略直方体状の外形形状を有し、平面視して略矩形状である。伝送線路1は、上面に垂直な方向に薄い構造を有する。なお、伝送線路1の外形形状は、平面視したときに必ずしも矩形である必要はなく、適宜、凹凸を有していたり、屈曲していたり、湾曲していたりといった形状としてもよい。
【0024】
伝送線路1は、グランド導体パターン11,12、信号線路導体21、基材層31,32、レジスト層41,42、コネクタ43,44、ビア導体47,48および吸湿防止層51を備える。基材層31,32は、第1の実施形態に係る基材部である。
【0025】
グランド導体パターン11,12は、基材層31,32を間に挟んで、積層されている。グランド導体パターン11,12は、略矩形平板状の導体である。グランド導体パターン11,12は、図示されていないビア導体により接続されている。
【0026】
基材層32は、基材層31の上面に形成されている。基材層31,32は、略矩形平板状の誘電体である。基材層31,32の主面の面積は、グランド導体パターン11,12の主面の面積に比べて大きい。基材層31,32は、ポリイミド等の樹脂材料から作られ、可撓性を有する。
【0027】
信号線路導体21は、基材層31と基材層32との間に形成されている。信号線路導体21の周囲は、基材層31,32により満たされている。信号線路導体21は、略矩形平板状の導体である。グランド導体パターン11,12と基材層31,32と信号線路導体21とは、トリプレート線路(対称ストリップ線路)を構成する。
【0028】
レジスト層41は、グランド導体パターン11の下面を被覆するように形成されている。レジスト層42は、グランド導体パターン12の上面を被覆するように形成されている。レジスト層41,42は、略矩形平板状の外形形状を有する。レジスト層41,42は、例えば、異方性液晶ポリマー等から作られ、可撓性を有する。なお、レジスト層41,42は、グランド導体パターン11,12の酸化を防止する。
【0029】
吸湿防止層51は、基材層31,32の側面を被覆している。吸湿防止層51は、レジスト層41を介して、グランド導体パターン11の下面を被覆している。吸湿防止層51は、グランド導体パターン11の下面のうち、当該下面の長手方向の辺の周囲を被覆している。吸湿防止層51は、レジスト層42を介して、グランド導体パターン12の上面を被覆している。吸湿防止層51は、グランド導体パターン12の上面のうち、当該上面の長手方向の辺の周囲を被覆している。吸湿防止層51は、各側面において一体的に形成されている。
【0030】
つまり、吸湿防止層51は、グランド導体パターン11の下面のうち、グランド導体パターン11の長手方向の中心線に沿った範囲を被覆していない。吸湿防止層51は、グランド導体パターン12の上面のうち、グランド導体パターン12の長手方向の中心線に沿った範囲を被覆していない。
【0031】
吸湿防止層51は、例えば、レジスト層41の下面とレジスト層42の上面と基材層31,32の側面とに金属箔を貼りつけることにより形成されている。吸湿防止層51は、可撓性と耐湿性とを有する。
【0032】
コネクタ43,44は、レジスト層42の上面に形成されている。コネクタ43は伝送線路1の一方端に、コネクタ44は伝送線路1の他方端に、それぞれ形成されている。コネクタ43は、コネクタ用端子45とビア導体47とを介して、信号線路導体21の一方端に接続されている。コネクタ44は、コネクタ用端子46とビア導体48とを介して、信号線路導体21の他方端に接続されている。例えば、高周波デバイスや回路基板等に伝送線路1を接続するために、コネクタ43,44は用いられる。
【0033】
グランド導体パターン11,12の電位をグランドとし、信号線路導体21の一方端に所定の電圧を印加する。これにより、伝送線路1の一方端から伝送線路1の他方端に信号を伝送することができる。
【0034】
伝送線路1は、例えば、移動体通信端末等の高周波機器に内蔵される。そして、アンテナ素子等の高周波素子とRF回路等の高周波デバイスとの間を接続するために、伝送線路1は用いられる。
【0035】
伝送線路1は、例えば、以下のように製造される。熱可塑性樹脂シートに配設された導体をパターニングすることにより、複数の同一導体パターンを熱可塑性樹脂シート上に形成する。導体パターンを形成した熱可塑性樹脂シートを重ね、加熱しつつ、上下から加圧する。加圧された熱可塑性樹脂シートを同一構造毎に切断する。このように、伝送線路1は積層構造部をマザー基板で作製し、切断することによって得ることができるため、量産性を高めることができる。なお、切断によるバリの発生や切断用のブレードの摩耗を避けるため、上記のように、グランド導体パターン11,12の主面の面積を基材層31,32の主面の面積に比べて小さくしている。
【0036】
第1の実施形態によると、基材層31,32の側面は、耐湿性を有する吸湿防止層51により被覆されている。このため、大気中の水分は、基材層31,32の側面から内部にほとんど浸入しない。基材層31,32の上面と下面とは、グランド導体パターン11,12と吸湿防止層51とにより被覆されている。このため、大気中の水分は、基材層31,32の上面と下面とから内部にほとんど浸入しない。これにより、基材層31,32の比誘電率の変化は、小さくなる。したがって、伝送線路1の特性インピーダンスを安定させることができる。なお、レジスト層41,42は、吸湿性を有する。しかし、吸湿防止層51により、グランド導体パターン11,12の長手方向の側面端縁の周囲を被覆したため、大気中の水分は、レジスト層41,42を通って基材層31,32の内部にほとんど到達しない。
【0037】
また、伝送線路1は、可撓性を有する構成要素が積層されることにより形成されている。したがって、優れた可撓性を得ることができる。なお、吸湿防止層51は、グランド導体パターン11,12の主面のうち、グランド導体パターン11,12の長手方向の中心線に沿った範囲を被覆していない。これにより、吸湿防止層51がグランド導体パターン11,12の中央部分に形成されている場合に比べて、高い可撓性を得ることができる。
【0038】
また、吸湿防止層51が金属箔であるため、伝送線路1の側面からの信号漏洩は、吸湿防止層51により抑えられる。したがって、伝送線路1の側面に金属が接触したとしても、伝送線路1の伝送特性は、ほとんど影響を受けない。また、グランド導体パターン11,12は、金属箔を介した容量結合により接続されている。これにより、ビア導体によりグランド導体パターン11,12を接続する必要がなくなる。
【0039】
なお、吸湿防止層51の厚みは、好ましくは、10μm以下である。これにより、伝送線路1の可撓性を維持することができる。また、伝送線路1の一部分でさらに高い可撓性を必要とする場合、吸湿防止層51を当該部分で設けなくともよい。この場合でも、伝送線路1の特性インピーダンスを安定させることができる。また、吸湿防止層51は、可撓性の高い材料と吸湿性の低い材料との積層構造を有してもよい。
【0040】
本発明の第2の実施形態に係る伝送線路1Aについて説明する。
図2(A)は、伝送線路1Aの外観斜視図である。
図2(B)は、伝送線路1AのA−A’断面図である。伝送線路1Aは、第1の実施形態に係る伝送線路1の構成に加えて、保護層61を備える。その他の構成は、第1の実施形態に係る伝送線路1と同様である。以下では、第1の実施形態に係る伝送線路1と異なる点について説明する。
【0041】
伝送線路1Aの表面は、保護層61により形成されている。保護層61は、樹脂材料等から作られる。なお、保護層61に使用される材料は、好ましくは、吸湿性に比べて可撓性を重視して選択される。
【0042】
第2の実施形態によると、伝送線路1と同様に、優れた耐湿性と可撓性とを得ることができる。また、外部からの機械的接触により吸湿防止層51が損傷することを防止することができる。
【0043】
本発明の第3の実施形態に係る伝送線路1Bについて説明する。伝送線路1Bの外観は、
図2(A)と同様である。
図3は、伝送線路1BのA−A’断面図である。伝送線路1Bは、第2の実施形態に係るレジスト層41,42を備えない。その他の構成は、第2の実施形態に係る伝送線路1Aと同様である。以下では、第2の実施形態に係る伝送線路1Aと異なる点について説明する。
【0044】
吸湿防止層51は、グランド導体パターン11の下面のうち、当該下面の長手方向の辺の周囲に当接している。吸湿防止層51は、グランド導体パターン12の上面のうち、当該上面の長手方向の辺の周囲に当接している。
【0045】
第3の実施形態によると、グランド導体バターン11,12と吸湿防止層51とが当接するため、大気中の水分が基材層31,32に浸入することをさらに抑えることができる。また、伝送線路1Aと同様に、優れた可撓性とを得ることができる。また、伝送線路1Aと同様に、吸湿防止層51が損傷することを防止することができる。また、グランド導体パターン11,12は、金属箔を介した接触により接続されている。これにより、ビア導体によりグランド導体パターン11,12を接続する必要がなくなる。
【0046】
本発明の第4の実施形態に係る伝送線路1Cについて説明する。
図4(A)は、伝送線路1Cの外観斜視図である。
図4(B)は、伝送線路1CのA−A’断面図である。伝送線路1Cは、第1の実施形態に係る吸湿防止層51に代えて、吸湿防止層51Cを備える。その他の構成は、第1の実施形態に係る伝送線路1と同様である。以下では、第1の実施形態に係る伝送線路1と異なる点について説明する。
【0047】
吸湿防止層51Cは、吸湿防止膜511と樹脂フィルム522とを備える。吸湿防止膜511は、樹脂フィルム522に蒸着または塗布されている。吸湿防止膜は、例えば、金属薄膜である。吸湿防止層51Cは、伝送線路1Cの表面が樹脂フィルム522により形成されるように、基材層31,32の側面等に貼り付けられる。
【0048】
第4の実施形態によると、伝送線路1と同様に、優れた耐湿性と可撓性とを得ることができる。また、伝送線路1Aと同様に、吸湿防止膜511が損傷することを防止することができる。なお、吸湿防止膜511は、基材層31,32に比べて吸湿率の低い材料でもよい。吸湿防止膜511は、例えば、無機酸化物等でもよい。
【0049】
本発明の第5の実施形態に係る伝送線路1Dについて説明する。
図5(A)は、伝送線路1Dの外観斜視図である。
図5(B)は、伝送線路1DのA−A’断面図である。伝送線路1Dは、第1の実施形態に係る吸湿防止層51に代えて、吸湿防止層51Dを備える。その他の構成は、第1の実施形態に係る伝送線路1と同様である。以下では、第1の実施形態に係る伝送線路1と異なる点について説明する。
【0050】
吸湿防止層51Dは、無機酸化物等の吸湿率の低い材料を基材層31,32の側面に蒸着または塗布することにより、形成されている。なお、吸湿防止層51Dは、金属等の吸湿率の低い導電性材料でもよい。また、吸湿防止層51Dは、印刷またはめっき等により形成されてもよい。第5の実施形態によると、伝送線路1と同様に、優れた耐湿性と可撓性とを得ることができる。
【0051】
なお、所望の可撓性が得られる場合、
図6に示すように、吸湿防止層51Dに代えて吸湿防止層51Eを用いてもよい。伝送線路1Eの表面は、吸湿防止層51Eにより形成されている。この場合でも、伝送線路1と同様に、優れた耐湿性を得ることができる。また、伝送線路1D,1Eは、伝送線路1A,1Bのように、保護層を備えてもよい。
【0052】
本発明の第6の実施形態に係る伝送線路1Fについて説明する。伝送線路1Fの外観は、伝送線路1と同様である。
図7(A)は、伝送線路1FのA−A’断面図である。
図7(B)は、伝送線路1Fの層構成分解図である。伝送線路1Fは、第1の実施形態に係るグランド導体パターン11に代えて、はしご型の形状を有するグランド導体パターン11Fを備える。その他の構成は、第1の実施形態に係る伝送線路1と同様である。
【0053】
第7の実施形態によると、伝送線路1と同様に、優れた耐湿性と可撓性とを得ることができる。なお、伝送線路1Fは、伝送線路1A,1Bのように、保護層を備えてもよい。また、伝送線路1Fは、伝送線路1Cのように、樹脂フィルムを吸湿防止層として備えてもよい。また、伝送線路1Fは、伝送線路1D,1Eのように、塗布等された無機酸化物等を吸湿防止層として備えてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1P 伝送線路
11,12,11F グランド導体パターン
21 信号線路導体
31,32 基材層
41,42 レジスト層
43,44 コネクタ
45,46 コネクタ用端子
47,48 ビア導体
51,51C,51D,51E 吸湿防止層
61 保護層