特許第5949225号(P5949225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949225
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】カラーフィルタ用着色膜セット
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20160623BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20160623BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20160623BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20160623BHJP
   C09B 67/22 20060101ALI20160623BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20160623BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G02B5/22
   G03F7/004 505
   G03F7/004 501
   C09B67/20 G
   C09B67/20 K
   C09B67/22 A
   C09B67/46 B
   G02F1/1335 505
【請求項の数】5
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2012-148260(P2012-148260)
(22)【出願日】2012年7月2日
(65)【公開番号】特開2013-148855(P2013-148855A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2015年5月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-280697(P2011-280697)
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 理人
(72)【発明者】
【氏名】宮川 章乃
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】相京 澄洋
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−057910(JP,A)
【文献】 特開2011−242752(JP,A)
【文献】 特表2010−516848(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/037195(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/041044(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤[A]と樹脂[B]とを含む着色膜を、少なくとも種含む着色膜セットであって、着色膜セットが赤色着色膜、緑色着色膜、および青色着色膜を含み、少なくとも1種の着色膜が、ハロゲン原子を含まない染料を含み、かつ各着色膜のハロゲン量が、該各着色膜全体に対して1500ppm以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色膜セット。
【請求項2】
少なくとも1種の着色膜が、アルミニウムフタロシアニン顔料を含むことを特徴とする請求項1載のカラーフィルタ用着色膜セット。
【請求項3】
少なくとも1種の着色膜が、C.I.ピグメントレッド1、3、12、16、17、18、22、23、31、32、41、49、54、57:1、60:1、63、64:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、81:6、83、89、95、114、119、122、123、149、150、169、170、177、178、179、190、193、194、206、210、213、220、224、245、247、255、260、264、266、268、272、273、274、下記一般式(1)で表されるベンズイミダゾロン顔料、及び一般式(2)で表わされるナフトールアゾ顔料から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ用着色膜セット。

【化1】
[一般式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に−H、−CH3、−OCH3、−COOCH3、−COOC49、−NO2、−SO2NHCH3、または−CONHC65である。]

【化3】
[一般式(2)中、Aは、それぞれ独立して、水素原子、ベンズイミダゾロン基、置換基を有してもよいフェニル基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。
51は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−OR57、または−COOR58を表す。R52〜R56は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、−OR59、−COOR60、−CONHR61、または−SO2NHR62を表す。R57〜R62は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【請求項4】
少なくとも1種の着色膜が、上記一般式(1)で示されるベンズイミダゾロン顔料を含むことを特徴とする請求項1ないしいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色膜セット。
【請求項5】
少なくとも1種の着色膜における樹脂[B]が、熱硬化性化合物を含むことを特徴とする請求項1ないしいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色膜セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、およびカラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタ用着色膜セットに関するものである。
本発明のカラーフィルタ用着色膜セットは、着色膜がハロゲン原子を含まないか、含んでも極微量のため、とくに上記の分野の中でも安全衛生面や環境面を要求される用途に有用である。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置は、基本的に、第1の透明電極層が形成された第1の透明基板と、第2の透明電極層が形成された第2の透明基板と、これらの間に封入された液晶層とを備え、カラーフィルタは、通常、第2の透明基板と第2の透明電極との間に形成される。第1および第2の透明基板の外側には、それぞれ第1および第2の偏光板が設けられており、第1の偏光板の外側にはバックライト光源を含むバックライトユニットが設置されている。
このような液晶表示装置では、第1および第2の透明電極層間に印加する電圧をフィルタセグメント毎に調整し、第1の偏光板を通過したバックライトユニットからの光の偏光度合いを制御して、第2の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示が行われる。従って、カラーフィルタおよび偏光板の色特性は、液晶表示装置の色特性を決定する重要な因子となっている。
【0003】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。一般的に赤色、緑色、および青色の3色のフィルタセグメントから形成されることが多く、これら各セグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0004】
カラーフィルタを構成するフィルタセグメントは、ガラス基板などに感光性材料を塗布し、余剰の溶剤を乾燥除去した後、画素形成のためのフォトマスクを介してプロキシミティ露光(紫外光源露光)などにより活性エネルギー線を照射し、硬化(ネガ型)またはアルカリ溶解度を高め(ポジ型)、アルカリ溶液などで溶解する部分を除去し、ポストベークという230度以上に加熱を行うことにより形成される。これを例えば赤、緑、青の各色について繰り返すことにより、カラーフィルタが作製される。
【0005】
近年、環境への負荷が少ない環境対応製品の開発が活発に進められており、それに準じた、より厳しい基準が新たに設定され始めている。液晶表示装置では、光源の水銀フリーやガラスのヒ素フリー、TFT基板の鉛フリー等がすでに達成されている。また、ハロゲン原子も環境対応製品として除くことが望まれている化学物質の一つであり、すでに、プラスティックや電気コード、回路基板といった部材でハロゲンフリーが達成されている。
しかし、カラーフィルタは液晶表示装置部材の中で唯一ハロゲンフリーを達成できていない。
【0006】
現在、カラーフィルタに要求される品質項目としては、明度が挙げられる。明度が低いカラーフィルタを用いると、光の透過率が低いため、暗い画面となってしまい、明るい画面とするためには、光源であるバックライトの数を増量する必要がある。そのため消費電力の増大を抑制する観点から、カラーフィルタの高明度化がトレンドとなっている。
【0007】
さらに、通常、液晶表示装置は液晶を、それぞれ個別に作製したカラーフィルタ基板とTFT(Thin−Film−Transistor)基板に挟んで貼りあわせることで製造される。この際、カラーフィルタ基板は、着色層の上にポリイミド等の配向膜を塗布することで液晶を配向させている。このため、着色層にはポリイミド樹脂に含まれるNMP(N−メチル−ピロリドン)など極性の強い溶剤に対する耐性が必要とされる。特許文献1には、高感度化により架橋効率を上げ、耐溶剤性を上げる目的でカラーフィルタ用着色組成物として、ヘキサアリールビイミダゾールを含むものが提案されている。しかしこの方法では、耐溶剤性についての効果は十分ではなく、溶剤浸漬後の色度変化が大きいなどの問題があるのが現状である。
【0008】
そこで、カラーフィルタを構成するフィルタセグメントの製造には、現行基準では問題のない、ハロゲンを含有した着色剤の混色が一般的となっており、とくに近年要求されている高い明度や、溶剤耐性にも優れたカラーフィルタを提供できるような、ハロゲンフリーを達成する着色膜セットを提供することができていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−148417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の着色膜セットは、ハロゲン原子が含まれないか、あるいは、含んでも極微量のため、安全衛生面や環境汚染問題に対応したカラーフィルタの提供が可能である。また、高明度かつ高耐溶剤性といったカラーフィルタ用に要求される品質も達成可能な着色膜セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のカラーフィルタ用着色膜セットは、着色剤[A]と樹脂[B]とを含む着色膜を、少なくとも2種含む着色膜セットであって、各着色膜のハロゲン量が、該各着色膜全体に対して1500ppm以下であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、赤色着色膜、緑色着色膜、および青色着色膜を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色膜セットに関する。
【0013】
また、本発明は、少なくとも1種の着色膜が、アルミニウムフタロシアニン顔料を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色膜セット関する。
【0014】
また、本発明は、少なくとも1種の着色膜が、下記一般式(1)で示されるベンズイミダゾロン顔料を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色膜セット関する。
一般式(1):
【化1】
[一般式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に−H、−CH3、−OCH3、−COOCH3、−COOC49、−NO2、−SO2NHCH3、または−CONHC65である。]
【0015】
また、少なくとも1種の着色膜が、ハロゲン原子を含まない染料を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色膜セット関する。
【0016】
また、少なくとも1種の着色膜における樹脂[B]が、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色膜セット関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカラーフィルタは、ハロゲン原子を含まないか、あるいは、含んでも極微量のため、安全衛生面や環境面を要求される用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデクッス(C.I.)を意味する。
【0019】
<カラーフィルタ>
まず、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上に、着色剤[A]と樹脂[B]とを含む着色膜を、少なくとも2種含む着色膜セットを有し、各着色膜のハロゲン量が、該各着色膜全体に対して1500ppm以下、より好ましくは700ppm以下である。
【0020】
着色膜としては、なかでも赤色着色膜、緑色着色膜、および青色着色膜を有する着色膜セットであることが好ましい。前記着色膜セットは、さらにマゼンタ色着色膜、シアン色着色膜、またはイエロー色着色膜等を有してもよく、少なくとも2種の着色膜セットであって、全ての着色膜で、カラーフィルタ用着色膜中に含有するハロゲン量が、該各着色膜全体に対して1500ppm以下であれば、制限されない。
【0021】
本願における、着色膜中のハロゲン量は、ハロゲンフリー銅張積層板試験方法(JPCA−ES01)に記載されている測定法を着色膜に転用して測定される。この測定方法では、フラスコ燃焼法にて前処理を行ったサンプルをイオンクロマトグラフ法で定量する。具体的に着色膜のハロゲン量測定は、まず、透明基板上に感光性着色組成物を塗布し着色被膜を形成し、該被膜に紫外線の照射を行う。次に、アルカリ現像液により該皮膜をスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、この基板を加熱、放冷することで、基板上に着色膜を形成する。この着色膜を削り取り、削り取った着色膜をフラスコ燃焼法にて前処理を行い、得られたサンプルのハロゲン含有量をイオンクロマトグラフィーで定量することで測定される。
【0022】
本発明のカラーフィルタ用着色膜セットは、特定の構造の顔料および染料を組み合わせて用いた着色組成物から形成されてなる着色膜を用いることにより、従来の顔料を組み合わせてできる着色膜セットと比較し、ハロゲン原子を含まないか、あるいは、含んでも極微量のため、安全衛生面や環境面に優れているだけでなく、より光学特性の優れた着色膜セットを提供することができる。また、熱硬化性化合物を併用することで、高耐溶剤性を付与した着色膜セットを提供することができる。
【0023】
[赤色着色膜]
赤色着色膜は、後述する赤色顔料及び/または赤色染料と樹脂及び/または溶剤を含む赤色着色組成物を用いて形成することができる。また、赤色着色組成物には、橙色顔料及び/または黄色顔料を併用することができる。また、橙色染料及び/または黄色染料も使用できる。
なかでも、一般式(1)で示されるベンズイミダゾロン顔料及び/またはキサンテン系酸性染料を含むことが高明度の観点で好ましいものである。
【0024】
[緑色着色膜]
緑色着色膜は、後述する青色顔料と黄色顔料及び/または黄色染料と樹脂及び/または溶剤を含む緑色着色組成物を用いて形成することができる。また、緑色着色組成物には、橙色顔料及び/または橙色染料も使用できる。
なかでも、アルミニウムフタロシアニン顔料及び/または一般式(5)で表されるキノフタロン系染料を含むことが高明度の観点で好ましいものである。
【0025】
[青色着色膜]
青色着色膜は、後述する青色顔料及び/または青色染料と樹脂及び/または溶剤を含む青色着色組成物を用いて形成することができる。また、青色着色組成物には、紫色顔料を併用することができる。また、赤色染料及び/または紫色染料も使用できる。
なかでも、キサンテン系酸性染料及び/またはトリアリールメタン系塩基性染料を含むことが高明度の観点で好ましいものである。
【0026】
[マゼンタ色着色膜]
マゼンタ色着色膜は、後述する赤色顔料及び/または紫色顔料と樹脂及び/または溶剤を含むマゼンタ色着色組成物を用いて形成することができる。また、マゼンタ色着色組成物には、赤色染料及び/または紫色染料を併用することができる。
【0027】
[シアン色着色膜]
シアン色着色膜は、後述する青色顔料及び/または青色染料と樹脂及び/または溶剤を含むシアン色着色組成物を用いて形成することができる。
【0028】
[イエロー色着色膜]
イエロー色着色膜は、後述する黄色顔料及び/または黄色染料と樹脂及び/または溶剤を含むイエロー色着色組成物を用いて形成することができる。
【0029】
本発明における着色膜セットは、赤色着色膜が一般式(1)で示されるベンズイミダゾロン顔料及び/またはキサンテン系酸性染料を含み、緑色着色膜がアルミニウムフタロシアニン顔料及び/または一般式(5)で表されるキノフタロン系染料を含み、青色着色膜がキサンテン系酸性染料及び/またはトリアリールメタン系塩基性染料含むことで、従来用いられている顔料や染料を用いたカラーフィルタに比べて、ハロゲン原子を含まないか、あるいは、含んでも極微量のため、安全衛生面や環境面に優れているだけでなく、明度にも優れたものとすることができるために好ましい。
【0030】
続いて、本発明の着色膜セットにおける各着色膜を形成するための、着色組成物について説明する。
着色組成物は、少なくとも着色剤[A]と樹脂[B]とを含む。
【0031】
<着色剤[A]>
カラーフィルタ用着色膜中に含有するハロゲン量を1500ppm以下にするためには、着色剤は、ハロゲンを含有しないものが好ましく、ハロゲンを含有しない着色剤であれば特に制限はなく、一般に市販されている顔料または染料を用いることができる。
【0032】
(赤色顔料)
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、3、12、16、17、18、22、23、31、32、41、49、54、57:1、60:1、63、64:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、81:6、83、89、95、114、119、122、123、149、150、169、170、177、178、179、190、193、194、206、210、213、220、224、245、247、255、260、264、266、268、272、273、274などの赤色顔料を挙げることができる。
以上の有機顔料に限らず、明度に影響のない範囲で無機顔料を用いることもできる。
また、赤色顔料中でも高明度化の観点から、一般式(1)で表されるベンズイミダゾロン顔料、及び/または一般式(2)で表わされるナフトールアゾ顔料を用いることが好ましい。
【0033】
[一般式(1)で表されるベンズイミダゾロン顔料]
【化2】
[一般式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に−H、−CH3、−OCH3、−COOCH3、−COOC49、−NO2、−SO2NHCH3、または−CONHC65である。]
【0034】
ベンズイミダゾロン顔料は溶媒に対して、そして光に対して優れた堅ろう性を有する水不溶性の顔料であり、この顔料を用いることで、明度とコントラスト比のいずれも優れたカラーフィルタ用着色組成物を得ることができる。
【0035】
ベンズイミダゾロン顔料としては、カラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、C.I.ピグメントレッド171、175、176、185、208等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントレッド176またはC.I.ピグメントレッド185は、高明度であることから好ましい。
【0036】
[一般式(2)で表されるナフトールアゾ顔料]
【化3】
[一般式(2)中、Aは、それぞれ独立して、水素原子、ベンズイミダゾロン基、置換基を有してもよいフェニル基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。
51は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−OR57、または−COOR58を表す。R52〜R56は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、−OR59、−COOR60、−CONHR61、または−SO2NHR62を表す。R57〜R62は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【0037】
一般式(2)中、Aにおいて、置換基を有してもよいフェニル基の「置換基」としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、スルファモイル基、N−置換スルファモイル基、カルボキシル基、スルホ基、カルボキシル基またはスルホ基から選ばれる酸性基の1価〜3価の金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。したがって、置換基を有してもよいフェニル基の具体例としては、フェニル基、p-メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、3−カルバモイルフェニル基、2−クロロ−4−カルバモイルフェニル基、2−メチル−4−カルバモイルフェニル基、2−メトキシ−4−カルバモイルフェニル基、2−メトキシ−4−メチル−3−スルファモイルフェニル基、4−スルホフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−メチル−4−スルホフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
また、Aにおいて、置換基を有しても複素環基の「置換基」としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、シアノ基、トロ基、水酸基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、スルファモイル基、N−置換スルファモイル基、カルボキシル基、スルホ基、カルボキシル基またはスルホ基から選ばれる酸性基の1価〜3価の金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。また、「複素環」とは、環系を構成する原子の中に、炭素原子以外のヘテロ原子が1個以上含まれるものを意味し、飽和環であっても不飽和環であっても良く、更に単環であっても縮合環であっても良い。したがって、複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、ベンゾフラン環、インドール環、モルホリン環、ピロリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロフラン環などが挙げられる。ゆえに、複素環基とは、これら複素環から水素原子を除いて誘導される一価の基を意味し、したがって、置換基を有してもよい複素環基の具体例としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピローリル基、3−ピローリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−イミダゾリル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、ピペリジノ基、4−ピペリジル基、モルホリノ基、2−モルホリニル基、N−インドリル基、2−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−キノリノ基、N−カルバゾリル基などが挙げられる。
【0039】
また、R51〜R62における炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0040】
本発明に使用できるナフトールアゾ顔料としては、高明度化の観点から、Aが、置換基を有してもよいフェニル基であることが好ましい。さらに、高明度化および分散性の観点から、R51が炭素数1〜4のアルキル基または−OR67であることが好ましく、R1がメチル基またはメトキシ基であることがより好ましい。
【0041】
本発明のナフトールアゾ顔料は、化学構造が一般式(2)、またはその互変異性体であっても良く、あらゆる結晶形態を持った顔料であっても良く、いわゆる多形と呼称されるあらゆる結晶形態を持った顔料同士の混晶であっても良い。これら顔料の結晶形態は、粉末X線回折測定やX線結晶構造解析により確認できる。
【0042】
本発明のナフトールアゾ顔料の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
【化4】
【0044】
【化5】
【0045】
【化6】
【0046】
一般式(2)で表されるナフトールアゾ顔料は溶媒に対して、そして光に対して優れた堅ろう性を有する水不溶性の顔料であり、この顔料を用いることで、明度の高いカラーフィルタ用着色組成物を得ることができる。
【0047】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物における着色剤[A]は、ナフトールアゾ顔料を単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
【0048】
(青色顔料)
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、24、24:1、25、26、56、60、61、62、63、64、75、79、などの青色顔料を挙げることができる。これらの中でも高明度を得る観点から、C.I.ピグメントブルー79のようなアルミニウムフタロシアニン顔料を用いることが好ましい。
以上の有機顔料に限らず、明度に影響のない範囲で無機顔料を用いることもできる。
【0049】
[アルミニウムフタロシアニン顔料]
アルミニウムフタロシアニン顔料としては、フタロシアニン環の中心に3価のアルミニウムが配位した構造を有するものであれば、特に制限はない。アルミニウムフタロシアニン顔料において、アルミニウムは3価であることよりフタロシアニンとの結合の他にも結合を持ち、単量体の他にも2量体、3量体といった構造を持つことが知られている。また、フタロシアニン環を化学的に修飾することも可能であり、多様な構造を取れることが知られている。本発明におけるアルミニウムフタロシアニン顔料は、単量体だけでなく、二量体、三量体といった構造、またはフタロシアニン環を化学的に修飾したもの等、いずれの形態をとるものであってもよい。
【0050】
これらのなかでも、本発明のアルミニウムフタロシアニン顔料としては、下記一般式(3A)または下記一般式(3B)の構造で表されるものが、高明度化、分散性の点で好ましい。
【化7】
[一般式(3A)中、X1〜X4はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、または置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。
l〜Y4はそれぞれ独立して、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Zは、水酸基、−OP(=O)R45、または−O−SiR678を表す。ここでR4〜R8はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R同士が互いに結合して環を形成しても良い。m1〜m4、n1〜n4は、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、m1+n1、m2+n2、m3+n3、m4+n4は、各々、0〜4で、同一でも異なっても良い。]
【0051】
【化8】
[一般式(3B)中、X5〜X12はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、または置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。Y5〜Y12はそれぞれ独立して、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Lは、−O−SiR910−O−、−O−SiR910−O−SiR1112−O−、または−O−P(=O)R13−O−を表し、R9〜R13はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。m5〜m12、n5〜n12は、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、m5+n5、m6+n6、m7+n7、m8+n8、m9+n9、m10+n10、m11+n11、m12+n12は、各々、0〜4で、同一でも異なっても良い。]
【0052】
一般式(3A)中、X1〜X4は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。上記X1〜X4が置換基を有する場合、置換基は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、アミノ基、水酸基、ニトロ基等の特性基の他、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数あっても良い。
【0053】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、「置換基を有するアルキル基」としては、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−tert−プチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基等が挙げられる。
【0054】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、「置換基を有するアリール基」としては、p−メチルフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2−アミノフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0055】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられ、「置換基を有するシクロアルキル基」としては、2,5−ジメチルシクロペンチル基、4−tert−プチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0056】
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられ、「置換基を有する複素環基」としては、3−メチルピリジル基、N−メチルピペリジル基、N−メチルピロリル基等が挙げられる。
【0057】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、「置換基を有するアルコキシル基」としては、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0058】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」としては、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基等が挙げられる。
【0059】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアルキルチオ基」としては、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0060】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールチオ基」としては、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2−アミノフェニルチオ基、2−ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0061】
次に、Yl〜Y4の具体例としては、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C64(CO)2N−CH2−)、スルファモイル基(H2NSO2−)が挙げられる。また、置換基を有するフタルイミドメチル基とは、フタルイミドメチル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表し、置換基を有するスルファモイル基とは、スルファモイル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表す。好ましいYは、スルファモイル基である。ml〜m4が0である(つまり、Yl〜Y4がない)フタロシアニン化合物も好適に使用できる。置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、および、置換基を有してもよいスルファモイルル基の「置換基」としては、X1〜X4の置換基と同義である。
【0062】
Zは、水酸基、−OP(=O)R45、または、−O−SiR678で表され、ここで、R4、R5は、各々、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R4、R5が互いに結合して環を形成しても良い。
【0063】
ここで、R4およびR5におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、アルキル基が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、メトキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、トリル基等の芳香族基、ニトロ基などがある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアルキル基としては、例えば、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、べンジル基、4−メチルべンジル基、4−tert−ブチルべンジル基、4−メトキシべンジル基、4−ニトロべンジル基等が挙げられる。
【0064】
4およびR5におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等があり、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等がある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアリール基には、例えば、p−トリル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2−ジメチルアミノフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、アントラキノニル基等がある。
【0065】
4およびR5におけるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、置換基を有するアルコキシル基の置換基としては、アルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基などがある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアルコキシル基としては、例えば、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等がある。
【0066】
4およびR5におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフタルオキシ基、アンスリルオキシ基等があり、アリールオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等がある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアリールオキシ基には、例えば、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基等がある。
【0067】
本発明で用いられる、一般式(3A)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料としては、高明度化と分散性の観点から、R4、R5のうちの少なくとも1つが、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基であることが好ましい。より、好ましくは、R4、R5がいずれもアリール基、またはアリールオキシ基である。さらに、好ましくは、R4、R5がいずれもフェニル基、またはフェノキシ基である。
【0068】
一般式(3A)中、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、又は環の数が4以下の芳香族基である。アルキル基の炭素数が18を超えたり、芳香族環の数が4を超えたりすると、分子量が増大し単位重量あたりの吸光係数が小さくなるため、着色組成物中の顔料濃度を高くせざるを得なくなり、好ましくない。
【0069】
6、R7及びR8におけるアルキル基として、直鎖の他、分岐しても、環状になっていても良く、ヘテロ原子数が合計で3以下の範囲で、官能基を有していても良い。例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、及び3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0070】
6、R7及びR8における芳香族基として、芳香族環にヘテロ原子を含んでいてもよく、各芳香族環にヘテロ原子数2以下の範囲で、官能基を有していても良い。例示すると、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、テトラフェニレニル基、及びコロネニル基等が挙げられる。
【0071】
本発明で用いられる、一般式(3A)で表されるフタロシアニン化合物のうち、耐熱性・耐光性の観点から、Zは−OP(=O)R45の方がより好ましい。
【0072】
一般式(3B)中、X5〜X12は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。上記X5〜X12が置換基を有する場合、置換基は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、アミノ基、水酸基、ニトロ基等の特性基の他、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数あっても良い。
【0073】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、「置換基を有するアルキル基」としては、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−tert−プチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基等が挙げられる。
【0074】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、「置換基を有するアリール基」としては、p−メチルフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2−アミノフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0075】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられ、「置換基を有するシクロアルキル基」としては、2,5−ジメチルシクロペンチル基、4−tert−プチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0076】
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられ、「置換基を有する複素環基」としては、3−メチルピリジル基、N−メチルピペリジル基、N−メチルピロリル基等が挙げられる。
【0077】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、「置換基を有するアルコキシル基」としては、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0078】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」としては、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基等が挙げられる。
【0079】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアルキルチオ基」としては、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0080】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールチオ基」としては、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2−アミノフェニルチオ基、2−ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0081】
次に、Y5〜Y12の具体例としては、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C64(CO)2N−CH2−)、スルファモイル基(H2NSO2−)が挙げられる。また、置換基を有するフタルイミドメチル基とは、フタルイミドメチル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表し、置換基を有するスルファモイル基とは、スルファモイル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表す。好ましいYは、スルファモイル基である。ml〜m4が0である(つまり、Y5〜Y12がない)フタロシアニン化合物も好適に使用できる。置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、および、置換基を有してもよいスルファモイルル基の「置換基」としては、X5〜X12の置換基と同義である。
【0082】
一般式(3B)中、Lは−O−SiR910−O−、−O−SiR910−O−SiR1112−O−、または−O−P(=O)R13−O−を表し、R9〜R13はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。
【0083】
ここで、R9〜R13におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、アルキル基が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、メトキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、トリル基等の芳香族基、ニトロ基などがある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアルキル基としては、例えば、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、べンジル基、4−メチルべンジル基、4−tert−ブチルべンジル基、4−メトキシべンジル基、4−ニトロべンジル基等が挙げられる。
【0084】
9〜R13におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等があり、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等がある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアリール基には、例えば、p−トリル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2−ジメチルアミノフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、アントラキノニル基等がある。
【0085】
9〜R13におけるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、置換基を有するアルコキシル基の置換基としては、アルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基などがある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアルコキシル基としては、例えば、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等がある。
【0086】
9〜R13におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフタルオキシ基、アンスリルオキシ基等があり、アリールオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等がある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアリールオキシ基には、例えば、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基等がある。
【0087】
本発明で用いられる、一般式(3B)で表されるフタロシアニン化合物としては、分散体の粘度や高明度化の観点から、R9〜R10、R9〜R12において少なくとも1つが、およびR13が置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基であることが好ましい。より、好ましくは、R9〜R10、R9〜R12、およびR13がいずれもアリール基、またはアリールオキシ基である。さらに、好ましくは、R9〜R10、R9〜R12、およびR13がいずれもフェニル基、またはフェノキシ基である。
【0088】
(橙色または黄色顔料)
橙色顔料または黄色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、3、5、15、16、17、17:1、40、43、48、49、62、64、65、68、71、73、81などの橙色顔料またはC.I.ピグメント イエロー 1、4、5、7、9、18、24、61、62、65、74、100、101、104、108、115、117、120、123、129、133、139、147、150、151、153、154、155、167、169、175、177、179、180、181、182、185、191、193、194、198、199、213などの黄色顔料を挙げることができる。
以上の有機顔料に限らず、明度に影響のない範囲で無機顔料を用いることもできる。
【0089】
(紫色顔料)
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、13、19、25、27、29、32、37、39、44、50などの紫色顔料を挙げることができる。
以上の有機顔料に限らず、明度に影響のない範囲で無機顔料を用いることもできる。
【0090】
(赤色染料)
赤色染料としては、キサンテン系、アゾ系(ピリドン系、バルビツール酸系、金属錯体系など)、ジスアゾ系、アントラキノン系などの染料が挙げられる。
【0091】
(青色染料)
青色染料としては、フタロシアニン系、アントラキノン系、トリアリールメタン系、メチレンブルー系などの染料が挙げられる。
【0092】
(橙色または黄色染料)
橙色染料または黄色染料としては、キノリン系、アゾ系(ピリドン系、バルビツール酸系、金属錯体系など)、ジスアゾ系、メチン系、アントラキノン系、シアニン系、ナフトキノン系、キノフタロン系などの染料が挙げられる。
【0093】
(紫色染料)
紫色染料としては、キサンテン系、メチン系、トリアリールメタン系などの染料が挙げられる。
【0094】
これらの染料の中でも、高明度を得る観点から、キサンテン系酸性染料の造塩化合物及び/またはトリアリールメタン系塩基性染料の造塩化合物及び/または一般式(5)で表されるキノフタロン系染料を用いることが好ましい。
【0095】
[キサンテン系酸性染料と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物]
キサンテン系酸性染料は、染料の形態を有するものであり、赤色または紫色を呈するものである。
赤色、紫色を呈するとは、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッド バイオレット等の酸性染料、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトバイオレット等の直接染料に属するものである。ここで直接染料は、スルホン酸基を有することから本発明においては酸性染料と同義とみなす。
さらに造塩化合物は、これらのキサンテン系酸性染料(直接染料も含む)とカウンタイオンとしてはたらくカチオン成分である四級アンモニウム塩化合物とで造塩、変性した造塩染料に属するものである。
【0096】
《キサンテン系酸性染料》
キサンテン系染料の酸性染料について説明する。キサンテン系染料の酸性染料としては、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9、C.I.アシッ バイオレット30を用いることが好ましい。
中でもC.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いることが好ましい。
【0097】
本発明に用いるキサンテン系酸性染料は、透過スペクトルにおいて650nmの領域で透過率が90%以上であり、600nmの領域で透過率が75%以上、550nmの透過率が5%以下、400nmの領域で透過率が70%以上であるものが好ましい。より好ましくは、650nmの領域で透過率が95%以上であり、600nmの領域で透過率が80%以上、550nmの透過率が10%以下、400nmの領域で透過率が75%以上である。
【0098】
またキサンテン系酸性染料としては、発色性の優れる点でローダミン系酸性染料を用いることが好ましい。
【0099】
《四級アンモニウム塩化合物》
次いで、キサンテン系酸性染料のカチオン成分としての四級アンモニウム塩化合物について説明する。
【0100】
造塩化合物のカチオン成分である四級アンモニウム塩化合物の好ましい形態は、無色、または白色を呈するものである。
ここで無色、または白色とはいわゆる透明な状態を意味し、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、透過率が95%以上、好ましくは98%以上となっている状態と定義されるものである。すなわち染料成分の発色を阻害しない、色変化を起こさないものである必要がある。
【0101】
四級アンモニウム塩化合物のカウンタ成分であるカチオン部分の分子量は190〜900の範囲であることが好ましい。ここでカチオン部分とは、下記一般式(4)中の(NR14151617)+の部分に相当する。分子量が190よりも小さいと耐光性、耐熱性が低下してしまい、さらに溶剤への溶解性が低下してしまう。また分子量が900よりも大きくなると分子中の発色成分の割合が低下してしまい、発色性が低下し、明度も低下してしまう。より好ましくはカチオン部分の分子量が240〜850の範囲である。特に好ましいのは、カチオン部分の分子量が350〜800の範囲である。
ここで分子量は構造式を基に計算を行ったものであり、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Nの原子量を14とした。
【0102】
また、四級アンモニウム塩化合物として以下一般式(4)で表されるものが用いられる。
【化9】
[一般式(4)中、R14〜R17 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基またはベンジル基を示し、R14、R15、R16、R17の少なくとも2つ以上がCの数が5〜20個である。Y-は無機または有機のアニオンを表す。]
【0103】
14〜R17の少なくとも2つ以上のCの数を5〜20個とすることで、溶剤に対する溶解性が良好なものとなる。Cの数が5より小さいアルキル基が3つ以上になると溶剤に対する溶解性が悪くなり、塗膜異物が発生しやすくなってしまう。またCの数が20を超えてしまうアルキル基が存在すると造塩化合物の発色性が損なわれてしまう。
【0104】
具体的には、テトラメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が74)、テトラエチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が122)、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が312)、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が550)、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が788)、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が284)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が368)、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が270)、モノラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が228)、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が382)、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が536)、トリアミルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が318)、トリヘキシルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が360)、トリオクチルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が444)、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が612)、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が388)、及びベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が248)、ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(硬化牛脂)(カチオン部分の分子量が438〜550)等を用いることが好ましい。
【0105】
アニオンを構成するY-の成分は、無機または有機のアニオンであればよいが、ハロゲンであることが好ましく、通常は塩素である。アニオンを構成するY-の成分は、キサンテン系酸性染料と造塩する際にキサンテン系酸性染料の対カチオンと塩を形成し、水洗等により除去される。
【0106】
具体的な四級アンモニウム塩化合物の製品としては、花王社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB−50等、ライオン社製のアーカード210−80E、2C−75、2HT−75、2HTフレーク、2O−75I、2HP−75、2HPフレーク等があげられ、中でもコータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、アーカード2HT−75(ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド)が好ましいものである。
【0107】
四級アンモニウム塩化合物は、側鎖にアミノ基、アンモニウム基を有し、キサンテン系酸性染料と反応、造塩化させ四級アンモニウム塩構造を形成できる側鎖にカチオン性基を有する樹脂の形態であってもよい。
【0108】
《造塩化処理料》
キサンテン系酸性染料と四級アンモニウム塩化合物との造塩化合物は、従来知られている方法により合成することができる。特開平11−72969号公報などに具体的な手法が開示されている。
一例をあげると、キサンテン系酸性染料を水に溶解した後、四級アンモニウム塩化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでキサンテン系酸性染料中のスルホン酸基(−SO3H,−SO3Na)の部分と四級アンモニウム塩化合物のアンモニウム基(NH4+)の部分が結合した造塩化合物が得られる。また水の代わりに、メタノール、エタノールも造塩化時に使用可能な溶媒である。
【0109】
造塩化合物は、特にC.I.アシッド レッド 52やC.I.アシッド レッド 289と四級アンモニウム塩化合物のカチオン成分であるカウンタの分子量を350〜800とすることで、溶剤溶解性に優れ、耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れたものとなる。
【0110】
[トリアリールメタン系塩基性染料の造塩化合物]
トリアリールメタン系塩基性染料の造塩化合物は、青色または紫色を呈するものである。即ち、この着色組成物において好ましく用いることのできる造塩化合物は、C.I.ベーシック ブルー、C.I.ベーシック バイオレット等に分類される塩基性染料と、アニオン性の化合物、特に無色のアニオン性の化合物をカウンタとして用いて得られる造塩化合物である。
本発明における無色とはいわゆる透明な状態を意味し、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、透過率が80%以上、好ましくは95%以上となっている状態と定義されるものである。
【0111】
塩基性染料とカウンタ化合物とは、例えば、水溶液又はアルコール溶液中に両者を溶解させることで造塩化合物を生成し得る。或いは、両者を加熱しながら溶融混練することで造塩化合物を得ることも可能である。
塩基性染料は、良好な分光特性を持つにも拘らず、一般的な染料と同様に耐光性及び耐熱性が極めて乏しい。即ち、塩基性染料は、高い信頼性が要求されるカラー表示装置又はカラー撮像装置のカラーフィルタに用いるには、特性が不十分である。
そのため、塩基性染料のアニオンを、分子量がより大きなアニオンで置換することが好ましい。そして、好ましくは、この造塩化合物を、酸基を有する樹脂によって変性する。
カウンタ化合物の分子量は、200〜3500の範囲内が好ましい。カウンタ化合物の分子量は、250〜3500の範囲内にあることがより好ましく、300〜3500の範囲内にあることがより好ましい。或いは、カウンタ化合物の分子量は、200〜750の範囲内にあることが好ましい。分子量が小さなカウンタ化合物を使用した場合、十分な耐熱性及び耐光性を達成することが難しい。分子量が大きなカウンタ化合物を使用した場合、単位体積中に造塩化合物を大きなモル数で存在させることが難しく、十分な発色が困難である。
【0112】
《トリアリールメタン系塩基性染料》
具体的に使用のできるトリアリールメタン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックバイオレット1(メチルバイオレット)、同3(クリスタルバイオレット)、同14(Magenta)、C.I.ベーシックブルー7(ビクトリアピュアブルー BO)、同26(ビクトリアブルー B conc.)等があげられる。中でもC.I.ベーシックブルー7、同バイオレット1、同バイオレット3を用いることが好ましい。トリフェニルメタン系塩基性染料に含まれるアニオンを構成するハロゲン成分は、酸性のカウンタ化合物と造塩する際に、酸性のカウンタ化合物のカチオンと塩を形成し、水洗等により除去される。
【0113】
トリアリールメタン系塩基性染料は、中心の炭素に対してパラの位置にあるNH2あるいはOH基が酸化によりキノン構造をとることによって発色するものである。NH2、OH基の数によって以下3つの型に分けられるが、中でもトリアミノトリフェニルメタン系の塩基性染料の形態であることが良好な青色を発色する点で好ましいものである。
a)ジアミノトリフェニルメタン系塩基性染料
b)トリアミノトリフェニルメタン系塩基性染料
c)OH基を有するロゾール酸系塩基性染料
トリアミノトリフェニルメタン系塩基性染料、ジアミノトリフェニルメタン系塩基性染料は色調が鮮明であり、他のものよりも日光堅ロウ性に優れ好ましいものである。またジフェニルナフチルメタン塩基性染料及び/またはトリフェニルメタン塩基性染料が好ましい。
【0114】
ブルー系のトリアリールメタン系塩基性染料は、400〜440nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有している。
【0115】
《カウンタ化合物》
トリアリールメタン系塩基性染料の造塩化合物において使用するカウンタ化合物は、アニオン性の化合物であって、具体的には、例えば、ヘテロポリ酸と、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸および芳香族カルボン酸、脂肪酸などの有機カルボン酸である有機酸と、酸性染料と等である。カウンタ化合物は、有機スルホン酸又は酸性染料であることが好ましい。また、カウンタ化合物の分子量が、250〜3500の範囲であるアニオン性の化合物が耐性面でより優れるために好ましい。
【0116】
なお、ここで規定する分子量及び平均分子量は、分子構造と原子量とに基づいて算出した理論値の小数第1位を四捨五入することによって得られる値である。また、カウンタ化合物がナトリウム塩である場合、ここで規定する分子量及び平均分子量は、ナトリウムを水素で置換してなる分子の値を意味していることとする。
【0117】
((ヘテロポリ酸))
ヘテロポリ酸としては、例えば、リンタングステン酸H3(PW12O40)・nH2O(n≒30;≒はニアリーイコールを表す)(分子量3421)、ケイタングステン酸H4(SiW12O40)・nH2O(n≒30)(分子量3418)、リンモリブデン酸H3(PMo12O40)・nH2O(n≒30)(分子量2205)、ケイモリブデン酸H3(SiMo12O40)・nH2O(n≒30)(分子量2202)、リンタングストモリブデン酸H3(PW12―XMoXO40)・nH2O(n≒30)(6<X<12)、及びリンバナドモリブデン酸H15-X(PV12-XMoXO40)・nH2O(n≒30)が挙げられる。
リンタングストモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸及びケイタングストモリブデン酸は、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸及びケイモリブデン酸などの構成成分の含有量を変えることで、分子量を2202〜3421の範囲で調整することができる。
ヘテロポリ酸をカウンタ化合物として使用する場合は、その平均分子量は2820〜3421の範囲内にあることが好ましい。これは、カウンタ化合物がモリブデンとタングステンとを含む場合、タングステンの割合が50%を超えることが好ましいことによるものである。リンタングストモリブデン酸の場合、Moの含有量を減らし、Wを多く含ませることで透過性に優れる色材を得ることができる。
【0118】
((有機酸))
有機スルホン酸としては、例えば、芳香族スルホン酸を使用することができる。芳香族スルホン酸として好ましい化合物は、例えば、1−ナフチルアミン−4,8−ジスルホン酸(分子量303)、1−ナフチルアミン−3,8−ジスルホン酸(分子量303)、1−ナフチルアミン−5,7−ジスルホン酸(分子量303)、1−ナフチルアミン−3,6−ジスルホン酸(分子量303)、1−ナフチルアミン−3,6,8−トリスルホン酸(コッホ酸)(分子量383)、2−ナフチルアミン−6,8−ジスルホン酸(分子量303)、2−ナフチルアミン−1,6−ジスルホン酸(分子量303)、2−ナフチルアミン−4,8−ジスルホン酸(分子量303)、2−ナフチルアミン−3,6−ジスルホン酸(アミノ−R酸)(分子量303)、2−ナフチルアミン−5,7−ジスルホン酸(アミノJ酸)(分子量303)、1−ナフトール−4,8−ジスルホン酸(分子量304)、1−ナフトール−3,8−ジスルホン酸(ε酸)(分子量304)、1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(分子量304)、1−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸(分子量384)、2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸(分子量304)、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(R酸)(分子量304)、2−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸(分子量384)、N−フェニル−1−ナフチルアミン−8−スルホン酸(分子量299)、N−p−トリル−1−ナフチルアミン−8−スルホン酸(分子量313)、N−フェニル−1−ナフチルアミン−5−スルホン酸(分子量299)、N−フェニル−2−ナフチルアミン−6−スルホン酸(分子量299)、N−アセチル−7−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量281)、N−フェニル−7−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量315)、N−アセチル−6−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量281)、N−フェニル−6−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量315)、1,8−ジハイドロ−3,6−ジスルホン酸(クロモトロープ酸)(分子量320)、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(分子量319)、8−アミノ−1−ナフトール−5,7−ジスルホン酸(分子量319)、1,6−ジアミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸(分子量254)、1−アミノ−2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸(分子量319)、1−アミノ−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(分子量319)、2,8−ジアミノ−1−ナフトール−5,7−ジスルホン酸(分子量334)、2,7−ジアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量254)、2,6−ジアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量254)、2,8−ジアミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(分子量334)、及び2−アミノ−7−フェニルアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量330)が挙げられる。
【0119】
また、アントラセンスルホン酸(分子量258)、アントラキノン−2−スルホン酸、又はアントラキノン−1−スルホン酸(分子量288)を用いることも好ましい。
【0120】
1つのアミノ基と1つのスルホン酸基とを有するナフチルアミンスルホン酸を用いると、優れた耐熱性及び耐光性を達成できる。ナフチルアミンスルホン酸としては、例えば、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(トビアス酸、分子量223)、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(ナフチオン酸、分子量223)、8−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(ペリ酸、分子量223)、2−アミノ−6−ナフタレンスルホン酸(ブレンナー酸、分子量223)、1−アミノ−5−ナフタレンスルホン酸(ローレンツ酸、分子量223)、5−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(分子量223)、1−アミノ−6−ナフタレンスルホン酸(分子量223)、6−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(分子量223)、及び3−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(分子量223)が挙げられる。これらの中でも、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(トビアス酸、分子量223)が色特性、及び耐性面において特に好ましい。
【0121】
1つの水酸基と1つのスルホン酸基とを有するヒドロキシナフタレンスルホン酸を用いることも好ましい。ヒドロキシナフタレンスルホン酸としては、例えば、2−ヒドロキシ−6−ナフタレンスルホン酸(シェファ酸、分子量224)、1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸(ネビル−ウィンター酸:NW酸、分子量224)、1−ヒドロキシ−5−ナフタレンスルホン酸(L酸、分子量224)、及び2−ヒドロキシ−8−ナフタレンスルホン酸(クロセイン酸、分子量224)が挙げられる。
【0122】
中でも、発色性が良好で、高明度を達成できる点で、2〜3個のスルホン酸基を有する有機スルホン酸が好ましい。4個以上のスルホン酸があると環境安定性が悪くなり経時変化を起こしやすく、1個のスルホン酸では塩基性染料とカウンタ化合物とが1:1で反応するために主色とする場合に発色性が悪くなる場合がある。
【0123】
但し、分子量が200〜250の範囲内にある有機スルホン酸の場合、カウンタ化合物の分子量が小さいため、1分子当りのスルホン酸基が1つであったとしても、発色性が損なわれることはない。
【0124】
有機カルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸又は脂肪酸を使用することができる。具体的な有機カルボン酸としては、例えば、パルミチン酸(分子量257)、ステアリン酸(分子量285)、アラキジン酸(分子量313)、ベヘン酸(分子量341)、リグノセリン酸(分子量369)、オレイン酸(分子量282)、エライジン酸(分子量282)、エルカ酸(分子量339)、ネルボン酸(分子量367)、リノール酸(分子量280)、ガモレン酸(分子量278)、アラキドン酸(分子量305)、α−リノレン酸(分子量278)、ステアリドン酸(分子量276)、エイコサペンタエン酸(分子量302)、及びドコサヘキサエン酸(分子量328)が挙げられる。
【0125】
((酸性染料))
カウンタ化合物として酸性染料を用いることで色相をコントロールすることもできる。
好ましい酸性染料は、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミンB)(分子量580)、C.I.アシッドレッド289(分子量676.7)等があげられる。
【0126】
酸性染料の場合、より好ましい分子量の範囲は、300〜750の範囲である。より好ましくは、350〜700の範囲である。分子量をこの範囲にすることで、耐候性と着色力においてバランスのとれた着色剤とすることができ好ましいものである。
【0127】
《造塩化合物への添加剤物》
造塩化合物は、酸基を有している樹脂、例えば、ロジン変性マレイン酸樹脂及びロジン変性フマル酸樹脂のように酸基を有している樹脂、ロジンエステル、ポリエステル樹脂、又は酸価を有しているスチレンアクリル共重合体等を添加すると、バインダー樹脂中への相溶性及び分散性並びに溶剤への分散性が大幅に向上する。その結果、更に優れた発色性、耐熱性及び耐光性を実現できる。ここで、酸基としては、カルボキシル基(−COOH)又はスルホン酸基(例えば−SO3H又は−SO3Na)が好ましい。
また、酸基を有している樹脂の重量平均分子量は、400〜12000の範囲内にあることが好ましく、400〜6000の範囲内にあることがより好ましく、400〜2000の範囲内にあることが更に好ましい。このような樹脂は、造塩化合物との相溶性に優れており、それ故、これを使用すると、造塩化合物のバインダー樹脂中への分散が良好になる。
【0128】
なお、酸基を有する樹脂の重量平均分子量は、以下のようにして測定する。
検体にテトラヒドロフラン(THF)を加え、12時間放置する。その後、検体のTHF溶液を濾過し、濾液中に溶解している検体の分子量を測定する。測定にはゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ(GPC)法を用い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線から分子量を計算する。以下に、測定条件の一例を記載する。
GPC装置:東ソー(株)製 HLC−8120GPC
カラム:東ソー(株)製 TSK Guardcolumn SuperH−HT/SK−GEL/SuperHM−Mの3連結
流速:1.0ml/min(THF)
酸基を有する樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂を用いることが好ましい。ロジン変性マレイン酸樹脂は、酸を有する極性基と無極性のロジン骨格とを有している。この酸を有している極性基は、未反応のアビエチン酸由来のカルボキシル基及びマレイン酸のカルボキシル基であり、バインダー樹脂の極性基と反応及び相溶する。他方、無極性のロジン骨格は、バインダー樹脂の非極性部と相溶する。更に、ロジン変性マレイン酸樹脂の酸を有している極性基は、塩基性染料(造塩化合物中の未反応の塩基性染料)のアミノ基と反応する。
【0129】
酸基を有している樹脂の酸価は、100〜300mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。酸価が小さいと、樹脂と造塩化合物との相溶性が不十分となることがある。また、酸価が大きいと、この着色組成物を後述するアルカリ現像型着色レジストとして用いた場合に、現像不良を生じ易い。なお、ここで酸価とは、JIS K−0070において規定された方法によって測定される値である。
造塩化合物と酸基を有している樹脂との混合は、例えば、以下の方法で行う。
(1)溶媒に溶解させた樹脂と造塩化合物とを混合する方法
(2)溶融させた樹脂と造塩化合物とを混合する方法
なお、造塩化合物と酸基を有している樹脂との混合は、他の方法で行ってもよい。
【0130】
上記混合法(1)及び(2)の具体例を、以下に記載する。ここでは、トリアリールメタン系塩基性染料及びロジン変性マレイン酸樹脂を用いた事例を示す。
(1)溶媒に溶解させた樹脂と造塩化合物とを混合する方法
(1−1)
トリアリールメタン系塩基性染料を水に溶解させ、この溶液を攪拌しながら、これに有機スルホン酸等のカウンタ化合物を添加する。こうすると、トリアリールメタン系塩基性染料のアミノ基(−NHC2H5)とカウンタ化合物の酸基とが結合して、造塩化合物が得られる。なお、カウンタ化合物は、造塩反応に先立って、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に溶解させて、例えばスルホン酸ナトリウムの形態(−SO3Na)で用いてもよい。
(1−2)
次いで、造塩化合物を含んだ先の液に、ロジン変性マレイン酸樹脂を添加する。具体的には、まず、造塩化合物を含んだ上記液に水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加して、この液を中性に調整する。次に、この溶液に、アルカリ水溶液に溶解させたロジン変性マレイン酸樹脂を添加し、これを攪拌する。その後、この溶液に塩酸及び硫酸等の鉱酸を添加して、液を酸性に調整する。これにより、ロジン変性マレイン酸樹脂を不溶化させる。更に、濾過、洗浄及び乾燥を行って、着色組成物を得る。なお、必要な場合には、その後、着色組成物を所望の粒度へと粉砕してもよい。
【0131】
(2)溶融させた樹脂と造塩化合物とを混合する方法
造塩化合物と、酸基を有している樹脂、ここではロジン変性マレイン酸樹脂とを、加熱ニーダー、バンバリーミキサー、3本ロールミル、2本ロールミル、振動ミル、ボールミル、アトライター、及び押出機等の混練機に投入し、酸基を有している樹脂の軟化点以上の温度で溶融混練を行う。これにより、酸基を有している樹脂中に造塩化合物が均一に分散する。なお、ここで得られる着色組成物は、酸基を有している樹脂が造塩化合物によって被覆された形態にある。更に、この着色組成物を粗砕及び粉砕して所望の粒度に調整する。
【0132】
[一般式(5)で表されるキノフタロン系染料]
【化10】
[一般式(5)中、R18〜R23は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、または−OR24を表す。
24は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、または置換基を有してもよいアリール基である。
ただし、R18〜R23が全て水素原子になる事はない。]
【0133】
18〜R24における置換を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、または炭素数2〜18であり場合により1個以上のエーテル結合(−O−)を含む直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
炭素数2から18であり場合により1個以上のエステル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−CH2−CH2−COO−CH2−CH3、−CH2−CH(−CH3)−CH2−COO−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−OCO−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−CH2−COO−CH2−CH(−CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−(CH25−COO−(CH211−CH3、−CH2−CH2−CH2−CH(−COO−CH2−CH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
また、炭素数2〜18であり場合により1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8である)、−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5である)、−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3−、−CH2−CH−(OCH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
炭素数2〜18であり場合により1個以上のエーテル結合を含む単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【化11】
【0137】
18〜R24における置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられる。それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
18〜R24における置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜18を有する置換もしくは未置換の単環または縮合多環芳香族基であり、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、p−ビフェニル基、m−ビフェニル基、2−アントリル基、9−アントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、9−フルオレニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、3−ペリレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−メチルビフェニル基、ターフェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−tert−ブチル−1−ナフチル基、4−ナフチル−1−ナフチル基、6−フェニル−2−ナフチル基、10−フェニル−9−アントリル基、スピロフルオレニル基、4−マレイミジルフェニル基、2−ベンゾシクロブテニル基などが挙げられる。
【0139】
特定キノフタロン染料は、下記反応式のように、対応する2−メチルキノリンとナフタレンジカルボン酸無水物を安息香酸中、高温で反応させることで、得ることができる。
【0140】
【化12】
【0141】
なお、本発明の一般式(5)の特定キノフタロン色素は互変異性体が存在するが、互変異性体についても本発明の権利範囲内のものである。
【0142】
本発明のカラーフィルタ用緑色着色組成物に使用できる特定キノフタロン染料の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
【化13】
【0144】
【化14】
【0145】
【化15】
【0146】
【化16】
【0147】
【化17】
【0148】
(顔料の微細化)
本発明の着色組成物に使用する着色剤が顔料の場合、ソルトミリング処理等により微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5〜90nmの範囲であることが好ましい。5nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になり、90nmよりも大きくなると十分なコントラスト比を得ることができない。このような理由から、より好ましい平均一次粒子径は10〜70nmの範囲である。
【0149】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0150】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
【0151】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0152】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
【0153】
<樹脂[B]>
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、着色剤を分散、染色、または浸透させるものであって、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0154】
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂をアルカリ現像型着色レジスト材に用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで着色剤が固定され、耐熱性が良好になり、着色剤の熱による退色(明度低下)を抑制できる。また、現像工程においても着色剤成分の凝集・析出を抑制する効果もある。
【0155】
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0156】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0157】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用感光性着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基および現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
【0158】
バインダー樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤[A]の全重量100重量部に対し、20重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、1000重量部以下の量で用いることが好ましい。
【0159】
バインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0160】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0161】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(i)や(ii)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0162】
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0163】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)ア
クリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)
アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロ
ヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併
用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)
アクリレートが好ましい。
【0164】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル
安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、
シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上
を併用してもかまわない。
【0165】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無
水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2
種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
【0166】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0167】
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0168】
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3
−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレ
ート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用し
てもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキ
シド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテ
ルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラク
トン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステル
モノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0169】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチ
ルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用するこ
ともできる。
【0170】
[熱硬化性化合物]
本発明においては、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含むことが好ましい。本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いてカラーフィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、着色膜の焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのため着色膜の耐薬品性が向上するという効果が得られる。
【0171】
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/または樹脂、ベンゾグアナミン化合物及び/または樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/または樹脂、ロジン変性フマル酸化合物及び/または樹脂、メラミン化合物及び/または樹脂、尿素化合物及び/または樹脂、フェノール化合物及び/または樹脂、および有機溶剤に可溶であるβ−ヒドロキシアルキルアミド系化合物及び/または樹脂が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。これらの中でも高耐溶剤性を得る観点から、エポキシ化合物及び/または樹脂が好ましい。
【0172】
熱硬化性化合物の配合量は、着色剤[A]100重量に対し、0.5〜300重量部であることが好ましく、1.0〜50重量部であることがより好ましい。0.5重量部未満では耐熱性改善効果が小さく、300重量部より多いとフォトリソグラフィーによる着色膜形成時に不具合を生ずる場合がある。
【0173】
《エポキシ化合物及び/または樹脂》
エポキシ化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。また、エポキシ化合物は製造工程由来の不純物としてハロゲン原子を含有することがあるため、なるべくハロゲン源となる不純物を含まないほど好ましいが、着色膜中に1500ppm以下となれば使用に制限はない。
【0174】
このようなエポキシ化合物の例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α',α'−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α',α'−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α'−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ化合物であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0175】
市販品としては、例えば、セロキサイド2021P、EHPE−3150(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコールEX−920、EX−810、EX−830、EX−850、EX−711、EX−721、EX−201、EX−111(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0176】
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0177】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0178】
中でも、着色剤の分散性、浸透性、および着色組成物の塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0179】
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚の着色膜を形成できることから、着色剤[A]100重量部に対して、500〜4000重量部の量で用いることが好ましい。
【0180】
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0181】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0182】
光重合性単量体の配合量は、着色剤[A]100重量部に対し、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
【0183】
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。また、本発明で用いられる光重合開始剤は、ハロゲン原子を含有していないものが好ましい。
【0184】
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0185】
光重合開始剤の含有量は、着色剤[A]100重量部に対し、2〜200重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3〜150重量部であることがより好ましい。
【0186】
<増感剤>
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0187】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0188】
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0189】
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0190】
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。また、本発明で用いられる酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有していないものが好ましい。
【0191】
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
【0192】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−ノニルフェノール、2,2'−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチル−フェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2'−チオ−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミル−ヒドロキノン、2,2'チオジエチルビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,1,3−トリス−(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−t−ブチルフェニル)−ブタン、2,2'−メチレン−ビス−(6−(1−メチル−シクロヘキシル)−p−クレゾール)、2,4−ジメチル−6−(1−メチル−シクロヘキシル)−フェノール、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0193】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′−4,7−テトラキス〔4,6−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0194】
リン系酸化防止剤としては、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルイソオクチルフォスファイト、フェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4'イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリスジノニルフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラトリデシル4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ソジウム−2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスファイト、1,3−ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)−ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)等が挙げられる。その他フォスファイト構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0195】
イオウ系酸化防止剤としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0196】
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等を使用することが出来る。
【0197】
ベンゾフェノン系酸化防止剤として具体的には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2'ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5スルフォベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2'−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0198】
トリアジン系酸化防止剤としては、2,4−ビス(アリル)−6−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5−トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0199】
サルチル酸エステル系酸化防止剤としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p−オクチルフェニル、サリチル酸p−tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0200】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0201】
また酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用感光性着色組成物の固形分重量を基準として、0.5〜5.0重量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
【0202】
<アミン系化合物>
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
【0203】
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、およびN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0204】
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0205】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0206】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0207】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0208】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0209】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物およびその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0210】
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0211】
(貯蔵安定剤)
貯蔵安定剤としては、例えば、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0212】
(密着向上剤)
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、青色着色組成物中の着色剤100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0213】
(多官能チオール)
本発明の青色着色組成物は多官能チオールとして、チオール(SH)基を2個以上有する化合物を含んでも良い。
多官能チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる青色着色組成物は高感度となる。特に、SH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0214】
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、着色剤100重量部に対して0.05〜100重量部が好ましく、より好ましくは1.0〜50.0重量部である。多官能チオールの含有量が0.05重量部未満では、連鎖移動剤の効果が小さく、100重量部より多くても、重合開始機能は向上しないうえ、現像性、密着性等が不十分になる。
【0215】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、着色剤[A]を、バインダー樹脂などの色素担体および/または溶剤中に、好ましくは分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。また、染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0216】
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記顔料分散体と、光重合性単量体及び/または光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の顔料分散剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0217】
(分散助剤)
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度および粘度安定性が良好になる。また、本発明で用いられる分散助剤としては、ハロゲン原子を含有していないものが好ましい。
【0218】
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
【0219】
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤[A]100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは35重量部以下である。
【0220】
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤の着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0221】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、21116、21324、21407、21715またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0222】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0223】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合には、着色剤[A]100重量部に対し、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0224】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0225】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、着色組成物を用いて、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
【0226】
印刷法による着色膜の形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0227】
フォトリソグラフィー法により着色膜を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0228】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0229】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色着色膜を透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめ着色膜を形成しておき、この着色膜を所望の基板に転写させる方法である。
【0230】
透明基板あるいは反射基板上に各色着色膜を形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色着色膜を形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【0231】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0232】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0233】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。
【0234】
また、顔料の平均一次粒子径、および樹脂の重量平均分子量(Mw)は以下の通りである。
【0235】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0236】
(樹脂の重量平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0237】
続いて、実施例および比較例で用いたバインダー樹脂溶液、熱硬化性化合物、造塩染料用樹脂、着色剤、造塩化合物、着色組成物、造塩化合物含有樹脂溶液、および感光性着色組成物の製造方法について説明する。
【0238】
<バインダー樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液1)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。
【0239】
(アクリル樹脂溶液2)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)18000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液2を調製した。
【0240】
<造塩染料用樹脂の製造方法>
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂1)
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75 ℃ に昇温した。別途、メチルメタクリレート34.0部、n−ブチルメタクリレート28.0部、2−エチルヘキシルメタクリレート28.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.0部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6.5部、およびメチルエチルケトン25.1部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、6830である事を確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2部、エタノール22.0 部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。このようにして樹脂成分が47重量%の側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を得た。得られた樹脂のアンモニウム塩価は34mgKOH/gであった。
【0241】
ここで、側鎖にカチオン性基を有する樹脂のアンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した値であり、固形分のアンモニウム塩価を示す。
【0242】
<着色剤の製造方法>
(赤色着色剤(R−1))
ベンズイミダゾロン顔料C.I.ピグメントレッド176(クラリアント社製「Novoperm Carmine HF3C」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の赤色着色剤(R−1)を得た。平均一次粒子径は39.8nmであった。
【0243】
(赤色着色剤(R−2))
ベンズイミダゾロン顔料C.I.ピグメントレッド185(クラリアント社製「Novoperm Carmine HF4C」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の赤色着色剤(R−2)を得た。平均一次粒子径は41.2nmであった。
【0244】
(赤色着色剤(R−3))
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメントレッド177(チバ・ジャパン社製「クロモフタルレッド A2B」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の赤色着色剤(R−3)を得た。平均一次粒子径は27.6nmであった。
【0245】
(赤色着色剤(R−4))
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメントレッド254(チバ・ジャパン社製「IRGAZIN RED 2030」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、115部の赤色着色剤(R−4)を得た。平均一次粒子径は24.8nmであった。
【0246】
(黄色着色剤(Y−1))
イソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー139(PY139)(チバ・ジャパン社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)500部、塩化ナトリウム2500部、及びジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃で6時間混練した。次に、この混練物を5000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、黄色着色剤(Y−1)を得た。平均一次粒子径は36.0nmであった。
【0247】
(黄色着色剤(Y−2))
ニッケル錯体系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー150(ランクセス社製「E−4GN」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、95部の黄色着色剤(Y−2)を得た。平均一次粒子径は39.2nmであった。
【0248】
(黄色着色剤(Y−3))
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー138(BASF社製商品名「パリオトールイエローK0961HD」)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の黄色着色剤(Y−3)を得た。平均一次粒子径は35.5nmであった。
【0249】
(黄色着色剤(Y−4))
6−ヘキシル−2−メチルキノリン29部とナフタレンジカルボン酸無水物25部、安息香酸300部を混合し、200℃で7時間攪拌した。放冷後、メタノールを1000部加え、1時間撹拌した。そして、析出している固体を吸引ろ過で収集した。さらに固体をメタノール2000部中に入れ、1時間攪拌後、吸引ろ過で固体を収集した。真空乾燥機(40℃)で一晩乾燥し、式(5−1)で表される特定キノフタロン色素(黄色着色剤(Y−4))42部を得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=408(分子量407.5)で目的物であることを確認した。
【0250】
【化18】
【0251】
(緑色着色剤(G−1))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン36(トーヨーケム社製「リオノールグリーン 6YK」)120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、117部の緑色着色剤(G−1)を得た。平均一次粒子径は32.6nmであった。
【0252】
(緑色着色剤(G−2))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTGEN GREEN A110」)を100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、緑色着色剤(G−2)97部を得た。平均一次粒子径は28.2nmであった。
【0253】
(青色着色剤(B−1))
反応容器中でn−アミルアルコール1250部に、フタロジニトリル225部、塩化アルミニウム無水物78部を添加し、攪拌した。これに、DBU(1,8−Diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)266部を加え、昇温し、136℃で5時間還流させた。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部の混合溶媒中へ、攪拌下注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部の混合溶媒で洗浄し、乾燥して、135部のクロロアルミニウムフタロシアニンを得た。さらに、反応容器中でクロロアルミニウムフタロシアニン100部をゆっくり濃硫酸1200部に、室温にて加えた。40℃、3時間撹拌して、3℃の冷水24000部に硫酸溶液を注入した。青色の析出物をろ過、水洗、乾燥して、下記式(6)で表されるヒドロキシアルミニウムフタロシアニン1を102部得た。
【0254】
【化19】
【0255】
続いて、式(6)で表わされるヒドロキシアルミニウムフタロシアニン顔料を100部と、塩化ナトリウムを1200部と、ジエチレングリコール120部とをステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、青色着色剤(B−1)を得た。平均一次粒子径は30.4nmであった。
【0256】
(青色着色剤(B−2))
反応容器中でメタノール1000部に、式(6)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を100部とリン酸ジフェニルを49.5部とを加え、40℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(7)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料114部を得た。
【0257】
【化20】
【0258】
得られた式(7)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を、青色着色剤(B−1)と同様のソルトミリング処理法で、青色着色剤(B−2)を得た。平均一次粒子径は31.2nmであった。
【0259】
(青色着色剤(B−3))
反応容器中でメタノール1000部に、式(6)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を100部と、ジフェニルホスフィン酸を43.2部とを加え、40℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(8)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料112部を得た。
得られた式(8)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を、青色着色剤(B−1)と同様のソルトミリング処理法で、青色着色剤(B−3)を得た。平均一次粒子径は29.5nmであった。
【0260】
【化21】
【0261】
(青色着色剤(B−4))
式(6)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を100部に、ピリジン200部、キシレン800部、およびフェニルホスホン酸54.6部を加え、8時間加熱還流を続けた。ろ過して、メタノールで洗浄後、乾燥して、110部の下記式(9)で表わされるアルミニウムフタロシアニン顔料を得た。
【化22】
続けて、青色着色剤(B−1)と同様の方法でソルトミリング処理を行い、青色着色剤(B−4)を製造した。得られた着色剤の体積平均一次粒子径は37nmであった。
【0262】
(青色着色剤(B−5))
β型銅フタロシアニン系シアン色顔料C.I.ピグメントブルー15:3(トーヨーケム社製「リオノールブルー FG−7351」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の青色着色剤(B−5)を得た。平均一次粒子径は34.5nmであった。
【0263】
(青色着色剤(B−6))
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーケム社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の青色着色剤(B−6)を得た。平均一次粒子径は28.3nmであった。
【0264】
(紫色着色剤(V−1))
キナクリドン系紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット19(トーヨーケム社製「CATULIA RED YP」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、118部の紫色着色剤(V−1)を得た。平均一次粒子径は29.2nmであった。
【0265】
(紫色着色剤(V−2))
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(Clariant社製「Fast Violet RL」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、118部の紫色着色剤(V−2)を得た。平均一次粒子径は26.4nmであった。
【0266】
<造塩化合物の製造方法>
(造塩化合物(A−1))
2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(トビアス酸)(分子量223)を9モル%の水酸化ナトリウム溶液中に添加し、この液を十分に攪拌することにより、そのナトリウム塩を得た。この2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(トビアス酸)(分子量223)ナトリウム水溶液を85℃に加熱した後、ビクトリアピュアブルー染料(C.I.ベーシック ブルー 7)を少しずつ滴下した。ビクトリアピュアブルー染料は、水溶液として用いても良い。ビクトリアピュアブルー染料の滴下終了後、十分に反応させるべく、85℃で55分間に亘って攪拌した。反応の終点は、濾紙に反応液を滴下して、滲みがなくなった時点とした。即ち、滲みがなくなったときに造塩化合物が得られたと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、更に水洗した。水洗後、濾紙上に残った造塩化合物から乾燥機を用いて水分を除去し、ビクトリアピュアブルー染料を2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(トビアス酸)との造塩化合物であるトリアリールメタン系造塩化合物(A−1)を得た。
【0267】
(造塩化合物(A−2))
下記の手順でC.I.アシッドレッド289と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1とからなる造塩化合物(A−2)を製造した。
水2000部に51部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱する。一方、90部の水に10部のC.I.アシッド レッド 289を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下していく。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部のC.I.アシッド レッド 289と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1との造塩化合物(A−2)を得た。このとき造塩化合物(A−2)中のC.I.アシッドレッド289に由来する有効色素成分の含有量は29重量%であった。
【0268】
(造塩化合物(A−3))
下記の手順でC.I.アシッドレッド52とジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(アーカード2HT−75)(カチオン部分の分子量が438〜550)とからなる造塩化合物(A−3)を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、C.I.アシッドレッド52を溶解させ十分に混合・攪拌を行い、70〜90℃に加熱した後、アーカード2HT−75を少しずつ滴下していく。またアーカード2HT−75は水に溶解し水溶液として用いても良い。アーカード2HT−75を滴下した後、70〜90℃で60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、C.I.アシッドレッド52とジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライドとの造塩化合物、造塩化合物(A−3)を得た。
【0269】
<着色組成物の製造方法>
(着色組成物(DR−1))
下記に示す組成(重量部)の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(DR−1)を作製した。

赤色着色剤(R−1) :12.0部
樹脂型分散剤 : 1.0部
エフカケミカル社製「EFKA4300」
アクリル樹脂溶液1 :35.0部
溶剤 :52.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0270】
(赤色着色組成物(DR−1〜4)、黄色着色組成物(DY−1〜4)、緑色着色剤(DG−1〜2)、青色着色剤(DB−1〜6)及び紫色着色剤(DV−1〜2))
着色組成物(DR−1)と同様に、表1に示す組成(重量部)の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色組成物(DR−1〜4)、(DY−1〜4)、(DG−1〜2)、(DB−1〜6)及び(DV−1〜2)を作製した。
【0271】
【表1】
【0272】
なお、表1中、EFKA4300およびBYK−LPN6919は以下のものである。
EFKA4300:エフカケミカル社製、アミン価56mgKOH/g
BYK−LPN6919:ビックケミー社製、アミン価74mgKOH/g
アミン価は、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。上記樹脂型分散剤のアミン価は、固形分のアミン価を示す。
【0273】
<造塩化合物含有樹脂溶液の製造方法>
(造塩化合物含有樹脂溶液(DA−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5.0μmのフィルタで濾過し造塩化合物含有樹脂溶液(D−1)を作製した。
【0274】
造塩化合物(A−1) :12.0部
アクリル樹脂溶液1 :40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :48.0部
【0275】
(造塩化合物含有樹脂溶液(DA−2〜3))
造塩化合物1を表2に示す造塩化合物に変更した以外は、造塩化合物含有樹脂溶液(D−1)と同様にして、造塩化合物含有樹脂溶液(DA−2〜3)を作製した。
【表2】
【0276】
<感光性着色組成物の製造方法>
(感光性着色組成物(RR−1)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し感光性着色組成物(RR−1)を作製した。

赤色着色組成物(DR−1) :31.5部
赤色着色組成物(DR−3) : 9.0部
黄色着色組成物(DY−1) : 4.5部
アクリル樹脂溶液2 : 7.5部
光重合性単量体 : 3.0部
東亞合成社製「アロニックスM402」
光重合開始剤 : 1.3部
チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」
増感剤 : 0.2部
保土谷化学社製「EAB−F」
溶剤 :43.0部
シクロヘキサノン
【0277】
(感光性着色組成物(RR−2〜7、RG−1〜11、RB−1〜8))
表3、表4、表5に示す混合物を均一になるよう攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物1(RR−1)と同様にして、各色感光性着色組成物(RR−2〜7、RG−1〜11、RB−1〜8)を得た。表3〜5中の光重合性単量体としては東亞合成社製「アロニックスM402」を、光重合開始剤としては、チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」を、増感剤としては保土谷化学社製「EAB−F」を、熱硬化性化合物1としてはダイセル化学工業社製「EHPE3150」を、熱硬化性化合物2としてはナガセケムテックス社製「EX−850」を用いた。尚、着色組成物および造塩化合物含有樹脂溶液の比率については、塗膜評価の際にC光源でそれぞれ以下の色度に合うようにした。
赤色感光性着色組成物 x=0.640、y=0.330
緑色感光性着色組成物 x=0.290、y=0.600
青色感光性着色組成物 x=0.150、y=0.060
【0278】
【表3】
【0279】
【表4】
【0280】
【表5】
【0281】
[実施例1〜15、比較例1〜4]
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで表6に示す赤色感光性着色組成物をC光源において(以下、緑色、青色にも用いる)x=0.640、y=0.330になるような膜厚に塗布し着色膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて150mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を200℃で20分加熱して、赤色着色膜を形成した。同様の方法により、表6に示す緑色感光性着色組成物をx=0.290、y=0.600になるような膜厚に塗布し、フォトマスクを介して紫外線を照射したのち現像し、200℃で20分加熱して、緑色着色膜を形成した。次いで同様の方法により、表6に示す青色感光性着色組成物をx=0.150、y=0.060になるような膜厚に塗布し、フォトマスクを介して紫外線を照射したのち現像し、200℃で20分加熱して、青色着色膜を形成し、着色膜セットを得た。
【0282】
【表6】
【0283】
<着色膜セットの評価>
得られた着色膜セットの各着色膜におけるハロゲン含有量、色特性、および溶剤耐性の評価を下記方法で行った。表7に評価結果を示す。
【0284】
(ハロゲン含有量の測定方法)
透明基板上に表6で示す感光性着色組成物をそれぞれ2.0μmになるように塗布し着色被膜を形成した。該被膜に超高圧水銀ランプを用いて、150mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、この基板を200℃で20分加熱、放冷後、得られた塗布基板から塗膜を0.5部削り取った。削り取った塗膜をフラスコ燃焼法にて前処理を行い、得られたサンプルのハロゲン含有量を、イオンクロマトグラフィーで定量することで測定した。
【0285】
(色特性評価)
実施例1〜15、比較例1〜4で作製した着色膜セットに、C光源を用いて光を照射したときの各色着色膜部分の明度を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)で測定した。
【0286】
(耐溶剤性試験の方法)
透明基板上に表6で示す感光性着色組成物をそれぞれC光源で下記の色度になるような膜厚に塗布し各着色膜を形成した。
赤色感光性着色組成物 x=0.640、y=0.330
緑色感光性着色組成物 x=0.290、y=0.600
青色感光性着色組成物 x=0.150、y=0.060
該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて150mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を200℃で20分加熱した。放冷後、得られた塗膜のC光源での色度1(L*(1),a*(1),b*(1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。その後、基板をN−メチルピロリドンに30分間浸漬した。基板を取り出した後、各色フィルタセグメント部分のC光源での色度2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。
【0287】
測定した色差値を用いて、下記計算式により、色差ΔEab*を算出し、塗膜の耐溶剤性を下記の4段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.5未満
○:ΔEab*が1.5以上3.0未満
△:ΔEab*が3.0以上5.0未満
×:ΔEab*が5.0以上
【0288】
【表7】
【0289】
実施例1〜15のように、本発明の着色膜セットは、各着色膜中に含まれるハロゲン量が、1500ppm以下であり、ハロゲン原子が含まれないか、あるいは、含んでも極微量のため、安全衛生面や環境汚染問題に対応するカラーフィルタの提供が可能である。
【0290】
なかでも、実施例1〜7及び実施例13〜15で得られた着色膜セットのように、着色膜にアルミニウムフタロシアニン顔料と、一般式(1)で示されるベンズイミダゾロン顔料であるC.I.ピグメントレッド176もしくはC.I.ピグメントレッド185と、さらにハロゲン原子を含まない染料を含む着色膜とを用いた場合には、赤色着色膜、緑色着色膜、青色着色膜の全てで高い明度となり、ホワイトの明度も高いカラーフィルタが得られた。
【0291】
また、実施例13〜15で得られた着色膜セットに関しては、熱硬化性化合物を含むため、耐溶剤性がより良好であった。
【0292】
一方、比較例1〜4の着色膜セットは、少なくとも1色以上は着色膜中のハロゲン量が1500ppmより大きく、安全衛生面や環境汚染問題に対応ができていない。