特許第5949419号(P5949419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

特許5949419無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法
<>
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000002
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000003
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000004
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000005
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000006
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000007
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000008
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000009
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000010
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000011
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000012
  • 特許5949419-無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949419
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20160623BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20160623BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20160623BHJP
【FI】
   G08G1/09 F
   H04W92/20 110
   H04W4/04 111
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-225234(P2012-225234)
(22)【出願日】2012年10月10日
(65)【公開番号】特開2014-78119(P2014-78119A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 文哉
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−267963(JP,A)
【文献】 特開2003−264562(JP,A)
【文献】 特開2003−229894(JP,A)
【文献】 特開2011−022713(JP,A)
【文献】 特開2010−130047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
H04W 4/00−99/00
H04B 7/24− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の路側通信機を備えた無線通信システムであって、
前記複数の路側通信機は、互いの送信データを中継可能に路路間通信を行う通信制御部を備え、
前記通信制御部は、自機が関連する経路の送信元及び送信先を示す通信経路情報及び前記通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報を記憶しており、
前記通信経路情報と、前記送信データの送信元及び送信先とに基づいて、前記送信データの送信のために自機が無線接続すべき路側通信機を認識するとともに、前記送信データの送信のための通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報を取得し、
前記路路間通信において自機が送信すべき複数の送信データそれぞれの送信優先度に基づいて、前記複数の送信データを前記自機が無線接続すべき路側通信機に送信するとともに、
前記送信データの送信のための通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報に基づいて、前記複数の送信データそれぞれの送信優先度を決定することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記複数の送信データそれぞれの自機における送信待機時間に応じて、前記送信優先度を調整する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記複数の送信データそれぞれに予め設定された属性に応じて、前記送信優先度を調整する請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記複数の路側通信機は、一般の交差点よりも重要度が高い重要交差点に配置された重要路側通信機を含んでおり、
前記通信制御部は、送信データの前記送信元及び前記送信先の少なくとも一方が、前記重要路側通信機である場合、前記送信元及び前記送信先のいずれもが前記重要路側通信機でない場合よりも、その送信データが優先的に送信されるように前記送信優先度を設定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記複数の路側通信機は、当該複数の路側通信機を管理する管理装置に有線通信可能に接続されている管理路側通信機を含んでおり、
前記通信制御部は、送信データの前記送信元及び前記送信先の少なくとも一方が、前記管理路側通信機である場合、前記送信元及び前記送信先のいずれもが前記管理路側通信機でない場合よりも、その送信データが優先的に送信されるように前記送信優先度を設定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記通信制御部は、車載通信機に向けてデータ送信するための路車間通信用のタイムスロットを用いて、前記路路間通信において送信すべき送信データを送信する請求項1〜5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記通信制御部は、受信したデータが、路側通信機と車載通信機との間で行われる路車間通信のデータであるか、前記路路間通信の送信データであるかを判別する処理を行い、前記路路間通信の送信データであると判別されたデータについて、前記送信優先度を決定し送信する請求項1〜6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
他の路側通信機との間で、送信データを中継可能に路路間通信を行う通信制御部を備え、
前記通信制御部は、自機が関連する経路の送信元及び送信先を示す通信経路情報及び前記通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報を記憶しており、
前記通信経路情報と、前記送信データの送信元及び送信先とに基づいて、前記送信データの送信のために自機が無線接続すべき路側通信機を認識するとともに、前記送信データの送信のための通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報を取得し、
前記路路間通信において自機が送信すべき複数の送信データそれぞれの送信優先度に基づいて、前記複数の送信データを前記自機が無線接続すべき路側通信機に送信するとともに、
前記送信データの送信のための通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報に基づいて、前記複数の送信データそれぞれの送信優先度を決定することを特徴とする路側通信機。
【請求項9】
他の路側通信機との間で、送信データを中継可能に路路間通信を行う通信制御装置であって、
自装置が関連する経路の送信元及び送信先を示す通信経路情報及び前記通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報を記憶しており、
前記通信経路情報と、前記送信データの送信元及び送信先とに基づいて、前記送信データの送信のために自装置が無線接続すべき路側通信機を認識するとともに、前記送信データの送信のための通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報を取得し、
前記路路間通信において自装置が送信すべき複数の送信データそれぞれの送信優先度に基づいて、前記複数の送信データを前記自装置が無線接続すべき路側通信機に送信するとともに、
前記送信データの送信のための通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報に基づいて、前記複数の送信データそれぞれの送信優先度を決定することを特徴とする通信制御装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項9記載の通信処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
路側通信機が他の路側通信機との間で、送信データを中継可能に路路間通信を行う通信方法であって、
前記路側通信機は、自装置が関連する経路の送信元及び送信先を示す通信経路情報及び前記通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報を記憶しており、
前記路側通信機が関連する経路の送信元及び送信先を示す通信経路情報と、前記送信データの送信元及び送信先とに基づいて、前記送信データの送信のために前記路側通信機が無線接続すべき路側通信機を認識するとともに、前記送信データの送信のための通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報を取得するステップと、
前記送信データの送信のための通信経路情報に対応付けられた優先順位を示す情報に基づいて、前記送信データの送信優先度を決定するステップと、
記送信データの送信優先度に基づいて、前記送信データを前記路側通信機が無線接続すべき路側通信機に送信するステップとを含むことを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)の構成要素として好適に用いることができる無線通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、移動体(車両等)が道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信し、或いは車両同士で情報交換を行い、これらの情報を活用することで車両走行の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる高度道路交通システムにおいて用いられる無線通信システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機(移動通信機)とによって構成される。
【0003】
この場合、各通信主体間で行う通信の組み合わせには、路側通信機と車載通信機とが行う路車(又は車路)間通信、及び、車載通信機同士が行う車車間通信のほか、路側通信機同士が行う路路間通信が含まれることになる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【特許文献2】特開2011−114647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記高度道路交通システムにおいては、車車間通信をはじめ、路車間通信や路路間通信及び路歩間通信も含め、これらの各通信の共存を図るに当たって、限られた周波数帯域内で路路間、路車間及び車車間の各通信を行うために、無線リソースを時間領域で分割して路側通信機の送信専用の時間帯と、車載通信機の送信専用の時間帯とを区切ることで時間スロットを設ける、時分割多重(TDMA:Time Division Multiple Access)によるマルチアクセス方式を採用している。
【0006】
この内、車車間通信における通信方式については、各車載通信機が自律的にルーティングを行うアドホックネットワークによる通信について検討がなされている。
また、道路上に配置される車両感知器や監視カメラ等によるセンサネットワークについては、ZigBee(登録商標)ネットワークによる通信が検討されている。ただし、前記センサ等は、省電力送信により常時送信可能な状態ではないため、経路探索が必要な場合は、車車間通信と同様、アドホックネットワーク等によって経路探索を行うことになる。
【0007】
一方、路路間通信においても、上述のアドホックネットワークプロトコルを採用することが考えられるが、この場合、固定配置され移動することがほとんどないノードとしての路側通信機に対して経路探索を行うとすると、遅延が発生するばかりか、経路管理のために通信リソースを無駄に消費することとなる。
このため、上述のアドホックネットワークルーティングを採用することは、通信リソースの有効利用の観点からは好ましくない。
【0008】
さらに、路路間通信においては、各路側通信機の属性や設置位置、あるいは送信データの属性に応じて、早急に送信しなければならないデータや、さほど緊急性の高くない送信データ等、送信データの優先度が異なる種々のデータが送受信される。このため、アドホックネットワークルーティングによって、その都度経路探索したとすると、探索毎に経路が異なるおそれがあり、経路上の路側通信機の属性や、設置位置等を送信データの優先度に反映することが困難となり、適切な送信を行うことが困難となる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、通信リソースを有効利用しつつ速やかに適切な路路間通信を行うことができる無線通信システム、及びこれに用いる路側通信機、通信制御装置、コンピュータプログラム、通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するための本発明は、複数の路側通信機を備えた無線通信システムであって、前記複数の路側通信機は、互いの送信データを中継可能に路路間通信を行う通信制御部を備え、前記通信制御部は、前記路路間通信において自機が送信すべき複数の送信データそれぞれの送信優先度に基づいて、前記複数の送信データを送信するとともに、
前記複数の送信データの送信元及び送信先に応じて、前記複数の送信データそれぞれの送信優先度を決定することを特徴としている。
【0011】
上記構成の無線通信システムによれば、送信データの送信元及び送信先に応じて、前記複数の送信データそれぞれの送信優先度を決定するので、送信元及び送信先の組み合わせ及びこれらに対応する適切な送信優先度を記憶しておけば、経路探索することなく速やかに通信経路を特定でき、各通信経路に応じた適切な送信優先度を設定することができる。この結果、経路探索のための遅延や、経路管理のための通信リソースの消費を抑制することができ、通信リソースを有効利用しつつ速やかに適切な路路間通信を行うことができる。
【0012】
(2)上記無線通信システムにおいて、他の送信データの送信優先度との関係によって送信機会を逃し、送信待ちの待機状態となった送信データについては、より優先して送信する必要がある。
このため、前記通信制御部は、前記複数の送信データそれぞれの自機における送信待機時間に応じて、前記送信優先度を調整するものであることが好ましい。
【0013】
(3)また、上記無線通信システムにおいて、前記通信制御部は、前記複数の送信データそれぞれに予め設定された属性に応じて、前記送信優先度を調整するものであってもよい。
この場合、属性として、そのデータの緊急度や重要度を設定すれば、緊急度や重要度に応じて、送信優先度を調整することができる。
【0014】
(4)前記複数の路側通信機が、一般の交差点よりも重要度が高い重要交差点に配置された重要路側通信機を含んでいる場合、前記通信制御部は、送信データの前記送信元及び前記送信先の少なくとも一方が、前記重要路側通信機である場合、前記送信元及び前記送信先のいずれもが前記重要路側通信機でない場合よりも、その送信データが優先的に送信されるように前記送信優先度を設定することが好ましい。
この場合、重要路側通信機に関連して送信される重要度の高い送信データを、他の送信データよりも優先的に送信することができる。
【0015】
(5)また、前記複数の路側通信機が、当該複数の路側通信機を管理する管理装置に有線通信可能に接続されている管理路側通信機を含んでいる場合、前記通信制御部は、送信データの前記送信元及び前記送信先の少なくとも一方が、前記管理路側通信機である場合、前記送信元及び前記送信先のいずれもが前記管理路側通信機でない場合よりも、その送信データが優先的に送信されるように前記送信優先度を設定することが好ましい。
この場合、管理路側通信機が、複数の路側通信機の管理に関する送信データを送信する場合にも、他の送信データよりも優先的に送信することができる。
【0016】
(6)上記無線通信システムにおいて、前記通信制御部は、車載通信機に向けてデータ送信するための路車間通信用のタイムスロットを用いて、前記路路間通信において送信すべき送信データを送信するものであることが好ましい。
この場合、路車間通信用のタイムスロットを用いることで、路路間通信の送信データを効率的に送信することができる。
【0017】
(7)前記通信制御部は、受信したデータが、路側通信機と車載通信機との間で行われる路車間通信のデータであるか、前記路路間通信の送信データであるかを判別する処理を行い、前記路路間通信の送信データであると判別されたデータについて、前記送信優先度を決定し送信するものであってもよい。
【0018】
(8)また、本発明の路側通信機は、他の路側通信機との間で、送信データを中継可能に路路間通信を行う通信制御部を備え、前記通信制御部は、前記路路間通信において自機が送信すべき複数の送信データそれぞれの送信優先度に基づいて、前記複数の送信データを送信するとともに、前記複数の送信データの送信元及び送信先に応じて、前記複数のデータそれぞれの送信優先度を決定することを特徴としている。
【0019】
(9)本発明は、他の路側通信機との間で、送信データを中継可能に路路間通信を行う通信制御装置であって、前記路路間通信において自装置が送信すべき複数の送信データそれぞれの送信優先度に基づいて、前記複数の送信データを送信するとともに、前記複数の送信データの送信元及び送信先に応じて、前記複数のデータそれぞれの送信優先度を決定することを特徴としている。
【0020】
(10)また、本発明は、コンピュータを、上記(9)の通信処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0021】
(11)本発明は、他の路側通信機との間で、送信データを中継可能に路路間通信を行う通信方法であって、前記路路間通信において自装置が送信すべき複数の送信データの送信元及び送信先に応じて、前記複数のデータそれぞれの送信優先度を決定するステップと、前記複数の送信データそれぞれの送信優先度に基づいて、前記複数の送信データを送信するステップとを含むことを特徴としている。
【0022】
上記(8)〜(11)によれば、通信リソースを有効利用しつつ速やかに適切な路路間通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通信リソースを有効利用しつつ速やかに適切な路路間通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】高度道路交通システムの実施の一形態を示す概略斜視図である。
図2】本システムにおける各路側通信機2の通信接続の態様を示す図である。
図3】路側通信機の構成を示すブロック図である。
図4】(a)はフレームを示し、(b)はフレーム中のスロットの構造(一部)と割り当て方を示す図である。
図5】各交差点のスロット割り当てを示す図である。
図6】(a)は、第1スロットを用いて路路間通信のパケットを送信する際の態様を示した図であり、(b)は、第1スロットを用いて路路間通信のパケットを送信する際の他の態様を示した図である。
図7】路路間通信のパケットの構造を示す図である。
図8】各路側通信機における無線接続の関係の一例を示す図である。
図9】各路側通信機の通信処理装置が実行する路路間通信パケットの送信処理の手順を示したフローチャートである。
図10】路側通信機の通信処理装置による、路路間通信パケット生成処理の手順を示したフローチャートである。
図11】優先度演算処理の手順を示したフローチャートである。
図12】路側通信機の通信処理装置による、受信処理の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔1. システムの全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機(無線機)2、車載通信機(無線機)3(図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
【0026】
交通信号機1と路側通信機2は、複数の交差点A1〜A5,B1〜B5、C1〜C5,D1〜D5,E1〜E5のそれぞれに設置されている。交通信号機1と一部の路側通信機2は、電話回線等の有線通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4は、自身が管轄するエリアの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0027】
路側センサ6は、各交差点に流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報や画像データは通信回線7を介して中央装置4に送信される。
なお、図1では、図示を簡略化するために、各交差点に信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点には、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
【0028】
高度道路交通システムにおいて、無線通信システムを構成する、複数の交差点それぞれに設置された複数の路側通信機(無線機)2は、その周囲を走行する車両の車載通信機3との間で無線通信(路車間通信)が可能である。
また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2とも無線通信(路路間通信)が可能である。
また、同じく無線通信システムを構成する車載通信機(無線機)3は、路側通信機2との間で無線通信を行うとともに、キャリアセンス方式で他の車載通信機3と無線通信(車車間通信)が可能である。
【0029】
中央装置4に有線通信回線7で接続されている交通信号機1及び路側通信機2(オンライン路側通信機2a)は、中央装置4の管轄するエリアに含まれる全ての路側通信機2のうちの一部であり、中央装置4に対して有線通信回線7で接続されていない路側通信機2(スタンドアローン路側通信機2b)も存在する。
図1では、交差点A3,B3,C3,D3,E3に設置された路側通信機2が、オンライン路側通信機2aであり、他の交差点に設置された路側通信機2は、スタンドアローン路側通信機2bである。
【0030】
図1中、交差点A3,B3,C3,D3,E3は、重要交差点であり、オンライン路側通信機2aは、主に重要交差点に設置される。なお、重要交差点とは、幹線道路が交わるような交差点で交通量が最も多い等、交通流の改善や事故防止に対して大きく影響を及ぼす交差点をいう。
【0031】
スタンドアローン路側通信機2bは、他の路側通信機2との間で無線通信を行い、管理情報等、システムとして必要な情報の交換を行う。
スタンドアローン路側通信機2bは、前記エリア内に複数設けられているサブエリアのいずれかに属している。
サブエリアとは、少なくとも1機のオンライン路側通信機2aと、このオンライン路側通信機2aに無線接続するスタンドアローン路側通信機2bとを含んで構成されているエリアである。
図1において、交差点A3に設置されているオンライン路側通信機2aには、交差点A1,A2,A4,A5に設置されている4機のスタンドアローン路側通信機2bが無線通信によって接続されており、交差点A1〜A5に設置されている路側通信機2群は、1つのサブエリアを構成している。
【0032】
図2は、本システムにおける各路側通信機2の通信接続の態様を示す図である。図に示すように、各オンライン路側通信機2aは、有線通信回線7や、ルータ、通信処理装置等の下位装置を介して中央装置4に接続されている。スタンドアローン路側通信機2bは、無線通信による路路間通信によってオンライン路側通信機2aと通信可能に接続されている。また、1機のオンライン路側通信機2aに対して、複数機(図例では4機)のスタンドアローン路側通信機2bが接続されている。
本システムでは、1機のオンライン路側通信機2aに対して、複数機のスタンドアローン路側通信機2bを接続することで、サブエリアを構成し、さらにこのサブエリアを複数並べることで、エリア全体の制御を行っている。
【0033】
図1に戻って、他の路側通信機2も同様に、交差点B1〜B5に設置されている5機の路側通信機2群、交差点C1〜C5に設置されている5機の路側通信機2群、交差点D1〜D5に設置されている5機の路側通信機2群、及び交差点E1〜E5に設置されている5機の路側通信機2群は、それぞれサブエリアを構成している。
【0034】
図3は、路側通信機2の構成を示すブロック図である。図3に示すように、スタンドアローン路側通信機2bは、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部(送受信部)21と、通信制御処理を行う通信処理装置25とを備えている。
通信処理装置25は、制御部23と、必要な情報を記憶する記憶部24と、を備えている。制御部23は、無線通信及び有線通信の通信制御処理を行う。記憶部24は、無線通信及び優先通信のために必要な情報を記憶する。
有線通信回線7を介して中央装置4と接続されているオンライン路側通信機2aは、さらに、有線通信回線7を介して中央装置4と通信するための有線通信部22を備えている。
【0035】
通信処理装置25は、その機能の一部又は全部が、ハードウェア回路によって構成されていてもよいし、その機能の一部又は全部が、コンピュータプログラムによって実現されていてもよい。通信処理装置25の機能の一部又は全部がコンピュータプログラムによって実現される場合、通信処理装置25(制御部23)は、コンピュータを含み、コンピュータによって実行されるコンピュータプログラムは、記憶部24に記憶される。
【0036】
〔2. 無線通信の方式等〕
図4(a)は、無線通信システムにおいて用いられる無線フレームを示している。この無線フレームは、その時間軸方向の長さ(フレーム長)が100ミリ秒に設定されている。つまり、1秒間に10フレームが発生する。
フレームは、例えば、路側通信機2が有するGPS受信機(図示省略)によって受信したGPS信号に含まれる1PPS(1秒周期の信号)に基づいて生成される。
【0037】
図4(b)は、一つの無線フレーム内部の構造(一部)を示している。図4(b)に示すように、一つの無線フレームは、第1スロットSL1と、第2スロットSL2とを含んで構成されている。
第1スロットSL1は、路側通信機2に割り当てられる路車間通信用のタイムスロット(路車間通信期間)であり、この時間帯においては、路側通信機2による無線送信が許容される。
一方、第2スロットSL2は、車載通信機3用のタイムスロット(車用通信期間)であり、この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2は第2スロットSL2では無線送信を行わない。
【0038】
無線フレームに含まれている第1スロットSL1と、第2スロットSL2とは、時間軸方向に交互に配置されている。
第1スロットSL1には、それぞれスロット番号iが付されている。
【0039】
路側通信機2には、無線フレームに含まれる複数の第1スロットSL1(例えば、16個の第1スロット)の内の一つ又は複数の第1スロットSL1が割り当てられる。路側通信機2はスロット番号iによっていずれの第1スロットSL1が自機に割り当てられるかを認識する。
一つの路側通信機2に対して、無線フレームに含まれる複数の第1スロットSL1の内の一つのスロットを割り当てる場合、例えば、無線フレームに含まれるi=1の第1スロットSL1には、交差点A2,B5,C3,D1の路側通信機2に割り当てられ、i=2の第1スロットSL1には、交差点A3,B1,C4,D2の路側通信機2に割り当てられ、i=3の第1スロットSL1には、交差点A4,B2,C5,D3の路側通信機2に割り当てられ、i=4の第1スロットSL1には、交差点A5,B3,C1,D4の路側通信機2に割り当てられ、i=5の第1スロットSL1には、交差点A1,B4,C2,D5の路側通信機2に割り当てられる。
【0040】
複数の路側通信機2は、路車間通信において、路側通信機2同士で互いに干渉が生じないことから同じスロット(送信期間)を同時に使用することができる路側通信機2のグループに分けることができる。図4(b)では、交差点A2,B5,C3,D1の路側通信機2、交差点A3,B1,C4,D2の路側通信機2、交差点A4,B2,C5,D3の路側通信機2、交差点A5,B3,C1,D4の路側通信機2、及び交差点A1,B4,C2,D5の路側通信機2の5つのグループに分けられる。
同一のグループに属する路側通信機2が、同一の送信期間を用いて送信したとしても、干渉は生じないので、これらグループ毎に異なる送信期間を割り当てることで干渉が防止される。
【0041】
なお、このグループそれぞれに異なるように割り当てられる送信期間を時間チャネルともいう。この時間チャネルの数は、同一の送信期間を使用することができる路側通信機2のグループの数と同じである。
図4(b)では、各時間チャネル(時間チャネル番号Ch1〜Ch5)それぞれに、異なる第1スロットSL1(i=1〜5)が割り当てられている。
【0042】
図5は、図1に示す複数の路側通信機2に対する、図4に従った時間チャネルの割り当て方を示している。図5において、各交差点の丸内の数字は、時間チャネル番号を示している。各路側通信機2は、自機2に割り当てられた時間チャネル番号の第1スロットSL1において、路車間通信を行う。
【0043】
隣接する交差点の路側通信機2に対して同一の第1スロットSL1が割り当てられていると、隣接する交差点間にいる車両5は、双方の路側通信機2からの路車間通信の電波を受け、干渉が生じる。しかし、図5のように、同一の第1スロットSL1を分散させて割り当てることで、各路側通信機2による路車間通信の際の干渉を防止できる。
【0044】
〔3. 路路間通信によるデータの送信〕
路側通信機2の通信処理装置25は、自機2に割り当てられた第1スロットSL1において、車両5(車載通信機3)に対して路車間通信及び路路間通信に関するデータをパケット化し、無線通信部21から無線送信させる制御を行う。
【0045】
第1スロットSL1は、路側通信機2による路車間通信の送信のため必要と想定される最大の送信時間が確保されている。また、第1スロットSL1の長さは固定である。
【0046】
一方、第1スロットSL1において、路側通信機2から車両5の車載通信機3へ向けてブロードキャスト送信される路車間通信パケット(路車間通信のデータ)のデータ長(データ量)は、可変である。したがって、路車間通信のパケットのデータ長が、一つの第1スロットSL1において送信可能な最大データ長よりも小さければ、第1スロットSL1において路車間通信のパケットを送信しても、当該第1スロットSL1には空き時間が生じることになる。
【0047】
図6(a)は、第1スロットSL1を用いて路路間通信のパケットを送信する際の態様を示した図である。
通信処理装置25は、図6(a)に示すように、第1スロットSL1において、路車間通信のパケットを送信した際の余った空き時間を利用して、路路間通信のパケット(路路間通信の送信データ)を送信する。これにより、路路間通信のための専用のタイムスロットを設ける必要がなく、路車間通信のデータ量が少ないときに、路路間通信が行え、路路間通信パケットを効率的に送信することができる。
【0048】
図6(b)は、第1スロットSL1を用いて路路間通信のパケットを送信する際の他の態様を示した図である。通信処理装置25は、図6(b)に示すように、路路間通信のための第1スロットSL1を確保し、この第1スロットSL1を用いて路路間通信のパケットを送信することもできる。
【0049】
図7は、路路間通信のパケットの構造を示す図である。路路間通信のパケットは、プリアンブル、ヘッダ、及びデータ本体を備えている。
ヘッダは、送信元IDや、送信先ID、転送元ID、データ種別などの情報が格納される領域を有している。
データ本体は、路側通信機2の保守情報又は災害情報など、他の路側通信機2に対して、知らせたい情報が格納される領域である。
送信元IDは、路路間通信パケットを生成して最初に送信した路側通信機2を示すIDである。送信先IDは、路路間通信パケットの最終的な宛先となる路側通信機2を示すIDである。転送元IDは、送信元IDから送信先IDへの路路間通信パケットを転送(中継)した路側通信機2を示すIDである。送信元の路側通信機2は、中継することなく路路間通信パケットを送信先に送信する場合、送信元IDに自機のIDを格納するとともに、転送元IDにも自機のIDを格納する。
【0050】
本実施形態において、各路側通信機2は、後述するように、自機が無線接続すべき路側通信機2を示すID、及び、自機が関連する通信経路情報としてその経路の送信元、送信先、転送先それぞれの路側通信機2を示すIDを記憶している。よって、各路側通信機2は、ヘッダに格納されている送信元ID、送信先ID、及び転送元IDを参照することで、自機が受信、又は中継すべきパケットであるか否かを判定することができる。
【0051】
データ種別は、データ本体に格納されている情報の属性を示す属性情報が格納されている。例えば、本実施形態では、属性として緊急度を示す情報が格納されている。通常運用がなされている場合に送信されるような情報に対しては、属性情報として「平常」が対応付けられている。この場合、データ種別には、「平常」が格納される。
一方、災害や、交通事故等の発生を報知するための情報や、このような異常な事態に対応するために各路側通信機2間で共有しなければならない情報等に対しては、属性情報として「緊急」対応付けられている。この場合、データ種別には、「緊急」が格納される。
【0052】
本システムでは、各路側通信機2の間で路路間通信パケットを送信するための通信経路を予め設定し、各路側通信機2の通信処理装置25は、その通信経路にしたがって、自機が生成した路路間通信パケットの送信や、他の路側通信機2が送信元及び送信先である路路間通信パケットの中継送信といった送信処理を行うように構成されている。
以下に、各路側通信機2による通信経路の設定について説明する。
【0053】
図8は、各路側通信機2における無線接続の関係の一例を示す図である。図8においては、図1中、交差点A1〜A5に設置されたサブエリアを構成している5機の路側通信機2の関係を示している。
これら各路側通信機2には、IDが割り当てられている。交差点A1に設置されている路側通信機2から、交差点A5に設置されている路側通信機2まで、順番にID=100〜104が割り当てられている。
【0054】
ID=102の路側通信機2は、交差点A3に設置されたオンライン路側通信機2aである。それ以外の路側通信機2は、スタンドアローン路側通信機2bである。
これら各路側通信機2は、交差点A3に設置されたオンライン路側通信機2aを中心に、ID順に並べられたときに隣り合う路側通信機2同士で無線接続するように構成されている。各路側通信機2は、これら無線接続に基づいて通信経路が設定され、サブエリア内でネットワークを構成している。
なお、以下の説明では、ID=100,101,102の各路側通信機2に着目して説明する。
【0055】
ID=100,101,102の各路側通信機2によって構成される通信経路は、図8に示すように、6つ存在しており、各通信経路を「送信元ID−送信先ID」で示している。また、各通信経路には、送信の際にいずれのパケットを先に送信するかを決定するための相対的な優先順位が設定されている。
オンライン路側通信機2aが送信元となる2つの経路102−101、及び経路102−100は、管理に関する情報等、システムとして必要な情報を各スタンドアローン路側通信機2bに送信するために用いられるため、各通信経路に対する相対的な送信の優先順位は、最も優先される大きい数値である「3」に設定されている。
【0056】
また、オンライン路側通信機2aが送信先となっている経路100−102、及び経路101−102も、管理等のシステムに必要な情報の送信に用いられるため、その優先順位は、経路102−101、及び経路102−100の次に優先される数値である「2」に設定されている。
スタンドアローン路側通信機2b同士の通信経路である経路100−101、及び経路101−100の優先順位は、他の通信経路と比較して最も低い「1」に設定されている。このように、各通信経路には、3段階の優先順位が設定されている。
【0057】
なお、本実施形態では、主として、通信経路にオンライン路側通信機2aが関連しているか否かによって、各通信経路の相対的な優先順位を設定したが、この優先順位については、送信元から送信先までの距離や、中継される回数に応じて設定することもできる。
この場合、送信元から送信先までの距離が長い場合や、中継回数が比較的多い場合には、送信元から送信先にパケットが到達するまでに遅延が生じるおそれがあり、その遅延の影響を抑制することができる。
【0058】
各路側通信機2は、自機のID、自機が無線接続すべき路側通信機2のID、自機が送信に関連する通信経路情報、及び通信経路の優先順位を示す情報を記憶部24(図3)に記憶している。
【0059】
図8中の破線内には、ID=100,101,102の各路側通信機2が記憶している上記各情報が示されている。
[ID]は、自機のIDを示している。[CONNECTEDTO]は、自機が直接無線接続すべき路側通信機2のIDを示している。[RR−GEN−DEST]は、自機が送信に関連する通信経路情報、及びその通信経路によってパケットを送信する際の優先順位を示すパラメータの値を示している。
【0060】
交差点A1に設置されているスタンドアローン路側通信機2bが記憶している各情報をみると、[ID]としては、自機のIDである「100」が記憶されている。[CONNECTEDTO]としては、「101」が記憶されている。これは、ID=100のスタンドアローン路側通信機2bがID=101の路側通信機2と直接無線接続すべきことを示している。また、[CONNECTEDTO]として記憶されている「101」は、下記の[RR−GEN−DEST]の内容から、転送元の路側通信機のIDであることを認識することができる。
[RR−GEN−DEST]としては、「100−102(2),100−101(1)」が記憶されている。これら数値は、ID=100のスタンドアローン路側通信機2bが送信に関連する通信経路を上記同様、「送信元ID−送信先ID」で示している。これに付記されている括弧内の数値は、その通信経路の自機における優先順位を示すパラメータ(優先度パラメータPgd)の値であり、各通信経路に対応付けられている。
【0061】
経路100−102と、経路100−101との間の相対的な優先順位は、上述のように、ID=102に関連している経路100−102の方が高く設定されている。よって経路100−102の優先度パラメータPgdの値は、経路100−101の「1」に対して、より優先順位が高いことを示す「2」とされている。
【0062】
交差点A2に設置されているスタンドアローン路側通信機2bが記憶している各情報をみると、[ID]としては、自機のID「101」が記憶されている。[CONNECTEDTO]としては、「100,102」が記憶されており、ID=101のスタンドアローン路側通信機2bがID=100,102の路側通信機2と直接無線接続すべきことを示している。
[RR−GEN−DEST]としては、「100−102(2),101−100(1),101−102(2),102−100(3)」が記憶されている。
これら各経路の中で、経路102−100の優先順位が最も高いので、優先度パラメータPgdの値は「3」とされている。次いで、優先順位の高い経路100−102、及び経路101−102の優先度パラメータPgdの値は、「2」とされている。スタンドアローン路側通信機2b間の通信経路である経路101−100の優先度パラメータPgdの値は、最も優先順位が低いことを示す「1」とされている。
【0063】
交差点A3に設置されているオンライン路側通信機2aが記憶している各情報をみると、[ID]としては、自機のID「102」が記憶されている。[CONNECTEDTO]としては、「103,101」が記憶されており、オンライン路側通信機2aがID=103,101の路側通信機2と直接無線接続すべきことを示している。また、[CONNECTEDTO]として記憶されている「101」(「103」)は、下記の[RR−GEN−DEST]の内容から、転送元の路側通信機のIDであることを認識することができる。
[RR−GEN−DEST]としては、「102−100(1),102−101(1),102−103(1),102−104(1)」が記憶されている。
オンライン路側通信機2aが送信元となる通信経路は、いずれの通信経路も各経路の中で最も優先順位が高い。よって、オンライン路側通信機2aが送信に関連する各通信経路は、全て相対的には同じ優先順位(優先順位「3」)なので、各通信経路の優先度パラメータPgdの値は全て同じ数値である「1」とされている。
【0064】
各路側通信機2の通信処理装置25は、これら情報にしたがって路路間通信パケットの送信処理を行う。
【0065】
〔4. 路側通信機2の送信制御について〕
〔4.1 送信処理について〕
各路側通信機2の通信処理装置25は、上述の予め設定された通信経路にしたがって、自機が生成した路路間通信パケットを送信する処理を行う。また、通信処理装置25は、自機が受信した、他の路側通信機2が送信先である路路間通信パケットを前記通信経路にしたがって中継送信する処理を行う。
【0066】
各路側通信機2の通信処理装置25は、自機に割り当てられた第1スロットSL1を用いて、自機のパケット送信や、他の路側通信機2が送信先である路路間通信パケットの中継送信といった送信処理を行う。
自機に割り当てられた第1スロットSL1(送信期間)は、無線フレーム内で限られているため(「一般社団法人電波産業会、”700MHz帯高度道路交通システム ARIB−STD T109 1.0版“」には、任意の100ms間における送信時間の総和が10.5ms以下と規定されている)、その送信機会は制限される。
このため、各路側通信機2の通信処理装置25は、1回の送信機会に対して送信すべき路路間通信パケットが複数となる場合には、各路路間通信パケットそれぞれについての優先度に基づいて、各路路間通信パケットを送信する。
【0067】
各路路間通信パケットの送信に関する優先度(送信優先度RR)は、下記式(1)によって求められる。
送信優先度RR =
優先度パラメータPgd +待機パラメータ P + 属性パラメータPdata
・・・(1)
【0068】
各路側通信機2の通信処理装置25は、自機が生成した路路間通信パケット、及び自機が受信して他の路側通信機2に中継送信する路路間通信パケットについて、上記送信優先度RRを求め決定する。
【0069】
上記式(1)中、優先度パラメータPgdは、送信優先度RRを求める対象の路路間通信パケットの通信経路に付与された優先順位を示す値であり、上述したように、各路側通信機2は、各通信経路に対応した適切な値を記憶している。各路側通信機2は、対象の路路間通信パケットの送信元及び送信先から通信経路を特定し、特定した通信経路に対応する優先度パラメータPgdを取得する。
待機パラメータPは、送信優先度RRを求める対象の路路間通信パケットがどの程度送信待ちの待機状態を継続しているかを示す値である。待機パラメータPは、後述するように、送信元としての路側通信機2が路路間通信パケットを生成したとき、又は中継送信すべく他の路側通信機2から受信したときに初期値として「0」に設定される。
属性パラメータPdataは、データ種別に格納される属性情報に応じて設定される値である。
【0070】
通信処理装置25は、自機が送信すべき路路間通信パケットごとに、上記各パラメータを記憶しており、必要に応じてその数値を調整し、送信優先度RRを求める。
【0071】
図9は、各路側通信機2の通信処理装置25が実行する路路間通信パケットの送信処理の手順を示したフローチャートである。
通信処理装置25は、まず、自機において送信待ち状態の路路間通信パケット(自機が送信すべき路路間通信パケット)の有無を判定する(ステップS1)。送信待ち状態の路路間通信パケットが無い場合、通信処理装置25は、処理を終える。
【0072】
ステップS1において、送信待ち状態の路路間通信パケットが有ると判定した場合、通信処理装置25は、次に訪れる送信機会である自機に割り当てられた第1スロットSL1に、送信待ち状態の路路間通信パケットをスケジューリングする(ステップS2)。
このとき、通信処理装置25は、予め求めていた各路路間通信パケットの送信優先度RRに応じてスケジューリングする。
通信処理装置25は、例えば、送信優先度RRの値が大きいものから順番にスケジューリングする。これによって、送信優先度RRの値が大きい路路間通信パケットは、優先的に送信される。なお、送信優先度RRが互いに同一の路路間通信パケットの場合、先に路路間通信パケットとして送信準備が完了したものから順にスケジューリングする。
【0073】
また、1回の送信機会ではリソース不足等によって送信できない路路間通信パケットが生じることがある。そこで、通信処理装置25は、送信されなかった路路間通信パケットの有無を判断する(ステップS3)。
ステップS3において、送信されなかった路路間通信パケットが無いと判断すると、通信処理装置25は、処理を終える。
一方、送信されなかった路路間通信パケットが有ると判断すると、通信処理装置25は、送信されなかった路路間通信パケットそれぞれの待機パラメータPtに対して増分値ΔPとして例えば「0.5」を加える(ステップS4)。
【0074】
このように、通信処理装置25は、一度送信機会を逃した路路間通信パケットの待機パラメータPに増分値ΔPを加えることで、当該路路間通信パケットの送信優先度RRの値を増加させる。これによって、送信機会を逃した路路間通信パケットは、後の送信機会において他の路路間通信パケットに対して、より優先して送信されることになる。
【0075】
つまり、本実施形態において、他の路路間通信パケットの送信優先度RRとの関係によって送信機会を逃し、送信待ちの待機状態となった送信優先度RRについては、より優先して送信する必要がある。このため、通信処理装置25は、路路間通信パケットそれぞれの自機における送信待機時間に応じて、送信優先度RRを調整する。
【0076】
なお、その後さらに送信されずに待機状態を継続すると、さらに増分値ΔPが追加されるので、送信待ちの待機状態が継続すればするほど送信優先度RRの値が大きくなる。この結果、送信されずに長期間に亘って待機状態になる路路間通信パケットが生じるのを抑制することができる。
【0077】
次いで、送信されなかった路路間通信パケットを次に訪れる送信機会となる第1スロットSL1に対するスケジューリングを行うまで、送信待ちの待機状態とし(ステップS5)、再度処理を繰り返す。
【0078】
このように、通信処理装置25は、自機が送信すべき路路間通信パケットそれぞれの送信優先度RRに基づいて、路路間通信パケットを送信する。
各路側通信機2は、上述の送信処理において、自機が生成した路路間通信パケットと、を送信する場合と、他の路側通信機2が送信元及び送信先である路路間通信パケットを中継送信する場合とがある。
以下、各路側通信機2の通信処理装置25が、路路間通信パケットの送信元として路路間通信パケットを生成する際の処理について説明する。
【0079】
〔4.2 路路間通信パケットの生成処理〕
図10は、路側通信機2の通信処理装置25による、路路間通信パケット生成処理の手順を示したフローチャートである。
通信処理装置25は、路路間通信データを送信することを決定すると(ステップS101)、その送信先、及びデータ種別を特定する(ステップS102)。
次いで、通信処理装置25は、データ本体に送信先に対して通知すべき情報を格納し、また特定した送信先、及びデータ種別に関する情報をヘッダの所定領域に格納した路路間通信パケットを生成する(ステップS103)。
【0080】
路路間通信パケットを生成した通信処理装置25は、この生成した路路間通信パケットについての送信優先度RRを求めるための処理である優先度演算処理を行う(ステップS104)。
【0081】
図11は、優先度演算処理の手順を示したフローチャートである。
通信処理装置25は、まず、待機パラメータPを初期値としての「0」に設定する(ステップS201)。これによって、送信元としての路側通信機2が路路間通信パケットを生成したときに、待機パラメータPは、初期値として「0」に設定される。
【0082】
次いで、通信処理装置25は、この路路間通信パケットの通信経路を特定し、その通信経路に対応付けられている優先度パラメータPgdを取得する(ステップS202)。
通信処理装置25は、送信元は自機であるので、本パケットの送信先から、通信経路を特定し、その通信経路に対応付けられている優先度パラメータPgdを取得する。
【0083】
次いで、通信処理装置25は、この路路間通信パケットのデータ種別が「平常」であるか否かを判断する(ステップS203)。データ種別が「平常」である場合、通信処理装置25は、属性パラメータPdataを「0」に設定する(ステップS204)。
一方、データ種別が「緊急」である場合、通信処理装置25は、属性パラメータPdataを例えば「100」に設定する(ステップS205)。このように、平常の場合、数値を加算せず、緊急の場合、属性パラメータPdataとして他のパラメータと比較して極端に大きい数値を加算することで、送信優先度RRの値を極端に大きく調整することができる。この結果、「緊急」であるデータ種別の情報を、他の情報に対して最優先で送信させることができる。このように、データ本体に格納されている情報の属性として設定される緊急度に応じて送信優先度RRを調整することができる。
【0084】
なお、属性パラメータPdataは、データ本体に格納されている情報の属性として設定されたものであり、情報内容が特別な場合に加算されるものである。また、待機パラメータPは、路路間通信パケットの送信待ちの待機状態の継続状況に応じて定まる値である。つまり、これらパラメータは、送信優先度RRを、通信経路以外の要因で優先度を調整するためのパラメータである。
よって、送信優先度RRは、主に、対象となる路路間通信パケットの通信経路に応じて設定された優先度パラメータPgdに基づいて定められる。
また、優先度パラメータPgdは、送信元及び送信先に応じて、適切な優先順位となるように予め設定されている。したがって、送信優先度RRは、路路間通信パケットの送信元及び送信先に応じて決定される。
【0085】
その後、通信処理装置25は、ステップS206において、送信優先度RRを演算により求め(ステップS206)、優先度演算処理を終える。
以上のようにして、本実施形態の通信処理装置25は、上記優先度演算処理によって、送信優先度RRを求め、決定する。
【0086】
本実施形態では、通信処理装置25が、自機が関連する通信経路を記憶部24に記憶しているので、複数の路路間通信パケットを送信する場合においても、経路探索することなく速やかに通信経路を特定することができ、各通信経路に応じた適切な送信優先度RRを設定するとができる。
【0087】
図10に戻って、優先度演算処理を終えて送信優先度RRを求めた通信処理装置25は、生成した路路間通信パケットを送信待ちの待機状態とし(ステップS105)、処理を終える。
送信待ちの待機状態とされた上記路路間通信パケットは、図9にて示した送信処理によって、送信優先度RRに基づいて送信される。
【0088】
次に、各路側通信機2(図8中、ID=102の路側通信機2)が、他の路側通信機2が送信元でかつさらに他の路側通信機2が送信先である路路間通信パケットを受信する際の受信処理について説明する。
【0089】
〔4.3 受信処理について〕
図12は、路側通信機2の通信処理装置25による、受信処理の手順を示したフローチャートである。
通信処理装置25は、他の路側通信機2からのデータ(パケット)を受信すると、まず、この受信パケットが、路路間通信パケットであるか否かを判断する(ステップS301)。路路間通信パケットであるか否かの判断は、受信パケットのヘッダに格納されている送信先のIDを取得することで行われる。
通信処理装置25は、自機が属しているサブエリアを構成する路側通信機2のIDを記憶している。通信処理装置25は、送信先のIDが記憶している路側通信機2のIDでない場合には、受信パケットが路車間通信パケットと判断し、送信先のIDが記憶している路側通信機2のIDである場合には、受信パケットが路路間通信パケットと判断する。
【0090】
ステップS301において、受信パケットが、路車間通信のパケットであると判断した場合、通信処理装置25は、路車間通信に関する処理を行い(ステップS302)、処理を終える。
受信パケットが、路路間通信パケットであると判断した場合、通信処理装置25は、その受信パケットの送信先が自機であるか否かを判断する(ステップS303)。通信処理装置25は、上記送信先のIDにより当該パケットの送信先が自機であるか否かを判断する。
受信パケットの送信先が自機である場合、通信処理装置25は、そのパケット内のデータを取得し(ステップS304)、処理を終える。
【0091】
一方、受信パケットの送信先が自機以外の他の路側通信機2の場合、通信処理装置25は、ステップS305に進み、受信パケットの通信経路が自機と関連する通信経路か否かを判断する(ステップS305)。
通信処理装置25は、受信パケットのヘッダから送信元ID及び転送先IDをさらに取得して、受信パケットの通信経路を特定する。そして、通信処理装置25は、自機が記憶部24に記憶している、自機が関連する通信経路を参照し、受信パケットの通信経路と一致する通信経路の有無を確認する。
【0092】
自機が記憶している通信経路の中に、受信パケットの通信経路と一致するものが無い場合、通信処理装置25は、受信パケットの通信経路が自機に関連するものではないとして、当該受信パケットを破棄する(ステップS306)。
一方、受信パケットの通信経路と一致するものが有る場合、通信処理装置25は、受信パケットの通信経路が自機に関連する通信経路と判断する。
【0093】
受信パケットが自機に関連する通信経路と判断すると、通信処理装置25は、優先度演算処理を行い(ステップS307)、当該受信パケットの送信優先度RRを求め、決定する。
【0094】
このように、本実施形態では、通信処理装置25が、自機が関連する通信経路を記憶部24に記憶しているので、他の路側通信機2が送信先である路路間通信パケットを中継送信する場合においても、経路探索することなく速やかに通信経路を特定することができ、各通信経路に応じた適切な送信優先度RRを設定することができる。なお、優先度演算処理については、上述した通りであり、説明を省略する。
【0095】
受信パケットについての送信優先度RRを求めた通信処理装置25は、この受信パケットを路路間通信パケットとして、送信待ちの待機状態とし(ステップS308)、処理を終える。
送信待ちの待機状態とされた受信パケットは、図9にて示した送信処理によって、送信優先度RRに基づいて送信される。
【0096】
なお、上記受信処理において、数多くのパケットについて受信処理する必要が生じ処理負荷が大きくなると、受信処理に遅延が生じるおそれがある。
そこで、処理対象のパケットをアプリケーションデータにまで展開する前に、当該パケットの処理を可能とすることで、処理負荷に起因する受信処理の遅延を抑制することができる。
【0097】
具体的に、以下の処理を行わせるように通信処理装置25を構成すればよい。すなわち、通信処理装置25は、処理対象のパケットをアプリケーションデータにまで展開する前に、拡張層(Extended Layer)に関するヘッダに格納されている「Base Station ID」を取得する(なお、拡張層(Extended Layer)、及び「Base Station ID」については、「ITS情報通信システム推進会議、”700MHz帯高度道路交通システム拡張機能ガイドライン ITS FORUM RC−010 1.0版”」を参照)。
そして、通信処理装置25は、自機が関連する通信経路情報として記憶部24に記憶されている、その通信経路に関する送信元ID、送信先ID、及び転送先IDと、取得した「Base Station ID」に示されるIDとが一致するか否かを判断する。
【0098】
「Base Station ID」が、通信経路情報に示されるいずれかのIDと一致する場合、通信処理装置25は、自機が関連する通信経路と関係のある路側通信機2からのパケットであるとしてそのまま、通常の処理を実行する。
一方、「Base Station ID」が、通信経路情報に示されるいずれのIDとも一致しない場合、通信処理装置25は、自機とは関係のないパケットとして破棄する。
これによって、自機とは関係のないパケットについては、アプリケーションデータにまで展開する前に破棄することができるので、処理負荷を軽減でき、受信処理の遅延を抑制することができる。
【0099】
また、他の方法としては、レイヤ7(アプリケーション層)に関するヘッダに格納されるアプリケーション関連情報に当該パケットの送信先IDを格納しておく。そして、アプリケーション関連情報に格納される送信先IDを、通信処理装置25に参照させ、参照した送信先IDが自機でない場合には、そのパケットを統合、デコード処理しないでそのまま転送(中継)するように構成してもよい。
この場合も、不必要に、パケットをアプリケーションデータにまで展開することなく処理することができるので、処理負荷を軽減でき、受信処理の遅延を抑制することができる。
【0100】
〔5. 効果について〕
本実施形態のシステムは、複数の路側通信機2を備えている。これら複数の路側通信機2は、互いの路路間通信パケットを送受信することで、中継可能に路路間通信を行う通信処理装置25を備え、この通信処理装置25は、路路間通信において自機が送信すべき複数の路路間通信パケットそれぞれの送信優先度RRに基づいて、各路路間通信パケットを送信する。また、通信処理装置25は、各路路間通信パケットの送信元及び送信先に応じて、各路路間通信パケットそれぞれの送信優先度RRを決定する。
【0101】
上記構成のシステムによれば、通信処理装置25が、路路間通信パケットの送信元及び送信先に応じて、各路路間通信パケットそれぞれの送信優先度RRを決定するとともに、送信元及び送信先の組み合わせ及びこれらに対応する適切な送信優先度RRを求めるための優先度パラメータPgdを記憶しているので、経路探索することなく速やかに通信経路を特定でき、各通信経路に応じた適切な送信優先度RRを設定することができる。この結果、経路探索のための遅延や、経路管理のための通信リソースの消費を抑制することができ、通信リソースを有効利用しつつ速やかに適切な路路間通信を行うことができる。
【0102】
また、本実施形態において、図8に示すように、重要交差点A3に配置されたオンライン路側通信機2aが送信元又は送信先となっている通信経路については、他の通信経路に対する相対的な優先順位が、オンライン路側通信機2aが含まれない通信経路100−101、及び通信経路101−100よりも高く設定されているので、通信処理装置25がこれら通信経路に対して決定する送信優先度RRについても、重要交差点A3に配置されたオンライン路側通信機2aが送信元又は送信先となっている通信経路がより高く設定される。
したがって、重要交差点に設置されたオンライン路側通信機2a(又は中央装置4に有線通信可能に接続されたオンライン路側通信機2a)に関連して送信されるシステムの管理情報等、重要度の高い路路間通信パケットを、他の路路間通信パケットよりも優先的に送信することができる。
【0103】
〔6. その他〕
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、路路間通信パケットのデータ種別の領域に格納される情報である属性情報として、本実施形態では、データ本体に格納される情報の緊急度を示すために、「平常」と、「緊急」の2種類の情報を格納する場合を示したが、より詳細に緊急度を示すために、緊急度を数値で表し、その数値に応じて、属性パラメータPdataを調整するように構成してもよい。
また、属性情報としては、緊急度に代えて、データ本体に格納される情報の重要度を示す情報とすることもできる。
【0104】
また、送信優先度RRを求めるための各パラメータの数値は、各パラメータ毎の寄与度を調整するために適宜することができる。例えば、通信経路の優先度を示す優先度パラメータPgdは、本実施形態では、3段階の数値、「1」,「2」,「3」と設定したが、より多段に設定してもよいし、他のパラメータよりもより寄与度を高めるために、各数値それぞれを増加させるための係数を乗算又は加算してもよい。
【0105】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
2 路側通信機
2a オンライン路側通信機
2b スタンドアローン路側通信機
3 車載通信機
4 中央装置
5 車両
23 制御部
24 記憶部
25 通信処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12