特許第5949422号(P5949422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949422
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/075 20060101AFI20160623BHJP
【FI】
   B66F9/075 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-226095(P2012-226095)
(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公開番号】特開2014-76887(P2014-76887A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】大石 英史
(72)【発明者】
【氏名】杉本 貴久
(72)【発明者】
【氏名】渡▲辺▼ 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 崇
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】前田 和樹
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−171029(JP,A)
【文献】 特開2009−274651(JP,A)
【文献】 特開平07−133096(JP,A)
【文献】 特開平07−172800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを含む電池モジュールが車体に搭載された産業車両であって、
前記電池モジュールが接合される熱交換部材と、
前記車体に設けられ、前記電池モジュールの前記熱交換部材と接合されていない部分に向けて突出する規制部材と、を有し、
前記規制部材は、前記電池セルの前記規制部材と対向する方向への移動を規制することを特徴とする産業車両。
【請求項2】
複数の電池セルを含む電池モジュールが車体に搭載された産業車両であって、
前記電池モジュールが接合される熱交換部材と、
前記電池モジュールの前記熱交換部材と接合されていない部分と間隔を空けて対向して配置される取付部材と、
前記取付部材に設けられ、前記電池モジュールの前記熱交換部材と接合されていない部分に向けて突出する規制部材と、を有し、
前記電池モジュールは、前記複数の電池セルが並設されてなり、
前記規制部材は、隣り合う前記電池セル間に跨って配置され、前記電池セルの前記規制部材と対向する方向への移動を規制することを特徴とする産業車両。
【請求項3】
前記熱交換部材は、鉛直方向に延びる立設部を有し、
前記電池モジュールは、前記立設部に接合されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の産業車両。
【請求項4】
前記電池モジュールは、前記複数の電池セルの並設方向両端に配置される第1の固定部材と第2の固定部材とを有し、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材が、前記熱交換部材と接合されることで前記電池モジュールが前記熱交換部材に接合されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の産業車両。
【請求項5】
前記規制部材は、前記電池セルの並設方向中央に位置する前記複数の電池セル間に跨って配置されることを特徴とする請求項4に記載の産業車両。
【請求項6】
前記熱交換部材は、カウンタウェイトであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックが車体に搭載された産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の産業車両としては、例えば、特許文献1に記載のカウンタバランス型フォークリフトが知られている。
特許文献1に記載のカウンタバランス型フォークリフト(以下、フォークリフトという)の車体後部には、カウンタウェイトが設けられている。カウンタウェイトには、電装品の収容室が開口した状態で形成されている。電装品の一面には、ヒートシンクが装着されている。ヒートシンクは、ブラケットを利用して収容室の内面に取り付けられている。ヒートシンクの少なくとも4隅それぞれには、ボルトが設けられており、このボルトをブラケットに締結することでヒートシンクは、収容室の内面と密着した状態で固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−211892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、フォークリフトの走行時など、車体が振動すると、電装品も振動してしまい、ヒートシンクに対し電装品が接離してしまう。すると、電装品から発生した熱がカウンタウェイトに伝わりにくく、電装品を効率よく冷却できないおそれがある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池セルを効率よく冷却することができる産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する産業車両は、複数の電池セルを含む電池モジュールが車体に搭載された産業車両であって、前記電池モジュールが接合される熱交換部材と、前記車体に設けられ、前記電池モジュールの前記熱交換部材と接合されていない部分に向けて突出する規制部材と、を有し、前記規制部材は、前記電池セルの前記規制部材と対向する方向への移動を規制することを要旨とする。
【0007】
これによれば、車体が振動したときなど、電池モジュールが、電池セルの規制部材と対向する方向に向けて移動することが規制部材によって規制される。この結果、電池モジュールは熱交換部材に接合された状態が維持され、電池セルから発生した熱は、熱交換部材に効率よく吸熱され、電池セルを効率よく冷却することができる。
【0008】
また、上記課題を解決する産業車両は、複数の電池セルを含む電池モジュールが車体に搭載された産業車両であって、前記電池モジュールが接合される熱交換部材と、前記電池モジュールの前記熱交換部材と接合されていない部分と間隔を空けて対向して配置される取付部材と、前記取付部材に設けられ、前記電池モジュールの前記熱交換部材と接合されていない部分に向けて突出する規制部材と、を有し、前記電池モジュールは、前記複数の電池セルが並設されてなり、前記規制部材は、隣り合う前記電池セル間に跨って配置され、前記電池セルの前記規制部材と対向する方向への移動を規制することを要旨とする。
【0009】
これによれば、請求項1と同様に、電池モジュールが、電池セルの規制部材と対向する方向に向けて移動することが規制部材によって規制される。
また、前記熱交換部材は、鉛直方向に延びる立設部を有し、前記電池モジュールは、前記立設部に接合されていてもよい。
【0010】
これによれば、鉛直方向に立設された立設部に電池モジュールを接合することができ、規制部材によって立設部から電池モジュールが移動することを規制することができる。
また、前記電池モジュールは、前記複数の電池セルの並設方向両端に配置される第1の固定部材と第2の固定部材とを有し、前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材が、前記熱交換部材と接合されることで前記電池モジュールが前記熱交換部材に接合されてもよい。
【0011】
これによれば、電池モジュールを第1の固定部材及び第2の固定部材によって適切に熱交換部材に固定することができる。
また、前記規制部材は、前記電池セルの並設方向中央に位置する前記複数の電池セル間に跨って配置されていてもよい。
また、前記熱交換部材は、カウンタウェイトであってもよい。
【0012】
これによれば、産業車両に備わっているカウンタウェイトを熱交換部材として利用できるため、熱交換部材を別途設ける必要がない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電池セルを効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態のフォークリフトを示す概略側面図。
図2】実施形態の電池パックを示す斜視図。
図3】実施形態の電池パックを示す図2の3−3線断面図。
図4】実施形態の蓋部材を示す斜視図。
図5】実施形態の電池モジュールを示す斜視図。
図6】実施形態の電池ホルダを示す斜視図。
図7】別例の電池パックを示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電池パックをフォークリフトに搭載される電池パックに具体化した一実施形態について、図1図6に従って説明する。以下の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、フォークリフトの運転者がフォークリフトの前方を向いた状態を基準とした場合の「前」「後」「左」「右」「上」「下」を示すものとする。
【0016】
図1に示すように、フォークリフト10の車体11の前下部には駆動輪12が設けられているとともに、車体11の後下部には操舵輪13が設けられている。また、車体11の前部には、荷役装置が設けられている。荷役装置を構成するマスト14は、車体11の前部に立設されているとともに、当該マスト14にはリフトブラケット15を介して左右一対のフォーク16が設けられている。そして、フォーク16は、マスト14に連結されたリフトシリンダ17の駆動により、リフトブラケット15とともに昇降される。また、フォーク16は、マスト14に連結されたティルトシリンダ18の駆動により、マスト14とともに傾動される。フォーク16には、積荷19が搭載される。車体11には、駆動輪12の駆動源となる走行用モータM1と、フォーク16の駆動源となる荷役用モータM2が搭載されている。
【0017】
また、車体11の中央には、運転室20が設けられている。運転室20には、作業者(運転者)が着座可能な運転シート21が設けられている。運転シート21の前方にはハンドル22が設けられている。運転室20の下部には、電池パック30が搭載されている。以下、電池パック30について詳細に説明を行う。
【0018】
図2に示すように、電池パック30は、ケース31を備えている。ケース31は、フォーク16に搭載される積荷19とつりあいをとるためのカウンタウェイト32を備えている。カウンタウェイト32は、平面視矩形状をなすウェイト部34と、ウェイト部34の短手方向一端からウェイト部34の厚み方向に立設されるとともに、ウェイト部34の長手方向一端から他端に亘って延びる板状のウェイト本体33とからなる。換言すれば、ウェイト部34は、ウェイト本体33の基端からウェイト本体33の厚み方向に立設されている。ウェイト本体33は、鉛直方向に延びており、立設部に相当する。ウェイト本体33の先端(ウェイト本体33の基端とは反対側の端部)には、ウェイト本体33を該ウェイト本体33の厚み方向に切り欠いた切欠部35が形成されている。本実施形態において、カウンタウェイト32は、例えば、鉄などの金属材料から形成されている。
【0019】
ウェイト部34の短手方向他端には、ウェイト本体33から離間して設けられる逆U字状のフレーム36がウェイト部34から立設されている。フレーム36は、ウェイト部34の上面における短手方向他端縁部の2つの角部から立設された第1の柱部38及び第2の柱部39と、第1の柱部38及び第2の柱部39の上端部(ウェイト部34と接合される端部と反対側の端部)を繋ぐ基部37と、からなる。つまり、電池パック30は、ウェイト部34の短手方向他端側に、ウェイト部34とフレーム36によって囲まれた正面開口部30aを有する。なお、電池パック30において、この正面開口部30aは、矩形板状をなす取付部材としての蓋部材43によって閉塞されている。蓋部材43は、ウェイト本体33と間隔を空けて対向して配置されている。
【0020】
各柱部38,39の立設方向への長さ(各柱部38,39の長手方向の長さ)は、ウェイト部34の上面から、ウェイト本体33の先端面までの最短の長さと同一となっており、フレーム36の上面とウェイト本体33の上面には、天板44が支持されている。この天板44によって、ウェイト本体33とフレーム36との間の開口部(図示せず)が閉塞されている。更に、電池パック30は、ウェイト本体33の長手方向一端側に、ウェイト本体33と、ウェイト部34と、第1の柱部38と、天板44によって囲まれた一端側開口部30bを有する。また、電池パック30は、ウェイト本体33の長手方向他端側に、ウェイト本体33と、ウェイト部34と、第2の柱部39と、天板44によって囲まれた他端側開口部30cを有する。なお、一端側開口部30bは、閉塞部材41によって閉塞され、他端側開口部30cは、閉塞部材42によって閉塞されている。そして、カウンタウェイト32、フレーム36、天板44、閉塞部材41,42及び蓋部材43でケース31が形成されている。蓋部材43は、例えば、カウンタウェイト32と同一の材料(鉄などの金属材料)から形成されている。
【0021】
図2及び図3に示すように、蓋部材43の長手方向両端部には、それぞれ、ボルトB1が3個ずつ短手方向に間隔を空けて並んで挿通されている。このボルトB1が、閉塞部材41,42の短手方向一端面に螺入されることで蓋部材43が固定されている。天板44の短手方向一端面、ウェイト部34の短手方向他端面、閉塞部材41,42の短手方向一端面と、フレーム36の厚み方向一端面の各々と、各々の端面と対向する蓋部材43の内面(蓋部材43の厚み方向一端面)との間には、四角環状のシール材Sが設けられている。シール材Sは、例えばゴム製のパッキンなどである。シール材Sは、ボルトB1の閉塞部材41,42への螺入量を調整することで、その潰し量が調整される。
【0022】
図4に示すように、蓋部材43の内面(天板44、ウェイト部34、閉塞部材41,42及びフレーム36と接合される面)には、蓋部材43の厚み方向に突出する規制部材としての矩形状の押圧部43aが複数突設されている。押圧部43aは、蓋部材43の長手方向に2つ設けられるとともに、短手方向に3つ並んで設けられている。押圧部43aの蓋部材43からの突出量は、全て同じになっている。押圧部43aは、蓋部材43と一体形成されているが、蓋部材43と別体であってもよい。
【0023】
図2及び図3に示すように、ウェイト本体33の厚み方向一端面(内面)は電池モジュール50が設置される設置面33aとされている。設置面33aには、電池モジュール50が複数設けられている。電池モジュール50は、ウェイト本体33の長手方向に間隔を空けて2個並んで設けられるとともに、ウェイト本体33の短手方向に間隔を空けて3個並んで設けられている。
【0024】
図5及び図6に示すように、電池モジュール50は、電池セルとしての複数の角型電池52が、電池ホルダ51に保持された状態で並べられるとともに、隣り合う角型電池52の間に伝熱プレート53が介装されている。電池モジュール50において、角型電池52の並設方向一端にはエンドプレート54が設けられている。
【0025】
電池ホルダ51は、四角箱状のホルダ本体Hと、ホルダ本体Hの外面の四隅に設けられたブロック状のボルト通し部59とから構成されている。ホルダ本体Hは、矩形平板状をなす第1の被覆部58と、第1の被覆部58の長手方向両端部から第1の被覆部58の厚み方向に延びる矩形平板状の第2の被覆部56,57と、第1の被覆部58の短手方向両端部から第1の被覆部58の厚み方向に延びる矩形平板状の第3の被覆部55とからなる。ホルダ本体H(第1の被覆部58、第2の被覆部56,57及び第3の被覆部55)に囲まれる領域には、角型電池52が収容される収容部51aが形成されている。ボルト通し部59は、それぞれ、第3の被覆部55の長手方向両端部に形成されている。ボルト通し部59には、ボルトB1が挿通される挿通孔59aが形成されている。
【0026】
エンドプレート54には、矩形平板状をなす本体54aの4隅から短手方向に突出するボルト通し部60が形成されている。ボルト通し部60には、エンドプレート54の厚み方向に貫通する図示しない挿通孔が形成されている。
【0027】
電池ホルダ51のボルト通し部59に形成された挿通孔59a及びエンドプレート54のボルト通し部60に形成された挿通孔には、ボルトB2が挿通されている。そして、全ての電池ホルダ51とエンドプレート54を挿通したボルトB2にナットNが螺合されることで、電池モジュール50が形成されている。
【0028】
図3及び図5に示すように、エンドプレート54の外面(エンドプレート54の伝熱プレート53と接する面と反対側の面)には第1の固定部材としての第1のブラケット61が固定されている。角型電池52の並設方向他端に設けられる電池ホルダ51の第1の被覆部58の外面(第1の被覆部58の電池セルと接する面と反対側の面)には、第2の固定部材としての第2のブラケット64が固定されている。そして、両ブラケット61,64を図示しないボルトでウェイト本体33に固定することで、電池モジュール50がウェイト本体33に固定されている。したがって、設置面33aが、電池モジュール50が接合される部分となる。また、角型電池52は、角型電池52の幅方向一端面がウェイト本体33と対向している。そして、電池モジュール50において、角型電池52の幅方向一端面及び第2の被覆部56の外面が、カウンタウェイト32のウェイト本体33(立設部)と対向する部分となる。よって、本実施形態では、カウンタウェイト32が、電池モジュール50が接合される熱交換部材に相当する。
【0029】
それぞれの電池モジュール50において、角型電池52の並設方向における中央付近に位置する複数の第2の被覆部57には、押圧部43aが押しつけられている。すなわち、押圧部43aは、電池モジュール50におけるウェイト本体33に接合されていない部分と間隔を空けて対向する蓋部材43の内面から、電池モジュール50における角型電池52の幅方向他端面に向けて突出するように形成されている。そして、押圧部43aは、電池モジュール50の一部となる第2の被覆部57と、この第2の被覆部57に対向する蓋部材43の面との間に介在している。よって、ウェイト本体33の設置面33aと、蓋部材43の内面との間には、電池モジュール50と押圧部43aが介在されている。
【0030】
切欠部35には、矩形平板状をなす載置板40が固定されている。載置板40上には、電池モジュール50の制御を行う制御機器が収容される収容ケース62及びリレーや配線などが収容されるジャンクションボックス63が配設されている。
【0031】
次に、本実施形態のフォークリフト10の作用について説明する。
角型電池52が発熱すると、第2の被覆部56を介してカウンタウェイト32に熱が伝導する。また、角型電池52が発熱すると、第2の被覆部57及び押圧部43aを介して蓋部材43にも熱が伝導する。
【0032】
フォークリフト10の走行時には、車体11が振動するが、電池モジュール50は、押圧部43aによってカウンタウェイト32に押しつけられているため、電池モジュール50の振動は抑制されて、電池モジュール50がカウンタウェイト32に接した状態が維持される。
【0033】
また、電池モジュール50は、ボルトB2及びナットNによって、複数の角型電池52が並設された状態でスタック化されている。この状態で、角型電池52が発熱し、角型電池52が熱膨張しようとすると、角型電池52の並設方向からの力を受けて、電池モジュール50における角型電池52の並設方向中央付近に位置する角型電池52が、カウンタウェイト32から離れる方向(角型電池52の幅方向)に移動しようとするが、押圧部43aによって移動が規制される。すなわち、押圧部43aによって、電池モジュール50が、角型電池52の押圧部43aと対向する方向(角型電池52と蓋部材43の間の間隔を狭める方向)へ移動することを規制している。
【0034】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)蓋部材43には、電池モジュール50に向けて突出する押圧部43aが形成されている。車体11が振動したときや、角型電池52が熱膨張したときでも、押圧部43aによって、角型電池52がカウンタウェイト32から離れることが規制され、角型電池52がカウンタウェイト32に接合された状態が維持される。このため、角型電池52の発熱時にカウンタウェイト32が効率よく吸熱を行い、角型電池52を効率よく冷却することができる。
【0035】
(2)角型電池52は、角型電池52の幅方向一端面がウェイト本体33と対向するように配置されている。このため、電池モジュール50を鉛直方向に立設されたウェイト本体33に接合することができる。
【0036】
(3)電池モジュール50は、第1のブラケット61及び第2のブラケット64によってウェイト本体33に固定されている。このため、電池モジュール50は、角型電池52の並設方向両端の第1のブラケット61及び第2のブラケット64によって適切に支持される。
【0037】
(4)熱交換部材としてカウンタウェイト32を用いている。カウンタウェイト32は、フォークリフト10に元から備わっている部材であるため、熱交換部材を別途設ける必要がない。
【0038】
(5)蓋部材43は、閉塞部材41,42にボルトB1を螺入することで取り付けられている。このため、ボルトB1の螺入量を調整することで、押圧部43aの電池モジュール50に向けた突出量を調整することができる。
【0039】
(6)また、蓋部材43と閉塞部材41,42、天板44及びウェイト部34の間には、シール材Sが介在されている。ボルトB1の螺入量を調整することで、このシール材Sの潰し量も調整することができる。そして、このシール材Sの潰し量から押圧部43aの電池モジュール50に向けて近づく距離を把握することができる。
【0040】
(7)押圧部43aは、第2の被覆部57を介して角型電池52の幅方向他面と熱的に結合されている。このため、角型電池52で発した熱を蓋部材43にも吸収させることができ、角型電池52を更に効率よく冷却することができる。また、角型電池52の幅方向両側から角型電池52が冷却されることで、角型電池52の中での温度差が低減される。
【0041】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
図7に示すように、電池パック30が搭載される車体11に規制部材としての押圧部71を設けてもよい。詳細にいえば、例えば、車体11には、電池パック30が搭載されている。電池パック30には、蓋部材43が設けられておらず、正面開口部30aは閉塞されていない。車体11における電池モジュール50の熱交換部材(ウェイト本体33)と接合されていない部分と間隔を空けて対向する部分には、電池モジュール50に向けて突出する押圧部71が形成されている。押圧部71は、電池パック30の内部に入り込み、電池モジュール50をウェイト本体33に押しつけている。この場合であっても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
○ 実施形態において、電池モジュール50に、閉塞部材41,42及び天板44を設けず、蓋部材43のみを設けてもよい。この場合、蓋部材43は、カウンタウェイト32に直接固定される。
【0043】
○ 実施形態において、押圧部43aと電池モジュール50の間に若干の隙間が形成されていてもよい。
○ 実施形態において、押圧部43aとして熱伝導性を有する樹脂シートなどを用いてもよい。
【0044】
○ 実施形態では、それぞれの電池モジュール50において、角型電池52の並設方向における中央付近に位置する第2の被覆部57に、押圧部43aが押しつけられているが、押圧部43aは、電池モジュール50における全ての角型電池52がカウンタウェイト32から離れることを規制するように設けられていてもよい。例えば、電池モジュール50における全ての第2の被覆部57に、押圧部43aが押しつけられていてもよい。
【0045】
○ 実施形態では、規制部材として、蓋部材43に一体の押圧部43aとしたが、規制部材として蓋部材43とは別体のコイルバネなどを用いてもよい。
○ 実施形態において、熱交換部材としてカウンタウェイト32以外を用いてもよい。例えば、筐体に電池モジュール50を固定して電池パック30を構成する場合には、筐体が熱交換部材となる。
【0046】
○ 実施形態において、電池モジュール50が接合されたカウンタウェイト32を筐体に収容し、筐体の内面に電池モジュール50に向けて突出する規制部材を形成してもよい。この場合、筐体が取付部材となる。
【0047】
○ 実施形態において、ウェイト部34の形状は、どのような形状であってもよい。
○ 実施形態において、電池セルとして、円筒型電池や、ラミネート型の電池を採用してもよい。
【0048】
○ 実施形態において、ボルト以外のネジ部材を用いてよい。
○ 本発明の産業車両を、フォークリフト10以外の産業車両に具体化してもよい。例えば、パワーショベルなどに具体化してもよい。
【0049】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)複数の電池セルを含む電池モジュールが車体に搭載された産業車両であって、前記電池モジュールが接合される熱交換部材と、前記車体における前記電池モジュールの前記熱交換部材と接合されていない部分と間隔を空けて対向する部分から、前記電池モジュールに向けて突出して、前記電池セルの前記間隔を狭める方向への移動を規制する規制部材と、を有することを特徴とする産業車両。
【符号の説明】
【0050】
10…産業車両としてのフォークリフト、11…車体、30…電池パック、32…カウンタウェイト、33…ウェイト本体、34…ウェイト部、43…取付部材としての蓋部材、50…電池モジュール、52…電池セルとしての角型電池、61…第1の固定部材としての第1のブラケット、64…第2の固定部材としての第2のブラケット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7