特許第5949464号(P5949464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949464
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20160623BHJP
【FI】
   G03G21/00 384
   G03G21/00 530
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-243914(P2012-243914)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-92718(P2014-92718A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 康司
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 正悟
【審査官】 野口 聖彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−128013(JP,A)
【文献】 特開2007−199284(JP,A)
【文献】 特開2012−32663(JP,A)
【文献】 特開2006−133279(JP,A)
【文献】 特開平8−76657(JP,A)
【文献】 特開2012−68582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未定着トナーを坦持するシートを通過させつつ,そのシートを加圧および加熱する定着処理によりトナー像をシート上に定着する定着装置と,
機内での超微粒子の発生量を抑制させる対策を行わずに画像を形成する通常モードと,機内での超微粒子の発生量を予め決められた上限値以下に抑制させる対策を行いつつ画像を形成する超微粒子抑制モードとの切り替えを行う装置制御部とを有する画像形成装置において,
前記定着装置の温度を制御する定着温度制御部と,
シートの前記定着装置での通過速度を制御する通過速度制御部と,
画像形成装置における画像形成による超微粒子の発生量に影響する発生量状態値を出力する発生量状態値出力部と,
画像形成を連続して行っている量を示す連続印刷状態値を出力する連続印刷状態値出力部と,
前記装置制御部でのモード切替のための前記連続印刷状態値についての閾値であるモード切替値を,発生量状態値に応じて出力するモード切替値出力部とを有し,
前記発生量状態値出力部は,超微粒子の発生量が多い状況ほど高い発生量状態値を出力するものであり,
前記装置制御部は,画像形成時には,
前記発生量状態値出力部より発生量状態値を取得し,
モード切替値を,取得した発生量状態値によって前記モード切替値出力部より取得して定め,
前記連続印刷状態値出力部より取得する連続印刷状態値が定めたモード切替値以下である場合には,前記通常モードで画像を形成し,
前記連続印刷状態値出力部より取得する連続印刷状態値が定めたモード切替値を超えている場合には,前記超微粒子抑制モードで画像を形成し,
前記超微粒子抑制モードで画像を形成する際には,
前記定着温度制御部により,前記定着装置の温度を前記通常モードよりも低い温度とするとともに,
前記通過速度制御部により,シートの前記定着装置での通過速度を前記通常モードよりも遅い通過速度とするものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において,
前記発生量状態値出力部は,
前回の画像形成が完了したときから,前記装置制御部により画像形成が開始されたときまでに経過した待機時間を,前記発生量状態値として出力するものであり,
前記モード切替値出力部は,
発生量状態値が高いほど,低いモード切替値を出力するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において,
前記連続印刷状態値出力部は,
前記装置制御部により画像形成が開始されたときから連続して画像形成が行われているシートの積算枚数を,前記連続印刷状態値として出力するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において,
前記連続印刷状態値出力部は,
前記装置制御部により画像形成が開始されたときから連続して画像形成が行われている経過時間を,前記連続印刷状態値として出力するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像形成装置において,
前記装置制御部は,
前記上限値を,ユーザーからの入力によって決定するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像形成装置において,
前記装置制御部は,
環境温度が低いほど,モード切替値を低く定めるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の画像形成装置において,
前記装置制御部は,
シートが前記定着装置を通過する際に前記定着装置から奪う熱量の少ない種類のものであるほど,モード切替値を低く定めるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の画像形成装置において,
前記装置制御部は,
シートの前記定着装置への通過方向と直行する方向の長さが短いほど,モード切替値を低く定めるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかに記載の画像形成装置において,
前記装置制御部は,
画像形成に係るシートの面積に占めるトナー像の面積の割合であるカバレッジが高いほど,モード切替値を低く定めるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれかに記載の画像形成装置において,
トナー像を形成する複数の画像形成部を有し,
前記装置制御部は,
前記複数の画像形成部により画像形成を行う場合には,1つの画像形成部により画像形成を行う場合よりも,モード切替値を低く定めるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれかに記載の画像形成装置において,
前記装置制御部は,光沢画像を形成する場合には,
光沢画像でない画像を形成する場合よりもモード切替値を低く定めるとともに,
前記通過速度制御部により,前記通常モードおよび前記超微粒子抑制モードのいずれのシートの前記定着装置での通過速度についても,光沢画像でない画像を形成する場合よりも遅い通過速度とするものであることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子写真方式の画像形成装置に関する。さらに詳細には,シート上のトナー像を加熱しつつ加圧することにより定着させる定着装置において発生する副産物を少なくなるようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より,複写機やプリンター,ファクシミリ,またはこれらの機能を複合的に備える複合機等の画像形成装置では,シート上に転写されたトナー像を定着装置によって定着させることにより,シートに画像を形成している。定着装置は,一対の定着部材を圧接することにより形成される定着ニップにシートを通過させつつ,その通過中のシートを加熱しつつ加圧することにより定着処理を行う。
【0003】
定着部材は,円筒状のローラーや,無端状のベルト部材などから構成される。また,これらローラーやベルト部材は一般に,基材の表面を覆う弾性層と、弾性層の表面を覆う表面層とを有する。
【0004】
このような定着装置では近年,定着処理時において,超微粒子(UFP:UltraFine Particle)が発生することが知られている。具体的には,UFPは,定着処理時において,定着部材の弾性層を構成するシリコーン材料や,加熱されて溶融するトナーなどから発生していると考えられている。これに対し,例えば特許文献1には,定着装置付近より発生したUFPを回収するための技術が開示されている。特許文献1では,定着装置の排気を行うダクトに設けたフィルターに,シリコーンオイルを含浸させたものを用いている。特許文献1によれば,そのシリコーンオイルを含浸させたフィルターにより,定着装置から発生したUFPを効率良く回収することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−32663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,上記した従来技術のように,UFPを回収するには,そのためのファンやフィルターなどの構成が必要である。つまり,UFPを回収するための構成の分,画像形成装置が高価なものとなってしまうという問題があった。また,発生したUFPのすべてを完全に回収することは困難である。このため,UFPの発生量自体を低減することが好ましい。
【0007】
ここで,定着装置の定着処理の温度を低くすることにより,UFPの発生量を少なくすることができる。一般的に,UFPの発生量は,定着装置の温度が高いほど,多くなるからである。また,定着温度を低くした場合には,シートの定着ニップでの通過速度は遅くされる。シートの定着ニップでの通過速度を遅くせずに定着温度を低くした場合,シート上に転写されたトナーを十分に加熱することができず,トナー像のシートへの定着不良が生じてしまうからである。
【0008】
そして,シートの定着ニップでの通過速度を遅くすることによっても,単位時間当たりのUFPの発生量は少なくなる。加熱によって溶融するトナーの単位時間当たりの量が少なくなるからである。よって,定着温度を低くするとともに,シートの定着ニップでの通過速度を遅くすることにより,UFPの発生量を低減することができる。しかし,このようなUFPを抑制する制御を行う場合には,シートの定着ニップでの通過速度を遅くすることにより,画像形成の生産性が低下してしまう。このため,UFPを抑制する制御は,画像形成の生産性の観点からはできるだけ行わないほうが好ましい。
【0009】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,画像形成の生産性を高く保ちつつ,UFPの発生量を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,未定着トナーを坦持するシートを通過させつつ,そのシートを加圧および加熱する定着処理によりトナー像をシート上に定着する定着装置と,機内での超微粒子の発生量を抑制させる対策を行わずに画像を形成する通常モードと,機内での超微粒子の発生量を予め決められた上限値以下に抑制させる対策を行いつつ画像を形成する超微粒子抑制モードとの切り替えを行う装置制御部とを有する画像形成装置であって,定着装置の温度を制御する定着温度制御部と,シートの定着装置での通過速度を制御する通過速度制御部と,画像形成装置における画像形成による超微粒子の発生量に影響する発生量状態値を出力する発生量状態値出力部と,画像形成を連続して行っている量を示す連続印刷状態値を出力する連続印刷状態値出力部と,装置制御部でのモード切替のための連続印刷状態値についての閾値であるモード切替値を,発生量状態値に応じて出力するモード切替値出力部とを有し,発生量状態値出力部は,超微粒子の発生量が多い状況ほど高い発生量状態値を出力するものであり,装置制御部は,画像形成時には,発生量状態値出力部より発生量状態値を取得し,モード切替値を,取得した発生量状態値によってモード切替値出力部より取得して定め,連続印刷状態値出力部より取得する連続印刷状態値が定めたモード切替値以下である場合には,通常モードで画像を形成し,連続印刷状態値出力部より取得する連続印刷状態値が定めたモード切替値を超えている場合には,超微粒子抑制モードで画像を形成し,超微粒子抑制モードで画像を形成する際には,定着温度制御部により,定着装置の温度を通常モードよりも低い温度とするとともに,通過速度制御部により,シートの定着装置での通過速度を通常モードよりも遅い通過速度とするものであることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
本発明の画像形成装置は,装置制御部により,通常モードと超微粒子抑制モードとを切り替えて画像形成を行うことができる。本発明の画像形成装置は,画像形成の開始時には,モード切替値を,発生量状態値によってモード切替値出力部より取得して定める。そして,連続印刷状態値が定めたモード切替値に到達するまでは,通常モードで画像形成を行う。
【0012】
超微粒子抑制モードでは,シートの定着装置での通過速度が,通常モードよりも遅く設定されている。このため,超微粒子抑制モードにおいては,画像形成の生産性が,通常モードよりも低下してしまう。ここで,モード切替値出力部は,モード切替値を,発生量状態値に応じて出力する。発生量状態値出力部は,超微粒子の発生量が多い状況ほど,高い発生量状態値を出力する。すなわち,発生量状態値出力部は,超微粒子の発生量に応じた発生量状態値を出力する。このため,例えば,超微粒子の発生量が少ない状況であれば,モード切替値を高い値に定めることができる。よって,連続印刷状態値ができるだけ高い値となるまで通常モードで画像を形成することができる。これにより,画像形成の生産性を高く保つことができる。
【0013】
また,複数のシートに連続して画像を形成する連続印刷により,連続印刷状態値が定めたモード切替値を超えた以後の画像形成においては,超微粒子抑制モードで行う。超微粒子抑制モードは,超微粒子の発生量を予め決められた上限値以下に抑制させる対策を行う制御モードである。よって,超微粒子の発生量を上限値以下に抑制することができる。
【0014】
また,上記に記載の画像形成装置において,発生量状態値出力部は,前回の画像形成が完了したときから,装置制御部により画像形成が開始されたときまでに経過した待機時間を,発生量状態値として出力するものであることが好ましい。本発明者らは,待機時間によって,その後に開始される画像形成における超微粒子の発生量が異なることを発見した。すなわち,待機時間が長いほど,その後に開始された画像形成において発生する超微粒子の発生量が多くなることを見出した。このため,モード切替値出力部は,待機時間が長いほど,すなわち,発生量状態値が高いほど,低いモード切替値を出力する。よって,待機時間により異なる超微粒子の発生量について最適なモード切替値を定めることができ,画像形成の生産性を高く保ちつつ,超微粒子の発生量を上限値以下に抑制することができる。
【0015】
また,上記に記載の画像形成装置において,連続印刷状態値出力部は,装置制御部により画像形成が開始されたときから連続して画像形成が行われているシートの積算枚数を,連続印刷状態値として出力するものであってもよい。連続印刷に係るシートの積算枚数は,連続印刷に係る状態値を示す値として用いることができるからである。
【0016】
また,連続印刷状態値出力部は,装置制御部により画像形成が開始されたときから連続して画像形成が行われている経過時間を,連続印刷状態値として出力するものであってもよい。多くのシートに連続して画像を形成するほど,それに要する時間は長くなる。つまり,連続印刷の時間は,その連続印刷に係るシートの積算枚数が多くなるほど長くなる。このため,連続印刷の時間についても,連続印刷に係る状態値を示す値として用いることができるからである。
【0017】
また,上記に記載の画像形成装置において,装置制御部は,上限値を,ユーザーからの入力によって決定するものであることが好ましい。超微粒子の発生量の上限値を高く設定するほど,画像形成の生産性を高くすることができる。しかし,画像形成装置は,例えば換気を十分に行えない環境などに設置される場合もある。このような場合,ユーザーによっては,画像形成の生産性を低下させても超微粒子の発生量を低減させたいことがある。よって,ユーザーにより,超微粒子の発生量の上限値を設定できることが好ましいのである。
【0018】
また,上記に記載の画像形成装置において,装置制御部は,環境温度が低いほど,モード切替値を低く定めるものであることが好ましい。環境温度が低いほど,定着装置を加熱しなければならない。定着装置の温度を,トナー像をシートへ定着させるための適切な温度にするためである。そして,定着装置を加熱するほど,超微粒子の発生量は増える傾向にあるからである。
【0019】
また,上記に記載の画像形成装置において,装置制御部は,シートが定着装置を通過する際に定着装置から奪う熱量の少ない種類のものであるほど,モード切替値を低く定めるものであることが好ましい。例えば,シートの厚さが薄い場合には,そのシートが定着装置の通過時に定着装置より奪う熱量は少ない。このため,薄いシートを用いて連続印刷を行った場合には,厚いシートを用いた場合よりも,定着装置の温度は上昇しがちである。そして,その温度上昇により,超微粒子の発生量は増える傾向にあるからである。
【0020】
また,上記に記載の画像形成装置において,装置制御部は,シートの定着装置への通過方向と直行する方向の長さが短いほど,モード切替値を低く定めるものであることが好ましい。定着装置のシートの通過方向と直行する方向に設けられている通紙領域の長さは,その画像形成装置が対応するシートの最大のサイズに設定されている。このため,例えばA2サイズに対応した画像形成装置によりA4サイズのシートに画像形成を行った場合,定着装置の通紙領域には,シートと接触しない部分がある。そのシートと接触しない部分では,通過するシートにより奪われる熱量がわずかであるため,温度が上昇しがちである。そして,その温度上昇した部分では,その他の通紙領域よりも,超微粒子の発生量が増える傾向にあるからである。
【0021】
また,上記に記載の画像形成装置において,装置制御部は,画像形成に係るシートの面積に占めるトナー像の面積の割合であるカバレッジが高いほど,モード切替値を低く定めるものであることが好ましい。画像形成に係るカバレッジが高いほど,加熱によって溶融するトナーの単位時間当たりの量が多くなる。よって,画像形成に係るカバレッジが高いほど,超微粒子の発生量は増える傾向にあるからである。
【0022】
また,上記に記載の画像形成装置において,トナー像を形成する複数の画像形成部を有し,装置制御部は,複数の画像形成部により画像形成を行う場合には,1つの画像形成部により画像形成を行う場合よりも,モード切替値を低く定めるものであることが好ましい。例えば,各色のトナー像を形成する複数の画像形成部により多層のトナー像をシートに定着させてカラー画像を形成する場合には,1つの画像形成部により単層のトナー像をシートに定着させてモノクロ画像を形成する場合よりも,定着温度が高めに設定されることがある。各色のトナー像が重なる多層のトナー像を定着させるためである。そして,定着装置の温度が高いことにより,超微粒子の発生量が増える傾向にあるからである。
【0023】
また,上記に記載の画像形成装置において,装置制御部は,光沢画像を形成する場合には,光沢画像でない画像を形成する場合よりもモード切替値を低く定めるとともに,通過速度制御部により,通常モードおよび超微粒子抑制モードのいずれのシートの定着装置での通過速度についても,光沢画像でない画像を形成する場合よりも遅い通過速度とするものであることが好ましい。光沢画像を形成する場合には,光沢画像でない画像を形成する場合よりも,シートの定着装置での通過速度は遅く設定される。トナーを均一に溶融させるためである。そして,シートの定着装置での通過速度を遅くすることにより,シートが定着装置から奪う単位時間当たりの熱量は少なくなる。これにより,定着装置の温度が上昇しやすく,超微粒子の発生量が増える傾向にあるからである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば,画像形成の生産性を高く保ちつつ,UFPの発生量を低減することのできる画像形成装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】本形態に係る画像形成装置の制御構成の概略図である。
図3】本形態に係る画像形成装置の定着装置の概略構成図である。
図4】通常モードで連続印刷を行ったときのUFPの発生率の推移を示したグラフ図である。
図5】通常モードで連続印刷を行ったときのUFPの発生率の推移を,待機時間ごとに示したグラフ図である。
図6】待機時間とモード切替枚数との関係による閾値テーブルである。
図7】本形態に係る画像形成装置における画像形成の手順を示すフローチャートである。
図8】待機時間とモード切替時間との関係による閾値テーブルである。
図9】環境温度による補正係数を示す補正テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電子写真方式のプリンターにおいて本発明を具体化したものである。
【0027】
図1に,本形態の画像形成装置1の概略構成を示す。画像形成装置1は,中間転写ベルト30を有する,いわゆるタンデム方式のカラープリンターである。中間転写ベルト30は導電性を有する無端状のベルト部材であり,その図1中両端部がローラー31,32によって支持されている。画像形成時には,図1中右側のローラー31が反時計回りに回転駆動される。これにより,中間転写ベルト30および図1中左側のローラー32はそれぞれ,図中に矢印で示す方向に従動回転する。
【0028】
中間転写ベルト30のうち,図1中右側のローラー31に支持されている部分の外周面には,2次転写ローラー40が設けられている。2次転写ローラー40は,中間転写ベルト30へ向けて軸と垂直の方向(図1中左向き)に圧接されている。中間転写ベルト30と2次転写ローラー40とが接触している部分には,中間転写ベルト30上のトナー像を用紙Pに転写させる転写ニップN1が形成されている。2次転写ローラー40は,画像形成時には,回転する中間転写ベルト30への圧接による摩擦力によって従動回転する。
【0029】
また,中間転写ベルト30のうち,図1中左側のローラー32に支持されている部分の外周面には,ベルトクリーナー41が設けられている。ベルトクリーナー41は中間転写ベルト30の外周面に圧接されている。また,その圧接によって接触している部分により,転写ニップN1において用紙Pに転写されなかった転写残トナーなどを回収する回収領域42が形成されている。
【0030】
中間転写ベルト30の図1中下部には左から右に向かって順に,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像形成部10Y,10M,10C,10Kが配置されている。画像形成部10Y,10M,10C,10Kはいずれも,該当色のトナー像を形成して中間転写ベルト30上に転写するためのものである。画像形成部10Y,10M,10C,10Kはいずれも,その構成は同じである。このため,図1では,画像形成部10Yによって代表して符号をつけている。
【0031】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kは,円筒状の静電潜像担持体である感光体11,および,その周囲に配置された帯電器12,現像装置14,および感光体クリーナー16を有している。また,感光体11と中間転写ベルト30を挟んで対向する位置には,1次転写ローラー15が配置されている。さらに,各色の画像形成部10Y,10M,10C,10Kの図1中下方には,露光装置13が配置されている。帯電器12は,感光体11の表面を均一に帯電させるためのものである。露光装置13は,画像データに基づいたレーザー光を各感光体11の表面に照射させ、静電潜像を形成するためのものである。現像装置14は,収容しているトナーを感光体11の表面に付与するためのものである。
【0032】
1次転写ローラー15は,中間転写ベルト30へ向けて軸と垂直の方向(図1中下向き)に圧接されている。この圧接により,中間転写ベルト30と各感光体11とが接触している部分にはそれぞれ,各色の感光体11上のトナー像を中間転写ベルト30上に転写させる1次転写ニップが形成されている。感光体クリーナー16は,感光体11上から中間転写ベルト30上に転写されなかったトナーを回収するためのものである。
【0033】
なお,図1では,帯電器12としてローラー形状をしたローラー帯電方式のものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。コロナ放電方式の帯電チャージャー,ブレード状の帯電部材,またはブラシ状の帯電部材等を用いても良い。また,感光体クリーナー16として,板状でその一端部が感光体11の外周面に接触しているものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。その他のクリーニング部材,例えば固定ブラシ,回転ブラシ,ローラーまたはそれらのうちの複数の部材を組み合わせたものを使用することができる。あるいは,感光体11上の未転写トナーを現像装置14により回収するクリーナーレス方式を採用すれば,感光体クリーナー16はなくてもよい。
【0034】
また,中間転写ベルト30の図1中上方には,各色のトナーを収容したホッパー17Y,17M,17C,17Kが配置されている。これらに収容されている各色のトナーはそれぞれ,該当色の現像装置14へと適宜補給される。
【0035】
中間転写ベルト30の回転方向における画像形成部10Kの下流側であって転写ニップN1の上流側の位置には,中間転写ベルト30上に転写されたトナー像の像濃度を検出するための濃度センサー20が設けられている。濃度センサー20は,中間転写ベルト30の外周面を検出位置としている。濃度センサー20は,例えば画像濃度の調整に用いられる,検出位置に向かって光を照射する投光部とその反射光を受光する受光部とを有するものである。
【0036】
画像形成装置1の下部には,着脱可能な給紙カセット51が装着されている。給紙カセット51の図1中右側より上方に向かっては,搬送経路50が設けられている。そして,給紙カセット51に積載により収容された用紙Pは,その最上部のものより1枚ずつ給紙ローラー52によって搬送経路50に送り出されるようになっている。給紙ローラー52により送り出された用紙Pの搬送経路50には,1対のレジストローラー53,転写ニップN1,定着装置100,排紙ローラー54がこの順で配置されている。搬送経路50のさらに下流側である画像形成装置1の上面には,排紙部55が設けられている。レジストローラー53は,用紙Pを転写ニップN1へ送り出すタイミングを調整するためのものである。定着装置100は,定着ニップN2において用紙Pを加熱しつつ加圧することにより,用紙Pに転写されたトナー像の定着処理を行うためのものである。
【0037】
次に,本形態の画像形成装置1による,通常の画像形成動作の一例について簡単に説明
する。以下の説明は,給紙カセット51に収容されている用紙Pに,4色のトナーを用い
てカラー画像を形成する場合における画像形成動作の一例である。なお,後述する通常モードおよびUFP抑制モードのいずれにおいても,画像形成動作の手順については同じである。
【0038】
通常のカラー画像の形成時には,まず,中間転写ベルト30および各色の感光体11はそれぞれ,図1に矢印で示す向きに所定の周速度で回転される。そして,感光体11の外周面は,帯電器12によりほぼ一様に帯電される。帯電された感光体11の外周面には,露光装置13によって画像データに応じた光が投射され,静電潜像が形成される。続いて,静電潜像は現像装置14によって現像され,感光体11上にはトナー像が形成される。
【0039】
各感光体11上に形成されたトナー像は,1次転写ローラー15によって中間転写ベルト30上に転写(1次転写)される。これにより,中間転写ベルト30上には,イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像がこの順で重ね合わされる。そして,重ね合わされた4色のトナー像は,中間転写ベルト30の回転によって転写ニップN1に搬送される。また,中間転写ベルト30に転写されず,1次転写ローラー15を過ぎた後も感光体11上に残留している転写残トナーは,感光体クリーナー16によって掻き取られ,感光体11上から除去される。
【0040】
一方,給紙カセット51に収容されている用紙Pは,最上部のものから1枚ずつ搬送経
路50に引き出される。引き出された用紙Pは,搬送経路50に沿って転写ニップN1に搬送される。用紙Pの転写ニップN1への突入タイミングは,中間転写ベルト30上のトナー像の転写ニップN1への突入タイミングと一致するように,レジストローラー53によって調整される。これにより,転写ニップN1において,重ね合わされた4色のトナー像が用紙Pに転写(2次転写)される。
【0041】
トナー像が転写された用紙Pは,さらに搬送経路50の下流側へと搬送される。つまり,用紙Pは,定着装置100によってトナー像が定着された後,排紙ローラー54によって排紙部55に排出される。なお,転写ニップN1を通過した後も中間転写ベルト30上に残留する転写残トナーは,回収領域42においてベルトクリーナー41によって回収される。これにより,中間転写ベルト30上から除去される。
【0042】
図2に,画像形成装置1の制御構成の概略を示す。画像形成装置1は,装置制御部60,システム速度制御部70,定着温度制御部80,コントローラー部90を有している。装置制御部60は,装置全体の制御処理を行うCPU61と,記憶部62と,待機時間カウント部63と,連続印刷カウント部64とを有している。
【0043】
本形態の記憶部62には,後に詳述する閾値テーブル65が記憶されている。CPU61は,ユーザーにより入力された印刷ジョブや装置各部の状態などに基づいて,画像形成装置1の画像形成動作に係る演算を行うものである。また,CPU61は,記憶部62の閾値テーブル65などに基づいて,通常モードとUFP抑制モードとの間での切り替えを指示する。
【0044】
通常モードは,通常の画像形成動作を行うためのモードである。UFP抑制モードは,通常モードよりも定着装置100の温度が低く設定されているモードである。さらに,UFP抑制モードでは,通常モードよりも画像形成の速度が遅く設定されている。なお,本形態では,印刷ジョブが入力された画像形成の開始時には,画像形成装置1の制御モードは通常モードに設定されている。
【0045】
待機時間カウント部63は,画像形成装置1において画像形成動作が行われていない待機時間をカウントし,その待機時間をCPU61に送信するためのものである。つまり,待機時間カウント部63は,画像形成装置1が,入力された印刷ジョブに係る画像形成動作を完了して待機状態となったときに待機時間のカウントを開始する。そして,待機時間のカウントの開始後に入力された印刷ジョブに係る画像形成動作が開始されるときまでにカウントしている待機時間を,CPU61に送信する。
【0046】
連続印刷カウント部64は,画像形成装置1が,複数枚の用紙Pに連続して画像を形成している状態値をカウントし,その状態値をCPU61に送信するためのものである。本形態の連続印刷カウント部64は,連続して画像を形成している状態値として,連続印刷枚数をカウントする。すなわち,本形態の連続印刷カウント部64は,画像形成が開始されてから連続して画像形成がなされた用紙Pの積算枚数である連続印刷枚数を,用紙Pに画像形成がなされる毎に,CPU61に送信する。なお,本形態の連続印刷カウント部64は,1つの印刷ジョブに係る画像形成において連続して行った用紙Pの積算の枚数を,連続印刷枚数としてカウントする。
【0047】
システム速度制御部70は,感光体11の回転による感光体11表面の移動速度,ローラー31の回転による中間転写ベルト30表面の移動速度,搬送経路50を搬送される用紙Pの搬送速度などのシステム速度が,いずれも同じ速度となるように制御する。システム速度制御部70が制御するシステム速度により,用紙Pの定着装置100の定着ニップN2での通過速度は制御されている。また,システム速度制御部70は,装置制御部60が指示する速度で画像形成が行われるように,システム速度のすべてを制御する。例えば,装置制御部60において通常モードからUFP抑制モードへの切り替えがなされた場合,システム速度制御部70は,システム速度のすべてを遅くするような制御を行う。これにより,通常モードからUFP抑制モードへ切り替えられた場合には,用紙Pの定着装置100の定着ニップN2での通過速度についても遅くされる。
【0048】
定着温度制御部80は,後述する定着装置100の温度を,定着処理を行うための所定温度に自動制御するためのものである。すなわち,定着温度制御部80は,装置制御部60が指示する定着温度が保たれるように,定着装置100の温度を自動制御する。また,装置制御部60において通常モードからUFP抑制モードへの切り替えがなされた場合,定着温度制御部80は,定着装置100の温度を低下させるような制御を行う。
【0049】
コントローラー部90は,外部のパソコンなどに接続されて指示入力を受けるものである。例えば,画像形成の指令をパソコンから受信することにより,画像形成装置1には印刷ジョブが発生する。さらに,装置制御部60とコントローラー部90とで,ドットカウンター値などの各種の情報がやりとりされる。
【0050】
次に,本形態の定着装置100について説明する。図3は,定着装置100の概略構成図である。定着装置100は,定着ローラー110,加圧ローラー120,誘導加熱装置130を有する電磁誘導加熱方式の定着器である。定着ローラー110と加圧ローラー120とは平行に配置され,いずれも回転可能に支持されている。また,定着ローラー110および誘導加熱装置130は,定着ニップN2を通過する用紙Pのトナー像を坦持している面の側に配置されている。定着ローラー110および誘導加熱装置130は,定着ニップN2を通過する用紙Pを加熱するための加熱側の構成である。
【0051】
一方,加熱側の構成と搬送経路50を挟んで対向する加圧側の加圧ローラー120は,定着ローラー110へ向けて軸と垂直の方向に圧接されている。これにより,定着ローラー110と加圧ローラー120との間には,用紙Pに定着処理を行う定着ニップN2が形成されている。
【0052】
定着ローラー110の最外周は,定着ニップN2を通過した用紙Pが張り付いたままとならないよう,離型性の高い表面層111により構成されている。表面層111の内周側には,定着ローラー110の外周面と用紙Pとの密着性を高めるための弾性層112が設けられている。また,定着ローラー110の最も内側は,十分な強度と耐熱性を有する基材である芯金113により構成されている。
【0053】
加圧ローラー120においても,その最外周は離型性の高い表面層121により構成されている。また表面層121の内周側には,弾性層122が設けられている。さらに加圧ローラー120の最も内側は,芯金123により構成されている。
【0054】
本形態では,定着ローラー110および加圧ローラー120の表面層111,121にはいずれも,PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを用いている。なおこの他にも,表面層111,121として,PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系樹脂材料を,フッ素系チューブまたはフッ素系コーティングとして用いることもできる。
【0055】
また本形態では,定着ローラー110および加圧ローラー120の弾性層112,122にはいずれも,シリコーンゴムを用いている。なお,シリコーンゴムの発泡体であるシリコーンゴムスポンジなど,その他のシリコーン材料を用いることもできる。
【0056】
誘導加熱装置130は,定着ローラー110の軸方向に沿って配置されており,図3に示すように定着ローラー110の外周と対面している。誘導加熱装置130は高周波インバーター131と接続されている。誘導加熱装置130は,高周波インバーター131から供給される高周波電力により磁界を発生させ,その磁界により定着ローラー110を発熱させる。
【0057】
定着ローラー110の図3中下方には,温度センサー140が近接して配置されている。温度センサー140は,例えば非接触の赤外線センサーなど,定着ローラー110の表面温度を測定するためのものである。また,高周波インバーター131および温度センサー140は,定着温度制御部80と接続されている。
【0058】
そして定着処理時には,定着温度制御部80は,定着ローラー110の表面温度が,装置制御部60より指示される所定の定着温度となるような制御を行う。詳細には,定着温度制御部80は,温度センサー140が検出する定着ローラー110の表面温度を基に,高周波インバーター131から誘導加熱装置130に供給される電力を制御する。これにより,定着ローラー110の表面温度は,定着処理を行うための所定の定着温度に自動制御される。
【0059】
以上のような定着装置100では,トナー像を担持した用紙Pに定着処理を行う際,超微粒子(UFP)が発生する。UFPは,一般的には,100nm以下の粒径のものである。UFPは,具体的には,定着処理時において,定着ローラー110や加圧ローラー120の弾性層112,122から発生する。すなわち,定着ローラー110および加圧ローラー120が定着処理時に加熱されることにより,その弾性層112,122をなすシリコーンゴムから揮発成分であるシロキサンが生成される。そして,生成されたシロキサンが凝集することにより,UFPが発生するものと解されている。なお,シリコーンゴムに限らず,例えばシリコーンスポンジなど,その他のシリコーン材料を用いた場合にもUFPが発生する。
【0060】
また,UFPはトナーからも発生する。用紙Pに担持されたトナーは,定着処理時には加熱しつつ加圧されることにより溶融し,用紙Pに定着される。例えば,その溶融する際のトナーより,UFPが発生するのである。
【0061】
図4に実線で示すのは,画像形成装置1において,通常モードで連続印刷を行った場合のUFPの発生量である。図4の横軸に示す連続印刷枚数は,連続して画像形成を行ったときの用紙Pの積算の枚数である。縦軸に示すUFPの発生率は,連続印刷中におけるUFPの発生個数を測定した値である。なお,縦軸のUFPの発生率については,測定器によって測定時に検知されたUFPの発生個数を示しており,その測定時までに検知されたUFPの発生個数の積算値を表したものではない。図4に実線で示すように,通常モードで連続印刷を行った場合には,その連続印刷枚数の増加とともに,単位時間当たりのUFPの発生量が多くなることが分かる。
【0062】
そこで例えば,図4にLで示すようにUFPの発生率の上限値を設定する。これより,通常モード時の画像形成装置1におけるUFPの発生率は,連続印刷枚数がn2のときに,上限値Lに到達することが分かる。そして,画像形成装置1では,UFPの発生率が上限値L以下となるように制御を行う。
【0063】
詳細には,連続印刷枚数がn2に到達する前に,制御モードを通常モードからUFP抑制モードへ切り替える。その制御モードを切り替えるときの連続印刷枚数を,モード切替枚数という。モード切替枚数は,UFPの発生率を上限値L以下に抑制しつつ,できるだけ多くの枚数の用紙Pに対して通常モードで連続印刷できるように設定された連続印刷枚数の閾値である。例えば,図4においては,モード切替枚数をn1で示している。モード切替枚数n1は,図4に示すように,n2よりも少ない連続印刷枚数の値である。そして,連続印刷枚数がモード切替枚数n1のときに,制御モードをUFP抑制モードへ切り替え,定着装置100の定着温度を低下させるとともに,画像形成装置1のシステム速度を遅くする。
【0064】
UFPの発生量は,定着装置100の定着温度を低くすることにより少なくなる。また,システム速度を通常モードの速度としたまま,定着温度のみを通常モードよりも低下させた場合,トナーの加熱が不十分であることにより,トナー像の用紙Pへの定着不良が生じるおそれがある。このため,UFP抑制モードでは,低い定着温度でもトナーを十分に加熱できるようにするため,システム速度が通常モードよりも遅く設定されている。
【0065】
また,システム速度を遅くすることにより,用紙Pに担持されているトナー像の定着ニップN2での通過速度は遅くなる。これにより,定着ニップN2において溶融するトナーの単位時間あたりの量は少なくなる。つまり,システム速度を遅くすることによっても,単位時間当たりのUFPの発生量は少なくなる。よって,通常モードからUFP抑制モードへ切り替えることにより,UFPの発生量を低減することができるのである。
【0066】
なお,連続印刷枚数がモード切替枚数n1のときに通常モードからUFP抑制モードへ切り替えた場合のその後のUFPの発生率の推移を,図4に破線で示している。そして,図4に破線で示すように,UFP抑制モードへ切り替えた後のUFPの発生率は,上限値L以下に抑制されている。また,UFPの発生率の上限値Lは,例えば,30000個/cm・secに設定することができる。
【0067】
ここにおいて,本発明者らは,通常モードで連続印刷を行った場合のUFPの発生量は,画像形成開始前の待機時間によって異なることを発見した。図5は,3時間待機させた場合と1時間待機させた場合とにおける画像形成装置1について,それぞれ通常モードで連続印刷を行ったときのUFPの発生量を測定した結果を示したものである。図5に細い実線で示すのは,画像形成装置1を3時間待機させた後,通常モードで連続印刷を行ったときのUFPの発生率の推移である。図5に太い実線で示すのは,画像形成装置1を1時間待機させた後,通常モードで連続印刷を行ったときのUFPの発生率の推移である。
【0068】
図5に示すように,通常モードで連続印刷を行ったときのUFPの発生率は,3時間待機した後の方が,1時間だけ待機した後よりも多くなる傾向にあることが分かる。つまり,本発明者らは,待機時間が長いほど,その後の連続印刷時に発生するUFPの量が多くなることを見出した。なお,UFPの発生率の推移は,待機時間が3時間以上の場合には,図5に細い実線で示す3時間の場合とほぼ同じ傾向であることが分かった。
【0069】
前述したように,UFP抑制モードでは,通常モードよりもシステム速度が遅く設定されている。このため,通常モードからUFP抑制モードに切り替えるモード切替枚数は,生産性の観点からは,多い連続印刷枚数に設定されているほど好ましい。モード切替枚数が多いほど,多くの画像形成を通常モードで行うことができるため,画像形成の生産性を高く保つことができるからである。
【0070】
そして,図5に示すように,3時間待機させた後の画像形成装置1では,連続印刷枚数がn4のときに上限値Lに到達している。そして,UFPの発生率を上限値L以下に抑制するため,待機時間が3時間のときには,モード切替枚数を,連続印刷枚数がn4よりも少ない連続印刷枚数に設定しなければならない。なお,図5において,待機時間が3時間のときのモード切替枚数をn3で示している。また,3時間待機させた後の画像形成装置1において,連続印刷枚数がモード切替枚数n3のときに通常モードからUFP抑制モードへ切り替えた場合のその後のUFPの発生率の推移を,図5に破線で示している。
【0071】
これに対し,1時間だけ待機させた後の画像形成装置1では,連続印刷枚数がn4よりも多いn6のときに上限値Lに到達している。このため,待機時間が1時間のときには,モード切替枚数を,n6より少ない連続印刷枚数に設定すれば足りる。待機時間が1時間のときのモード切替枚数を,図5にn5で示している。また,1時間待機させた後の画像形成装置1において,連続印刷枚数がモード切替枚数n5のときに通常モードからUFP抑制モードへ切り替えた場合のその後のUFPの発生率の推移を,図5に破線で示している。
【0072】
図5に破線で示すように,待機時間が1時間および3時間のいずれの場合においても,UFP抑制モードへ切り替えた後のUFPの発生率は,上限値L以下に抑制されている。そして,図5に示すように,待機時間が1時間のときのモード切替枚数n5は,待機時間が3時間のときのモード切替枚数n3よりも多い連続印刷枚数の値である。つまり,待機時間が1時間の場合には,待機時間が3時間の場合よりも,モード切替枚数を,多い連続印刷枚数の値に設定することができる。すなわち,連続して画像形成を行う場合において,待機時間が短いほど,通常モードからUFP抑制モードに切り替えるモード切替枚数を,多い連続印刷枚数の値に設定できることが分かった。
【0073】
そこで,本発明者らは,異なる時間待機させた画像形成装置1についてそれぞれ通常モードで連続印刷を行い,待機時間ごとのUFPの発生率と連続印刷枚数との関係を求めた。さらにそれらの関係より,待機時間ごとに,モード切替枚数を求めた。求めた待機時間とモード切替枚数との関係を,図6に示す。図6に示すように,待機時間が短いほど,その待機時間に対応するモード切替枚数は多くなっている。そして,本形態の画像形成装置1の記憶部62には,図6に示す待機時間とモード切替枚数との関係が,閾値テーブル65として記憶されている。
【0074】
次に,本形態の画像形成装置1における,画像形成動作の手順について,図7のフローチャートにより説明する。図7に示すように,画像形成装置1のCPU61は,印刷ジョブに係る画像形成の指示があると,まず,待機時間カウント部63より待機時間を取得する(S101)。また,連続印刷カウント部64の値の初期化を行う(S102)。次に,取得した待機時間により記憶部62に記憶されている閾値テーブル65(図6)を参照し,モード切替枚数を決定する(S103)。例えば,待機時間が50分であった場合には,図6に示すように,モード切替枚数は160枚に決定される。
【0075】
続いて,CPU61は,連続印刷カウント部64より連続印刷枚数を取得する(S104)。また,取得した連続印刷枚数と決定したモード切替枚数とを比較しつつ,画像形成動作を行う。すなわち,まず,連続印刷枚数がモード切替枚数以下である場合には(S105:YES),画像形成の開始時に設定されている通常モードにより画像形成を行う(S106)。また,連続印刷カウント部64は,用紙Pに対して画像が形成される毎にこれをカウントし,連続印刷枚数の値を1枚だけ増やす(S107)。そして,入力されている印刷ジョブに係る枚数の画像形成が完了していない場合には(S108:NO),ステップ104に戻り,次の用紙Pを用いて画像形成を行う。
【0076】
一方,通常モードで連続して画像形成を行うことにより連続印刷枚数がモード切替枚数よりも多くなった場合には(S105:NO),制御モードを通常モードからUFP抑制モードへと切り替える(S109)。これにより,定着温度制御部80は,定着装置100の定着温度を通常モードの定着温度よりも低くする。さらに,システム速度制御部70は,システム速度を通常モードのシステム速度よりも遅くする。そして,UFP抑制モードにより,印刷ジョブに係る残りの枚数の画像形成動作を行う(S110)。
【0077】
通常モードにより印刷ジョブに係る枚数の画像形成が完了した場合(S108:YES),あるいは,通常モードから切り替えられたUFP抑制モードにより印刷ジョブに係る枚数の画像形成が完了した場合には(S111:YES),画像形成装置1の定着装置100などの各部の終了処理を行う(S112)。また,定着装置100などの各部の終了処理が完了するとともに,待機時間カウント部63の待機時間を初期化する(S113)そして,待機時間カウント部63によって待機時間のカウントが開始されるとともに(S114),画像形成装置1は待機状態となる。
【0078】
以上のように,本形態の画像形成装置1では,まず,連続印刷枚数が決定したモード切替枚数に到達するまで,通常モードで定着処理を行いつつ連続印刷を行う。また,連続印刷枚数が決定したモード切替枚数を超えた以後の画像形成においては,UFP抑制モードにより定着処理を行う。モード切替枚数は,画像形成が開始されたときの待機時間に基づいて閾値テーブル65により決定されている。このため,待機時間により異なるUFPの発生量を上限値L以下に抑制しつつ,できるだけ多くの枚数の画像形成を,生産性の高い通常モードで行うことができる。
【0079】
また,連続印刷が開始されたときからその連続印刷が継続されている連続印刷時間は,連続印刷枚数が多くなるほど長くなる。多くの用紙Pに連続して画像を形成するほど,それに要する時間は長くなるからである。よって,記憶部62に記憶されている閾値テーブル65としては,図6に示す待機時間とモード切替枚数との関係の代わりに,図8に示すような待機時間とモード切替時間との関係を用いることもできる。モード切替時間は,連続印刷を通常モードにより行いつつ通常モードからUFP抑制モードへ切り替えた場合の,UFPの発生量を上限値L以下に抑制しつつ,できるだけ長くの時間,通常モードで連続印刷できる連続印刷時間の閾値である。
【0080】
図8の待機時間とモード切替時間との関係を閾値テーブル65として用いる場合には,連続印刷カウント部64は,連続印刷に係る状態値として,連続印刷が開始されたときから経過した連続印刷時間をカウントする。そして,図7に示す手順においては,連続印刷枚数の代わりに連続印刷時間をカウントしつつ,連続印刷時間とモード切替時間とを比較しながら画像形成を行えばよい。
【0081】
さらに,記憶部62は,閾値テーブルを複数有していてもよい。例えば,画像形成装置1を換気が十分に行えない場所において使用する場合,ユーザーによって,画像形成の生産性を低下させてもUFPの発生量を低減させたいことがある。逆に,UFPを適切に処理できる環境において画像形成装置1を使用する場合には,UFPの発生量が多くても問題がなく,画像形成の生産性を高めたいことがある。よって,記憶部62には,UFPの発生量の上限値を異なる値として作成した複数の閾値テーブルを記憶させておく。そして,画像形成時には,ユーザーがUFPの発生量の上限値を選択する。画像形成装置1は,UFPの発生量が,ユーザーの選択した上限値を超えない閾値テーブルを用いて画像形成を行うこととしてもよい。
【0082】
また,待機時間とモード切替枚数との関係は,画像形成装置1の使用環境や画像形成条件などにより異なる場合がある。例えば,画像形成装置1の環境温度が低いほど,UFPの発生量は多くなる傾向にある。環境温度が低いほど,定着装置100が適切な定着温度になるまでに必要な熱量が多くなるからである。つまり,環境温度が低いほど定着装置100は加熱されることとなり,その加熱によってUFPの発生量が多くなる。
【0083】
また,使用する用紙Pによっても,待機時間とモード切替枚数との関係は異なることがある。例えば,画像形成に用いる用紙Pとして薄紙を用いた場合には,厚紙を用いた場合よりも,定着装置100が定着ニップN2を通過する用紙Pより奪われる熱量は少ない。このため,薄紙を用いた場合には,連続印刷により,定着装置100は高温となりがちである。そして,定着装置100の温度が高いほど,UFPの発生量は多くなる。よって,使用する用紙Pが熱量を奪いにくい種類のものであるほど,UFPの発生量は多くなる傾向にある。
【0084】
また,用紙サイズの小さいもの(例えばA4用紙)を用いた場合においても,大きいもの(例えばA2用紙)を用いた場合よりも,定着装置100が定着ニップN2を通過する用紙Pより奪われる熱量は少ない。定着装置100の定着ローラー110および加圧ローラー120の軸方向(図3において奥行き方向)の用紙Pが通過する通紙領域の長さは,その画像形成装置1が対応する最大の用紙サイズに合わせて設定されている。このため,用紙Pの用紙サイズが最大の用紙サイズよりも小さい場合,定着ローラー110および加圧ローラー120の軸方向の端部には,用紙Pと接触しない部分が存在することがある。その用紙Pと接触しない部分については,用紙Pの通過によって奪われる熱量がわずかであるため,用紙Pと接触する部分よりも高温となりがちである。よって,用紙サイズが小さいほど,UFPの発生量は多くなる傾向にある。
【0085】
なお,画像形成装置1においては,例えば,ユーザーが給紙カセット51に用紙Pを補充した際に,その用紙Pの種類を操作パネルによって選択できるようにしておく。これにより,画像形成装置1は,画像形成時に使用する用紙Pの種類を把握することができる。また,用紙サイズについては,例えば,給紙カセット51に用紙Pが補充された際にその用紙サイズを検出できるようなセンサーを設置しておくことにより,画像形成装置1は用紙Pの用紙サイズを把握することができる。あるいは,用紙サイズごとの複数の給紙カセットを有する画像形成装置であれば,画像形成時に給紙を行う給紙カセットにより,その用紙サイズを把握することができる。
【0086】
また,用紙Pの面積に占める画像の面積の割合であるカバレッジが高いほど,UFPの発生量は多くなる傾向にある。カバレッジが高いほど,用紙Pに定着されるトナーの量は多くなる。よって,定着装置100の加熱によって溶融するトナーの,単位時間当たりの量が増えるからである。
【0087】
また,例えば,各色の画像形成部10Y,10M,10C,10Kによりカラー画像を形成する場合には,画像形成部10Kのみによりモノクロ画像を形成する場合よりも,UFPの発生量は多くなることがある。カラー画像を形成する場合のトナー像は,各画像形成部により形成されたトナー像が重なる多層のトナー像である。その多層のトナー像を定着させるため,カラー画像を形成する場合には,単層のトナー像によりモノクロ画像を形成する場合よりも,定着温度が高く設定されていることがある。その際には,カラー画像を形成する場合の方が,モノクロ画像を形成する場合よりも,定着装置100の温度が高温になりやすいからである。
【0088】
また,画像形成装置1には,写真などを美しく仕上げた光沢画像を形成するための機能が備えられていることがある。この機能を有する画像形成装置1により光沢画像を形成する場合には,通常モードおよびUFP抑制モードのいずれにおいても,光沢画像でない画像を形成する場合よりもシステム速度が遅く設定される。用紙Pの定着装置100での通過速度を遅くしてトナーを均一に溶融させることにより,定着されるトナー像に光沢を出すためである。なお,定着装置100の定着温度については,光沢画像を形成する場合と光沢画像でない画像を形成する場合とで同じである。このため,光沢画像を形成する場合には,定着装置100は高温となりがちである。よって,光沢画像を形成する場合においても,UFPの発生量は多くなる傾向にある。
【0089】
上記のようにUFPの発生量が多くなる環境や条件において画像形成を行う場合には,モード切替枚数を少なくする補正を行うことが好ましい。UFPの発生量を,上限値以下に抑制するためである。また逆に,UFPの発生量が少なくなる環境や条件において画像形成を行う場合には,閾値テーブル65のモード切替枚数を多くする補正を行うことが好ましい。モード切替枚数が多いほど,多くの画像形成を通常モードで行うことができるため,画像形成の生産性を高く保つことができるからである。
【0090】
具体的には,例えば,環境温度による補正を行う場合,図9のような補正テーブルを記憶部62に記憶させておく。そして,画像形成装置1の環境温度が24℃である場合には,図7のステップS103で決定されるモード切替枚数に,補正係数1.1を乗じる補正を行う。また例えば,光沢画像を形成する場合には,モード切替枚数に補正係数0.9を乗じる補正を行う。また,補正係数を乗じる補正とは異なる補正の態様として,例えば光沢画像を形成する場合には,図7のステップS107において連続印刷カウント部64のカウントする枚数が10枚増える毎に,モード切替枚数を1枚減らすような補正を行ってもよい。
【0091】
また,モード切替枚数に係る補正の条件が複数ある場合には,複数の補正を重ねて行ってもよい。例えば,24℃の環境温度において光沢画像を形成する場合には,モード切替枚数に補正係数1.1と0.9とのいずれも乗じる補正を行えばよい。
【0092】
さらに,上記において,本形態の連続印刷カウント部64は,1つの印刷ジョブにおいて連続して画像形成を行った用紙Pの積算の枚数を,連続印刷枚数としてカウントすることとして説明した。しかし,連続印刷カウント部64は,複数の印刷ジョブにより連続して画像形成を行った用紙Pの積算の枚数を,連続印刷枚数としてカウントするものであってもよい。すなわち,複数の印刷ジョブが同時に入力されることによりそれら複数の印刷ジョブに係る画像形成を連続して行う場合には,連続印刷カウント部64による連続印刷枚数のカウントを,印刷ジョブごとに初期化することなく行わせてもよい。
【0093】
また,複数の印刷ジョブであっても,前の印刷ジョブの完了から次の印刷ジョブが入力されるまでの間隔が,例えば5分未満であるなど短時間である場合には,それらの印刷ジョブを一群の印刷ジョブとする。そして,一群の印刷ジョブに係る画像形成においては,連続印刷カウント部64による連続印刷枚数のカウントを,印刷ジョブごとに初期化することなく,一群の印刷ジョブを通して行わせることもできる。またこの場合には,一群の印刷ジョブが完了したと判断したとき(例えば最後の印刷ジョブの完了後5分以上,次の印刷ジョブの入力がないとき)に,最後の印刷ジョブが完了したときにさかのぼって待機時間カウント部63による待機時間のカウントを開始すればよい。
【0094】
以上詳細に説明したように,本形態の画像形成装置1は,通常モードとUFP抑制モードとを切り替えて画像形成を行うものである。UFP抑制モードでは,通常モードよりも,用紙Pの定着装置100での通過速度が遅く,定着装置100の定着温度が低く設定されている。画像形成装置1は,複数の用紙Pに連続して画像を形成する連続印刷においては,まず,待機時間より閾値テーブル65を参照することにより,モード切替枚数を決定する。そして,連続印刷枚数が決定したモード切替枚数以下である場合には,定着装置100による定着処理を通常モードで行いつつ画像形成を行う。これにより,できるだけ多くの枚数の画像形成を,生産性の高い通常モードで行うことができる。また,連続印刷により連続印刷状態値が決定したモード切替枚数を超えた以後の画像形成においては,定着装置100による定着処理をUFP抑制モードにより行う。これにより,UFPの発生量を,上限値以下に抑制することができる。よって,画像形成の生産性を高く保ちつつ,UFPの発生量を抑制することのできる画像形成装置が実現されている。
【0095】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本発明はカラープリンターに限らず,例えば,公衆回線経由で印刷ジョブの送受信を行うような画像形成装置にも適用可能である。また例えば,定着装置の加熱構成は電磁誘導加熱方式のものに限らず,定着ローラーの芯金の内部にヒーターを備える構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
60 装置制御部
62 記憶部
63 待機時間カウント部
64 連続印刷カウント部
65 閾値テーブル
70 システム速度制御部
80 定着温度制御部
100 定着装置
図1
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