特許第5949471号(P5949471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電装株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5949471-プロテクタ 図000002
  • 特許5949471-プロテクタ 図000003
  • 特許5949471-プロテクタ 図000004
  • 特許5949471-プロテクタ 図000005
  • 特許5949471-プロテクタ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949471
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20160623BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20160623BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20160623BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   H02G3/04 006
   H02G3/30
   F16B19/00 E
   F16B19/00 Q
   B60R16/02 623T
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-245988(P2012-245988)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-96880(P2014-96880A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】岸沢 秀典
【審査官】 月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−029712(JP,U)
【文献】 実開昭63−017309(JP,U)
【文献】 実開昭62−120046(JP,U)
【文献】 特開2012−217226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
B60R 16/02
F16B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスの少なくとも一部を覆うプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体に設けられ、車体に取付可能な第1固定部と、
前記プロテクタ本体に設けられ、前記車体に取付可能な第2固定部と、
を備え、
前記第1固定部は、
柱部と前記柱部の先端部の両側部に設けられた一対の係止部とを含むクリップ部と、
前記柱部と前記プロテクタ本体との間であって前記柱部の軸方向において前記一対の係止部との重複を避けた位置で、前記柱部と前記プロテクタ本体とを連結するように前記プロテクタ本体と前記柱部に対して一体成形され、自己の弾性変形によって前記プロテクタ本体に対して前記クリップ部を変位可能に支持する弾性支持部と、
を備え
前記弾性支持部は、前記柱部の軸方向に沿って視て、前記柱部の軸を中心として、前記一対の係止部の先端部を結ぶ方向に対して90度ずれた位置で、前記一対の係止部を両側から挟む位置に一対設けられている、プロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタであって、
前記弾性支持部は、前記柱部の前記軸方向に波打つ波形状部分を含む、プロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネスを保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プロテクタを車体に固定する際に、回転防止のため、プロテクタが複数の取付部材を介して車体に固定されることがある。
【0003】
ここで、車体における複数の被取付箇所の相対位置の誤差が大きいと、プロテクタの一方の取付部材を取付けた後、残りの取付部材を取付ける際に、当該残りの取付部材とこれに対応する被取付箇所とが大きく位置ずれしてしまう。このため、プロテクタに、上記のような位置誤差を吸収するような構成を組込むことが必要となる。
【0004】
特許文献1は、クリップ部を、ワイヤーハーネスに固定される固定部材に位置調整可能に取付可能な構成を開示している。
【0005】
特許文献2及び特許文献3は、クリップ本体又はクランプ本体を、弾性変形容易な弾性リング又は変形部を介して位置変更可能に支持する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−273278号公報
【特許文献2】実開平3−29712号公報
【特許文献3】特開平10−89329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、部品点数が増えるため、製造コスト増となってしまう。
【0008】
また、特許文献2及び3では、クリップ本体の又はクランプ本体の軸方向において、アンカー又は係止脚が、弾性リング又は変形部に対して重なり合う位置に設けられている。
【0009】
このため、これらの各部品を製造する際に、スライド金型等複雑な金型装置が必要となり、やはり製造コスト増となってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、プロテクタ本体に対してクリップ部の位置調整を行うための構成を容易に形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るプロテクタは、ワイヤーハーネスの少なくとも一部を覆うプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体に設けられ、車体に取付可能な第1固定部と、前記プロテクタ本体に設けられ、前記車体に取付可能な第2固定部と、を備え、前記第1固定部は、柱部と前記柱部の先端部の両側部に設けられた一対の係止部とを含むクリップ部と、前記柱部と前記プロテクタ本体との間であって前記柱部の軸方向において前記一対の係止部との重複を避けた位置で、前記柱部と前記プロテクタ本体とを連結するように前記プロテクタ本体と前記柱部に対して一体成形され、自己の弾性変形によって前記プロテクタ本体に対して前記クリップ部を変位可能に支持する弾性支持部と、を備える。
【0012】
また、第1の態様は、前記弾性支持部は、前記柱部の軸方向に沿って視て、前記柱部の軸を中心として、前記一対の係止部の先端部を結ぶ方向に対して90度ずれた位置で、
前記一対の係止部を両側から挟む位置に一対設けられている。
【0013】
第2の態様は、第1の態様に係るプロテクタであって、前記弾性支持部は、前記柱部の前記軸方向に波打つ波形状部分を含む。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様によると、弾性支持部の弾性変形によって、プロテクタ本体に対してクリップ部の位置調整を行うことができる。また、柱部の軸方向において係止部と弾性支持部とが重複しないため、クリップ部と弾性支持部等を容易に形成できる。
【0015】
第1の態様によると、一対の弾性支持部によって柱部をしっかり支持できる。
【0016】
第2の態様によると、前記弾性支持部は、前記柱部の前記軸方向に向けて湾曲するように波打つ波形状部分を含むため、弾性支持部は、プロテクタ本体と柱部とを結ぶ方向に加えて、柱部の軸方向にも、弾性変形でき、クリップ部をより多様な方向に容易に変位させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係るプロテクタの全体構成を示す概略斜視図である。
図2】第1固定部を示す斜視図である。
図3】第1固定部を示す底面図である。
図4図3のIV−IV線断面図である。
図5図4の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態に係るプロテクタについて説明する。図1はプロテクタの全体構成を示す概略斜視図である。
【0019】
プロテクタ20は、車体に取付けられた状態で、当該車体に配索されるワイヤーハーネス10を保護するように構成されている。ここで、ワイヤーハーネス10は、複数の電線が接続先となる各種電気器の配設位置に合せて適宜分岐されつつ結束された構成とされている。
【0020】
プロテクタ20は、上記ワイヤーハーネス10の少なくとも一部(ここでは、一部)を覆った状態で、車体に取付けられることで、ワイヤーハーネス10の少なくとも一部を保護すると共に、当該ワイヤーハーネス10が車体における所定位置を通って配索されるように保持する。
【0021】
プロテクタ20は、プロテクタ本体22と、第1固定部30と、第2固定部50とを備えている。ここでは、プロテクタ本体22に対して、第1固定部30と第2固定部50とが、樹脂等によって一体に金型成型されている。
【0022】
プロテクタ本体22は、ワイヤーハーネス10の少なくとも一部分を覆うように構成されている。ここでは、プロテクタ本体22は、一側方が開口する半筒状形状に形成されている。ここでは、プロテクタ本体22は、途中で曲っているが必ずしもかかる形状である必要はない。プロテクタ本体は、直線状形状であってもよいし、途中で分岐していてもよい。
【0023】
プロテクタ本体22の両端部は開口しており、ワイヤーハーネス10は当該両端側開口を通ってプロテクタ本体22内に通される。プロテクタ本体22の一側部には、ヒンジ部を介して蓋部28が開閉可能に一体形成されている。また、プロテクタ本体22の他側部と蓋部28の他側縁部に、係止部29及び係止受部23が一体形成されており、プロテクタ本体22と蓋部28との間にワイヤーハーネス10を収容した状態で、係止部29が係止凹部23に係止固定されることで、蓋部28がプロテクタ本体22の一側開口を閉じた状態を維持する。蓋部28は、プロテクタ本体22とは別体に形成され、当該プロテクタ本体22に対して着脱可能に取付けられる構成であってもよい。また、蓋部28は省略されてもよい。
【0024】
このプロテクタ本体22に、第1固定部30と第2固定部50とが設けられている。第1固定部30及び第2固定部50は、それぞれ車体の一部である取付対象部位に取付可能に構成されている。ここでは、上記プロテクタ本体22の一端部の底部位置に第2固定部50が設けられ、プロテクタ本体22の他端部の底部側方位置に第1固定部30が設けられている。もっとも、第1固定部30及び第2固定部50の設置位置は、上記例に限られず、例えば、プロテクタ本体22の長手方向中間部に設けられていてもよい。また、プロテクタ本体22には、第1固定部30或は第2固定部50の他に、別の固定部が設けられていてもよい。
【0025】
第1固定部30及び第2固定部50は、それぞれ車体の一定位置に設けられた別々の取付対象部位に取付固定される。このため、プロテクタ本体22における第1固定部30と第2固定部50との相対位置と、車体における2つの取付対象部位の相対位置とが異なっていると、第1固定部30と第2固定部50との一方を取付対象部位に取付けた後、第1固定部30と第2固定部50との他方を残りの取付対象部位に取付けようとしても、第1固定部30と第2固定部50との他方と残りの取付対象部位の位置とが合わず、その取付作業が難しくなり、或は、取付自体行えないことになり得る。
【0026】
そこで、このプロテクタ20では、第2固定部50に対して第1固定部30を変位できるようにして、第1固定部30及び第2固定部50を取付対象部位に取付けた後、第1固定部30及び第2固定部50の他方を取付対象部位の位置に応じて変位できるようにして、第1固定部30及び第2固定部50の他方を取付対象部位に容易に取付けられるようにしている。
【0027】
まず、第2固定部50は、プロテクタ本体22に対して一定位置に設けられている。
【0028】
すなわち、第2固定部50は、柱部52と、柱部52の先端部に設けられた一対の係止部56とを備える。この第2固定部50自体は、後述する第1固定部30のクリップ部31と同様構成とされている。
【0029】
柱部52は、上記プロテクタ本体22の底部より突設された長尺形状の部材に形成されている。一対の係止部56は、柱部52の先端側から基端側に向けて外向き傾斜するように延出する形状に形成されている。一対の係止部56の先端部の最大幅は、取付対象部位に形成された取付孔の直径よりも大きく設定されている。この第2固定部50を取付対象部位に形成された取付孔に挿入すると、一対の係止部56が取付孔の周縁に当接して狭められるように弾性変形する。そして、一対の係止部56が取付孔を越えると、一対の係止部56が原形状に弾性復帰して、取付孔の周縁に抜止め係止するようになっている。これにより、プロテクタ本体22が第2固定部50を介して車体における所定位置の取付対象部位に固定される。
【0030】
なお、第2固定部50の構成は上記例に限られない。例えば、第2固定部は、車体に設けられたボルト又は固定用の長尺部材(ブラケットとも呼ばれる部材等)が挿通固定される構成であってもよい。
【0031】
図2は第1固定部30を示す斜視図であり、図3は第1固定部30を示す底面図であり、図4図3のIV−IV線断面図であり、図5図4の部分断面図である。
【0032】
図1図5に示すように、第1固定部30は、クリップ部31と、弾性支持部40とを備える。
【0033】
クリップ部31は、車体Bの取付対象部位(金属板等)に形成された取付孔Bh(図4参照)に挿入することにより当該取付孔Bhに取付可能に構成される部分であり、柱部32と、一対の係止部36とを備える。
【0034】
このクリップ部31は、プロテクタ本体22の一部である支持片24に一体形成されている。すなわち、プロテクタ本体22の他端部の底部側方に外方に延出するようにして方形状の支持片24が延出している。この支持片24に方形状の支持孔24hが形成されており、当該支持孔24h内にクリップ部31が弾性支持部40を介して支持されている。なお、クリップ部31は、プロテクタ本体22の他の底部、側壁部等に形成されていてもよい。
【0035】
柱部32は、長尺部材、ここでは、細長い板状に形成されている。柱部32の先端部は幅狭になる形状に形成されている。また、柱部32の基端部分の幅は、取付孔Bhの直径(取付孔が楕円形状である場合にはその長径)と同じ又は小さい(僅かに小さい)大きさに設定されている。
【0036】
また、一対の係止部36は、上記柱部32の先端部の両側部から柱部32の基端側に向けて外向き傾斜しつつ延出する形状に形成されている.つまり、一対の係止部36は、柱部32の先端部から互いに反対側に向けて突設されている。一対の係止部36の先端部の幅は、取付孔Bhの直径(取付孔Bhが楕円形状である場合にはその短径)よりも大きく(僅かに大きく)設定されている。また、一対の係止部36の先端部の外向き部分には,係止凹部36aが形成されている。
【0037】
そして、クリップ部31を取付孔Bhに挿入すると、一対の係止部36の外面が取付孔Bhの周縁部に押し当てられて、内向きに弾性変形する。クリップ部31をさらに押込み、一対の係止部36が取付孔Bhの周縁部を乗越えると、一対の係止部36が外向きに弾性復帰し、一対の係止部36の先端部(ここでは係止凹部36a)が取付孔Bhの周縁部に挿入方向反対側から係止する。ここでは、一対の係止部36は若干内側に弾性変形した状態で、取付孔Bhの周縁部に係止する。これにより、係止部36と取付孔Bhとのがたつきが抑制された状態で、クリップ部31が取付孔Bhに対して抜止め固定される。
【0038】
このクリップ部31自体は、柱部32の軸方向に沿って当該柱部32の先端側及び基端側から視るとアンダーカットとなる部位は存在しない形状となっている。このため、クリップ部自体31は、柱部32の軸方向に沿った方向で合体する一対の金型によって容易に金型成型できる形状とされている。
【0039】
弾性支持部40は、柱部32とプロテクタ本体22とを連結するようにプロテクタ本体22の一部である支持片24と柱部32に対して一体形成されている。これにより、プロテクタ本体22と第1固定部30とが弾性支持部40によって一体成形された構成となり、それらの各部分を容易に金型成型することができる。
【0040】
なお、柱部32の軸方向に沿って視た状態で、柱部32の扁平方向の寸法及び一対の係止部36の先端部間の寸法は、取付孔Bhの大きさよりも小さい。従って、クリップ部31を上記のように一対の金型によって金型成型する際に、当該クリップ部31の周りに取付片24を同時に金型成型することができる。
【0041】
また、弾性支持部40は、柱部32と支持片24との間であって柱部32の軸方向において一対の係止部36との重複を避けた位置に設けられている。ここでは、弾性支持部40は、柱部32の軸方向に沿って視た状態で、一対の係止部36を両側から挟む位置に一対設けられている。ここでは、柱部32に対して当該柱部32の扁平方向に対して直交する方向に延出するようにして、上記一対の係止部36が設けられている。一対の弾性支持部40は、柱部32の軸を中心として、一対の係止部36から90度ずれた位置、即ち、柱部32の基端部の長辺方向両端部に設けられ、当該柱部32の基端部の長辺方向両端部と支持孔24hの対向する一対の辺とを結ぶように設けられている。従って、柱部32の軸方向に沿って視ると、一対の係止部36と一対の弾性支持部40とは互いに重複しない位置に設けられている。このため、クリップ部31及び一対の弾性支持部40を一体として視ても、柱部32の軸方向に沿って当該柱部32の先端側及び基端側から視てアンダーカットとなる部位は存在しない形状となっている。このため、クリップ部31及び弾性支持部40も、柱部32の軸方向に沿った方向で合体する一対の金型によって容易に金型成型できる形状とされている。
【0042】
また、弾性支持部40は、弾性変形可能な形状に形成されており、自己の弾性変形によって、プロテクタ本体22に対してクリップ部31を変位可能に支持するように構成されている。
【0043】
ここでは、各弾性支持部40は、厚板状部分42と波形状部分44とを有する。
【0044】
厚板状部分42は、細長い厚板状部分に形成されており、上記柱部32の基端部の長辺方向両端部に、当該長辺方向に対して直交する方向に沿うように一体形成されている。
【0045】
また、波形状部分44は、厚板状部分42と支持孔24hの一辺との間に介在するようにして、当該厚板状部分42と支持孔24hの一辺とに対して一体形成されている。波形状部分44は、柱部32の軸方向に向けて湾曲するように波打つ形状に形成されている。より具体的には、波形状部分44は、厚板状部分42と支持孔24hの一辺との間で、柱部32の突出方向に向けてU字状に湾曲している。
【0046】
このため、波形状部分44は、U字状湾曲部分の幅を狭めるように或は拡げるようにして容易に弾性変形することができる(矢符A1参照)。そして、一方の弾性支持部40の波形状部分44を縮めるように弾性変形させると共に、他方の弾性支持部40を拡げるように弾性変形させることで、クリップ部31を、一方の弾性支持部40を結ぶ方向に変位させることができる(矢符A2参照)。
【0047】
また、波形状部分44は、支持孔24hの一辺側に連結された部分に対して、厚板状部分42に連結された部分を、柱部32の軸方向に変位させるようにして容易に弾性変形することもできる(矢符B1参照)。そして、一対の弾性支持部40の波形状部分44のうち厚板状部分42に連結された部分を、支持孔24hの一辺側に連結された部分に対して、柱部32の軸方向に沿って変位させることで、クリップ部31を柱部32の軸方向に変位させることができる(矢符B1参照)。また、一方の弾性支持部40の波形状部分44のうち厚板状部分42に連結された部分を、支持孔24hの一辺側に連結された部分に対して、柱部32の軸方向に沿って一方側に変位させると共に、他方の弾性支持部40の波形状部分44のうち厚板状部分42に連結された部分を、柱部32の軸方向に沿って他方側に変位させることで、クリップ部31を傾けることもできる(矢符C参照)。
【0048】
なお、上記のように、上記弾性支持部40自体の形状も、柱部32の軸方向に沿って湾曲する形状であり、従って、柱部32の軸方向に沿って当該柱部32の先端側及び基端側から視てアンダーカットとなる部位は存在しない形状となっている。
【0049】
なお、波形状部分44は、上記例に限られない。柱部32の軸方向において湾曲する部分が複数存在してもよいし、また、柱部32の柱部32の軸方向に沿って柱部32の基端側に突出するように湾曲する形状部分を有していてもよい。また、弾性支持部の全体が波打っていてもよい。
【0050】
以上のように構成されたプロテクタ20によると、弾性支持部40の弾性変形によって、プロテクタ本体22に対してクリップ部31の位置調整を行うことができる。このため、例えば、第2固定部50を車体Bの取付対象部位に固定した後、第1固定部30を他の取付対象部位に取付ける際に、弾性支持部40を弾性変形させることによって、クリップ部31の位置を相手側の取付対象部位の位置に合せて移動させることによって、当該第2固定部50を容易に相手側の取付対象部位に取付固定することができる。なお、第2固定部50を相手側の取付対象部位に取付けた後、第1固定部30を相手側の取付対象部位に取付ける際にも、同様にして、固定済の第2固定部50に対してプロテクタ本体22及び第1固定部30の位置を調整して、当該第1固定部30を相手側の取付対象部位に取付けることができる。このため、複数の固定部30、50を有するプロテクタ本体22を、車体Bに容易に取付けることができる。
【0051】
また、柱部32の軸方向において、一対の係止部36と一対の弾性支持部40とが重複しないため、クリップ部31と弾性支持部40とを、例えば、柱部32の軸方向において合体可能な一対の金型を有する金型装置等、スライド金型を組込まない比較的簡易な金型装置等によって、容易に低コストで形成できる。
【0052】
特に、クリップ部31は、一対の弾性支持部40によって支持片24に支持されているため、当該クリップ部31をプロテクタ本体22に対してしっかりと支持することができる。
【0053】
また、弾性支持部40は、柱部32の軸方向において湾曲するように波打つ波形状部分44を含むため、弾性支持部40は、プロテクタ本体22と柱部32とを結ぶ方向において容易に弾性変形でき、クリップ部31を当該方向に容易に変位させることができる。これに加えて、弾性支持部40は、柱部32の軸方向にも容易に変形できるため、クリップ部31を柱部32の軸方向においても容易に変位させることができる。これにより、車体Bの取付対象部位の多様な位置ずれに対して容易に対応して、プロテクタ20を車体Bに取付固定できる。
【0054】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0055】
10 ワイヤーハーネス
20 プロテクタ
22 プロテクタ本体
24 支持片
30 第1固定部
31 クリップ部
32 柱部
36 係止部
40 弾性支持部
44 波形状部分
50 第2固定部
図1
図2
図3
図4
図5