特許第5949511号(P5949511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5949511-車両用外装部材の保持構造 図000002
  • 特許5949511-車両用外装部材の保持構造 図000003
  • 特許5949511-車両用外装部材の保持構造 図000004
  • 特許5949511-車両用外装部材の保持構造 図000005
  • 特許5949511-車両用外装部材の保持構造 図000006
  • 特許5949511-車両用外装部材の保持構造 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949511
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】車両用外装部材の保持構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20160623BHJP
   B62D 21/08 20060101ALI20160623BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   B62D25/08 K
   B62D21/08
   B62D25/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-270417(P2012-270417)
(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-113949(P2014-113949A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年4月17日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年7月2日に、トヨタ車体株式会社が名古屋トヨペット株式会社に、立野貴浩及び水崎祟夫が発明した車両用外装部材の保持構造を具備した乗用車を販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】立野 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】水崎 崇夫
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−162362(JP,A)
【文献】 特開2006−035915(JP,A)
【文献】 特開平02−077369(JP,A)
【文献】 特開平04−314622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B62J 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャシから上方に延びるフレームによって外装部材を保持する車両用外装部材の保持構造であって、
シャシに固定されるとともに外装部材に覆われる下側フレームと、
下側フレームに固定された上側フレームと、
下側フレームに固定されて外装部材を支持する下側ブラケットと、
上側フレームに固定されて外装部材を支持する上側ブラケットと、
下側ブラケットと上側ブラケットとを互いに連結して下側ブラケットと上側ブラケットとの相対的な位置決めをする位置決め部と、を備え
前記外装部材を保持する下側ブラケットの保持部と前記外装部材を保持する上側ブラケットの保持部とはフレームを挟んで互いに反対側に位置しており、
前記位置決め部は下側ブラケットの保持部に設けられている、
車両用外装部材の保持構造。
【請求項2】
前記位置決め部は、下側ブラケット及び上側ブラケットの双方に形成された位置決め孔と、これら位置決め孔に挿通されるボルトとによって構成されている、
請求項1に記載の車両用外装部材の保持構造。
【請求項3】
上側ブラケットには複数の位置決め孔が互いに異なる位置に形成されている、
請求項2に記載の車両用外装部材の保持構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用外装部材の保持構造において、
下側ブラケット及び下側フレームには下側ブラケットと下側フレームとを締結するボルトが挿通される孔が形成されるとともに、下側ブラケットの孔の径は下側フレームの孔の径よりも大きくされている、
車両用外装部材の保持構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部材の保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には一人乗りの電気自動車の車両が開示されている。この車両のシャシには上方に延びる後側フレームが設けられており、同後側フレームによってルーフモジュールの後部が支持されている。また、車両にはルーフモジュールからシャシまでの車両側面を多う外装パネルが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―30706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした一人乗りの車両においては、車両側面が開放されており、フレームの上部が外部に露出している仕様のものがある。この場合、フレームに外装パネルを保持させるためのブラケットの取付位置等が制限されることとなるため、外装パネルをフレームに正確に組み付けることが難しいものとなっている。
【0005】
本発明の目的は、外装部材を容易且つ正確に組み付けることのできる車両用外装部材の保持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための車両用外装部材の保持構造は、シャシから上方に延びるフレームによって外装部材を保持する車両用外装部材の保持構造であって、シャシに固定されるとともに外装部材に覆われる下側フレームと、下側フレームに固定された上側フレームと、下側フレームに固定されて外装部材を支持する下側ブラケットと、上側フレームに固定されて外装部材を支持する上側ブラケットと、下側ブラケットと上側ブラケットとを互いに連結して下側ブラケットと上側ブラケットとの相対的な位置決めをする位置決め部と、を備え、前記外装部材を保持する下側ブラケットの保持部と前記外装部材を保持する上側ブラケットの保持部とはフレームを挟んで互いに反対側に位置しており、前記位置決め部は下側ブラケットの保持部に設けられている
【0007】
同構成によれば、位置決め部によって下側ブラケットと上側ブラケットとが互いに連結されることで、これらブラケットの相対的な位置決めがなされる。このため、下側ブラケットの保持部と上側ブラケットの保持部との間の位置ずれが抑制される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外装部材を容易且つ正確に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における車両の斜視構造を示す斜視図。
図2】同実施形態におけるフレームを中心とした斜視構造を示す斜視図。
図3】同実施形態の右側の外装パネルの保持構造を示す斜視図。
図4図3の4−4線に沿った断面構造を示す断面図。
図5】各フレーム及び各ブラケットの連結構造を模式的に示す模式図。
図6】比較例の外装パネルの保持構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、図1図5を参照して、車両用外装部材の保持構造を具体化した一実施形態について説明する。
【0011】
図1及び図2に示すように、一人乗りの電気自動車車両のシート12の後方には上下に延びる左右一対の金属製のフレーム20が設けられており、これらフレーム20によってルーフモジュール11が支持されている。
【0012】
フレーム20は、シャシ10に固定された下側フレーム30と、この下側フレーム30の上端に連結プレート35を介して連結された上側フレーム40との分割構造とされている。
【0013】
また、車両にはシャシ10やタイヤハウジングカバー15を側方から覆う合成樹脂製の外装パネル19が設けられている。
尚、左右一対の外装パネル19の保持構造は左右対称であるため、以降においては、右側の外装パネル19の保持構造について説明し、左側の外装パネル19の保持構造については説明を省略する。
【0014】
図3及び図4に示すように、下側フレーム30は外装パネル19によって覆われる一方、上側フレーム40は同上側フレーム40の下端部のみが外装パネル19によって覆われており、同下端部を除く部分は外部に露出している。
【0015】
下側フレーム30は、上下方向に沿って延びるとともに上端部が車幅方向外側(以下、単に外側と称する。)に向けて屈曲して延びるパイプ31と、同パイプ31の前後両側に対して溶接にて固設された断面略U字状の連結プレート35とを有している。
【0016】
上側フレーム40はパイプ31の上端部の直上から上方に延びており、同上側フレーム40の下端部は連結プレート35内に位置している。そして、上記連結プレート35は上側フレーム40の下端部を前側、後側、及び外側から覆っている。上側フレーム40はボルト82によって連結プレート35に固定されている。
【0017】
外装パネル19はフレーム20に連結された2つの金属製のブラケット50、60によって保持されている。ブラケット50、60は外部に露出されないように、外装パネル19によって車幅方向外側から覆われている。2つのブラケット50、60のうち、片持ち長さの短い上側ブラケット60が上側フレーム40に固定されている。また、2つのブラケット50、60のうち、片持ち長さが長くされ、剛性を確保するためのフランジ51、56を有する下側ブラケット50が連結プレート35に固定されている。
【0018】
上側ブラケット60は連結孔62を有しており、同連結孔62を通じて上側フレーム40に外嵌されている。上側ブラケット60の連結孔62の内周縁と上側フレーム40とは溶接されている。
【0019】
上側ブラケット60には前方に向けて延びる保持部63が形成されており、同保持部63には保持孔64が形成されている。保持孔64に挿入される図示しないクリップにより外装パネル19が保持されている。このため、外装パネル19は上側ブラケット60を介して上側フレーム40に対して位置決めされている。
【0020】
また、上側ブラケット60には後方に向けて延びる2つの延設部65、67が形成されており、これら延設部65、67には第1位置決め孔66及び第2位置決め孔68が形成されている。これら位置決め孔66、68は連結孔62の周方向の互いに異なる位置において上記保持孔64の中心と連結孔62の中心とを結ぶ直線に対して線対称にて形成されている。
【0021】
下側ブラケット50の連結フランジ51は連結プレート35の後壁35aに沿って延びており、同連結フランジ51はボルト81により後壁35aに固定されている。また、下側ブラケット50は連結フランジ51の上端から屈曲して後方に延びる保持アーム53を有している。従って、上側ブラケット60の保持部63と下側ブラケット50の保持アーム53とは上側フレーム40を挟んで互いに反対側に位置している。保持アーム53は上側ブラケット60の2つの延設部65、67の直下に位置している。また、下側ブラケット50の補強フランジ56は連結フランジ51の外側の端部と保持アーム53の外側の端部とを連結するとともに略三角形状をなしている。尚、下側ブラケット50は金属板を曲げ加工することにより形成されている。
【0022】
保持アーム53の後端部には保持孔54が形成されており、図示しないクリップを同保持孔54に挿入することにより同保持アーム53によって外装パネル19が下側から保持される。また、保持アーム53の前端部には位置決め孔55が形成されている。
【0023】
下側ブラケット50の位置決め孔55と上側ブラケット60の第1位置決め孔66とにボルト91が挿入されることにより、下側ブラケット50と上側ブラケット60とが直接連結され、これら下側ブラケット50と上側ブラケット60との相対的な位置決めがなされている。これら位置決め孔55、66とボルト91とによって位置決め部70が構成されている。
【0024】
尚、左側のフレーム20においては、下側ブラケット50の位置決め孔55と上側ブラケット60の第2位置決め孔68とにボルトが挿通されることで、下側ブラケット50と上側ブラケット60とが直接連結され、これら下側ブラケット50と上側ブラケット60との相対的な位置決めがなされている。
【0025】
図5に示すように、連結プレート35の後壁35aと下側ブラケット50の連結フランジ51とには孔36、52が形成されている。これら孔36、52に対して連結フランジ51側から連結プレート35側にボルト81が挿通されることにより連結プレート35と下側ブラケット50の連結フランジ51とが締結されている。ここで、連結フランジ51の孔52の径は連結プレート35の孔36の径よりも大きくされており、連結プレート35に対する連結フランジ51、すなわち下側ブラケット50の位置調節が許容されるようになっている。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。
外装パネル19は上側フレーム40に固定された上側ブラケット60に固定されるため、上側フレーム40を基準として外装パネル19が位置決めされる。
【0027】
ここで、図6に示す比較例の場合には、下側フレーム130に溶接された連結プレート135と上側フレーム140とをボルトによって固定する際に連結プレート135と上側フレーム140との位置ずれが生じると、下側ブラケット150と上側ブラケット160との間に位置ずれが生じる。その結果、下側ブラケット150の保持孔154と上側ブラケット160の保持孔165との間に位置ずれが生じ、これらブラケット150、160に対して外装パネル119を組み付けにくくなる。尚、外装パネル119を撓ませるなどすればブラケット150、160に対して外装パネル119を組み付けることはできるものの、外装パネル119に歪みが生じるおそれがある。
【0028】
これに対して、本実施形態によれば、下側ブラケット50と上側ブラケット60とがボルト91によって互いに連結されることで、下側ブラケット50と上側ブラケット60との位置決めがなされる。このため、下側ブラケット50の保持アーム53と上側ブラケット60の保持部63とのとの間の位置ずれが抑制され、保持アーム53と保持部63に固定される外装パネル19との間の位置ずれが抑制される。従って、各ブラケット50、60に対して外装パネル19を容易に組み付けることができる。
【0029】
ところで、ボルト91によって下側ブラケット50と上側ブラケット60とが互いに連結されることで下側ブラケット50の孔52の中心が下側フレーム30の孔36の中心からずれることがあり、これらの孔52、36にボルト81を挿通させることができず、下側ブラケット50と下側フレーム30とを連結することができなくなるおそれがある。
【0030】
この点、本実施形態では、下側ブラケット50の孔52の径が下側フレーム30の孔36の径よりも大きくされているため、下側ブラケット50の孔52の軸中心が下側フレーム30の孔36の軸中心からずれた場合であっても、下側ブラケット50と下側フレーム30とを容易に連結することができる。
【0031】
以上説明した本実施形態に係る車両用外装部材の保持構造によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)シャシ10には外装パネル19に覆われる下側フレーム30が固定され、下側フレーム30には上側フレーム40が固定されている。下側フレーム30には外装パネル19を支持する下側ブラケット50が固定され、上側フレーム40には外装パネル19を支持する上側ブラケット60が固定されている。また、下側ブラケット50と上側ブラケット60とを互いに連結して下側ブラケット50と上側ブラケット60との相対的な位置決めをする位置決め部70が設けられている。この位置決め部70は、下側ブラケット50及び上側ブラケット60の双方に形成された位置決め孔55、66と、これら位置決め孔55、66に挿通されるボルト91とによって構成されている。こうした構成によれば、下側ブラケット50と上側ブラケット60との相対的な位置決めがなされるため、下側ブラケット50の保持アーム53と上側ブラケット60の保持部63とのとの間の位置ずれが抑制される。従って、各ブラケット50、60に対して外装パネル19を撓ませることなく容易且つ正確に組み付けることができる。
【0032】
(2)上側ブラケット60には2つの位置決め孔66、68が連結孔62の周方向の互いに異なる位置において上記保持孔64の中心と連結孔62の中心とを結ぶ直線に対して線対称にて形成されている。こうした構成によれば、下側ブラケット50との固定のために2つの位置決め孔66、68のいずれか一方を適宜選択することにより、左右のフレーム20に対して共通の上側ブラケット60を適用することができ、部品の共通化を図ることができる。
【0033】
(3)上側フレーム40は下側フレーム30に固定された連結プレート35を介して同下側フレーム30に連結されている。下側ブラケット50及び連結プレート35には下側ブラケット50と連結プレート35とを締結するボルト81が挿通される孔52、36が形成されている。また、下側ブラケット50の孔52の径は連結プレート35の孔36の径よりも大きくされている。こうした構成によれば、下側ブラケット50の孔52の軸中心が下側フレーム30の孔36の軸中心からずれた場合であっても、下側ブラケット50と下側フレーム30とを容易に締結することができる。
【0034】
(4)外装パネル19を保持する下側ブラケット50の保持アーム53と外装パネル19を保持する上側ブラケット60の保持部63とはフレーム20を挟んで互いに反対側に位置している。また、位置決め部70は下側ブラケット50の保持アーム53に設けられている。こうした構成によれば、例えば位置決め部が上側ブラケットの保持部に設けられている構成や下側ブラケットがフレームにのみ連結されている構成に比べて、下側ブラケット50の片持ち長さ、すなわちボルト91から保持孔54までの長さが実質的に短くなる。このため、下側ブラケット50の剛性を高めることができる。従って、薄肉化するなどして下側ブラケット50の軽量化を容易に図ることができる。
【0035】
<変形例>
尚、本発明に係る車両用外装部材の保持構造は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
【0036】
・上記実施形態において例示した一対の位置決め孔66、68に代えて、1つの位置決め孔を有する上側ブラケットを採用することもできる。また、3つ以上の位置決め孔を有する上側ブラケットを採用することもできる。
【0037】
・上記実施形態において例示した1つの位置決め孔55に代えて、2つ以上の位置決め孔を有する下側ブラケットを採用することもできる。
・金属製の外装パネルを採用することもできる。
【0038】
・上側ブラケットによって保持される外装部材を下側ブラケットによって保持される外装部材とは別の部材とすることもできる。
【符号の説明】
【0039】
10…シャシ、19…外装パネル(外装部材)、20…フレーム、30…下側フレーム、40…上側フレーム、50…下側ブラケット、51…連結フランジ、52…孔、53…保持アーム、54…保持孔、55…位置決め孔、56…補強フランジ、60…上側ブラケット、66…第1位置決め孔、68…第2位置決め孔、70…位置決め部、91…ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6