(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主として窒化ガリウム(GaN)により形成されたp型半導体層と、主として窒化ガリウム(GaN)により形成されると共に前記p型半導体層に接続されたn型半導体層と、前記n型半導体層に形成された第1の電極層と、前記p型半導体層に形成された第2の電極層と、を有し、前記第1の電極層と前記第2の電極層とは互いに同電位で動作するように電気的に接続されており、前記第1の電極層は前記第2の電極層における前記p型半導体層に接する表面とは反対側の表面の少なくとも一部に接続されている半導体装置の製造方法であって、
前記n型半導体層上に前記第1の電極層を形成する工程と、
前記p型半導体層上に前記第2の電極層を形成する工程と、
前記半導体層上に形成された前記第1の電極層と前記第2の電極層とに対して熱処理を行う工程と、を備え、
前記熱処理の温度は、摂氏400度以上650度以下であり、
前記p型半導体層上に形成される前記第2の電極層は、前記p型半導体層と接続される側に配置されたpコンタクト形成層を備え、
前記pコンタクト形成層は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含み、
前記pコンタクト形成層の層厚は、3nm以上1000nm以下である、半導体装置の製造方法。
主として窒化ガリウム(GaN)により形成されたp型半導体層と、主として窒化ガリウム(GaN)により形成されると共に前記p型半導体層に接続されたn型半導体層と、前記n型半導体層に形成された第1の電極層と、前記p型半導体層に形成された第2の電極層と、を有し、前記第1の電極層と前記第2の電極層とは互いに同電位で動作するように電気的に接続されており、前記第2の電極層は前記第1の電極層における前記n型半導体層に接する表面とは反対側の表面の少なくとも一部に接続されている半導体装置の製造方法であって、
前記n型半導体層上に前記第1の電極層を形成する工程と、
前記p型半導体層上に前記第2の電極層を形成する工程と、
前記半導体層上に形成された前記第1の電極層と前記第2の電極層とに対して熱処理を行う工程と、を備える、半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、半導体装置のn型半導体層に電極層(第1の電極層)を形成し、p型半導体層に電極層(第2の電極層)を形成する場合に、第1の電極層および第2の電極層のそれぞれを形成するためのフォトリソグラフィの重ね合わせ精度に応じて、第1の電極層と第2の電極層とを離隔して形成する必要があり、半導体装置の微細化が制限されるという問題があった。また、上記従来の技術では、各半導体層と各電極層との間での良好なオーム性接触の実現という点で、さらなる向上の余地があった。そのほか、従来の半導体装置の製造方法においては、製造の容易化、省資源化などが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、主として窒化ガリウム(GaN)により形成されたp型半導体層と、主として窒化ガリウム(GaN)により形成されると共に前記p型半導体層に接続されたn型半導体層と、前記n型半導体層に形成された第1の電極層と、前記p型半導体層に形成された第2の電極層と、を有し、前記第1の電極層と前記第2の電極層とは互いに同電位で動作するように電気的に接続されており、前記第1の電極層は前記第2の電極層における前記p型半導体層に接する表面とは反対側の表面の少なくとも一部に接続されている半導体装置の製造方法が提供される。半導体装置の製造方法は、前記n型半導体層上に前記第1の電極層を形成する工程と、前記p型半導体層上に前記第2の電極層を形成する工程と、前記半導体層上に形成された前記第1の電極層と前記第2の電極層とに対して熱処理を行う工程と、を備え、前記熱処理の温度は、摂氏400度以上650度以下である。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層が第2の電極層上に積層され電極周辺部分が微細化された小型の半導体装置を製造することができ、半導体装置の製造コストを低減することができる。また、この形態の半導体装置の製造方法によれば、半導体層上に形成された第1の電極層と第2の電極層とに対して行われる熱処理の温度が摂氏400度以上650度以下であり、この条件によれば各半導体層と各電極層との間での良好なオーム性接触を実現することができる。
【0007】
(2)本発明の他の一形態によれば、主として窒化ガリウム(GaN)により形成されたp型半導体層と、主として窒化ガリウム(GaN)により形成されると共に前記p型半導体層に接続されたn型半導体層と、前記n型半導体層に形成された第1の電極層と、前記p型半導体層に形成された第2の電極層と、を有し、前記第1の電極層と前記第2の電極層とは互いに同電位で動作するように電気的に接続されており、前記第2の電極層は前記第1の電極層における前記n型半導体層に接する表面とは反対側の表面の少なくとも一部に接続されている半導体装置の製造方法が提供される。半導体装置の製造方法は、前記n型半導体層上に前記第1の電極層を形成する工程と、前記p型半導体層上に前記第2の電極層を形成する工程と、前記半導体層上に形成された前記第1の電極層と前記第2の電極層とに対して熱処理を行う工程と、を備える。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の電極層が第1の電極層上に積層され電極周辺部分が微細化された小型の半導体装置を製造することができ、半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0008】
(3)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記熱処理の温度は、摂氏450度以上700度以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、各半導体層と各電極層との間での良好なオーム性接触を実現することができる。
【0009】
(4)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記熱処理を行う工程は、前記第1の電極層と前記第2の電極層との両方に対して同時に熱処理を行う工程であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、一度の熱処理によって、第1の電極層と前記第2の電極層との両方について、各半導体層と各電極層との間での良好なオーム性接触を実現することができる。
【0010】
(5)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記熱処理を行う工程は、前記第1の電極層に対して第1の熱処理を行う工程と、前記第2の電極層に対して第2の熱処理を行う工程と、を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層と前記第2の電極層とのそれぞれについて熱処理条件を最適化することができ、半導体層と電極層との間でのより良好なオーム性接触を実現することができる。
【0011】
(6)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記熱処理の継続時間は、1分間以上1時間間以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、各半導体層と各電極層との間でのより良好なオーム性接触を実現することができる。
【0012】
(7)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第2の電極層は、前記p型半導体層と接続される側に配置されたpコンタクト形成層を備え、前記pコンタクト形成層は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の電極層とp型半導体層との間でほぼオーム性接触を確保することができる。
【0013】
(8)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記pコンタクト形成層の層厚は、3nm以上1000nm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の電極層とp型半導体層との間でより良好なオーム性接触を実現することができると共に、第2の電極層の層厚が過大となって、第2の電極層の上に積層される第1の電極層に段切れ等の不具合が発生する恐れがあるという問題や材料コストが増大するという問題を回避することができる。
【0014】
(9)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第2の電極層は、前記pコンタクト形成層における前記p型半導体層と接続される側とは反対側に配置されたpバリア層を備え、前記pバリア層は、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、TiSi、TiN、TiW、TaSiおよびTaNからなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の電極層と第1の電極層との反応を抑制することができる。
【0015】
(10)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記pバリア層の層厚は、3nm以上1000nm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の電極層と第1の電極層との反応をより良好に抑制することができると共に、第2の電極層の層厚が過大となって、第2の電極層の上に積層される第1の電極層に段切れ等の不具合が発生する恐れがあるという問題や材料コストが増大するという問題を回避することができる。
【0016】
(11)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第1の電極層は、前記n型半導体層と接続される側に配置された第1のnコンタクト形成層と、前記第1のnコンタクト形成層における前記n型半導体層と接続される側とは反対側に配置された第2のnコンタクト形成層と、を備え、前記第1のnコンタクト形成層は、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)およびバナジウム(V)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層とn型半導体層との間でほぼオーム性接触を確保することができる。
【0017】
(12)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第1のnコンタクト形成層の層厚は、3nm以上100nm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層とn型半導体層との間でより良好なオーム性接触を実現することができると共に、第1のnコンタクト形成層の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。
【0018】
(13)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第2のnコンタクト形成層は、アルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層とn型半導体層との間でより良好なオーム性接触を実現することができる。
【0019】
(14)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第2のnコンタクト形成層の層厚は、100nm以上100μm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層とn型半導体層との間でさらに良好なオーム性接触を実現することができると共に、第2のnコンタクト形成層の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。
【0020】
(15)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第1の電極層は、前記第2のnコンタクト形成層における前記第1のnコンタクト形成層と接続される側とは反対側に配置されたnキャップ層を備え、前記nキャップ層は、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、TiSi、TiN、TiW、TaSiおよびTaNからなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層がエッチング耐性を有するnキャップ層を有することとなるため、第1の電極層上に層間絶縁膜を形成した後、コンタクトホールを形成する場合に、第1のnコンタクト形成層や第2のnコンタクト形成層の材料としてエッチング耐性の無い材料を用いることができ、第1のnコンタクト形成層や第2のnコンタクト形成層の材料選択自由度を向上させることができる。
【0021】
(16)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記nキャップ層の層厚は、3nm以上100μm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、nキャップ層のエッチング耐性をさらに高めることができると共に、nキャップ層の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。
【0022】
(17)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記n型半導体層上に形成される前記第1の電極層は、前記n型半導体層と接続される側に配置された第1のnコンタクト形成層を備え、前記pバリア層と前記第1のnコンタクト形成層とは、同一のプロセスにより形成されるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1のnコンタクト形成層にpバリア層を兼ねさせることができ、プロセスを簡略化することができると共に材料コストを低減することができる。
【0023】
(18)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記n型半導体層上に形成される前記第1の電極層は、前記n型半導体層と接続される側に配置された第1のnコンタクト形成層と、前記第1のnコンタクト形成層における前記n型半導体層と接続される側とは反対側に配置された第2のnコンタクト形成層と、を備え、前記第1のnコンタクト形成層は、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)およびバナジウム(V)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層とn型半導体層との間でほぼオーム性接触を確保することができる。
【0024】
(19)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第1のnコンタクト形成層の層厚は、3nm以上100nm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層とn型半導体層との間でより良好なオーム性接触を実現することができると共に、第1の電極層の層厚が過大となって、第1の電極層の上に積層される第2の電極層に段切れ等の不具合が発生する恐れがあるという問題や材料コストが増大するという問題を回避することができる。
【0025】
(20)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第2のnコンタクト形成層は、アルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層とn型半導体層との間でより良好なオーム性接触を実現することができる。
【0026】
(21)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第2のnコンタクト形成層の層厚は、100nm以上1000nm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層とn型半導体層との間でさらに良好なオーム性接触を実現することができると共に、第1の電極層の層厚が過大となって、第1の電極層の上に積層される第2の電極層に段切れ等の不具合が発生する恐れがあるという問題や材料コストが増大するという問題を回避することができる。
【0027】
(22)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記n型半導体層上に形成される前記第1の電極層は、前記第2のnコンタクト形成層における前記第1のnコンタクト形成層と接続される側とは反対側に配置されたnバリア層を備え、前記nバリア層は、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、TiSi、TiN、TiW、TaSiおよびTaNからなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層と第2の電極層との反応を抑制することができる。
【0028】
(23)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記nバリア層の層厚は、3nm以上1000nm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の電極層と第2の電極層との反応をより良好に抑制することができると共に、第1の電極層の層厚が過大となって、第1の電極層の上に積層される第2の電極層に段切れ等の不具合が発生する恐れがあるという問題や材料コストが増大するという問題を回避することができる。
【0029】
(24)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記p型半導体層上に形成される前記第2の電極層は、前記p型半導体層と接続される側に配置されたpコンタクト形成層を備え、前記pコンタクト形成層は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の電極層とp型半導体層との間でほぼオーム性接触を確保することができる。
【0030】
(25)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記pコンタクト形成層の層厚は、3nm以上100μm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の電極層とp型半導体層との間でより良好なオーム性接触を実現することができると共に、pコンタクト形成層の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。
【0031】
(26)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記p型半導体層上に形成される前記第2の電極層は、前記pコンタクト形成層における前記p型半導体層と接続される側とは反対側に配置されたpキャップ層を備え、前記pキャップ層は、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、TiSi、TiN、TiW、TaSiおよびTaNからなる群から選択された少なくとも1種の金属または前記選択された金属の合金を含むとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の電極層がエッチング耐性を有するpキャップ層を有することとなるため、第2の電極層上に層間絶縁膜を形成した後、コンタクトホールを形成する場合に、pコンタクト形成層の材料としてエッチング耐性の無い材料を用いることができ、pコンタクト形成層の材料選択自由度を向上させることができる。
【0032】
(27)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記pキャップ層の層厚は、3nm以上100μm以下であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、pキャップ層のエッチング耐性をさらに高めることができると共に、pキャップ層の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。
【0033】
(28)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記p型半導体層上に形成される前記第2の電極層は、前記p型半導体層と接続される側に配置されたpコンタクト形成層を備え、前記nバリア層と前記pコンタクト形成層とは、同一のプロセスにより形成されるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、pコンタクト形成層にnバリア層を兼ねさせることができ、プロセスを簡略化することができると共に材料コストを低減することができる。
【0034】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0035】
本発明は、半導体装置
の製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、半導体装置、半導体装置を備える電力変換装置等の形態で実現することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、第1の電極層が第2の電極層上に積層され電極周辺部分が微細化された小型の半導体装置を製造することができ、半導体装置の製造コストを低減することができる。また、本発明によれば、半導体層上に形成された第1の電極層と第2の電極層とに対して行われる熱処理の温度が摂氏400度以上650度以下であり、この条件によれば各半導体層と各電極層との間での良好なオーム性接触を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
A.第1実施形態:
A−1.半導体装置の構成:
図1は、第1実施形態における半導体装置50の構成を模式的に示す断面図である。
図1には、本実施形態における半導体装置50の断面の一部を示している。なお、
図1は、半導体装置50の技術的特徴をわかりやすく示すための図であり、各部の寸法を正確に示すものではない。また、
図1には、説明を容易にするために、相互に直交するXYZ軸が図示されている。以降の図についても同様である。
【0039】
第1実施形態における半導体装置50は、トレンチ型MOSFETであり、n型基板510と、第1のn型半導体層520と、p型半導体層530と、第2のn型半導体層540とが順に積層された構成を有する。以下、第1のn型半導体層520を「n−(エヌマイナス)層520」とも呼び、p型半導体層530を「p型層530」とも呼び、第2のn型半導体層540を「n+(エヌプラス)層540」とも呼ぶ。また、各層が積層される方向(X軸方向)を「積層方向」とも呼ぶ。また、n型基板510とn−層520とp型層530とn+層540との積層体500の表面の内、n型基板510で構成される表面(−X軸方向側の表面)を「ドレイン側表面DS」とも呼び、ドレイン側表面DSとは反対側の表面(+X軸方向側の表面)を「ソース側表面SS」とも呼ぶ。
【0040】
n型基板510は、積層方向に略直交する略板状形状であり、主として窒化ガリウム(GaN)により形成されている。n−層520は、n型基板510における一方の側(+X軸方向側)の表面上に配置されている。n−層520は、主として窒化ガリウム(GaN)により形成されている。
【0041】
p型層530は、結晶成長によって形成された層であり、n−層520における一方の側(+X軸方向側)の表面上に配置されている。
【0042】
n+層540は、結晶成長によって形成された層であり、p型層530における一方の側(+X軸方向側)の表面上に配置されている。
【0043】
n型基板510のドレイン側表面DS上には、ドレイン電極層610が設けられている。ドレイン電極層610は、チタン(Ti)層にアルミニウム(Al)層が積層された構成(チタン層がn型基板510側)である。
【0044】
積層体500のソース側表面SSには、トレンチ720とリセス710とが形成されている。トレンチ720は、ソース側表面SSからn−層520まで達する凹部である。そのため、トレンチ720の内部表面は、n−層520とp型層530とn+層540とにより構成される。他方、リセス710は、ソース側表面SSからp型層530まで達する凹部である。そのため、リセス710の内部表面は、p型層530とn+層540とにより構成される。なお、トレンチ720およびリセス710の断面形状は、任意に設定可能であり、例えば、
図1のように側面が積層方向に平行な矩形形状であってもよいし、側面が積層方向に平行ではない台形形状やくさび形形状であってもよいし、部分円形形状や部分楕円形状であってもよいし、上記矩形形状、台形形状、くさび形形状の角部分が曲線状となった形状であってもよい。また、トレンチ720およびリセス710の底面形状は、任意に設定可能であり、例えば、矩形形状であってもよいし、多角形形状や円形形状、楕円形状であってもよい。
【0045】
リセス710の内部表面の内、p型層530で構成される部分には、p電極層630が設けられている。p電極層630は、請求項における第2の電極層に相当する。p電極層630は、p型層530に接触するpコンタクト形成層631と、pコンタクト形成層631上に形成されたpキャップ層636との2層構成である。pコンタクト形成層631は、パラジウム(Pd)により形成されており、pキャップ層636は、モリブデン(Mo)により形成されている。pコンタクト形成層631の層厚は、3nm以上100μm以下であることが好ましい。このようにすれば、p電極層630とp型層530との間でほぼオーム性接触を確保しつつ、pコンタクト形成層631の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。また、pコンタクト形成層631の層厚は、5nm以上50μm以下であることがより好ましい。このようにすれば、p電極層630とp型層530との間でより良好なオーム性接触を実現しつつ、pコンタクト形成層631の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、pコンタクト形成層631の層厚は、5nm以上10μm以下であることがさらに好ましい。このようにすれば、p電極層630とp型層530との間でさらに良好なオーム性接触を実現しつつ、pコンタクト形成層631の層厚を一層制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、pキャップ層636の層厚は、3nm以上100μm以下であることが好ましい。このようにすれば、pキャップ層636のエッチング耐性を十分に確保できるため、p電極層630上に層間絶縁膜を形成した後、コンタクトホールを形成する場合に、pコンタクト形成層631の材料としてエッチング耐性の無い材料を用いることができ、pコンタクト形成層631の材料選択自由度を向上させることができると共に、pキャップ層636の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。また、pキャップ層636の層厚は、5nm以上50μm以下であることがより好ましい。このようにすれば、pキャップ層636のエッチング耐性をさらに高めることができると共に、pキャップ層636の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、pキャップ層636の層厚は、5nm以上10μm以下であることがさらに好ましい。このようにすれば、pキャップ層636の層厚を一層制限して上記問題をより確実に回避することができる。
【0046】
n+層540のソース側表面SS上には、ソース電極層640が設けられている。ソース電極層640は、請求項における第1の電極層に相当する。ソース電極層640は、n+層540に接触する第1のnコンタクト形成層641と、第1のnコンタクト形成層641上に形成された第2のnコンタクト形成層642と、第2のnコンタクト形成層642上に形成されたnバリア層643との3層構成である。第1のnコンタクト形成層641は、チタン(Ti)により形成されており、第2のnコンタクト形成層642は、アルミニウム(Al)により形成されており、nバリア層643は、バナジウム(V)により形成されている。第1のnコンタクト形成層641の層厚は、3nm以上100nm以下であることが好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でほぼオーム性接触を確保しつつ、ソース電極層640の層厚が過大となることを防止することができる。ソース電極層640の層厚が過大であると、ソース電極層640の上に積層されるp電極層630に段切れ等の不具合が発生する恐れがあるという問題や、ソース電極層640およびp電極層630をリセス710に埋め込む場合にリセス710を微細化するとp電極層630の埋め込みが困難となるという問題、材料コストが増大するという問題が生ずるため、望ましくない。また、第1のnコンタクト形成層641の層厚は、5nm以上50nm以下であることがより好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でより良好なオーム性接触を実現しつつ、ソース電極層640の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、第2のnコンタクト形成層642の層厚は、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でより良好なオーム性接触を実現しつつ、第2のnコンタクト形成層642の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。また、第2のnコンタクト形成層642の層厚は、200nm以上500nm以下であることがより好ましい。い。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でさらに良好なオーム性接触を実現しつつ、第2のnコンタクト形成層642の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、nバリア層643の層厚は、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とp電極層630との反応を抑制しつつ、ソース電極層640の層厚が過大となることを防止することができる。また、nバリア層643の層厚は、5nm以上500nm以下であることがより好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とp電極層630との反応をより確実に抑制しつつ、ソース電極層640の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。なお、p電極層630およびソース電極層640の詳細構成については、後述する。
【0047】
なお、pコンタクト形成層631は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または選択された金属の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、p電極層630とp型層530との間でほぼオーム性接触を確保することができる。また、pキャップ層636は、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、TiSi、TiN、TiW、TaSiおよびTaNからなる群から選択された少なくとも1種の金属または選択された金属の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、p電極層630がエッチング耐性を有するpキャップ層636を有することとなるため、p電極層630上に層間絶縁膜を形成した後、コンタクトホールを形成する場合に、pコンタクト形成層631の材料としてエッチング耐性の無い材料を用いることができ、pコンタクト形成層631の材料選択自由度を向上させることができる。
【0048】
また、第1のnコンタクト形成層641は、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)およびバナジウム(V)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または選択された金属の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でほぼオーム性接触を確保することができる。また、第2のnコンタクト形成層642は、アルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間で良好なオーム性接触を実現することができる。また、nバリア層643は、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、TiSi、TiN、TiW、TaSiおよびTaNからなる群から選択された少なくとも1種の金属または選択された金属の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、p電極層630とソース電極層640との反応を抑制することができる。
【0049】
また、p電極層630およびソース電極層640を構成する層数は任意に設定可能であり、例えば、p電極層630が、pコンタクト形成層631から構成される単層構成であるとしてもよいし、ソース電極層640が、第1のnコンタクト形成層641から構成される単層構成や第1のnコンタクト形成層641と第2のnコンタクト形成層642とから構成される2層構成であるとしてもよい。
【0050】
トレンチ720の内部表面上には、ゲート絶縁膜740が形成されている。ゲート絶縁膜740は、二酸化ケイ素(SiO2)により形成されている。ゲート絶縁膜740は、トレンチ720の内部表面全体と、トレンチ720に隣接するn+層540のソース側表面SSの一部とを連続的に覆っている。ゲート絶縁膜740における半導体層と接する側とは反対側の表面上には、ゲート電極層650が設けられている。ゲート電極層650は、アルミニウム(Al)により形成されている。ゲート電極層650は、半導体装置50における電流を制御する電極層であり、制御電極層とも呼ばれる。
【0051】
このように構成された半導体装置50において、ゲート電極層650に電圧が印加されていない状態では、p型層530の存在により、ソース電極層640とドレイン電極層610との間は導通していない。一方、ゲート電極層650に所定値以上の電圧が印加されると、p型層530におけるゲート絶縁膜740との境界面付近に反転層が形成される。この反転層がチャネルとして機能することにより、ソース電極層640とドレイン電極層610との間が、n+層540と、p型層530に形成された反転層と、n−層520と、n型基板510とを介して導通する。
【0052】
ここで、p電極層630およびソース電極層640の構成について、より詳細に説明する。上述したように、ソース電極層640は、n+層540のソース側表面SS上に形成されているが、n+層540のソース側表面SS上からさらに他の部分に延伸した形状となっている。より詳細には、ソース電極層640は、n+層540のソース側表面SSの一部と、リセス710の内部表面の一部(n+層540とp型層530との接合界面における外周線の内のp電極層630とp型層530との界面側の線である接続線TLを挟んだn+層540の表面とp型層530の表面とを含む部分)とを連続的に覆っている。
【0053】
他方、p電極層630は、リセス710の内部表面上に形成されているが、リセス710の内部表面のすべてを覆うように形成されてはいない。より詳細には、p電極層630は、リセス710の内部表面の内、p型層530により構成される部分の一部のみを覆っている。また、p電極層630は、ソース電極層640の表面の内のn+層540およびp型層530によって覆われた部分を除く部分(n+層540に接する表面とは反対側の表面、および、n+層540のソース側表面SSに略直交する表面)の一部を覆っている。このように、p電極層630がソース電極層640の表面を覆っているため、p電極層630とソース電極層640とは、互いに同電位で動作する(例えば共にグラウンドとなる)。
【0054】
このように、本実施形態の半導体装置50では、p電極層630が、ソース電極層640におけるn+層540に接する表面とは反対側の表面を覆うように形成されている。すなわち、p電極層630とソース電極層640とは、積層方向に沿って積層されるように形成されている。そのため、本実施形態の半導体装置50では、p電極層630とソース電極層640とが離隔して形成された半導体装置と比較して、合わせ余裕をとる必要がなくなるため、電極周辺部分を微細化することができる。従って、本実施形態では、半導体装置50を小型化することができ、半導体装置50の製造コストを低減することができる。
【0055】
また、本実施形態の半導体装置50では、少なくともp電極層630とソース電極層640とが積層された部分に関しては、ソース電極層640がp電極層630により覆われる。そのため、ソース電極層640は、積層部分以外の部分が他の層によって半導体装置50に対するエッチングプロセスから隔離されることを条件に、プロセス耐性を有しない材料によって形成されることができる。そのため、本実施形態の半導体装置50では、ソース電極層640の材料の選択自由度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態の半導体装置50では、ソース電極層640が、リセス710の内部表面の内の上記接続線TLを構成する部分と、当該接続線TLに隣接するp型層530の表面の一部とを連続的に覆っている。そのため、本実施形態の半導体装置50では、ソース電極層640が、n+層540の表面の内、ソース側表面SSを構成する部分に加えて、リセス710の内部表面を構成する部分にも接触する。そのため、本実施形態の半導体装置50では、ソース電極層640とn+層540とのコンタクト面積を広く取ることができ、半導体装置50の性能を向上させる(オン抵抗を低下させる)ことができる。また、本実施形態の半導体装置50では、p電極層630の製造時の位置ずれを考慮しても、p電極層630によってソース電極層640とn+層540とのコンタクト面積が低減されることがなく、コンタクト抵抗が増大することがない。従って、本実施形態では、半導体装置50の性能低下(オン抵抗の増大)を抑制することができる。
【0057】
A−2.半導体装置の製造方法:
図2は、第1実施形態における半導体装置50の製造方法を示すフローチャートである。はじめに、n型基板510上に、結晶成長によってn−層520が形成され(ステップS210)、さらに結晶成長によってp型層530およびn+層540が形成される(ステップS220およびS230)。次に、ドライエッチングによって積層体500のソース側表面SS側にトレンチ720およびリセス710が形成され(ステップS232)、フォトリソグラフィによるレジストパタンへの電極材料蒸着およびリフトオフプロセスによって、n+層540上にソース電極層640が形成されると共に(ステップS240)、p型層530上にp電極層630が形成され(ステップS250)、各電極層と各半導体層との間のコンタクト抵抗低減のための熱処理が実行される(ステップS260)。このような製造方法によれば、p電極層630がソース電極層640上に積層され電極周辺部分が微細化された小型の半導体装置50を製造することができ、半導体装置50の製造コストを低減することができる。なお、本実施形態では、熱処理は、p電極層630およびソース電極層640に対して同時に行われる。このようにすれば、一度の熱処理によって、p電極層630およびソース電極層640の両方について、各半導体層と各電極層との間での良好なオーム性接触を実現することができる。
【0058】
その後、トレンチ720の表面上にゲート絶縁膜740およびゲート電極層650が形成されると共に(ステップS270)、n型基板510上にドレイン電極層610が形成され(ステップS280)、コンタクト抵抗低減のための熱処理が実行される(ステップS290)。以上の工程により、本実施形態の半導体装置50が製造される。
【0059】
A−3.第1実施形態の変形例:
図3は、第1実施形態の変形例における半導体装置50aの構成を模式的に示す断面図である。第1実施形態の変形例における半導体装置50aは、ソース電極層640およびp電極層630の構成と層間絶縁膜810および配線電極層820を備える点とが
図1に示した第1実施形態の半導体装置50と異なっており、その他の構成は第1実施形態の半導体装置50と同じである。
【0060】
第1実施形態の変形例における半導体装置50aでは、p電極層630は、リセス710の内部表面の内のp型層530で構成される領域上に形成されているが、当該領域からさらに他の部分に延伸した形状となっている。より詳細には、p電極層630は、p型層530の上記領域と、n+層540とp型層530との接合界面における外周線の内のp電極層630とp型層530との界面側の線である接続線TLと、リセス710の内部表面の内のn+層540ので構成される領域と、n+層540のソース側表面SSの一部とを連続的に覆っている。すなわち、p電極層630は、上記接続線TLよりもゲート電極層650側の位置まで、n+層540の表面上を延伸するように形成されている。本実施形態では、接続線TLから、p電極層630のn+層540に接する表面におけるゲート電極層650側の端までの距離L1は、n+層540の層厚t1以上である。なお、距離L1の設計値は、プロセスに使用するマスクの合わせ精度を考慮しても常にp電極層630がn+層540の表面を覆うこととなるように、十分な距離(十分な大きさ)に設定されており、本実施形態では、0.5μm以上とされている。なお、距離L1が長過ぎると電極周辺の微細化に逆行するため、距離L1は20μm以下であることが好ましい。他方、ソース電極層640は、n+層540の表面の内、少なくとも、p型層530とn+層540との接合界面における上記接続線TLを構成する部分を覆っていない(この部分は、p電極層630により覆われている)。
【0061】
また、第1実施形態の変形例における半導体装置50aでは、各電極が形成された積層体500上に層間絶縁膜810が形成されている。層間絶縁膜810には、コンタクトホール812が形成されている。コンタクトホール812は、積層体500におけるp電極層630およびソース電極層640が形成された位置に設けられている。層間絶縁膜810上には配線電極層820が形成されている。配線電極層820は、層間絶縁膜810の表面およびコンタクトホール812の内部表面(側面)に接触しており、また、コンタクトホール812を介してp電極層630に電気的に接続されている。p電極層630とソース電極層640とは互いに同電位で動作するため、配線電極層820はソース電極層640にも電気的に接続されていることとなる。また、p電極層630は、ソース電極層640がコンタクトホール812から隔離されるように、ソース電極層640の表面を覆っている。
【0062】
図4は、第1実施形態の変形例における半導体装置50aの製造方法を示すフローチャートである。n−層520の形成(ステップS210)からゲート絶縁膜740およびゲート電極層650の形成(ステップS270)までは、
図2に示した第1実施形態の製造方法と同様である。ゲート絶縁膜740およびゲート電極層650の形成の後、積層体500上に層間絶縁膜810が堆積され(ステップS272)、エッチングにより層間絶縁膜810の一部が除去されてコンタクトホール812が形成される(ステップS274)。次に、コンタクトホール812を介してp電極層630と接続されるように配線電極層820が形成される(ステップS276)。その後は、第1実施形態の製造方法と同様に、ドレイン電極層610が形成され(ステップS280)、コンタクト抵抗低減のための熱処理が実行される(ステップS290)。以上の工程により、第1実施形態の変形例における半導体装置50aが製造される。
【0063】
以上説明したように、第1実施形態の変形例における半導体装置50aでは、p電極層630が、接続線TLよりもゲート電極層650側の位置まで、n+層540の表面上を延伸するように形成されている。そのため、第1実施形態の変形例における半導体装置50aでは、高電圧印加時にゲート電極層650付近で形成される正孔がp電極層630によって効果的に引き抜かれ、半導体装置50aの耐圧性能を向上させることができる。なお、第1実施形態の変形例における半導体装置50aでは、上記接続線TLからp電極層630のn+層540に接する表面におけるゲート電極層650側の端までの距離L1は、n+層540の層厚以上であるため、n+層540に阻まれることなく、p電極層630による正孔の引き抜きが効果的に実行され、耐圧性能を効果的に向上させることができる。
【0064】
また、第1実施形態の変形例における半導体装置50aでは、p電極層630が、リセス710の内部表面の内、p型層530で構成される底面に加えて、p型層530とn+層540とで構成される側面においても、p型層530に接触するため、p電極層630による正孔の引き抜きがさらに効果的に実行され、耐圧性能をさらに効果的に向上させることができる。
【0065】
また、第1実施形態の変形例における半導体装置50aでは、p電極層630が、ソース電極層640がコンタクトホール812から隔離されるように、ソース電極層640の表面を覆っている。そのため、コンタクトホール812を形成するためのエッチングプロセスに関して、ソース電極層640をプロセス耐性を有しない材料により形成しても、p電極層630をプロセス耐性を有する材料により形成しさえすれば、ソース電極層640に悪影響を及ぼすことなくコンタクトホール812の形成と、配線電極層820とp電極層630およびソース電極層640との電気的接続とを実現することができる。そのため、第1実施形態の変形例における半導体装置50aでは、ソース電極層640の材料の選択自由度を向上させることができる。
【0066】
A−4.性能評価:
図5ないし
図7は、第1実施形態(およびその変形例)の半導体装置の性能を評価するための実験結果の一例を示す説明図である。実験に使用した実施例および比較例における各電極層の構成は以下の通りである。
[実施例1−1]
・p電極層630
pコンタクト形成層631:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)20nm
pキャップ層636:なし
・ソース電極層640
第1のnコンタクト形成層641:(材料)チタン(Ti) (層厚)17.5nm
第2のnコンタクト形成層642:(材料)アルミニウム(Al) (層厚)300nm
nバリア層643:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)20nm
*この実施例では、1つのパラジウム層が、pコンタクト形成層631およびnバリア層643として機能する。
[実施例1−2]
・p電極層630
pコンタクト形成層631:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)50nm
pキャップ層636:なし
・ソース電極層640
第1のnコンタクト形成層641:(材料)チタン(Ti) (層厚)17.5nm
第2のnコンタクト形成層642:(材料)アルミニウム(Al) (層厚)300nm
nバリア層643:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)50nm
*この実施例では、1つのパラジウム層が、pコンタクト形成層631およびnバリア層643として機能する。
[実施例2]
・p電極層630
pコンタクト形成層631:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)50nm
pキャップ層636:なし
・ソース電極層640
第1のnコンタクト形成層641:(材料)バナジウム(V) (層厚)17.5nm
第2のnコンタクト形成層642:(材料)アルミニウム(Al) (層厚)300nm
nバリア層643:(材料)モリブデン(Mo) (層厚)50nm
[比較例]
・ソース電極層640
第1のnコンタクト形成層641:(材料)チタン(Ti) (層厚)17.5nm
第2のnコンタクト形成層642:(材料)アルミニウム(Al) (層厚)300nm
nバリア層643:なし
*この比較例は、ソース電極層640単独の例(すなわち、ソース電極層640上にp電極層630が積層されていない例)
【0067】
図5には、各実施例および比較例に対して、窒素雰囲気下、各温度で5分間熱処理を行った場合のソース電極層640とn+層540との間のコンタクト抵抗の測定値を示している。各実施例において、熱処理温度が摂氏450度以上700度以下であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-3(Ωcm
2)以下程度という十分低い値となっていることから、ソース電極層640とn+層540との間で良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。また、実施例2では、比較例と同様に、熱処理温度が摂氏500度以上650度以下であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-5(Ωcm
2)以下程度という非常に低い値となっていることから、ソース電極層640とn+層540との間で極めて良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。また、実施例1では、熱処理温度が摂氏550度以上650度以下であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-5(Ωcm
2)以下程度という非常に低い値となっていることから、ソース電極層640とn+層540との間で極めて良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。この実験結果から、熱処理の温度は、摂氏450度以上700度以下であることが好ましく、摂氏500度以上650度以下であることがより好ましく、摂氏550度以上650度以下であることがさらに好ましいことがわかる。
【0068】
図6には、各実施例および比較例に対して、窒素雰囲気下、摂氏550度で各継続時間だけ熱処理を行った場合のソース電極層640とn+層540との間のコンタクト抵抗の測定値を示している。各実施例において、比較例と同様に、熱処理の継続時間が1分間以上であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-5(Ωcm
2)以下程度という極めて低い値となっていることから、ソース電極層640とn+層540との間で極めて良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。また、各実施例において、比較例と同様に、熱処理の継続時間が2分間以上であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-6(Ωcm
2)以下程度というさらに低い値となっていることから、ソース電極層640とn+層540との間でさらに良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。なお、実験における継続時間の最長値は10分間であるが、熱処理の継続時間は、電極間の反応抑制や半導体装置製造に要する時間の短縮の観点から、1時間以下であることが好ましく、10分間以下であることがさらに好ましい。この実験結果から、熱処理の継続時間は、1分間以上1時間以下であることが好ましく、2分間以上10分以下であることがさらに好ましいことがわかる。
【0069】
図7には、電極のエッチング耐性を確認するため、各実施例および比較例に対して、熱処理後にエッチング処理を行った場合のソース電極層640とn+層540との間のコンタクト抵抗の測定値を示している。実施したエッチング処理は、BHF処理(バッファードフッ酸の水溶液を用いたウェットエッチング処理)およびICP処理(Cl系ガスを用いた誘導結合プラズマ(inductive coupled plasma)による塩素系ドライエッチング処理)である。処理時間は、配線用コンタクトホールを確実に形成することを想定して、1分間とした。BHF処理を行った場合には、実施例1−1,1−2および比較例については、コンタクト抵抗は若干増加するものの、1.0×10
-6(Ωcm
2)以下程度という極めて低い値を維持していることから、ソース電極層640とn+層540との間で極めて良好なオーム性接触が維持されていることがわかる。なお、pコンタクト形成層631とは別にnバリア層643が設けられた実施例2については、コンタクト抵抗の増加は見られない。また、ICP処理を行った場合には、実施例1−1および比較例については、コンタクト抵抗が大幅に増加し、ソース電極層640とn+層540との間の接触のオーム性が低下した。また、実施例1−1よりパラジウム層の厚さが厚い実施例1−2については、コンタクト抵抗は増加するものの、1.0×10
-4(Ωcm
2)以下程度という低い値となっていることから、ソース電極層640とn+層540との間で良好なオーム性接触が維持されていることがわかる。なお、pコンタクト形成層631とは別にnバリア層643が設けられた実施例2については、コンタクト抵抗の増加は見られない。
【0070】
なお、上記性能評価は、p電極層630がpキャップ層636を有しない実施例を対象として行ったが、p電極層630が上述のように構成されたpキャップ層636を有する実施例についても同様に実施することができ、同様の結果を類推することができる。また、上記性能評価は、上記性能評価の対象の実施例における各電極の材料を上述した他の材料に変更した実施例についても同様に実施することができ、同様の結果を類推することができる。
【0071】
B.第2実施形態:
B−1.半導体装置の構成:
図8は、第2実施形態における半導体装置50bの構成を模式的に示す断面図である。第2実施形態における半導体装置50bは、ソース電極層640およびp電極層630の構成が
図1に示した第1実施形態の半導体装置50と異なっており、その他の構成は第1実施形態の半導体装置50と同じである。
【0072】
リセス710の内部表面の内、p型層530で構成される部分には、p電極層630が設けられている。p電極層630は、請求項における第2の電極層に相当する。p電極層630は、p型層530に接触するpコンタクト形成層631と、pコンタクト形成層631上に形成されたpバリア層632との2層構成である。pコンタクト形成層631は、パラジウム(Pd)により形成されており、pバリア層632は、モリブデン(Mo)により形成されている。pコンタクト形成層631の層厚は、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。このようにすれば、p電極層630とp型層530との間でほぼオーム性接触を確保しつつ、p電極層630の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。また、pコンタクト形成層631の層厚は、5nm以上500nm以下であることがより好ましい。このようにすれば、p電極層630とp型層530との間でより良好なオーム性接触を実現しつつ、p電極層630の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、pバリア層632の層厚は、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。このようにすれば、p電極層630とソース電極層640との反応を抑制しつつ、p電極層630の層厚が過大となることを防止することができる。また、pバリア層632の層厚は、5nm以上500nm以下であることがより好ましい。このようにすれば、p電極層630とソース電極層640との反応をより確実に抑制しつつ、p電極層630の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。
【0073】
n+層540のソース側表面SS上には、ソース電極層640が設けられている。ソース電極層640は、請求項における第1の電極層に相当する。ソース電極層640は、n+層540に接触する第1のnコンタクト形成層641と、第1のnコンタクト形成層641上に形成された第2のnコンタクト形成層642と、第2のnコンタクト形成層642上に形成されたnキャップ層646との3層構成である。第1のnコンタクト形成層641は、チタン(Ti)により形成されており、第2のnコンタクト形成層642は、アルミニウム(Al)により形成されており、nキャップ層646は、バナジウム(V)により形成されている。第1のnコンタクト形成層641の層厚は、3nm以上100nm以下であることが好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でほぼオーム性接触を確保しつつ、第1のnコンタクト形成層641の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。また、第1のnコンタクト形成層641の層厚は、5nm以上50nm以下であることがより好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でより良好なオーム性接触を実現しつつ、第1のnコンタクト形成層641の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、第2のnコンタクト形成層642の層厚は、100nm以上100μm以下であることが好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でより良好なオーム性接触を実現しつつ、第2のnコンタクト形成層642の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。また、第2のnコンタクト形成層642の層厚は、200nm以上50μm以下であることがより好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でさらに良好なオーム性接触を実現しつつ、第2のnコンタクト形成層642の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、第2のnコンタクト形成層642の層厚は、300nm以上10μm以下であることがさらに好ましい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間で一層良好なオーム性接触を実現しつつ、第2のnコンタクト形成層642の層厚をさらに制限して上記問題を一層確実に回避することができる。また、nキャップ層646の層厚は、3nm以上100μm以下であることが好ましい。このようにすれば、nキャップ層646のエッチング耐性を十分に確保できるため、ソース電極層640上に層間絶縁膜を形成した後、コンタクトホールを形成する場合に、第1のnコンタクト形成層641や第2のnコンタクト形成層642の材料としてエッチング耐性の無い材料を用いることができ、第1のnコンタクト形成層641や第2のnコンタクト形成層642の材料選択自由度を向上させることができると共に、nキャップ層646の層厚が過大となって形成プロセスが煩雑になったり材料コストが増大したりするという問題を回避することができる。また、nキャップ層646の層厚は、5nm以上50μm以下であることがより好ましい。このようにすれば、nキャップ層646のエッチング耐性をさらに高めることができると共に、nキャップ層646の層厚をより制限して上記問題をより確実に回避することができる。また、nキャップ層646の層厚は、5nm以上10μm以下であることがさらに好ましい。このようにすれば、nキャップ層646の層厚をさらに制限して上記問題を一層確実に回避することができる。なお、p電極層630およびソース電極層640の詳細構成については、後述する。
【0074】
なお、pコンタクト形成層631は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または選択された金属の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、p電極層630とp型層530との間でほぼオーム性接触を確保することができる。また、pバリア層632は、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、TiSi、TiN、TiW、TaSiおよびTaNからなる群から選択された少なくとも1種の金属または選択された金属の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、p電極層630とソース電極層640との反応を抑制することができる。
【0075】
また、第1のnコンタクト形成層641は、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)およびバナジウム(V)からなる群から選択された少なくとも1種の金属または選択された金属の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間でほぼオーム性接触を確保することができる。また、第2のnコンタクト形成層642は、アルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、ソース電極層640とn+層540との間で良好なオーム性接触を実現することができる。また、nキャップ層646は、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、TiSi、TiN、TiW、TaSiおよびTaNからなる群から選択された少なくとも1種の金属または選択された金属の合金を含むように形成されるとしてもよい。このようにすれば、ソース電極層640がエッチング耐性を有するnキャップ層646を有することとなるため、ソース電極層640上に層間絶縁膜を形成した後、コンタクトホールを形成する場合に、第1のnコンタクト形成層641や第2のnコンタクト形成層642の材料としてエッチング耐性の無い材料を用いることができ、第1のnコンタクト形成層641や第2のnコンタクト形成層642の材料選択自由度を向上させることができる。
【0076】
また、p電極層630およびソース電極層640を構成する層数は任意に設定可能であり、例えば、p電極層630が、pコンタクト形成層631から構成される単層構成であるとしてもよいし、ソース電極層640が、第1のnコンタクト形成層641から構成される単層構成や第1のnコンタクト形成層641と第2のnコンタクト形成層642とから構成される2層構成であるとしてもよい。
【0077】
第2実施形態の半導体装置50bでは、p電極層630は、リセス710の内部表面上に形成されているが、リセス710の内部表面のすべてを覆うように形成されてはいない。より詳細には、p電極層630は、リセス710の内部表面の内、p型層530により構成される部分の一部のみを覆っている。
【0078】
他方、ソース電極層640は、n+層540のソース側表面SS上に形成されているが、n+層540のソース側表面SS上からさらに他の部分に延伸した形状となっている。より詳細には、ソース電極層640は、n+層540のソース側表面SSの一部と、リセス710の内部表面の一部(n+層540とp型層530との接合界面における外周線の内のp電極層630とp型層530との界面側の線である接続線TLを挟んだn+層540の表面とp型層530の表面とを含む部分)と、p電極層630の表面の一部(p型層530に接する表面とは反対側の表面の一部を含む部分)とを連続的に覆っている。このように、ソース電極層640がp電極層630の表面を覆っているため、p電極層630とソース電極層640とは、互いに同電位で動作する(例えば共にグラウンドとなる)。また、上記接続線TLからp電極層630までの設計上の距離(ソース電極層640に覆われるp型層530の表面の設計上の大きさ)は、製造時の最大位置ずれを考慮してもp型層530の表面の一部がソース電極層640に覆われることとなるように、十分な距離(十分な大きさ)に設定されている。
【0079】
このように、本実施形態の半導体装置50bでは、ソース電極層640が、p電極層630におけるp型層530に接する表面とは反対側の表面を覆うように形成されている。すなわち、p電極層630とソース電極層640とは、積層方向に沿って積層されるように形成されている。そのため、本実施形態の半導体装置50bでは、p電極層630とソース電極層640とが離隔して形成された半導体装置と比較して、合わせ余裕をとる必要がなくなるため、電極周辺部分を微細化することができる。従って、本実施形態では、半導体装置50bを小型化することができ、半導体装置50bの製造コストを低減することができる。
【0080】
また、本実施形態の半導体装置50bでは、ソース電極層640が、リセス710の内部表面の内の上記接続線TLを構成する部分と、当該接続線TLに隣接するp型層530の表面の一部とを連続的に覆っている。そのため、本実施形態の半導体装置50bでは、ソース電極層640が、n+層540の表面の内、ソース側表面SSを構成する部分に加えて、リセス710の内部表面を構成する部分にも接触する。そのため、本実施形態の半導体装置50bでは、ソース電極層640とn+層540とのコンタクト面積を広く取ることができ、半導体装置50bの性能を向上させる(オン抵抗を低下させる)ことができる。また、本実施形態の半導体装置50bでは、p電極層630の製造時の位置ずれを考慮しても、p電極層630によってソース電極層640とn+層540とのコンタクト面積が低減されることがなく、コンタクト抵抗が増大することがない。従って、本実施形態では、半導体装置50bの性能低下(オン抵抗の増大)を抑制することができる。
【0081】
B−2.半導体装置の製造方法:
図9は、第2実施形態における半導体装置50bの製造方法を示すフローチャートである。第2実施形態における半導体装置50bの製造方法は、ソース電極層640およびp電極層630の形成順序が
図2に示した第1実施形態の製造方法と異なっており、その他のステップは第1実施形態の製造方法と同じである。
【0082】
すなわち、n−層520の形成(ステップS210)からトレンチ720およびリセス710の形成(ステップS232)までは、
図2に示した第1実施形態の製造方法と同様である。次に、フォトリソグラフィによるレジストパタンへの電極材料蒸着およびリフトオフプロセスによって、p型層530上にp電極層630が形成されると共に(ステップS242)、n+層540上にソース電極層640が形成される(ステップS252)。その後、各電極層と各半導体層との間のコンタクト抵抗低減のための熱処理が実行される(ステップS260)。このような製造方法によれば、ソース電極層640がp電極層630上に積層され電極周辺部分が微細化された小型の半導体装置50bを製造することができ、半導体装置50bの製造コストを低減することができる。本実施形態では、熱処理は、p電極層630およびソース電極層640に対して同時に行われる。このようにすれば、一度の熱処理によって、p電極層630およびソース電極層640の両方について、各半導体層と各電極層との間での良好なオーム性接触を実現することができる。これ以降の処理は、
図2に示した第1実施形態の製造方法と同様である。以上の工程により、第2実施形態における半導体装置50bが製造される。
【0083】
B−3.第2実施形態の変形例:
図10は、第2実施形態の変形例における半導体装置50cの構成を模式的に示す断面図である。第2実施形態の変形例における半導体装置50cは、ソース電極層640およびp電極層630の構成と層間絶縁膜810および配線電極層820を備える点とが
図8に示した第2実施形態の半導体装置50bと異なっており、その他の構成は第2実施形態の半導体装置50bと同じである。
【0084】
第2実施形態の変形例における半導体装置50cでは、p電極層630は、リセス710の内部表面の内のp型層530で構成される領域上に形成されているが、当該領域からさらに他の部分に延伸した形状となっている。より詳細には、p電極層630は、p型層530の上記領域と、n+層540とp型層530との接合界面における外周線の内のp電極層630とp型層530との界面側の線である接続線TLと、リセス710の内部表面の内のn+層540で構成される領域と、n+層540のソース側表面SSの一部とを連続的に覆っている。すなわち、p電極層630は、上記接続線TLよりもゲート電極層650側の位置まで、n+層540の表面上を延伸するように形成されている。第2実施形態の変形例では、接続線TLから、p電極層630のn+層540に接する表面におけるゲート電極層650側の端までの距離L1は、n+層540の層厚t1以上である。なお、距離L1の設計値は、プロセスに使用するマスクの合わせ精度を考慮しても常にp電極層630がn+層540の表面を覆うこととなるように、十分な距離(十分な大きさ)に設定されており、第2実施形態の変形例では、0.5μm以上とされている。なお、距離L1が長過ぎると電極周辺の微細化に逆行するため、距離L1は20μm以下であることが好ましい。他方、ソース電極層640は、n+層540の表面の内、少なくとも、上記接続線TLを構成する部分を覆っていない(この部分は、p電極層630により覆われている)。
【0085】
また、第2実施形態の変形例における半導体装置50cでは、各電極が形成された積層体500上に層間絶縁膜810が形成されている。層間絶縁膜810には、コンタクトホール812が形成されている。コンタクトホール812は、積層体500におけるp電極層630およびソース電極層640が形成された位置に設けられている。層間絶縁膜810上には配線電極層820が形成されている。配線電極層820は、層間絶縁膜810の表面およびコンタクトホール812の内部表面(側面)に接触しており、また、コンタクトホール812を介してソース電極層640に電気的に接続されている。p電極層630とソース電極層640とは互いに同電位で動作するため、配線電極層820はp電極層630にも電気的に接続されていることとなる。また、ソース電極層640は、p電極層630がコンタクトホール812から隔離されるように、p電極層630の表面を覆っている。
【0086】
図11は、第2実施形態の変形例における半導体装置50cの製造方法を示すフローチャートである。n−層520の形成(ステップS210)からゲート絶縁膜740およびゲート電極層650の形成(ステップS270)までは、
図9に示した第2実施形態の製造方法と同様である。ゲート絶縁膜740およびゲート電極層650の形成の後、積層体500上に層間絶縁膜810が堆積され(ステップS272)、エッチングにより層間絶縁膜810の一部が除去されてコンタクトホール812が形成される(ステップS274)。次に、コンタクトホール812を介してソース電極層640と接続されるように配線電極層820が形成される(ステップS276)。その後は、第2実施形態の製造方法と同様に、ドレイン電極層610が形成され(ステップS280)、コンタクト抵抗低減のための熱処理が実行される(ステップS290)。以上の工程により、第2実施形態の変形例における半導体装置50cが製造される。
【0087】
以上説明したように、第2実施形態の変形例における半導体装置50cでは、p電極層630が、接続線TLよりもゲート電極層650側の位置まで、n+層540の表面上を延伸するように形成されている。そのため、第2実施形態の変形例における半導体装置50cでは、高電圧印加時にゲート電極層650付近で形成される正孔がp電極層630によって効果的に引き抜かれ、半導体装置50cの耐圧性能を向上させることができる。なお、第2実施形態の変形例における半導体装置50cでは、上記接続線TLからp電極層630のn+層540に接する表面におけるゲート電極層650側の端までの距離L1は、n+層540の層厚以上であるため、n+層540に阻まれることなく、p電極層630による正孔の引き抜きが効果的に実行され、耐圧性能を効果的に向上させることができる。
【0088】
また、第2実施形態の変形例における半導体装置50cでは、p電極層630が、リセス710の内部表面の内、p型層530で構成される底面に加えて、p型層530とn+層540とで構成される側面においても、p型層530に接触するため、p電極層630による正孔の引き抜きがさらに効果的に実行され、耐圧性能をさらに効果的に向上させることができる。
【0089】
また、第2実施形態の変形例における半導体装置50cでは、ソース電極層640が、p電極層630がコンタクトホール812から隔離されるように、p電極層630の表面を覆っている。そのため、コンタクトホール812を形成するためのエッチングプロセスに関して、p電極層630をプロセス耐性を有しない材料により形成しても、ソース電極層640をプロセス耐性を有する材料により形成しさえすれば、p電極層630に悪影響を及ぼすことなくコンタクトホール812の形成と、配線電極層820とp電極層630およびソース電極層640との電気的接続とを実現することができる。そのため、第2実施形態の変形例における半導体装置50cでは、p電極層630の材料の選択自由度を向上させることができる。
【0090】
B−4.性能評価:
図12ないし
図14は、第2実施形態(およびその変形例)の半導体装置の性能を評価するための実験結果の一例を示す説明図である。実験に使用した実施例および比較例における各電極層の構成は以下の通りである。
[実施例1−1]
・p電極層630
pコンタクト形成層631:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)20nm
pバリア層632:なし
・ソース電極層640
第1のnコンタクト形成層641:(材料)チタン(Ti) (層厚)17.5nm
第2のnコンタクト形成層642:(材料)アルミニウム(Al) (層厚)300nm
nキャップ層
646:なし
[実施例1−2]
・p電極層630
pコンタクト形成層631:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)50nm
pバリア層632:なし
・ソース電極層640
第1のnコンタクト形成層641:(材料)チタン(Ti) (層厚)17.5nm
第2のnコンタクト形成層642:(材料)アルミニウム(Al) (層厚)300nm
nキャップ層
646:なし
[実施例2]
・p電極層630
pコンタクト形成層631:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)50nm
pバリア層632:(材料)バナジウム(V) (層厚)17.5nm
・ソース電極層640
第1のnコンタクト形成層641:(材料)バナジウム(V) (層厚)17.5nm
第2のnコンタクト形成層642:(材料)アルミニウム(Al) (層厚)300nm
nキャップ層
646:(材料)モリブデン(Mo) (層厚)50nm
*この実施例では、1つのバナジウム層が、pバリア層632および第1のnコンタクト形成層641として機能する。
[実施例3]
・p電極層630
pコンタクト形成層631:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)50nm
pバリア層632:(材料)モリブデン(Mo) (層厚)50nm
・ソース電極層640
第1のnコンタクト形成層641:(材料)チタン(Ti) (層厚)17.5nm
第2のnコンタクト形成層642:(材料)アルミニウム(Al) (層厚)300nm
nキャップ層
646:(材料)モリブデン(Mo) (層厚)50nm
[比較例]
・p電極層630
pコンタクト形成層631:(材料)パラジウム(Pd) (層厚)50nm
pバリア層632:なし
*この比較例は、p電極層630単独の例(すなわち、p電極層630上にソース電極層640が積層されていない例)
【0091】
図12には、実施例1−1,1−2,2および比較例に対して、窒素雰囲気下、各温度で5分間熱処理を行った場合のp電極層630とp型層530との間のコンタクト抵抗の測定値を示している。各実施例において、熱処理温度が摂氏400度以下の場合には、コンタクト抵抗が1.0×10
-2(Ωcm
2)以下程度という十分低い値となった(図示せず)。このことから、p電極層630とp型層530との間で良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。また、実施例2では、比較例と同様に、熱処理温度が摂氏650度以下であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-1(Ωcm
2)以下程度という低い値となっていることから、p電極層630とp型層530との間で良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。また、実施例2では、比較例と同様に、熱処理温度が摂氏450度以上550度以下であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-2(Ωcm
2)以下程度という非常に低い値となっていることから、p電極層630とp型層530との間でさらに良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。また、実施例1では、熱処理温度が摂氏450度以下であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-1(Ωcm
2)以下程度という低い値となっていることから、p電極層630とp型層530との間で良好なオーム性接触が実現されていることがわかるが、熱処理温度が摂氏500度以上の場合には、コンタクト抵抗が1.0×10
-1(Ωcm
2)以上という高い値となっていることから、p電極層630とp型層530との間の接触のオーム性が低下していることがわかる。この実験結果から、熱処理を実行する場合には、熱処理の温度は、摂氏650度以下であることが好ましく、摂氏450度以上550度以下であることがより好ましいことがわかる。
【0092】
図13には、実施例2および比較例に対して、窒素雰囲気下、摂氏550度で各継続時間だけ熱処理を行った場合のp電極層630とp型層530との間のコンタクト抵抗の測定値を示している。実施例2において、比較例と同様に、熱処理の継続時間が1分間以上であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-2(Ωcm
2)以下程度という十分に低い値となっていることから、p電極層630とp型層530との間で良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。また、実施例2において、比較例と同様に、熱処理の継続時間が2分間以上であれば、コンタクト抵抗が1.0×10
-3(Ωcm
2)程度というさらに低い値となっていることから、p電極層630とp型層530との間でさらに良好なオーム性接触が実現されていることがわかる。なお、実験における継続時間の最長値は10分間であるが、熱処理の継続時間は、電極間の反応抑制や半導体装置製造に要する時間の短縮の観点から、1時間以下であることが好ましく、10分間以下であることがさらに好ましい。この実験結果から、熱処理の継続時間は、1分間以上1時間以下であることが好ましく、2分間以上10分以下であることがさらに好ましいことがわかる。
【0093】
図14には、電極のエッチング耐性を確認するため、実施例2,3および比較例に対して、熱処理後にエッチング処理を行った場合のp電極層630とp型層530との間のコンタクト抵抗の測定値を示している。実施したエッチング処理は、BHF処理およびICP処理である。処理時間は、配線用コンタクトホールを確実に形成することを想定して、1分間とした。BHF処理を行った場合およびICP処理を行った場合のいずれも、実施例2,3および比較例について、コンタクト抵抗の増加は見られないことから、p電極層630とp型層530との間で良好なオーム性接触が維持されていることがわかる。
【0094】
なお、上記性能評価は、上記性能評価の対象の実施例における各電極の材料を上述した他の材料に変更した実施例についても同様に実施することができ、同様の結果を類推することができる。
【0095】
C.その他の変形例:
この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0096】
C1.その他の変形例1:
上記各実施形態では、半導体装置としてのトレンチ型MOSFETについて説明したが、本発明はそれ以外の半導体装置の製造方法にも適用可能である。例えば、本発明は、横型のMOSFETや絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、(制御電極層としてのベース電極層を備える)バイポーラトランジスタの製造方法にも適用可能である。その他、本発明は、n型半導体層に形成された第1の電極層とp型半導体層に形成された第2の電極層とが互いに同電位で動作するような半導体装置全般の製造方法に適用可能である。
【0097】
C2.その他の変形例2:
上記各実施形態における半導体装置の製造方法はあくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記各実施形態では、p電極層630およびソース電極層640が形成された後にp電極層630およびソース電極層640の両方に対する熱処理(
図2,4,6,8のステップS260)が行われるとしているが、p電極層630が形成された後に行われるp電極層630のための熱処理と、ソース電極層640が形成された後に行われるソース電極層のための熱処理とが、別々に行われるとしてもよい。このようにすれば、p電極層630とソース電極層640とのそれぞれについて熱処理条件を最適化することができる。
【0098】
また、上記各実施例では、p電極層630やソース電極層640は、フォトリソグラフィによるレジストパタンへの電極材料蒸着およびリフトオフプロセスにより形成されるとしているが、p電極層630やソース電極層640は、例えばフォトリソグラフィによるレジストパタンをマスクとして加工する方法といった他の方法を用いて形成されてもよい。
【0099】
また、上記各実施例では、制御電極層であるゲート電極層650としてアルミニウムを用いているが、ゲート電極層650は、ポリシリコンといった他の材料により形成されていてもよい。また、ゲート電極層650は、複数層構成であってもよい。例えば、ゲート電極層650は、Au/Ni構成や、Al/Ti構成、Al/TiN構成(それぞれ、Ni、Ti、TiNがゲート絶縁膜側)のような2層構成であってもよいし、TiN/Al/TiN構成のような3層構成であってもよい。
【0100】
また、上記第2実施形態において、pバリア層632と第1のnコンタクト形成層641とが同一のプロセスによって形成されるとしてもよい。このようにすれば、第1のnコンタクト形成層641にpバリア層632を兼ねさせることができ、プロセスを簡略化することができると共に材料コストを低減することができる。例えば、p電極層630およびソース電極層640の構成として、pコンタクト形成層631がパラジウム(Pd)により形成され、バナジウム(V)で形成された層がpバリア層632および第1のnコンタクト形成層641として機能し、第2のnコンタクト形成層642がアルミニウム(Al)により形成され、nキャップ層646がモリブデン(Mo)により形成された構成を採用してもよい。
【0101】
また、上記第1実施形態において、nバリア層643とpコンタクト形成層631とが同一のプロセスによって形成されるとしてもよい。このようにすれば、pコンタクト形成層631にnバリア層643を兼ねさせることができ、プロセスを簡略化することができると共に材料コストを低減することができる。例えば、p電極層630およびソース電極層640の構成として、第1のnコンタクト形成層641がチタン(Ti)により形成され、第2のnコンタクト形成層642がアルミニウム(Al)により形成され、パラジウム(Pd)で形成された層がnバリア層643およびpコンタクト形成層631(p電極層630)として機能する構成を採用してもよい。
【0102】
C3.その他の変形例3:
上記各実施形態では、ゲート絶縁膜740は二酸化ケイ素(SiO2)により形成されているとしているが、酸化アルミニウム(Al2O3)や窒化ケイ素(SiN)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)といった他の材料により形成されているとしてもよい。また、ゲート絶縁膜740は複数層構成であるとしてもよい。例えば、ゲート絶縁膜740は、SiO2の上にZrO2を設けたZrO2/SiO2構成をはじめ、HfO2/SiO2構成、Al2O3/SiO2構成、SiO2/SiN構成といった2層構成や、SiNの上にSiO2を設け、さらにその上にZrO2を設けたZrO2/SiO2/SiN構成をはじめ、HfO2/Al2O3/SiO2構成といった3層構成であるとしてもよい。
【0103】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。