(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記計算領域設定部は、前記対象領域に対して更に内接矩形を設定し、前記外接矩形と前記内接矩形との面積の差が規定値以下の場合、前記内接矩形を前記計算領域として設定する請求項1記載の撮像装置。
前記計算領域設定部は、前記外接矩形の中央部の輝度と前記外接矩形の端部の輝度とに基づき、前記端部にスポット光が照射されているか否かを判定し、前記端部にスポット光が照射されていると判定した場合、前記内接矩形を前記計算領域として設定する請求項2又は3記載の撮像装置。
前記計算領域設定部は、前記対象領域設定部により2つの前記対象領域が設定された場合、各対象領域に外接矩形を設定し、設定した2つの外接矩形に基づいて前記計算領域を設定する請求項1〜4のいずれかに記載の撮像装置。
前記計算領域設定部は、2つの前記外接矩形において、一部の領域の輝度に基づき、いずれか一方の前記外接矩形にスポット光が照射されているか否かを判定し、前記一方の前記外接矩形にスポット光が照射されていると判定した場合、他方の前記外接矩形を前記計算領域として設定する請求項5記載の撮像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2のいずれにも歪んだ画像データから被写体の平均輝度を算出するに際し、処理負担やメモリ消費量の抑制を目的として平均輝度の算出領域を最適化することが全く開示されていない。したがって、特許文献1、2の手法では、歪んだ画像データから被写体の平均輝度を算出するに際し、処理負担及びメモリ消費量が増大するという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、幾何変換処理を行う前に幾何変換処理の対象となる対象領域の輝度の代表値を算出する撮像装置において、輝度の代表値を算出する際の処理負担及びメモリ消費量を低下させることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による撮像装置は、画像データを取得する撮像部と、所定の幾何変換処理が行われる前の前記画像データである変換前画像データから前記幾何変換処理の対象となる対象領域を設定する対象領域設定部と、前記対象領域設定部により設定された前記対象領域の少なくとも一部を含む矩形状の領域を計算領域として前記変換前画像データに設定する計算領域設定部と、前記計算領域設定部により設定された前記計算領域における輝度の代表値を算出する輝度算出部と、前記変換前画像データに対して前記幾何変換処理を行う変換処理部とを含
み、前記計算領域は前記対象領域の外接矩形である。
【0010】
この構成によれば、幾何変換処理が行われる前の変換前画像データから対象領域が設定され、その対象領域の少なくとも一部を含む矩形状の領域が計算領域として設定される。つまり、幾何変換処理が行われる前の複雑な形状を持つ対象領域がそのまま計算領域として設定されるのではなく、矩形状に簡略化された領域が計算領域として設定される。そのため、計算領域の形状が単純化され、計算領域における輝度の代表値を算出する際の処理負担を低下させることができる。また、計算領域が矩形状であるため、4つの頂点の座標データが分かれば計算領域を特定でき、計算領域を保持するためのメモリの消費量を低下させることができる。
【0012】
この構成によれば、対象領域の外接矩形が計算領域として設定されるため、比較的少ない処理量で変換前画像データに計算領域を設定することができる。
【0013】
前記計算領域設定部は、前記対象領域に対して更に内接矩形を設定し、前記外接矩形と前記内接矩形との面積の差が規定値以下の場合、前記内接矩形を前記計算領域として設定することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、対象領域の内接矩形と外接矩形との面積の差が小さい場合、内接矩形には対象領域の多くの領域が含まれることになるため、内接矩形が計算領域として設定される。これにより、計算領域の面積が減少し、輝度の代表値を算出する際の処理負担を低下させることができる。一方、内接矩形と外接矩形との面積の差が大きく、対象領域の多くの領域が内接矩形からはみ出してしまう場合、外接矩形が計算領域として設定される。そのため、対象領域の輝度を精度良く示す代表値を求めることができる。
【0015】
前記計算領域設定部は、前記対象領域の下辺が中心に向かうにつれて前記対象領域の上辺側に向かう形状を持つ場合、前記内接矩形を前記計算領域として設定することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、対象領域が円筒型や三面鏡型を持つ場合において、内接矩形が計算領域として設定される。そのため、計算領域の面積が減少し、輝度の代表値を算出する際の処理負担を低下させることができる。
【0017】
前記計算領域設定部は、前記外接矩形の中央部の輝度と前記外接矩形の端部の輝度とに基づき、前記端部にスポット光が照射されているか否かを判定し、前記端部にスポット光が照射されていると判定した場合、前記内接矩形を前記計算領域として設定することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、外接矩形の端部において、高輝度のスポット光が照射されている場合、内接矩形が計算領域として設定される。そのため、対象領域の輝度を正確に表す代表値を求めことができる。
【0019】
前記計算領域設定部は、前記対象領域設定部により2つの前記対象領域が設定された場合、各対象領域に外接矩形を設定し、設定した2つの外接矩形に基づいて前記計算領域を設定することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、2つの対象領域が設定された場合において、計算領域を容易に特定することができる。
【0021】
前記撮像部は、所定のフレームレートで前記画像データを取得し、前記計算領域設定部は、2つの前記外接矩形を所定フレーム毎に交互に切り替えて前記計算領域を設定することが好ましい。
【0022】
変換前画像データに2つの対象領域が含まれている場合、必ずしも2つの領域の輝度代表値を個別に算出する必要はなく、いずれか一方の代表値を求めれば十分の場合もある。この場合において、本構成によれば、1つの対象領域の外接矩形のみが計算領域として設定されるため、処理負担を低下させることができる。
【0023】
一方、2つの対象領域のうち、1方の対象領域の外接矩形のみを計算領域として設定してしまうと、他方の対象領域の方が重要である場合、重要な方の対象領域の輝度の代表値を求めることができなくなる。本構成によれば、2つの外接矩形が所定フレーム毎に切り替えられているため、両対象領域の輝度の代表値をバランスよく求めることができる。また、2つの外接矩形の切り替えが所定フレーム毎に自動的に行われているため、処理負担の更なる低下を図ることができる。
【0024】
前記計算領域設定部は、2つの前記外接矩形において、一部の領域の輝度に基づき、いずれか一方の前記外接矩形にスポット光が照射されているか否かを判定し、前記一方の前記外接矩形にスポット光が照射されていると判定した場合、他方の前記外接矩形を前記計算領域として設定することが好ましい。
【0025】
この構成によれば、2つの外接矩形のうちスポット光が照射されていない外接矩形が計算領域として設定されるため、対象領域の輝度の代表値を正確に求めることができる。
【0026】
前記輝度算出部は、前記撮像部から前記変換前画像データを構成する画素データが1画素単位で入力され、前記計算領域を指定する領域情報を保持するレジスタと、前記変換前画像データの入力の開始タイミング及び終了タイミングを示すタイミング信号を生成するタイミングジェネレータとを更に含み、前記計算領域設定部は、前記レジスタに保持された領域情報及び前記タイミング信号に基づき、前記計算領域の画素データが前記輝度算出部に入力されている入力期間を決定し、前記入力期間中、前記タイミング信号をイネーブル状態に設定し、輝度算出部に出力し、前記輝度算出部は、イネーブル状態のタイミング信号が入力されている期間に入力される画素データを用いて前記代表値を算出することが好ましい。
【0027】
この構成によれば、変換前画像データを構成する画素データが1画素ずつ輝度算出部に入力される。そして、計算領域の入力タイミングになると計算領域設定部からイネーブル状態のタイミング信号が輝度算出部に入力される。したがって、輝度算出部はイネーブル状態のタイミング信号が入力されている期間に入力される画素データを、計算領域を構成する画素データとして判定することができる。そのため、輝度算出部は、容易且つ正確に計算領域を特定し、対象領域の輝度の代表値を算出することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、幾何変換処理を行う前に幾何変換処理対象となる対象領域の輝度の代表値を算出する撮像装置において、輝度の代表値を算出する際の処理負担及びメモリ消費量を低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(本発明に至った経緯)
図18は、歪み補正処理の様子を示す模式図である。
図18において、左側の図は歪み補正処理が行われる前の変換前画像データP20であり、右側の図は歪み補正処理が行われた後の変換後画像データP30である。歪み補正処理では、変換前画像データP20から歪み補正処理の対象となる対象領域D20が設定され、設定された対象領域が矩形状に引き延ばされ、歪みが除去された変換後画像データP30が生成される。
【0031】
図20は、カラーチャートに対して歪み補正処理を行った場合の模式図である。このカラーチャートは、4行×6列で複数の色ブロックが配列されている。
図20において、左側の図は歪み補正処理が行われる前の変換前画像データP20であり、右側の図は歪み補正処理が行われた後の変換後画像データP30である。
図20ではカラーチャートが中心に向かうにつれて面積が大きく、端に向かうにつれて面積が小さくなるように楕円状に歪んで撮像されている。
【0032】
変換前画像データP20に対して歪み補正処理を行うと変換後画像データP30が得られる。変換後画像データP30では、カラーチャートが矩形状に変形され、歪みが除去されていることが分かる。
【0033】
撮像装置では、画像データに含まれる対象領域D20の輝度の代表値(例えば、輝度の平均値)が算出され、その代表値から対象領域D20の明るさが評価され、露光時間や絞りを調整するAE処理が行われる。変換前画像データP20には対象領域D20が歪んで現れているため、対象領域D20を構成する全画素データを用いて対象領域D20の輝度を算出するのは手間がかかる。
【0034】
そこで、まず、変換前画像データP20に対して歪み補正処理を行って、対象領域D20を矩形状に変形させた後、対象領域D20の輝度を算出する手法が提案されている。
【0035】
しかしながら、この手法では、変換前画像データP20が例えばRGBベイヤー配列の画像データである場合、色再現性が低下するという課題があった。そこで、歪み補正処理を行う前に対象領域D20を設定して対象領域D20の輝度の代表値を算出し、AE処理を行う手法が提案されている。
【0036】
図19は、歪み補正処理を行う前にAE処理を行う手法を採用した場合において、対象領域D20の輝度の代表値を算出する様子を示す模式図である。この手法を採用した場合、対象領域D20の全域から輝度の代表値を算出すると処理負担が増大する。そこで、従来では、
図19に示すように、変換前画像データP20を例えば2行×3列程度の複数の矩形状のブロックに分割し、対象領域D20を多く含む1つのブロックを抽出し、抽出したブロックの輝度の代表値が算出されていた。
【0037】
図21及び
図22は、歪み補正処理を行う前にAE処理を行う手法を採用した場合の課題を説明する図である。変換前画像データP20に含まれる対象領域D20の形状としては、撮像装置の使用態様や光学系の歪みや被写体の形状等に応じて種々の形状が存在する。
【0038】
例えば、撮像装置を自動車のフロントガラスに搭載し、前方の自動車を撮像する場合、
図21に示すように、変換前画像データP20には前方の自動車が扇状に歪んで現れることがある。また、撮像装置を広角カメラで構成して自動車の先頭に取り付け、自動車の進行方向と直行する方向に位置する自動車を撮像する場合、
図22に示すように、変換前画像データP20には、2つの台形の対象領域D20が設定されることがある。
【0039】
これらに示すように、対象領域D20が矩形のような単純な形状ではなく、歪んだ形状を持つ場合、変換前画像データP20において、対象領域D20が複数のブロックに跨ってしまう。この場合、変換前画像データP20からある1つのブロックを抽出し、対象領域D20の輝度の代表値を算出したとしても、そのブロックには対象領域D20の一部の領域しか含まれていないことに加えて、対象領域D20の背景部分が多く含まれるため、対象領域D20の輝度の代表値を正確に算出できないという課題がある。
【0040】
そこで、
図23、
図24に示す手法も提案されている。
図23は、細かな矩形状のブロックが設定された変換前画像データP20を示した図である。
図24は、細かな矩形状のブロックに基づいて計算領域R240が設定された変換前画像データP20を示した図である。
【0041】
この手法では、まず、
図23に示すように、変換前画像データP20が細かな矩形状のブロックに区画される。次に、
図24に示すように、対象領域D20が存在するブロックが抽出され、抽出された複数のブロックが計算領域R240として設定される。
【0042】
図24に示すように計算領域R240は、対象領域D20に比べて単純化されているが、矩形まで単純化されていないため、この形状を保存するには、各頂点の座標データを記憶するための多量のレジスタが必要となる。その結果、撮像装置の回路規模が増大するという課題がある。
【0043】
そこで、本実施の形態の撮像装置では、幾何変換処理を行う前に幾何変換処理の対象となる対象領域D20の輝度の代表値を算出する撮像装置において、輝度の代表値を算出する際の処理負担及びメモリ消費量を低下させることを目的とする。
【0044】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態による撮像装置のブロック図である。なお、
図1において、太線は画像データの流れを示し、細線は制御信号の流れを示す。この撮像装置は例えば移動体等に車載センサとして搭載される。但し、これは一例であり、携帯端末に搭載されてもよいし、デジタルスチルカメラに搭載されてもよいし、デジタルムービーカメラに搭載されてもよい。撮像装置は、撮像部100、対象領域設定部200、前処理部300、タイミングジェネレータ(TG)400、変換処理部500、及び出力部600を含む。撮像部100は、イメージセンサと、被写体からの光をイメージセンサに導く光学系と、イメージセンサに入射する光量を調整する絞りと、絞り及びイメージセンサを制御する撮像制御部等を含む。イメージセンサとしては、例えば、所定行×所定列で複数の画素が配列されたCMOSやCCDのイメージセンサが採用される。また、イメージセンサは、例えば、R、G、Bの色フィルタがベイヤー配列で配列されたカラー画像を撮像するイメージセンサであってもよいし、モノクロの画像データを撮像するイメージセンサであってもよい。本実施の形態では、撮像部100は、所定のフレームレートで動画を撮像する。また、本実施の形態では、撮像部100は、ローリングシャッタ方式で被写体を撮像する。
【0045】
対象領域設定部200は、撮像部100で撮像された画像データであって、変換処理部500により幾何変換処理が行われる前の画像データである変換前画像データから幾何変換処理の対象となる対象領域を設定する。ここで、対象領域としては、所定の被写体が現れた領域を採用することができる。所定の被写体としては、種々の物体が採用されるが、本撮像装置が自動車に搭載されるのであれば、例えば自動車や人物を採用することができる。
【0046】
対象領域設定部200が被写体の現れた領域を対象領域として設定する手法としては、特に限定はされないが、例えば、以下の手法を採用すればよい。対象領域設定部200は、変換前画像データからエッジ抽出処理を行い、抽出したエッジに取り囲まれた領域であって、予め定められた形状を持つ領域を対象領域として設定すればよい。或いは、対象領域設定部200は、設定対象となる被写体の画像をテンプレートとして予め保持しておき、このテンプレートと変換前画像データとを比較し、テンプレートマッチングを実行することにより対象領域を設定してもよい。なお、対象領域設定部200が設定する対象領域は歪んだ形状を持つため、テンプレートマッチングを行う場合、対象領域設定部200は、この歪みが考慮されたテンプレートを保持しておけばよい。
【0047】
なお、対象領域設定部200は、変換前画像データをディスプレイ(出力部600)に表示させ、操作部(図略)を用いてユーザに任意の領域を指定させ、その領域を対象領域として設定してもよい。この場合、対象領域設定部200は、例えば、対象領域の頂点の座標をマウス等を使ってユーザに入力させ、入力された頂点を直線又は曲線で繋ぐことで対象領域を設定すればよい。
【0048】
前処理部300は、変換処理部500による幾何変換処理に先だって変換前画像データに対して画像処理を行う。前処理部300は、AE(Automatic Exposure)処理部310及びDRC(dynamic range compression)処理部320を含む。AE処理部310は、撮像部100が露光時間や絞りを決定するための評価値を算出し、撮像部100に供給する。また、AE処理部310は、計算領域設定部311、輝度算出部312、及びレジスタ313を含む。
【0049】
計算領域設定部311は、対象領域設定部200により設定された対象領域の少なくとも一部を含む矩形状の領域を計算領域として変換前画像データに設定する。本実施の形態では、計算領域設定部311は、変換前画像データに設定した計算領域を示す領域情報をレジスタ313に書き込む。なお、領域情報としては、計算領域の4つの頂点の座標データを採用することができる。
【0050】
輝度算出部312は、計算領域設定部311により設定された計算領域における輝度の代表値を算出する。輝度の代表値としては、計算領域における輝度の平均値が採用されてもよいし、計算領域における輝度の中央値が採用されてもよい。いずれにせよ、輝度の代表値としては対象領域の明るさを示す値であればどのような値を採用してもよい。また、輝度の代表値が上記の評価値となる。
【0051】
DRC処理部320は、変換前画像データのダイナミックレンジを圧縮する。具体的には、DRC処理部320は以下のようにしてダイナミックレンジを圧縮する。まず、DRC処理部320は、変換前画像データから照明成分を抽出すると共に、変換前画像データから反射率成分を抽出する。次に、DRC処理部320は、照明成分を所定の圧縮特性を用いて圧縮する。次に、DRC処理部320は、圧縮した照明成分と、反射率成分とを合成する。これにより、照明成分が除去され、被写体が高ダイナミックレンジで表された画像データが得られる。
【0052】
タイミングジェネレータ(以下、「TG」と記述する。)400は、1枚の変換画像データの入力の開始タイミングと入力の終了タイミングとを示すタイミング信号SG1を生成し、計算領域設定部311に出力する。また、TG400は撮像装置を構成する各ブロックの動作を同期させるための信号を生成し、各ブロックに供給する。なお、TG400は、開始タイミングから終了タイミングまでの期間、タイミング信号をイネーブル状態にすることで、開始タイミング及び終了タイミングに関する情報をタイミング信号に含ませる。イネーブル状態は、例えばタイミング信号のレベルをハイレベルにすることで実現され、非イネーブル状態は、例えばタイミング信号のレベルをローレベルにすることで実現される。但し、このイネーブル状態の関係は逆であってもよい。
【0053】
変換処理部500は、変換前画像データに対して幾何変換処理を行う。幾何変換処理としては、例えば、歪み補正処理が採用される。但し、これは一例であり、例えばテクスチャマッピングを行う際に行われるアフィン変換を幾何変換処理として採用してもよい。具体的には、変換処理部500は、幾何変換処理前の各画素の座標データと幾何変換処理後の各画素の座標データとの関係が予め対応付けられたLUTや関数を保持しておき、このLUTや関数を用いて幾何変換処理を行えばよい。
【0054】
また、変換処理部500は、特許文献1に記載されているように、1フレーム期間における被写体の移動速度である像面移動速度に基づいて、歪み補正処理を行ってもよい。或いは、変換処理部500は像面移動速度に基づいてLUTを補正し、補正後のLUTを用いて歪み補正処理を行ってもよい。
【0055】
出力部600は、例えば、液晶パネル等の表示装置により構成され、変換処理部500により幾何変換処理が行われた画像データである変換後画像データを表示する。なお、出力部600は、変換後画像データを外部の装置に送信する通信装置で構成してもよいし、変換後画像データを画像メモリに書き込む書き込み装置であってもよい。
【0056】
図2は、対象領域設定部200に入力される変換前画像データP20の模式図である。変換前画像データP20には対象領域D20が設定されている。
図2において、変換前画像データP20は、左下の頂点に原点が設定され、垂直方向にY軸が設定され、水平方向にX軸が設定され、各位置が(X、Y)で表される2次元の画像データである。なお、本明細書において示される画像データは全て
図2と同じ座標系で表されるものとする。
【0057】
対象領域D20は、下側に向けて拡がった扇状の形状を持っており、被写体が歪んで撮像されていることが分かる。ここで、被写体が歪んで撮像される要因としては、例えば、撮像部100がローリングシャッタ方式で被写体を撮像することや、撮像部100を構成する光学系の歪み等が挙げられる。ローリングシャッタ方式では、例えば、上側の行から下側の行に向かうにつれて、順次、露光期間がずらされて被写体が撮像される。そのため、被写体が撮像部100に急速に近づいたような場合、
図2に示すように被写体は下側に向けて拡がって撮像される。なお、
図2の例で扇状になっているのは光学系の歪みの影響による。
【0058】
図3は、計算領域設定部311が外接矩形R30を計算領域として設定する際の模式図である。
図3に示すように、計算領域設定部311は、対象領域D20の外接矩形R30を計算領域として設定する。ここで、計算領域設定部311は、対象領域D20の上辺K1のY座標の最大値(K1_Ymax)を探索する。次に、計算領域設定部311は、最大値(K1_Ymax)をY座標の値として持つX軸と平行な直線L1を設定する。次に、計算領域設定部311は、対象領域D20の左辺K2のX座標の最小値(K2_Xmin)を探索する。次に、計算領域設定部311は、最小値(K2_Xmin)をX座標の値として持つY軸と平行な直線L2を設定する。
【0059】
次に、計算領域設定部311は、対象領域D20の右辺K3のX座標の最大値(K3_Xmax)を探索する。次に、計算領域設定部311は、最大値(K3_Xmax)をX座標の値として持つY軸と平行な直線L3を設定する。次に、計算領域設定部311は、対象領域D20の下辺K4のY座標の最小値(K4_Ymin)を探索する。次に、計算領域設定部311は、最小値(K4_Ymin)をY座標の値として持つX軸と平行な直線L4を設定する。そして、計算領域設定部311は、直線L1〜L4の4本の直線で取り囲まれる領域を外接矩形R30として設定する。
【0060】
また、計算領域設定部311は、対象領域D20の内接矩形を計算領域として設定してもよい。
図4は、計算領域設定部311が内接矩形R40を計算領域として設定する際の模式図である。この場合、計算領域設定部311は、まず、対象領域D20の上辺K1のY座標の最小値(K1_Ymin)を探索する。次に、計算領域設定部311は、対象領域D20の左辺K2においてY=K1_Yminとなる点を探索し、その点のX座標の値(X=K2_X1)を求める。これにより、頂点a(K2_X1、K1_Ymin)が求まる。次に、計算領域設定部311は、対象領域D20の右辺K3においてY=K1_Yminとなる点を探索し、その点のX座標の値(X=K3_X1)を求める。これにより、頂点b(K3_X1、K1_Ymin)が求まる。
【0061】
次に、計算領域設定部311は、対象領域D20の下辺K4において、頂点aのX座標の値(X=K2_X1)を持つ点を探索し、その点のY座標の値(Y=K4_Y1)を求める。これにより、頂点c(K2_X1、K4_Y1)が求まる。次に、計算領域設定部311は、下辺K4において、頂点bのX座標の値(X=K3_X1)を持つ点を探索し、その点のY座標の値(Y=K4_Y1)を求める。これにより、頂点d(K3_X1、K4_Y1)が求まる。次に、計算領域設定部311は、頂点a、b、c、dを頂点とする四角形を対象領域D20の内接矩形R40として設定する。
【0062】
図5は、計算領域設定部311による計算領域の設定手法の一例を示す模式図である。内接矩形R40を計算領域として設定した場合、外接矩形R30と内接矩形R40との面積の差が増大するにつれて、対象領域D20において計算領域に含まれない領域が増大する。この場合、対象領域D20において計算領域が占める割合が低下し、対象領域D20の輝度を正確に特定できない可能性がある。
【0063】
そこで、計算領域設定部311は、外接矩形R30と内接矩形R40との面積の差が規定値より大きい場合、外接矩形R30を計算領域として設定してもよい。
【0064】
但し、外接矩形R30を計算領域として設定した場合において内接矩形R40を取り除いた余剰領域R50に極端に明るい光源からのスポット光が照射されている場合、このスポット光の影響を受けて対象領域D20の輝度を正確に特定することができない。
【0065】
そこで、計算領域設定部311は、外接矩形R30と内接矩形R40との面積の差が規定値よりも大きい場合、更に余剰領域R50にスポット光が照射されているか否かを判定し、スポット光が照射されていると判定した場合、内接矩形R40を計算領域として設定すればよい。規定値としては、例えば、外接矩形R30の例えば、1/2や、1/3といった値が採用される。
【0066】
図10は、計算領域設定部311が余剰領域R50にスポット光が照射されているか否かを判定する際の処理を示す模式図である。まず、計算領域設定部311は、外接矩形R30の4隅に一定の面積を持つ領域C131を設定すると共に、外接矩形R30の中心に一定の面積を持つ領域C132を設定する。ここで、領域C131の面積としては、余剰領域50内に収まる程度の値が採用される。また、領域C132の面積としては、内接矩形R40よりも大幅に小さな値が採用され、例えば、内接矩形R4の1/10、1/20、・・・、1/50、・・・、1/100程度の値が採用される。
【0067】
次に、計算領域設定部311は、4つの領域C131の輝度の平均値を求めると共に、領域C132の輝度の平均値を求める。次に、計算領域設定部311は、領域C131の輝度の平均値から領域C132の輝度の平均値を差し引いた値が所定の閾値より大きければ、余剰領域R50にスポット光が照射されていると判定する。そして、計算領域設定部311は、余剰領域R50にスポット光が照射されていると判定した場合、内接矩形R40を計算領域として設定する。なお、計算領域設定部311は、余剰領域R50にスポット光が照射されているか否かを判定するにあたり、4つの領域C131を用いたが、これは一例にすぎず、4つの領域C131のうち、1つ、2つ、又は3つの領域を用いてスポット光の有無を判定してもよい。
【0068】
上述した計算領域設定部311の処理を纏めると以下のようになる。
図9は、計算領域設定部311が計算領域を設定する際の処理を示すフローチャートである。まず、計算領域設定部311は、外接矩形R30の面積から内接矩形R40の面積を差し引いた差分値を求め、その差分値が規定値より大きいか否かを判定する(S601)。差分値が規定値より大きい場合(S601でYES)、計算領域設定部311は、余剰領域R50にスポット光が照射されているか否かを判定する(S602)。余剰領域R50にスポット光が照射されていないと判定した場合(S602でNO)、計算領域設定部311は、外接矩形R30を計算領域として設定する(S603)。
【0069】
一方、差分値が規定値以下の場合(S601でNO)、計算領域設定部311は、内接矩形R40を計算領域として設定する(S604)。また、余剰領域R50にスポット光が照射されていると判定した場合(S602でYES)、計算領域設定部311は、内接矩形R40を計算領域として設定する(S604)。
【0070】
次に、対象領域設定部200が設定する対象領域の形状の他の例について説明する。
図6は、対象領域D20が円筒型の場合の変換前画像データP20を示した図である。
図7は、対象領域D20が三面鏡型の場合の変換前画像データP20を示した図である。
図8は、対象領域D20が椀型の場合の変換前画像データP20を示した図である。円筒型、三面鏡型、及び椀型とも、線対称な形状を持つ。
【0071】
図6に示すように、円筒型は、上辺K1及び下辺K4が中心に向かうにつれてY座標の値が楕円状に増大する形状を持ち、左辺K2及び右辺K3がY軸と平行な形状を持っている。
【0072】
図7に示すように、三面鏡型は、上辺K1及び下辺K4がそれぞれ辺K11、K12、K13で構成され、左辺K2及び右辺K3がY軸と平行な形状を持っている。辺K11はX座標の値が増大するにつれてY座標の値が増大する直線形状を持つ。辺K12はX座標と平行な直線形状を持つ。辺K13は、X座標の値が増大するにつれてY座標の値が減少する直線形状を持つ。
【0073】
図8に示すように椀型は、上辺K1が中心に向かうにつれてY座標の値が楕円状に増大する形状を持ち、下辺K4が中心に向かうにつれてY座標の値が楕円状に減少する形状を持ち、左辺K2及び右辺K3がY軸と平行な形状を持っている。
【0074】
対象領域D20が円筒型、三面鏡型、及び椀型の形状を持つ場合、計算領域設定部311は、内接矩形R40を計算領域として設定する。
【0075】
具体的には、計算領域設定部311は、下辺K4の左端のY座標の値(Y1st)が下辺K4の中心のY座標の値(Ycen)を探索し、Y1st<Ycenの場合、円筒型又は三面鏡型と判定する。円筒型又は三面鏡型の場合、計算領域設定部311は、下辺K4において、Y座標の最大値(K4_Ymax)を探索し、左辺K2においてY=K4_Ymaxとなる点を探索し、その点のX座標の値(X=K2_X1)を求める。これにより、頂点c(K2_X1、K4_Ymax)が求まる。次に、計算領域設定部311は、右辺K3において、Y=K4_YmaxをY座標の値として持つ点を探索し、その点のX座標の値(X=K3_X1)を求める。これにより、頂点d(K3_X1、K4_Ymax)が求まる。
【0076】
次に、計算領域設定部311は、上辺K1の左端を頂点a、上辺K1の右端を頂点bとし、頂点a、b、c、dで囲まれる領域を内接矩形R40として設定する。
【0077】
一方、椀型の場合、計算領域設定部311は、上辺K1の左端を頂点a、上辺K1の右端を頂点b、下辺K4の左端を頂点c、下辺K4の右端を頂点dとし、頂点a、b、c、dで囲まれる領域を内接矩形R40として設定する。なお、計算領域設定部311は、Y1st>Ycenの場合、上辺K1が上に凸であれば椀型、上辺K1が下に凸であれば
図2に示す扇形と判定すればよい。
【0078】
なお、上記説明では、対象領域D20が円筒型、三面鏡型、又は椀型の場合、計算領域設定部311は、内接矩形R40を設定するとしたが、これに限定されず、外接矩形R30の面積から内接矩形R40の面積を差し引いた値が規定値より大きければ、外接矩形R30を計算領域として設定してもよい。そして、この場合、計算領域設定部311は、外接矩形R30の端部にスポット光が照射されていれば、内接矩形R40を計算領域として設定し、外接矩形の端部にスポット光が照射されていなければ、外接矩形R30を計算領域として設定してもよい。
【0079】
図11は、対象領域D20が円筒型の場合において、外接矩形R30の端部にスポット光が照射されているか否かを判定する手法を示す模式図である。この場合、計算領域設定部311は、外接矩形R30の上側の2隅に領域C131を設定すると共に、外接矩形R30の下辺に沿うように細長い1つの領域C131を設定する。また、計算領域設定部311は、外接矩形R30の中心に領域C132を設定する。そして、計算領域設定部311は、3つの領域C131の輝度の平均値から領域C132の輝度の平均値を差し引いた値が所定の閾値より大きければ、外接矩形R30の端部にスポット光が照射されていると判定する。
【0080】
図12は、対象領域D20が三面鏡型の場合において、外接矩形R30の端部にスポット光が照射されているか否かを判定する手法を示す模式図である。この場合も、計算領域設定部311は、円筒型の場合と同様、外接矩形R3の端部に3つの領域C131を設定すると共に、外接矩形R30の中心に領域C132を設定する。そして、計算領域設定部311は、3つの領域C131の輝度の平均値から領域C132の輝度の平均値を差し引いた値が閾値より大きければ、外接矩形R30の端部にスポット光が照射されていると判定すればよい。
【0081】
図13は、対象領域D20が扇型の場合において、外接矩形R30の端部にスポット光が照射されているか否かを判定する他の手法を示した模式図である。この場合、計算領域設定部311は、外接矩形R30から内接矩形R40を取り除いた外枠領域R13を設定し、外枠領域R13を8分割し、8個の領域R131を設定する。ここで、領域131は、外枠領域R13を内接矩形R40の上下左右の4辺で区画することで得られる領域である。次に、計算領域設定部311は、8個の領域131のそれぞれの輝度の平均値を算出し、各領域131の輝度の平均値から領域C132の輝度の平均値を差し引いた差分値をそれぞれ求め、差分値が閾値より大きい領域C131を計算領域から除外し、残りの領域131と内接矩形R40とで構成される領域を計算領域として設定する。
【0082】
図14は、2つの対象領域D201、D202を含む変換前画像データP20を示す模式図である。撮像装置の使用態様によっては、
図14に示すように、変換前画像データP20の左右に2つの対象領域D201、D202が現れることもある。使用態様としては、例えば、撮像部100を広角カメラにより構成して自動車の先頭に設け、自動車の進行方向と直交する方向を移動する自動車を撮像部100に撮像させる態様が挙げられる。
【0083】
この場合、左側の対象領域D201は変換前画像データP20の左端に向かうにつれて幅が増大する台形の形状を持ち、右側の対象領域D202は変換前画像データP20の右端に向かうにつれて幅が増大する台形の形状を持つ。また、対象領域D201及び対象領域D202は水平方向に距離dl離間して、変換前画像データP20内に位置している。
【0084】
図15は、変換前画像データP20において対象領域の輝度を算出する際に不要となる領域を示した模式図である。
図16は、2つの対象領域D201、D202が変換前画像データP20に現れた場合に設定される2つの計算領域を示す模式図である。
図15に示すように、2つの対象領域D201、D202の両方に外接する1つの外接矩形R30を設定し、この外接矩形R30を計算領域として設定すると、余剰領域R50が増大する。この場合、対象領域の輝度を正確に算出することができなくなると同時に、計算領域が増大するため処理負担が増大する。
【0085】
そこで、
図16に示すように、計算領域設定部311は、対象領域D201、D202のそれぞれに外接矩形R301、R302を設定し、2つの外接矩形R301、R302を計算領域として設定する。これにより、外接矩形R30を計算領域とした場合に外接矩形R30の中央部に発生する不要領域R500(外接矩形R30から外接矩形R301、R302を取り除いた矩形状の領域)が除去された領域を計算領域として設定することができる。
【0086】
次に、不要領域R500を計算領域から除去する方法について
図1を用いて説明する。まず、撮像部100から対象領域設定部200、計算領域設定部311、及び輝度算出部312への変換前画像データの入力が開始されると、TG400から計算領域設定部311に入力されるタイミング信号SG1がイネーブル状態にされる。
【0087】
タイミング信号SG1がイネーブル状態にされると計算領域設定部311はレジスタ313から計算領域の領域情報を読み出し、読み出した領域情報と入力される画素データの個数とから、計算領域の画素データの入力期間を決定する。そして、計算領域設定部311は、計算領域の画素データの入力期間中、輝度算出部312に入力するタイミング信号SG2をイネーブル状態にして輝度算出部312に出力する。
【0088】
本実施の形態では、画素データはラスタ走査順で入力されるため、タイミング信号SG2は、1ライン単位でイネーブル状態の切り替えが行われる。つまり、変換前画像データの水平方向のある1ラインの画素データが入力されており、その1ライン内に計算領域が含まれていれば、その1ライン内において左側の計算領域の先頭の画素データの入力タイミングになると、計算領域設定部311はタイミング信号SG2をイネーブル状態にし、その1ライン内において左側の計算領域の後端の画素データの入力タイミングになると、計算領域設定部311はタイミング信号SG2を非イネーブル状態にする。また、その1ラインにおいて、右側の計算領域の先頭の画素データの入力タイミングになると、計算領域設定部311はタイミング信号SG2をイネーブル状態にし、その1ライン内において右側の計算領域の後端の画素データの入力タイミングになると、計算領域設定部311はタイミング信号SG2を非イネーブル状態にする。計算領域設定部311は、この処理を1ライン毎に繰り返し行い、輝度算出部312に計算領域の画素データの入力期間を通知する。
【0089】
一方、輝度算出部312は、左右の計算領域のそれぞれにおいて、イネーブル状態のタイミング信号SG2が出力されている間に撮像部100から入力される画素データの輝度値を積算し、計算領域の全ての画素データの入力が終了すると積算した輝度値を画素数で割り、計算領域の輝度の平均値(代表値)を求める。これにより、左右それぞれの対象領域の輝度の平均値が個別に求められる。
【0090】
輝度算出部312は、対象領域の輝度の平均値を算出すると、その平均値を対象領域の評価値として撮像部100に通知する。そして、撮像部100は、通知された評価値に基づいて、露光期間及び絞りを調整する。
【0091】
以上により、
図15において、輝度算出部312は、2つの外接矩形R301、R302に属する画素データのみを用いて輝度の代表値を算出することができる。
【0092】
図16において、変換前画像データP20に含まれる2つの被写体はかなり離れた場所に位置していることもあり、この場合、いずれか一方の被写体の評価値を求めて、AE制御を行えば十分である。そこで、計算領域設定部311は、2つの外接矩形R301、R302を所定フレーム毎に交互に切り替えて計算領域を設定してもよい。
【0093】
図17は、計算領域を所定フレーム毎に切り替える態様を採用した場合において、計算領域が設定される様子を示した模式図である。まず、計算領域設定部311は、左側の外接矩形R301を計算領域として設定する。ここで、nフレーム毎に計算領域が切り替えられるとすると、計算領域設定部311は、以後、撮像部100により撮像されるnフレームの変換前画像データP20に対して左側の外接矩形R301を計算領域として設定する。そして、撮像部100によりn+1フレーム目の変換前画像データP20が撮像されると、計算領域設定部311は、計算領域を左側の外接矩形R301から右側の外接矩形R302に切り替える。以後、撮像部100により撮像されるnフレームの変換前画像データP20に対して、計算領域設定部311は、右側の外接矩形R302を計算領域として設定する。計算領域設定部311はこの処理を繰り返し、計算領域を交互に切り替える。
【0094】
ここで、nの値としては、特に限定はされないが、例えば、2、3、4、・・・、10等の複数であってもよいし、1であってもよい。但し、1フレーム毎に計算領域を切り替えると、両被写体の輝度の差が大きい場合、露光時間が1フレーム毎に大きく変動するため、ちらつきのある画像が表示される可能性がある。よって、nの値は、複数であることが好ましい。
【0095】
なお、計算領域設定部311は、2つの外接矩形R301、R302において、一部の領域の輝度の平均値を求め、いずれか一方の外接矩形にスポット光が照射されているか否かを判定し、一方の外接矩形にスポット光が照射されていると判定した場合、他方の外接矩形を計算領域として設定してもよい。なお、スポット光が照射されているか否かの判定は、例えば、外接矩形の一部の領域の輝度の平均値が閾値より大きい場合、その外接矩形にスポット光が照射されていると判定すればよい。
【0096】
これにより、スポット光が照射されていない外接矩形を計算領域として設定することができる。なお、外接矩形R301、R302の両方にスポット光が照射されていると判定した場合、計算領域設定部311は、上述した所定フレーム毎に計算領域を切り替える態様を採用すればよい。
【0097】
次に、
図1に示す撮像装置の動作について説明する。まず、計算領域設定部311、輝度算出部312、及びDRC処理部320にi(iはフレームと特定するためにインデックス)フレーム目の変換前画像データを構成する画素データの入力が開始される。
【0098】
次に、輝度算出部312は、レジスタ313に記憶されているi−1フレーム目の変換前画像データにおいて設定された計算領域の座標データから計算領域を構成する画素データの入力期間を検出し、検出した入力期間においてタイミング信号SG2をイネーブル状態にする。この場合、i−1フレーム目の変換前画像データにおいて設定された計算領域がiフレーム目の変換前画像データに設定されることになる。
【0099】
次に、輝度算出部312は、タイミング信号SG2がイネーブル状態である期間において、入力される画素データの輝度の積算値を算出し、計算領域の画素データの入力が終了すると、積算値を画素数で割り、輝度の平均値を求める。次に、輝度算出部312は、輝度の平均値を評価値として撮像部100に出力する。次に、撮像部100は、評価値にしたがって露光期間及び絞りを調整する。
【0100】
iフレーム目の変換前画像データの入力が終了すると、対象領域設定部200は、変換前画像データから対象領域を設定する。次に、計算領域設定部311は、対象領域設定部200により設定された対象領域の輪郭からiフレーム目の変換前画像データの計算領域を設定し、レジスタ313に保持されているi−1フレーム目の領域情報をiフレーム目の領域情報で更新する。
【0101】
一方、DRC処理部320も計算領域設定部311及びDRC処理部320の処理と並行して、iフレーム目の変換前画像データに対してダイナミックレンジ圧縮処理を行い、変換処理部500に出力する。
【0102】
次に、変換処理部500は、対象領域設定部200により設定された対象領域を、ダイナミックレンジ圧縮処理が行われた変換前画像データから切り出し、切り出した変換前画像データの歪みを補正する。次に、出力部600は、変換処理部500により歪みが補正された画像データを表示する。
【0103】
上記の説明では、i−1フレーム目の計算領域をiフレーム目の変換前画像データに設定したが、これに限定されない。例えば、計算領域設定部311及び輝度算出部312への変換前画像データの入力タイミングを、遅延バッファなどを設けて、対象領域設定部200への変換前画像データの入力タイミングから1フレーム分、遅延させればよい。
【0104】
また、上記説明では、撮像部100は動画を撮像するものとして説明したが、静止画を撮像するものであってもよい。この場合、撮像装置は、例えば、プレ露光により対象領域の輝度の代表値を求め、その代表値から露光時間や絞りを調整し、本露光を行う構成を採用すればよい。