(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような構成では、確認対象の全ての収納部における収納空間の収納状態を確認するためには、VTRに録画された全ての収納部についての動画像を再生して、その間作業者が、昇降台の移動により連続的に変化する動画像を目視にて確認しなければならない。その為、物品収納棚が備える複数の収納部の全てを確認しようとすると、録画時に要した撮像時間と同等の再生時間が必要であり、長時間を要する。また、作業者は、見落としがないように再生中は動画像を凝視しなければならず、作業者の負荷が大きい。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、物品収納棚における複数の収納部の夫々における収納空間の状態の確認作業における作業者の負荷の低減を図りつつ、確認作業を迅速に行うことが可能な物品収納棚撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品収納棚撮像装置の第1特徴構成は、物品を収納する収納部が上下方向及び左右方向に複数並ぶ物品収納棚の前面において前記収納部に対する物品の授受のために移動する移動体に対して設けられ
て撮像方向が前記物品収納棚の前面に対向する方向に設定された撮像部と、前記撮像部が出力する撮像データを記録する記録部と、前記撮像部及び前記記録部の作動を制御する撮像制御部と、
前記移動体の上下方向及び左右方向の移動を制御する移動体制御部と、を備えた物品収納棚撮像装置であって、
前記収納部において前記物品を支持する腕木と前記腕木の上方に形成される収納空間とを前記撮像部により撮像するための撮像用位置が、前記複数の収納部の夫々について設定され、
前記撮像用位置は、前記移動体が前記撮像用位置に位置するときの前記撮像部と前記腕木との位置関係が複数の前記収納部の夫々について同じ位置関係となるように設定され、
前記移動体制御部は、
前記撮像用位置を経由する形態で、前記移動体を前記収納部の並び方向に沿っ
て移動させる撮像用移動制御を実行し、
前記撮像制御部は、前記移動体制御部が前記撮像用移動制御を実行する間において、前記撮像部を撮像作動させて前記記録部に前記撮像データを記録する撮像記録処理を実行するように構成され、かつ、
前記撮像記録処理により記録された撮像データに基づいて、
前記移動体が前記撮像用位置に位置するときに前記撮像部が撮像した画像であって前記収納空間の状態を確認するための確認用画像を取得する確認用画像取得処理を実行するように構成されている点にある。
【0008】
すなわち、移動体制御部が、撮像部が収納空間を撮像するための撮像用位置に収納部の並び方向に沿って移動体を順次移動させる間に、撮像
部を撮像作動させて記録部に撮像データを記録する。これにより、撮像対象となる収納部の収納空間についての撮像データを記録することができる。ここで、移動体の移動方向は、上下方向・左右方向の何れであっても、撮像対象となる全ての収納部における撮像用位置に撮像部を位置させる形態で移動されるものであればよい。
【0009】
そして、撮像制御部は、上記のようにして記録した撮像データに基づいて、収納空間の状態を確認するための確認用画像を取得することができる。ここで、一の収納部に対して一つの確認用画像があれば、収納空間の状態を確認できる。このため、複数の収納部の夫々に対応する一の画像を複数の収納部の数だけ次々と確認するだけで、確認対象のすべての収納部に対応する収納空間の状態を確認することができることになる。
したがって、例えば撮像部が出力する動画像を記録部に記録し、当該動画像を再生する間、作業者が動画像を凝視して目視確認により複数の収納部の夫々に対応する収納空間の状態を確認するような作業を行うのに比べて、作業者の作業負荷も軽減され、また、物品収納棚における複数の収納部の夫々における収納空間の状態の確認作業を迅速に行うことができる。
【0010】
本発明に係る物品収納棚撮像装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記撮像用位置が、前記収納部に対する物品の授受を行うときの前記移動体の授受用位置である点にある。
【0011】
すなわち、撮像用位置が、移動体が通常の物品搬送動作のために位置することになる授受用位置であるから、移動体制御部は、移動体を撮像用位置に位置させるべく撮像用移動制御を実行するにしても、移動体を授受用位置に位置させるときの制御情報を利用すれば済むので、移動体制御部の制御構成が煩雑なものとなる事態を回避できる。
【0012】
本発明に係る物品収納棚撮像装置の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記撮像部が、動画像を出力自在に構成され、かつ、前記記録部が、前記撮像部が出力した前記動画像を記録自在に構成され、前記撮像制御部が、前記確認用画像取得処理として、前記記録部に記録された前記動画像に基づいて、前記撮像部が前記撮像用位置に位置するときにおける前記動画像のフレームを前記確認用画像として取得するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、撮像部が撮像して記録部に記録された動画像に基づいて確認用画像を取得することができるので、確認用画像を取得するために、移動体を複数の収納部の夫々について各別に設定される撮像用位置に停止させる必要がない。
つまり、物品収納棚は、物品を収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べて備えているため、それらの収納部の夫々に各別に設定される撮像用位置に移動体を毎回停止させていては、撮像対象となる収納部の全てについての確認用画像を取得するために長い時間を要することになる。本特徴構成によれば、撮像部が収納空間を撮影するための撮像用位置を通過する形態で移動体を連続的に作動させ、その間の動画像を記録することによって取得した動画像に基づいて確認用画像を取得することができる。その為、撮像対象となる収納部の全てについての確認用画像を取得するにしても、上記のように移動体を撮像対象となる収納部の夫々に各別に設定される撮像用位置に停止させる必要がなく、物品収納棚における複数の収納部の夫々における収納空間の状態の確認作業をより迅速に行うことができる。
【0014】
本発明に係る物品収納棚撮像装置の第4特徴構成は、上記第1〜第3の何れかの特徴構成に加えて、前記撮像制御部が、前記
確認用画像取得処理として、前記複数の収納部夫々を識別するための収納部識別情報と
、前記収納部識別情報に対応する前記収納部の前記確認用画像と、を対応付けて記録するように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、取得した複数の確認用画像の夫々に、その確認用画像に対応する収納部識別情報が対応付けられることになるから、作業者が、取得した複数の確認用画像において、収納空間に何らかの事象が発生していることを示す画像を発見した場合に、その確認用画像に対応する収納部(事象発生収納部と称する)がいずれの収納部であるかを迅速に知得することができ、事象発生収納部に対する適切な手当を迅速に行うことができるものとなる。
【0016】
本発明に係る物品収納棚撮像装置の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記撮像制御部が、前記
確認用画像取得処理にて
取得した前記確認用画像を、前記収納部に関連付けられた属性ごとにまとめて管理するように構成されている点にある。
【0017】
すなわち、確認用画像を、例えば、上下方向に複数並べて設けられた収納部の段ごと、又は、左右方向に複数並べて設けられた収納部の列ごと等の、収納部に関連付けられた属性ごとにまとめて管理することができるので、取得した複数の確認用画像において、収納空間に何らかの事象が発生していることを示す画像を発見した場合に、その確認用画像に対応する収納部(事象発生収納部)がどのような属性であるのかを迅速に知得することができる。したがって、例えば、確認用画像を上下方向に複数並べて設けられた収納部の段ごとにまとめて管理した場合、事象発生収納部が物品収納棚の低層部分であるのか高層部分であるのかを容易に判断することができるので、例えば事象発生収納部が低層部分であれば、作業者が地上作業を行うことができると判断し、事象発生収納部が高層部分であれば、作業のために高所作業車が必要であると判断する等、事象発生収納部に対する手当を行うに当たり適切な判断を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る物品収納棚撮像装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
物品収納棚撮像装置は、
図1に示すように物品収納棚1とスタッカークレーン2とを備える物品収納設備において、物品収納棚1の組み立て作業が完了した後に、
図6に示す如く、収納部Sの収納空間に当該物品収納棚1の組み立て作業のために用いた工具や、使用されなかった当該物品収納棚1の構成部品、例えば、腕木部品Z1や、支柱11と腕木12とを締結するボルトZ2等(これらを棚工事残材と称する)が残留している事態となっていないか否かを検査するために用いられる。つまり、物品収納棚撮像装置5は、物品収納設備において継続的に用いられるものではなく、スタッカークレーン2の昇降台22に対して載置支持又は撤去することで容易に着脱できるものとなっている。すなわち、物品を収納する収納部Sが上下方向及び左右方向に複数並ぶ物品収納棚1の前面において収納部Sに対する物品の授受のために移動する昇降台22に対して着脱自在に構成されている。
【0020】
物品収納棚は、
図1に示すように、上下方向に沿って設けられる支柱11と、上下方向に離間して複数段設けられる腕木12とを備えている。腕木12は、例えばボルト・ナットにて平面視で左右方向と直交する前後方向に並ぶ一対の支柱11に両端を締結固定する形態で取付けられる。この物品収納棚1において、収納対象の物品は、その下端でかつ左右方向に離間した両端位置を左右一対の腕木12にて支持される形態で収納される。したがって、左右方向及び前後方向に隣接する4本の支柱と、上下方向に隣接する一対の腕木12に囲まれた領域が、物品を収納する収納空間となる。
【0021】
スタッカークレーン2は、走行レールR上を走行移動自在な走行台車20と、走行台車20に立設される左右一対の昇降案内マスト21と、昇降案内マスト21に案内されて昇降移動自在な移動体としての昇降台22と、を備えている。また、スタッカークレーン2には、
図3に示すように、走行台車20を走行移動させる走行駆動装置25と、昇降台22を昇降案内マスト21に沿って昇降移動させる昇降駆動装置26とが備えられ、さらに、昇降台22を物品収納棚1の前面における所望の走行位置及び所望の昇降高さに位置させるべく、走行駆動装置25と昇降駆動装置26との作動を制御するクレーンコントローラH2が設けられている。本実施形態では、クレーンコントローラH2が移動体制御部に相当する。すなわち、昇降台22の上下方向及び左右方向の移動を制御するクレーンコントローラH2が設けられている。
【0022】
図2に示すように、物品収納棚撮像装置5は、当装置を構成する機器類を一体に支持自在な装置本体50を備えている。装置本体50は、昇降台22上に載置する状態で設置される平面視矩形状の箱状部51と、その箱状部51の四隅から上下方向に沿って立設される支柱52sと、4つの支柱52sのうちスタッカークレーン2の走行方向に並ぶ一対の支柱52sの上端同志を連結するように構成される横行梁52Yと、を備えて構成されており、箱状部51は、上方が開口した有底筒状に形成されている。箱状部51の収容空間内部には、バッテリ53と、コンピュータ54とが収容自在となっている。
【0023】
また、横行梁52Yの左右中央部には、撮像方向が物品収納棚1の前面に対向する方向に設定されたカメラ55が設けられている。カメラ55は、例えばUSBカメラにて構成され、
図3に示すように、ノートパソコン等のコンピュータ54に接続されている。コンピュータ54は、箱状部51に収容したバッテリ53から電力の供給を受けるように構成されている。
【0024】
コンピュータ54は、カメラ55からの画像を取得する画像取得プログラムHgが実行自在に構成されている。画像取得プログラムHgは、カメラ55にて撮像した画像をリアルタイムに取得することができ、撮像開始から撮像停止までの動画像を取得して自己の記憶装置Hk(例えば、コンピュータ54に装備されるハードディスクやメモリ装置等)に記憶することができるように構成されている。なお、動画像は一般に複数の静止画像を時系列で並ぶ状態でまとめたものであり、以下の説明において、複数の静止画像の夫々を画像フレームと称する。
【0025】
画像取得プログラムHgは、さらに、動画像を構成する複数の画像フレームのうち、指定された画像フレームを静止画像として取得して記憶装置Hkに記録することができるように構成されている。また、画像取得プログラムHgは、画像の内容を解析する画像解析処理を実行自在に構成されており、画像解析処理によって、カメラ55にて撮像されたリアルタイム画像における画像フレーム、又は、カメラ55にて撮像されて記憶装置Hkに記憶された動画像における画像フレームに対して、画像の内容を判別可能に構成されている。
【0026】
横行梁52Yにおけるカメラ55の両側方に、照射方向が物品収納棚の前面に対向する方向に設定された照明56が取付けられている。照明56は、箱状部51に収容したバッテリ53から電力の供給を受けるように構成されている。なお、照明56は、LED照明にて構成することが好ましいが、蛍光灯やハロゲン灯等の他の照明装置としてもよい。
なお、
図2にも示すように、カメラ55及び照明56は、前後方向に一対設けられる横行梁52Yの夫々に対して設けられている。すなわち、物品収納棚1が走行レールRを挟んで対向する形態で設けられている場合に、カメラ55の撮像方向が、対向する一対の物品収納棚1の双方の前面に対向する方向に設定されている。なお、本実施形態では、上記2つのカメラ55は同時に使用せず、上記2つのカメラ55のうち一方を選択して撮像記録処理を実行する。
【0027】
次に、物品収納棚撮像装置5の使用態様を説明する。
この物品収納棚撮像装置5を使用する場合、作業者は、
図1に示すように、物品収納棚撮像装置5を昇降台22に載置支持する設置作業を行う。そして、コンピュータ54にて実行される画像取得プログラムHgに対して、カメラ55を撮像作動させて記憶装置Hkに動画像を記録する撮像記録処理を開始するように指令する。この撮像記録処理は、作業者によって停止が指令されるまで継続して実行される。
【0028】
また、作業者は、上記の撮像記録処理の実行指令に引き続き、クレーンコントローラH2に対し、カメラ55が収納部Sの収納空間を撮影するための撮像用位置(
図5において符号Psで示す)に、左右方向でのスタッカークレーン2の待機位置であるホームポジションHP側からオポジットポジションOPに向けて、収納部S左右方向の並び方向(すなわち、上下方向で同じ段に位置する収納部Sの並び方向)に沿って昇降台22を順次移動させる撮像用移動制御を、上下方向で同一の段ごとに実行する形態で、物品収納棚1の全ての段に対して実行するように指令する。
つまり、昇降台22は、
図7に示すように、丸囲み文字1で示す収納部Sから丸囲み文字8で示す収納部Sに移動した後、上下方向で1つ上の段の収納部である丸囲み文字9で示す収納部Sから丸囲み文字16で示す収納部Sに移動する、というように、タイプライタの打刻部の移動軌跡と同様の軌跡で移動することになる。さらに、クレーンコントローラH2は、上記撮像用移動制御が完了すると、スタッカークレーン2をホームポジションHPに走行移動させ、かつ、昇降台22を昇降下端位置に下降移動させる復帰動作を実行する。
【0029】
なお、本実施形態では、撮像用位置Psは、収納部Sに対する物品の授受を行うときの昇降台22の授受用位置に設定されている。つまり、昇降台22が収納部Sに対する物品の授受を行うときの授受用位置に位置するときにカメラ55が収納空間を適切に撮影することができるように、カメラ55の姿勢やピントが調整されている。このため、移動体制御部は、撮像用移動制御として、通常の物品搬送動作における動作と同様に昇降台22を動作させることで、カメラ55を収納部Sの収納空間を撮影するための撮像用位置Psに位置させることができる。
【0030】
上記撮像用移動制御が完了して、復帰動作が実行されると、作業者は、コンピュータ54にて実行される画像取得プログラムHgに対して撮像記録処理の停止を指令する。これにより、コンピュータ54の記憶装置Hkには、撮像用移動制御によって昇降台22が移動されている間の動画像が記録される。
作業者は、引き続き、画像取得プログラムHgに対して確認用画像取得処理の実行を指令する。確認用画像取得処理とは、上記撮像記録処理によりコンピュータ54の記憶装置Hkに記録された動画像に基づいて、収納部Sの収納空間の状態を確認するための確認用画像を取得する処理である。
【0031】
以下、画像取得プログラムHgが実行する確認用画像取得処理を、
図4のフローチャートに基づいて説明する。
まず、画像取得プログラムHgは、記憶装置Hkに記録された動画像を読み込む(ステップ#1)。なお、画像取得プログラムHgは、動画像を1つのファイルとしてその全体を読み込む必要はない。すなわち、動画像を複数の連続した断片(フラグメント)に分割して読み込んでもよい。
上記ステップ#1に続いて、画像取得プログラムHgは、読み込んだ動画像のうち処理対象の画像フレームを設定する(ステップ#2)。この時点で設定される画像フレームは、動画像のファイルの先頭に位置する画像フレームに設定するのが好ましい。
さらに、画像取得プログラムHgは、後の処理において取得した確認用画像を保存するための初期上下段別フォルダを設定し、加えて、保存する確認用画像に付加する保存ファイル名として連続番号を設定する(ステップ#3、ステップ#4)。
【0032】
上記ステップ#1〜ステップ#4の処理(イニシャル処理)が完了すると、画像取得プログラムHgは、引き続き処理対象の画像フレームが動画像内の最終フレームか否かを判別する(ステップ#5)。ここで最終フレームであると判別されると(ステップ#5:Yes)、当該処理を完了する。
また、最終フレームではないと判別されると(ステップ#5:No)、続いて、処理対象の画像フレームに対しその画像内容を解析して、その画像が撮像用位置Psにおける画像であるか否かを判別し(ステップ#6)、撮像用位置Psにおける画像であると判別すると(ステップ#6:Yes)、設定された上下段別フォルダに、設定された保存ファイル名でその画像フレームの画像を保存し(ステップ#7)、保存ファイル名としての連続番号をインクリメントする(ステップ#8)。
【0033】
続いて、画像取得プログラムHgは、処理対象の画像フレームを、時系列で次に位置する画像フレームに設定し(ステップ#9)、その画像フレームを画像解析して上下方向への移動を行ったか否かを判別する(ステップ#10)。
なお、ステップ#6において撮像用位置における画像でないと判別した場合には(ステップ#6:No)、ステップ#9にジャンプする。
ステップ#10にて、上下方向への移動を行ったと判別すると(ステップ#10:Yes)、取得した確認用画像を保存するための上下段別フォルダを対応する上下段別フォルダに設定する(ステップ#11)。例えば、初期フォルダを「Level1」としているとき、1段上方に移動したことを検出すると上下段別フォルダを「Level2」と変更する。ステップ#10にて、上下方向への移動を行っていないと判別すると(ステップ#10:No)、引き続きステップ#6に戻る。また、ステップ#11の処理を行った場合には、続いてステップ#5の処理に戻る。
【0034】
本実施形態において、画像取得プログラムHgが撮像制御部に相当し、上記ステップ#7にて保存する画像フレームが、本発明の確認用画像に相当する。
すなわち、画像取得プログラムHgは、クレーンコントローラH2が撮像用移動制御を実行する間において、カメラ55を撮像作動させて記憶装置Hkに撮像データを記録する撮像記録処理を実行するように構成され、かつ、その撮像記録処理により記録された撮像データとしての動画像に基づいて、収納空間の状態を確認するための確認用画像を取得する確認用画像取得処理を実行するように構成されている、
なお、画像フレームを取得する時間間隔が短いと、撮像用位置Psにおける画像であると識別される画像が連続する場合が発生し得るが、そのように撮像用位置Psにおける画像であると識別される画像が連続する場合には、連続する画像のうちの最初の画像のみを確認用画像とする。したがって、複数の収納部Sの夫々に対して1つの確認用画像が取得され、取得された確認用画像の夫々に各別に異なる保存ファイル名が設定されることとなる。
【0035】
すなわち、画像取得プログラムHgが、
確認用画像取得処理として、複数の収納部Sの夫々を識別するための収納部識別情報としての保存ファイル名と
、収納部識別情報に対応する収納部Sの確認用画像とを対応付けて記録するように構成されている。
また、上記確認用画像は、
図9に示すように、対応する上下段別フォルダに保存されるようになっている。すなわち、画像取得プログラムHgは、
確認用画像取得処理にて
取得した確認用画像を、収納部Sに関連付けられた属性ごとにまとめて管理するようになっている。
上記のようにして複数の収納部Sの夫々に対応する確認用画像が記録されると、作業者は、既知の画像表示ソフトウェア等を用いて確認用画像を確認する確認作業を行う。このとき、1つの収納部Sに対しては1つの確認用画像が対応するものであるから、作業者は複数の確認用画像を確認するにしても、迅速にその作業を行うことができるものとなる。
【0036】
図8に、確認用画像取得処理にて取得された複数の確認用画像を示す。これらの確認用画像(a)〜(d)は、いずれも、カメラ55が収納空間を撮影するための撮像用位置Psに位置するときにカメラ55が撮像した画像である。したがって、異なる収納部Sを撮像したものであるものの、収納空間を同じ位置関係で撮像した画像であるため、確認用画像中の支柱11や腕木12の位置関係は、複数の確認用画像において全て同じ(又は近似した)位置関係となる。この為、作業者は、これらの確認用画像を
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)、
図8(d)と次々と順送りして確認することによって、
図6に示す腕木部品Z1やボルトZ2等のような棚工事残材が存在する場合には、その存在を、棚工事残材が存在しない他の確認用画像との差分として明確に認識できるものとなる。つまり、
図8(a)〜
図8(d)の確認用画像のうち、棚工事残材が存在する
図8(c)の画像を迅速に発見することができるものとなる。
【0037】
また、確認用画像は、
図9に示すように、対応する上下段別フォルダに保存される。したがって、作業者は、例えば
図9においては、LEVEL5、すなわち上下方向で5段目に位置する収納部Sであり、かつ、保存ファイル名が38である収納部Sに棚工事残材が存在する、ということを迅速に把握することができるものとなる。
【0038】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、移動体としてスタッカークレーン2における昇降台22を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、物品を収納する収納部Sが上下方向及び左右方向に複数並ぶ物品収納棚の前面において昇降する走行レール上を棚横幅方向(左右方向)に走行移動する走行体を移動体とするように構成してもよい。この他、収納部Sが上下方向及び左右方向に複数並ぶ物品収納棚における収納部Sに対する物品の授受のために移動するものであれば、他の形態の移動体を備えるものであってもよい。
【0039】
(2)上記実施形態では、カメラ55及び照明56a、照明56bを前後方向に一対設けられる横行梁52yの夫々に対して設ける構成を例示したが、このような構成に限定されるものではない。すなわち、カメラ55及び照明56a、照明56bを、前後方向に一対設けられる横行梁52yの一方にのみ備える構成としてもよい。また、上記実施形態では、カメラ55及び照明56a、照明56bを前後方向に一対設けられる横行梁52yの夫々に対して設け、かつ、一対のカメラ55のうちの一方のみを用いて撮像記録処理を実行するものを説明したが、一対のカメラ55の双方を用いて、対向する一対の物品収納棚1の双方の収納部Sの収納空間を同時に撮像するように構成してもよい。
【0040】
(3)上記実施形態では、撮像用位置を、収納部Sに対する物品の授受を行うときの移動体の授受用位置に設定したが、このような構成に限定されるものではなく、撮像用位置を、例えば物品収納棚1の正面視でのカメラ55の位置を収納部Sの正面視での中央位置と重複する状態とすべく調整自在としてもよい。この場合、移動体制御部は、通常の物品搬送動作とは異なる動作を実行可能に構成することができる。
【0041】
(4)上記実施形態では、画像取得プログラムHgを、撮像記録処理によって動画像を取得し、取得した動画像に対して確認用画像取得処理を実行することにより確認用画像を取得するように構成した。すなわち、撮像記録処理の実行後に確認画像取得処理を実行するように構成した。しかしながら、このような構成に限定されるものではなく、例えば、撮像記録処理として撮像用移動制御を実行する間においてカメラ55が撮像する動画像を記憶装置Hkに記録し、同時に、カメラ55が撮像する動画像に基づいて昇降台22が撮像用位置に位置するか否かを判別し、昇降台22が撮像用位置に位置すると判別した場合に、その位置での収納空間の画像(確認用画像)を撮像する確認画像取得処理を実行するように構成してもよい。すなわち、この場合、撮像記録処理と確認画像取得処理とが並行して実行されることになる。
【0042】
また、上記実施形態では、クレーンコントローラH2が、撮像用移動制御として、昇降台22を収納部Sの棚横幅方向(左右方向)に沿って順次連続的に移動させ、その間において、カメラ55を撮像作動させて記憶装置Hkに撮像データを記録する撮像記録処理を実行するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、各収納部Sの授受用位置毎に昇降台22を停止させるように構成し、昇降台22が授受用位置に停止している間の収納空間の画像をカメラ55にて撮像して確認用画像とする確認画像取得処理を実行するようにしてもよい。
【0043】
さらに上記実施形態では、画像取得プログラムHgが、カメラ55が撮像した動画像に基づいて昇降台22が撮像用位置に位置するか否かを判別する構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、画像取得プログラムHgが、昇降台22が撮像用位置に位置していることを示す情報をクレーンコントローラH2から取得し、かつ、当該クレーンコントローラH2からの情報に基づいて、昇降台22が撮像用位置に位置していると判別した場合に、その位置での収納空間の画像をカメラ55にて撮像して確認用画像とする確認画像取得処理を実行するようにしてもよい。なお、このとき、画像取得プログラムHgが昇降台22の座標情報をクレーンコントローラH2から取得し、当該座標情報に基づいて、画像取得プログラムHgが、昇降台22が撮像用位置に位置しているか否かを判別するように構成してもよい。
また、画像取得プログラムHgを、動画像に基づいて昇降台22の移動速度を判別自在に構成し、その移動速度情報に基づいて、昇降台22の位置が撮像用位置に対応する位置になるタイミングを演算して、演算したタイミングに基づいて確認用画像を取得するように構成してもよい。
【0044】
(5)上記実施形態では、撮像制御部が、複数の収納部Sの夫々を識別するための収納部識別情報と、確認用画像取得処理にて取得した収納部識別情報に対応する収納部Sの確認用画像とを対応付けて記録するように構成したが、収納部識別情報と確認用画像とを対応付けないように構成してもよい。この場合、例えば、確認用画像の取得時刻(タイムスタンプ)が撮像用移動制御によってカメラ55が通過した撮像用位置の順序と同じとなるので、確認用画像をタイムスタンプでソートすることによって、収納部Sと対応させることができることになる。また、例えば、カメラ55が収納部Sの収納空間を撮像した場合に撮像される箇所にその収納部Sに対応する識別番号票を貼り付けておいてもよい。この場合、確認用画像に識別番号票が写っていれば、その収納部を的確に特定することができる。