特許第5949655号(P5949655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949655
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】無線機器収納局舎
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   F24F7/06 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-102242(P2013-102242)
(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公開番号】特開2014-222132(P2014-222132A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154912
【氏名又は名称】株式会社北村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(72)【発明者】
【氏名】廣田 利明
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0073652(US,A1)
【文献】 実開昭60−010130(JP,U)
【文献】 特開2001−116291(JP,A)
【文献】 特開2007−120131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局舎本体の床下空間に設置された熱交換器と、
前記局舎本体内の空気を前記熱交換器へ供給可能な排気部と、
前記熱交換器からの前記空気を前記局舎本体内へ供給可能な給気部とを備え、
前記局舎本体内の空気を前記排気部を介して前記熱交換器へ供給し、
前記熱交換器によって前記床下空間の空気と熱交換された前記局舎本体内の空気を、前記給気部を介して前記局舎本体内へ供給する通気路を形成し
前記熱交換器は、前記排気部と前記給気部に接続され、前記局舎本体の床部と前記局舎本体の設置面とから離間して配置された伝熱管を備えたことを特徴とする無線機器収納局舎。
【請求項2】
前記伝熱管に熱交換手段を備えたことを特徴とする請求項記載の無線機器収納局舎。
【請求項3】
前記熱交換器への太陽光を遮断する遮断手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線機器収納局舎。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置を備えた無線機器収納局舎に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、近年、携帯電話の普及に伴い携帯電話の電波を中継するための無線中継局舎が多数建設されている。このような無線中継局舎は無人化が進み、単に電波中継用の無線機器を設置するだけで中継局としての機能を果たすことから、こうした無人の無線機器収納局舎は、居住空間として快適性や環境設備を考慮する必要はないため、できるだけ建設コストを抑えた極力簡易な構造が望まれている。
【0003】
近年、携帯電話の普及あるいは携帯電話の多機能化などに伴って箱型ユニットに収容する無線機器が高出力化され、無線機器からの発熱量も増加してきている。このため、無線機器からの発熱によって無線機器収納局舎の室温が50度以上に達し、室外より室内が高くなる。特に夏季においては外気温の上昇と、無線機器の発熱によって室内の温度が上昇し、箱型ユニットの室温が外気温よりはるかに高くなってしまう。このような室温の上昇は、収容する無線機器には好ましい状況ではない。このため、室内の温度上昇を抑制するために、換気装置及び冷却用の空調装置などを配置しているものがあったが(特許文献1参照)、換気装置及び冷却用の空調装置に電力を必要としており、電力を消費せずに局舎の温度上昇を抑制する構造が求められていた。
【0004】
そこで上記の問題点を解決するものとして、室内空間の熱排気を天井裏空間に吸い上げて、パイプを通過させることで、パイプ周辺を流れる天井裏空間の空気と熱交換することにより、熱排気は冷排気へと変化して室内空間へと戻り、その冷排気により室内空間の温度を下げることで室内空間の冷却を行う無線機器収納局舎があった(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−210106号公報
【特許文献2】特許第4560842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の無線機器収納局舎は、降雪のある東日本での使用を想定して設計されたものであり、日本における東日本と西日本とでは、以下のように気象条件が異なっている。
【0007】
西日本は、東日本に対して日照時間・気温がいずれも長く・高いため、日照により温められた局舎の天部で熱交換を行うのは効率が悪い、という問題点があった。
【0008】
加えて台風シーズンには、頻繁にその影響下にさらされることから、強風対策についても、より一層、構造上の配慮が必要となり、熱交換にかかわる装置を局舎の天部に設置した場合に、局舎の天部の補強にコストがかかる、という問題点があった。
【0009】
また、西日本では、積雪による影響が少ないことから室内空間の排熱を局舎の屋根の融雪に利用する必要もないため、熱交換は局舎の天部にこだわる必要がなかった。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解消するものであり、電力を消費せずに局舎の温度上昇を抑制する無線機器収納局舎を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、局舎本体の床下空間に設置された熱交換器と、前記局舎本体内の空気を前記熱交換器へ供給可能な排気部と、前記熱交換器からの前記空気を前記局舎本体内へ供給可能な給気部とを備え、前記局舎本体内の空気を前記排気部を介して前記熱交換器へ供給し、前記熱交換器によって前記床下空間の空気と熱交換された前記局舎本体内の空気を、前記給気部を介して前記局舎本体内へ供給する通気路を形成し、前記熱交換器は、前記排気部と前記給気部に接続され、前記局舎本体の床部と前記局舎本体の設置面とから離間して配置された伝熱管を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項の発明は、前記伝熱管に熱交換手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項の発明は、前記熱交換器への太陽光を遮断する遮断手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、熱交換器を介して局舎本体内の空気と床下空間の空気とを熱交換させて、局舎本体内の機器によって暖められた空気の熱を放出して、局舎本体内部の温度を低下させることで、空調装置のように電力を消費せずに無線機器収納局舎の温度上昇を抑制することができる。また、局舎本体の床下空間は、通年曇天状態となることから輻射熱による熱交換器の温度上昇対策が不必要となる。また、熱交換器を局舎本体の床下空間に設置するため、熱交換器は強風から保護され、強風対策用の補強部材も軽減でき、部品点数の削減を図ることができる。さらに、熱交換器を床下空間に設置することで、局舎本体の天部の構成も簡単なものとすることができ、漏水等の不具合防止材も大きく減ることとなり、施工時の防水処理が行いやすくなる。また、熱交換器を床下空間に設置する際には足場の設置が不要であり、施工時の安全対策用の費用の削減を図ることができる。また、熱交換器に伝熱管を備えたことで、熱交換器を簡単な構造とし、熱交換器の設置を容易なものとするとともに、メンテナンス性を向上させる。また、伝熱管を局舎本体の床部から離間したことで、局舎本体の熱の影響を受けることなく、熱交換器を介して局舎本体内の暖められた空気と床下空間の冷たい空気とを熱交換することができる。
【0015】
請求項の発明によれば、複数の伝熱管内の空気と床下空間の冷たい空気との熱交換がより効果的に行われる。
【0016】
請求項の発明によれば、局舎本体の設置面からの照り返しにより床下空間へと照射される太陽光を遮断し、太陽光による熱交換器への熱の影響を抑制し、局舎本体内の空気と床下空間の冷たい空気との熱交換を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の無線機器収納局舎の一部切欠き正面図である。
図2】同上、無線機器収納局舎を底面側から見た横断面図である。
図3】同上、図1とは別の方向から見た無線機器収納局舎の縦断面図である。
図4】同上、伝熱管付近の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0019】
本実施例の局舎は、携帯電話などの電波を中継する収納庫たる無線機器収納局舎(以下、単に局舎という)である。この局舎の局舎本体1は、天井パネル2と、側壁パネル3と、床パネル4とを箱型に連結して構成されており、前記側壁パネル3の一側面5には、開口部6が形成されており、前記開口部6を開閉するための開閉扉7が設けられている。
【0020】
尚、床パネル4下部の少なくとも四隅とその中間部分には、床パネル4を局舎本体の設置面Gから所定間隔M有して支持する複数の脚部8を備えている。これによって、床パネル4下部と設置面Gとの間に通気性を有する床下空間9が形成される。
【0021】
局舎本体1内の空気を冷却する冷却装置としての熱交換器10は、床下空間9に設置されている。
【0022】
熱交換器10は、床下空間9に設置された複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18と、前記伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18の一側開口部と床パネル4の一方に形成された貫通孔からなる排気部19とを連通する中空箱型状の排気側エアチャンバー20と、前記伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18の他側開口部と床パネル4の他方に形成された貫通部からなる給気部21とを連通する中空箱形状の給気側エアチャンバー22とを備えている。
【0023】
複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18は、床パネル4の長手方向に対して平行に配設された断面矩形状の中空な角パイプからなる。ここで、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18は、熱伝導性に優れたアルミ製の管材とする。
【0024】
また、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18は、連結部材23を介して床パネル4の長手方向と直交する方向に対して、互いに間隔を形成して並設されている。連結部材22は、熱伝導性に優れたアルミ製の金属板とし、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18の上面に架設固定されるものとする。
【0025】
また、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18は、床パネル4の下面に取り付けられた吊下げ金具24,25に吊下げ保持され、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18は床パネル4と設置面Gからそれぞれ所定間隔L1、L2有して設置されている。
【0026】
吊下げ金具24,25は、一対の縦片部26,26と、一対の縦片部25,25の下部を連結して水平に形成された横片部27とを備えた側面視略上向きコ字型状に折り曲げ形成された金属板製とする。
【0027】
そして、吊下げ金具24,25は、一対の縦片部26,26の上部を床パネル4の下面に接続され、横片部27の長手方向を床パネル4の長手方向と直交する方向と平行に設置され、横片部27の上面に複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を所定間隔L3を有して並設され、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を一体的に吊下げ保持可能に備えている。
【0028】
吊下げ金具24,25は、床パネル4の長手方向に対して、後述する排気側ユニット31及び給気側ユニット32に対応して、少なくとも床パネル4の一側半分に一箇所と他側半分に一箇所ずつ備えているものとする。
【0029】
複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18の左右側面部と底面部の表面には、波板状のヒートシンク28が、ボルト又はビスからなる固定手段29によって取り付けられている。ここで、ヒートシンク28と固定手段29は熱伝導性に優れたアルミ等の金属製とする。
【0030】
ヒートシンク28は、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18の左右側面部と底面部の表面に対して、それぞれアルミ製の複数の波板部材30,30を多段に重ね合わせた多層構造とし、ヒートシンク28の表面積増加を図った構造としている。
【0031】
複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18は、中間部分で分割可能に備えており、分割された一方11A,12A,13A,14A,15A,16A,17A,18Aは排気側エアチャンバー20の排気部に接続されて連通するとともに、分割された他方11B,12B,13B,14B,15B,16B,17B,18Bは給気側エアチャンバー20の給気部に接続されて連通している。
【0032】
このように、複数の伝熱管の分割された一方11A,12A,13A,14A,15A,16A,17A,18Aと排気側エアチャンバーにより排気側ユニット31が構成されるとともに、複数の伝熱管の分割された他方11B,12B,13B,14B,15B,16B,17B,18Bと給気側エアチャンバー22により給気側ユニット32が構成される。
【0033】
尚、排気側ユニット31と給気側ユニット32は、複数の伝熱管の分割された一方11A,12A,13A,14A,15A,16A,17A,18Aと他方11B,12B,13B,14B,15B,16B,17B,18Bを接続することにより一体化可能に構成され、一体化した排気側ユニット31と給気側ユニット32により熱交換器10は構成される。
【0034】
排気部19と排気側エアチャンバー20は、中空角筒状の排気側ダクト33を介して連通しており、この排気側ダクト33内には、局舎本体1内の空気を排気側エアチャンバー20内へ送風する排気側ファンモータ34を備えている。
【0035】
給気部21と給気側エアチャンバー22は、中空角筒状の給気側ダクト35を介して連通しており、この給気側ダクト35内には、給気側エアチャンバー22内の空気を局舎本体1内へ送風する給気側ファンモータ36を備えている。
【0036】
尚、給気側ダクト35の給気側には、温度センサ37を備えている。側壁パネル3には、排気側ファンモータ34及び給気側ファンモータ36の制御を行う制御盤38と、排気側ファンモータ34及び給気側ファンモータ36を作動・停止させる温度T1,T2の設定を行う温度調節器39を備えている。そして、制御盤38の入力側に温度センサ37と温度調節器39が接続されるとともに、制御盤38の出力側に排気側ファンモータ34及び給気側ファンモータ36が接続される。
【0037】
複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18の外周部分には、遮断手段としての断熱材40が貼り付けられている。本実施例では、図2及び図3に示すように外側に設置された伝熱管11,18の外側面に断熱材40を貼り付けているが、照り返しで床下空間9に照射される太陽光を遮断するものであれば、遮断手段は断熱材に限らず、また、断熱材40の貼り方も本実施例に限られるものではない。
【0038】
以上の構成の本実施例の局舎の作用について述べるとする。
【0039】
最初に熱交換器10の設置方法について説明する。熱交換器10は、排気側ユニット31と給気側ユニット32に分離した状態で局舎まで運ばれる。
【0040】
そして、排気側ユニット31の複数の伝熱管の分割された一方11A,12A,13A,14A,15A,16A,17A,18Aを吊下げ金具24に保持させるとともに、排気側エアチャンバー20を排気側ダクト33を介して排気部19に接続させる。給気側ユニット32の複数の伝熱管の分割された他方11B,12B,13B,14B,15B,16B,17B,18Bを吊下げ金具25に保持させるとともに、給気側エアチャンバー22を給気側ダクト35を介して給気部21に接続させる。
【0041】
複数の伝熱管の分割された一方11A,12A,13A,14A,15A,16A,17A,18Aと他方11B,12B,13B,14B,15B,16B,17B,18Bを接続して、排気側エアチャンバー20と給気側エアチャンバー22との間が通気可能となると、局舎本体1内→排気部19→排気側エアチャンバー20→複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18→給気側エアチャンバー22→給気部21→局舎本体1内を連通する閉鎖的回路からなる通気路41が形成され、熱交換器10の設置が完了する。
【0042】
次に、熱交換器10の動作について説明する。温度センサ37の検知温度が予め温度調節器39によって設定された温度T1に達すると、制御盤38によって排気側ファンモータ34及び給気側ファンモータ36が作動する。
【0043】
排気側ファンモータ34及び給気側ファンモータ36が作動することで、局舎本体1内の空気が排気部19から排気側エアチャンバー20へと送られるとともに、給気側エアチャンバー22内の空気が給気部21を介して局舎本体1内へと送られ、通気路41では局舎本体1内→排気部19→排気側エアチャンバー20→複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18→給気側エアチャンバー22→給気部21→局舎本体1内の順に空気の流れが生じる。
【0044】
通気路41に前述の空気の流れが生じることで、局舎本体1内の無線機器等の電機機器H(以下、機器Hという)から発生する熱によって暖められた局舎本体1内の空気が排気部19から複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18内へ送られて、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を介して局舎本体1内の暖められた空気と床下空間9の冷たい空気とが熱交換される。
【0045】
そして、床下空間9の冷たい空気と熱交換されて冷やされた複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18内の空気は、給気部21から局舎本体1内へ送られ局舎本体1内を冷却する。
【0046】
そして、上述の熱交換器10の作用によって局舎本体1内の空気が冷やされ、局舎本体1内の温度が低下して温度センサ37の検知温度が予め温度調節器39によって設定された温度T2(T1>T2)以下になると、制御盤38によって排気側ファンモータ34及び給気側ファンモータ36が停止され、通気路41の空気の流れも止まる。
【0047】
このように、予め温度調節器39で設定しておいた温度T1、T2で排気側ファンモータ34及び給気側ファンモータ36の作動・停止を自動で行うことで、局舎本体1内の必要以上の冷却を防止し、排気側ファンモータ34及び給気側ファンモータ36にかかる消費電力を抑えることができる。
【0048】
ここで、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18の表面にヒートシンク28を備えたことで、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18の熱が表面積の大きいヒートシンク28へ伝達されて、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18内の空気と床下空間9の冷たい空気との熱交換がより効果的に行われる。
【0049】
さらに、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18、ヒートシンク28、および固定手段29を熱伝導性に優れたアルミ製とすることで、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18内の空気と床下空間9の冷たい空気との熱交換がより一層効果的に行われる。
【0050】
また、ヒートシンク28を多層構造とし、ヒートシンク28の表面積を増加させることで、ヒートシンク28の放熱効果を向上させることで、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18内の空気と床下空間9の冷たい空気との熱交換がより一層効果的に行われる。
【0051】
複数の伝熱管11,18の外側部分に断熱材40が貼り付けられることで、局舎本体1の設置面Gからの照り返しにより床下空間9へと照射される太陽光を遮断し、太陽光による複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18への熱の影響を抑制し、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18内の空気と床下空間9の冷たい空気との熱交換を効果的に行うことができる。
【0052】
また、脚部8により床パネル4下部と設置面Gとの間に形成された通気性を有する床下空間9に対して、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18は吊下げ金具24,25を介して床パネル4と設置面Gからそれぞれ所定間隔L1、L2有して設置されたことで、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18周囲の通気性が向上し、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18内の空気と床下空間9の冷たい空気との熱交換を効果的に行うことができる。
【0053】
以上のように本実施例は、請求項1に対応しており、局舎本体1の床下空間9に設置された熱交換器10と、前記局舎本体1内の空気を前記熱交換器10へ供給可能な排気部19と、前記熱交換器10からの前記空気を前記局舎本体1内へ供給可能な給気部21とを備え、前記局舎本体1内の空気を前記排気部19を介して前記熱交換器10へ供給し、前記熱交換器10によって前記床下空間9の空気と熱交換された前記局舎本体1内の空気を、前記給気部21を介して前記局舎本体1内へ供給する通気路41を形成している。
【0054】
この場合、熱交換器10を介して局舎本体1内の空気と床下空間9の空気とを熱交換させて、局舎本体1内の機器Hによって暖められた空気の熱を放出して、局舎本体1内部の温度を低下させることで、空調装置のように電力を消費せずに無線機器収納局舎1の温度上昇を抑制することができる。また、局舎本体1の床下空間9は、通年曇天状態となることから輻射熱による熱交換器10の温度上昇対策が不必要となる。また、熱交換器10を局舎本体1の床下空間9に設置するため、熱交換器10は強風から保護され、強風対策用の補強部材も軽減でき、部品点数の削減を図ることができる。さらに、熱交換器10を床下空間9に設置することで、局舎本体1の天部の構成も簡単なものとすることができ、漏水等の不具合防止材も大きく減ることとなり、施工時の防水処理が行いやすくなる。また、熱交換器10を床下空間9に設置する際には足場の設置が不要であり、施工時の安全対策用の費用の削減を図ることができる。
【0055】
また本実施例は請求項に対応しており、前記熱交換器10は、前記排気部19と前記給気部21に接続され、前記局舎本体1の床部である床パネル4から離間して配置された伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を備えたことにより、熱交換器10を簡単な構造とし、熱交換器10の設置を容易なものとするとともに、メンテナンス性を向上させる。また、伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を局舎本体1の床パネル4から離間したことで、局舎本体1の熱の影響を受けることなく、熱交換器10を介して局舎本体1内の暖められた空気と床下空間9の冷たい空気とを熱交換することができる。
【0056】
さらに本実施例は請求項に対応しており、前記伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18に熱交換手段としてのヒートシンク28を備えたことにより、複数の伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18内の空気と床下空間9の冷たい空気との熱交換がより効果的に行われる。
【0057】
また本実施例は請求項に対応しており、前記熱交換器10への太陽光を遮断する遮断手段としての断熱材40を備えたことにより、局舎本体1の設置面Gからの照り返しにより床下空間9へと照射される太陽光を遮断し、太陽光による熱交換器10への熱の影響を抑制し、局舎本体1内の空気と床下空間9の冷たい空気との熱交換を効果的に行うことができる。
【0058】
また、実施例上の効果として、前記遮断手段を断熱材40とすることにより、照り返しによる太陽光からの熱交換器10への熱の影響をさらに抑制し、局舎本体1内の空気と床下空間9の冷たい空気との熱交換をより効果的に行うことができる。
【0059】
また、前記伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を複数に分割可能に備え、分割した前記伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を前記床下空間9の中央で連結可能とするにより、伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を床下空間9に設置する際の取扱いが容易となり、熱交換器10設置の作業性の向上を図ることができる。
【0060】
また、伝熱管11,12,13,14,15,16,17,18を断面矩形状の中空な角パイプとすることで、吊下げ金具24,25への設置の際の収まりが良くなるとともに、ヒートシンク28の取付けが容易となる。
【0061】
尚、本発明は上記各実施例に記載の内容に限定されず、適宜変更可能である。例えば、ヒートシンクの形状や波板部材の重ね合わせる数、排気部の数や位置、給気部の数や位置、排気側エアチャンバーの形状や数、給気側エアチャンバーの形状や数、伝熱管の数や形状、温度センサや温度調節器の数や位置等は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 局舎本体
4 床パネル(床部)
9 床下空間
10 熱交換器
11,12,13,14,15,16,17,18 伝熱管
19 排気部
21 給気部
28 ヒートシンク(熱交換手段)
40 断熱材(遮断手段)
41 通気路
G 設置面
図1
図2
図3
図4