特許第5949681号(P5949681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949681
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   F04B39/00 106A
   F04B39/00 106Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-132615(P2013-132615)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7392(P2015-7392A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢野 順也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】高畑 順一
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−026320(JP,A)
【文献】 特開2008−184947(JP,A)
【文献】 特開2007−263061(JP,A)
【文献】 特開2005−344689(JP,A)
【文献】 特開2001−041499(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/080698(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
H05K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内には、冷媒を圧縮する圧縮部及び該圧縮部を駆動させる電動モータが収容されており、前記電動モータを駆動させるモータ駆動回路は、回路基板と、前記回路基板に電気接続されたコンデンサとを有しており、前記コンデンサは、樹脂材料製のコンデンサホルダに保持されている電動圧縮機であって、
前記コンデンサホルダは、
前記コンデンサの側面を覆う側壁と、
該側壁から前記回路基板側に向けて延在するとともに前記コンデンサの一端面を係止する第1係止片と、
前記側壁から前記回路基板とは反対側に向けて延在するとともに前記コンデンサの他端面を係止する第2係止片とを有しており、
前記第2係止片の延在方向の長さは、前記第1係止片の延在方向の長さよりも長くなっており、
前記第2係止片を弾性変形させて前記コンデンサを前記コンデンサホルダ内に収容させることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記第2係止片は、前記コンデンサに対して複数設けられており、
前記第1係止片は、前記複数の第2係止片の間に位置して設けられており、
前記第1係止片の幅は、前記第2係止片の幅よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記コンデンサは、当該コンデンサから突出されたリードを介して前記回路基板に電気接続されており、
前記側壁には、前記リードを前記回路基板の接続箇所へ案内する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記コンデンサは、略直方体形状であり、
前記側壁は、前記コンデンサの四面を囲う角筒状であり、
前記コンデンサの四面のうちの一面側に位置する前記側壁には、前記貫通孔が形成されており、
前記貫通孔が形成された前記側壁に連続し、且つ互いに対向する各側壁には、前記第1係止片及び前記第2係止片がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記コンデンサホルダは、前記ハウジングの一部を構成する取付部材に取り付けられており、
前記取付部材には、前記第2係止片と係合し、前記第2係止片の弾性変形量を制限する係合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒を圧縮する圧縮部、圧縮部を駆動させる電動モータ、及び電動モータを駆動させるモータ駆動回路を有する電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動圧縮機は、例えば特許文献1に開示されている。モータ駆動回路は、平板状の回路基板と、回路基板に電気接続された複数種類の電気部品等とから構成されている。電気部品としては、スイッチング素子、コンデンサ等が挙げられる。コンデンサは複数設けられる。各コンデンサはコンデンサホルダに保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−263061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような電動圧縮機においては、コンデンサが、振動等でコンデンサホルダから外れてしまうことが無いように、コンデンサホルダに対するコンデンサの耐振動性を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コンデンサホルダに対するコンデンサの耐振動性を向上させることができる電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電動圧縮機は、ハウジング内には、冷媒を圧縮する圧縮部及び該圧縮部を駆動させる電動モータが収容されており、前記電動モータを駆動させるモータ駆動回路は、回路基板と、前記回路基板に電気接続されたコンデンサとを有しており、前記コンデンサは、樹脂材料製のコンデンサホルダに保持されている電動圧縮機であって、前記コンデンサホルダは、前記コンデンサの側面を覆う側壁と、該側壁から前記回路基板側に向けて延在するとともに前記コンデンサの一端面を係止する第1係止片と、前記側壁から前記回路基板とは反対側に向けて延在するとともに前記コンデンサの他端面を係止する第2係止片とを有しており、前記第2係止片の延在方向の長さは、前記第1係止片の延在方向の長さよりも長くなっており、前記第2係止片を弾性変形させて前記コンデンサを前記コンデンサホルダ内に収容させる。
【0007】
これによれば、コンデンサをコンデンサホルダに挿入する際には、第2係止片がコンデンサに押圧されて弾性変形するため、コンデンサをコンデンサホルダに挿入し易くなっている。そして、コンデンサがコンデンサホルダ内に収容されると、第1係止片がコンデンサの一端面を係止するとともに、第2係止片が元の位置に復帰することで、第2係止片がコンデンサの他端面を係止する。これにより、コンデンサを、第1係止片と第2係止片とによって挟み込んだ状態でコンデンサホルダ内に保持することができるため、コンデンサホルダに対するコンデンサの耐振動性を向上させることができる。
【0008】
上記電動圧縮機において、前記第2係止片は、前記コンデンサに対して複数設けられており、前記第1係止片は、前記複数の第2係止片の間に位置して設けられており、前記第1係止片の幅は、前記第2係止片の幅よりも広いことが好ましい。
【0009】
これによれば、第2係止片がコンデンサに対して複数設けられているため、第2係止片がコンデンサに対して一つ設けられている場合に比べると、コンデンサを保持する保持力を向上させることができる。また、第1係止片の延在方向の長さは、第2係止片の延在方向の長さよりも短く、第1係止片の幅は、第2係止片の幅よりも広いため、第1係止片は、第2係止片よりも弾性変形し難い。よって、コンデンサが第2係止片側からコンデンサホルダ内に挿入される際に、第1係止片が弾性変形し難いため、コンデンサが第1係止片側へ押し出されることを防止することができ、コンデンサの一端面を第1係止片により確実に係止することができる。
【0010】
上記電動圧縮機において、前記コンデンサは、当該コンデンサから突出されたリードを介して前記回路基板に電気接続されており、前記側壁には、前記リードを前記回路基板の接続箇所へ案内する貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0011】
これによれば、コンデンサを第2係止片側からコンデンサホルダ内に挿入する際に、リードを貫通孔によって回路基板の接続箇所へ案内することができる。その結果、リードと回路基板との接続作業を容易に行うことができる。
【0012】
上記電動圧縮機において、前記コンデンサは、略直方体形状であり、前記側壁は、前記コンデンサの四面を囲う角筒状であり、前記コンデンサの四面のうちの一面側に位置する前記側壁には、前記貫通孔が形成されており、前記貫通孔が形成された前記側壁に連続し、且つ互いに対向する各側壁には、前記第1係止片及び前記第2係止片がそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0013】
これによれば、貫通孔と第1係止片及び第2係止片とを異なる側壁に形成しているため、貫通孔と第1係止片及び第2係止片とを一つの側壁に形成する場合に比べると、コンデンサをコンデンサホルダ内に挿入し易くすることができる。また、第1係止片及び第2係止片は、互いに対向する各側壁にそれぞれ設けられているため、コンデンサを保持する保持力をさらに向上させることができる。
【0014】
上記電動圧縮機において、前記コンデンサホルダは、前記ハウジングの一部を構成する取付部材に取り付けられており、前記取付部材には、前記第2係止片と係合し、前記第2係止片の弾性変形量を制限する係合部が形成されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、係合部によって第2係止片の弾性変形量を制限することで、コンデンサホルダのコンデンサの保持力をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、コンデンサホルダに対するコンデンサの耐振動性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態における電動圧縮機を示す部分側断面図。
図2】フィルムコンデンサが保持されたコンデンサホルダ、取付ベース及び回路基板を示す分解斜視図。
図3】フィルムコンデンサ及びコンデンサホルダの縦断面図。
図4】フィルムコンデンサを収容部に対して挿入している状態を示す縦断面図。
図5】別の実施形態におけるフィルムコンデンサ及びコンデンサホルダの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。なお、電動圧縮機は車両に搭載されている。
図1に示すように、電動圧縮機10のハウジングHは、有蓋筒状をなすアルミニウム製(金属材料製)の吐出ハウジング11と、有底筒状をなすアルミニウム製(金属材料製)の吸入ハウジング12と、有蓋筒状をなすアルミニウム製(金属材料製)のカバー13とを有している。吸入ハウジング12は、吐出ハウジング11に接合されている。吸入ハウジング12の周壁には、図示しない吸入ポートが形成されるとともに、吸入ポートは図示しない外部冷媒回路に接続されている。吐出ハウジング11には吐出ポート14が形成されるとともに、吐出ポート14は外部冷媒回路に接続されている。吸入ハウジング12内には、冷媒を圧縮するための圧縮部15(図1において破線で示す)と、圧縮部15を駆動するための電動モータ16とが収容されている。なお、本実施形態では、特に図示は省略するが、圧縮部15は、吸入ハウジング12内に固定された固定スクロールと、固定スクロールに対向配置された可動スクロールとで構成されている。
【0019】
吸入ハウジング12の内周面にはステータ17(固定子)が固定されるとともに、ステータ17は、吸入ハウジング12の内周面に固定されたステータコア17aのティース(図示せず)にコイル17bが巻回されて構成されている。また、吸入ハウジング12内には、回転軸19がステータ17内に挿通された状態で回転可能に支持されるとともに、この回転軸19には、ロータ18(回転子)が止着されている。
【0020】
吸入ハウジング12の底壁12aには、カバー13が取り付けられている。吸入ハウジング12とカバー13との間には、板状であるアルミニウム製(金属材料製)の取付ベース31が介在されている。取付ベース31は、吸入ハウジング12の底壁12aに取り付けられており、吸入ハウジング12と熱的に結合している。よって、取付ベース31は、ハウジングHの一部を構成する取付部材に相当する。
【0021】
そして、カバー13と取付ベース31とによってハウジングH内に収容部13aが区画されている。収容部13a内には、電動モータ16を駆動させるためのモータ駆動回路20が収容されている。本実施形態では、圧縮部15、電動モータ16及びモータ駆動回路20がこの順序で回転軸19の軸線Lが延びる方向(軸方向)に沿って並んで配置されている。
【0022】
モータ駆動回路20によって制御された電力が電動モータ16に供給されることにより、制御された回転速度でロータ18と共に回転軸19が回転するとともに、圧縮部15が駆動されるようになっている。この圧縮部15の駆動により、外部冷媒回路から吸入ポートを介した吸入ハウジング12内への冷媒の吸入、吸入ハウジング12内に吸入された冷媒の圧縮部15による圧縮、及び圧縮された冷媒の吐出ポート14を介した外部冷媒回路への吐出が行われるようになっている。
【0023】
モータ駆動回路20は、平板状の回路基板21と、回路基板21に電気接続された複数種類の電気部品等とから構成されている。回路基板21は、回転軸19の軸方向に回路基板21における電気部品等が搭載される搭載面が直交するように収容部13aに収容されている。電気部品としては、例えば、コンデンサとしてのフィルムコンデンサ22が挙げられる。モータ駆動回路20は、フィルムコンデンサ22を複数有する。各フィルムコンデンサ22は、その外郭が扁平略直方体形状になっている。各フィルムコンデンサ22は、リード22aを有しており、リード22aを介して回路基板21に電気接続されている。
【0024】
各フィルムコンデンサ22は、樹脂材料製のコンデンサホルダ23により保持されている。コンデンサホルダ23は、各フィルムコンデンサ22を保持した状態で、取付ベース31における吸入ハウジング12の底壁12aとは反対側に取り付けられる。
【0025】
取付ベース31における吸入ハウジング12の底壁12aとは反対側の面には、ボス部31fが複数(図1では一つの図示)突設されている。そして、カバー13に挿通されたボルトB1がボス部31fにねじ込まれることで、取付ベース31がカバー13に取り付けられる。これにより、カバー13、取付ベース31及びモータ駆動回路20がモジュール化される。そして、カバー13、取付ベース31及びモータ駆動回路20がモジュール化された状態において、カバー13がボルトB2によって吸入ハウジング12に取り付けられる。
【0026】
図2に示すように、コンデンサホルダ23には、各フィルムコンデンサ22の側面を覆う側壁23aが形成されている。側壁23aは、フィルムコンデンサ22の四面を囲う角筒状である。そして、フィルムコンデンサ22の四面のうちの一面側に位置する側壁231aには、フィルムコンデンサ22のリード22aを回路基板21の接続箇所へ案内する貫通孔23hが形成されている。また、貫通孔23hが形成された側壁231aに連続し、且つ互いに対向する各側壁232a,233aには、第1係止片41及び第2係止片42がそれぞれ設けられている。
【0027】
第1係止片41は、側壁23aから回路基板21側に向けて延在するとともに各フィルムコンデンサ22の一端面221を係止している。第2係止片42は、側壁23aから回路基板21とは反対側に向けて延在するとともに各フィルムコンデンサ22の他端面222を係止している。第2係止片42の延在方向の長さL2は、第1係止片41の延在方向の長さL1よりも長くなっている。第2係止片42は弾性変形可能になっている。
【0028】
本実施形態では、一つのフィルムコンデンサ22に対して、第1係止片41が二つ設けられるとともに、第2係止片42が四つ設けられている。具体的には、互いに対向する各側壁232a,233aには、第1係止片41が一つ及び第2係止片42が二つずつ設けられている。また、第1係止片41は、二つの第2係止片42の間に位置して設けられている。第1係止片41の幅H1は、第2係止片42の幅H2よりも広くなっている。
【0029】
図3に示すように、各第1係止片41は、コンデンサホルダ23の側壁23aからL字状に突設している。第2係止片42は、コンデンサホルダ23の側壁23aからL字状に延びており、その先端42eが鉤状に形成されている。
【0030】
図2に示すように、取付ベース31のフィルムコンデンサ22側の面には、係合部としての凹部51が形成されている。凹部51は、第2係止片42と係合し、第2係止片42の弾性変形量を制限している。
【0031】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、フィルムコンデンサ22をコンデンサホルダ23に挿入する際には、第2係止片42がフィルムコンデンサ22に押圧されて弾性変形するため、フィルムコンデンサ22をコンデンサホルダ23に挿入し易くなっている。そして、フィルムコンデンサ22がコンデンサホルダ23内に収容されると、第1係止片41がフィルムコンデンサ22の一端面221に係止する。さらに、第2係止片42が元の位置に復帰することで、第2係止片42の先端42eがフィルムコンデンサ22の他端面222に係止する。これにより、フィルムコンデンサ22が、第1係止片41と第2係止片42とによって挟み込まれた状態でコンデンサホルダ23内に保持されるため、コンデンサホルダ23に対するフィルムコンデンサ22の耐振動性が向上する。よって、車両が走行中に振動しても、各フィルムコンデンサ22がコンデンサホルダ23から外れてしまうことが防止される。
【0032】
また、各フィルムコンデンサ22が第2係止片42側からコンデンサホルダ23内に挿入される際に、リード22aが貫通孔23hによって回路基板21の接続箇所へ案内される。その結果、リード22aと回路基板21との接続作業を容易に行うことが可能となる。
【0033】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)コンデンサホルダ23は、その側壁23aから回路基板21側に向けて延在するとともにフィルムコンデンサ22の一端面221を係止する第1係止片41と、側壁23aから回路基板21とは反対側に向けて延在するとともにフィルムコンデンサ22の他端面222を係止する第2係止片42とを有している。第2係止片42の延在方向の長さL2は、第1係止片41の延在方向の長さL1よりも長くなっている。そして、第2係止片42を弾性変形させてフィルムコンデンサ22をコンデンサホルダ23内に収容させる。これによれば、フィルムコンデンサ22をコンデンサホルダ23に挿入する際には、第2係止片42がフィルムコンデンサ22に押圧されて弾性変形するため、フィルムコンデンサ22をコンデンサホルダ23に挿入し易くなっている。そして、フィルムコンデンサ22がコンデンサホルダ23内に収容されると、第1係止片41がフィルムコンデンサ22の一端面221を係止するとともに、第2係止片42が元の位置に復帰することで、第2係止片42がフィルムコンデンサ22の他端面222を係止する。これにより、フィルムコンデンサ22を、第1係止片41と第2係止片42とによって挟み込んだ状態でコンデンサホルダ23内に保持することができるため、コンデンサホルダ23に対するフィルムコンデンサ22の耐振動性を向上させることができる。
【0034】
(2)第2係止片42は、フィルムコンデンサ22に対して複数設けられており、第1係止片41は、複数の第2係止片42の間に位置して設けられており、第1係止片41の幅H1は、第2係止片42の幅H2よりも広い。これによれば、第2係止片42がフィルムコンデンサ22に対して複数設けられているため、第2係止片42が、一つのフィルムコンデンサ22に対して一つ設けられている場合に比べると、フィルムコンデンサ22を保持する保持力を向上させることができる。また、第1係止片41の延在方向の長さL1は、第2係止片42の延在方向の長さL2よりも短く、第1係止片41の幅H1は、第2係止片42の幅H2よりも広いため、第1係止片41は、第2係止片42よりも弾性変形し難い。よって、フィルムコンデンサ22が第2係止片42側からコンデンサホルダ23内に挿入される際に、第1係止片41が弾性変形し難いため、フィルムコンデンサ22が第1係止片41側へ押し出されることを防止することができ、フィルムコンデンサ22の一端面221を第1係止片41により確実に係止することができる。
【0035】
(3)コンデンサホルダ23の側壁23aに、リード22aを回路基板21の接続箇所へ案内する貫通孔23hを形成した。これによれば、フィルムコンデンサ22を第2係止片42側からコンデンサホルダ23内に挿入する際に、リード22aを貫通孔23hによって回路基板21の接続箇所へ案内することができる。その結果、リード22aと回路基板21との接続作業を容易に行うことができる。
【0036】
(4)コンデンサホルダ23におけるフィルムコンデンサ22の四面のうちの一面側に位置する側壁231aに貫通孔23hを形成し、貫通孔23hが形成された側壁231aに連続し、且つ互いに対向する各側壁232a,233aに、第1係止片41及び第2係止片42をそれぞれ設けた。これによれば、貫通孔23hと第1係止片41及び第2係止片42とを異なる側壁23aに形成しているため、貫通孔23hと第1係止片41及び第2係止片42とを一つの側壁23aに形成する場合に比べると、フィルムコンデンサ22をコンデンサホルダ23内に挿入し易くすることができる。また、第1係止片41及び第2係止片42は、互いに対向する各側壁232a,233aにそれぞれ設けられているため、フィルムコンデンサ22を保持する保持力をさらに向上させることができる。
【0037】
(5)取付ベース31に、第2係止片42と係合し、第2係止片42の弾性変形量を制限する凹部51を形成した。これによれば、凹部51によって第2係止片42の弾性変形量を制限することで、コンデンサホルダ23のフィルムコンデンサ22の保持力をさらに向上させることができる。
【0038】
(6)第2係止片42は、弾性変形可能になっているため、第1係止片41に比べて剛性が低い。よって、第2係止片42におけるフィルムコンデンサ22に対する保持力は、第1係止片41におけるフィルムコンデンサ22に対する保持力よりも小さい。そこで、本実施形態では、一つのフィルムコンデンサ22に対して、第2係止片42を四つ設けた。これによれば、フィルムコンデンサ22の他端面222側でフィルムコンデンサ22を保持する箇所を増やすことができるため、フィルムコンデンサ22に対する保持力を確保することができる。
【0039】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図5に示すように、互いに対向する各側壁232a,233aに、第1係止片41を二つずつ設けてもよい。なお、第1係止片41及び第2係止片42の数は特に限定されるものではない。
【0040】
○ 実施形態において、第1係止片41及び第2係止片42が、互いに対向する各側壁232a,233aに設けられていなくてもよい。例えば、第1係止片41及び第2係止片42が、貫通孔23hが形成された側壁231aに設けられていてもよい。また、例えば、第1係止片41及び第2係止片42の一方が、貫通孔23hが形成された側壁231aに設けられていてもよい。
【0041】
○ 実施形態において、例えば、取付ベース31に突部を形成し、突部と第2係止片42とを係合させることで、第2係止片42の弾性変形量を制限するようにしてもよい。この場合、突部は係合部に相当する。
【0042】
○ 実施形態において、例えば、第1係止片41の幅H1が、第2係止片42の幅H2と同じであってもよい。また、第1係止片41の幅H1が、第2係止片42の幅H2よりも狭くてもよい。
【0043】
○ 実施形態において、取付ベース31を削除してもよい。そして、コンデンサホルダ23が、吸入ハウジング12の底壁12aに取り付けられていてもよい。この場合、吸入ハウジング12の底壁12aは、コンデンサホルダ23が取り付けられる取付部材に相当する。さらに、底壁12aのコンデンサホルダ23側の面に凹部51を形成してもよい。
【0044】
○ 実施形態において、フィルムコンデンサ22の数は、特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、コンデンサとして、例えば電解コンデンサを用いてもよい。
【0045】
○ 実施形態において、例えば、モータ駆動回路20が回転軸19の径方向外側に配置されていてもよい。
○ 実施形態において、圧縮部15は、例えば、ピストンタイプやベーンタイプ等であってもよい。
【0046】
○ 実施形態において、電動圧縮機10を、車両以外の空調装置に用いてもよい。
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記コンデンサはフィルムコンデンサであることが好ましい。
【0047】
(ロ)前記電動モータを構成するロータと一体的に回転する回転軸が前記ハウジング内に収容されており、前記圧縮部、前記電動モータ及び前記モータ駆動回路がこの順序で前記回転軸の軸方向に沿って並んで配置されていることが好ましい。
【0048】
(ハ)前記電動圧縮機は車両に搭載されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
H…ハウジング、10…電動圧縮機、15…圧縮部、16…電動モータ、18…ロータ、19…回転軸、20…モータ駆動回路、21…回路基板、22…コンデンサとしてのフィルムコンデンサ、22a…リード、23…コンデンサホルダ、23a,231a,232a,233a…側壁、23h…貫通孔、31…取付部材に相当する取付ベース、41…第1係止片、42…第2係止片、51…係合部としての凹部、221…一端面、222…他端面。
図1
図2
図3
図4
図5