(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記割り当て手段は、画像形成に係る条件に対する視認性が高い程大きなメモリー割当比率で前記複数色の画像データに対する閾値マトリクスへのメモリーを割り当てることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーやインクを用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置では、中間調を表現するために、スクリーン処理によりハーフトーン画像が形成されている。このスクリーン処理としては、ビットマップ画像の画素値と閾値マトリクスで規定された閾値との大小関係に基づいて二値化する組織的ディザ法が広く用いられている。
【0003】
組織的ディザ法には、階調に応じて網点ドットのサイズを変化させるAM変調(網点スクリーン)と、打点する網点ドットの数(周波数)を変化させるFM変調(FMディザ法)とがあり、画像形成には、それぞれ用いられている。しかしながら、これらを用いる画像形成装置では、画像形成に係る特性、特に、記録媒体の搬送方向(副走査方向)とその垂直方向(主走査方向)への出力に係る特性の違いにより等方的に各画素の色点(ドット)が出力されるとは限らない。従って、閾値マトリクスにおける閾値の配列により、特定の位置や方向にまとまって網点が潰れたり途切れたりする部分が生じる。閾値マトリクスは、通常、形成対象の画像データに対して繰り返しタイル状に適用されるので、その結果、ディザマトリクスの適用周期で濃淡の非一様性が繰り返し生じて、出力画像において人工的な模様が視認されるという問題(アーティファクト)がある。
【0004】
この問題に対し、特許文献1では、実測された主走査方向への細線の線幅と副走査方向への細線の線幅との比に応じた周波数比でディザマトリクスの主走査方向及び副走査方向への閾値の配列を設定して網点の潰れや中抜けが周期的に視認されるのを低減させたり、カラー出力の各色について、ディザマトリクスのサイズを互いに異ならせて各色の出力の重なりパターンが毎周期繰り返されないようにしたりする技術が開示されている。
【0005】
一方、周期的に現れる模様は、種々の条件により目立ち具合(模様の視認性の高さ)が異なる。この種々の条件の一つとして、模様の空間周期への依存性がある。従って、従来、ディザマトリクスのサイズを適宜に調整することで、視認性を低減する技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなアーティファクトの視認性は、上述の種々の条件の組み合わせにより変化し得る。そして、従来の構成では、閾値マトリクスのサイズに対応したメモリーの割当量が固定されており、柔軟且つ容易に閾値マトリクスを設定することが困難であるという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、画像形成の状況に応じて柔軟且つ適切に各色の画像に対する閾値マトリクスへのメモリー割り当てを行うことの出来る画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
出力画像に係る複数色の画像データに対してそれぞれ閾値マトリクスを用いたスクリーン処理を行うための前記閾値マトリクスを設定する画像処理装置であって、
前記複数色の画像データのそれぞれに対して用いられる前記閾値マトリクスを、当該閾値マトリクスへの合計メモリー割り当て量が所定の上限サイズ以下となる範囲で各閾値マトリクスに配分して割り当てる割り当て手段と、
前記割り当ての量に応じたサイズで前記閾値マトリクスを設定する設定手段と、
前記設定された前記複数の閾値マトリクスを各々割り当てられたメモリー領域に記憶する記憶手段と
を備
え、
前記割り当て手段は、画像形成に係る条件に対して最も視認性が高い色の画像に対する閾値マトリクスへのメモリーの割当量が、前記複数色の画像に対する閾値マトリクスの中で最大となるように前記複数の閾値マトリクスへのメモリー割当量を設定する
ことを特徴としている。
【0012】
請求項
2記載の発明は、請求項
1記載の画像処理装置において、
前記割り当て手段は、画像形成に係る条件に対する視認性が高い程大きなメモリー割当比率で前記複数色の画像データに対する閾値マトリクスへメモリーを割り当てることを特徴としている。
【0013】
請求項
3記載の発明
は、
出力画像に係る複数色の画像データに対してそれぞれ閾値マトリクスを用いたスクリーン処理を行うための前記閾値マトリクスを設定する画像処理装置であって、
前記複数色の画像データのそれぞれに対して用いられる前記閾値マトリクスを、当該閾値マトリクスへの合計メモリー割り当て量が所定の上限サイズ以下となる範囲で各閾値マトリクスに配分して割り当てる割り当て手段と、
前記割り当ての量に応じたサイズで前記閾値マトリクスを設定する設定手段と、
前記設定された前記複数の閾値マトリクスを各々割り当てられたメモリー領域に記憶する記憶手段と、
ユーザーの入力操作を受け付ける操作手段
と、
を備え、
前記割り当て手段は、当該操作手段により入力されたサイズに基づいて前記閾値マトリクスのサイズを定めて当該閾値マトリクスへのメモリーを割り当てる
ことを特徴としている。
【0014】
請求項
4記載の発明
は、
出力画像に係る複数色の画像データに対してそれぞれ閾値マトリクスを用いたスクリーン処理を行うための前記閾値マトリクスを設定する画像処理装置であって、
前記複数色の画像データのそれぞれに対して用いられる前記閾値マトリクスを、当該閾値マトリクスへの合計メモリー割り当て量が所定の上限サイズ以下となる範囲で各閾値マトリクスに配分して割り当てる割り当て手段と、
前記割り当ての量に応じたサイズで前記閾値マトリクスを設定する設定手段と、
前記設定された前記複数の閾値マトリクスを各々割り当てられたメモリー領域に記憶する記憶手段と、
を備え、
前記設定手段は、前記閾値マトリクスの解像度を前記画像データの画像形成に係る解像度以下とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に従うと、画像形成の状況に応じて柔軟且つ適切に各色の画像に対する閾値マトリクスへのメモリー割り当てを行うことが出来るという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【0018】
画像形成装置100は、制御部11と、記憶部12と、操作部13(操作手段)と、表示部14と、通信部15と、読取部16と、画像処理部17と、画像メモリー18と、画像形成部19などを備える。
【0019】
制御部11は、画像形成装置100の各部の動作を統轄制御する。制御部は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)を備え、記憶部12に記憶されている各種制御プログラムを読み出して、制御動作に係る各種演算処理を行う。例えば、制御部11は、画像メモリー18に入力記憶された画像データの画像処理を画像処理部17に行わせ、当該処理された画像データを用いて画像形成部19により画像を形成させる。
【0020】
記憶部12は、制御部11が読み取り可能なプログラム、データや設定などを記憶している。記憶部12としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリー、ROM(Read Only Memory)等の読み書き可能な記憶媒体を一又は複数用いることが出来る。
【0021】
操作部13は、表示部14と一体に構成されたタッチセンサーや、操作キーなどを備え、ユーザーの表示画面へのタッチ操作や操作キーの押下操作に応じた操作信号を制御部11に出力することでユーザーの入力操作を受け付ける。
【0022】
表示部14は、制御部11からの制御信号に従って操作画面やステータスなどを表示する。表示部14には、特には限られないが、例えば、ドットマトリクス方式による表示を行う液晶ディスプレイ(LCD)が用いられる。
【0023】
通信部15は、制御部11からの指示に従い、ネットワーク上のサーバー等と通信するためのインターフェイスであり、例えば、ネットワークカードや、無線LAN(IEEE802.11nなど)などによる無線通信用のモジュールである。通信部15は、コンピューターやプリンターサーバーなどの外部機器から画像形成対象の画像データやプリントジョブに係る設定データを受信し、ステータス信号などを出力する。
【0024】
読取部16は、原稿を所定の解像度で読み取って(スキャン)、当該解像度のビットマップ形式の画像データをR(赤)、G(緑)、B(青)の3色(3波長)でそれぞれ生成する。生成された画像データは、画像メモリー18に出力されて保持される。
【0025】
画像処理部17は、取得された画像データを画像形成部19による画像形成に適した形に変換する各種処理を行う。画像処理部17は、例えば、外部から取得された画像形成対象画像のPDL(Page Description Language)データを解析して中間データを作成し、当該中間データに基づいてC(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の各色によるビットマップ形式の画像データ(ラスター画像データ)に変換する処理(ラスタライズ処理)を行う。また、画像処理部17は、スクリーン処理部171と、ディザマトリクス設定部172(割り当て手段、設定手段)と、ディザマトリクス記憶部173(記憶手段)とを備え、ラスター画像データに対し、更に、ディザマトリクス(閾値マトリクス)を用いて画像形成部19に応じた中間調処理を行い、出力用画像データに変換する処理を行う。
【0026】
画像処理部17は、専用のCPU、RAM、HDDといった読み書き可能な記憶部及び論理回路を備え、スクリーン処理部171及びディザマトリクス設定部172の処理は、このCPUなどを用いて行われる。なお、これらの処理は、制御部11のCPU及びRAMが他の処理と共に行うこととしても良い。また、ディザマトリクス設定部172の処理は、画像処理部17の記憶部に記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することで、ソフトウェア制御により行われる。
【0027】
スクリーン処理部171は、予め設定されたディザマトリクスを用いた組織的ディザ法によるハーフトーン処理を行って出力画像を二値データに変換する。ディザマトリクスのデータは、ディザマトリクス設定部172の動作に基づいて生成、または記憶部から読み出されてディザマトリクス記憶部173に記憶される。
【0028】
画像形成部19は、スクリーン処理がなされたラスター画像データに基づき、記録媒体上に画像を形成する。
具体的には、画像形成部19は、C、M、Y、Kの各色についてそれぞれ露光部、現像部、及び感光体の組み合わせを備えている。露光部は、帯電し、回転する感光体上を光走査して、画像データに基づく光量で感光体の各画素に対応する部分を露光させて静電潜像を形成する。現像部は、感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する。このようにして4つの感光体上に形成された各色の画像は、中間転写ベルト等を介して記録媒体上に重ねて転写され、定着装置により定着処理がなされる。このとき、露光部の出力する光ビームが必ずしも等方的に感光体を露光させることが出来ないことなどから、形成されるハーフトーン画像に僅かなムラが生じる場合がある。
【0029】
次に、本実施形態の画像形成装置100におけるディザマトリクスの設定について説明する。この画像形成装置100のスクリーン処理部171では、C、M、Y、K各色のラスター画像に対して各々別個に設定されたディザマトリクスによりスクリーン処理が行われる。C、M、Y、K各色の画像に対応したディザマトリクスは、ディザマトリクス記憶部173にまとめて記憶されている。ディザマトリクス記憶部173は、高速読み出しが可能なメモリーであり、ここではRAMである。
【0030】
ディザマトリクス記憶部173の記憶容量は、4つのディザマトリクスの格納に必要な容量に対応した固定量(上限サイズ)となっており、4つのディザマトリクスの合計サイズが当該固定量以下となる範囲で各ディザマトリクスにメモリーを任意の割合で適宜割り当てて内容を変更することが可能となっている。
【0031】
各色の画像に対するディザマトリクスのサイズは、スクリーン処理がなされた各色の画像におけるアーティファクトが何れも認識され難いように設定される。
一般に、人間の目によって認識されやすい空間構造の周期長がある。このような周期長を示すモデル式としては、視覚伝達関数(VTF)が用いられている。本実施形態で用いられるモデル式では、模様の視認しやすさ(視認性)は、観察者から空間構造までの距離l(mm)と模様の空間周波数f(mm
−1)により、式(1)のように求められる。
VTF=5.05×exp(−0.138×πlf/180)×(1−exp(−0.1×πlf/180)…式(1)
観察者が記録媒体であるA4以下の紙面を観察する場合の平均的な距離に相当する300mmを距離lとすると、VTFは、空間周波数fが約1(mm
−1)で極大となり、空間周波数f(空間周期1/f)がこれより短く又は長くなると、VTFが低下する。
【0032】
1200dpi(dot per inch)の画像が出力される場合、ディザ周期が64ピクセルとすると、この長さは1.35mmであるので、ディザ周期が64ピクセルよりも増加するほど、即ち、空間周波数fが小さくなるほどディザパターンに係る模様が視認し難くなる。従って、ディザマトリクスのサイズを視認性が高い色程大きく設定することで、視認性が高い色のディザパターンに係る模様をより認識され難くし、視認性が低い色については、ディザマトリクスのサイズをあまり大きくしなくても、視認性が高い色と同等程度にディザパターンに係る模様が容易には認識されない。
【0033】
この画像形成装置100のディザマトリクス設定部172では、背景色(通常では、白色)に対して明度、彩度及び色相の差が大きい色については、ディザマトリクスのサイズが他の色よりも大きく設定される。ここでは、C、M、Yの各色と比較して、K色の明度差が最も大きいので、K色のディザマトリクスのサイズが大きく設定される。また、Y色の明度差が最も小さいので、このY色画像に対するディザマトリクスのサイズを他の色の画像に対するディザマトリクスより小さくしても良い。
【0034】
ここで、画像形成部19が出力可能な画像解像度が1200dpiより大きい場合、例えば、2400dpiであっても、ディザマトリクスは、スクリーン処理において各成分を1200dpiの解像度で適用させるよう構成することが出来る。このように、ディザマトリクスの解像度を出力解像度以下に設定することで、ディザパターンに係る出力ムラが目立たないようにすることも可能である。
【0035】
図2は、ディザマトリクス記憶部173に記憶された各色の画像に対するディザマトリクスへのメモリーの割り当て量の割合を示す図の例である。
【0036】
この例では、視認性が他のC、M、Y3色よりも相対的に高いK色の画像に対するディザマトリクスへのメモリーの割当量、即ち、サイズが、C、M、Y3色の画像にそれぞれ対応するディザマトリクスへのメモリーの割当量(サイズ)の4倍となっている。即ち、各ディザマトリクスが正方行列である場合、K色の画像に対するディザマトリクスの行数及び列数が他の3色の画像に対するディザマトリクスの行数及び列数のそれぞれ2倍になっている。例えば、C、M、Y3色の画像に対して用いられるディザマトリクスを256×256の行列とし、K色の画像に対して用いられるディザマトリクスを512×512の行列として生成し、ディザマトリクス記憶部173に記憶させることが出来る。
なお、ここでは、ディザマトリクスのサイズを2の冪乗とすることで効率良くディザマトリクスの設定を行っているが、各ディザマトリクスのサイズは、2の冪乗に限られる必要はない。
【0037】
YMCK各色の視認性の高低は、背景色の設定などに基づいて変化し得る。即ち、画像を形成する記録媒体の色が白色ではない場合、例えば、暗色系の場合には、背景色に対するK色の画像の視認性が大きく低下する一方で、背景色に対するY色の画像の視認性が大きく向上する。また、画像形成部19が長期間に亘って使われると、当該使用に応じて各色の視認性が変化していく。
このディザマトリクス設定部172は、一時的又は長期的な視認性の変化に応じて各色の画像に対するディザマトリクスへのメモリー量割り当て比を変更しながら、設定を更新していくことが出来る。
【0038】
また、更に、YMCK各色の視認性は、画像形成部19の特性やトナーの種別によっても異なる。従って、画像形成装置100の出荷前試験時や修理後などにおいて、画像形成部19に応じたディザマトリクスのサイズを各々操作部13により直接入力して、当該サイズに応じたメモリーをそれぞれ割り当ててディザマトリクスを生成又は読み出し、記憶させてから出荷することも出来る。
【0039】
上述のように、画像の出力条件に応じて各ディザマトリクスへのメモリー割当量を適切に設定するには、直接ユーザーがサイズを指定して入力する他、記録媒体の背景色に係るパラメーターや画像形成部19の使用履歴を示すパラメーター、例えば、各色の画像形成ユニットにおける使用回数を計数するカウンターの値を取得して、予め定められた基準量に対して所定の重み付けで増減させていくことが出来る。これらの場合、記録媒体の背景色に係るパラメーターは、例えば、ユーザーによって設定された背景色に基づいて画像処理部17のCPUが算出することが出来る。また、使用履歴を示すパラメーターは、画像形成部19や画像処理部17が保持するデータが所定の間隔で自動的に取得されて、ディザマトリクスへのメモリー割り当て量の配分に反映させることが出来る。
【0040】
図3は、ディザマトリクス設定部172(画像処理部17のCPU)によるディザマトリクス設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0041】
このディザマトリクス設定処理は、画像処理部17の記憶部から読み出されたディザマトリクス設定プログラムが起動されることで開始される。
ディザマトリクス設定処理が開始されると、画像処理部17のCPUは、先ず、各ディザマトリクスサイズの直接入力がなされたか否かを判別する(ステップS201)。ディザマトリクスサイズの直接入力が成されたと判別された場合には(ステップS201で“YES”)、CPUは、当該入力されたディザマトリクスのサイズを取得する(ステップS202)。それから、CPUの処理は、ステップS209に移行する。
【0042】
ディザマトリクスサイズの直接入力がなされていないと判別された場合には(ステップS201で“NO”)、CPUは、画像形成が行われる記録媒体の背景色の設定があったか否かを判別する(ステップS203)。背景色の設定があったと判別された場合には(ステップS203で“YES”)、CPUは、当該背景色に対応するパラメーターを決定する(ステップS204)。一方、背景色の設定がないと判別された場合には(ステップS203で“NO”)、CPUは、背景色を基準色(白色)として、当該パラメーターの影響が出ないようにパラメーターを「0」に設定する(ステップS205)。
【0043】
ステップS204又はステップS205の処理に続いて、CPUは、画像形成部19の各画像ユニットの動作履歴(使用履歴)を取得する(ステップS206)。CPUは、取得された動作履歴に対応するパラメーターを決定する(ステップS207)。
【0044】
CPUは、ステップS204、S205、S207で設定されたパラメーターに基づいて、各トナー色の背景色に対する視認性に対応するディザマトリクスへのメモリーの割り当て比(サイズ比)を算出する(ステップS208)。CPUは、ディザマトリクス記憶部173の最大記憶容量に基づいて、算出されたメモリー割り当て比で生成可能な各ディザマトリクスのサイズを設定する(ステップS209)。或いは、ステップS202の処理で直接ディザマトリクスのサイズが入力された場合には、CPUは、当該入力サイズを各色画像に対応するディザマトリクスのサイズとする。
【0045】
CPUは、ディザマトリクス記憶部173に算出されたメモリー比で各色の画像に対するディザマトリクスの記憶領域を割り当てて、各々設定されたサイズのディザマトリクスを生成する(ステップS210)。ディザマトリクスは、従来公知の種々の方法で生成するか、又は、予め設定されたものを記憶部から読み出すことが出来る。そして、CPUは、生成されたディザマトリクスをディザマトリクス記憶部173の各々割り当てられたメモリー領域に記憶させる(ステップS211)。そして、CPUは、ディザマトリクス設定処理を終了する。
【0046】
次にスクリーン処理の動作について説明する。
図4は、設定されたディザマトリクスを用いたスクリーン処理部171におけるスクリーン処理の動作内容を示すブロック図である。
【0047】
このスクリーン処理部171では、スクリーン処理が開始されると、先ず、閾値取得部731において、指定された出力画像の色に応じてアクセス対象のディザマトリクスを決定する。次いで、先頭から順番に処理対象の画像における各画素位置を指定していき、ディザマトリクス記憶部173を参照して当該画素位置に対応する成分のデータにアクセスして閾値を取得する。
【0048】
それから、画像メモリー18にアクセスして、入力画像データにおける処理対象の画素位置の画素値を取得し、比較処理部732において、この画素値と先に取得された閾値とを比較することで出力画素値を求める。
全ての画素位置について、出力画素値を求める処理を繰り返し行うことで、スクリーン処理が終了する。
【0049】
以上のように、本実施形態の画像処理部17は、スクリーン処理部171によりCMYK各色の画像データに対してそれぞれ設定されたディザマトリクスによりスクリーン処理を行う構成であって、これら各色に対するディザマトリクスをその合計サイズが固定サイズ以下となるように設定するディザマトリクス設定部172と、設定された複数のディザマトリクスを記憶するディザマトリクス記憶部173とを備える。即ち、容易に各色の画像に対するディザマトリクスのサイズの比を変更して、必要な色の画像に対するディザマトリクスに優先的にメモリーを割り当てることが出来る。従って、記憶容量を大型化せずに画像形成の状況に応じて容易に各色の画像に対するディザマトリクスを適切なサイズで設定することが出来る。
【0050】
また、ディザマトリクスの配列数を各々2の冪乗とすることで、記憶容量を容易に分割して効率良く用いることが出来る。
【0051】
また、ディザマトリクス設定部172は、記録媒体の背景色や画像形成部19の使用履歴といった画像形成に係る条件に対して最も視認性が高い色の画像に対するディザマトリクスへのメモリー割当量が、CMYK各色の画像に対するディザマトリクスの中で最大となるようにメモリーの割り当て比を設定する。従って、ディザマトリクスの周期による濃度ムラなどのアーティファクトの視認度が高い色の画像について、ディザマトリクスのサイズにより優先的に視認性を下げることで、全体としてアーティファクトの視認性をバランス良く低減させることが出来る。
【0052】
また、画像形成に係る条件に対する視認性がより高い色のディザマトリクス程、より大きな割合でメモリーを配分してディザマトリクスを設定することで、更にアーティファクトの視認度をバランス良く均一に低減させることが出来るので、ディザマトリクス記憶部173の記憶容量を効率良く用いながらアーティファクトの視認性をバランス良く低下させることが出来る。
【0053】
また、ユーザーの入力操作を受け付ける操作部13を備え、ディザマトリクス設定部172は、入力されたサイズに基づいて定められたディザマトリクスを設定する。従って、画像形成に係る条件に一時的な変更が生じた場合や、形成画像の色遣いや形態などが特殊な場合などであって、標準的なディザマトリクスサイズと合わない場合に、ユーザーが任意に設定を入力操作して各色の画像に対するディザマトリクスサイズを適切なサイズに配分することが出来る。
【0054】
また、ディザマトリクス設定部172は、画像形成に係る出力画像の解像度が十分に高い場合には、この解像度よりも小さい解像度でのディザマトリクスを生成することが出来る。これにより、ディザパターンによるアーティファクトの視認性を必要なレベル落とす範囲で無駄なく適切なサイズのディザマトリクスを設定することが出来る。
【0055】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、CMYK4色のカラー画像出力を例に挙げて説明したが、これに限られない。色の数は、適宜設定可能である。
【0056】
また、上記実施の形態では、露光部、現像部及び感光体を用いてトナーを記録媒体上に定着させる画像形成装置について説明したが、これに限られない。インクを吐出させるインクジェット型の画像形成装置におけるハーフトーン処理であっても、ディザパターンに応じたムラを抑える場合に本発明を適用することが出来る。
【0057】
また、本実施形態の画像処理部17は、画像形成装置とは独立に設けられて、複数の画像形成装置に対して各々メモリー配分を切り替えながらスクリーン処理画像を出力可能なものであっても良い。
【0058】
また、以上の説明では、本発明に係るずれディザマトリクス設定部172の処理動作に係るディザマトリクス設定プログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてHDDを例に挙げて説明したが、これに限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリーその他の不揮発性メモリー、SSD(Solid State Drive)、やCD−ROMなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記の実施形態で示した構成、制御手順や制御内容といった具体的な内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。