(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれが光ビームを走査することでスクリーン上に入力映像信号に基づく画像を投射する複数のプロジェクタユニットを備え、各プロジェクタユニットが投射した投射画像をつなぎ合わせて1枚の画像として表示するマルチプロジェクションディスプレイであって、
前記各プロジェクタユニットに設けられ、それぞれが、前記各プロジェクタユニットの投写画像をそれぞれの表示領域の端部にて表示する複数の特定画素からの光を検出する複数の光センサ部と、
輝度を調整するための調整画像を前記各プロジェクタユニットにより表示させて、前記複数の特定画素を所定の輝度で点灯させるとともに、該各プロジェクタユニットの前記調整画像の表示の垂直同期をとる主制御部と、を有し、
前記各プロジェクタユニットのそれぞれは、前記調整画像を表示したときの前記複数の特定画素の輝度値を前記光センサ部より取得し、該取得した輝度値の差に基づいて、自プロジェクタユニットにより投射される前記投射画像の輝度を他のプロジェクタユニットにより投射される前記投射画像の輝度に合わせるための輝度補正テーブルを作成し、その後、該輝度補正テーブルを用いて前記入力映像信号に基づく画像の各画素の輝度を補正する映像信号補正部を有する、マルチプロジェクションディスプレイ。
前記映像信号補正部は、自プロジェクタユニットに隣接して他のプロジェクタユニットが配置されていない場合は、前記輝度補正テーブルの代わりに、前記入力映像信号をそのまま出力する別の輝度補正テーブルを作成する、請求項1に記載のマルチプロジェクションディスプレイ。
前記他のプロジェクタユニットとして、第1の方向において自プロジェクタユニットと隣接する第1のプロジェクタユニットと、前記第1の方向と直交する第2の方向において自プロジェクタユニットと隣接する第2のプロジェクタユニットとがあり、
前記複数の特定画素は、自プロジェクタユニットの投射画像と前記第1のプロジェクタユニットの投射画像とのそれぞれの表示領域の端部に配置された互いに隣接する第1および第2の特定画素と、自プロジェクタユニットの投射画像と前記第2のプロジェクタユニットの投射画像のそれぞれの表示領域の端部に配置された互いに隣接する第3および第4の特定画素と、を有し、
前記映像信号補正部は、
輝度調整の対象として前記第1のプロジェクタユニットを選択した場合は、前記調整画像を表示したときの前記第1および第2の特定画素を前記光センサ部より取得し、該取得した輝度値の差に基づいて前記輝度補正テーブルを作成し、
輝度調整の対象として前記第2のプロジェクタユニットを選択した場合は、前記調整画像を表示したときの前記第3および第4の特定画素を前記光センサ部より取得し、該取得した輝度値の差に基づいて前記輝度補正テーブルを作成する、請求項1または2に記載のマルチプロジェクションディスプレイ。
前記他のプロジェクタユニットとして、前記第1の方向とは反対の第3の方向において自プロジェクタユニットと隣接する第3のプロジェクタユニットと、前記第2の方向とは反対の第4の方向において自プロジェクタユニットと隣接する第4のプロジェクタユニットがさらにあり、
前記複数の特定画素は、自プロジェクタユニットの投射画像と前記第3のプロジェクタユニットの投射画像とのそれぞれの表示領域の端部に配置された互いに隣接する第5および第6の特定画素と、自プロジェクタユニットの投射画像と前記第4のプロジェクタユニットの投射画像のそれぞれの表示領域の端部に配置された互いに隣接する第7および第8の特定画素と、をさらに有し、
前記映像信号補正部は、
輝度調整の対象として前記第3のプロジェクタユニットを選択した場合は、前記調整画像を表示したときの前記第5および第6の特定画素を前記光センサ部より取得し、該取得した輝度値の差に基づいて前記輝度補正テーブルを作成し、
輝度調整の対象として前記第4のプロジェクタユニットを選択した場合は、前記調整画像を表示したときの前記第7および第8の特定画素を前記光センサ部より取得し、該取得した輝度値の差に基づいて前記輝度補正テーブルを作成する、請求項3または4に記載のマルチプロジェクションディスプレイ。
前記映像信号補正部は、自プロジェクタユニットに隣接するプロジェクタユニットを検出し、該検出したプロジェクタユニットから所定の手順で輝度調整の対象となる前記他のプロジェクタユニットを選択する、請求項1から6のいずれか1項に記載のマルチプロジェクションディスプレイ。
前記主制御部は、前記各プロジェクタユニットが前記調整画像を表示したときの前記複数の特定画素の周辺部の画素が黒色に対応する輝度とされた映像信号を前記各プロジェクタユニットに供給する、請求項1から9のいずれか1項に記載のマルチプロジェクションディスプレイ。
前記主制御部は、前記各プロジェクタユニットが前記調整画像を表示したときの前記複数の特定画素およびその周辺部の画素を除く他の画素の信号を、前記入力映像信号に基づく画像の対向する画素の信号で書き換えた映像信号を前記各プロジェクタユニットに供給する、請求項10に記載のマルチプロジェクションディスプレイ。
それぞれが光ビームを走査することでスクリーン上に入力映像信号に基づく画像を投射する複数のプロジェクタユニットを備え、各プロジェクタユニットにより投射された投射画像をつなぎ合わせて1枚の画像として表示するマルチプロジェクションディスプレイにおいて行われる輝度調整方法であって、
前記各プロジェクタユニットに、前記各プロジェクタユニットの投写画像をそれぞれの表示領域の端部にて表示する複数の特定画素からの光を検出する光センサ部を設けておき、
主制御部が、輝度を調整するための調整画像を前記各プロジェクタユニットにより表示させて、前記複数の特定画素を所定の輝度で点灯させるとともに、該各プロジェクタユニットの前記調整画像の表示の垂直同期をとり、
前記各プロジェクタユニットが、前記調整画像を表示したときの前記複数の特定画素の輝度値を前記光センサ部より取得し、該取得した輝度値の差に基づいて、自プロジェクタユニットにより投射される前記投射画像の輝度を他のプロジェクタユニットにより投射される前記投射画像の輝度に合わせるための輝度補正テーブルを作成し、その後、該輝度補正テーブルを用いて前記入力映像信号に基づく画像の各画素の輝度を補正する、輝度調整方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態であるマルチプロジェクションディスプレイの主要部を示す模式図である。
【0028】
図1に示すように、マルチプロジェクションディスプレイは、主制御部82、操作部83、複数のプロジェクタユニット1〜16、複数の光センサ21〜36及びスクリーン78を有する。
【0029】
操作部83は、複数のボタン(または操作キー)を有し、これらボタンを用いた入力操作に応じた指示信号を主制御部82に供給する。使用者が輝度調整を行うための特定の入力操作を操作部83で行うと、操作部83の操作に応じた特定の指示信号を主制御部82に供給する。
【0030】
主制御部82は、特定の指示信号に基づいて輝度調整を行うための処理を開始する。この他、主制御部82は、電源投入後、一定時間毎に、輝度調整を行うための処理を行っても良い。
【0031】
スクリーン78は、例えば、蛍光スクリーンである。蛍光スクリーンは、例えば、蛍光色が赤色の蛍光体を含む赤色蛍光体領域、蛍光色が緑色の蛍光体を含む緑色蛍光体領域、および蛍光色が青色の蛍光体を含む青色蛍光体領域が所定の順番で周期的に形成されたものであり、各色の蛍光体領域の間にブラックストライプまたはブラックマトリクスが形成されている。スクリーン78は、蛍光スクリーン以外のスクリーンであってもよい。
【0032】
スクリーン78は、複数の画面に区画されている。
図1に示した例では、スクリーン78は、同じ大きさの16個の画面61〜76に区画されている。スクリーン78は、1枚のスクリーンより構成されてもよく、また、画面61〜76に対応する16枚のスクリーンを繋ぎ合せたものであってもよい。画面61〜76は、4行4列の配置形態とされており、プロジェクタユニット1〜16と1対1で対応する。
【0033】
プロジェクタユニット1〜16は、走査型プロジェクタ(より具体的には、ラスタ走査型プロジェクタ)であって、光ビームを走査することでスクリーン78上に画像を投射する。ここでは、スクリーン78が蛍光スクリーンよりなるため、プロジェクタユニット1〜16は、励起光を走査することでスクリーン78上に画像を投射する。
【0034】
プロジェクタユニット1〜16は、スクリーン78の一方の面(観察側とは反対の面)側に配置されており、それぞれの投射画像が画面61〜76上に1対1対応で表示される。例えば、画面61においては、プロジェクタユニット1の投射画像が表示される。
【0035】
プロジェクタユニット1の投射画像の大きさは、画面61の大きさに一致する。これと同様に、他のプロジェクタユニット2〜16の投射画像の大きさも、それぞれ画面62〜76の大きさと一致する。これにより、スクリーン78上で、プロジェクタユニット1〜16の投射画像が隙間なく繋ぎ合わされて1枚の画像が提示される。
【0036】
光センサ21〜36も、スクリーン78の一方の面(観察側とは反対の面)側に配置されている。光センサ21〜36は、CCDカメラに代表される撮像素子やフォトダイオード(PD)などよりなり、プロジェクタユニット1〜16と1対1で対応する。光センサ21の出力は、プロジェクタユニット1に供給されている。光センサ22〜36の出力は、プロジェクタユニット2〜16のうちの対応するプロジェクタユニットに供給されている。
【0037】
光センサ21は、画面61の左下の角部近傍に設けられている。光センサ21は、画面61の左下の角部近傍の特定画素の輝度を検出するととともに、画面61の左側および下側に隣接する画面の上記特定画素と隣接する画素の輝度を検出することができる。なお、
図1に示した配置では、画面61の左側および下側に他の画面は存在しない。
【0038】
光センサ22〜36も、光センサ21と同様の配置形態になっており、画面62〜76のうちの対応する画面の左下の角部近傍の特定画素の輝度を検出するととともに、その対応する画面の左側および下側に隣接する画面の上記特定画素と隣接する画素の輝度を検出することができる。
【0039】
図2Aに、光センサ26の検出範囲を模式的に示す。光センサ26の検出範囲26aは、画面66の左側辺部と下側辺部とにより形成された左下角部近傍の領域および画面61、62、65の上記角部近傍に隣接する領域を含む。光センサ21〜25、27〜36も、光センサ26と同様な検出範囲を有する。
【0040】
光センサ21〜36は、赤、緑、青の色毎に画素の輝度を検出することができる。
図2Bに、
図2Aに示した光センサ26の検出範囲26aにおける画素を模式的に示す。
図2Bにおいて、長い点線は、スクリーン78の画面61、62、65、66の境界を示す。短い点線により囲まれた矩形の領域が画素である。
【0041】
図2Bを参照すると、画面66は、赤色蛍光ストライプ79R、緑色蛍光ストライプ79G、青色蛍光ストライプ79Bがこの順番で周期的に配置された構造を有し、各色の蛍光ストライプ79R、79G、79Bの間には、ブラックストライプBKが形成されている。
【0042】
画面66は行列状に配置された複数の画素80−1を有する。画素80−1のそれぞれは、赤色蛍光ストライプ79Rの一部、緑色蛍光ストライプ79Gの一部、および青色蛍光ストライプ79Bの一部を含む。
【0043】
プロジェクタユニット6からの光ビーム(励起光)は、赤色蛍光ストライプ79R、緑色蛍光ストライプ79Gおよび青色蛍光ストライプ79Bのそれぞれと交差する方向に走査される。例えば、画面66の左下に位置する画素80−1では、左側から右側の方向へ励起光が走査される。
【0044】
励起光が赤色蛍光ストライプ79Rに照射されると、画素80−1から赤色の蛍光が放出される。励起光が緑色蛍光ストライプ79Gに照射されると、画素80−1から緑色の蛍光が放出される。励起光が青色蛍光ストライプ79Bに照射されると、画素80−1から青色の蛍光が放出される。
【0045】
画面62、65も画面66と同様の構成である。画面62は行列状に配置された複数の画素80−2を有し、画面65は行列状に配置された複数の画素80−3を有する。画素80−2、80−3は、画素80−1と同じ構成である。他の画面61、63、64、67〜76も、画面66と同じ構成である。
【0046】
画素80−1において、赤、緑、青の各色の蛍光は互いに異なるタイミングで放出されるため、光センサ26は、それら各色の蛍光を個別に検出することができる。同様に、画素80−2、80−3においても、赤、緑、青の各色の蛍光は互いに異なるタイミングで放出されるため、光センサ26は、画素80−1に隣接する画素80−2、80−3のそれぞれについて、放出された各色の蛍光を個別に検出することができる。光センサ26はカラーCCDカメラのように、赤、緑、青の各色に感度を有し、各色に個別に応答する信号を同時に出力する(検出する)構成であっても良い。
【0047】
他の光センサ21〜25、27〜36は、光センサ26と同様の配置とされており、画面61〜65、67〜76のうちの対応する画面と隣接画面との間で互いに隣接する特定画素から放出された赤、緑、青の各色の蛍光を検出することができる。
【0048】
再び、
図1を参照する。外部の映像再生装置から出力された映像信号が、映像信号入力部81を介して主制御部82に供給される。
【0049】
通常動作時に、主制御部82は、外部の映像再生装置から供給された映像信号に基づいてプロジェクタユニット1〜16への映像信号を生成する。具体的には、主制御部82は、外部の映像再生装置から供給された映像信号に基づく画像を画面61〜76に応じて16分割し、それぞれの分割画像に対応する分割映像信号を生成する。そして、主制御部82は、生成した分割映像信号をプロジェクタユニット1〜16の対応するプロジェクタユニットに供給する。
【0050】
輝度調整時に、主制御部82は、調整制御信号および調整用映像信号をプロジェクタユニット1〜16に送信する。プロジェクタユニット1〜16に送信される調整用映像信号は、同じものである。調整制御信号の送信時に、主制御部82は、輝度補正テーブルの作成に必要な情報や指示信号をプロジェクタユニット1〜16に送信する。この必要な情報および指示信号は、調整制御信号の一部を構成してもよい。
【0051】
次に、主制御部82およびプロジェクタユニット1〜16の具体的な動作について説明する。
【0052】
図3は、
図1に示したマルチプロジェクションディスプレイの各部の機能および接続関係を示すブロック図である。
【0053】
図3を参照すると、主制御部82は、映像分割部301、信号切替部401〜416、送信部311〜326、調整用映像信号生成部391、および調整制御信号生成部392を有する。
【0054】
調整制御信号生成部392は、輝度調整の実行タイミングを指示する調整制御信号を出力する。調整制御信号は、信号切替部401〜416に供給されるとともに、送信部311〜326を介してプロジェクタユニット1〜16に供給される。調整制御信号生成部392は、調整制御信号の出力後に、調整用映像信号生成部391による調整用映像信号の生成を行わせる。
【0055】
映像分割部301は、外部の映像再生装置から供給された映像信号に基づいて、プロジェクタユニット1〜16へ供給するための第1乃至第16の分割映像信号を生成する。第1乃至第16の分割映像信号はそれぞれ画面61〜76に対応する。第1乃至第16の分割映像信号はそれぞれ、信号切替部401〜416のうちの対応する信号切替部の一方の入力端子に供給される。
【0056】
調整用映像信号生成部391は、調整制御信号生成部392からの指示に従って、プロジェクタユニット1〜16により投射される画像の輝度を調整するための調整用映像信号を生成する。調整用映像信号生成部391から出力された調整用映像信号は、信号切替部401〜416の他方の入力端子に供給される。
【0057】
信号切替部401〜416では、調整制御信号生成部392からの調整制御信号に従って入力の切り替えが行われる。具体的には、信号切替部401〜416は、調整制御信号により指示された輝度調整期間において、調整用映像信号生成部391から供給される調整用映像信号を出力し、それ以外の期間において、映像分割部301から供給される分割映像信号を出力する。
【0058】
信号切替部401〜416と送信部311〜326は1対1で対応する。信号切替部401〜416から出力された映像信号はそれぞれ、送信部311〜326のうちの対応する送信部に供給される。
【0059】
送信部311〜326とプロジェクタユニット1〜16は1対1で対応する。送信部311〜326のそれぞれは、信号切替部401〜416のうちの対応する信号切替部から供給された映像信号をプロジェクタユニット1〜16のうちの対応するプロジェクタユニットに供給する。また、送信部311〜326は、調整制御信号生成部392から供給された調整制御信号をプロジェクタユニット1〜16のうちの対応するプロジェクタユニットに供給する。
【0060】
プロジェクタユニット1〜16は、同じ構成である。ここでは、プロジェクタユニット1の構成および動作について具体的に説明し、他のプロジェクタユニット2〜16についての詳細な説明は省略する。
【0061】
プロジェクタユニット1は、映像信号補正部331および映像投射部351を有する。映像投射部351は、走査型のものであって、映像信号補正部331から供給される映像信号に基づく画像(通常画像または調整用画像)をスクリーン78の画面61上に投射する。
【0062】
通常動作時に、送信部311から送信された第1の分割映像信号が映像信号補正部331に供給され、輝度調整時に、送信部311から送信された調整用映像信号および調整制御信号が映像信号補正部331に供給される。
【0063】
映像信号補正部331は、調整制御信号に基づいて輝度調整期間を認識する。輝度調整期間において、映像信号補正部331は、調整用映像信号および調整制御信号に含まれている同期信号(投射画像の垂直同期をとるための信号)を映像投射部351に供給する。
【0064】
映像投射部351は、同期信号(垂直同期信号)に従って調整用映像信号に基づく画像を画面61上に投射し、映像信号補正部331が、光センサ21の出力信号に基づいて輝度補正テーブルを作成する。輝度補正テーブルは、赤、緑、青の各色について作成される。
【0065】
同期信号は、プロジェクタユニット1〜16に同じタイミングで供給される。よって、プロジェクタユニット1の映像投射部351による調整用映像信号に基づく調整画像の投射開始タイミングは、他のプロジェクタユニット2〜16による調整用映像信号に基づく調整画像の投射開始タイミングと一致する。すなわち、プロジェクタユニット1〜16により投射される調整画像の垂直同期がとられている。
【0066】
映像信号補正部331は、初期状態として、赤、緑、青の各色について、入力値と出力値の関係を示す特性データを予め保持している。映像信号補正部331は、色毎に、光センサ21の出力信号に基づいて、プロジェクタユニット1から投射された調整画像の最外周部の特定画素から放出された蛍光の輝度と、隣接プロジェクタユニットから投射された調整画像の上記特定画素と隣接する画素から放出された蛍光の輝度との差を取得し、その差に基づいて、予め保持している対応する色の特性データを修正し、その修正した特性データに基づいて輝度補正テーブルを作成する。
【0067】
一般に、励起光の強度と蛍光の輝度との関係は比例関係にある。例えば、映像信号補正部331は、階調範囲の各データ(例えば256階調)と輝度値との関係を示す特性データを保持しており、自画面の特定画素の輝度値と隣接画面の特定画素の輝度値との差に基づいて特性データをシフトすることで上記の修正した特性データを得ることができる。
【0068】
また、映像信号補正部331は、階調範囲を一定の階調範囲毎に複数の点で区画し、各点について、輝度値との関係を示す特性データを保持しており、自画面の特定画素の輝度値と隣接画面の特定画素の輝度値との差に基づいて、各点に対応する輝度値を補正するとともに、補正後の各点間のデータを演算により求めることで上記の修正した特性データを得ることができる。
【0069】
次に、プロジェクタユニット1の映像信号補正部331および映像投射部351の動作について具体的に説明する。
【0070】
図4に、
図3に示した映像投射部の一例を示す。
図4を参照すると、映像投射部351は、レーザ光源駆動部251、走査素子駆動部252、レーザ光源253、光学系254、水平走査素子255および垂直走査素子256を有する。
【0071】
レーザ光源253は、スクリーン78の画面61に形成された各色の蛍光ストライプ(
図2Bに示したような赤色蛍光ストライプ79R、緑色蛍光ストライプ79Gおよび青色蛍光ストライプ79B)に含まれる蛍光体を励起するためのレーザ光(励起光)を出力する。
【0072】
光学系254は、レーザ光源253から出力されたレーザ光の進行方向に設けられており、入射したレーザ光を水平走査素子255に向けて反射する。水平走査素子255は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーなどに代表される共振型走査ミラーよりなり、光学系254からのレーザ光を水平方向に往復走査する。
【0073】
垂直走査素子256は、水平走査素子255からのレーザ光の進行方向に設けられており、水平走査素子255からのレーザ光を垂直方向に往復走査する。垂直走査素子256は、ポリゴンミラーやガルバノミラーなどの走査手段により構成されてもよい。
【0074】
レーザ光源駆動部251は、映像信号補正部331から供給された映像信号に基づく画像の各画素の輝度値に従ってレーザ光源253を駆動する。走査素子駆動部252は、映像信号補正部331から供給された映像信号の同期信号(水平同期信号や垂直同期信号)に従って水平走査素子255および垂直走査素子256を駆動する。
【0075】
映像信号補正部331は、主制御部82からの調整制御信号によって指示された輝度調整期間において、主制御部82からの各色の調整用映像信号を映像投射部351に供給するとともに、光センサ21からの各色の検出結果に基づいて各色の輝度補正テーブルを作成する。
【0076】
また、映像信号補正部331は、輝度調整期間外の通常動作時において、主制御部82からの各色の第1の分割映像信号に各色の輝度補正テーブルに基づく輝度補正を加え、その輝度補正がなされた各色の第1の分割映像信号を映像投射部351に供給する。
【0077】
具体的には、第1の分割映像信号は、赤色用分割映像信号、緑色用分割映像信号および青色用分割映像信号を含む。各色の分割映像信号はそれぞれ、時系列に並べられた複数の画素データからなる。映像信号補正部331は、各色の分割映像信号について、各色の輝度補正テーブルに基づく輝度補正を加える。映像投射部351では、各色の輝度補正が施された分割映像信号に従ってレーザ光源駆動部251および走査素子駆動部252が動作し、赤色画像、緑色画像および青色画像が時分割で画面61上に投射される。
【0078】
プロジェクタユニット2〜16も、プロジェクタユニット1の映像信号補正部331および映像投射部351と同様の映像信号補正部および映像投射部を有する。
【0079】
次に、各色の輝度補正テーブルの作成方法について具体的に説明する。
【0080】
各色の輝度補正テーブルはいずれも同じ手順で作成される。ここでは、赤色の輝度補正テーブルの作成手順について説明し、他の色につての説明は省略する。
【0081】
図5に、調整用映像信号に基づく投射画像(赤色の調整画像)の一例を示す。投射画像Pは、行列状に配置された複数の画素からなり、画面に向かって、左上に位置する画素P1、左下に位置する画素P2および右下に位置する画素P3において、一定の輝度の蛍光(赤色)が放出され、これら画素P1〜P3以外の画素からは蛍光は放出されない。画素P1〜P3は、隣接画面との輝度差を取得する際に用いられる特定画素である。
【0082】
図5に示した投射画像Pの調整用映像信号がプロジェクタユニット1〜16に供給される。プロジェクタユニット1〜16は、調整用映像信号に基づく投射画像Pを画面61〜76に投射する。
【0083】
図6A〜
図6Cに、赤色の輝度補正テーブルを作成する際の自画面と隣接画面との間の特定画素の輝度差を取得する手順を模式的に示す。
図6A〜
図6Cに示す手順は、主制御部82が
図5に示した投射画像Pの調整用映像信号をプロジェクタユニット1、2、5、6に供給した場合の、プロジェクタユニット6により実行される手順である。
【0084】
励起光の走査が開始されると、まず、
図6Aに示すように、画面61、62、65、66において画素P1が点灯する。この場合、画面61、62、65、66の点灯状態の画素P1のうち、画面62の画素P1のみが、プロジェクタユニット6に対応する光センサ26の検出範囲26a内に位置する。したがって、光センサ26は、画面66の下側に隣接する画面62の画素P1からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(第1の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0085】
画素P1の点灯後、画素P1の次の画素から画素P2の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0086】
励起光が画素P2に照射された状態が
図6Bに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66において画素P2が点灯し、これら点灯状態の画素P2のうち、画面66の画素P2のみが、光センサ26の検出範囲26a内に位置する。したがって、光センサ26は、画面66の画素P2からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(第2の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0087】
画素P2の点灯後、画素P2の次の画素から画素P3の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0088】
励起光が画素P3に照射された状態が
図6Cに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66において画素P3が点灯し、これら点灯状態の画素P3のうち、画面65の画素P3のみが、光センサ26の検出範囲26a内に位置する。したがって、光センサ26は、画面65の画素P3からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(第3の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0089】
プロジェクタユニット6では、
図6A〜
図6Cに示した各状態における第1乃至第3の検出結果が光センサ26から映像信号補正部336に供給される。映像信号補正部336は、所定の手順で第1および第3の検出結果の一方を選択し、その選択した検出結果と第2の検出結果との差に基づいて赤色の輝度補正テーブルを作成する。
【0090】
プロジェクタユニット1〜16は
図4に示した走査型のものであるので、投射画像Pの画素P1〜P3の点灯タイミング(蛍光放出タイミング)はそれぞれ異なる。すなわち、投射画像Pにおいて、画素P1〜P3は走査方向に沿って異なるタイミングで順番に一つずつ点灯する。
【0091】
また、プロジェクタユニット1〜16では、投射画像Pは主制御部82からの同期信号(垂直同期信号)に従って表示される。したがって、プロジェクタユニット1〜16によって投射される各投射画像Pにおいて、互いの垂直同期がとられているので、画素P1の点灯タイミングは一致する。
【0092】
一方、各投射画像Pにおいて、互いの水平同期はとられていないので、画素P1以外の画素については、走査が進むにつれて、徐々にずれを生じる。このため、各投射画像P間での画素P2、P3の点灯タイミングにずれを生じるが、そのずれはわずかである。
【0093】
投射画像Pは画素P1〜P3のみが点灯し、それら以外の画素は点灯しない。したがって、各投射画像Pにおいて、映像信号補正部336は、主制御部82から供給された投射画像Pの調整用映像信号と光センサの出力信号と基づいて、画面62の画素P1の輝度値、画面66の画素P2の輝度値、および画面65の画素P3の輝度値をそれぞれ取得することができる。
【0094】
緑色および青色の輝度補正テーブルについても、上記と同様の手順で作成する。
【0095】
プロジェクタユニット1〜5、7〜16においても、プロジェクタユニット6と同様の手順で赤色、緑色および青色の各色の輝度補正テーブルを作成することができる。
【0096】
以上、プロジェクタユニット6を例に輝度補正テーブルの作成方法を説明した。しかし、例えば、
図1に示した配置では、画面61〜64のそれぞれにおいて下側には他の画面は存在せず、また、画面61、65、69、73のそれぞれにおいて左側には他の画面は存在しない。このため、プロジェクタユニット1〜16における輝度補正テーブルの作成を、隣接プロジェクタユニットの有無に応じた適切な順番で行う必要がある。
【0097】
以下、プロジェクタユニット1〜16における輝度補正テーブルの作成方法をその順番を含めて具体的に説明する。
【0098】
主制御部82は、
図1に示した配置を示す情報(プロジェクタユニット1〜16の接続関係を示すユニット接続情報)を保持しており、輝度調整時に、プロジェクタユニット1〜16のそれぞれに対して、適切な順番で、輝度補正テーブルを作成することを指示する指示信号(輝度補正テーブル作成指示信号)およびユニット接続情報を送信する。これら輝度補正テーブル作成指示信号およびユニット接続情報は、調整制御信号の一部を構成してもよい。
【0099】
ユニット接続情報は、例えば、プロジェクタユニット1〜16の識別情報毎に、左側に隣接するプロジェクタユニットの識別情報および下側に隣接するプロジェクタユニットの識別情報が格納されたテーブル情報である。プロジェクタユニット1〜16はそれぞれ、自身の識別情報を保持しており、テーブル情報中の自身の識別情報の欄を参照することで、左側および下側に隣接するプロジェクタユニットの有無を判断し、その結果に基づいて上述した第1および第3の検出結果の選択を行う。
【0100】
プロジェクタユニット1〜16のそれぞれは、左側および下側の両方にプロジェクタユニットが隣接している場合は、それら隣接プロジェクタユニットの一方を優先して輝度補正テーブルを作成する。ここでは、左側の隣接プロジェクタユニットを優先するものと仮定する。
【0101】
次に、プロジェクタユニット1〜16の映像信号補正部331〜346にて行われる、輝度補正テーブル作成指示信号およびユニット接続情報に基づく輝度補正データの作成手順を説明する。
【0102】
図7に、その作成手順の一例を示す。映像信号補正部331〜346の作成手順は同じであるので、以下では、単に映像信号補正部の動作として説明する。
【0103】
映像信号補正部は、主制御部82から輝度補正テーブル作成指示信号およびユニット接続情報を受信すると、そのユニット接続情報に基づいて、自プロジェクタユニットの左側に隣接する隣接プロジェクタユニットが存在するか否かを判定する(ステップS10)。
【0104】
ステップS10で隣接プロジェクタユニットが存在すると判断した場合は、続いて、映像信号補正部は、自プロジェクタユニットの投射画像P(
図5参照)の画素P2の輝度値(光センサから供給された第2の検出結果)と隣接プロジェクタユニットの投射画像Pの画素P3の輝度値(光センサから供給された第3の検出結果)との差に基づいて輝度補正テーブルを作成する(ステップS11)。その後、映像信号補正部は、完了通知を主制御部82に送信する。
【0105】
ステップS10において、隣接する隣接プロジェクタユニットが存在しないと判断した場合は、続いて、映像信号補正部は、ユニット接続情報に基づいて、自プロジェクタユニットの下側に隣接する隣接プロジェクタユニットが存在するか否かを判定する(ステップS12)。
【0106】
ステップS12で隣接プロジェクタユニットが存在すると判断した場合は、映像信号補正部は、自プロジェクタユニットの投射画像Pの画素P2の輝度値と隣接プロジェクタユニットの投射画像Pの画素P3の輝度値(光センサから供給された第3の検出結果)との差に基づいて輝度補正テーブルを作成する(ステップS13)。その後、映像信号補正部は、完了通知を主制御部82に送信する。
【0107】
ステップS12で隣接プロジェクタユニットが存在しないと判断した場合は、映像信号補正部は、入力映像信号を補正しないでそのまま出力するような輝度補正テーブルを作成する(ステップS14)。その後、映像信号補正部は、完了通知を主制御部82に送信する。
【0108】
以上のステップS10〜S14の処理によれば、プロジェクタユニット1では、入力映像信号を補正しないでそのまま出力するような輝度補正テーブルが赤、緑、青の色毎に作成される。プロジェクタユニット5、9、13のそれぞれでは、自プロジェクタユニットの投射画像Pの画素P2の輝度値と下側の隣接プロジェクタユニットの投射画像Pの画素P1の輝度値との差に基づいて輝度補正テーブルが赤、緑、青の色毎に作成される。プロジェクタユニット2〜4、6〜8、10〜12、14〜16のそれぞれでは、自プロジェクタユニットの投射画像Pの画素P2の輝度値と隣接プロジェクタユニットの投射画像Pの画素P3の輝度値との差に基づいて輝度補正テーブルが赤、緑、青の色毎に作成される。
【0109】
プロジェクタユニット1〜16が、
図7に示した手順で輝度補正テーブル作成を作成して輝度を調整する処理を同時に行う。この調整処理を数回繰り返せば、プロジェクタユニット1の各色の投射画像を基準にして、プロジェクタユニット2〜16の各色の投射画像の輝度が調整され、スクリーン78全体で、一様な輝度の投射画像を得ることができる。主制御部82は、予め定められた回数だけ、調整処理をプロジェクタユニット1〜16に行わせる。
【0110】
なお、輝度調整時において、プロジェクタユニット1〜16は、
図5に示したような調整画像を複数回投射する。この複数回の調整画像の投射工程は、1つの輝度調整期間において、連続して行われても良く、また、第1乃至第7の輝度調整期間を設定し、それぞれの輝度調整期間において、1回の投射工程を行ってもよい。後者の場合、各輝度調整期間の間に分割映像信号に基づく画像を投射する通常動作の工程を行ってもよい。例えば、1フレームまたは複数のフレームの分割映像信号に基づく画像が投射される毎に、1回の調整画像の投射工程を行うといった手順で、上記の複数回の投射工程を行ってもよい。
【0111】
以上のようにしてプロジェクタユニット1〜16による輝度補正テーブルの作成が完了した後、主制御部82は、動作モードを通常動作モードに切り替える。
【0112】
通常動作時において、プロジェクタユニット1〜16では、映像信号補正部331〜346が、入力された各色の分割映像信号に対して各色の輝度補正データに基づく輝度補正を行う。そして、映像投射部351〜366が、輝度補正後の各色の分割映像信号に基づく画像を画面61〜76上に投射する。
【0113】
以上説明した本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイによれば、光センサの検出範囲は、投射画像(画面)の左下近傍の範囲とされているので、スクリーン全体を1つの光センサで検出する場合に比較して、光センサと画面との距離を十分に短くすることができる。このように、光センサと画面との距離が短いので、マルチプロジェクションシステムの小型化を図ることができる。
【0114】
また、前述したように、人間の視覚特性上、離れた位置にある画素間の輝度差は視認され難いが、隣接する画素間の輝度差は視認され易い。本実施形態では、この視覚特性を考慮し、自画面と隣接画面との間で、画面境界部分に隣接する画素間の輝度差を小さくするようになっているので、各画面間の繋ぎ目が視認され難いという効果がある。
【0115】
なお、本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイにおいて、構成および動作は適宜に変更可能である。例えば、光センサ21〜36は、画面61〜76の対応する画面の四隅のうち左下隅部の近傍に配置されているが、左上隅部、右下隅部、右上隅部のいずれに配置されてもよい。
【0116】
光センサを左上隅部に配置した場合は、プロジェクタユニットは、左側および上側の隣接プロジェクタユニットとの間で、特定画素の輝度差を取得して、取得した輝度差に基づいて各色の輝度補正テーブルを作成する。この場合、
図5に示した画素P1〜P3はそれぞれ、画面の左下、左上、右上の各隅部に位置する画素とされる。
【0117】
光センサを右下隅部に配置した場合は、プロジェクタユニットは、右側および下側の隣接プロジェクタユニットとの間で、特定画素の輝度差を取得して、取得した輝度差に基づいて各色の輝度補正テーブルを作成する。この場合、
図5に示した画素P1〜P3はそれぞれ、画面の左下、右下、右上の各隅部に位置する画素とされる。
【0118】
光センサを右上隅部に配置した場合は、プロジェクタユニットは、右側および上側の隣接プロジェクタユニットとの間で、特定画素の輝度差を取得して、取得した輝度差に基づいて各色の輝度補正テーブルを作成する。この場合、
図5に示した画素P1〜P3はそれぞれ、画面の左上、右上、右下の各隅部に位置する画素とされる。
【0119】
また、調整画像は
図5に示した画像に限定されない。自プロジェクタユニットと隣接プロジェクタユニットとの間で画面境界部を挟んで隣接する画素の輝度差を取得できるのであれば、どのような調整画像を用いてもよい。
【0120】
例えば、特定画素の数は、3つ以上であってもよい。より具体的には、
図5に示した調整画像において、画素P2と画素P1の第1の組と、画素P2と画素P3との第2の組をそれぞれ複数設ける。この場合、隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの下側に有る場合は、第1の組毎に、画素P1、P2の輝度差を求め、その輝度差の平均値に基づいて輝度補正テーブルを作成する。隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの左側に有る場合は、第2の組毎に、画素P2、P3の輝度差を求め、その輝度差の平均値に基づいて輝度補正テーブルを作成する。これにより、自画面と隣接画面との間で、画面境界部分に隣接する画素間の輝度差をより小さくすることができるので、繋ぎ目はより視認され難くなる。
【0121】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態であるマルチプロジェクションディスプレイの主要部を示す模式図である。
【0122】
本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイは、1つのプロジェクタユニットに対して2個の光センサが設けられている点で、第1の実施形態のマルチプロジェクションディスプレイと異なる。
【0123】
第1の光センサ21−1〜36−1はプロジェクタユニット1〜16と1対1で対応し、第2の光センサ21−2〜36−2もプロジェクタユニット1〜16と1対1で対応する。
【0124】
プロジェクタユニット1は、第1の光センサ21−1および第2の光センサ21−2の各出力信号に基づいて各色の輝度補正テーブルを作成する。同様に、プロジェクタユニット2〜16はそれぞれ、第1の光センサ22−1〜36−1のうちの対応する第1の光センサおよび第2の光センサ21−2〜36−2のうちの対応する第2の光センサの各出力信号に基づいて各色の輝度補正テーブルを作成する。
【0125】
プロジェクタユニット1〜16での輝度補正テーブルの作成手順は基本的に第1の実施形態と同じであるが、本実施形態では、第1および第2の光センサを用いて、左側および下側の隣接プロジェクタユニットとの特定画素の輝度差を検出する。このため、第1および第2の光センサの検出範囲や、輝度調整時に用いられる調整用映像信号が第1の実施形態と異なる。
【0126】
図9に、プロジェクタユニット6による投射画面に対する第1の光センサ26−1および第2の光センサ26−2の各検出範囲を模式的に示す。
【0127】
第1の光センサ26−1は画面66の左側辺部の中央近傍に配置され、その検出範囲26−1aは、画面66の左側辺部近傍の領域と画面65の画面66の左側辺部に隣接する領域とを含む。
【0128】
第2の光センサ26−2は画面66の下側辺部の中央近傍に配置され、その検出範囲26−2aは、画面66の下側辺部近傍の領域と画面62の画面66の左側辺部に隣接する領域とを含む。
【0129】
図10に、調整用映像信号に基づく投射画像(赤)の一例を示す。投射画像Pは、行列状に配置された複数の画素からなり、画面に向かって、上側最外周部の略中央に位置する画素P1、左側最外周部の略中央に位置する画素P2、右側最外周部の略中央に位置する画素P3、および下側最外周部の略中央に位置する画素P4を有する。画素P1〜P4において、一定の輝度の蛍光(赤色)が放出され、これら画素P1〜P4以外の画素からは蛍光は放出されない。画素P1〜P4は、隣接画面との輝度差を取得する際の特定画素に対応する。
【0130】
図10に示した投射画像Pの調整用映像信号がプロジェクタユニット1〜16に供給される。プロジェクタユニット1〜16は、調整用映像信号に基づく投射画像Pを画面61〜76に投射する。
【0131】
図11A〜
図11Dに、赤色の輝度補正テーブルを作成する際の自画面と隣接画面との間の特定画素の輝度差を取得する手順を模式的に示す。
図11A〜
図11Dに示す手順は、周制御部82が
図10に示した投射画像Pの調整用映像信号をプロジェクタユニット1、2、5、6に供給した場合の、プロジェクタユニット6により実行される手順である。
【0132】
励起光の走査が開始されると、まず、
図11Aに示すように、画面61、62、65、66において画素P1が点灯する。この場合、画面61、62、65、66の点灯状態の画素P1のうち、画面62の画素P1のみが、プロジェクタユニット6に対応する第2の光センサ26−2の検出範囲26−2a内に位置する。したがって、第2の光センサ26−2は、画面66の下側に隣接する画面62の画素P1からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(第1の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0133】
画素P1の点灯後、画素P1の次の画素から画素P2の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0134】
励起光が画素P2に照射された状態が
図11Bに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66において画素P2が点灯し、これら点灯状態の画素P2のうち、画面66の画素P2のみが、第1の光センサ26−1の検出範囲26−1a内に位置する。したがって、第1の光センサ26−1は、画面66の画素P2からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(第2の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0135】
画素P2の点灯後、画素P2の次の画素から画素P3の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0136】
励起光が画素P3に照射された状態が
図11Cに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66において画素P3が点灯し、これら点灯状態の画素P3のうち、画面65の画素P3のみが、第1の光センサ26−1の検出範囲26−1a内に位置する。したがって、第1の光センサ26−1は、画面65の画素P3からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(第3の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0137】
画素P3の点灯後、画素P3の次の画素から画素P4の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0138】
励起光が画素P4に照射された状態が
図11Dに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66において画素P4が点灯し、これら点灯状態の画素P4のうち、画面66の画素P4のみが、第2の光センサ26−2の検出範囲26−2a内に位置する。したがって、第2の光センサ26−2は、画面66の画素P4からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(第4の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0139】
プロジェクタユニット6では、画面65と画面66の間の特定画素の輝度を検出するために、第2および第3の検出結果が第1の光センサ26−1から映像信号補正部336に供給され、画面62と画面66の間の特定画素の輝度を検出するために、第1および第4の検出結果が第2の光センサ26−2から映像信号補正部336に供給される。
【0140】
映像信号補正部336は、所定の手順に従って、第1の光センサ26−1の検出結果(第2および第3の検出結果)と、第2の光センサ26−2の検出結果(第1および第4の検出結果)とのいずれか一方を選択し、その選択した検出結果に基づいて赤色の輝度補正テーブルを作成する。
【0141】
所定の手順に従った輝度補正テーブルの作成手順は
図7に示した手順と基本的に同じであるが、ステップS11およびS13の処理の一部が第1の実施形態の場合と異なる。
【0142】
本実施形態では、ステップS11において、映像信号補正部336は、自プロジェクタユニット6の投射画像Pの画素P2の輝度値(第1の光センサ26−1から供給された第2の検出結果)と隣接プロジェクタユニット5の投射画像Pの画素P3の輝度値(第1の光センサ26−1から供給された第3の検出結果)との差に基づいて輝度補正テーブルを作成する。
【0143】
ステップS13において、映像信号補正部336は、自プロジェクタユニット6の投射画像Pの画素P4の輝度値(第2の光センサ26−2から供給された第4の検出結果)と隣接プロジェクタユニット2の投射画像Pの画素P1の輝度値(第2の光センサ26−2から供給された第1の検出結果)との差に基づいて輝度補正テーブルを作成する。
【0144】
緑色および青色の輝度補正テーブルについても、上記と同様の手順で作成することができる。
【0145】
プロジェクタユニット1〜5、7〜16においても、プロジェクタユニット6と同様の手順で赤色、緑色および青色の各色の輝度補正テーブルを作成することができる。
【0146】
プロジェクタユニット1〜16が、同時に調整処理を行い、この調整処理を数回繰り返せば、プロジェクタユニット1〜16の各色の投射画像の輝度を略一致させることができ、スクリーン78全体で、一様な輝度の投射画像を得ることができる。主制御部82は、予め定められた回数だけ、調整処理をプロジェクタユニット1〜16に行わせる。
【0147】
本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイにおいても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0148】
なお、本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイにおいて、構成および動作は適宜に変更可能である。例えば、第1および第2の光センサは、画面の最外周部の隣接する2辺に対して設ければよい。ただし、第1および第2の光センサの画面に対する位置は、プロジェクタユニット1〜16の間で同じにする必要がある。
【0149】
また、調整画像は
図10に示した画像に限定されない。自プロジェクタユニットと隣接プロジェクタユニットとの間での画面境界部を挟んで隣接する画素の輝度差を取得できるのであれば、どのような調整画像を用いてもよく、特定画素の数も、4つ以上であってもよい。
【0150】
例えば、
図10に示した調整画像において、画素P1と画素P4の第1の組と、画素P2と画素P3との第2の組をそれぞれ複数設ける。この場合、隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの下側に有る場合は、第1の組毎に、画素P1、P4の輝度差を求め、その輝度差の平均値に基づいて輝度補正テーブルを作成する。隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの左側に有る場合は、第2の組毎に、画素P2、P3の輝度差を求め、その輝度差の平均値に基づいて輝度補正テーブルを作成する。これにより、自画面と隣接画面との間で、画面境界部分に隣接する画素間の輝度差をより小さくすることができるので、繋ぎ目はより視認され難くなる。
【0151】
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態であるマルチプロジェクションディスプレイの主要部を示す模式図である。
【0152】
本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイは、1つのプロジェクタユニットに対して4個の光センサが設けられている点で、第1および第2の実施形態のマルチプロジェクションディスプレイと異なる。
【0153】
第1の光センサ41−1〜56−1、第2の光センサ41−2〜56−2、第3の光センサ41−3〜56−3および第4の光センサ41−4〜56−4はそれぞれ、プロジェクタユニット1〜16と1対1で対応する。
【0154】
プロジェクタユニット1は、第1の光センサ41−1、第2の光センサ41−2、第3の光センサ41−3および第4の光センサ41−4の各出力信号に基づいて各色の輝度補正テーブルを作成する。同様に、プロジェクタユニット2〜16はそれぞれ、第1の光センサ42−1〜56−1のうちの対応する第1の光センサ、第2の光センサ41−2〜56−2、第3の光センサ42−3〜56−3のうちの対応する第3の光センサ、および第4の光センサ41−4〜56−4のうち、対応する第1乃至第4の光センサの各出力信号に基づいて各色の輝度補正テーブルを作成する。
【0155】
プロジェクタユニット1〜16での輝度補正テーブルの作成手順は基本的に第1の実施形態と同じであるが、本実施形態では、第1乃至第4の光センサを用いて、上下左右の各側の隣接プロジェクタユニットとの特定画素の輝度差を検出する。このため、第1乃至第4の光センサの検出範囲や、輝度調整時に用いられる調整用映像信号が第1の実施形態と異なる。
【0156】
図13に、プロジェクタユニット6による投射画面に対する第1の光センサ46−1、第2の光センサ46−2、第3の光センサ46−3、および第3の光センサ46−4の各検出範囲を模式的に示す。ここでは、画面66は第1乃至第4の矩形領域に区画されているものと仮定する。
【0157】
第1の光センサ46−1は、画面66の左下側に位置する第1の矩形領域に対向して配置され、その検出範囲46−1aは、第1の矩形領域と、画面61、62、65の最外周部の第1の矩形領域に隣接する領域を含む。
【0158】
第2の光センサ46−2は、画面66の右下側に位置する第2の矩形領域に対向して配置され、その検出範囲46−2aは、第2の矩形領域と、画面62、63、67の最外周部の第2の矩形領域に隣接する領域を含む。
【0159】
第3の光センサ46−3は、画面66の左上側に位置する第3の矩形領域に対向して配置され、その検出範囲46−3aは、第3の矩形領域と、画面65、69、70の最外周部の第3の矩形領域に隣接する領域を含む。
【0160】
第4の光センサ46−4は、画面66の右上側に位置する第4の矩形領域に対向して配置され、その検出範囲46−4aは、第4の矩形領域と、画面67、70、71の最外周部の第4の矩形領域に隣接する領域を含む。
【0161】
図14に、調整用映像信号に基づく投射画像(赤)の一例を示す。投射画像Pは、行列状に配置された複数の画素からなり、隣接画面との輝度差を取得する際の特定画素として、画素P1〜P8が設定されている。画素P1〜P8において、一定の輝度の蛍光(赤色)が放出され、これら画素P1〜P8以外の画素からは蛍光は放出されない。
【0162】
画素P1は、第3の矩形領域の上側最外周部の略中央に位置する。画素P2は、第4の矩形領域の上側最外周部の略中央に位置する。画素P3は、第3の矩形領域の左側最外周部の略中央に位置する。画素P4は、第4の矩形領域の右側最外周部の略中央に位置する。
【0163】
画素P5は、第1の矩形領域の左側最外周部の略中央に位置する。画素P6は、第2の矩形領域の右側最外周部の略中央に位置する。画素P7は、第1の矩形領域の下側最外周部の略中央に位置する。画素P8は、第2の矩形領域の下側最外周部の略中央に位置する。
【0164】
図14に示した投射画像Pの調整用映像信号がプロジェクタユニット1〜16に供給される。プロジェクタユニット1〜16は、調整用映像信号に基づく投射画像Pを画面61〜76に投射する。
【0165】
図15A〜
図15Hに、赤色の輝度補正テーブルを作成する際の自画面と隣接画面との間の特定画素の輝度差を取得する手順を模式的に示す。
図15A〜
図15Hに示す手順は、プロジェクタユニット6により実行される手順である。
【0166】
励起光の走査が開始されると、まず、
図15Aに示すように、画面61、62、65、66において画素P1が点灯する。この場合、画面61、62、65、66の点灯状態の画素P1のうち、画面62の画素P1のみが、第1の光センサ46−1の検出範囲46−1a内に位置し、画面66の画素P1のみが、第3の光センサ46−3の検出範囲46−3a内に位置する。
【0167】
上記の場合、第1の光センサ46−1は、画面62の画素P1からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面62の画素P1の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。第3の光センサ46−3は、画面66の画素P1からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面66の画素P1の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0168】
画素P1の点灯後、画素P1の次の画素から画素P2の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0169】
励起光が画素P2に照射された状態が
図15Bに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66において画素P2が点灯する。これら点灯状態の画素P2のうち、画面62の画素P2のみが、第2の光センサ46−2の検出範囲46−2a内に位置し、画面66の画素P2のみが、第4の光センサ46−4の検出範囲46−4a内に位置する。
【0170】
上記の場合、第2の光センサ46−2は、画面62の画素P2からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面62の画素P2の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。第4の光センサ46−4は、画面66の画素P2からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面66の画素P2の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0171】
画素P2の点灯後、画素P2の次の画素から画素P3の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0172】
励起光が画素P3に照射された状態が
図15Cに示す状態である。この状態では、画面61〜63、65〜67において画素P3が点灯する。これら点灯状態の画素P3のうち、画面66の画素P3のみが、第3の光センサ46−3の検出範囲46−3a内に位置し、画面67の画素P3のみが、第4の光センサ46−4の検出範囲46−4a内に位置する。
【0173】
上記の場合、第3の光センサ46−2は、画面66の画素P3からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面66の画素P3の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。第4の光センサ46−4は、画面67の画素P3からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面67の画素P3の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0174】
画素P3の点灯後、画素P3の次の画素から画素P4の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0175】
励起光が画素P4に照射された状態が
図15Dに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66において画素P4が点灯する。これら点灯状態の画素P4のうち、画面65の画素P4のみが、第3の光センサ46−3の検出範囲46−3a内に位置し、画面66の画素P4のみが、第4の光センサ46−4の検出範囲46−4a内に位置する。
【0176】
上記の場合、第3の光センサ46−3は、画面65の画素P4からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面65の画素P4の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。第4の光センサ46−4は、画面66の画素P4からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面66の画素P4の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0177】
画素P4の点灯後、画素P4の次の画素から画素P5の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0178】
励起光が画素P5に照射された状態が
図15Eに示す状態である。この状態では、画面61〜63、65〜67において画素P5が点灯する。これら点灯状態の画素P5のうち、画面66の画素P5のみが、第1の光センサ46−1の検出範囲46−1a内に位置し、画面67の画素P5のみが、第2の光センサ46−2の検出範囲46−2a内に位置する。
【0179】
上記の場合、第1の光センサ46−3は、画面66の画素P5からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面66の画素P5の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。第2の光センサ46−2は、画面67の画素P5からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面67の画素P5の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0180】
画素P5の点灯後、画素P5の次の画素から画素P6の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0181】
励起光が画素P6に照射された状態が
図15Fに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66において画素P6が点灯する。これら点灯状態の画素P6のうち、画面65の画素P6のみが、第1の光センサ46−1の検出範囲46−1a内に位置し、画面66の画素P6のみが、第2の光センサ46−2の検出範囲46−2a内に位置する。
【0182】
上記の場合、第1の光センサ46−1は、画面65の画素P6からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面65の画素P6の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。第2の光センサ46−4は、画面66の画素P6からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面66の画素P6の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0183】
画素P6の点灯後、画素P6の次の画素から画素P7の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0184】
励起光が画素P7に照射された状態が
図15Gに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66、69、70において画素P7が点灯する。これら点灯状態の画素P7のうち、画面66の画素P7のみが、第1の光センサ46−1の検出範囲46−1a内に位置し、画面70の画素P7のみが、第3の光センサ46−3の検出範囲46−3a内に位置する。
【0185】
上記の場合、第1の光センサ46−1は、画面66の画素P7からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面66の画素P7の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。第3の光センサ46−3は、画面70の画素P7からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面70の画素P7の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0186】
画素P7の点灯後、画素P7の次の画素から画素P8の1つ前の画素までは励起光は照射されない。
【0187】
励起光が画素P8に照射された状態が
図15Hに示す状態である。この状態では、画面61、62、65、66、69、70において画素P8が点灯する。これら点灯状態の画素P7のうち、画面66の画素P8のみが、第2の光センサ46−2の検出範囲46−2a内に位置し、画面70の画素P8のみが、第4の光センサ46−4の検出範囲46−4a内に位置する。
【0188】
上記の場合、第2の光センサ46−2は、画面66の画素P8からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面66の画素P8の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。第4の光センサ46−4は、画面70の画素P8からの赤色の蛍光のみを検出し、その結果(画面70の画素P8の検出結果)をプロジェクタユニット6に供給する。
【0189】
プロジェクタユニット6では、画面66と上下左右側の隣接画面62、65、67、70のそれぞれとの輝度調整が可能である。
【0190】
以下に、画面66と上側の隣接画面70との間で用いられる第1の輝度補正テーブルの作成手法、画面66と左側の隣接画面65との間で用いられる第2の輝度補正テーブルの作成手法、画面66と右側の隣接画面67との間で用いられる第3の輝度補正テーブルの作成手法、および画面66と下側の隣接画面62との間で用いられる第4の輝度補正テーブルの作成手法をそれぞれ説明する。
【0191】
(第1の輝度補正テーブルの作成手法)
プロジェクタユニット6では、画面66の輝度を上側の隣接画面70の輝度に合わせるための輝度補正テーブルを作成するために、画面66の画素P1、P2とこれらに隣接する画面70の画素P7、P8との輝度差が用いられる。
【0192】
具体的には、映像信号補正部336は、
図15Aに示した状態で第3の光センサ46−3から取得した画面66の画素P1の輝度値と
図16Gに示した状態で第3の光センサ46−3から取得した画面70の画素P7の輝度値との差(第1の輝度差)を取得する。さらに、映像信号補正部336は、
図15Bに示した状態で第4の光センサ46−4から取得した画面66の画素P2の輝度値と
図15Hに示した状態で第4の光センサ46−4から取得した画面70の画素P8の輝度値との差(第2の輝度差)を取得する。そして、映像信号補正部336は、第1および第2の輝度差の平均値に基づいて赤色の第1の輝度補正テーブルを作成する。
【0193】
上記の場合において、映像信号補正部336は、画面66の画素P1、P2の輝度値の平均値と、画面70の画素P7、P8の輝度値の平均値との差を求め、その差に基づいて赤色の輝度補正テーブルを作成してもよい。
【0194】
(第2の輝度補正テーブルの作成手法)
プロジェクタユニット6では、画面66の輝度を左側の隣接画面65の輝度に合わせるための輝度補正テーブルを作成するために、画面66の画素P3、P5とこれらに隣接する画面65の画素P4、P6との輝度差が用いられる。
【0195】
具体的には、映像信号補正部336は、
図15Cに示した状態で第3の光センサ46−3から取得した画面66の画素P3の輝度値と
図15Dに示した状態で第3の光センサ46−3から取得した画面65の画素P4の輝度値との差(第1の輝度差)を取得する。さらに、映像信号補正部336は、
図15Eに示した状態で第1の光センサ46−1から取得した画面66の画素P5の輝度値と
図15Fに示した状態で第1の光センサ46−1から取得した画面65の画素P6の輝度値との差(第2の輝度差)を取得する。そして、映像信号補正部336は、第1および第2の輝度差の平均値に基づいて赤色の第2の輝度補正テーブルを作成する。
【0196】
上記の場合において、映像信号補正部336は、画面66の画素P3、P5の輝度値の平均値と、画面65の画素P4、P6の輝度値の平均値との差を求め、その差に基づいて赤色の第2の輝度補正テーブルを作成してもよい。
【0197】
(第3の輝度補正テーブルの作成手法)
プロジェクタユニット6では、画面66の輝度を右側の隣接画面67の輝度に合わせるための輝度補正テーブルを作成するために、画面66の画素P4、P6とこれらに隣接する画面67の画素P3、P5との輝度差が用いられる。
【0198】
具体的には、映像信号補正部336は、
図15Dに示した状態で第4の光センサ46−4から取得した画面66の画素P4の輝度値と
図15Cに示した状態で第4の光センサ46−4から取得した画面67の画素P3の輝度値との差(第1の輝度差)を取得する。さらに、映像信号補正部336は、
図15Fに示した状態で第3の光センサ46−3から取得した画面66の画素P6の輝度値と
図15Eに示した状態で第2の光センサ46−2から取得した画面67の画素P5の輝度値との差(第2の輝度差)を取得する。そして、映像信号補正部336は、第1および第2の輝度差の平均値に基づいて赤色の第3の輝度補正テーブルを作成する。
【0199】
上記の場合において、映像信号補正部336は、画面66の画素P4、P5の輝度値の平均値と、画面67の画素P3、P5の輝度値の平均値との差を求め、その差に基づいて赤色の第3の輝度補正テーブルを作成してもよい。
【0200】
(第4の輝度補正テーブルの作成手法)
プロジェクタユニット6では、画面66の輝度を下側の隣接画面62の輝度に合わせるための輝度補正テーブルを作成するために、画面66の画素P7、P8とこれらに隣接する画面62の画素P1、P2との輝度差が用いられる。
【0201】
具体的には、映像信号補正部336は、
図15Gに示した状態で第1の光センサ46−1から取得した画面66の画素P7の輝度値と
図15Aに示した状態で第1の光センサ46−1から取得した画面62の画素P1の輝度値との差(第1の輝度差)を取得する。さらに、映像信号補正部336は、
図15Hに示した状態で第2の光センサ46−2から取得した画面66の画素P8の輝度値と
図15Bに示した状態で第2の光センサ46−2から取得した画面62の画素P2の輝度値との差(第2の輝度差)を取得する。そして、映像信号補正部336は、第1および第2の輝度差の平均値に基づいて赤色の第4の輝度補正テーブルを作成する。
【0202】
上記の場合において、映像信号補正部336は、画面66の画素P7、P8の輝度値の平均値と、画面62の画素P1、P2の輝度値の平均値との差を求め、その差に基づいて赤色の第4の輝度補正テーブルを作成してもよい。
【0203】
また、プロジェクタユニット6では、画面66の上下左右のいずれの側にも隣接画面(隣接プロジェクタユニット)が存在しない場合は、映像信号補正部336は、入力した映像信号を補正しないでそのまま出力するような赤色の第5の輝度補正テーブルを作成する。
【0204】
主制御部82は、プロジェクタユニット6に対して、赤色の第1乃至第5の輝度補正テーブルのいずれかを作成するかを指示する輝度補正テーブル作成指示信号を供給する。映像信号補正部336は、主制御部82からの指示信号に従って、赤色の第1乃至第5の輝度補正テーブルのいずれかを作成する。
【0205】
上記の赤色の第1乃至第4の輝度補正テーブルの作成手法と同様に、緑色および青色についても、第1乃至第4の輝度補正テーブルを作成することができる。映像信号補正部336は、主制御部82からの指示に従って、緑色および青色のそれぞれについて、第1乃至第4の輝度補正テーブルのいずれかを作成する。
【0206】
プロジェクタユニット1〜5、7〜16においても、プロジェクタユニット6と同様の手順で赤色、緑色および青色の各色について、主制御部82からの輝度補正テーブル作成指示信号にしたがって第1乃至第5の輝度補正テーブルのいずれかを作成することができる。
【0207】
本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイにおいては、プロジェクタユニット1〜16のそれぞれは、上下左右側の各隣接プロジェクタユニットとの輝度調整が可能である。主制御部82は、プロジェクタユニット1〜16のうちの1つを基準として、基準のプロジェクタユニットに、各色の第5の輝度補正テーブルを作成させる。また、主制御部82は、残りのプロジェクタユニットに対して、それぞれの配置に応じて第1乃至第4の輝度補正テーブルのうちのいずれかを作成させる。
【0208】
プロジェクタユニット1〜16が、同時に調整処理を行い、この調整処理を数回繰り返せば、プロジェクタユニット1〜16の各色の投射画像の輝度を略一致させることができ、スクリーン78全体で、一様な輝度の投射画像を得ることができる。主制御部82は、予め定められた回数だけ、調整処理をプロジェクタユニット1〜16に行わせる。
【0209】
本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイによっても、第1および第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。特に、本実施形態では、自プロジェクタユニットと上下左右のいずれかに隣接するプロジェクタユニットとの間で輝度補正テーブルを作成することができるので、プロジェクタユニット1〜16に輝度調整の回数は第2の実施形態の場合よりも少ない。
【0210】
本実施形態のマルチプロジェクションディスプレイの構成および動作は適宜に変更可能である。
【0211】
例えば、
図14に示した調整画像に代えて
図10に示した調整画像を用いてもよい。この場合は、第1の光センサの検出範囲が、画素P1が位置する第1の辺部近傍の領域に設定され、第2の光センサの検出範囲が、画素P2が位置する第2の辺部近傍の領域に設定され、第3の光センサの検出範囲が、画素P3が位置する第3の辺部近傍の領域に設定され、第4の光センサの検出範囲が、画素P4が位置する第4の辺部近傍の領域に設定される。
【0212】
上記の場合、隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの上側に有る場合は、第1の光センサから自画面の画素P1の輝度値と隣接画面の画素P4の輝度値との差を取得し、その輝度差に基づいて輝度補正テーブルを作成する。
【0213】
隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの左側に有る場合は、第2の光センサから自画面の画素P2の輝度値と隣接画面の画素P3の輝度値との差を取得し、その輝度差に基づいて輝度補正テーブルを作成する。
【0214】
隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの右側に有る場合は、第3の光センサから自画面の画素P3の輝度値と隣接画面の画素P2の輝度値との差を取得し、その輝度差に基づいて輝度補正テーブルを作成する。
【0215】
隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの下側に有る場合は、第4の光センサから自画面の画素P4の輝度値と隣接画面の画素P1の輝度値との差を取得し、その輝度差に基づいて輝度補正テーブルを作成する。
【0216】
上記の場合、画素P1と画素P4の第1の組と、画素P2と画素P3との第2の組をそれぞれ複数設けてもよい。この場合、隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの上側または下側に有る場合は、第1の組毎に、画素P1、P4の輝度差を求め、その輝度差の平均値に基づいて輝度補正テーブルを作成する。隣接プロジェクタユニットが自プロジェクタユニットの左側または右側に有る場合は、第2の組毎に、画素P2、P3の輝度差を求め、その輝度差の平均値に基づいて輝度補正テーブルを作成する。これにより、自画面と隣接画面との間で、画面境界部分に隣接する画素間の輝度差をより小さくすることができるので、繋ぎ目はより視認され難くなる。
【0217】
以上説明した各実施形態のマルチプロジェクションディスプレイは、本発明の一例であり、その構成および動作については、発明趣旨を逸脱しない範囲で、当業者が理解し得る変更を加えることができる。
【0218】
例えば、第1乃至第3の実施形態において、主制御部82は、調整画像の特定画素の周辺の画素を非点灯状態としてもよい。
【0219】
主制御部82は、調整画像の、特定画素と周辺部の画素(非点灯状態の画素)とを除く画素領域を、入力映像信号(分割映像信号)に基づく画像の、上記の画素領域に対向する画素の信号で書き換えた映像信号を調整用映像信号として各プロジェクタユニット1〜16に供給してもよい。
【0220】
図16に、
図14に示した調整画像の特定画素の周辺部の画素を非点灯状態とした画像の一例を模式的に示す。
【0221】
図16を参照すると、走査方向における画素P1の前後の領域A1、A2は非点灯状態の画素よりなる。領域A1の画素数は、領域A2の画素数と同じである。領域A1、A2の画素数は、プロジェクタユニット1〜16の間の水平方向の同期ずれに基づいて決定される。
【0222】
領域A3は、画素P2、P3を含む走査線と、該走査線の両側に隣接する2つの走査線とを含む。領域A3の画素P2、P3を除く画素が非点灯状態とされる。
【0223】
走査方向における画素P4の前後の領域A4、A5は非点灯状態の画素よりなる。領域A4の画素数は、領域A5の画素数と同じである。領域A4、A5の画素数は、プロジェクタユニット1〜16の間の水平方向の同期ずれに基づいて決定される。
【0224】
主制御部82は、画素P1〜P4と領域A1〜A5の非点灯状態の画素とを除く領域S1、S2の各画素を、入力映像信号(分割映像信号)に基づく画像の対応する画素の信号で書き換えた映像信号を調整用映像信号として生成する。
【0225】
図17に、そのような調整用映像信号の一例を示す。
【0226】
図17には、プロジェクタユニット1、2、5、6により投射される調整用映像信号に基づく調整画像が模式的に示されている。画面61、62、65、66のそれぞれに
図16に示した投射画像Pが表示されている。画面61では、領域S1、S2に第1の分割映像信号に基づく画像が表示される。画面62では、領域S1、S2に第2の分割映像信号に基づく画像が表示される。画面65では、領域S1、S2に第5の分割映像信号に基づく画像が表示される。画面66では、領域S1、S2に第6の分割映像信号に基づく画像が表示される。
【0227】
他のプロジェクタユニット3、4、7〜16においても、上記と同様、
図16に示した投射画像Pが表示され、領域S1、S2に、対応する分割映像信号に基づく画像が表示される。
【0228】
上記の構成によれば、プロジェクタユニット1〜16において、第1乃至第16の分割映像信号に基づく画像を表示しながら、各色の輝度補正テーブルを作成することができる。
【0229】
また、第1乃至第3の実施形態において、スクリーン78は、赤、緑および青の各色のレーザ光を拡散する拡散層を有するスクリーンであってもよい。この場合は、プロジェクタユニット1〜16はそれぞれ、各色のレーザ光を出射するレーザ光源を備え、レーザ光源毎に、
図4に示した投射部を備える。
【0230】
また、第1乃至第3の実施形態において、プロジェクタユニット1〜16のそれぞれは、隣接プロジェクタユニットの有無を検出する隣接情報取得部を備えていてもよい。
【0231】
図18に、隣接情報取得部の一例を示す。
図18を参照すると、プロジェクタユニット1を収容した筐体231に、メカニカルスイッチ211−1〜211−4が設けられている。隣接情報取得部は、メカニカルスイッチ211−1〜211−4よりなる。
【0232】
メカニカルスイッチ211−1は、左側側面の内側に配置され、突起部がその面から外部に突出している。突起部が押下され、突起部の上端が側面まで押し下げられることで、オン状態となってその旨を示す第1の検出信号を出力する。
【0233】
メカニカルスイッチ211−2は、下面の内側に配置され、突起部がその面から外部に突出している。突起部が押下され、突起部の上端が下面まで押し下げられることで、オン状態となってその旨を示す第2の検出信号を出力する。
【0234】
メカニカルスイッチ211−3は、右側側面の内側に配置され、突起部がその面から外部に突出している。突起部が押下され、突起部の上端が側面まで押し下げられることで、オン状態となってその旨を示す第3の検出信号を出力する。
【0235】
メカニカルスイッチ211−4は、上面の内側に配置され、突起部がその面から外部に突出している。突起部が押下され、突起部の上端が上面まで押し下げられることで、オン状態となってその旨を示す第4の検出信号を出力する。
【0236】
第1乃至第4の検出信号は、映像信号補正部331に供給されている。映像信号補正部331は、第1乃至第4の検出信号に基づいて、隣接プロジェクタユニットの有無を検出する。
【0237】
図18に示した構成と同じ隣接情報取得部が、他のプロジェクタユニット2〜16にも設けられている。
【0238】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の構成および動作については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、当業者が理解し得る様々な変更を行うことができる。
【0239】
この出願は、2011年3月3日に出願された日本出願特願2011−046795を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。