【0008】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。しかしながら、係る形態は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態における配線チェックシステムについて、
図9を用いて説明する。
本実施形態における配線チェックシステム100は、配線情報取得手段101と、プレーン導体検出手段102と、プレーン導体重なり形状検出手段103と、跨ぎ箇所検出手段104と、を備える。
配線情報取得手段101は、多層構造を有するプリント基板に含まれる配線の、配線情報を取得する。プレーン導体検出手段102は、多層構造のうち、配線を有する層に直近の層を含む複数層が有する、複数のプレーン導体を検出する。プレーン導体重なり形状検出手段103は、複数のプレーン導体を重ねた形状である、プレーン導体重なり形状を検出する。跨ぎ箇所検出手段104は、配線と、プレーン導体重なり形状とを重ねた形状である、配線−プレーン導体重なり形状を検出する。そして、該配線−プレーン導体重なり形状に基づいて、配線が、プレーン導体重なり形状におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する。
次に本実施形態における配線チェックシステム100によるプリント基板の配線チェック方法について、
図10を用いて説明する。
なお、配線チェックシステム100で配線チェックを行うプリント基板として、
図11に示すプリント基板110を用いることとする。プリント基板110は、3層構造からなる多層構造を有する。それぞれの層は、
図11において一番上の層から、層111、層112、層113とする。層111は、配線114を有する。層112は、プレーン導体115を有する。層113は、プレーン導体116を有する。
図11Aは、プリント基板110の上面図を示す。
図11Bは、プリント基板110の、VII−VII線における断面図を示す。
図11Cは、プリント基板110の層111〜113それぞれの上面図を示す。
初めに、配線情報取得手段101は、配線114の配線情報を取得する(ステップ1)。ここでいう配線114は、配線チェックシステム100でチェックする対象となる配線である。
次に、プレーン導体検出手段102は、配線114を有する層111に直近の層112を含む複数層112、113が有する、複数のプレーン導体115、116を検出する(ステップ2)。
そして、プレーン導体重なり形状検出手段103は、プレーン導体115、116を重ね合わせた形状を検出する(ステップ3)。以下では、プレーン導体115、116を重ね合わせた形状を、プレーン導体重なり形状117と呼ぶことにする。プレーン導体重なり形状117を、
図12に示す。
跨ぎ箇所検出手段104は、配線と、プレーン導体重なり形状と、を重ね合わせた形状から、配線114が、プレーン導体重なり形状117におけるプレーン導体非形成領域119を跨ぐ箇所である、跨ぎ箇所120、121を検出する(ステップ4)。以下では、この配線と、プレーン導体重なり形状とを重ね合わせた形状を、配線−プレーン導体重なり形状118と呼ぶことにする。
以上のようにして、配線チェックシステムが完了する。なお、プリント基板110が有する配線は、配線114のみであるが、複数の配線を有するプリント基板の配線チェックを行う場合には、ステップ1〜4を、それぞれの配線について行う。
以上のようにして、本実施形態の配線チェックシステム100においては、電磁ノイズ特性の悪化の危険性を知るにあたって、配線の直近に位置するプレーン導体以外のプレーン導体の形状を考慮することが可能となる。
そのため、プリント基板の電磁ノイズ特性を効率的に改善することが可能となる。
なお、本実施形態における配線チェックシステム100は、単一の装置で構成されることとしても良いし、複数の装置で構成されることとしても良い。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態における配線チェックシステムについて、
図13を用いて説明する。本実施形態における配線チェックシステム200は、記録装置210と、配線チェック装置220と、出力装置230と、を備える。配線チェック装置220は、記録装置210及び出力装置230のそれぞれと、有線又は無線で通信可能な状態にある。
記録装置210は、設計情報記録部211を備える。設計情報記録部211は、プリント基板の設計情報(CADデータ)を記録する。設計情報には、例えば、プリント基板の配線の位置情報などが含まれる。
配線チェック装置220は、配線情報取得部221と、プレーン導体検出部222と、プレーン導体重なり形状検出部223と、跨ぎ箇所検出部224と、を備える。
配線情報取得部221は、設計情報記録部211に記録された設計情報を参照して、チェック対象となる配線の配線情報を取得する。プレーン導体検出部222は、該配線の層に直近の層を含む、複数層が有する複数のプレーン導体を検出する。プレーン導体重なり形状検出部223は、プレーン導体検出部222が検出した複数のプレーン導体を重ね合わせた形状である、プレーン導体重なり形状を検出する。跨ぎ箇所検出部224は、チェック対象となる配線と、プレーン導体重なり形状と、を重ねた形状である、配線−プレーン導体重なり形状を検出する。そして、跨ぎ箇所検出部224は、配線−プレーン導体重なり形状に基づき、配線が、プレーン導体重なり形状におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所である、跨ぎ箇所を検出する。
出力装置230は、跨ぎ箇所検出部224によって検出された跨ぎ箇所の情報を出力する。
次に、本実施形態の配線チェックシステム200によるプリント基板の配線チェック方法について、
図14に示すフローチャートを用いて説明する。なお、配線チェックシステム200で配線チェックを行うプリント基板として、
図15Aに示すプリント基板240を用いることとする。プリント基板240は、層241〜247の7層構造を有する。層241〜243、及び層245〜247は、プレーン導体248〜253を有する。層244は、配線254を有する。なお、設計情報記録部211には、予め、プリント基板240の設計情報が記録されているものとする。
配線チェックシステム200が動作開始すると、配線情報取得部221は、設計情報記録部211に記録された、プリント基板240のCADデータを読み込む。そして、配線情報取得部221は、チェック対象となる配線254の配線情報を取得する(ステップ5)。配線情報とは、例えば、配線の位置座標(XY座標等)や、配線層などの情報である。
次に、プレーン導体検出部222は、取得した配線情報に基づいて、配線254を有する層244に直近の層243、245を含む、複数層(層241〜247)が有するプレーン導体248〜253を検出する(ステップ6)。この時、プレーン導体検出部222は、設計情報記録部211に記録されたプリント基板240のCADデータを読み込むことで、プレーン導体の検出を行う。
次に、プレーン導体重なり形状検出部223は、プレーン導体検出部222が検出したプレーン導体248〜253を重ね併せた形状である、プレーン導体重なり形状255を検出する(ステップ7)。
図15Bは、プレーン導体重なり形状255の斜視図を示す。
そして、跨ぎ箇所検出部224は、プレーン導体重なり形状255と、配線254とを重ねた形状である、配線−プレーン導体重なり形状256を検出する(ステップ8)。
図15Cは、配線−プレーン導体重なり形状256の上面図を示す。
そして、跨ぎ箇所検出部224は、配線−プレーン導体重なり形状256から、配線254が、プレーン導体重なり形状255におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する(ステップ9)。すなわち、跨ぎ箇所検出部224が検出する跨ぎ箇所は、配線254が、プレーン導体248〜253のいずれのプレーン導体も形成されていない領域を跨ぐ箇所である。本実施形態においては、跨ぎ箇所検出部224は、
図15Cに示す、跨ぎ箇所257、258を検出する。
また、配線254の他に、配線チェックの対象となる配線がある場合(ステップ10においてYES)、配線情報取得部221は再び設計情報を読み込み、ステップ5〜9までの工程を繰り返す。一方、配線チェックの対象となる配線がない場合(ステップ10においてNO)、跨ぎ箇所検出部224が検出した跨ぎ箇所の情報は出力装置230に送出される。そして、出力装置230は、受信した跨ぎ箇所の情報を出力する(ステップ11)。ここで、出力装置230は、受信した跨ぎ箇所の情報を表示画面に表示することとしても良いし、印刷することとしても良い。以上で、配線チェックシステム200による配線チェックは終了する。
以上のようにして、本実施形態における配線チェックシステム200は、配線254の直近に位置するプレーン導体243、245だけでなく、プレーン導体241、242、246、247の形状も考慮して、跨ぎ箇所を検出している。
そのため、電磁ノイズ特性の悪化の危険性を知るにあたって、配線の直近に位置するプレーン導体以外のプレーン導体の存在を考慮することが可能となる。すなわち、配線の直近に位置するプレーン導体以外のプレーン導体の存在により、電磁ノイズ特性の悪化の危険性が低減される効果を考慮した上で、電磁ノイズ特性の悪化の危険性を知ることができる。そのため、プリント基板の電磁ノイズ特性を効率的に改善することが可能となる。
なお、本実施形態においては、プリント基板が有する全ての層のプレーン導体を検出し、重ね合わせることとした。すなわち、配線が何層目にあるかに関わらず、全プレーン導体を重ね合わせている。このため、チェック対象となる配線が多数、複数の層に配置する場合でも、常に全てのプレーン導体を検出すればよく、重ね合わせについても、全てのプレーン導体を重ね合わせた形状を1つ検出すれば良い。そのため、プレーン導体検出部222及びプレーン導体重なり形状検出部223の動作については、配線の位置に関わらず同じ動作とすることができる。
ここで、プリント基板によっては、配線と同層に、プレーン導体が配置される場合も多い。すなわち、一つの層に、配線と、プレーン導体とが混在している場合も多い。しかし、配線の存在する層において、配線が存在する位置には、プレーン導体は存在しない。よって、配線と同層のプレーン導体を含めたとしても、含めなかったとしても、配線が複数のプレーン導体を重ね合わせた形状におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所の位置は、変化しない。そのため、プレーン導体検出部222は、配線と同層のプレーン導体については、検出しないこととしても良い。
但し、後述する第4の実施形態にて示すように、跨ぎ箇所を検出する際に、プレーン導体非形成領域の面積も考慮する場合には、配線と同層のプレーン導体を含めるか否かで、検出される跨ぎ箇所が異なる場合もある。
なお、跨ぎ箇所には、配線がプレーン導体の内部に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所と、前記配線が複数のプレーン導体の間に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所と、が含まれる。配線がプレーン導体の内部に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を、以下では、プレーン導体内跨ぎ箇所と呼ぶことにする。前記配線が複数のプレーン導体の間に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を、以下では、プレーン導体間跨ぎ箇所と呼ぶことにする。よって、跨ぎ箇所には、プレーン導体内跨ぎ箇所と、プレーン導体間跨ぎ箇所と、が含まれる。ここで、跨ぎ箇所検出部224は、プレーン導体内跨ぎ箇所と、プレーン導体間跨ぎ箇所と、を区別して検出することとしても良い。一般的に、プレーン導体間跨ぎ箇所は、プレーン導体内跨ぎ箇所よりも、電磁ノイズ特性が悪化する危険性が高いため、それらを区別して検出することにより、より効率的に設計対策が可能となり、電磁ノイズ特性を高めることできる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について述べる。
第2の実施形態においては、配線チェックシステム200の配線チェック方法として、プリント基板240が有する全てのプレーン導体248〜253を重ね合わせる方法とした。このプリント基板240が有する全てのプレーン導体248〜253を重ね合わせる方法を、以下では、第1の配線チェック方法と呼ぶことにする。しかしながら、配線チェックシステム200による配線チェック方法は、これに限らない。
例えば、検出した複数のプレーン導体を、配線よりも上部に位置するプレーン導体と、配線よりも下部に位置するプレーン導体と、で区別して検出し、それぞれで重ね合わせを行っても良い。
また、プリント基板が有する複数のプレーン導体のうち、配線から所定の距離の範囲内にあるプレーン導体のみを検出することとしても良い。
そこで、本実施形態においては、このような、配線チェックシステム200による他の配線チェック方法について述べる。
初めに、プレーン導体検出部222が検出したプレーン導体を、配線よりも上部に位置するプレーン導体と、配線よりも下部に位置するプレーン導体と、で区別して、それぞれで重ね合わせを行う方法について述べる。この配線よりも上部に位置するプレーン導体と、この配線よりも下部に位置するプレーン導体と、で区別して、それぞれで重ね合わせを行う方法を、以下では、第2の配線チェック方法と呼ぶことにする。
なお、配線チェックの対象となるプリント基板としては、第2の実施形態と同様、
図15Aに示すプリント基板240を用いることとする。また、ステップ5については、第2の実施形態における第1の配線チェック方法と同様なので、説明は省略する。
プレーン導体検出部222は、配線254よりも上部に位置するプレーン導体248〜250と、配線254よりも下部に位置するプレーン導体251〜253と、をそれぞれ検出する。
そして、プレーン導体重なり形状検出部223は、配線254よりも上部に位置するプレーン導体248〜250を重ね合わせた形状を検出する。配線254よりも上部に位置するプレーン導体248〜250を重ね合わせた形状を、以下では、上部プレーン導体重なり形状259と呼ぶことにする。同様に、プレーン導体重なり形状検出部223は、配線254よりも下部に位置するプレーン導体251〜253を重ね合わせた形状についても検出する。配線254よりも下部に位置するプレーン導体251〜253を重ね合わせた形状を、以下では、下部プレーン導体重なり形状260と呼ぶことにする。
図16に、上部プレーン導体重なり形状259と、下部プレーン導体重なり形状260を示す。
次に、跨ぎ箇所検出部224は、配線254と、上部プレーン導体重なり形状259とを重ね合わせた形状を検出する。配線254と、上部プレーン導体重なり形状259とを重ね合わせた形状を、以下では、配線−上部プレーン導体重なり形状と呼ぶことにする。同様に、跨ぎ箇所検出部224は、配線254と、下部プレーン導体重なり形状260とを重ね合わせた形状も検出する。配線254と、下部プレーン導体重なり形状260とを重ね合わせた形状を、以下では、配線−下部プレーン導体重なり形状と呼ぶことにする。
そして、跨ぎ箇所検出部224は、配線−上部プレーン導体重なり形状と、配線−下部プレーン導体重なり形状のそれぞれから、配線254がプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する。そして、跨ぎ箇所検出部224により検出された跨ぎ箇所の情報は、出力装置230によって出力される。以上のようにして、第2の配線チェック方法による配線チェックが完了する。
次に、より詳細な具体例を挙げて、第2の配線チェック方法について説明する。ここでは、配線チェックの対象としてプリント基板270を用いることとする。プリント基板270は、積層された層271〜276の6層構造を有する。なお、図示はしていないが、層271〜276はこの順で積層されており、層271が最も上層で、層276が最も下層の層である。
図17には、プリント基板270の各層の上面図を示す。層271、272及び層274〜276は、プレーン導体277〜282を有する。層273は、配線283、284を有する。なお、
図17における斜線部は、プレーン導体が形成された領域である、プレーン導体形成領域を示す。また、点線は、プリント基板270の外形を示す。
初めに、配線情報取得部221は、設計情報記録部211から、配線283の配線情報を取得する。
次に、プレーン導体検出部222は、配線283を有する層273に直近の層272、274を含む複数層が有する、複数のプレーン導体を検出する。ここでは、プレーン導体検出部222は、配線283を有する層273よりも上部の層が有する、プレーン導体277、278を検出する。同様に、プレーン導体検出部222は、配線283を有する層273よりも下部の層が有する、プレーン導体279〜282を検出する。
プレーン導体重なり形状検出部223は、プレーン導体277、278を重ね合わせた形状を検出する。プレーン導体277、278を重ね合わせた形状を、以下では、上部プレーン導体重なり形状285と呼ぶことにする。同様に、プレーン導体重なり形状検出部223は、プレーン導体279〜282を重ね合わせた形状を検出する。プレーン導体279〜282を重ね合わせた形状を、以下では、下部プレーン導体重なり形状286と呼ぶことにする。
次に、跨ぎ箇所検出部224は、配線283と、上部プレーン導体重なり形状285とを重ね合わせた形状を検出する。配線283と、上部プレーン導体重なり形状285とを重ね合わせた形状を、以下では、配線−上部プレーン導体重なり形状287と呼ぶことにする。同様に、跨ぎ箇所検出部224は、配線283と、下部プレーン導体重なり形状286とを重ね合わせた形状を検出する。配線283と、下部プレーン導体重なり形状286とを重ね合わせた形状を、以下では、配線−下部プレーン導体重なり形状288と呼ぶことにする。
そして、跨ぎ箇所検出部224は、配線−上部プレーン導体重なり形状287に基づいて、配線283が、上部プレーン導体重なり形状285におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所(跨ぎ箇所289、290)を検出する。同様に、跨ぎ箇所検出部224は、配線−下部プレーン導体重なり形状288に基づいて、配線283が、下部プレーン導体重なり形状286におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する。なお、配線−下部プレーン導体重なり形状288おいては、配線283がプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所はないため、跨ぎ箇所は検出されない。以上のようにして、配線283における、跨ぎ箇所の検出が完了する。
次に、配線情報取得部221は、設計情報記録部211から、配線284の配線情報を取得する。そして、配線283の場合と同様の工程により、配線−上部プレーン導体重なり形状291と、配線−下部プレーン導体重なり形状292とを検出する。
そして、跨ぎ箇所検出部224は、配線−上部プレーン導体重なり形状291に基づいて、配線284が、上部プレーン導体重なり形状285におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する。配線−上部プレーン導体重なり形状291においては、配線284がプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所はないため、跨ぎ箇所は検出されない。同様に、跨ぎ箇所検出部224は、配線−下部プレーン導体重なり形状292に基づいて、配線283が、下部プレーン導体重なり形状286におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所、すなわち
図17Aに示されるような跨ぎ箇所293、294、を検出する。以上のようにして、配線284における、跨ぎ箇所の検出が完了する。
配線283、284の跨ぎ箇所の検出が完了すると、配線チェック装置220は、該検出の情報を、出力装置230に送出する。そして、出力装置230は、受信した跨ぎ箇所の情報を、出力する。出力装置230による、跨ぎ箇所の情報の出力の仕方としては、
図17Bに示すように、跨ぎ箇所を配線283、284に重ねて丸印をつける方法や、プレーン導体上に丸印をつけるといった方法がある。このように表示することで、配線やプレーン導体において、電磁ノイズ特性の悪化の危険性が高く、優先的に対策設計すべき箇所が明確になる。これにより、対策設計を効率的に行うことができる。
なお、プレーン導体上に、跨ぎ箇所を表示するためには、跨ぎ箇所が検出されたプレーン導体が何層であるかを検出する必要がある。これは、例えば、プレーン導体検出部222が、各層におけるプレーン導体の形成領域と非形成領域(スリット)との境界線の情報を検出し、この情報を跨ぎ箇所検出224が参照することで実現できる。すなわち、跨ぎ箇所検出部224が、該各層の境界線の情報に基づき、跨ぎ箇所が検出されたプレーン導体が、何層目のプレーン導体であるかを判定すればよい。
以上のようにして、第2の配線チェック方法は完了する。
この方法は、プリント基板における電磁ノイズの放射や、外部から進入した電磁ノイズの結合を考えると、プリント基板の基板内層(積層構造のうち、最上層及び最下層以外の層)に形成された配線をチェックする際に非常に有効となる。すなわち、基板内層に形成された配線の場合、該配線が、プリント基板の上部及び下部いずれにおいてもプリント基板外部に晒されていない状態と、プリント基板の上部及び下部の少なくとも一方においてプリント基板外部に晒されている状態とでは、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性が異なる。しかしながら、第1の配線チェック方法のように、プリント基板に含まれるプレーン導体の全てを重ね合わせたプレーン導体重なり形状のみを検出した場合には、プリント基板の上部及び下部の一方において、配線がプリント基板外部にさらされている状態を把握することはできない。一方、第2の配線チェック方法によれば、配線−上部プレーン導体重なり形状と、配線−下部プレーン導体重なり形状と、をそれぞれ検出する。そのため、配線が、プリント基板の上部及び下部の一方において、プリント基板外部にさらされている状態を把握することができる。
なお、第2のチェック方法においても、第1のチェック方法と同様に、配線と同じ層に位置するプレーン導体も検出することとしても良い。この場合、配線と同じ層に位置するプレーン導体は、上部プレーン導体重なり形状と下部プレーン導体重なり形状との両方に含まれることとしても良い。
次に、配線チェック方法の他の例として、プリント基板が有する複数のプレーン導体のうち、配線から所定の距離の範囲内、或いは所定の層数の範囲内にあるプレーン導体のみを検出する方法について説明する。この配線から所定の距離の範囲内、或いは所定の層数の範囲内にあるプレーン導体のみを検出する方法を、以下では、第3の配線チェック方法と呼ぶことにする。
なお、配線と、プレーン導体との距離が、電磁ノイズ特性の悪化の危険性の大きさに影響することの原理は、
図8C及び
図8Dについての説明の際に述べた通りである。すなわち、
図8Dに示すように、配線に直近のプレーン導体51に直近の、プレーン導体52の表面に発生する渦電流から生じる電磁界により、スリット周囲の電磁界が弱まる。そして、プレーン導体51とプレーン導体52の距離が近いほど、プレーン導体51のノイズ電流により生じる電磁界が、プレーン導体52に強く結合する。すなわち、プレーン導体51とプレーン導体52の距離が近いほど、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性は低減される。
以上のような理由から、配線がプレーン導体非形成領域(スリット)を跨ぐ場合、このスリットと、他の層に配置されたプレーン導体との距離が、電磁ノイズ特性の悪化の危険性に影響する。このことをふまえ、例えば、配線が存在する層から上下2層のプレーン導体を検出する方法や、配線から上下方向に1mm以内のプレーン導体まで検出するといった、第3の配線チェック方法が考えられる。
第3の配線チェック方法の具体的な内容について説明する。なお、配線チェックの対象となるプリント基板としては、第2の実施形態と同様、
図15Aに示すプリント基板240を用いることとする。また、ステップ5については、第2の実施形態における第1の配線チェック方法と同様なので、説明は省略する。
プレーン導体検出部222は、配線から所定の層数、例えば配線を有する層から2層以内、や、配線から、基板積層方向における所定の距離の範囲内、例えば配線を有する層から1mm以内や、配線を有する層に直近の層から1mm以内など、に配置される、プレーン導体を検出する。
本実施形態においては、配線を有する層から2層以内の層のプレーン導体を検出するように設定されていることとする。この場合、プレーン導体検出部222は、
図18Aに示すような、配線254を有する層244から2層以内の層242、243、245、256のプレーン導体249〜252を検出する。
次に、プレーン導体重なり形状検出部223は、プレーン導体249〜252を重ね合わせた形状である、プレーン導体重なり形状295を検出する。
図18Bに、プレーン導体重なり形状295を示す。
跨ぎ箇所検出部224は、配線254と、プレーン導体重なり形状295と、を重ね合わせた形状である、配線−プレーン導体重なり形状296を検出する。
そして跨ぎ箇所検出部224は、配線−プレーン導体重なり形状296に基づいて、配線254が、プレーン導体重なり形状295におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する。
なお、跨ぎ箇所検出部224が、跨ぎ箇所を検出した後、出力装置230が該跨ぎ箇所の情報を出力する工程については、他の配線チェック方法と同様なので、説明は省略する。
以上のようにして、第3の配線チェック方法は完了する。
なお、第3の配線チェック方法においても、第1の配線チェック方法と同様に、配線と同じ層に位置するプレーン導体も検出することとしたが、これに限らない。すなわち、配線と同じ層に位置するプレーン導体は除外して、プレーン導体を検出することとしても良い。
第3の配線チェック方法によれば、配線からの距離や層数に応じた跨ぎ箇所の検出が可能となる。ここで、通常のプリント基板では、プレーン導体を隔てる誘電体1層の厚さには、数十マイクロメートルから数ミリメートル程度の幅がある。そのため、層数や距離により、プレーン導体を検出する範囲を指定することで、より精度の高い、電磁ノイズ特性の悪化の危険性に応じた配線のチェックが可能となる。
なお、第3の配線チェック方法と、第2の配線チェック方法とを組み合わせた方法で配線チェックを行うこととしても良い。例えば、配線からの距離や層数に応じたプレーン導体を検出し、且つ、その検出するプレーン導体を、配線よりも上部に位置するプレーン導体と、配線よりも下部に位置するプレーン導体と、に分けて検出することとしても良い。
更に、第1のチェック方法と、第2のチェック方法、及び第3のチェック方法のうち、複数のチェック方法を相互に組み合わせて配線のチェックを行うこととしても良い。例えば、プリント基板のうち、一部の配線については、第1のチェック方法で配線チェックを行い、他の配線については、第2のチェック方法と第3のチェック方法とを組み合わせた方法で配線チェックを行うこととしても良い。このように、プリント基板の種類や大きさ等に応じて、柔軟な配線チェックをすることも可能である。
すなわち、配線チェックシステム200においては、配線チェック方法を複数用意しておき、基板の種類や電磁ノイズ特性に応じて設計者がどの方法を採用するかを選択する構成としてもよい。例えば、
図19に示すように、
図13に示した本発明の配線チェックシステム200に入力装置297を付加することとしても良い。そして、該入力装置297を介して、配線チェック方法の選択や、検出するプレーン導体の層数や距離の指定を行うこととしても良い。
以上のような方法を用いて、配線チェックを行うことにより、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性の低い跨ぎ箇所が除外され、危険性の高い跨ぎ箇所のみが検出されることになる。そのため、電磁ノイズ特性を改善する設計を効率化することができる。これにより、プリント基板を有する電子機器の信頼性を向上させることができる。
[第4の実施形態]
ところで、本願発明者は、配線が、プレーン導体非形成領域を跨ぐ場合における電磁ノイズ特性を悪化させる危険性は、該プレーン導体非形成領域の面積にも依存することを見出した。その根拠を、本願発明者による、誘起電圧の測定結果に基づいて説明する。
誘起電圧の測定の対象となったプリント基板の構成は、
図2に示すプリント基板と同様である。そして、プリント基板10のプレーン導体11、12が有するスリットの面積(a×b)を変化させて、検証を行った。
図20に、検証結果を示す。なお、
図20には、比較のため、いずれのプレーン導体もスリットを有さない基準プリント基板の検証結果も示した。
図20より、プレーン導体11、12に5mm×5mmの大きさのスリットを形成した場合、基準プリント基板と比較して電圧の増加率は1.3倍程度であることが分かった。一方、プレーン導体11、12に30mm×1mmの大きさのスリットを形成した場合、基準プリント基板と比較して電圧の増加率は3.5倍程度であることが分かった。すなわち、スリットの面積が小さい程、スリットが電磁ノイズ特性を悪化させる危険性が低いことが分かった。
そこで、本発明の第4の実施形態においては、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性を判断する上で、配線が跨ぐプレーン導体非形成領域の大きさを考慮することとする。
本実施形態における配線チェックシステム300について、
図21を用いて説明する。配線チェックシステム300は、第2の実施形態における配線チェックシステム200に、面積算出部301が追加された構成を有する。
面積算出部301は、プレーン導体重なり形状におけるプレーン導体非形成領域の面積を算出する。
そして、跨ぎ箇所検出部224は、配線が、所定の大きさ以上の面積を有するプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所のみを、跨ぎ箇所として検出する。すなわち、本実施形態における跨ぎ箇所検出部224は、配線が所定の面積未満のプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所については、跨ぎ箇所として検出しない。例えば、配線が、3mm×3mmの四角形や半径3mmの円形の内部に納まるような大きさのプレーン導体非形成領域を跨いでいたとしても、跨ぎ箇所として検出しない。
一般的なプリント基板では、貫通ビアや実装部品のピンとプレーン導体の導通を防ぐためのクリアランスホールなど、数mm四方以下の小さなプレーン導体非形成領域(スリット)が多数存在する。そして、これらのスリットが他の層のプレーン導体により覆われていなくても、電磁ノイズ特性の悪化の危険性は低い。このため、小さなスリットは、プレーン導体形成領域とみなして、跨ぎ箇所の検出対象から除外することにより、配線チェックシステムのいわゆる擬似エラーを低減することができる。これにより、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性の高い箇所を、より的確に検出することが可能となる。
なお、跨ぎ箇所の検出対象から除外すべきスリットの大きさとしては、
図20に示した配線13の誘起電圧の測定結果が指標の一つとなる。
図20に示すように、5mm×5mmのスリットによる誘起電圧の増加は、スリットが無い場合に比べて、1.3倍程度と小さい。ここで、プレーン導体上に存在するクリアランスホールや、クリアランスホールが数個連なった程度のスリットは、5mm×5mmの範囲内に入るものが多数ある。すなわち、これらを配線チェックの対象から除外しても、電磁ノイズ特性の悪化の危険性は低いと考えられる。また、リセット配線や電源配線などの重要な配線では、フィルタ素子によりノイズを抑制することが多い。そのため、電磁ノイズ特性の悪化の危険性が十分低減されることを考慮し、例えば10mm×10mm程度の大きさよりも小さいスリットについては、配線チェックの対象から除外することとしても良い。なお、電磁ノイズ特性の悪化の危険性をより低減した基板を設計するには、除外するスリットの大きさの設定値を、小さくすればよい。
これにより、本実施形態における跨ぎ箇所検出部224は、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性が高い、跨ぎ箇所のみを検出することが可能となる。そのため、プリント基板の電磁ノイズ特性を、より効率的に改善することが可能となる。
なお、所定の面積未満のプレーン導体非形成領域を、検出対象から除くための具体的な方法として、
図22に示すように、配線チェック装置220が、穴埋め部302を備えることとしても良い。なお、穴埋め部302は、面積算出部301による算出結果に基づき、面積が所定の大きさ未満のプレーン導体非形成領域の穴埋めを行う。
図22に示す配線チェック装置220を用いる場合における、本実施形態の配線チェックシステム300のより具体的な動作方法を、
図23を用いて説明する。
なお、配線チェックを行う対象としては、
図24Aに示すプリント基板310を用いることとする。プリント基板310は、積層された層311〜314の4層構造を有する。なお、図示はしていないが、層311〜314はこの順で積層されており、層311が最も上層で、層314が最も下層の層である。
図24Aには、プリント基板310の各層の上面図を示す。層312、313は、プレーン導体315、316を有する。層311、314は、配線317〜319を有する。また、層311の配線317は、信号ビアを介して層314に配線され、配線319と連続している。更に、層312のプレーン導体315には、大きさd1×d2のスリットが2つ形成されている。また、配線317を層311から層314に接続するビアが、層312と層313を貫通する。そのため、ビアとプレーン導体315、316との接続をさけるための、直径d3のクリアランスホールが層312と層313に形成されている。
なお、設計情報記録部221には、予め、配線チェックを行うプリント基板310の設計情報が記録されているものとする。
初めに、配線情報取得部221は、配線317の配線情報を取得する(ステップ12)。そして、プレーン導体検出部222は、配線317を有する層311に直近の層312を含む、複数の層(層312、313、314)に含まれるプレーン導体315、316を検出する(ステップ13)。プレーン導体重なり形状検出部223は、プレーン導体315、316を重ね合わせた形状である、プレーン導体重なり形状320を検出する(ステップ14)。プレーン導体重なり形状320においては、層312のプレーン導体315に形成されたスリットの一方の一部が、層313のプレーン導体316により覆われ、その大きさはd1×d4となる。また、他方のスリットとクリアランスホールは、層313のプレーン導体316により覆われないため、その大きさは変更しない。
次に、面積算出部301は、プレーン導体重なり形状320における、プレーン導体非形成領域の面積を算出する(ステップ15)。そして、穴埋め部302は、記録装置210に記録された所定の値よりも小さい面積のプレーン導体非形成領域の穴埋めを行う(ステップ15)。穴埋め部302により穴埋めが行われることで、プレーン導体重なり形状320は、プレーン導体重なり形状321となる。ここでは、記憶装置210が記録する既定値d5(d1、d3、d4<d5<d2)の四角形よりも小さい、d1×d4のスリットと、直径d3のクリアランスホールの穴埋めが行われる。
次に、跨ぎ箇所検出部224が、配線317と、プレーン導体重なり形状321とを重ね合わせた形状である、配線−プレーン導体重なり形状322を検出する(ステップ16)。
また、跨ぎ箇所検出部224は、配線−プレーン導体重なり形状322に基づいて、配線317が、プレーン導体重なり形状321におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所(跨ぎ箇所323、324)を検出する(ステップ17)。
そして、配線318、319に対しても同様の工程を行い、それぞれの配線がプレーン導体重なり形状321におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する。但し、配線318、319は、プレーン導体重なり形状321におけるプレーン導体非形成領域を跨がないため、跨ぎ箇所は検出されない。
そして、全ての配線について配線チェックが完了すると(ステップ18においてNO)、跨ぎ箇所検出部224が検出した跨ぎ箇所の情報は出力装置230に送出される。そして、出力装置230は、受信した跨ぎ箇所の情報を出力する(ステップ19)。これにより、本実施形態における配線チェックシステムの動作は完了する。
なお、参考までに、穴埋め部302による、所定の面積未満のプレーン導体非形成領域の穴埋めを行わなかった場合における、跨ぎ箇所の検出結果を、
図24Bに示す。
図24Bにおいては、配線が、一般的に直径が数百マイクロメートル未満の小さなクリアランスホールを跨ぐ箇所も検出されている。すなわち、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性の低い跨ぎ箇所についても、検出されている。
一方、本実施形態における配線チェックシステム300は、配線が所定の面積よりも大きいプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所のみを、検出する。そのため、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性の低い箇所が検出されなくなり、危険性が高い、改善設計すべき箇所がより的確に検出される。
また、
図22に示す配線チェックシステム300の構成に、入力装置を追加することとしても良い。そして、該入力装置を用いて、配線チェックの対象から除外するプレーン導体非形成領域の面積の大きさを指定することとしても良い。
なお、本実施形態においては、配線と同じ層に配置するプレーン導体を、プレーン導体重なり形状に含めるか否かによって、検出される跨ぎ箇所が異なる場合がある。これは、配線と同じ層に配置するプレーン導体を含めることで、プレーン導体重なり形状におけるプレーン導体非形成領域の面積が小さくなり、穴埋め部302によって穴埋めされる場合があるためである。すなわち、配線と同し層に配置するプレーン導体を、プレーン導体重なり形状に含めることで、より正確に、電磁ノイズ特性を悪化させる危険性が高い箇所を検出することが可能となる。
[第5の実施形態]
ところで、本願発明者は、電磁界シミュレーションにより、配線の直近に位置するプレーン導体のスリットが、他のプレーン導体によって覆われているにも関わらず、電磁ノイズ特性の悪化の危険性が低減されない場合があることを見出した。電磁界シミュレーションの内容及び結果について説明する。
図25は、シミュレーションモデルを示す。
図25Aは、シミュレーションモデルとなったプリント基板330の上面図を示す。
図25Bは、プリント基板330の左側面図を示す。プリント基板330は、大きさ140mm×200mm、厚さ0.8mmであり、4層構成(層331〜334)を有する。最上層である層331に配線335、2層目の層332にプレーン導体336、3番目の層333にプレーン導体337を配置した。誘電体基板はガラスエポキシ基板(FR−4)を模擬して、比誘電率を4.3、誘電正接を0.025とした。プレーン導体336は、30mm×1mmのスリットを有する。プレーン導体337は、プレーン導体336のスリットと中心位置を同じくする、20mm×10mmの大きさのスリットを有する。プリント基板330の端部には、ノイズ源として、長さ1mmの線状アンテナを配置し、その中心部に電圧源を配置した。電圧源への入力は、
図26に示す最大電圧1Vのパルス波形とした。配線335の一方の端においては、プレーン導体336との間に50Ωの抵抗を挿入した。そして、ノイズ印加により配線に誘起される電圧を観測した。なお、配線335の他方の端は何も接続せずに開放した。
このようなシミュレーションモデルを用いて、はじめに、プレーン導体337の有無による、配線335への結合電圧の違いを調査した。なお、シミュレーションには、時間領域型の電磁界解析手法であるFDTD(Finite Difference Time Domain)法を使用した。
図27に、シミュレーション結果を示す。
図27より、プレーン導体337を配置しても、配線335への結合電圧が抑制されず、むしろ僅かに増大していることがわかる。つまり、プレーン導体337により、プレーン導体336のスリットが部分的にではあるが覆われているにも関わらず、電磁ノイズ特性の悪化の危険性が増している。すなわち、
図8に示したように、スリットを覆うプレーン導体の存在によって、ノイズの抑制効果、すなわち配線への結合電圧の抑制効果が得られるものの、プレーン導体の大きさやスリットとの位置関係によっては、そのような抑制効果が得られない場合もあることが分かった。
ここで、一般的なプリント基板においては、プレーン導体は、多数のビアやキャパシタで相互に接続されている。そこで、
図28に示すように、プレーン導体338とプレーン導体339を、ビア327で接続した場合についてシミュレーションした。
図28Aは、プレーン導体338とプレーン導体339との接続位置を示す。なお、プレーン導体339は、プレーン導体338よりも下層に位置するため、実際にはその一部しか見えないが、説明のため点線で示した。
図28Aに示すように、プレーン導体338とプレーン導体339は、ビア327で4箇所接続している。これらのビア327は、直径0.1mmである。また、これらのビア327は、プレーン導体338のスリット326の外周と、プレーン導体339のスリットの外周との境界線の交点328から、縦横にそれぞれ1mmの位置に配置した。なお、スリットの外周とは、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域の境界線である。また、プレーン導体338とプレーン導体339との接続による、ノイズの抑制効果を検討するため、
図28Bに示す、プレーン導体336とプレーン導体337とを重ね合わせた形状を有する、プレーン導体340についてもシミュレーションを行った。
図29に、シミュレーション結果を示す。
図29に示すように、プレーン導体338とプレーン導体339をビア327で接続した場合には、ビアによる接続が無い場合に比べて、誘起電圧が3分の1以下となることが分かった。また、この値は、プレーン導体338とプレーン導体339とを重ね合わせた形状における誘起電圧の値と同程度である分かった。
すなわち、プレーン導体同士が電気的に接続されていれば、2つのプレーン導体が重ね合わさっていると同じとみなせるほど、電磁ノイズ特性の悪化の危険性が低減されることが分かった。このことは、プレーン導体同士をビアで接続することにより、プレーン導体338のスリット周囲を流れるノイズ電流が、プレーン導体339に流れ込むようになり、ノイズ電流の経路が、両プレーン導体を重ね合わせた場合に近づくためと考えられる。プレーン導対同士の接続にキャパシタを用いた場合にも、ビアで接続する場合と同様の効果が得られる。すなわち、プレーン導対同士の接続にキャパシタを用いた場合にも、2つのプレーン導対間にノイズ電流の経路が形成される。
なお、ビアやキャパシタにより接続された2つのプレーン導体が、両者を重ね合わせた形状と同様であるとみなすには、ビアやキャパシタの配置が重要となる。ここで、プレーン導体を流れるノイズ電流の経路を考える。
図30Aは、スリット329を有するプレーン導体341と、プレーン導体341と異なる層に形成されたプレーン導体342を上面から見た図である。なお、プレーン導体342は、プレーン導体341よりも下層に位置するため、実際にはその一部しか見えないが、説明のため点線で示した。
図30Aに示されるように、プレーン導体342は、プレーン導体341のスリット329の一部を覆う。
図30Bは、プレーン導体341とプレーン導体342とを重ね合わせた形状を示す。
図30Aと
図30Bにおいて、ノイズ電流が同じ経路を流れるには、
図30Aのプレーン導体341のスリット329の外周と、プレーン導体342とが重なる線分に沿って、ビアやキャパシタを配置し、プレーン導体間を接続すればよい。これにより、
図30Aの2つのプレーン導体は、
図30Bに示す、2つのプレーン導体を重ね合わせた形状と同じとみなせる。また、前述した電磁界シミュレーションでは、
図28Aに示すように、2つのプレーン導体の、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線の交点の近傍のみにビアを配置したところ、
図28Bに示す、2つのプレーン導体を重ね合わせた形状とほぼ同じ結果が得られることを確認している。
このことより、2つのプレーン導体を、両者を重ね合わせた形状と同様であるとみなすには、配線の直近に位置する層における、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線と、他の層のプレーン導体とが重なる線分の近傍に、ビアやキャパシタが配置されていればよい。或いは、配線の直近に位置する層における、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線と、他の層における、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線との交点の近傍に、ビアやキャパシタが配置されていても良い。なお、ビアやキャパシタは、境界線と他のプレーン導体とが重なる線や、境界線の交点に近い程、ノイズ電流の経路は最短となる。すなわち、2つのプレーン導体を重ね合わせた形状における電流経路に近づく。一方、ビアやキャパシタが、境界線と他のプレーン導体とが重なる線分や、境界線の交点から離れた場合、ノイズ電流の経路が長くなる。すなわち、2つのプレーン導体を重ね合わせた場合における電流経路との違いが大きくなる。そのため、ビアやキャパシタは、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線と他のプレーン導体とが重なる線分や、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線の交点に近い方が好ましい。
ここで、2つのプレーン導体を、両者を重ね合わせた形状と同じであるとみなすことのできる、ビアやキャパシタの配置位置の範囲について考察する。ノイズ電流の経路が長くなることによる電流の位相を考慮すると、ノイズ電流の経路は、ノイズ電流の波長に比べて十分小さくなるよう、波長の10分の1から20分の1以下とすることが好ましい。例えば、ノイズ電流の最大周波数を1GHzとし、誘電体基板をFR−4として、波長の短縮効果を考慮すると、波長の10分の1で約14mm、20分の1で約7mmとなる。
なお、一般的なプリント基板では、数ミリメートルから数センチメートル程度の間隔で、ビアやキャパシタが多数配置されている。そのため、
図27に示すシミュレーションで観測されたように、プレーン導体の接続が無く、プレーン導体337によるノイズ抑制効果が得られないという状況が生じることは極めて少ない。特に、多層プリント基板のグラウンドプレーンでは、プレーン導体間の電位差を無くすためや、プレーン導体間のノイズ伝播抑制のために、多数のビアが配置される。このため、プレーン導体を検出する工程において、あらかじめ電源プレーンを除外し、グラウンドプレーンのみを検出して、プレーン導体重なり形状を検出するように配線チェックシステムを構成することとしても良い。これにより、ノイズ抑制効果の得られないプレーン導体をあらかじめ除外することが可能である。しかしながら、ビアやキャパシタによるプレーン導体の接続も考慮することは、プレーン導体の種類によらず、プリント基板全体の配線チェックを実施するために有用である。
以上のことから、電磁ノイズ特性の悪化の危険性を検出する場合には、ビアやキャパシタなどによる、プレーン導体同士の接続も考慮することが望ましいと言える。
そこで、本発明の第5の実施形態においては、ビアやキャパシタなどによる、プレーン導体同士の接続も考慮することが可能な、配線チェックシステムについて述べる。
本実施形態における配線チェックシステム400を、
図31に示す。配線チェックシステム400は、第4の実施形態における配線チェックシステム300に、境界線交点検出部401と、接続検出部402と、を追加した構成を備える。
境界線交点検出部401は、プレーン導体検出部222が検出したプレーン導体が配置されるそれぞれの層における、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線を検出する。そして、境界線交点検出部401は、各層のプレーン導体を重ねた場合における、境界線の交点を検出する。
接続検出部402は、境界線交点検出部401が検出した境界線の交点から、所定の距離の範囲内における、複数のプレーン導体間の接続の有無を検出する。なお、プレーン導体間の接続とは、例えば、ビアやキャパシタによって実現される。
次に、本実施形態における配線チェックシステム400の動作について、
図32を用いて説明する。配線チェックシステム400による配線チェックの対象として、
図33に示すプリント基板410を用いることとする。
図33における斜線部は、プレーン導体が形成された領域である、プレーン導体形成領域を示す。また、点線は、プリント基板410の外形を示す。プリント基板410は、積層された層411〜414の4層構造を有する。なお、図示はしていないが、層411〜414はこの順で積層されており、層411が最も上層で、層414が最も下層の層である。
図33Aには、プリント基板410の各層の上面図を示す。層412、413は、プレーン導体415〜417を有する。層411、414は、配線418〜420を有する。また、配線418は、信号ビアを介して層414に配線され、配線420と連続している。なお、層412、413のプレーン導体415〜417の間は、ビアやキャパシタにより接続されていない。
なお、設計情報記録部211には、予め、配線チェックを行うプリント基板410の設計情報が記録されているものとする。
初めに、配線情報取得部221は、配線チェックの対象となる、配線418の配線情報を取得する(ステップ20)。そして、プレーン導体検出部222は、配線418を有する層411に直近の層412を含む、複数層(層411〜414)のプレーン導体415〜417を検出する(ステップ21)。
そして、境界線交点検出部401は、層412、413における、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線を検出する(ステップ22)。そして、境界線交点検出部401は、プレーン導体415〜417を重ねた場合における、境界線の交点を検出する。プリント基板410において、境界線交点検出部401が検出する境界線交点は、
図33Aにおいて黒丸で示した8箇所の境界線交点421である。
次に、接続検出部402は、境界線交点421から所定の距離の範囲内にある、接続部を検出する(ステップ23)。すなわち、2つのプレーン導体が、境界線交点421から所定の範囲内で、電気的に接続されているかを検出する。具体的には、境界線交点421を中心として、記録装置210に記録させた所定の値d6の範囲内に、プレーン導体415〜417を接続するビアやキャパシタが存在するか検出する。更に、接続検出部402は、境界線交点から所定の範囲内に、接続部が検出されない場合、該境界線交点の情報を検出する。境界線交点の情報とは、境界線交点の座標や、その境界線を有する層の配置などである。ここで、プリント基板410においては、プレーン導体間を接続する接続部は存在しない。そのため、8箇所の境界線交点421のうち、全ての境界線交点に関する情報が検出される。
また、プレーン導体重なり形状検出部223は、プレーン導体検出部222が検出したプレーン導体415〜417を重ね合わせた形状である、プレーン導体重なり形状422を検出する(ステップ24)。そして、記憶装置210に記録させた所定の値d7の四角形よりも小さい、プレーン導体非形成領域は、プレーン導体形成領域とみなすため、穴埋めを行い、プレーン導体重なり形状423とする(ステップ25)。そして、跨ぎ箇所検出部224は、配線417と、プレーン導体重なり形状423とを重ね合わせた形状である、配線−プレーン導体重なり形状424を検出する(ステップ26)。更に、跨ぎ箇所検出部224は、配線−プレーン導体重なり形状424に基づいて、配線417が、プレーン導体重なり形状423における、プレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する(ステップ27)。配線419、420についても同様に、跨ぎ箇所を検出する。
全ての配線に関するチェックが完了する(ステップ28においてNO)と、配線チェック装置220は、出力装置230に、跨ぎ箇所検出部224が検出した跨ぎ箇所に関する情報を送出する。
また、配線チェック装置220は、8箇所の境界線交点421のうち、所定の範囲内に接続部が検出されなかった境界線交点に関する情報も、出力装置230に送出する。境界線交点に関する情報とは、接続検出部402が検出した、境界線交点の座標や、境界線を有するプレーン導体に関する情報などである。
そして、出力装置230は、跨ぎ箇所に関する情報と、所定の範囲内に接続部が検出されなかった境界線交点に関する情報とを、出力する(ステップ29)。
図33Bには、出力装置230が出力する情報の一例を示す。
図33Bにおいては、跨ぎ箇所は白丸で示し、所定の範囲内に接続部が検出されなかった境界線交点は黒丸で示した。また、接続部が所定の範囲内に検出されなかった境界線交点は、プレーン導体上に境界線交点を配置させて表示する。このような表示とすることにより、プリント基板の設計段階において、ビアやキャパシタを配置すべき箇所が明確となる。そして、この結果に従い、ビアやキャパシタを配置することで、スリットを覆うプレーン導体によるノイズ抑制効果をより確実に得ることができる。そのため、電磁ノイズ特性を改善する対策設計を効率化できる。
なお、境界線交点検出部401は、境界線の交点だけでなく、配線に直近の層における境界線と、他の層におけるプレーン導体とが重なる線分を検出することとしてもよい。配線に直近の層における境界線と、他の層におけるプレーン導体とが重なる線分を、以下では、重なり線分と呼ぶことにする。この場合、接続検出部402は、該重なり線分から所定の範囲内に、ビアやキャパシタが存在するかを検出する。そして、出力装置230による出力においては、ビアやキャパシタが所定の範囲内に検出されなかった重なり線分を、プレーン導体上に配置させて表示することとしても良い。
また、本実施形態における配線チェック方法に、第3の実施形態において説明した、第2の配線チェック方法や、第3の配線チェック方法を組み合わせることとしても良い。すなわち、配線を有する層の上部に位置するプレーン導体と、下部に位置するプレーン導体とで、区別して検出することとしても良い。また、配線を有する層から所定の距離、又は層数の範囲内で、プレーン導体を検出することとしても良い。
以上のように、本実施形態においては、電磁ノイズ特性の悪化の危険性を検出するにあたって、ビアやキャパシタなどによる、プレーン導体同士の接続も考慮することができる。そのため、より効率的に電磁ノイズ特性を高めることできる。
更に、第1の実施形態乃至第5の実施形態は、各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を用意し、汎用コンピュータが記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し配線チェック装置として動作することによっても、達成されることは言うまでもない。
なお、プログラムを供給する記録媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−R(Digital Versatile Disk Recordable)、光ディスク、磁気ディスク、不揮発性メモリカードなど、上記プログラムを記憶できるものであれば良い。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)多層構造を有するプリント基板に含まれる配線の、配線情報を取得する配線情報取得部と、前記多層構造のうち、前記配線を有する層に直近の層を含む複数層が有する、複数のプレーン導体を検出するプレーン導体検出部と、前記複数のプレーン導体を重ねた形状である、プレーン導体重なり形状を検出する、プレーン導体重なり形状検出部と、前記配線と、前記プレーン導体重なり形状とを重ねた形状である、配線−プレーン導体重なり形状に基づいて、前記配線が、前記プレーン導体重なり形状におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する、跨ぎ箇所検出部と、を備えることを特徴とする、配線チェック装置。
(付記2)前記プレーン導体検出部が検出する前記複数のプレーン導体には、前記配線と同層の層が有するプレーン導体も含まれることを特徴とする、付記1に記載の配線チェック装置。
(付記3)前記プレーン導体重なり形状検出部は、前記配線よりも上部に配置されるプレーン導体を重ねた形状である上部プレーン導体重なり形状と、前記配線よりも下部に配置されるプレーン導体を重ねた形状である下部プレーン導体重なり形状と、をそれぞれ検出することを特徴とする、付記1又は2に記載の配線チェック装置。
(付記4)前記プレーン導体検出部は、前記配線から、前記積層方向において所定の距離の範囲内に配置されているプレーン導体のみを検出することを特徴とする、付記1乃至3のいずれか一つに記載の配線チェック装置。
(付記5)前記プレーン導体非形成領域の面積を算出する面積算出部を更に備え、前記跨ぎ箇所検出部が検出する前記跨ぎ箇所は、前記配線が、所定の値以上の面積を有する前記プレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であることを特徴とする、付記1乃至4のいずれか一つに記載の配線チェック装置。
(付記6)前記複数層のそれぞれの層における、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線を検出し、前記複数のプレーン導体を重ねた場合における、前記境界線の交点を検出する境界線交点検出部と、前記境界線の交点から所定の距離の範囲内における、前記複数のプレーン導体間の接続の有無を検出する、接続検出部と、を更に備えることを特徴とする、付記1乃至5のいずれか一つに記載の配線チェック装置。
(付記7)前記接続検出部は、更に、前記配線を有する層に直近の層における前記境界線と、前記配線を有する層に直近の層以外の層におけるプレーン導体とが重なる線分から、所定の距離の範囲内における、前記接続の有無を検出することを特徴とする、付記6に記載の配線チェック装置。
(付記8)前記跨ぎ箇所には、前記配線がプレーン導体の内部に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であるプレーン導体内跨ぎ箇所と、前記配線が複数のプレーン導体の間に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であるプレーン導体間跨ぎ箇所と、が含まれ、前記跨ぎ箇所検出部は、前記プレーン導体内跨ぎ箇所と、前記プレーン導体間跨ぎ箇所と、を区別して検出することを特徴とする、付記1乃至7のいずれか一つに記載の配線チェック装置。
(付記9)多層構造を有するプリント基板に含まれる配線の、配線情報を取得する配線情報取得手段と、前記多層構造のうち、前記配線を有する層に直近の層を含む複数層が有する、複数のプレーン導体を検出するプレーン導体検出手段と、前記複数のプレーン導体を重ねた形状である、プレーン導体重なり形状を検出する、プレーン導体重なり形状検出手段と、前記配線と、前記プレーン導体重なり形状とを重ねた形状である、配線−プレーン導体重なり形状に基づいて、前記配線が、前記プレーン導体重なり形状におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する、跨ぎ箇所検出手段と、を備えることを特徴とする、配線チェックシステム。
(付記10)前記プレーン導体検出手段が検出する前記複数のプレーン導体には、前記配線と同層の層が有するプレーン導体も含まれることを特徴とする、付記9に記載の配線チェックシステム。
(付記11)前記プレーン導体重なり形状検出手段は、前記配線よりも上部に配置されるプレーン導体を重ねた形状である上部プレーン導体重なり形状と、前記配線よりも下部に配置されるプレーン導体を重ねた形状である下部プレーン導体重なり形状と、をそれぞれ検出することを特徴とする、付記9又は10に記載の配線チェックシステム。
(付記12)前記プレーン導体検出手段は、前記配線から、前記積層方向において所定の距離の範囲内に配置されているプレーン導体のみを検出することを特徴とする、付記9乃至11のいずれか一つに記載の配線チェックシステム。
(付記13)前記プレーン導体非形成領域の面積を算出する面積算出手段を更に備え、前記跨ぎ箇所検出手段が検出する前記跨ぎ箇所は、前記配線が、所定の値以上の面積を有する前記プレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であることを特徴とする、付記9乃至12のいずれか一つに記載の配線チェックシステム。
(付記14)前記複数層のそれぞれの層における、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線を検出し、前記複数のプレーン導体を重ねた場合における、前記境界線の交点を検出する境界線交点検出手段と、前記境界線の交点から所定の距離の範囲内における、前記複数のプレーン導体間の接続の有無を検出する、接続検出手段と、を更に備えることを特徴とする、付記9乃至13のいずれか一つに記載の配線チェックシステム。
(付記15)前記接続検出手段は、更に、前記配線を有する層に直近の層における前記境界線と、前記配線を有する層に直近の層以外の層におけるプレーン導体とが重なる線分から、所定の距離の範囲内における、前記接続の有無を検出することを特徴とする、付記14に記載の配線チェックシステム。
(付記16)前記跨ぎ箇所には、前記配線がプレーン導体の内部に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であるプレーン導体内跨ぎ箇所と、前記配線が複数のプレーン導体の間に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であるプレーン導体間跨ぎ箇所と、が含まれ、前記跨ぎ箇所検出手段は、前記プレーン導体内跨ぎ箇所と、前記プレーン導体間跨ぎ箇所と、を区別して検出することを特徴とする、付記9乃至15のいずれか一つに記載の配線チェックシステム。
(付記17)前記跨ぎ箇所検出手段が検出した情報を出力する出力手段を更に備えることを特徴とする、付記9乃至16のいずれか一つに記載の配線チェックシステム。
(付記18)多層構造を有するプリント基板に含まれる配線の、配線情報を取得する配線情報取得工程と、前記多層構造のうち、前記配線を有する層に直近の層を含む複数層が有する、複数のプレーン導体を検出するプレーン導体検出工程と、前記複数のプレーン導体を重ねた形状である、プレーン導体重なり形状を検出する、プレーン導体重なり形状検出工程と、前記配線と、前記プレーン導体重なり形状とを重ねた形状である、配線−プレーン導体重なり形状に基づいて、前記配線が、前記プレーン導体重なり形状におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する、跨ぎ箇所検出工程と、を備えることを特徴とする、配線チェック方法。
(付記19)前記プレーン導体検出工程において検出される前記複数のプレーン導体には、前記配線と同層の層が有するプレーン導体も含まれることを特徴とする、付記18に記載の配線チェック方法。
(付記20)前記プレーン導体重なり形状検出工程においては、前記配線よりも上部に配置されるプレーン導体を重ねた形状である上部プレーン導体重なり形状と、前記配線よりも下部に配置されるプレーン導体を重ねた形状である下部プレーン導体重なり形状と、がそれぞれ検出されることを特徴とする、付記18又は19に記載の配線チェック方法。
(付記21)前記プレーン導体検出工程においては、前記配線から、前記積層方向において所定の距離の範囲内に配置されているプレーン導体のみが検出されることを特徴とする、付記18乃至20のいずれか一つに記載の配線チェック方法。
(付記22)前記プレーン導体非形成領域の面積を算出する面積算出工程を更に備え、前記跨ぎ箇所検出工程において検出される前記跨ぎ箇所は、前記配線が、所定の値以上の面積を有する前記プレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であることを特徴とする、付記18乃至21のいずれか一つに記載の配線チェック方法。
(付記23)前記複数層のそれぞれの層における、プレーン導体形成領域とプレーン導体非形成領域との境界線を検出し、前記複数のプレーン導体を重ねた場合における、前記境界線の交点を検出する境界線交点検出工程と、前記境界線の交点から所定の距離の範囲内における、前記複数のプレーン導体間の接続の有無を検出する、接続検出工程と、を更に備えることを特徴とする、付記18乃至22のいずれか一つに記載の配線チェック方法。
(付記24)前記接続検出工程においては、更に、前記配線を有する層に直近の層における前記境界線と、前記配線を有する層に直近の層以外の層におけるプレーン導体とが重なる線分から、所定の距離の範囲内における、前記接続の有無を検出することを特徴とする、付記23に記載の配線チェック方法。
(付記25)前記跨ぎ箇所には、前記配線がプレーン導体の内部に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であるプレーン導体内跨ぎ箇所と、前記配線が複数のプレーン導体の間に形成されたプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所であるプレーン導体間跨ぎ箇所と、が含まれ、前記跨ぎ箇所検出工程においては、前記プレーン導体内跨ぎ箇所と、前記プレーン導体間跨ぎ箇所と、が区別して検出されることを特徴とする、付記18乃至24のいずれか一つに記載の配線チェック方法。
(付記26)前記跨ぎ箇所検出工程が検出した情報を出力する出力工程を更に備えることを特徴とする、付記18乃至25のいずれか一つに記載の配線チェック方法。
(付記27)多層構造を有するプリント基板に含まれる配線の、配線情報を取得する配線情報取得工程と、前記多層構造のうち、前記配線を有する層に直近の層を含む複数層が有する、複数のプレーン導体を検出するプレーン導体検出工程と、前記複数のプレーン導体を重ねた形状である、プレーン導体重なり形状を検出する、プレーン導体重なり形状検出工程と、前記配線と、前記プレーン導体重なり形状とを重ねた形状である、配線−プレーン導体重なり形状に基づいて、前記配線が、前記プレーン導体重なり形状におけるプレーン導体非形成領域を跨ぐ箇所を検出する、跨ぎ箇所検出工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、配線チェックプログラム。
(付記28)コンピュータに読み取り可能な情報記憶媒体であって、付記27に記載の配線チェックプログラムを記録することを特徴とする記録媒体。
以上、好ましい実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2011年5月24日に出願された日本出願特願2011−116002号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。