(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車々間通信に用いられる通信装置の通信用識別情報は、通信装置のユーザのプライバシー保護のために時々変更されることになる。
【0006】
このため、特許文献1に記載の無線データ送受信装置は、通信相手の通信用識別情報(例えば、IPアドレス)が変更されると、通信相手を特定できなくなり、通信相手との通信が困難になる。
【0007】
このため、通信相手の新たな通信用識別情報を入手するための手法が望まれるという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決可能な通信装置、通信相手識別情報特定方法、返信情報送信方法および記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通信装置は、通信相手と通信する通信装置であって、
所定の問い合わせ情報に対応する回答情報を記憶する記憶手段と、
前記所定の問い合わせ情報をブロードキャスト送信する送信手段と、
前記所定の問い合わせ情報に対する応答情報と当該応答情報の送信元の通信用識別情報とを含む返信情報を受信する受信手段と、
前記応答情報が前記回答情報と一致する場合に、前記応答情報の送信元の通信用識別情報を、前記通信相手の通信用識別情報として特定する特定手段と、を含む。
【0010】
本発明の通信装置は、車両に設置される通信装置であって、
前記通信装置の通信用識別情報を更新する更新手段と、
所定の問い合わせ情報に対応する回答情報を記憶する記憶手段と、
前記所定の問い合わせ情報を受信すると、前記通信装置の最新の通信用識別情報を含みかつ前記所定の問い合わせ情報に対する応答情報として前記回答情報を含む返信情報を、前記所定の問い合わせ情報の送信元に送信する通信制御手段と、を含む。
【0011】
本発明の通信相手識別情報特定方法は、通信相手と通信する通信装置での通信相手特定方法であって、
所定の問い合わせ情報に対応する回答情報を記憶手段に記憶し、
前記所定の問い合わせ情報をブロードキャスト送信し、
前記所定の問い合わせ情報に対する応答情報と当該応答情報の送信元の通信用識別情報とを含む返信情報を受信し、
前記応答情報が前記回答情報と一致する場合に、前記応答情報の送信元の通信用識別情報を、前記通信相手の通信用識別情報として特定する。
【0012】
本発明の返信情報送信方法は、車両に設置される通信装置での返信情報送信方法であって、
前記通信装置の通信用識別情報を更新し、
所定の問い合わせ情報に対応する回答情報を記憶手段に記憶し、
前記所定の問い合わせ情報を受信すると、前記通信装置の最新の通信用識別情報を含みかつ前記所定の問い合わせ情報に対する応答情報として前記回答情報を含む返信情報を、前記所定の問い合わせ情報の送信元に送信する。
【0013】
本発明の
プログラムは、コンピュータに、
所定の問い合わせ情報に対応する回答情報を記憶手段に記憶する記憶手順と、
前記所定の問い合わせ情報をブロードキャスト送信する送信手順と、
前記所定の問い合わせ情報に対する応答情報と当該応答情報の送信元の通信用識別情報とを含む返信情報を受信する受信手順と、
前記応答情報が前記回答情報と一致する場合に、前記応答情報の送信元の通信用識別情報を、通信相手の通信用識別情報として特定する特定手順と、を実行させ
る。
【0014】
本発明の
プログラムは、コンピュータに、
前記コンピュータの通信用識別情報を更新する更新手順と、
所定の問い合わせ情報に対応する回答情報を記憶手段に記憶する記憶手順と、
前記所定の問い合わせ情報を受信すると、前記コンピュータの最新の通信用識別情報を含みかつ前記所定の問い合わせ情報に対する応答情報として前記回答情報を含む返信情報を、前記所定の問い合わせ情報の送信元に送信する通信手順と、を実行させ
る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信相手の新たな通信用識別情報を入手することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態の通信装置100を示したブロック図である。
【0019】
通信装置100は、例えば、車両に搭載され車々間通信を行う。なお、通信装置100は、車両に搭載された他の通信装置と通信する路側機として用いられてもよい。
【0020】
図1において、通信装置100は、更新部1と、記憶部2と、送信部3と、受信部4と、制御部5と、を含む。送信部3と受信部4と制御部5は、通信制御部6に含まれる。
【0021】
更新部1は、更新手段の一例である。更新部1は、通信装置100の通信用識別情報(以下「ID」と称する)を保持し、かつ、IDを更新する。更新部1は、定期的(例えば、1分ごと、30分ごと、または、1時間ごと)にIDを更新する。なお、更新部1は、通信装置100に電源電圧が供給された際にIDを更新してもよい。更新部1は、更新後のIDを保持する。なお、IDは、通信時に通信装置100を特定するために用いられる。IDは、例えばIPアドレスである。
【0022】
記憶部2は、記憶手段の一例である。記憶部2は、予め定められた問い合わせを表す問い合わせ情報と、その問い合わせに対応する回答を表す回答情報と、を記憶する。記憶部2内の問い合わせ情報は、所定の問い合わせ情報の一例であり、記憶部2内の回答情報は、所定の問い合わせ情報に対応する回答情報の一例である。以下では、問い合わせ情報と回答情報とをまとめて「合言葉」と称する。
【0023】
図2は、記憶部2内の合言葉(問い合わせ情報と回答情報)の一例を示した図である。
【0024】
図2では、問い合わせ情報である「山」と、問い合わせ情報「山」に対応する回答情報である「川」とが、互いに関連づけられている。なお、合言葉は、問い合わせ情報と回答情報とで構成される一対の文字列に限らず、例えば一対の数字列(例えば、問い合わせ情報「0101025」と回答情報「1113728」)でもよく適宜変更可能である。
【0025】
送信部3は、送信手段の一例である。送信部3は、他の通信装置100に、種々の情報(例えば、問い合わせ情報を含む質問情報や、質問情報についての返信情報)を送信する。
【0026】
受信部4は、受信手段の一例である。受信部4は、他の通信装置100から送信された種々の情報(例えば、質問情報や、質問情報についての返信情報)を受信する。
【0027】
制御部5は、制御手段の一例である。制御部5は、通信装置100の動作を制御する。
【0028】
通信制御部6は、通信制御手段の一例である。通信制御部6は、通信装置100の通信動作を制御する。
【0030】
図3は、通信装置100の動作を説明するためのシーケンス図である。
図3では、2台の通信装置101および102の間の通信動作を示している。通信装置101および102は、それぞれ、
図1に示した通信装置100と同一構成であるとする。
【0031】
通信装置101内の記憶部2と通信装置102内の記憶部2には、それぞれ、合言葉として、
図2に示した問い合わせ情報「山」および回答情報「川」が記憶されているとする。例えば、通信装置101のユーザと通信装置102のユーザとが、事前に合言葉を決めておき、通信装置101のユーザがその合言葉を通信装置101内の記憶部2に登録し、通信装置102のユーザがその合言葉を通信装置102内の記憶部2に登録する。なお、合言葉の登録手法は、上記に限らず適宜変更可能である。
【0032】
以下、通信装置101が通信装置102のIDを入手する動作を説明する。
【0033】
通信装置101内の制御部5は、所定のタイミングになると、通信装置101内の記憶部2から問い合わせ情報「山」を読み出し、かつ、通信装置101内の更新部1から通信装置101の最新のIDを読み出す。
【0034】
所定のタイミングは、例えば、定期的なタイミング、通信装置102との通信を開始するタイミング、または、通信装置101内の更新部1がIDを更新したタイミングである。
【0035】
なお、通信装置101内の制御部5は、例えば、不図示の入力部が通信装置102との通信を開始する旨の通信開始指示を受け付けたタイミングを、通信装置102との通信を開始するタイミングとして認識する。
【0036】
また、通信装置101内の制御部5は、例えば、通信装置101内の更新部1が保持するIDを監視して、通信装置101内の更新部1がIDを更新したタイミングを検出する。なお、通信装置101内の更新部1が、IDを更新した際に通信装置101内の制御部5に更新通知を出力する場合には、通信装置101内の制御部5は、更新通知を受け付けたタイミングを、通信装置101内の更新部1がIDを更新したタイミングとして認識してもよい。
【0037】
続いて、通信装置101内の制御部5は、問い合わせ情報「山」と通信装置101の最新のIDとを含む質問情報を生成し(ステップS301)、質問情報を通信装置101内の送信部3に出力する。
【0038】
通信装置101内の送信部3は、質問情報を受け付けると、質問情報をブロードキャスト送信する(ステップS302)。
【0039】
なお、質問情報をブロードキャスト送信する手法は、例えば、路側機が周辺の車載機に路側機情報(使用CH等を表す情報)をブロードキャスト送信するService Advertisement(SA:番組表送信)と同様の手法で実行される。
【0040】
通信装置102内の受信部4は、通信装置101から送信された質問情報を受信すると、その質問情報を、通信装置102内の制御部5に出力する。
【0041】
通信装置102内の制御部5は、質問情報を受け付けると、質問情報から問い合わせ情報「山」を読み出す。
【0042】
続いて、通信装置102内の制御部5は、通信装置102内の記憶部2に、問い合わせ情報「山」が存在するかを判断する。
【0043】
通信装置102内の記憶部2に問い合わせ情報「山」が存在しない場合、通信装置102内の制御部5は、質問情報に応じた通信を終了する。
【0044】
一方、通信装置102内の記憶部2に問い合わせ情報「山」が存在する場合、通信装置102内の制御部5は、通信装置102内の記憶部2から、問い合わせ情報「山」に対応する回答情報「川」を読み出し、かつ、通信装置102内の更新部1から通信装置102の最新のIDを読み出す。なお、
図3では、通信装置102内の記憶部2に問い合わせ情報「山」が存在するときの動作を示している。
【0045】
続いて、通信装置102内の制御部5は、通信装置102の最新のIDを含みかつ問い合わせ情報「山」に対する応答情報として回答情報「川」を含む返信情報を生成する(ステップS303)。
【0046】
続いて、通信装置102内の制御部5は、返信情報の送信先を、質問情報に含まれる通信装置101の最新のIDに設定する。
【0047】
続いて、通信装置102内の制御部5は、送信先が設定された返信情報を、通信装置102内の送信部3に出力する。
【0048】
通信装置102内の送信部3は、送信先が設定された返信情報を受け付けると、その返信情報を、設定された送信先つまり通信装置101に、ユニキャスト送信する(ステップS304)。
【0049】
通信装置101内の受信部4は、通信装置102から送信された返信情報を受信すると、その返信情報を、通信装置101内の制御部5に出力する。
【0050】
通信装置101内の制御部5は、返信情報を受け付けると、返信情報から応答情報として設定された回答情報「川」を読み出す。
【0051】
続いて、通信装置101内の制御部5は、通信装置102内の記憶部2に、返信情報から読み出された回答情報「川」が存在するかを判断する。
【0052】
通信装置101内の記憶部2に回答情報「川」が存在しない場合、通信装置101内の制御部5は、返信情報の送信元は、正規の通信相手つまり通信装置102ではないと判断し、返信情報に応じた通信を終了する。
【0053】
一方、通信装置101内の記憶部2に回答情報「川が存在する場合、通信装置101内の制御部5は、返信情報の送信元が、正規の通信相手つまり通信装置102であると判断し、返信情報から通信装置102の最新のIDを読み出し、そのIDを、通信相手である通信装置102のIDとして特定する(ステップS305)。なお、
図3では、通信装置101内の記憶部2に回答情報「川」が存在するときの動作を示している。
【0054】
通信装置101内の制御部5は、通信相手のIDを特定すると、そのIDを用いて通信相手を指定して、通信相手とユニキャスト通信を行う(ステップS306)。
【0055】
なお、通信装置101内の制御部5は、通信相手のIDを特定した後、周囲の通信装置に対して現在位置の通知を要求する位置要求をブロードキャスト送信し、その位置要求に対する応答である位置情報を周囲の通信装置から受信し、その後、通信相手のIDおよび位置情報を用いて、通信相手とユニキャスト通信を行ってもよい。
【0057】
本実施形態では、記憶部2は、問い合わせ情報に対応する回答情報を記憶する。送信部3は、記憶部2に記憶されている問い合わせ情報をブロードキャスト送信する。受信部4は、問い合わせ情報に対する応答情報と応答情報の送信元のID(通信用識別情報)とを含む返信情報を受信する。制御部5は、返信情報内の応答情報が、記憶部2内の回答情報と一致する場合に、応答情報の送信元のIDを通信相手のIDとして特定する。
【0058】
このため、問い合わせ情報に対応する回答情報を認識している通信相手のIDが変更されても、通信相手の新たなIDを入手することが可能になる。
【0059】
なお、上記効果は、記憶部2と送信部3と受信部4と制御部5とからなる通信装置100でも奏する。
【0060】
図4は、記憶部2と送信部3と受信部4と制御部5とからなる通信装置100を示した図である。
【0061】
また、本実施形態では、制御部5は、通信相手のIDを用いて、送信部3および受信部4を介して通信相手と通信する。
【0062】
このため、通信相手の新たなIDを用いて、通信相手と通信することが可能になる。
【0063】
なお、通信装置100に記憶されている合言葉と同一の合言葉を1台の通信装置(以下「通信装置200」と称する)しか記憶していない状況で、受信部4が、回答情報と一致する応答情報を含む複数の返信情報を受信した場合には、通信装置200から送信された回答情報が他の通信装置にて不正に取得され、不正に取得された回答情報を含む返信情報が送信されている可能性がある。
【0064】
このため、制御部5は、不図示の入力部が、通信相手が1台である旨の第1通信相手情報をユーザから受け付けたときには、受信部4が所定時間(例えば5秒)内に回答情報と一致する応答情報を含む複数の返信情報を受信した場合には、複数の返信情報のうちで最も早く受信された返信情報に含まれる応答情報の送信元のIDを、通信相手のIDとして特定してもよい。なお、所定時間は5秒に限らず適宜変更可能である。
【0065】
この場合、正規の通信相手のIDを入手でき、かつ、回答情報を不正に取得した通信装置との通信を防止することが可能になる。
【0066】
また、通信装置100に記憶されている合言葉と同一の合言葉を複数台の通信装置が記憶している状況では、受信部4が所定時間内に回答情報と一致する応答情報を含む複数の返信情報を受信することが考えられる。
【0067】
このため、制御部5は、不図示の入力部が、通信相手が複数台である旨の第2通信相手情報をユーザから受け付けたときには、受信部4が所定時間内に回答情報と一致する応答情報を含む複数の返信情報を受信した場合に、各返信情報に含まれる応答情報の送信元のIDを、各通信相手のIDとして特定してもよい。
【0068】
この場合、質問情報を1回送信することで、複数の通信相手のIDを入手することが可能になる。
【0069】
また、本実施形態では、更新部1は、通信装置100のIDを更新する。記憶部2は、問い合わせ情報に対応する回答情報を記憶する。通信制御部6は、問い合わせ情報を受信すると、通信装置100の最新のIDも含みかつ該問い合わせ情報に対する応答情報として記憶部2内の回答情報を含む返信情報を、問い合わせ情報の送信元に送信する。
【0070】
このため、自装置の最新のIDを、問い合わせ情報に対応する回答情報と共に、問い合わせ情報の送信元に通知することが可能になる。
【0071】
なお、上記効果は、更新部1と記憶部2と通信制御部6とからなる通信装置100でも奏する。
【0072】
図5は、更新部1と記憶部2と通信制御部6とからなる通信装置100を示した図である。
【0073】
なお、通信装置100が、車両に搭載された他の通信装置と通信する路側機として用いられる場合には、更新部1は通信装置100のIDを更新しなくてもよく、また、記憶部2が通信装置100のIDを記憶する場合には、更新部1が省略されてもよい。
【0074】
また、通信装置100は、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能なCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)のような記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、更新部1、記憶部2、送信部3、受信部4および制御部5として機能する。記録媒体は、CD−ROMに限らず適宜変更可能である。
【0075】
以上説明した実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0076】
実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。この出願は、2012年3月19日に出願された日本出願特願2012−61666を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。