(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゴルフクラブヘッドを水平面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、フェース面の中心点を通る法線を含みかつ前記水平面と直交する平面で前記ヘッド本体を破断した断面をフェース中心基準断面としたとき、
前記弾性変形部は、前記フェース中心基準断面を中心としてトウヒール方向に延在すると共に、前記弾性変形部のトウヒール方向に沿った長さが30mm以上である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のゴルフクラブヘッド。
前記ゴルフクラブヘッドを水平面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、フェース面の中心点を通る法線を含みかつ前記水平面と直交する平面で前記ヘッド本体を破断した断面をフェース中心基準断面としたとき、
前記フェース中心基準断面において、前記リーディングエッジと前記弾性変形部を前記水平面に投影したとき、前記リーディングエッジから後方に10mm以上30mm以下の範囲内に前記弾性変形部が位置している、
ことを特徴とする請求項1または2記載のゴルフクラブヘッド。
前記ゴルフクラブヘッドを水平面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、フェース面の中心点を通る法線を含みかつ前記水平面と直交する平面で前記ヘッド本体を破断した断面をフェース中心基準断面とし、
前記フェース中心基準断面および前記水平面と直交する平面を基準鉛直面とし、
前記弾性変形部を前記基準鉛直に投影したとき、
前記弾性変形部は前記水平面から上方に0mm以上18mm以下の範囲内に位置している、
ことを特徴とする請求項1または2記載のゴルフクラブヘッド。
前記ゴルフクラブヘッドを水平面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、フェース面の中心点を通る法線を含みかつ前記水平面と直交する平面で前記ヘッド本体を破断した断面をフェース中心基準断面とし、
前記ゴルフクラブヘッドの重心点を通る前記フェース面の法線が前記フェース面を交差する点をフェース面上重心点とし、
前記水平面からの前記フェース面上重心点までの高さをフェース面上重心点高さFGHとし、
前記フェース中心基準断面において、前記水平面から前記ヘッド本体の最も上方に位置する箇所までの高さをヘッド高さとしたとき、
前記フェース面上重心点高さが前記ヘッド高さの40%以上60%以下である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のゴルフクラブヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、ゴルフクラブヘッドが中空構造のアイアンゴルフクラブヘッドである場合について説明する。
【0009】
図1から
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体12を備え、ヘッド本体12は、フェース部14と、バックフェース部16と、ブレード部18と、サイド部20と、ソール部24、ウェイト部22と、ホーゼル26とを有している。
図1に示すように、フェース部14は、上下の高さを有してトウヒール方向に延在しており、フェース部14の前面がボールを打球するフェース面14Aとなっている。
フェース面14Aには上下に間隔をおいて左右方向に延在する複数のスコアライン28が設けられている。
バックフェース部16は、フェース部14の後方でフェース部14に対向し上下の高さを有して左右に延在している。
ブレード部18は、フェース部14の上部とバックフェース部16の上部とを接続している。
サイド部20は、フェース部14のトウ側の側部とバックフェース部16のトウ側の側部とを接続するトウ側サイド部2002と、フェース部14のヒール側の側部とバックフェース部16のヒール側の側部とを接続するヒール側サイド部2004とで構成されている。
ソール部24は、フェース部14の下部とバックフェース部16の下部とを接続しバックフェース部16よりも後方に延在し、ソール部24の下面がソール面24Aとなっている。
本実施の形態では、ヘッド本体12は、それらフェース部14とブレード部18とサイド部20とバックフェース部16とソール部24とで囲まれた内部が中空部31とされた中空構造を呈している。
ウェイト部22は、後述する弾性変形部40よりも後方のヘッド本体12の箇所に設けられており、ウェイト部22は、弾性変形部40よりも後方に位置するヘッド本体12の部分で構成されている。
ウェイト部22は、ヘッド本体12の全体の質量の10%以上30%未満の質量を有している。
また、バックフェース部16、サイド部20、ウェイト部22で囲まれた空間でキャビティ部30が構成されている。
ホーゼル26は、ブレード部18のヒール方向寄りの箇所に起立され、ホーゼル26にシャフト軸Sの一端が挿入されて取着されることでシャフト軸がゴルフクラブヘッド10に連結される。
なお、図中、符号32はトウ、符号34はヒールを示す。
【0010】
なお、ゴルフクラブヘッド10のうちフェース部14を除く部分は、チタン合金、ステンレス鋼、炭素鋼等の金属材料によって一体形成されている。
フェース部14は、チタン合金、ステンレス鋼、炭素鋼、マレージング鋼等の金属材料によって形成されている。
【0011】
(フェース面14Aの中心点)
次に、フェース面14Aの中心点Pcの規定方法について説明する。
フェース面14Aの中心点Pcは、フェース面14Aの幾何学的中心であり、中心点Pcの規定方法としては以下に例示する第1の規定方法、第2の規定方法を含め従来公知のさまざまな方法が採用可能である。
なお、以下の説明においては、ゴルフクラブヘッド10がウッドである場合について説明するが、ゴルフクラブヘッド10がアイアンであっても同様の方法が適用可能である。
【0012】
[A]フェース面14Aの中心点Pcの第1の規定方法:
フェース面14Aと他のゴルフクラブヘッド10の部分との境目が明確である場合、言い換えると、フェース面14Aの周縁が稜線によって特定される場合における中心点Pcの規定方法である。この場合はフェース面14Aが明瞭に定義されることになる。
図4〜
図7はフェース面14Aの中心点Pcの規定方法を示す説明図である。
【0013】
(1)まず、
図4に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平面HP上にゴルフクラブヘッド10を載置する。このときのゴルフクラブヘッド10の状態を基準状態とする。なお、ライ角およびフェース角の設定値は、例えば製品カタログに記載された値である。
【0014】
(2)次にクラウン部36(アイアンの場合はブレード部)及びソール部24を結ぶ方向における仮中心点c0を求める。
すなわち、
図4に示すように、トウ32およびヒール34を結ぶ水平面HPと平行な線(以下水平線という)の概略中心点と交差する垂線f0を引く。
この垂線f0とフェース面14Aの上縁とが交差するa0点と、垂線f0とフェース面14Aの下縁とが交差するb0点の中点を仮中心点c0とする。
【0015】
(3)次に
図5に示すように仮中心点c0を通る水平線g0を引く。
(4)次に
図6に示すように水平線g0とフェース面14Aのトウ32側の縁とが交差するd0点と、水平線g0とフェース面14Aのヒール34側の縁とが交差するe0点の中点を仮中心点c1とする。
【0016】
(5)次に
図7に示すように仮中心点c1を通る垂線f1を引き、この垂線f1とフェース面14Aの上縁とが交差するa1点と、垂線f1とフェース面14Aの下縁とが交差するb1点の中点を仮中心点c2とする。
ここで、仮中心点c1とc2とが合致したならばその点をフェース面14Aの中心点Pcとして規定する。
仮中心点c1とc2が合致しなければ、(2)乃至(5)の手順を繰り返す。
なお、フェース面14Aは曲面を呈しているため、水平線g0の中点、垂線f0、f1の中点を求める場合の水平線g0の長さ、垂線f0、f1の長さはフェース面14Aの曲面に沿った長さを用いるものとする。
そして、フェースセンターラインCLは、中心点Pcを通りかつトウ32−ヒール34方向と直交する方向に延在する直線で定義される。
【0017】
[B]フェース面14Aの中心点Pcの第2の規定方法:
次に、フェース面14Aの周縁と他のゴルフクラブヘッド10の部分との間が曲面で接続されておりフェース面14Aが明瞭に定義できない場合の中心点Pcの定義を説明する。
【0018】
図8に示すように、ゴルフクラブヘッド10は中空であり、符号G0はゴルフクラブヘッド10の重心点を示し、符号Lpは重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線であり、言い換えると、直線Lpは重心点G0を通るフェース面14Aの垂線である。
すなわち、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0をフェース面14Aに投影した点がフェース面上重心点FGである。
ここで、
図9に示すように、重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線Lpを含む多数の平面H1、H2、H3、…、Hnを考える。
【0019】
ゴルフクラブヘッド10を各平面H1、H2、H3、…、Hnに沿って破断したときの断面において、
図10に示されるように、ゴルフクラブヘッド10の外面の曲率半径r0を測定する。
曲率半径r0の測定に際して、フェース面14A上のフェースライン、パンチマーク等が無いものとして扱う。
曲率半径r0は、フェース面14Aの中心点Pcから外方向(
図10における上方向、下方向)に向かって連続的に測定される。
そして、測定において曲率半径r0が最初に所定の値以下となる部分をフェース面14Aの周縁を表わす輪郭線Iとして定義する。
所定の値は例えば200mmである。
多数の平面H1、H2、H3、…、Hnに基づいて決定された輪郭線Iによって囲まれた領域が、
図9、
図10に示すように、フェース面14Aとして定義される。
【0020】
次に、
図11に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平な地面上(水平面HP)にゴルフクラブヘッド10を載置する。
直線LTは、フェース面14Aのトウ側点PTを通過して鉛直方向に延在する。
直線LHは、フェース面14Aのヒール側点PHを通過して鉛直方向に延在する。
直線LCは、直線LTおよび直線LHと平行である。直線LCと直線LTとの距離は、直線LCと直線LHとの距離と等しい。
符号Puは、フェース面14Aの上側点を示し、符号Pdはフェース面14Aの下側点である。上側点Puおよび下側点Pdは、いずれも直線LCと輪郭線Iとの交点である。
中心点Pcは、上側点Puと下側点Pdとを結ぶ線分の中点で定義される。
【0021】
次に、ゴルフクラブヘッド10の各部について詳細に説明する。
図1から
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10を水平面HPに対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態とする。
基準状態において、フェース面14Aの中心点Pcを通る法線を含みかつ水平面HPと直交する平面Xでヘッド本体12を破断した断面をフェース中心基準断面Pfcとする。言い換えると、フェース中心基準断面Pfcは、基準状態において、フェースセンターラインCLを含みかつ水平面HPと直交する平面Xでヘッド本体12を破断した断面であり、
図3はフェース中心基準断面Pfcを示している。
【0022】
本実施の形態では、
図3に示すように、ヘッド本体12に、倒れ抑制部38と、弾性変形部40とが設けられている。
倒れ抑制部38は、フェース部14の後方に位置するヘッド本体12の箇所に設けられ、打球時のフェース部14の倒れを抑制するものである。
本実施の形態では、倒れ抑制部38は、ブレード部18とバックフェース部16とで構成され、言い換えると、倒れ抑制部38は、フェース部14の裏面14Bとソール部24とにわたって設けられている。
【0023】
弾性変形部40は、倒れ抑制部38の後方に位置するヘッド本体12の箇所に設けられ、フェース部14の倒れを促進するものであり、弾性変形部40は、倒れ抑制部38の後方に位置するソール部24の箇所に設けられている。なお、弾性変形部40の詳細については後述する。
【0024】
ここで倒れ抑制部38および弾性変形部40の作用について説明する。
図12(A)は倒れ抑制部38および弾性変形部40を有さない従来のアイアン型のゴルフクラブヘッド(以下比較例という)の断面図であり
図3に対応している。なお、
図3と同様の箇所には同様の符号を付している。
図12(B)は比較例のゴルフクラブヘッド10′において打球直後およびボールが離れる直前におけるヘッド本体12の形状の変化を示す説明図である。
図13は本実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10において打球直後およびボールが離れる直前におけるヘッド本体12の形状の変化を示す説明図である。
なお、
図12(B)、
図13において実線は打球直後におけるヘッド本体12の形状を示し、二点鎖線はボールが離れる直前におけるヘッド本体12の形状を示す。
図12(A)に示す従来のゴルフクラブヘッド10でボールを打球すると、
図12(B)に示すようにフェース部14がリーディングエッジ42の位置を支点として後方に倒れるように変形する。
これに対して
図3に示す本実施の形態のゴルフクラブヘッド10でボールを打球すると、
図13に示すように倒れ抑制部38によりフェース部14のリーディングエッジ42の位置を支点とする倒れが抑制される一方、弾性変形部40によりフェース部14の倒れが促進され、したがって、フェース部14が弾性変形部40を支点として後方に倒れるように変形する。
【0025】
図14(A)、(B)は、比較例のゴルフクラブヘッド10′と本実施の形態のゴルフクラブヘッド10とのそれぞれにおいて、打球直後からボールがフェース部14から離れるまでのフェース面14Aの位置と打点位置軌跡とを時間経過と共に測定した結果の一例を示す図である。図中、符号Piが打点位置を示し、打点位置Piを接続する線が打点位置軌跡を示す。
図中、フェース面14Aの位置は時間経過と共に紙面の右方から左方に移動している。
図14(A)に示すように、比較例では、フェース部14がリーディングエッジ42の位置を支点として後方に倒れることから、打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動することがわかる。
ここで、ボールがフェース面14Aから離れる直前におけるロフト角が28.8°であり、打点位置の軌道によって変化するロフト角の変化量が−3.6°である。
【0026】
一方、
図14(B)に示すように、本実施の形態では、フェース部14が弾性変形部40を支点として後方に倒れることから、フェース部14が後方に倒れると同時に上方にも変位することから、打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離が極めて少ないことがわかる。
ここで、ボールがフェース面14Aから離れる直前におけるロフト角が27.7°であり、打点位置の軌道によって変化するロフト角の変化量が−0.7°である。
したがって、打ち出し角=ロフト角+ロフト角の変化量とすると、比較例と本実施の形態とでは打ち出し角が以下の通りとなる。
比較例の打ち出し角 =28.8°+(−3.6°)=25.2°
実施の形態の打ち出し角=27.7°+(−0.7°)=27.0°
上記のように本実施の形態のゴルフクラブヘッド10では、比較例に比べて打ち出し角を確保する上で有利となることがわかる。
また、本実施の形態のゴルフクラブヘッド10では、打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離が極めて少ないため、フェース面14Aからボールに作用するギア効果が抑制され、ボールに対して付与されるバックスピン量を適切に制御できることから、打球されたボールの吹き上がりを抑制する有利となる。
したがって、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上で有利となる。
【0027】
次に、ゴルフクラブヘッド10の各部の規定について説明する。
(薄肉部)
図3に示すように、本実施の形態では、弾性変形部40は、弾性変形部40が設けられていないソール部24の箇所の肉厚Tの25%以上50%以下の肉厚tの薄肉部2402で形成されている。
薄肉部2402の肉厚tが上記範囲内であると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保できるため、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上でより有利となる。
薄肉部2402の肉厚tが上記範囲を下回ると、弾性変形部40の変形が大きくなりすぎ、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しすぎるため、ボールに付与するバックスピン量が抑制されすぎ、飛距離を確保する効果が低下する。
薄肉部2402の肉厚tが上記範囲を上回ると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保しにくく、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る効果が低下する。
【0028】
(溝)
また、ソール部24にトウヒール方向に延在する溝44が形成され、薄肉部2402は溝44の底部で構成されている。
なお、溝44は、ソール部24の上面24Bに形成しても、ソール面24Aに形成しても両側に形成してもよい。
また、溝44の前後方向の幅が1mm以上7mm以下とされている。
溝44の幅Wgが上記範囲内であると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保できるため、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上でより有利となる。
溝44の幅Wgが上記範囲を下回ると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保しにくく、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る効果が低下する。
溝44の幅Wgが上記範囲を上回ると、弾性変形部40の変形が大きくなりすぎ、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しすぎるため、ボールに付与するバックスピン量が抑制されすぎ、飛距離を確保する効果が低下する。
【0029】
また、溝44の深さDgが1mm以上6mm以下とされている。
溝44の深さDgが上記範囲内であると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保できるため、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上でより有利となる。
溝44の深さDgが上記範囲を下回ると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保しにくく、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る効果が低下する。
溝44の深さDgが上記範囲を上回ると、弾性変形部40の変形が大きくなりすぎ、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しすぎるため、ボールに付与するバックスピン量が抑制されすぎ、飛距離を確保する効果が低下する。
【0030】
(弾性変形部40の長さ)
図1、
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10の基準状態で、弾性変形部40は、フェース中心基準断面Pfcを中心としてトウヒール方向に延在し、弾性変形部40のトウヒール方向に沿った長さLを30mm以上とした。なお、弾性変形部40の長さLの上限は、ソール部24のトウヒール方向の長さとなる。
弾性変形部40の長さLが30mm以上であれば、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保できるため、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上でより有利となる。
弾性変形部40の長さLが30mmを下回ると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保しにくく、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る効果が低下する。
【0031】
(弾性変形部40の前後方向の位置)
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10の基準状態で、フェース中心基準断面Pfcにおいて、リーディングエッジ42と弾性変形部40を水平面HPに投影したとき、リーディングエッジ42から後方に10mm以上30mm以下の範囲内に弾性変形部40が位置するようにした。
弾性変形部40の前後方向の位置が上記範囲内であると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保できるため、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上でより有利となる。
弾性変形部40の前後方向の位置が上記範囲を下回ると、フェース部14と弾性変形部40との距離が近すぎるため、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離が大きくなるため、ボールに付与するバックスピン量を抑制する効果が低下し飛距離を確保する効果が低下する。
弾性変形部40の前後方向の位置が上記範囲を上回ると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量が低下するため、打ち出し角を確保する効果が低下し飛距離を確保する効果が低下する。
【0032】
(弾性変形部40の上下方向の位置)
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10の基準状態で、フェース中心基準断面Pfcおよび水平面HPと直交する平面を基準鉛直面VPとし、弾性変形部40を基準鉛直に投影したとき、弾性変形部40を水平面HPから上方に0mm以上18mm以下の範囲内に位置するようにした。なお、弾性変形部40の上下方向の位置の下限は、水平面HPから上方に0mmの位置である。
弾性変形部40の上下方向の位置が上記範囲内であると、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を確実に抑制できるため、ボールに付与するバックスピン量を抑制でき、飛距離を確保する上でより有利となる。
弾性変形部40の上下方向の位置が上記範囲を上回ると、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しにくくなるため、ボールに付与するバックスピン量を抑制する効果が低下し飛距離を確保する効果が低下する。
【0033】
(フェース面上重心点高さFGH)
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10の基準状態で、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0を通るフェース面14Aの法線がフェース面14Aを交差する点をフェース面上重心点FGとし、水平面HPからのフェース面上重心点までの高さをフェース面上重心点高さFGHとする。
また、フェース中心基準断面Pfcにおいて、水平面HPからヘッド本体12の最も上方に位置する箇所までの高さをヘッド高さHhとしたとき、フェース面上重心点高さFGHをヘッド高さHhの40%以上60%以下とした。
フェース面上重心点高さFGHが上記範囲内であると、打点とフェース面上重心点高さFGHとを近接させる上で有利となり、ボールに付与するバックスピン量を適切に制御でき、飛距離を確保する上でより有利となる。
フェース面上重心点高さFGHが上記範囲を下回ると、打点がフェース面上重心点高さFGHよりも上方の位置となりやすくなり、打球時にゴルフクラブヘッド10が重心点を中心に上向きに回転することで生じるギア効果がボールに作用することから、バックスピン量が低下して飛距離を確保する効果が低下する。
フェース面上重心点高さFGHが上記範囲を上回ると、打点がフェース面上重心点高さFGHよりも下方の位置となりやすくなり、打球時にゴルフクラブヘッド10が重心点を中心に下向きに回転することでフェース面14Aが下向きになる。
そのため、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しにくくなるため、ボールに付与するバックスピン量を抑制する効果が低下し飛距離を確保する効果が低下する。
【0034】
(ウェイト部22の質量)
前述したように、弾性変形部40よりも後方のヘッド本体12の箇所に、ヘッド本体12の全体の質量の10%以上30%未満の質量を有するウェイト部22を設けた。
ウェイト部22の質量が上記範囲内であると、打球時のウェイト部22の慣性力により弾性変形部40の変形が促進されるため、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を確実に抑制できるため、ボールに付与するバックスピン量を抑制でき、飛距離を確保する上でより有利となる。
ウェイト部22の質量が上記範囲を下回ると、打球時のウェイト部22の慣性力が低下するため、弾性変形部40の変形が促進されにくくなり、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しにくくなるため、ボールに付与するバックスピン量を抑制する効果が低下し飛距離を確保する効果が低下する。
ウェイト部22の質量が上記範囲を上回ると、打球時のウェイト部22の慣性力が過剰となるため、弾性変形部40の変形が大きくなりすぎ、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しすぎるため、ボールに付与するバックスピン量が抑制されすぎ、飛距離を確保する効果が低下する。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について
図15を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第2の実施の形態は、ゴルフクラブヘッド10の形状が中空構造でない点が第1の実施の形態と異なっている。
フェース部14の裏面14Bの上部に沿ってトウヒール方向に延在する周縁部17Aが形成され、この周縁部17Aの部分でブレード部18が形成されている。
また、周縁部17Aの両端からフェース部14の裏面14Bのトウヒール方向の両側部に沿って延在しウェイト部22のトウヒール方向の両側に接続する周縁部17Bが形成されている。
ソール部24は、フェース部14の下部から後方に延在し、ソール部24の下面がソール面24Aとなっている。
ウェイト部22は、弾性変形部40よりも後方に位置するソール部24の後部から上方に膨出形成され、トウヒール方向に延在形成されている。
また、フェース部14、周縁部17A、17B、ウェイト部22で囲まれた空間でキャビティ部30が構成されている。
【0036】
第1の実施の形態と同様に、ヘッド本体12に倒れ抑制部38および弾性変形部40が設けられている。
第2の実施の形態では、倒れ抑制部38は、フェース裏面14Bとソール部24の上面とにわたって設けられトウヒール方向に延在する支持壁部46で構成されている。
弾性変形部40は、支持壁部46とソール部24の上面24Bとが接続された箇所の後方に位置するソール部24の箇所に設けられている。
弾性変形部40は、第1の実施の形態と同様に、弾性変形部40が設けられていないソール部24の箇所の肉厚Tの25%以上50%以下の肉厚tの薄肉部2402で形成されている。
【0037】
また、弾性変形部40の長さL、弾性変形部40の前後方向の位置、弾性変形部40の上下方向の位置、フェース面上重心点高さFGH、ウェイト部22の質量は、第1の実施の形態と同様に規定される。
このような第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、ボールの打球時において、倒れ抑制部38によりフェース部14のリーディングエッジ42の位置を支点とする倒れが抑制される一方、フェース部14が弾性変形部40を支点として後方に倒れるように変形する。
したがって、フェース面14Aからボールに作用するギア効果が抑制されるので、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上で有利となる。
【0038】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、ゴルフクラブヘッド10が中空構造のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドである場合について説明する。
図16から
図18に示すように、ヘッド本体12は、フェース部14と、
フェースバック本体36と、
フェースバック後端部48と、ソール部24と、サイド部20と、ウェイト部22と、ホーゼル26とを備えている。
また、フェースバック本体36とフェースバック後端部48とによってフェースバックが構成されている。
フェース部14は、上下の高さを有して左右に延在している。
フェースバック本体36は、フェース部14の上部から後方に延在している。
ソール部24は、フェース部14の下部から後方に延在している。
サイド部20は、
フェースバック本体36とソール部24の間でフェース部14のトウ側縁とヒール側縁との間を
フェースバック後端部48を通って延在している。
ヘッド本体12は、それらフェース部14と
フェースバック本体36とソール部24とサイド部20とで囲まれた内部が中空部31とされた中空構造を呈している。
フェースバック本体36には、フェース面14A側でかつヒール34寄りの位置にシャフトSに接続するホーゼル26が設けられている。
ウェイト部22は、後述する弾性変形部40よりも後方のヘッド本体12の箇所に設けられ、ヘッド本体12の全体の質量の10%以上30%未満の質量を有している。
本実施の形態では、ウェイト部22は、弾性変形部40よりも後方に位置するヘッド本体12の部分で構成され、トウヒール方向に延在している。
【0039】
ヘッド本体12に倒れ抑制部38および弾性変形部40が設けられている。
倒れ抑制部38は、フェース部14寄りに位置するサイド部20の部分で形成されている。
弾性変形部40は、倒れ抑制部38の下方に位置するフェースバック本体36の箇所に設けられている。
【0040】
詳細に説明すると、フェースバック本体36は、フェース部14の上部からフェース部14の後方でトウヒール方向に延在しつつ下方に延在する背面壁部と、残りのフェースバック本体36の箇所に比べて最も低位に位置しトウヒール方向に延在しつつ背面壁部の下端とフェースバックとを接続する低位壁部3602と、低位壁部3602の後端から起立する起立壁部とを備えている。
そして、背面壁部の低位壁部3602側の端部を前壁部3604とし、起立壁部の低位壁部3602側の端部を後壁部3606としたとき、前壁部3604と後壁部3606は平行して互いに対向している。
そして、倒れ抑制部38が、背面壁部の後方と起立壁部の前方との間でかつ低位壁部3602の上方に位置するサイド部20の箇所で構成されている。
すなわち、倒れ抑制部38の
下方に位置する
フェースバック本体36の箇所に、
フェースバック本体36の上面箇所が、残りの
フェースバック本体36の箇所に比べて最も低位に位置しトウヒール方向に延在する低位壁部3602が設けられている。
そして、低位壁部3602の前端から起立しトウヒール方向に延在する前壁部3604と、低位壁部3602の後端から起立しトウヒール方向に延在する後壁部3606とが設けられている。
弾性変形部40は、前壁部3604と低位壁部3602との境の箇所および後壁部3606と低位壁部3602との境の箇所とを含んで構成されている。
【0041】
(前壁部3604と後壁部3606との間の幅)
本実施の形態では、前壁部3604と後壁部3606との間の幅Wkを3mm以上6mm以下とした。
前壁部3604と後壁部3606との間の幅Wkが上記範囲内であると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保できるため、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上でより有利となる。
前壁部3604と後壁部3606との間の幅Wkが上記範囲を下回ると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保しにくく、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る効果が低下する。
前壁部3604と後壁部3606との間の幅Wkが上記範囲を上回ると、弾性変形部40の変形が大きくなりすぎ、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しすぎるため、ボールに付与するバックスピン量が抑制されすぎ、飛距離を確保する効果が低下する。
【0042】
(前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さ)
また、前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さDkを2mm以上6mm以下とした。
前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さDkが上記範囲内であると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保できるため、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上でより有利となる。
前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さDkが上記範囲を下回ると、フェース部14が弾性変形部40を支点として倒れる量を確保しにくく、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る効果が低下する。
前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さDkが上記範囲を上回ると、弾性変形部40の変形が大きくなりすぎ、打球時におけるフェース面14A上における打点位置軌跡が時間経過と共に下方に移動する距離を抑制しすぎるため、ボールに付与するバックスピン量が抑制されすぎ、飛距離を確保する効果が低下する。
【0043】
また、弾性変形部40の長さ、弾性変形部40の前後方向の位置、弾性変形部40の上下方向の位置、フェース面上重心点高さFGH、ウェイト部22の質量は、第1の実施の形態と同様に規定される。
このような第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、ボールの打球時において、フェース面14Aからボールに作用するギア効果が抑制されるので、打ち出し角を高く確保しバックスピン量を適切に制御することにより飛距離の向上を図る上で有利となる。
【0044】
なお、以上の実施の形態では、ヘッド本体12が金属材料で構成される構造である場合について説明したが、本発明は、以下に説明するように、ヘッド本体12が、金属と、炭素繊維強化合成樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)などの非金属材料とで構成された複合構造のものであってもよい。
すなわち、
図25に示すように、ヘッド本体12は中空構造であり、
フェースバック本体36は、開口部37が形成され、開口部37は、
フェースバック本体36のフェース部寄りの箇所から
フェースバック後端部48寄りの箇所にわたって、また、
フェースバック本体36のトウ寄りの箇所からヒール寄りの箇所にわたって設けられている。
フェースバック本体36は、開口部37の外周に接合されることで開口部37を覆うカバー部材50を有している。カバー部材50とヘッド本体12との接合は接着剤により接着されることでなされている。
ヘッド本体12は、金属材料で形成され、カバー部材50は、ヘッド本体12よりも剛性が低い低剛性材料で形成されている。
このような低剛性材料として、カーボンファイバー(炭素繊維強化樹脂材料)などの繊維強化樹脂材料や従来公知の様々な材料が使用可能である。
【0045】
ヘッド本体12に倒れ抑制部38および弾性変形部40が設けられている。
倒れ抑制部38は、フェース部14寄りに位置するサイド部20の部分で形成されている。
【0046】
弾性変形部40は、倒れ抑制部38の後方に位置する
フェースバック本体36の箇所に設けられている。
すなわち、倒れ抑制部38の後方に位置する
フェースバック本体36のうち、カバー部材50を除く箇所に、言い換えると、カバー部材50に隣接するトウ寄りの
フェースバック本体36の箇所と、カバー部材50に隣接するヒール寄りの
フェースバック本体36の箇所に、低位壁部3602と、前壁部3604と、後壁部3606とが設けられている。
低位壁部3602は、
フェースバック本体36の上面箇所が、残りの
フェースバック本体36の箇所に比べて最も低位に位置しトウヒール方向に延在する。
前壁部3604は、低位壁部3602の前端から起立しトウヒール方向に延在する。
後壁部3606は、低位壁部3602の後端から起立しトウヒール方向に延在する。
弾性変形部40は、前壁部3604と低位壁部3602との境の箇所および後壁部3606と低位壁部3602との境の箇所とを含んで構成されている。
このような複合構造のヘッド本体12を備えるゴルフクラブヘッドにおいても上述した実施の形態と同様の効果が奏される。
【0047】
以下、本発明の実験例について説明する。
図19、
図20、
図21は、本発明に係るゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
試料となるゴルフクラブヘッド10を各実験例毎に作成し、後述する4つの評価項目を測定し指数(評価点)を求めると共に、4つの指数の合計点を求めた。
【0048】
(1)打ち出し角
ゴルフクラブヘッド10を備えたゴルフクラブをスイングロボットに設置し、以下の条件で実打試験を行い9打点における打ち出し角を測定し、打ち出し角の平均値を指数で評価した。実験例1の指数を100とし、指数が大きいほど打ち出し角が大きく評価が良いことを示す。
ヘッドスピード:40m/s
打点位置は、以下の合計9打点とし、各打点で5回ずつボールを打撃した。
フェース面14Aの中心点Pcと、中心点Pcを通りフェースセンターラインCLと直交する直線上で中心点Pcからトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
フェースセンターラインCL上で中心点Pcから
フェースバック本体36方向に5mm離間した点と、この点を通りフェースセンターラインCLと直交する上5mmライン上で、上記点からトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
フェースセンターラインCL上で中心点Pcからソール部24方向に5mm離間した点と、この点を通りフェースセンターラインCLと直交する下5mmライン上で、上記点からトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
実験例1の指数を100とし、指数が大きいほど反発性が高く評価が良いことを示す。
【0049】
(2)スピン量
上記打点位置での実打試験で得られたスピン量(バックスピン量)に基いて、実験例1の指数を100とし、指数が大きいほどスピン量が大きく評価が良いことを示す。
【0050】
(3)初速
上記打点位置での実打試験で得られた初速の平均値を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど初速が速く、評価が良いことを示す。
【0051】
(4)飛距離
上記打点位置での実打試験で得られた飛距離の平均値を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど飛距離が大きく、評価が良いことを示す。
【0052】
(5)合計点
上述した打ち出し角、スピン量、初速、飛距離の4つの指数を合計したものを合計点とした。
実験例1の合計点を400とし合計点が大きいほど評価が良いことを示す。
【0053】
次に
図19、
図20を参照しつつ実験例1〜38について説明する。
実験例1は、
図12に示すように、比較例に相当するものであり、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
実験例2から実験例34は、本発明の範囲内であり、請求項1を満たすものである。
【0054】
実験例2は、
図22(A)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たすものである。
したがって、打ち出し角140、スピン量140、初速100、飛距離140、合計点520となっており、全ての評価が高いものとなっている。
【0055】
実験例3は、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たすものである。
したがって、打ち出し角140、スピン量140、初速100、飛距離140、合計点520となっており、全ての評価が高いものとなっている。
【0056】
実験例4は、
図22(B)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項4を満たさないものである。
すなわち、溝44の深さDgが8mmであり、請求項4の1mm以上6mm以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角100、スピン量106、初速102、飛距離102、合計点410となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0057】
実験例5は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項4を満たさないものである。
すなわち、溝44の前後方向の幅Wgが9mmであり、請求項4の1mm以上7mm以下の範囲を上回っている。
また、溝44の深さDgが8mmであり、請求項4の1mm以上6mm以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角100、スピン量105、初速103、飛距離101、合計点409となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0058】
実験例6は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たしている。
ただし、溝44の前後方向の幅Wgが3mmであり、請求項4の1mm以上7mm以下の範囲の下限値に近い。
また、溝44の深さDgが2mmであり、請求項4の1mm以上6mm以下の範囲の下限値に近い。
したがって、打ち出し角138、スピン量135、初速100、飛距離124、合計点497となっており、打ち出し角、スピン量、飛距離、合計点の評価が請求項4を満たさない実験例4、5を上回っている。
【0059】
実験例7は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たしている。
ただし、溝44の前後方向の幅Wgが7mmであり、請求項4の1mm以上7mm以下の範囲の上限値である。
また、溝44の深さDgが6mmであり、請求項4の1mm以上6mm以下の範囲の上限値である。
したがって、打ち出し角141、スピン量137、初速100、飛距離126、合計点504となっており、打ち出し角、スピン量、飛距離、合計点の評価が請求項4を満たさない実験例4、5を上回っている。
【0060】
実験例8は、
図22(C)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項4を満たさないものである。
すなわち、溝44の前後方向の幅Wgが9mmであり、請求項4の1mm以上7mm以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角100、スピン量111、初速100、飛距離102、合計点413となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0061】
実験例9は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項4を満たさないものである。
すなわち、溝44の深さDgが8mmであり、請求項4の1mm以上6mm以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角100、スピン量115、初速100、飛距離105、合計点420となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0062】
実験例10は、
図22(D)に示すように、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11のうち請求項6を満たさないものである。
すなわち、前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さDkが1mmであり、請求項6の2mm以上6mm以下の範囲を下回っている。
また、前壁部3604と後壁部3606との間の幅Wkが2mmであり、3mm以上6mm以下の範囲を下回っている。
したがって、打ち出し角105、スピン量105、初速100、飛距離103、合計点413となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例3に比較すると評価が低いものとなっている。
【0063】
実験例11は、
図22(E)に示すように、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11のうち請求項6を満たさないものである。
すなわち、前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さDkが7mmであり、請求項6の2mm以上6mm以下の範囲を上回っている。
また、前壁部3604と後壁部3606との間の幅Wkが8mmであり、3mm以上6mm以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角102、スピン量105、初速100、飛距離102、合計点409となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例3に比較すると評価が低いものとなっている。
【0064】
実験例12は、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たしている。
ただし、前壁部3604と後壁部3606との間の幅Wkが6mmであり、3mm以上6mm以下の範囲の上限値となっている。
したがって、打ち出し角132、スピン量132、初速100、飛距離121、合計点485となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項6を満たさない実験例10、11を上回っている。
【0065】
実験例13は、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たしている。
ただし、前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さDkが6mmであり、請求項6の2mm以上6mm以下の範囲の上限値である。
したがって、打ち出し角132、スピン量132、初速100、飛距離121、合計点485となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項6を満たさない実験例10、11を上回っている。
【0066】
実験例14は、
図23(A)に示すように、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11のうち請求項6を満たさないものである。
すなわち、前壁部3604と後壁部3606との間の幅Wkが1mmであり、3mm以上6mm以下の範囲を下回っている。
したがって、打ち出し角104、スピン量103、初速100、飛距離102、合計点409となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例3に比較すると評価が低いものとなっている。
【0067】
実験例15は、
図23(B)に示すように、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11のうち請求項6を満たさないものである。
すなわち、前壁部3604の上端から低位壁部3602までの深さDkが7mmであり、請求項6の2mm以上6mm以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角109、スピン量107、初速100、飛距離105、合計点421となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例3に比較すると評価が低いものとなっている。
【0068】
実験例16は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項7を満たさないものである。
すなわち、弾性変形部40の長さLが20mmであり、請求項7の30mm以上の規定を下回っている。
したがって、打ち出し角104、スピン量103、初速100、飛距離102、合計点409となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0069】
実験例17は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項7を満たさないものである。
すなわち、弾性変形部40の長さLが25mmであり、請求項7の30mm以上の規定を下回っている。
したがって、打ち出し角125、スピン量123、初速100、飛距離122、合計点470となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。ただし、実験例16(長さL=20mm)よりも各評価の数値が向上している。
【0070】
実験例18は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たすものである。
すなわち、弾性変形部40の長さLが35mmであり、請求項7の30mm以上の規定を満たしている。
したがって、打ち出し角140、スピン量140、初速100、飛距離140、合計点520となっており、全ての評価が実験例2と同等となっている。
【0071】
実験例19は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たすものである。
すなわち、弾性変形部40の長さLが50mmであり、請求項7の30mm以上の規定を満たしている。
したがって、打ち出し角140、スピン量140、初速100、飛距離140、合計点520となっており、全ての評価が実験例2と同等となっている。
【0072】
実験例20は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項8を満たさないものである。
すなわち、ウェイト部22の質量Ww/ヘッド本体の質量Whが5%であり、請求項8の10%以上30%以下の範囲を下回っている。
したがって、打ち出し角110、スピン量110、初速100、飛距離107、合計点427となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0073】
実験例21は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項8を満たさないものである。
すなわち、ウェイト部22の質量Ww/ヘッド本体の質量Whが35%であり、請求項8の10%以上30%以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角120、スピン量109、初速100、飛距離106、合計点435となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0074】
実験例22は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たしている。
ただし、ウェイト部22の質量Ww/ヘッド本体の質量Whが10%であり、請求項8の10%以上30%以下の範囲の下限値である。
したがって、打ち出し角123、スピン量123、初速100、飛距離115、合計点461となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項8を満たさない実験例20、21を上回っている。
【0075】
実験例23は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たしている。
ただし、ウェイト部22の質量Ww/ヘッド本体の質量Whが30%であり、請求項8の10%以上30%以下の範囲の上限値である。
したがって、打ち出し角125、スピン量125、初速100、飛距離117、合計点467となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項8を満たさない実験例20、21を上回っている。
【0076】
実験例24は、
図23(C)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項9を満たさないものである。
すなわち、弾性変形部40の前後方向の位置(弾性変形部40の前端の位置)がリーディングエッジ42から後方に8mmの箇所に位置しており、請求項9のリーディングエッジ42から後方に10mm以上30mm以下の範囲を下回っている。
したがって、打ち出し角120、スピン量105、初速100、飛距離108、合計点433となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0077】
実験例25は、
図23(D)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項9を満たさないものである。
すなわち、弾性変形部40の前後方向の位置(弾性変形部40の後端の位置)がリーディングエッジ42から後方に32mmの箇所に位置しており、請求項9のリーディングエッジ42から後方に10mm以上30mm以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角109、スピン量109、初速100、飛距離106、合計点424となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0078】
実験例26は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たしている。
ただし、弾性変形部40の前後方向の位置(弾性変形部40の前端の位置)がリーディングエッジ42から後方に10mmの箇所に位置しており、請求項9のリーディングエッジ42から後方に10mm以上30mm以下の範囲の下限値である。
したがって、打ち出し角130、スピン量130、初速100、飛距離120、合計点479となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項9を満たさない実験例24、25を上回っている。
【0079】
実験例27は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たしている。
ただし、弾性変形部40の前後方向の位置(弾性変形部40の後端の位置)がリーディングエッジ42から後方に30mmの箇所に位置しており、請求項9のリーディングエッジ42から後方に10mm以上30mm以下の範囲の上限値である。
したがって、打ち出し角132、スピン量132、初速100、飛距離121、合計点484となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項9を満たさない実験例24、25を上回っている。
【0080】
実験例28は、
図23(E)に示すように、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11のうち請求項10を満たさないものである。
すなわち、弾性変形部40の上下方向の位置が水平面から20mmであり、請求項10の0mm以上18mm以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角113、スピン量113、初速100、飛距離108、合計点433となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例3に比較すると評価が低いものとなっている。
【0081】
実験例29は、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たしている。
ただし、弾性変形部40の上下方向の位置が水平面から4mmであり、請求項10の0mm以上18mm以下の範囲のうち下限値寄りの値となっている。
したがって、打ち出し角135、スピン量135、初速100、飛距離123、合計点492となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項10を満たさない実験例28を上回っている。
【0082】
実験例30は、第3の実施の形態のユーティリティ型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たしている。
ただし、弾性変形部40の上下方向の位置が水平面から18mmであり、請求項10の0mm以上18mm以下の範囲の上限値となっている。
したがって、打ち出し角127、スピン量127、初速100、飛距離118、合計点473となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項10を満たさない実験例28を上回っている。
【0083】
実験例31は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項11を満たさないものである。
すなわち、フェース面上重心点高さFGHがヘッド高さHhの35%であり、請求項11の40%以上60%以下の範囲を下回っている。
したがって、打ち出し角138、スピン量100、初速100、飛距離111、合計点449となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0084】
実験例32は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち請求項11を満たさないものである。
すなわち、フェース面上重心点高さFGHがヘッド高さHhの65%であり、請求項11の40%以上60%以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角125、スピン量105、初速100、飛距離110、合計点440となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0085】
実験例33は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たしている。
ただし、フェース面上重心点高さFGHがヘッド高さHhの40%であり、請求項11の40%以上60%以下の範囲の下限値となっている。
したがって、打ち出し角132、スピン量132、初速100、飛距離121、合計点485となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項11を満たさない実験例31、32を上回っている。
【0086】
実験例34は、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たしている。
ただし、フェース面上重心点高さFGHがヘッド高さHhの60%であり、請求項11の40%以上60%以下の範囲の上限値となっている。
したがって、打ち出し角130、スピン量130、初速100、飛距離120、合計点480となっており、打ち出し角、スピン量、初速、飛距離、合計点の評価が請求項11を満たさない実験例31、32を上回っている。
【0087】
実験例35は、
図24(A)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち、請求項3を満たしていないものである。
すなわち、弾性変形部40を構成する薄肉部2402の肉厚tが、弾性変形部40が設けられていないソール部24の箇所の肉厚Tの20%であり、請求項3の25%以上50%以下の範囲を下回っている。
したがって、打ち出し角130、スピン量130、初速100、飛距離120、合計点480となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0088】
実験例36は、
図24(B)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち、請求項3を満たしていないものである。
すなわち、弾性変形部40を構成する薄肉部2402の肉厚tが、弾性変形部40が設けられていないソール部24の箇所の肉厚Tの55%であり、請求項3の25%以上50%以下の範囲を上回っている。
したがって、打ち出し角115、スピン量113、初速100、飛距離111、合計点439となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0089】
実験例37は、
図24(C)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち、請求項4を満たしていないものである。
すなわち、溝44の前後方向の幅Wgが0.5mmであり、請求項4の1mm以上7mm以下の範囲を下回っている。
したがって、打ち出し角109、スピン量107、初速100、飛距離105、合計点421となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0090】
実験例38は、
図24(D)に示すように、第1の実施の形態のアイアン型のゴルフクラブヘッドに相当するものであり、請求項1、2、3、4、7〜11のうち、請求項4を満たしていないものである。
すなわち、溝44の深さDgが0.5mmであり、請求項4の1mm以上6mm以下の範囲を下回っている。
したがって、打ち出し角130、スピン量130、初速100、飛距離120、合計点480となっており、全ての評価が実験例1以上であるものの、実験例2に比較すると評価が低いものとなっている。
【0091】
以下、各評価項目について検討する。
(1)打ち出し角
本発明の範囲内であり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たす実験例2、6、7、18、19、22、23、26、33、34、および、請求項1、2、5、6、7〜11の全ての全てを満たす実験例3、12、13、29、30は、打ち出し角が127〜140であり打ち出し角が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2から請求項11の規定のうち何れかの規定を満たさない実験例4、5、8〜11、14〜17、20、21、24、25、28、31、32、35〜38は、打ち出し角が100〜138であり打ち出し角が次に優れている。
したがって、本発明の範囲内で請求項1、2、3、4、7〜11の全て、あるいは、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たすものは、本発明の範囲外のものに対して打ち出し角の向上を図る効果が優れている。
【0092】
(2)スピン量
本発明の範囲内であり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たす実験例2、6、7、18、19、22、23、26、33、34、および、請求項1、2、5、6、7〜11の全ての全てを満たす実験例3、12、13、29、30は、スピン量が123〜140でありスピン量が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2から請求項11の規定のうち何れかの規定を満たさない実験例4、5、8〜11、14〜17、20、21、24、25、28、31、32、35〜38は、スピン量が103〜130でありスピン量が次に優れている。
したがって、本発明の範囲内で請求項1、2、3、4、7〜11の全て、あるいは、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たすものは、本発明の範囲外のものに対してスピン量の向上を図る効果が優れている。
【0093】
(3)初速
本発明の範囲内であり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たす実験例2、6、7、18、19、22、23、26、33、34、および、請求項1、2、5、6、7〜11の全ての全てを満たす実験例3、12、13、29、30は、初速が100である。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2から請求項11の規定のうち何れかの規定を満たさない実験例4、5、8〜11、14〜17、20、21、24、25、28、31、32、35〜38は、初速が100〜103である。
したがって、本発明の範囲内のものは、本発明の範囲外のものに対して初速を低下させることはない。
【0094】
(4)飛距離
本発明の範囲内であり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たす実験例2、6、7、18、19、22、23、26、33、34、および、請求項1、2、5、6、7〜11の全ての全てを満たす実験例3、12、13、29、30は、飛距離が115〜140であり飛距離が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2から請求項11の規定のうち何れかの規定を満たさない実験例4、5、8〜11、14〜17、20、21、24、25、28、31、32、35〜38は、飛距離が101〜122であり飛距離が次に優れている。
したがって、本発明の範囲内で請求項1、2、3、4、7〜11の全て、あるいは、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たすものは、本発明の範囲外のものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
【0095】
(5)合計点
本発明の範囲内であり、請求項1、2、3、4、7〜11の全てを満たす実験例2、6、7、18、19、22、23、26、33、34、および、請求項1、2、5、6、7〜11の全ての全てを満たす実験例3、12、13、29、30は、合計点が461〜520であり合計点が最も優れている。
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たすが、請求項2から請求項11の規定のうち何れかの規定を満たさない実験例4、5、8〜11、14〜17、20、21、24、25、28、31、32、35〜38は、合計点が409〜480であり合計点が次に優れている。
したがって、本発明の範囲内で請求項1、2、3、4、7〜11の全て、あるいは、請求項1、2、5、6、7〜11の全てを満たすものは、本発明の範囲外のものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
【解決手段】倒れ抑制部38は、フェース部14の後方に位置するヘッド本体12の箇所に設けられ、打球時のフェース部14の倒れを抑制するものである。弾性変形部40は、倒れ抑制部38の後方に位置するヘッド本体12の箇所に設けられ、フェース部14の倒れを促進するものであり、弾性変形部40は、倒れ抑制部38の後方に位置するソール部24の箇所に設けられている。ゴルフクラブヘッド10でボールを打球すると、倒れ抑制部38によりフェース部14のリーディングエッジ42の位置を支点とする倒れが抑制される一方、弾性変形部40によりフェース部14の倒れが促進され、したがって、フェース部14が弾性変形部40を支点として後方に倒れるように変形する。