特許第5950101号(P5950101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950101
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】電動車両のシール構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20060101AFI20160630BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   B60K1/04 Z
   B62D25/20 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-136734(P2012-136734)
(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公開番号】特開2014-866(P2014-866A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】鴨川 亮平
(72)【発明者】
【氏名】落合 修一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 啓二
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−083601(JP,A)
【文献】 特開2013−159235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00 − 6/12
B60K 7/00 − 8/00
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内外を連通し、車載時に弾性変形して密封状態を保持するシール部材が配設される開口部を有するバッテリユニットと、前記開口部と対向する位置に車室内と連通し、前記シール部材の上部が嵌合して取り付けられるシール部材取付孔が形成されるフロアパネルと、前記シール部材取付孔を覆うように前記フロアパネルに固定されるキャップ部材と、を備え、前記フロアパネル下部に前記バッテリユニットが配設される電動車両のシール構造において、
前記キャップ部材の取り付け時に前記キャップ部材と前記シール部材との接触を防止する脱落防止手段を備えることを特徴とする電動車両のシール構造。
【請求項2】
前記脱落防止手段は、前記シール部材の上端部を覆うように形成される脱落防止部材であって、
前記脱落防止部材は、前記シール部材が前記シール部材取付孔に取り付けられた後に、前記シール部材の上端部を覆うように配設されることを特徴とする、請求項1に記載の電動車両のシール構造。
【請求項3】
前記脱落防止部材は、前記キャップ部材の取り付け時に前記キャップ部材の挿入方向となる側の前記シール部材の上端部を覆うように形成され、更に前記脱落防止部材には、前記脱落防止部材を前記フロアパネルに固定する固定部が形成されることを特徴とする、請求項1或いは2に記載の電動車両のシール構造。
【請求項4】
前記脱落防止手段は、前記フロアパネルの前記シール部材挿入孔が形成される部位の高さが、他の部位の高さに対して低く設定されることを特徴とする、請求項1に記載の電動車両のシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両のシール構造に係り、詳しくは、サービスプラグ操作孔のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両には、電力を蓄電すると共に電動機に電力を供給するバッテリユニットが搭載されている。そして、バッテリユニットは、電動車両の車室或いは荷室の容積を確保するためにいずれかのフロア下部に配設されている。
そして、このようなバッテリユニットのバッテリケースには、バッテリユニットのメンテナンス等を行う際に車室内側よりバッテリユニット内部に設けられるサービスプラグの操作レバーを操作するためのサービスプラグ用開口部(サービスプラグ操作孔)が設けられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−83601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のバッテリユニットでは、車両の組み立て時に作業者を感電等から保護するために、バッテリユニットの車載後にサービスプラグ操作孔を覆うキャップ部材をフロアパネルに取り付けるようにしている。また、バッテリユニットとフロアパネル間には、車外よりバッテリユニット内に水やゴミ等の侵入を防ぐ蛇腹状のブーツ部材(シール部材)が設けられている。そして、フロアパネル側のシール部材は、シール部材の上部に形成される取付溝にフロアパネルを嵌合させて取り付けられている。
【0005】
このような、上記特許文献1のバッテリユニットを車載後にバッテリユニットのサービスプラグ操作孔の上部にパーキングブレーキケーブル等の車両構成部材が配設されるような車両に適用すると、キャップ部材が車両構成部材と接触しないように、キャップ部材を車両構成部材とフロアパネルとの間より横方向に移動させて、フロアパネルに取り付ける必要がある。
【0006】
しかしながら、キャップ部材を車両構成部材とフロアパネルとの間より横方向に移動させてフロアパネルに取り付けるようにすると、キャップ部材とシール部材とが接触し、シール部材がフロアパネルより外れる虞がある。
したがって、このようにシール部材がフロアパネルより外れることで、バッテリユニット内に水やゴミ等が侵入する可能性があり好ましいことではない。
【0007】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、バッテリユニット内に水等の侵入を防止することのできる電動車両のシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の電動車両のシール構造では、筐体の内外を連通し、車載時に弾性変形して密封状態を保持するシール部材が配設される開口部を有するバッテリユニットと、前記開口部と対向する位置に車室内と連通し、前記シール部材の上部が嵌合して取り付けられるシール部材取付孔が形成されるフロアパネルと、前記シール部材取付孔を覆うように前記フロアパネルに固定されるキャップ部材と、を備え、前記フロアパネル下部に前記バッテリユニットが配設される電動車両のシール構造において、前記キャップ部材の取り付け時に前記キャップ部材と前記シール部材との接触を防止する脱落防止手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の電動車両のシール構造では、請求項1において、前記脱落防止手段は、前記シール部材の上端部を覆うように形成される脱落防止部材であって、前記脱落防止部材は、前記シール部材が前記シール部材取付孔に取り付けられた後に、前記シール部材の上端部を覆うように配設されることを特徴とする。
また、請求項3の電動車両のシール構造では、請求項1或いは2において、前記脱落防止部材は、前記キャップ部材の取り付け時に前記シール部材の前記キャップ部材の挿入方向となる側の前記シール部材の上端部を覆うように形成され、更に前記脱落防止部材には、前記脱落防止部材を前記フロアパネルに固定する固定部が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の電動車両のシール構造では、請求項1において、前記脱落防止手段は、前記フロアパネルの前記シール部材挿入孔が形成される部位の高さが、他の部位の高さに対して低く設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、キャップ部材の取り付け時にキャップ部材とシール部材との接触を防止する脱落防止手段を備えており、例えば、シール部材取付孔の上部にパーキングブレーキケーブル等の車両構成部材が配設された電動車両にて、車両構成部材を避けるように、フロアパネルと車両構成部材との間より横方向にキャップ部材を移動させてキャップ部材を取り付ける時にキャップ部材とシール部材との接触を防止することができ、キャップ部材に押されてシール部材がシール部材取付孔より外れることを防止することができる。
【0013】
したがって、バッテリユニット内に水等の侵入を防止することができる。
また、請求項2の発明によれば、シール部材がシール部材取付孔に取り付けられた後に、シール部材の上端部を覆うように脱落防止部材を配設しており、キャップ部材の取り付け時にキャップ部材とシール部材の上端部との接触を防止することができ、シール部材がシール部材取付孔より外れることを防止することができるので、バッテリユニット内に水等の侵入を防止することができる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、脱落防止部材は、キャップ部材の取り付け時にキャップ部材の挿入方向となる側のシール部材の上端部を覆うように形成され、更に脱落防止部材には、脱落防止部材をフロアパネルに固定する固定部が形成されており、固定部をフロアパネルに固定することでキャップ部材の取り付け時に脱落防止部材が脱落することを防止することができる。また、キャップ部材の挿入方向となる側のシール部材の上部を覆うように脱落防止部材を形成しており、脱落防止部材の形状を制限することで脱落防止部材によるコスト増加を抑制することができる。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、フロアパネルのシール部材挿入孔が形成される部位の高さを、他の部位の高さに対して低く設定しており、キャップ部材の取り付け時にシール部材への影響を小さくすることができるので、シール部材がシール部材取付孔より外れることを防止することができる。また、脱落防止部材を用いる必要がないのでコストの増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施例に係る電動車両のサービスプラグ操作孔周辺部の概略図である。
図2】本発明の第1実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の上面視図である。
図3図2のA−A線での断面図である。
図4】本発明の第2実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の上面視図である。
図5図4のB−B線での断面図である。
図6】本発明とは異なる別の構造のサービスプラグ操作孔の上面視図である。
図7図6のC−C線での断面図である。
図8】本発明の第3実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の上面視図である。
図9図8のD−D線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1実施例]
まずは、本発明の第1実施例に係る電動車両のサービスプラグ操作孔周辺部の構造に付いて説明する。
図1は、電動車両のサービスプラグ操作孔周辺部の概略図である。また、図2は、本発明の第1実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の上面視図である。そして、図3は、図2のA−A線での断面図である。図3中の太矢印は、バッテリユニット車載時におけるメンテナンスリッドの取り付け方向を示す。
【0018】
本発明の車両(電動車両)1は、当該車両1の走行装置として、バッテリユニット20より高電圧回路を介して高電圧の電力が供給されインバータにより作動が制御される走行用モータ(電動機)を備え、充電リッドに外部電源より延びる充電ケーブルを接続し、充電器にてバッテリユニット20を充電することができる電動車両である。
バッテリユニット20は、リチウムイオン電池等の二次電池で構成されるものである。そして、バッテリユニット20は、電池セルを監視するセルモニタリングユニットを備え複数の電池セルで構成される複数のバッテリモジュールと、セルモニタリングユニットの出力に基づきバッテリモジュールの温度及び電池残量等を監視するバッテリモニタリングユニットと、絶縁構造で形成され、図3に示すような非常時や車両1のメンテナンス時にバッテリユニット20内の高電圧回路を遮断するためのサービスプラグ22と、高電圧を導電する導電部品と、短絡等により高電圧が導電する可能性のある導電性部品とが、樹脂製のバッテリユニットカバー21とバッテリユニットケースとに内包されて一体に構成されている。
【0019】
また、図3に示すように、バッテリユニットカバー21には、サービスプラグ22を操作可能にするための開口部21aが設けられている。そして、このようなバッテリユニット20は、バッテリユニットカバー21の開口部21aと、車両1の車体の下部を形成するフロアパネル11に形成されるサービスプラグ操作孔(シール部材取付孔)11aとが対向するようにフロアパネル12の下方に配設されている。即ち、バッテリパック20は、車室外に配設されている。また、バッテリユニットカバー21の開口部21aとフロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aは、水等の浸入を防止するシール部材23で開口部21aとサービスプラグ操作孔11aとが連通するように接続されている。そして、バッテリユニット20の車載後には、サービスプラグ操作孔11aを覆うように長円形状に形成されたメンテナンスリッド30が取り付けられる。
【0020】
シール部材23のフロアパネル11側となる箇所には、シール部材23をフロアパネルのサービスプラグ操作孔11aに固定するための挿入溝23aが形成されている。そして、シート部材23は、挿入溝23aにフロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aを挿入して、フロアパネル11に固定される。また、シール部材23の上端部には、バッテリユニット20の車載時に車室内側に突出するようにグロメット部23bが形成されている。
【0021】
図2及び図3に示すように、グロメット部23bの上部には、グロメット部23bを覆うように形成されるカバー40が配設されている。
カバー40は、絶縁材で、上面視でグロメット部23bの形状に沿った内部が開口した長円形状であって、断面視で下方が開放し、内周側の側壁が外周側の側壁に対して長く、且つメンテナンスリッド30の取り付け時にメンテナンスリッド30がカバー40に接触することでカバー40がグロメット部23bより脱落しないように外周方向に傾斜した略C字形状に形成されている。
【0022】
そして、図1から図3に示すように、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aの上部には、車両の停車状態を保持するために運転者が操作するパーキングブレーキのケーブルであるパーキングケーブル13が配設されている。
以下、このように構成された本発明の第1実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の作用及び効果について説明する。
【0023】
図2及び図3に示すように、カバー40を絶縁材で、上面視で内部が開口したグロメット部23bの形状に沿った長円形状であって、断面視で下方が開放した略C字形状に形成している。そして、当該カバー40をシール部材23のグロメット部23bの上部にグロメット部23bを覆うように配設している。
このように、グロメット部23bの上部にグロメット部23bを覆うことが可能なカバー40を配設することで、例えば、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aの上部にパーキングケーブル13が配設され、サービスプラグ操作孔11aの上方向からメンテナンスリッド30を取り付けることが不可能であり、図3のように、パーキングケーブル13とフロアパネル12との間よりメンテナンスリッド30を横方向に移動させて取り付ける必要がある場合に、メンテナンスリッド30とグロメット部23bの接触を防止できる。
【0024】
したがって、メンテナンスリッド30の取り付け時にメンテナンスリッド30にてグロメット部23bを押し、シール部材23の挿入溝23aより、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aが外れることを防止することができる。
よって、バッテリユニット20内に水等の侵入を防止することができる。
また、カバー40を、グロメット部23bの全体を覆うように、そして内周側の側壁が外周側の側壁に対して長くなるように形成しているので、締結部材等を用いてカバー40を固定するための固定部を設ける必要がなく容易にカバー40を取り付けることができる。
[第2実施例]
以下、本発明の第2実施例に係る電動車両のサービスプラグ操作孔周辺部の構造に付いて説明する。
【0025】
図4は、本発明の第2実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の上面視図である。そして、図5は、図4のB−B線での断面図である。図5中の太矢印は、バッテリユニット車載時におけるメンテナンスリッドの取り付け方向を示す。
図4及び図5に示すように、第2実施例では、第1実施例に対し、カバー140の形状と固定方法を変更しており、以下に上記第1実施例と異なるカバー140について説明する。
【0026】
図5に示すように、カバー140は、パーキングケーブル13等の車体構成部材とフロアパネル12との間よりメンテナンスリッド30を横方向に移動させて取り付ける際に、メンテナンスリッド30とグロメット部23bとが接触し、シール部材23の挿入溝23aより、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aが外れる虞のある範囲の上部を覆うように形成されている。即ち、メンテナンスリッド30の取り付け時にグロメット部23bのメンテナンスリッド30の挿入側(図5では左側)となる範囲の上部を覆うように形成されている。また、カバー140は、グロメット部23b側が開口した断面くの字上に形成されている。そして、カバー140のメンテナンスリッド30の挿入側の端部には固定部141が形成されている。このような固定部141には、カバー140をフロアパネル11に締結部材50にて固定するための一対の挿入孔142が形成されている。
【0027】
以下、このように構成された本発明の第2実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の作用及び効果について説明する。
図4及び図5に示すように、カバー140をメンテナンスリッド30の取り付け時にグロメット部23bのメンテナンスリッド30の挿入側(図5では左側)となる範囲の上部を覆うように形成している。また、カバー140のメンテナンスリッド30の挿入側の端部には、一対の挿入孔142を有する固定部141を形成している。そして、当該カバー140の固定部141を介して、一対の締結部材50にてフロアパネル11に固定している。
【0028】
このように、メンテナンスリッド30の取り付け時にメンテナンスリッド30とグロメット部23bとが接触し、グロメット部23bがフロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aより外れる虞のある範囲のグロメット部23bの上部にカバー140を配設することで、第1実施例と同様に、例えば、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aの上部にパーキングケーブル13が配設され、サービスプラグ操作孔11aの上方向からメンテナンスリッド30を取り付けることが不可能であり、図5のように、パーキングケーブル13とフロアパネル12との間よりメンテナンスリッド30を横方向に移動させて取り付ける必要がある場合に、メンテナンスリッド30とグロメット部23bの接触を防止できる。
【0029】
したがって、メンテナンスリッド30の取り付け時にメンテナンスリッド30にてグロメット部23bを押し、シール部材23の挿入溝23aより、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aが外れることを防止することができる。
よって、バッテリユニット20内に水等の侵入を防止することができる。
また、カバー140を一対の締結部材50で固定しているので、メンテナンスリッド30の取り付け時にカバー140が締結部材50を支点に回転することを防止することができるので、確実にシール部材23の挿入溝23aより、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aが外れることを防止することができる
【0030】
図6は、本発明とは異なる別のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の上面視図である。そして、図7は、図6のC−C線での断面図である。図7中の太矢印は、バッテリユニット車載時におけるメンテナンスリッドの取り付け方向を示す
【0031】
図6及び図7に示すように、メンテナンスリッド30の挿入側(図7では左側)のフロアパネル11に形成されるサービスプラグ操作孔11aに、挿入孔11bが形成されている。
また、シール部材123のグロメット部123bには、パーキングケーブル13等の車体構成部材とフロアパネル11との間よりメンテナンスリッド30を横方向に移動させて取り付ける際のメンテナンスリッド30の挿入側(図7では左側)であって、挿入溝123aの上部よりメンテナンスリッド30の挿入方向に伸びる固定部123cが形成されている。そして、固定部123cの端部123dには、フロアパネル11の挿入孔11bに挿入した際に挿入孔11bの内周部と係合し、抜けを防止する抜け防止構造123dが形成されている。詳しくは、抜け防止構造123dは、固定部123cの端部123dを挿入孔11bに容易に挿入可能とする下方向に頂点を有するテーパ状に形成されるテーパ部123eと、固定部123cの端部123dを挿入孔11bに挿入後にフロアパネル11と当接する箇所が水平に形成される係合部123fとで構成されている。
【0032】
6及び図7に示すように、メンテナンスリッド30の取り付け時に、メンテナンスリッド30の挿入側(図7では左側)となるグロメット部123bの固定部123cに抜け防止構造123dを有する端部123dを形成している。そして、端部123dをフロアパネル11の挿入孔11bに挿入して、グロメット部123bをフロアパネル11に固定している。
【0033】
このように、メンテナンスリッド30の取り付け時にグロメット部123bのメンテナンスリッド30の挿入側をフロアパネル11に固定しているので、たとえメンテナンスリッド30がグロメット部123bと当接しても、メンテナンスリッド30にてグロメット部23bを押し、シール部材23の挿入溝23aより、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aが外れることを防止することができる。
【0034】
よって、バッテリユニット20内に水等の侵入を防止することができる。
第3実施例
以下、本発明の第3実施例に係る電動車両のサービスプラグ操作孔周辺部の構造に付いて説明する。
図8は、本発明の第3実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の上面視図である。そして、図9は、図8のD−D線での断面図である。図9中の太矢印は、バッテリユニット車載時におけるメンテナンスリッドの取り付け方向を示す。
【0035】
図9に示すように、第3実施例では、第1実施例に対し、カバー40を廃止し、フロアパネル111の形状を変更しており、以下に上記第1実施例と異なるフロアパネル111について説明する。
図9に示すように、フロアパネル111のサービスプラグ操作孔111aの形成される面111cは、パーキングケーブル13等の車体構成部材とフロアパネル11との間よりメンテナンスリッド30を横方向に移動させて取り付ける際にメンテナンスリッド30の挿入側(図9では左側)となる面111dより、高さが低く設定されている。詳しくは、図9に示すように、フロアパネル111のサービスプラグ操作孔111aの形成される面111cは、グロメット部23bの上部のみがメンテナンスリッド30の挿入側(図9では左側)となる面111dよりも突出するように形成されている。
【0036】
以下、このように構成された本発明の第3実施例に係る電動車両のシール構造を適用したサービスプラグ操作孔の作用及び効果について説明する。
図9に示すように、フロアパネル111のサービスプラグ操作孔111aの形成される面111cの高さ、即ち、グロメット部23bが取り付けられる面111cの高さを、メンテナンスリッド30の取り付け時に、メンテナンスリッド30の挿入側(図9では左側)となる面111dの高さよりも低く設定している。
【0037】
このように、メンテナンスリッド30の挿入側(図9では左側)となる面111dより、グロメット部23bの上部のみが突出するように、グロメット部23bが取り付けられる面111cの高さを設定することで、メンテナンスリッド30の取り付け時に、メンテナンスリッド30とグロメット部23bの下部との接触を回避することで、メンテナンスリッド30にてグロメット部23bを押し、シール部材23の挿入溝23aより、フロアパネル11のサービスプラグ操作孔11aが外れることを防止することができる。
【0038】
よって、バッテリユニット20内に水等の侵入を防止することができる。
また、グロメット部23bの脱落防止に新たな部品を用いる必要がないのでコストの増加を抑制することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 車両 (電動車両)
11,111 フロアパネル
11a,111a サービスプラグ操作孔(シール部材取付孔)
20 バッテリユニット
21 バッテリユニットカバー
23,123 シール部材
30 メンテナンスリッド(キャップ部材)
40,140 カバー(脱落防止部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9