(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、前記センサの前記出力信号が前記特定の動作に対応したものであっても、前記他の入力装置が最後に使用されてから所定時間以上経過していない場合には、前記特定の動作があった旨の電気信号を前記OS搭載機器のOSに対して発しない請求項1に記載の非接触式入力装置。
前記判定部は、前記判定部の判定結果を無効とする、前記判定部の判定動作を無視する、又は前記判定部の動作自体を停止することにより、前記特定の動作があった旨の前記電気信号を前記OS搭載機器の前記OSに対して発しない請求項2に記載の非接触式入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、本発明者の検討によれば、かかる非接触式入力装置は、例えば人体や手のひら等の赤外線を放射する物体の移動方向を決定し、例えば手の左右方向への動き等の決定した移動方向に基づいてPC等のOS(Operating System)搭載機器に対し各種コマンドを送信する入力装置として使用されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2における非接触式入力装置によれば、ユーザがキーボード、マウスポインタ、及びタッチパネル等の他の入力装置を操作するために動作した際に、非接触式入力装置がその動作を自身に対する操作入力と誤検出することが考えられる。このように、非接触式入力装置が操作入力を誤検出した場合には、ユーザが意図しないコマンドがOS搭載機器に送信され、他の入力装置を利用したユーザの入力作業の妨げになることも考えられる。
【0008】
一方で、このような事象に対処するために、操作入力の検出条件を厳しくすることが考えられるが、かかる手法を用いた場合には、本来検出すべき操作入力が検出されにくくなり、使い勝手が低下することも考えられる。
【0009】
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、他の入力装置の操作を利用することにより、誤作動が発生することを抑制可能な非接触式入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するべく、本発明の第1の局面における非接触式入力装置は、他の入
力装置と併用されて、OS搭載機器に対して接続自在な非接触式入力装置であって、人の特定の動作に応じた出力信号を出力自在なセンサと、前記他の入力装置の使用状況を監視する監視部の動作、及び前記センサの前記出力信号及び前記他の入力装置の前記使用状況に基づいて前記特定の動作があったか否かを判定する判定部の動作を許容するマイクロコンピュータと、を備える。
【0011】
かかる構成においては、他の入力装置の操作を利用しながら、誤作動が発生することが抑制された非接触式の入力動作を実現する。
【0012】
また、本発明は、かかる第1の局面に加え、前記判定部は、前記センサの前記出力信号が前記特定の動作に対応したものであっても、前記他の入力装置が最後に使用されてから所定時間以上経過していない場合には、前記特定の動作があった旨の電気信号を前記OS搭載機器のOSに対して発しないことを第2の局面とする。
【0013】
かかる構成においては、他の入力装置が最後に使用されてから所定時間以上経過していない場合には、人の特定の動作を検出した旨の電気信号をOS搭載機器のOSに対して発しないようにして、誤作動が発生することが抑制された非接触式の入力動作を実現する。
【0014】
また、本発明は、かかる第2の局面に加え、前記判定部は、前記判定部の判定結果を無効とする、前記判定部の判定動作を無視する、又は前記判定部の動作自体を停止することにより、前記特定の動作があった旨の前記電気信号を前記OS搭載機器の前記OSに対して発しないことを第3の局面とする。
【0015】
かかる構成においては、判定部の判定結果を無効とする、判定部の判定動作を無視する、又は判定部の動作自体を停止することにより、人の特定の動作を検出した旨の電気信号をOS搭載機器のOSに対して発しないようにして、誤作動が発生することが抑制された非接触式の入力動作を実現する。
【0016】
また、本発明は、かかる第2又は第3の局面に加え、前記監視部は、前記他の入力装置が最後に使用されてから前記所定時間以上経過しているか否か判定することを第4の局面とする。
【0017】
かかる構成においては、他の入力装置が最後に使用されてから所定時間以上経過しているか否かの判定は監視部により行われて、誤作動が発生することが抑制された非接触式の入力動作を実現する。
【0018】
また、本発明は、かかる第1から第4のいずれかの局面に加え、前記判定部及び前記監視部は、前記非接触式入力装置又は前記OS搭載機器に対して設けられることを第5の局面とする。
【0019】
かかる構成においては、非接触式入力装置又はOS搭載機器において設けられた判定部及び鑑定部が協働して、誤作動が発生することが抑制された非接触式の入力動作を実現する。
【0020】
また、本発明は、かかる第1から第5のいずれかの局面に加え、前記判定部及び前記監視部は、一体化されたソフトウェアを構成することを第6の局面とする。
【0021】
かかる構成においては、一体化されたソフトウェアを構成する判定部及び鑑定部が協働して、誤作動が発生することが抑制された非接触式の入力動作を実現する。
【0022】
また、本発明は、かかる第1から第6のいずれかの局面に加え、前記センサが、赤外線センサ又は超音波センサであることを第7の局面とする。
【0023】
かかる構成においては、赤外線センサ又は超音波センサで人の特定の動作に応じた出力信号を出力自在として、誤作動が発生することが抑制された非接触式の入力動作を実現する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の局面における構成によれば、他の入力装置と併用されて、OS搭載機器に対して接続自在な非接触式入力装置が、人の特定の動作に応じた出力信号を出力自在なセンサと、他の入力装置の使用状況を監視する監視部の動作、及びセンサの出力信号及び他の入力装置の使用状況に基づいて特定の動作があったか否かを判定する判定部の動作を許容するマイクロコンピュータと、を備えることにより、誤作動が発生することが抑制された非接触式入力装置を実現することができる。
【0025】
本発明の第2の局面における構成によれば、判定部が、センサの出力信号が特定の動作に対応したものであっても、他の入力装置が最後に使用されてから所定時間以上経過していない場合には、特定の動作があった旨の電気信号をOS搭載機器のOSに対して発しないことにより、誤作動が発生することがより抑制された非接触式入力装置を実現することができる。
【0026】
本発明の第3の局面における構成によれば、判定部が、判定部の判定結果を無効とする、判定部の判定動作を無視する、又は判定部の動作自体を停止することにより、特定の動作があった旨の電気信号をOS搭載機器のOSに対して発しないことにより、誤作動が発生することがより確実に抑制された非接触式入力装置を実現することができる。
【0027】
本発明の第4の局面における構成によれば、監視部が、他の入力装置が最後に使用されてから所定時間以上経過しているか否か判定することにより、判定部と協働しながら、誤作動が発生することがより確実に抑制された非接触式入力装置を実現することができる。
【0028】
本発明の第5の局面における構成によれば、判定部及び監視部が、非接触式入力装置又はOS搭載機器に対して設けられることにより、より自由度の高い態様で、非接触式入力装置を実現することができる。
【0029】
本発明の第6の局面における構成によれば、判定部及び監視部が、一体化されたソフトウェアを構成することにより、より簡便な態様で、非接触式入力装置を実現することができる。
【0030】
本発明の第7局面における構成によれば、センサが、赤外線センサ又は超音波センサであることにより、より汎用的な態様で、誤作動が発生することが抑制された非接触式入力装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を適宜参照して、本発明の各実施形態における非接触式入力装置につき、詳細に説明する。なお、図中の文言は、便宜上、適宜短縮して示す。
【0033】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態における非接触式入力装置につき、
図1から
図4を参照して、詳細に説明する。
【0034】
図1は、本実施形態における非接触式入力装置の構成を、OS搭載機器の構成と共に示す構成図である。
図2は、本実施形態における非接触式入力装置がOS搭載機器に接続された状態を示す構成図である。また、
図3は、本実施形態における非接触式入力装置上で手を左右方向に振った時に出力される検出信号の一例を示す電圧特性図である。
【0035】
図1及び
図2に示すように、非接触式入力装置1は、検知対象である人の動きを検出するセンサ10と、センサ10から出力されたアナログ電気信号である検出信号が入力され、その入力された電気信号を増幅する増幅回路11と、増幅回路11で増幅された電気信号が入力され、その入力された電気信号をA/D(analog/digital)変換するA/Dコンバータ12と、A/Dコンバータ12でA/D変換されて得られたデジタル電気信号が入力され、その入力された電気信号を用いてセンサ10が出力した検出信号に応じた電圧を測定するマイクロコンピュータ13と、マイクロコンピュータ13が測定した電圧に応じた出力信号が入力される接続インタフェース14と、を備えている。非接触式入力装置1のこれらの構成要素は、構成の簡便性等の観点からは、プリント基板等の単一の共通回路基板上に実装されることが好ましく、持ち運び性や耐環境性を向上して必要な強度を得る等の観点からは、樹脂製等のケース15内に収容されることが好ましい。
【0036】
センサ10は、典型的にはデュアルタイプ焦電型赤外線センサ10である。デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10は、焦電効果によって赤外光を含む光を検出する図示を省略した2つの焦電素子を内蔵するセンサであり、検知対象である人の移動により、2つの焦電素子に入射される光の強度分布変化に伴う温度変化に応じた起電力変化を生成し、その起電力変化に応じた電気信号を出力するものである。デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10は、外部からの駆動電力を必要としない焦電素子を用いているため、簡単な構成で検知対象である人の移動方向に応じたアナログ形態の電気信号を確実に出力し、人の移動方向を確実に検出し得るという有意性を有する。以下、本実施形態では、説明の便宜上、センサ10は、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10であるとして説明する。
【0037】
また、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の受光部に対応したケース15の部分に
は、赤外光に対して十分な透光性を有する窓部16が形成されている。なお、本実施形態では、2つの焦電素子を内蔵するデュアルタイプ焦電型赤外線センサ10を用いたが、限定的なものではなく、1つの焦電素子を内蔵するシングルタイプ焦電型赤外線センサや4つの焦電素子を内蔵するクアッドタイプ焦電型赤外線センサを用いてもよい。シングルタイプ焦電型赤外線センサを用いる場合には、光学系を用いて1つの検知領域を2つの検知領域に分ければ、人の移動方向を検出し得る。また、クアッドタイプ焦電型赤外線センサを用いる場合には、人の移動方向の検出精度がより向上する。
【0038】
増幅回路11は、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10から出力されたアナログ形態の検出信号を必要とされる電圧レベルまで増幅する回路であれば足りる。また、増幅回路11は、集積回路及びディスクリート回路の種別を問わない。
【0039】
A/Dコンバータ12は、増幅回路11によって増幅されたアナログ形態の検出信号をマイクロコンピュータ13における処理で必要とされるデジタル形態の電気信号に変換する回路であれば足りる。また、A/Dコンバータ12は、集積回路及びディスクリート回路の種別を問わない。
【0040】
マイクロコンピュータ13は、各々図示を省略したCPU(Central Processing Unit)及びメモリ等を内蔵する演算処理装置であり、具体的には、A/Dコンバータ12から入力された電気信号を用いてデュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出電圧の電圧値を測定する電圧測定部13aを、CPUの機能ブロックとして有する。つまり、かかる電圧測定部13aは、CPUの制御の下でマイクロコンピュータ13内のメモリに記憶されたプログラムが読み出されて実行されることにより機能し、増幅回路11及びA/Dコンバータ12を順次介して入力されたデュアルタイプ焦電型赤外線センサ10からの検出信号の電圧値を測定して、その測定電圧値に応じた電気信号を接続インタフェース14に出力する。また、かかる電圧測定部13aの測定処理は、A/Dコンバータ12から入力されたデジタル電気信号の電圧値を測定するという相対的に簡素なものであるため、マイクロコンピュータ16としては、いわゆる8ビットマイコン等の安価な汎用マイクロコンピュータが使用可能である。
【0041】
接続インタフェース14は、非接触式入力装置1とOS搭載機器2とを信号の送受等が可能なように電気的に接続するための非接触式入力装置1側のインタフェースである。かかる接続方式としては、典型的にはUSB(Universal Serial Bus)がその汎用性や構成、使用の簡便性を考慮して好適に使用できる。かかるUSBを用いた場合、接続インタフェース14はファンクション側インタフェースとなる。接続インタフェース14は、電圧測定部13aから入力されたデュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号の測定電圧値を坦持する電気信号をOS搭載機器2に出力する。なお、この場合、非接触式入力装置1が必要とする電力は、接続インタフェース14を介してOS搭載機器2から供給されてもよいし、非接触式入力装置1が内蔵するバッテリ等の電源から供給されてもよい。
【0042】
OS搭載機器2は、典型的にはパーソナルコンピュータ、スマートフォン、及びタブレット端末等であるが、
図2中では、ノート型パーソナルコンピュータとして例示する。OS搭載機器2の図示を省略したメモリ内には、その動作を規定するOS20に加えて、特定の入力機器を制御して動作させるための専用のソフトウェアであるデバイスドライバが予め記憶されている。具体的には、OS搭載機器2は、非接触式入力装置1を制御して動作させるための非接触式入力装置用ドライバ21と、OS搭載機器2に外付け又は内蔵の態様で接続される他の入力装置22を制御して動作させるための他の入力装置用ドライバ23と、をそのメモリ内に記憶している。他の入力装置22としては、キーボード、マウスポインタ、及びタッチパネル等のヒューマンインタフェースデバイスを例示できる。も
ちろん、OS搭載機器2は、その他にディスプレィ、スピーカ等の音声出力機構、記憶装置等の各種デバイスを有していてもよく、それらのデバイス用のデバイスドライバに加え必要なソフトウェアを搭載していてもよい。
【0043】
また、OS搭載機器2は、更に、監視部24と、判定部25と、接続インタフェース26と、アプリAと、を備えている。
【0044】
監視部24は、OS20の制御の下でOS搭載機器2内のメモリに記憶されたプログラムが読み出されて実行されることにより機能する機能ブロックであり、他の入力装置22に対する最新の操作入力が行われた時刻と、現在の時刻と、を比較することによって、他の入力装置22の使用状況を監視してその使用状況を判定するものである。他の入力装置22に対する前回の操作入力が行われた時刻に関するデータは、OS搭載機器2内のメモリに記憶されている。なお、監視部24を構成するプログラムを含むソフトウェアは、非接触式入力装置1から供給されてもかまわない。また、他の入力装置22に対する前回の操作入力が行われた時刻に関するデータは、監視部24が有するメモリ機能に記憶されていてもかまわない。
【0045】
判定部25は、OS20の制御の下でOS搭載機器2内のメモリに記憶されたプログラムが読み出されて実行されることにより機能する機能ブロックであり、接続インタフェース26を介して非接触式入力装置1から入力された電気信号を用いて、検知対象である人、典型的にはOS搭載機器2を操作するユーザが、例えば手を左右に振る等の特定の入力動作を行ったか否かを判定するものである。詳しくは、判定部25は、接続インタフェース26を介して非接触式入力装置1の電圧測定部13aから入力された電気信号が坦持するデュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号の測定電圧値を所定の閾値と比較することによって、ユーザが特定の入力動作を行ったか否かを判定する。つまり、
図3に示すように、判定部25は、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号の電圧値が閾値V1を超えてから所定時間Δt1以内に閾値V2(<閾値V1)未満になった場合には、右方向に手が振られたと判定する。また、判定部25は、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号の電圧値が閾値V2未満になってから所定時間Δt2以内に閾値V1を超えた場合には、左方向に手が振られたと判定する。なお、判定部25を構成するプログラムを含むソフトウェアは、非接触式入力装置1から供給されてもかまわない。
【0046】
接続インタフェース26は、OS搭載機器2と非接触式入力装置1とを信号の送受等が可能なように電気的に接続するためのOS搭載機器2側のインタフェースである。かかる接続方式としては、非接触式入力装置1の接続インタフェース14にUSBが用いられる場合にはUSBを用いることになり、接続インタフェース26はホスト側インタフェースとなる。接続インタフェース26には、非接触式入力装置1の接続インタフェース14からデュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号の測定電圧値を坦持する電気信号が入力される。
【0047】
ここで、
図2中では、非接触式入力装置1は、その図示を省略するコネクタがOS搭載機器2の図示を省略するポートに直接接続されるドングル型として示すが、限定的なものではなく、モーションコマンダー等のようなケーブル接続型であってもよい。
【0048】
アプリAは、OS搭載機器2内のメモリに記憶されており、OS20の制御の下で人の特定の入力動作、例えば手の左右の各々の移動動作に対応して、ビュアーのページ送りや戻り、メールソフトの起動や終了、及び音楽ファイルの再生や終了等の処理を実行するプログラムである。
【0049】
以下、かかる構成を有する非接触式入力装置1の動作につき、OS搭載機器2の動作と
共に、更に
図4をも参照して詳細に説明する。つまり、かかる動作は、非接触式入力装置1及びOS搭載機器2が協働して行う制御処理によって果たされるものである。
【0050】
図4は、本実施形態における非接触式入力装置の動作を、OS搭載機器の動作と共に説明するためのフローチャートである。なお、説明の便宜上、
図4中では、非接触式入力装置用ドライバ21及び他の入力装置用ドライバ23については、いずれも図示を省略し、これらのドライバ及びOS20を介する電気信号の送受の記載についても、適宜図示を省略する。
【0051】
図4に示すように、ステップST1では、非接触式入力装置1が、電圧測定部13aで測定されたデュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号の電圧値を坦持する電気信号(検出データ)を、接続インタフェース14を介して、OS搭載機器2に例えば10mS等の一定周期で連続的に出力する。非接触式入力装置1から出力された電気信号は、OS搭載機器2における接続インタフェース26、非接触式入力装置用ドライバ21、及びOS20を介して、判定部25に入力される。ここで、判定部25は、
図3に示すように、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号の電圧値が閾値V1を超えてから所定時間Δt1以内に閾値V2(<閾値V1)未満になった場合には、右方向にユーザの手が振られたと判定する。また、判定部25は、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号の電圧値が閾値V2未満になってから所定時間Δt2以内に閾値V1を超えた場合には、左方向にユーザの手が振られたと判定する。
【0052】
次に、判定部25がユーザが手を左右に振るという特定の入力動作を非接触式入力装置1に対して行ったと判定した場合(入力動作有り判定)には、判定部25は、ステップST2の処理として、OS20を介して監視部24に対し、例えば直近1秒以内等の所定時間内に他の入力装置22に対する操作入力があったか否かを問い合わせる旨の電気信号を出力する(入力状況問い合わせ)。なお、判定部25がユーザが特定の入力動作を行わなかったと判定した場合には、判定部25は、監視部24に対しては問い合わせを行わず、引き続き、ユーザの手の左右の振れの発生の有無、つまり特定の入力動作の有無を判定していくことになる。
【0053】
次に、判定部25からの問い合わせを受けた監視部24は、他の入力装置22に対する操作入力が最後に行われた時刻に基づいて、所定時間内に他の入力装置22に対する操作入力があったか否かを判定する。ここで、所定時間内に他の入力装置22に対する操作入力がないと判定した場合には、監視部24は、ステップST3の処理として、OS20を介して所定時間内に他の入力装置22に対する操作入力はない旨の電気信号を判定部25に出力する(入力無し通知)。なお、他の入力装置22に対する操作入力が最後に行われた時刻についてのデータは、OS搭載機器2内のメモリに記憶されており、監視部24は、このデータを読み出して用いたものである。
【0054】
次に、監視部24から入力無し通知を受けた判定部25は、ステップST4の処理として、ユーザが特定の入力動作を行った旨の電気信号をOS20に出力する(入力動作有り通知)。なお、かかる状況は、ユーザが意図的に手を左右に振るという特定の入力動作を行ったという状況に対応する。
【0055】
次に、判定部25から入力動作有り通知を受けたOS20は、ステップST5の処理として、動作を指示する旨の電気信号をアプリAに出力する(動作指示)。そして、OS20から動作指示を受けたアプリAは、ユーザが手を左右に振るという特定の入力動作に対応して、ビュアーのページ送りや戻り、メールソフトの起動や終了、及び音楽ファイルの再生や終了といった所定の動作を実行する。
【0056】
一方で、ステップST6の処理として、ユーザから他の入力装置22に対する操作入力があった場合には(他の入力装置への入力有り)、他の入力装置22に対するその操作入力が行われた時刻のデータがOS搭載機器2内のメモリに記憶されて、監視部24がそのデータを読み出し自在な状態となる。ここで、非接触式入力装置1からは、検出データが接続インタフェース14を介して一定周期で連続的に出力され続けており、接続インタフェース26、非接触式入力装置用ドライバ21、及びOS20を介してこれを入力された判定部25は、ユーザが手を左右に振るという特定の入力動作の有無を判定している。
【0057】
次に、判定部25が非接触式入力装置1に対する入力動作有り判定をした場合には、判定部25は、ステップST7の処理として、OS20を介して監視部24に対し、入力状況問い合わせを行う。
【0058】
次に、判定部25からの問い合わせを受けた監視部24は、他の入力装置22に対する操作入力が最後に行われた時刻に基づいて、所定時間内に他の入力装置22に対する操作入力があったか否かを判定する。ここで、直前のステップST6の処理において、ユーザから他の入力装置22に対する操作入力があったことに対応して、他の入力装置22に対するその操作入力が行われた時刻のデータがOS搭載機器2内のメモリに記憶されて、監視部24がそのデータを読み出し自在な状態となっているため、監視部24は、所定時間内に他の入力装置22に対する操作入力があると判定する。そして、監視部24は、ステップST8の処理として、OS20を介して所定時間内に他の入力装置22に対する操作入力はある旨の電気信号を判定部25に出力する(入力有り通知)。
【0059】
次に、監視部24から入力有り通知を受けた判定部25は、ステップST9の処理として、ステップST7の直前で判定部25が行ったユーザが特定の入力動作を行ったとの判定結果を無効にする。かかる状況は、ユーザが意図的に手を左右に振るという特定の入力動作を行ったのではなく、他の入力装置22の入力中に意図しないで偶発的に手が横切る等の非接触式入力装置1に対する入力がなされたという状況に対応する。なお、判定部25が直前で行ったユーザが特定の入力動作を行ったとの判定結果を無効にした場合には、判定部25は、OS20に対しては入力動作有り通知を行わず、その後引き続き、ユーザの手の左右の振れの発生の有無、つまり特定の入力動作の有無を判定していくことになる。
【0060】
以上の本実施形態の構成によれば、判定部25が、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号に基づいて人の特定の動作があったか否かを判定し、監視部24が、他の入力装置22の使用状況を監視する。そして、判定部25は、人の特定の動作があったか否かを判定する際、他の入力装置22の使用状況を参照する。具体的には、判定部25は、人の特定の動作が検出された際に他の入力装置22に対する操作入力があった場合、人の特定の動作があったとの判定を無効にする。このような構成によれば、他の入力装置22に対する操作入力を自身に対する操作入力と誤検出することによって誤作動することを抑制できる。
【0061】
<第1の実施形態の第1の変形例>
さて、以上の構成の非接触式入力装置1における人の特定の動作を検出するセンサ10には、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10等の焦電センサ以外にも種々のセンサが使用可能であり、種々の変形例が考えられる。そこで、その一例として、超音波センサ30を用いた非接触式入力装置100につき、
図5をも参照して詳細に説明する。ここで、本変形例の非接触式入力装置100では、本実施形態で説明した非接触式入力装置1に対して、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10に代えて超音波センサ30を用い、かつ、対応して駆動回路31を設けたことが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本変形例では、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同
一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0062】
図5は、本変形例における非接触式入力装置の構成を、OS搭載機器の構成と共に示す構成図である。
【0063】
図5に示すように、非接触式入力装置100は、検知対象である人の動きを検出するセンサとして、超音波センサ30を備える。超音波センサ30は、超音波を検知対象である人に向けて出射してその人からの反射波を受け、検知対象までの距離を逐次検出できるセンサであり、その距離の変化に応じた電気信号を出力するものである。超音波センサ30は、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10と比較して、検知対象である人までの距離を検出できるため、その人の存在をより直接的に精度よく検出できるという有意性を有する。但し、超音波センサ30に対しては、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10では不要であった駆動回路31が必要となる。
【0064】
駆動回路31は、マイクロコンピュータ13から出力された制御信号を受けて駆動信号を生成し、その駆動信号を超音波センサ30に出力する電気回路である。そして、超音波センサ30は、駆動回路31から入力された駆動信号に応じて動作し、超音波を検知対象である人に向けて時間連続的に照射し、逐次その反射波を受けていって、その人までの距離変化に応じたアナログ電気信号である検出信号を増幅回路11に出力する。超音波センサ30の後段の増幅回路11、A/Dコンバータ12、マイクロコンピュータ13、及び接続インタフェース14の動作は、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10を用いた場合のものと同様である。また、かかる超音波センサ30を備える非接触式入力装置100とOS搭載機器2との協働処理は、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10を備える非接触式入力装置1とOS搭載機器2とのものと同様である。
【0065】
なお、超音波センサ30、駆動回路31、増幅回路11、A/Dコンバータ12、マイクロコンピュータ13、及び接続インタフェース14は、プリント基板等の単一の共通回路基板に実装されることが、構成の簡便上では好ましい。また、
図2と同じ符号を参照すれば、超音波センサ30の超音波送受部に対応した非接触式入力装置1のケース15の部分は、開口した窓部16になっていることが好ましい。また、駆動回路31は、集積回路及びディスクリート回路の種別を問わない。
【0066】
以上の本変形例の構成によれば、超音波センサ30を用いて超音波を送受することにより、検知対象である人の存在を直接的に検出することができ、人の存在の検出をより高精度なものとすることができる。
【0067】
<第1の実施形態の第2の変形例>
また、本実施形態の非接触式入力装置1における人の特定の動作が検出された際に他の入力装置22に対する操作入力があった場合の判定部25の動作には、種々の変形例が考えられる。以下、その一例として、判定部25の動作につき、
図6をも参照して詳細に説明する。ここで、本変形例の非接触式入力装置1では、本実施形態で説明した非接触式入力装置1に対して、判定部25の動作が異なることが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本変形例では、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0068】
図6は、本変形例における非接触式入力装置の動作を、OS搭載機器の動作と共に説明するためのフローチャートである。
【0069】
図6に示すように、本変形例におけるステップST1からステップST6までの動作は、本実施形態におけるステップST1からステップST6までの動作と同じであり、ここ
で、非接触式入力装置1からは、検出データが接続インタフェース14を介して一定周期で連続的に出力され続けており、接続インタフェース26、非接触式入力装置用ドライバ21、及びOS20を介してこれを入力された判定部25は、ユーザが手を左右に振るという特定の入力動作の有無を判定していることも本実施形態におけるものと同様である。
【0070】
この際、本変形例では、監視部24は、直前のステップST6の処理において、OS搭載機器2内のメモリに他の入力装置22に対する操作入力が行われた時刻のデータが保存されたことに応じて、かかるメモリに記憶されているそのデータを読み出し、所定時間内に他の入力装置22に対する操作入力があると判定する。そして、監視部24は、ステップST18の処理として、判定部25がユーザが手を左右に振るという特定の入力動作を非接触式入力装置1に対して行ったと判定した結果である入力動作有り判定を無視することを指示する旨の電気信号を、判定部25に対して出力する(判定無視指示)。なお、監視部24は、OS搭載機器2内のメモリに他の入力装置22に対する操作入力が行われた時刻のデータが保存された際に、メモリ内のデータを読み出すのではなく、所定時間間隔毎にメモリ内のデータを読み出していてもよい。
【0071】
次に、監視部24から判定無視指示を受けた判定部25は、ステップST19の処理として、ステップST18の直前で判定部25が行ったユーザが特定の入力動作を行ったとの判定動作を無視する。以降、判定部25は、その後引き続き、ユーザの手の左右の振れの発生の有無、つまり特定の入力動作の有無を判定していくことになるが、ユーザが特定の入力動作を行ったとの判定結果を得ようが得まいが、所定期間の間はこれを無視し続けて、OS20に対しては入力動作有り通知を行わないことになる。
【0072】
なお、監視部24は、ステップST18の処理として、判定部25がユーザが手を左右に振るという特定の入力動作を非接触式入力装置1に対して行ったこと判定する判定動作自体を直ちに停止することを指示する旨の電気信号を、判定部25に対して出力してもよい(動作停止指示)。かかる場合には、監視部24から動作停止指示を受けた判定部25は、ステップST19の処理として、ユーザが手を左右に振るという特定の入力動作を非接触式入力装置1に対して行ったこと判定する判定動作自体を停止する。以降、判定部25は、所定期間の間はその動作を停止し、OS20に対しては入力動作有り通知を行わないことになる。
【0073】
また、本変形例の構成を、本実施形態の第1の変形例の構成に組み合わせてもかまわない。
【0074】
以上の本変形例の構成によれば、判定部25が、デュアルタイプ焦電型赤外線センサ10の検出信号に基づいて人の特定の動作があったか否かを判定し、監視部24が、他の入力装置22の使用状況を監視する。そして、判定部25は、人の特定の動作があったか否かを判定する際、他の入力装置22の使用状況を参照する。具体的には、判定部25は、人の特定の動作が検出された際に他の入力装置22に対する操作入力があった場合、人の特定の動作があったとの判定動作を無視又はその判定動作自体を停止する。このような構成によれば、他の入力装置22に対する操作入力を自身に対する操作入力と誤検出することによって誤作動することを抑制できる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における非接触式入力装置につき、
図7及び
図8を参照して、詳細に説明する。
【0076】
図7は、本実施形態における非接触式入力装置の構成を、OS搭載機器の構成と共に示す構成図である。また、
図8は、本実施形態における非接触式入力装置の動作を、OS搭
載機器の動作と共に説明するためのフローチャートである。
【0077】
本実施形態の非接触式入力装置1に組み合わされるOS搭載機器200では、第1の実施形態におけるOS搭載機器2に対して、監視部24及び判定部25が一体化された監視/判定部44が採用されていることが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本変形例では、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0078】
図7に示すように、OS搭載機器200が、監視部24及び判定部25に代えて監視/判定部44を備えている。かかる監視/判定部44は、監視部24と判定部25とが統合されて一体化された単一のソフトウェアであり、その機能は、これまで説明した監視部24及び判定部25のものと同じである。
【0079】
つまり、
図8に示すように、かかる非接触式入力装置1とOS搭載機器200との協働処理は、第1の実施形態における非接触式入力装置1とOS搭載機器2との協働処理において行っていた入力状況問い合わせを出力するステップST2及びステップST7、入力無し通知を出力するステップST3、並びに入力有り通知を出力するステップST8は、いずれも監視/判定部44の内部処理となるが、その他のステップST1、ステップST4、ステップST6、及びステップST9の各処理は、全く同一である。
【0080】
なお、本実施形態の構成を、第1の実施形態の第1の変形例又は第2の変形例の構成に組み合わせてもかまわない。
【0081】
以上の本実施形態の構成によれば、監視部24と判定部25とが統合されて一体化された単一のソフトウェアである監視/判定部44を備えることにより、管理が簡便で動作の確実性が高い監構成を得ることができる。
【0082】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態における非接触式入力装置につき、
図9及び
図10を参照して、詳細に説明する。
【0083】
図9は、本実施形態における非接触式入力装置の構成を、OS搭載機器の構成と共に示す構成図である。また、
図10は、本実施形態における非接触式入力装置の動作を、OS搭載機器の動作と共に説明するためのフローチャートである。
【0084】
本実施形態の非接触式入力装置300では、第1の実施形態におけるOS搭載機器2の監視部24及び判定部25を監視部54及び判定部55として非接触式入力装置300のマイクロコンピュータ53に内蔵した構成を有し、対応してOS搭載機器400からは、第1の実施形態における監視部24及び判定部25が省略されていることが主たる相違点であり、残余の構成は同一である。よって、本変形例では、かかる相違点に着目して説明することとし、同一な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0085】
図9に示すように、非接触式入力装置300では、監視部54及び判定部55が、マイクロコンピュータ53に内蔵されている。具体的には、監視部54は、マイクロコンピュータ53のCPUの制御の下で非接触式入力装置300内のメモリに記憶されたプログラムが読み出されて実行されることにより機能する機能ブロックである。また、及び判定部55、マイクロコンピュータ53のCPUの制御の下で非接触式入力装置300内のメモリに記憶されたプログラムが読み出されて実行されることにより機能する機能ブロックである。かかる監視部54及び判定部55の機能は、第1の実施形態における監視部24及
び判定部25の機能と同じである。
【0086】
つまり、
図10に示すように、かかる非接触式入力装置300とOS搭載機器400との協働処理は、第1の実施形態における非接触式入力装置1とOS搭載機器2との協働処理と同様である。但し、
図10中では、検出データを出力するステップST21、入力状況問い合わせを出力するステップST22及びステップST27、入力無し通知を出力するステップST23、入力動作有り通知を出力するステップST24、並びに入力有り通知を出力するステップST28は、マイクロコンピュータ53内の処理であるので、第1の実施形態におけるものと機能は同一であるがそれらの符号を変え、かつ、ユーザから他の入力装置22に対する操作入力があった場合には(他の入力装置への入力有り)、監視部54がOS搭載機器400のOS20からその旨の通知を受けてその時刻を記憶する必要があるため、そこまでの処理を一括してステップST26の処理として示している。
【0087】
なお、本実施形態の構成を、第1の実施形態の第1の変形例又は第2の変形例の構成に組み合わせてもかまわない。また、本実施形態における監視部54及び判定部55は、統合されて一体化された単一のソフトウェアとして構成してもかまわない。
【0088】
以上の本実施形態の構成によれば、監視部54及び判定部55が、マイクロコンピュータ53に内蔵されていることにより、監視処理や判定処理に要するOS搭載機器2の負荷を低減した態様で、より機能集積的な非接触式入力装置300を簡便な構成で実現することができる。
【0089】
なお、本発明は、構成要素の形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、かかる構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。