特許第5950153号(P5950153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000002
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000003
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000004
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000005
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000006
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000007
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000008
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000009
  • 特許5950153-発光装置、照明装置、及び照明器具 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950153
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】発光装置、照明装置、及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20160630BHJP
   F21K 9/275 20160101ALI20160630BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20160630BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20160630BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160630BHJP
【FI】
   F21V19/00 450
   F21K9/275
   F21S2/00 231
   F21V19/00 150
   F21Y103:10
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-77606(P2012-77606)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-206851(P2013-206851A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】貴家 学
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/043166(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/019535(WO,A1)
【文献】 特開2011−204495(JP,A)
【文献】 特開2011−060428(JP,A)
【文献】 特開2012−003840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 19/00
F21K 9/275
F21S 2/00
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が表面側に実装される長尺状の基板と;
この基板の裏面側に沿って対向配置される基板取付面と、前記基板取付面よりも前記基板から離間するように前記基板取付面の両側縁に形成された一対の裏面側支持部と、この裏面側支持部にそれぞれ対向配置されて前記裏面側支持部とともに前記基板を長手方向にスライド挿入される基板挿入溝を形成する一対の表面側支持部と、を有し、前記基板が前記基板挿入溝にスライド挿入された状態で、前記基板の裏面の両側部側と前記裏面側支持部との間にギャップが形成されるとともに、前記一対の表面側支持部をかしめられた状態で前記基板を取り付けられる取付部材と;
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記取付部材は、前記一対の表面側支持部において両側縁のそれぞれが互いに長手方向にずれた位置がかしめられて前記基板が取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光装置を収容し、前記発光素子から照射された光を外方へ透過する透光部を有する本体と;
前記本体の両端部に配設された口金と;
を具備したことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
器具本体と;
この器具本体に取り付けられる請求項3に記載された照明装置と;
を具備したことを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED(発光ダイオード)等の発光素子が実装された基板を備える発光装置、この発光装置が用いられた照明装置、及びこの照明装置が用いられた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、LEDの高出力化及び高効率化に伴い、光源としてLEDを用いた屋内又は屋外で使用される低消費電力、長寿命化が期待できる照明装置が開発されている。この照明装置は、LEDから出射される光によって所定の明るさを得るようにしたものであり、例えば、LEDを実装した複数枚の基板が放熱部材等の取付部材に取付ねじによって取付け固定されている。
【0003】
また、端部材と基板との相対的な姿勢を一定に保持するために、ホルダーを介して基板を保持する構造が知られている。このホルダー部材は基板の縁部を支持することでホルダー部材と基板との相対位置を規制している(例えば、「特許文献1」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−129382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような照明装置における基板の取付構成の場合には、基板は部品点数が増加し、組立作業効率が低下する虞が生じる。加えて、基板に取付ねじの貫通孔を形成し、取付部材側にはねじ穴を形成する等の必要性が生じる。また、ホルダー部材によって基板の縁部のみを支持する構造の場合には素子毎の温度差が生じやすくなり、長期点灯した場合に発光バランスの悪化が顕著となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、部品点数を少なくし、組立作業効率の向上を図ることが可能で、点灯時に基板に実装した発光素子間の温度差が生じ難い発光装置、この発光装置が用いられた照明装置、及びこの照明装置を用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による発光装置は、発光素子が表面側に実装される長尺状の基板と、この基板の裏面側に沿って対向配置される基板取付面と、前記基板取付面よりも前記基板から離間するように前記基板取付面の両側縁に形成された一対の裏面側支持部と、この裏面側支持部にそれぞれ対向配置されて前記裏面側支持部とともに前記基板を長手方向にスライド挿入される基板挿入溝を形成する一対の表面側支持部と、を有し、前記基板が前記基板挿入溝にスライド挿入された状態で、前記基板の裏面の両側部側と前記裏面側支持部との間にギャップが形成されるとともに、前記一対の表面側支持部をかしめられた状態で前記基板を取り付けられる取付部材とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、部品点数を少なくし、組立作業効率の向上を図ることが可能で、点灯時に基板に実装した発光素子間の温度差が生じ難い発光装置、この発光装置が用いられた照明装置及びこの照明装置が用いられた照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る照明器具を示す斜視図である。
図2】同直管形LEDランプを示す側面図である。
図3図2中、Y−Y線に沿って切断して示す斜視図である。
図4】同直管形LEDランプにおける発光装置を示す斜視図である。
図5図4における要部の拡大図である。
図6】同発光装置を分解して示す斜視図である。
図7】同基板を取付部材に取付け固定するかしめ工程を説明するための模式的断面 図である。
図8】同かしめ機の概略を示す斜視図である。
図9】同基板を取付部材に取付け固定するかしめ工程を説明するための模式的断面 図であり、(a)は初期段階、(b)は中間段階、(c)は最終段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図1乃至図9を参照して説明する。図1は、照明器具を示し、図2及び図3は、照明装置としての直管形LEDランプを示し、図4乃至図6は、発光装置を示している。また、図7乃至図9は、基板を取付部材に取付け固定する状態を説明するための図である。なお、各図において同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
図1において、天井面へ設置される照明器具が示されており、この照明器具は、冷間圧延鋼板等によって形成された横長の略直方体形状の器具本体1と、この器具本体1に取付けられた直管形LEDランプ2とを備えている。
【0012】
器具本体1は、基本的には既存の構成をなしていて、下面側が開放した開放部を有する箱状に形成されており、長手方向の両端部に取付けられた一対のソケット部3と、器具本体1内に収容された点灯装置4と、前記下面側の開放部を覆うように取付けられた反射板11とを備えている。
【0013】
ソケット部3は、PBT樹脂等からなり、図2に示す直管形LEDランプ2の両端部から突出する給電端子71とアース端子72が接続されるようになっている。
【0014】
点灯装置4は、商用交流電源ACに接続されており、この交流電源ACを受けて直流出力を生成するダイオードブリッジ回路を備えている。点灯装置4は、例えば、ダイオードブリッジ回路の出力端子間に平滑コンデンサを接続し、この平滑コンデンサに直流電圧変換回路及び電流検出手段を接続して構成されている。この点灯装置4の出力端は、一方のソケット部3の端子に接続されている。
【0015】
反射板11は、反射面を有し、器具本体1の下面側の開放部を覆うように取付けられている。また、長手方向の両端部には、ソケット部3が嵌合する略長方形の切欠き部が形成されている。
【0016】
図1乃至図4に示すように、照明装置としての直管形LEDランプ2は、本実施形態では、既存の直管形蛍光ランプと略同様な寸法及び外形を有している。具体的には、例えば、20Wの直管形蛍光ランプと略同様な寸法及び外形を有していて、日本電球工業会規格JEL801「L形ピン口金GX16t-5付直管形LEDランプシステム(一般照明用)」に基づいて構成されている。 直管形LEDランプ2は、長尺状で外観が略円筒状の本体5、発光装置6、口金部7を備えている。
【0017】
図3に示すように、本体5は、内部空間を有し、略円筒状に形成され、透光性の拡散性を有するポリカーボネート樹脂等の合成樹脂材料から押出成形によって作られている。本体5の内壁には、対向して内側に突出する一対の支持レール51が形成されており、この支持レール51には、長手方向に沿って長尺状の取付部材60が支持され配設されている。
【0018】
なお、本体5の成形方法は、格別限定されるものではない。また、例えば、本体5を半円筒状の2つの部材を結合して構成するようにしてもよい。さらに、内部空間が形成できれば、断面が多角形状であってもよく、形状が限定されるものではない。
【0019】
図3乃至図7に示すように、発光装置6は、取付部材60と、この取付部材60に取付けられる長尺状の基板61と、基板61の表面側に直線状に並べられて実装された複数の発光素子62と、各発光素子62を覆う蛍光体層63とを備えている。また、基板61は、複数枚が長手方向に並べられて配設されている。
【0020】
図3図6及び図7に示すように、取付部材60は、長尺状の放熱部材であり、熱伝導性が良好なアルミニウム材料等から押出成形によって形成されている。取付部材60は、基板の裏面側に沿って対向配置される基板取付面601、基板挿入溝602、支持レール挿入溝603を一体的に有している。
【0021】
基板取付面601は、略平坦状に形成されていて、横長の長方形状の面をなしており、基板61の裏面側と対向する面状部分である。詳しくは、図6及び図7に代表して示すように、この基板取付面601の長手方向と直交する方向の両端部側には、外側に向かって傾斜(図示上、下り勾配)する傾斜面601aが形成されている。この傾斜面601aは、詳細を後述するように表面側支持部ととともに基板挿入溝を形成する一対の裏面側支持部に形成されており、基板取付面よりも基板から離間するように基板取付面の両側縁に形成されている。
【0022】
基板挿入溝602は、基板取付面601の長手方向に沿って両側に形成されている。基板挿入溝602は、概略的には、断面がコ字状に形成された溝状部であり、表面側支持部602a及び裏面側支持部602bを備えて形成されている。これら表面側支持部602a及び裏面側支持部602bは、基板61の表裏における長手方向に沿う縁部に対向する部分であり、表面側支持部602aと裏面側支持部602bとは、側壁部602cによって連続的に接続されている。すなわち、基板取付面601の両側縁には一対の裏面側支持部602bが形成され、この裏面側支持部602bは基板取付面601よりも基板61から離間するように形成されている。そして、裏面側支持部602bにそれぞれ対向配置されて一対の表面側支持部602aが形成されている。
【0023】
より詳しくは、表面側支持部602aは、長手方向と直交する方向に延出しており、その一端部(先端部)には、前面側(光の照射方向側、図7においては上側)に長手方向にわたって突出する線状突起部Pfが形成されている。また、背面側には、同様に、長手方向にわたって突出する線状突起部Pbが形成されている。
【0024】
この表面側支持部602aの他端部は、側壁部602cに接続されていて、この他端部から鋭角状に側壁部602cが背面側へ延出し、裏面側支持部602bに接続されている。
【0025】
また、基板取付面601の背面側における長手方向に沿う両側には、支持レール挿入溝603が形成されている。この支持レール挿入溝603は、既述のように本体5の支持レール41が挿入されて取付部材60を本体5に支持する機能を有している。 さらに、基板取付面601の背面側には、取付部材60を形成する材料の有効的活用及び軽量化を図るため空洞部Cが長手方向にわたって形成されている。なお、取付部材60は、押出成形によって形成するのが好適であるが、これに限らない。成形方法が格別限定されるものではない。
【0026】
図3乃至図6に示すように、基板61は、絶縁材である例えば、ガラスコンポジット基板(CEM−3)やガラスエポキシ基板(FR−4)等の平板状の材料で長方形状に形成されている。表面側には銅箔で形成された配線パターン層が形成されており、また、その上には、適宜レジスト層が積層されるようになっている。このレジスト層は、反射率の高い白色のレジスト層であり、基板61の表層に発光素子62の実装領域や線状接続導体8が接合されるはんだランド部を除いて、ほとんど全面に積層されている。
【0027】
このような基板61は、裏面側が取付部材60の基板取付面601に密着するように熱的に結合されて複数枚が、詳細を後述するように取付部材60にかしめられて固定されている。具体的には、中央部に細長で長尺状の基板611が配設され、この基板611の両側に隣接するように長さ寸法の短い基板612が並べられて配設されている。つまり、基板61は、長手方向の全長にわたって分割されて配設されている。なお、この場合、同じ長さ寸法の基板を複数枚、例えば、2枚や3枚配設して構成するようにしてもよい。
【0028】
また、基板61の材料には、セラミックス材料、合成樹脂材料又は各発光素子62の放熱性を高めるうえで、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板を適用することができ、格別その材料が限定されるものではない。
【0029】
隣接する各基板61の端部側には、はんだランド部が2個ずつ形成されている。はんだランド部は、配線パターン層の一部であり、レジスト層が積層されないで配線パターン層が表面に露出している部分である。このはんだランド部には、線状接続導体8がはんだ付けされて電気的に接続されている。
【0030】
線状接続導体8は、断面円形状の導電性を有する線状部材であり、線状接続導体8が隣接する基板61間にわたって、はんだランド部にはんだ9によって接合されることにより、各基板61相互は電気的に接続され電源側から発光素子62に電力が供給されるようになる。
【0031】
複数の発光素子62は、LEDのベアチップからなる。LEDのベアチップには、例えば、白色系の光を発光部で発光させるために、青色の光を発するものが用いられている。このLEDのベアチップは、シリコーン樹脂系の絶縁性接着剤を用いて基板61上に接着され、ボンディングワイヤによって配線パターン層61a上に電気的に接続されている。
【0032】
蛍光体層63は、透光性合成樹脂、例えば、透明シリコーン樹脂製であり、YAG:Ce等の蛍光体を適量含有している。蛍光体層63は、個々の発光素子62を発光素子62ごとに被覆する山形の形状をなしている。蛍光体は、発光素子62が発する光で励起されて、発光素子62が発する光の色とは異なる色の光を放射する。発光素子62が青色光を発する本実施形態では、白色光を出射できるようにするために、蛍光体には青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。
【0033】
なお、発光素子としては、表面実装型のLEDパッケージを用いてもよい。また、砲弾型のLEDを実装するようにしてもよく、実装方式や形式は、格別限定されるものではない。
【0034】
図2に代表して示すように、口金部7は、PBT樹脂等の合成樹脂材料から作られており、本体5における長手方向の両端部に設けられていて、器具本体1のソケット部3に取付け可能に構成されている。一方の口金部7からは給電端子71が突出して設けられており、他方の口金部7からはアース端子72が突出して設けられている。
【0035】
次に、基板61の取付部材60への取付方法について説明する。基板61は、基板挿入溝602にスライド挿入された状態で取付部材60にかしめられて固定される。すなわち、図4及び図5に示すように、基板61は、線状接続導体8のはんだ付け接合部の近傍における表面側支持部602aが加圧変形されてかしめられて取付部材60に固定される。なお、かしめ部位は図示上A部として丸線で示しているように、一対の表面側支持部602aにおいて両側縁のそれぞれが互いに長手方向にずれた位置がかしめられている。すなわち、表面側支持部602aのかしめ位置は基板61を挟んで基板61の短手方向には向かい合わず、斜め方向に対向するように形成されている。このため、基板61の短手方向に向かいあってかしめ位置が形成される場合に比べ、かしめ位置間の距離が長くなる。このため、同じかしめ量で基板61を保持する場合、基板61の固定を確実に行うことができるとともに、単位長さあたりの基板の変形量を小さくすることができる。これによって、基板61の歪みを減らすことができ、基板61と基板取付面601との密着性を高め、点灯時の基板6を均熱化することができる。
【0036】
具体的なかしめ工程については、主として図6乃至図9を参照して説明する。まず、図6に示すように、基板61が取付部材60の端部側から基板挿入溝602にスライドして挿入される。これにより基板61は、取付部材60に仮に保持されるようになる。
【0037】
この保持状態において、図7に示すように取付部材60をかしめ機100にセットする。かしめ機100は、概略的には、図8に示すように、押し型(上側)101と受け台(下側)102とを備えている。押し型101には、下方の両側に所定の間隔を空けて基板の長手方向にずれた位置に1つずつ加圧部101aが形成されている。一方、受け台102には、溝状の取付部材60のセット部102aが形成され、セット部102aの両側には、押し型101の加圧部101aに対向する受け部102bが形成されている。 押し型101は、上下駆動されるようになっており、下方側に駆動したときに加圧してかしめ加工が行われる。
【0038】
取付部材60がかしめ機100のセット部102aにセットされた状態においては、取付部材60の裏面側支持部602bの外面側がかしめ機100の受け部102bに載置される。
【0039】
図9に示すかしめ工程において、図7を参照しながら説明すると、まず、図9(a)に示すように取付部材60をかしめ機100のセット部102aにセットする。ここで、前述のように基板取付面601には、傾斜面601aが形成されている。このため、基板61の裏面側と基板取付面601との間には、僅かながらギャップGが生じるようになる。
【0040】
この状態から図9(b)に示すように押し型101の加圧部101aを下降駆動する。すると、加圧部101aが取付部材60の表面側支持部602aにおける前面側の線状突起部Pfに先行して当たり、さらに下降することにより、表面側支持部602aが加圧され下方側(図示矢印Tfで示す)に塑性変形する。このとき、この塑性変形は、表面側支持部602aの一端部(先端部)を自由端部とし他端部を固定端部とし、この固定端部を支点Fとして行われるようになる。
【0041】
また、基板61は、表面側支持部602aにおける背面側の線状突起部Pbに押圧され、ギャップ形成手段によるギャップGの形成により、長手方向と直交する両端部側が背面側へ若干撓るように変形する。
【0042】
この場合、表面側支持部602aの前面側には線状突起部Pfが形成されているので、加圧部101aによってこの線状突起部Pfが加圧され、かしめ、すなわち、表面側支持部602aの変形が安定的に行われるようになる。加えて、背面側には線状突起部Pbが形成されているので、基板61への押圧力が安定的に加わるようになる。
【0043】
次いで、図9(c)に示すように押し型101の加圧部101aを元の位置に上昇駆動し加圧を解く。このとき、表面側支持部602aは、基本的には塑性変形するが、変形が僅かながら元に戻るスプリングバック(図示矢印Sbで示す)という現象が生じる。
【0044】
したがって、ギャップ形成手段によるギャップGが形成されない場合には、表面側支持部602aのスプリングバックによって、基板61の表面側と表面側支持部602aの線状突起部Pbとの間に隙間が生じて、基板61をしっかりと固定できない可能性がある。
【0045】
しかしながら、本実施形態においては、ギャップ形成手段によってギャップGが形成されていることにより、表面側支持部602aがその分、余分に背面側へ変形する。これと同時に、基板61がその分、背面側へ弾性変形し、表面側支持部602aがスプリングバックしても弾性により表面側支持部602aの戻りに追随して弾性復帰するようになる。このため、基板61の表面側と表面側支持部602aの線状突起部Pbとの間に隙間が生じることなく密着でき、基板61をしっかりと取付部材60に取付け固定することが可能となる。このように本実施形態は、基板61をかしめによって固定する場合に、材料の性質によるスプリングバックを想定した設計となっている。
【0046】
また、この固定状態においては、表面側支持部602aのかしめによる塑性変形は、固定端部を支点Fとして行われるので、外形的な変形を少なくすることができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、一対の表面側支持部602aにおいて両側縁のそれぞれが互いに長手方向にずれた位置がかしめられている。このため、斜め方向に対向するかしめ位置とかしめ位置間を結ぶ線上の基板取付面601の3箇所で固定バランスをとるため表面側支持部602aの両側縁間の寸法バラツキが自動的に補正される。これによって、発光素子62が実装される基板61の短手方向中央部を長手方向にわたって均一に基板取付面601に接触させることができる。
【0048】
このかしめ工程の終了後、例えば、部品自動供給機によって線状接続導体8を基板61の接合位置に配置し、線状接続導体8を基板61間にわたってはんだ付けによって接合する。
【0049】
はんだ付け工程に際しては、かしめ部位(A部)が線状接続導体8のはんだ付け接合部の近傍に位置されているので、はんだ付けに伴い基板61が浮き上がったり、ずれたりするのを回避することが可能となる。
【0050】
上記のように構成された照明器具において、点灯装置4に給電されると、ソケット部3、口金部7から複数枚の基板61へ線状接続導体8を介して通電され、発光素子62に電力が供給され、各発光素子62が点灯する。発光素子62から出射された光は、透光性の本体5を透過して下方に放射され所定範囲が照射される。
【0051】
また、発光素子62の点灯中には熱が発生する。この熱は、主として基板61に伝わり、基板61の裏面側から取付部材60の基板取付面601に伝導され、取付部材60の表面全体から放熱される。この場合、基板61は取付部材60にかしめられて取付けられているため、基板61の裏面側は基板取付面601に良好に密着され基板61全体の均熱化を促進することができるとともに放熱効果を高めることができる。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、基板61は、取付部材60の基板挿入溝602にスライドして挿入され、表面側支持部602aがかしめられて取付部材60に取付け固定されるので、取付ねじ等の固定部材を不要とし、部品点数を少なくし、組立作業効率の向上を図ることができる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していないものである。
【0054】
例えば、上記実施形態においては、取付部材に基板の裏面側が密着するように熱的に結合される基板取付面を形成する場合について説明したが、表面側支持部及び裏面側支持部は、長手方向の全長にわたって形成されることが好ましいが、例えば、部分的に形成することを妨げるものではなく、複数の取付部材で構成してもよい。さらに、取付部材を分割して構成する場合、それぞれアルミニウム、塗装鋼板、合成樹脂等の異なる材料を使用してもよく、例えば、一つの取付部材をアルミ二ウム、他の取付部材を塗装鋼板または合成樹脂で構成してもよい。さらに、かしめによって取付部材の形状が変形させて元の状態に戻らないようにしてもよいし、取付部材の一部を形状を保った状態で塑性変形させることによって元の状態に戻るようにしてもよい。
【0055】
さらに、上記実施形態においては、照明装置としての直管形LEDランプは、日本電球工業会規格JEL801に基づいて構成したものについて説明したが、これに限定されるものではない。この規格に適合しない構成をも許容する。 また、照明装置としては、ランプや屋外又は屋外で使用される照明器具、ディスプレイ装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1・・・照明器具本体、2・・・照明装置(直管形LEDランプ)、3・・・ソケット部、4・・・点灯装置、5・・・本体、6・・・発光装置、7・・・口金部、8・・・線状接続導体、9・・・はんだ、61・・・基板、62・・・発光素子(LED)、63・・・蛍光体層、60・・・取付部材、601・・・基板取付面、601a・・・傾斜面、602・・・基板挿入溝、602a・・・表面側支持部、602b・・・裏面側支持部、602c・・・側壁部、603・・・支持レール挿入溝、A部・・・かしめ部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9