(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。
図1は、本発明の実施形態に係る印刷装置1の平面図であり、
図2は、この印刷装置1に使用するテープカセット21の外観及び印刷装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。印刷装置1は、表面に印刷面を備え裏面が粘着面とされた印刷テープと、粘着面に貼付される剥離テープと、が積層されて形成されたテープ部材31に文字等を印刷する装置である。
【0012】
印刷装置1は、
図1に示すように、筐体2の上面に液晶表示装置から構成されてソフトウェアキーボード機能により仮想のキーボードを表示するタッチパネル表示部3を備える。また、タッチパネル表示部3には、文字入力装置として液晶表示装置の表示画面の上面に透明な加圧スイッチを有する入力部としてのタッチパネル入力部4が重ねて配設されている。
【0013】
そして、タッチパネル表示部3の表示画面には、アルファベット文字キー、数字キー、記号キー等の文字・記号入力キー(以下、これらを総じて文字キーと呼称する。)や、漢字への変換キー、無変換キー及び実行キー等々の制御キーを備える仮想のキーボードを表示するキーボード領域3a及びそのキーボード領域3aから入力された文字を表示する文字編集領域3bが設けられる。
【0014】
キーボード領域3aは、タッチパネル入力部4の各キーを画像として表示するとともに、タッチパネル入力部4として表示画面上に表示される各キーの位置を押圧することにより、各キーの座標位置のデータを入力するようになっており、これらタッチパネル表示部3とタッチパネル入力部4とからソフトウェアキーボードを構成する。
【0015】
そして、テープカセット21を装填させるために装置の背面に用意される開閉蓋の内側には、
図2に示すように、テープ部材31を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。カセット装填部8内には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色インクを吐出する夫々のノズルを有するインクジェット方式の印刷ヘッド11及び搬送ローラ12からなるプリンター部110と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。
【0016】
また、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、テープ部材31の印刷テープ及び剥離テープを幅方向に切断するフルカット手段としてのフルカット機構17及びテープ部材31の印刷テープのみを切断するハーフカット手段としてのハーフカット機構18からなる切断機構19が組み込まれている。
【0017】
さらに、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されている。
【0018】
また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。そして、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されており、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別するテープ幅検出スイッチ16が形成されている。
【0019】
そして、印刷装置1は、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29とカセット装填部8のカセット受部15に形成されたテープ幅検出スイッチの幾つかと或いは全部とが係合し、係合したテープ幅検出スイッチ16が押下されて、このオン状態となったテープ幅検出スイッチ16の組み合わせによって印刷テープのテープ幅等の種類を判別できるようになっている。
【0020】
つまり、この印刷装置1は、テープカセット21の種類が内蔵するテープ部材31の幅等によって異なるため、このテープカセット21の種類を判別することによって、印刷対象物である印刷テープの幅等を識別することができ、
図3に示した制御部40がテープ幅に適合した印刷パターンを作成することができるようになっている。
【0021】
そして、この印刷装置1は、印刷の指示がされると、テープ部材31がテープカセット21から繰り出され、印刷手段とされる印刷ヘッド11により、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色インクを吐出する夫々のノズルを有するインクジェット方式の印刷ヘッド11のノズルから各色を噴射することにより印刷テープに印刷が行われ、印刷が終了すると設定によりフルカット機構17又はハーフカット機構18が作動してテープ部材31が幅方向に切断され、1枚のテープ状のラベルが作成される。
【0022】
次に、印刷装置1の回路構成について述べる。この印刷装置1は、
図3に示すように、制御部40を備える。そして、この制御部40には、色強調度記憶部を備えるROM41や、RAM42等の記憶部が接続されている。
【0023】
また、制御部40には、使用者による入力部であるタッチパネルへの操作を受けて任意の形状を有するパターンを入力するタッチパネル入力部4が接続されている。さらに、制御部40は、作成するラベルの入力パターンとしての入力文字等をユーザに表示確認させることを可能としながら入力部でもあるタッチパネルとしての表示部でもあるタッチパネル表示部3をタッチパネル表示部駆動回路63を介して制御可能としている。
【0024】
また、タッチパネル入力部4は、タッチパネル表示部3に表示した入力文字の中から作成するラベル内の文字として強調する文字部分を選択させて色強調パターンとしての強調文字列を指定する範囲指定部としても機能する。
【0025】
そして、タッチパネル入力部4には、ラベル作成にあたって、範囲指定部で指定された強調文字列を色強調度記憶部の各段階の色強調度のテーブルに基づいて色強調度を指定させるための強調ボタンである色強調度指定部を備える。
【0026】
制御部40は、CPUであって、タッチパネル入力部4からのキー入力信号、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムなどを起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0027】
そして、制御部40は、範囲指定部で指定された文字列の文字色が最大色強調度か否かを判別する色強調度判定部としても機能する。
【0028】
また、制御部40は、色強調度指定部の実行により強調文字列が色強調度判定部として最大色強調度ではないと判断した場合には、範囲指定部により指定された強調文字列の文字色の色強調度を1段階大きくさせ、強調文字列が色強調度判定部として最大色強調度であると判断した場合には、範囲指定部により指定された強調文字列以外の文字列の文字色の色強調度を1段階小さくする色強調度変更部としても機能する。
【0029】
さらに、制御部40は、色強調度指定部として、タッチパネル表示部3に表示させた強調ボタンが操作されると、後述する色強調度記憶部の各段階の色強調度のテーブルに基づいて色強調度を指定するものである。
【0030】
そして、制御部40には、印刷用の印刷ヘッド11を駆動するヘッド駆動回路とテープを搬送させるステップモータを駆動するステップモータ駆動回路とからなるプリンター制御部109と、テープを切断させるカッターモータからなる切断機構19を駆動するカッター制御部20と、が接続されている。
【0031】
ROM41には、設定された文字列等のパターンを表示し印刷するためのプログラムや印刷フォント、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット模様等が記憶され、制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記録媒体としても機能する。
【0032】
そして、ROM41は、表示用のフォントのパターンデータを記憶する表示用CG(キャラクタージェネレータ)41aを有する。また、ROM41は、印刷用のパターンデータを記憶する印刷用CG(キャラクタージェネレータ)41bを有する。
【0033】
また、ROM41には、後述する各色のデフォルトとしての色の三属性(マンセル表色系)を示す色相、明度及び彩度を記憶する文字色テーブル41cが記憶されている。さらに、ROM41には、色強調度記憶部として、各色の色強調度に応じて変化させる各段階の色強調度のテーブルとする色の三属性(マンセル表色系)を示すテーブルである強調文字色管理テーブル41dが記憶されている。
【0034】
RAM42には、入力された印刷情報が展開された印刷パターンデータが記憶される印刷データメモリ領域やタッチパネル表示部3に表示させるパターンデータが記憶される表示データメモリ領域などが確保されており、印刷処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなども設けられている。
【0035】
そして、印刷装置1は、制御部40がヘッド駆動回路やステップモータ駆動回路からなるプリンター制御部109と、カッター制御部20と、を制御してプリンター部110と切断機構19とを稼働させることにより、文字列をテープ部材31に印刷し、その印刷部分を切断することでラベルを作成することができる。
【0036】
また、本実施形態の印刷装置1は、強調ラベル作成モードにおいて、入力文字列の中から強調する文字列を指定して、その強調文字列と非強調文字列との文字色による色強調度に差異を設けることにより、視認性を高めたラベルを作成する機能を有している。
【0037】
なお、印刷装置1は、指定された文字列をさらに強調可能なように、強調ボタン70等のメニュー表示を繰り返してタッチパネル表示部3に表示し、強調文字と非強調文字との差異が明確になるまで強調処理を繰り返すことを可能としている。
【0038】
次に、ROM41に格納されている各色のデフォルトの色の三属性(マンセル表色系:色相、明度、彩度)のテーブルと色強調度を変えることにより変化させる各色の三属性(マンセル表色系)のテーブルについて図を用いて説明する。
【0039】
ROM41には、
図4に示すように、文字色テーブル41cとして、例えば文字色として、黒色、赤色、黄色、緑色、青色及びピンク色の6色による印刷を可能としており、デフォルトの色の三属性(マンセル表色系)としては、「黒は、色相N、明度3」、「赤色は、色相4R、明度3.5、彩度11」、「黄色は、色相5Y、明度8、彩度14」、「緑色は、色相2.5G、明度6.5、彩度10」、「青色は、色相10B、明度4、彩度14」、「ピンク色は、色相2.5R、明度6.5、彩度8」として設定されている。
【0040】
なお、このデフォルトのテーブルは、後述する強調文字色管理テーブル41dの中間を示す色強調度3クラスの属性とされている。但し、デフォルトとして、黒色については、最も濃い設定を選択しておき、強調処理において、非強調文字において黒色文字を徐々に薄くするように変化させるようにしても構わない。
【0041】
また、ROM41には、
図5に示すように、強調文字色管理テーブル41dとして、各色を色強調度1から色強調度5までを設けており、色強調度5の色が最も濃く、色強調度5の色から色強調度1の色の順に色が薄くなり、色強調度1の色が最も薄くなるように設定されている。
【0042】
具体的には、赤色であれば、最も濃い赤色である色強調度5においては「色相3R、明度4、彩度14」、色強調度4においては「色相4R、明度4.5、彩度14」、色強調度3(デフォルト)においては「色相4R、明度3.5、彩度11」、色強調度2においては「色相4R、明度4、彩度11」、最も薄い赤色である色強調度1においては「色相4R、明度4、彩度7」と設定されている。
【0043】
また、黒色であれば、最も濃い黒色である色強調度5においては「色相N、明度1.5」、色強調度4においては「色相N、明度2」、色強調度3(デフォルト)においては「色相N、明度3」、色強調度2においては「色相N、明度4」、最も薄い黒色である色強調度1においては「色相N、明度4.5」と設定されている。
【0044】
また、黄色であれば、最も濃い黄色である色強調度5においては「色相5Y、明度8.5、彩度14」、色強調度4においては「色相5Y、明度8.5、彩度11」、色強調度3(デフォルト)においては「色相5Y、明度8、彩度14」、色強調度2においては「色相7Y、明度8.5、彩度7」、最も薄い黄色である色強調度1においては「色相9Y、明度8、彩度8」と設定されている。
【0045】
さらに、緑色であれば、最も濃い緑色である色強調度5においては「色相5G、明度3、彩度7」、色強調度4においては「色相3G、明度4.5、彩度7」、色強調度3(デフォルト)においては「色相2.5G、明度6.5、彩度10」、色強調度2においては「色相4G、明度7、彩度9」、最も薄い緑色である色強調度1においては「色相10GY、明度8、彩度5」と設定されている。
【0046】
また、青色であれば、最も濃い緑色である色強調度5においては「色相2PB、明度2、彩度3.5」、色強調度4においては「色相2PB、明度3、彩度5」、色強調度3(デフォルト)においては「色相10B、明度4、彩度14」、色強調度2においては「色相9B、明度7.5、彩度5.5」、最も薄い青色である色強調度1においては「色相6B、明度8、彩度4」と設定されている。
【0047】
さらに、ピンク色であれば、最も濃いピンク色である色強調度5においては「色相1R、明度5、彩度13」、色強調度4においては「色相2.5R、明度7、彩度11」、色強調度3(デフォルト)においては「色相2.5R、明度6.5、彩度8」、色強調度2においては「色相4R、明度8.5、彩度4」、最も薄いピンク色である色強調度1においては「色相10RP、明度9、彩度2.5」と設定されている。
【0048】
このように、色強調度5を最も濃い色に設定し、色強調度5の色から色強調度1の色の順に色が薄くなり、色強調度1を最も薄い色となるように設定することにより、作成するラベルの文字列の中で強調したい文字列を目立たせることを可能としている。
【0049】
なお、色の三属性(マンセル表色系)の色強調度を変える設定については、上述の設定に限定されず、自在に色の三属性(マンセル表色系)を設定して色を可変させても構わない。
【0050】
ここで、本発明の実施形態における印刷装置1でラベルを作成する流れについて図を用いて詳細に説明する。
図6は、印刷装置1により文字色の濃淡を変えることによる強調処理を施したラベルを作成する流れに関するフローチャートである。また、
図7は入力文字列の中から強調文字列を範囲指定したときの画面表示に関する説明図である。
図8は、強調処理を施した文字列に関する説明図である。
【0051】
先ず、ユーザにより印刷装置1を、入力した文字列の中から特定の文字列を範囲指定させ、その範囲指定された文字列を、段階に応じて色強調度を高めることができる強調処理を施してラベルを作成する強調ラベル作成モードに設定されると、制御部40は、作成するラベルの文字入力を促す案内をタッチパネル表示部3に表示させ、
図7(a)に示す「フォークリフト積み過ぎ注意」のようにユーザがタッチパネル入力部4により文字入力すると、その文字データをRAM42のワークエリアに格納させる入力処理(ステップS201)を実行する。
【0052】
次に、制御部40は、入力された文字列の各文字の文字色の設定を促す案内をタッチパネル表示部3に表示させ、ユーザがタッチパネル入力部4により、例えば、
図8(a)に示すように「フォークリフト」をデフォルト設定による色強調度3の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は4R、3.5/11)、「積み過ぎ」をデフォルト設定による色強調度3の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は4R、3.5/11)、「注意」をデフォルト設定による色強調度3の黄色(色の三属性(マンセル表色系)は5Y、8/14)として各文字の色設定を完了すると、各文字の色データをRAM42のワークエリアに格納させる入力文字色設定処理(ステップS205)を実行する。
【0053】
続いて、制御部40は、文字列の各文字の色設定が完了すると、強調する文字の設定を促す案内をタッチパネル表示部3に表示させ、ユーザがタッチパネル入力部4により、例えば、
図7(b)に示すように「積み過ぎ」の文字列部分を強調する文字列として範囲指定を完了すると、強調する文字列の範囲のデータをRAM42のワークエリアに格納させる範囲指定処理(ステップS215)を実行する。
【0054】
次に、制御部40は、強調範囲を指定して強調する文字列の設定が完了すると、
図7(b)に示したように色強調度を指定する強調ボタン70と、強調処理を終了させる終了ボタン71をタッチパネル表示部3の画面左上部に表示させる。
【0055】
そして、ユーザにより強調ボタン70を押下されると制御部40は、指定された強調文字列である「積み過ぎ」の文字列の文字色を変化させて色強調度を高める色強調度指定処理(ステップS220)を開始する。
【0056】
制御部40は、色強調度指定処理(ステップS220)として、範囲指定手段で指定された文字列の文字色の色強調度がMAXであるか否かをROM41に記憶されている強調文字色管理テーブル41dを参照して判断する色強調度判定処理(ステップS225)を実行する。
【0057】
色強調度判定処理(ステップS225)において、例えば、指定された強調文字列である「積み過ぎ」の文字列の文字色が、
図8(a)に示したようにデフォルト設定による色強調度3の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は4R、3.5/11)であれば、最大色強調度ではないと判断して、指定された文字列の色強調度を一段階高める処理(ステップS230)を実行する。
【0058】
色強調度を一段階高める処理(ステップS230)が実行されると、
図8(b)に示すように指定された強調文字列である「積み過ぎ」の文字列の文字色は色強調度4とされる赤色とされて、色の三属性(マンセル表色系)は4R、4.5/14とされる。
【0059】
制御部40は、一段階高めた強調処理を完了させると、変更後の文字列と強調ボタン70及び終了ボタン71を表示(
図7(b)参照)し、あらためて強調ボタン70を押下されて色強調度を高めるか、または、終了ボタン71を押下されて強調処理を終了してラベル作成を開始させるかの強調処理終了判定(ステップS235)を実行する。
【0060】
ユーザにより終了ボタン71を押下されてラベル作成を開始すると、印刷処理を開始させ処理を終了させる。また、ユーザにより強調ボタン70を押下されると、指定された強調文字列である「積み過ぎ」の文字列の色強調度を更に高めるために色強調度指定処理(ステップS220)に戻る。
【0061】
2回目の色強調度指定処理(ステップS220)では、色強調度判定処理(ステップS225)において、例えば、指定された強調文字列である「積み過ぎ」の文字列の文字色が、
図8(b)に示したように色強調度4の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は4R、4.5/14)であれば、最大色強調度ではないと判断して、指定された文字列の色強調度を一段階高める処理(ステップS230)を実行し、
図8(c)に示すように色強調度MAXの設定である色強調度5の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は3R、4/14)へと変化させる。
【0062】
再び、制御部40は、一段階高めた強調処理を完了させると、あらためて色強調度を高めるか、または強調処理を終了してラベル作成を開始させるかの強調処理終了判定(ステップS235)を実行する。
【0063】
ユーザにより終了ボタン71を押下されてラベル作成を開始すると、印刷処理を開始させ処理を終了させる。また、ユーザにより強調ボタン70を押下されると、指定された強調文字列である「積み過ぎ」の文字列の色強調度を更に高めるために色強調度指定処理(ステップS220)に戻る。
【0064】
3回目の色強調度指定処理(ステップS220)では、色強調度判定処理(ステップS225)において、例えば、指定された強調文字列である「積み過ぎ」の文字列の文字色が、
図8(c)に示したように色強調度MAXの設定である色強調度5の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は3R、4/14)であれば、最大色強調度であると判断して、指定された文字列以外で同色の文字列の色強調度を一段階下げることができるか否かを判定する非強調文字列色強調度判定(ステップS240)を実行する。
【0065】
非強調文字列色強調度判定(ステップS240)において、例えば、
図8(c)に示したように指定された文字列と同色である「フォークリフト」の文字列が色強調度3の設定であれば、色強調度を下げられるとして、色強調度を一段階下げる処理(ステップS245)を実行する。
【0066】
同色の文字列の色強調度を一段階下げる処理(ステップS245)としては、例えば、
図8(d)に示すように、指定された文字列と同色である「フォークリフト」の文字列を色強調度3の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は4R、3.5/11)から色強調度2の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は4R、4/11)へと色強調度を一段階下げる。
【0067】
これらの処理を繰り返し、あらためて、指定された文字列の色強調度を高める操作が行われると、
図8(e)に示すように、指定された文字列と同色である「フォークリフト」の文字列を色強調度2の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は4R、4/11)からMINの色強調度である色強調度1の赤色(色の三属性(マンセル表色系)は4R、4/7)へと色強調度を一段階下げる。なお、非強調文字列の色強調度が色強調度1まで下げられると、次操作で強調操作を繰り返されても、ステップS240のYESで示すように文字色の変化を実行せずに次ステップへと進むこととする。
【0068】
なお、変形例として、非強調文字列色強調度判定(ステップS240)において、例えば、指定された文字列と同色の文字列が既に色強調度1の場合、又は、非強調文字列に指定された文字列と同色の文字列がない場合であれば、さらに、色強調度を高める方法として、同色ではない他の非強調文字列の色強調度を下げるようにしても構わない。
【0069】
これにより、指定された強調文字列を一層引き立たせて、強調させる効果をもたらすことができる。
【0070】
さらに、変形例として、色強調度判定処理(ステップS225)において、例えば、指定された強調文字列の文字色が、色強調度5の文字列であって最大色強調度であれば、指定された文字列の色強調度を一段階高める方法として、あらゆる他の非強調文字列の色強調度を下げるようにしても構わない。
【0071】
これにより、指定された強調文字列を、より一層引き立たせて、強調させる効果をもたらすことができる。
【0072】
また、変形例として、ラベル用の文字列の文字色がモノトーンの場合、強調処理において、強調範囲として指定された文字色を濃い目に変化させていき、濃い目の限界値に達した場合に、強調範囲として指定された文字を変化させず、非強調文字の文字色を薄めに変化させていくようにしても構わない。
【0073】
以上のように、本発明の実施形態によれば、任意の形状を有するパターンの色強調度を変化させて視認性を高めたラベルを作成する印刷装置1と、印刷装置1において視認性を高めたラベルを作成する印刷方法と、を提供することができる。
【0074】
また、本発明の実施形態によれば、強調文字列が最大色強調度であると判断した場合には、強調文字列以外の文字列の文字色の色強調度を1段階小さくすることにより、差異を高めて視認性を高めることができる。
【0075】
さらに、本発明の実施形態によれば、色強調度を1段階小さくする文字列を強調文字列と同色の文字列とすることにより、同色の濃淡による差異を明確にすることができる。
【0076】
そして、本発明の実施形態によれば、全文字列中に強調文字列と同色の文字列が無いと判断した場合、及び、強調文字列と同色の文字列が最小色強調度と判断した場合は、強調文字列以外の全ての文字列の色強調度を1段階小さくすることにより、段階数を増やすことができる。
【0077】
また、本発明の実施形態によれば、色強調度指定部によって強調処理をさらに行うか否かをユーザに判断させることができ、ユーザの好みに応じた強調処理によるラベルを作成することができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0079】
更に、本実施例におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施例で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施例の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施例で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行なうCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0080】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 複数の色の各段階の色強調度のテーブルが格納されている色強調度記憶部と、
任意の形状を有するパターンを入力する入力部と、
前記入力部で入力された入力パターンに、前記テーブルに基づいて前記色強調度を指定する色強調度指定部と、
前記入力パターンの中から色強調パターンを指定する範囲指定部と、
前記色強調パターンが最大色強調度ではない場合には、前記色強調パターンの前記色強調度を大きくし、前記色強調パターンが前記最大色強調度である場合には、前記色強調パターン以外の前記入力パターンの前記色強調度を小さくする、色強調度変更部と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
[2] 前記色強調度変更部は、前記色強調パターンが前記最大色強調度ではない場合には、前記色強調パターンの前記色強調度を1段階大きくし、前記色強調パターンが前記最大色強調度である場合には、前記色強調パターン以外の前記入力パターンの前記色強調度を1段階小さくすることを特徴とする上記[1]に記載の印刷装置。
[3] 前記色強調度変更部は、前記色強調度を小さくする前記色強調パターン以外の前記入力パターンを、前記色強調パターンと同色の前記入力パターンとすることを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の印刷装置。
[4] 前記色強調度変更部は、前記入力パターンの中に前記色強調パターンと同色の前記入力パターンが無い場合、又は、前記色強調パターンと同色の前記入力パターンが最小色強調度である場合には、前記色強調パターン以外の全ての前記入力パターンの前記色強調度を小さくすることを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の印刷装置。
[5] 前記色強調度変更部は、強調処理を繰り返し行うことを特徴とする上記[1]乃至上記[4]の何れかに記載の印刷装置。
[6] 任意の形状を有するパターンの入力による入力処理と、
前記入力処理で入力された入力パターンに、複数の色の各段階の色強調度のテーブルに基づいて当該色強調度を指定する色強調度指定処理と、
前記入力パターンの中から色強調パターンを指定する範囲指定処理と、
前記色強調パターンが最大色強調度ではない場合には、前記色強調パターンの前記色強調度を大きくし、前記色強調パターンが前記最大色強調度である場合には、前記色強調パターン以外の前記入力パターンの前記色強調度を小さくする色強調度変更処理と、
を実行する、
ことを特徴とする印刷方法。
[7] 前記色強調度変更処理は、前記色強調パターンが前記最大色強調度ではない場合には、前記色強調パターンの前記色強調度を1段階大きくし、前記色強調パターンが前記最大色強調度である場合には、前記色強調パターン以外の前記入力パターンの前記色強調度を1段階小さくすることを特徴とする上記[6]に記載の印刷方法。
[8] 前記色強調度変更処理は、前記色強調度を小さくする前記色強調パターン以外の前記入力パターンを、前記色強調パターンと同色の前記入力パターンとすることを特徴とする上記[6]又は上記[7]に記載の印刷方法。
[9] 前記色強調度変更処理は、前記入力パターンの中に前記色強調パターンと同色の前記入力パターンが無い場合、又は、前記色強調パターンと同色の前記入力パターンが最小色強調度である場合には、前記色強調パターン以外の全ての前記入力パターンの前記色強調度を小さくすることを特徴とする上記[6]又は上記[7]に記載の印刷方法。
[10] 前記色強調度変更処理は、強調処理を繰り返し行うことを特徴とする上記[6]乃至上記[9]の何れかに記載の印刷方法。