(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950237
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】卵パック収容ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 85/32 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
B65D85/32 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-112408(P2014-112408)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-227168(P2015-227168A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2014年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】514137816
【氏名又は名称】株式会社 ビリーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100069903
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 全弘
(74)【代理人】
【識別番号】100101166
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100157509
【弁理士】
【氏名又は名称】小塩 恒
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴弥
【審査官】
佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−203553(JP,A)
【文献】
実開平05−061067(JP,U)
【文献】
特開昭63−248637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の卵パックが収容可能なケース本体を形成し、
前記ケース本体の上部外周縁には、
少なくとも前記卵パックの上部外縁部に形成されているヒンジ部と、このヒンジ部に連続する短辺側のフランジ部と当接するフランジ部を形成し、
前記ケース本体の底部内面上には、
収容した卵パックの移動を阻止するためのリブを、横区画壁のうち、短辺側に位置する隔壁を、上方に突出させた状態で形成することによって形成し、
前記ケース本体の底面と前記卵パックの底面との間に、空隙部を構成したこと
を特徴とする卵パック収容ケース。
【請求項2】
前記空隙部は、
前記収容凹部の底部内面から前記フランジ部の上面までの高さを、前記卵パックの卵収容凹部の底部外面から、ヒンジ部の下面までの高さよりも高く設定することによって構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の卵パック収容ケース。
【請求項3】
前記ケース本体の底部内面上には、補強用のリブが形成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の卵パック収容ケース。
【請求項4】
前記収容ケース本体は、
卵パックを複数収容した状態でシュリンク包装されていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の卵パック収容ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汎用されている卵パックの複数を、収容することが可能な卵パック収容ケースに関するものである。
より具体的には、所定個数の卵(鶏卵)を収容する卵パックを、複数収容することができるとともに、卵パック内の卵を損傷させることなく維持することができる、卵パック収容ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数個の卵を収容するためのプラスチック製で薄いシート状のケースとして、いわゆる卵パックがある。
このような卵パックは、その一側縁をヒンジとして開閉可能な略箱形状を有し、その本体ケース内には、卵の形状及び大きさに応じて、所定個数の卵を安定した状態で収容可能なように卵収容凹部が、蓋体の裏面には、収容した卵が上方からの押圧によって損傷することを防止するための、略截頭錐形状の突起部が設けられている。
かかる卵パックは、前記卵収容凹部に卵を収容した状態で蓋体を閉じ、一般的には、ヒンジとなる側縁と相対する側縁のフランジ部において、本体と蓋体とをステープル止めして、出荷される。
【0003】
このような卵パックとしては、例えば、特開2003−137376号公報(特許文献1)において、
合成樹脂製のシート素材を膨出成形させ、卵の下半分を収容する卵収容凹部が複数個並列形成されている容器本体と、卵の上半分を覆う卵収容凹部を備えた蓋体とが、一側の折り曲げ部を介して折曲げ自在に一連に形成されている卵包装用容器であって、
前期容器本体と蓋体との何れか一方に、断面形状コの字形の密閉用突条が卵収容凹部の周縁部又は卵収容凹部の周縁部に亘って形成され、
他方に、前記密閉用突条を受け入れる密閉用突条嵌合凹部が、卵収容凹部又は卵収容凹部の周縁部に形成され、
閉蓋姿勢において、これら密閉用突条と密閉用突条嵌合凹部が相対嵌合し、容器内を防虫密閉する構造とした
パッケージ入り卵の保護ケースが開示されている。
【0004】
さらに、特開2004−17968号公報(特許文献2)においては、従来と同じ生産性を維持でき、従来の自動包装機械や、容器閉止機械をそのまま使用できるもので、
容器内への虫の進入をほぼ完全に防止でき、鮮度を維持させておくことができる卵容器として、
内容物を収める凹部を形成した本体部、
これに対応する形状を備えたフタ部、及び
これら本体部およびフタ部を屈曲自在に連結するヒンジ部を有し、
かつ該本体部およびフタ部は、各々その周縁にフランジ部が設けられ、
各フランジ部の少なくとも一部には、閉蓋時に重なり合う対応位置に切断用筋目が設けられてなるプラスチック容器
が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−137376号公報(請求項1,
図1)
【特許文献2】特開2004−17968号公報(請求項1,
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食料品店で販売される卵は、個々で販売されているものもあるが、その多くは、6個あるいは10個など特定の個数を1単位とした卵パックに収容して販売されている。
したがって、消費者は、卵パックに収容された卵の個数、例えば、10個入りを1単位として、自己の必要分量に相当する卵を購入している。
【0007】
一方、近年では、食材の低価格化を目的として「まとめ売り(大量販売)」という販売形態を採用する販売店が増加してきた。
この販売形態の下では、10個入りの卵パックを1単位とすることが主流であるが、例えば、卵20個入りケースを1単位として販売することで、1個当たりの価格を、より安くすることができる。
しかしながら、先々消費することが明確でない状態で、消費者が個人で大量購入を行うことは通常できない。
【0008】
そのため、近年では、複数の消費者が共同して一括大量購入し、その後、各消費者に分配(シェア)することにより、大量購入による価格低減効果を享受することが行われている。
しかしながら、一つのケースに収容された複数(例えば20個以上)の卵を、複数の消費者間で分配するのは煩雑であるという問題があった。
【0009】
この発明はかかる現状に鑑み、卵の大量販売を可能とし、販売後において、複数の消費者での卵の分配が容易なケースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、この発明にかかる請求項1に記載の発明は、
複数の卵パックが収容可能なケース本体を形成し、
前記ケース本体の上部外周縁には、
少なくとも前記卵パックの上部外縁部に形成されているヒンジ部と、このヒンジ部に連続する短辺側のフランジ部と当接するフランジ部を形成し、
前記ケース本体の底部内面上には、
収容した卵パックの移動を阻止するためのリブを
、横区画壁のうち、短辺側に位置する隔壁を、上方に突出させた状態で形成することによって形成し、
前記ケース本体の底面と前記卵パックの底面との間に、空隙部を構成したこと
を特徴とする卵パック収容ケースである。
【0011】
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の卵パック収容ケースにおいて、
前記空隙部は、
前記収容凹部の底部内面から前記フランジ部の上面までの高さを、前記卵パックの卵収容凹部の底部外面から、ヒンジ部の下面までの高さよりも高く設定することによって構成されていること
を特徴とするものである。
【0012】
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の卵パック収容ケースにおいて、
前記ケース本体は、
その底部内面上に補強用のリブが形成されていること
を特徴とするものである。
【0013】
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の卵パック収容ケースにおいて、
前記収容ケース本体は、
卵パックを複数収容した状態でシュリンク包装されていること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明にかかる卵パック収容ケースは、複数の卵パックを載置・収容することができるため、単体の卵パックを複数のまとめ売りすることが可能となるので、各消費者は、大量購入による価格低減効果を享受できる。
さらに、販売後には、消費者間で卵パック単位での卵のシェアが可能となるので、シェアが容易である。
【0015】
さらに、この発明にかかる卵パック収容ケースは、既製の(汎用されている)卵パックに対応するものであるので、卵パック収容ケースに合わせて卵パックを製造する必要はなく、安価である。
【0016】
さらに、この発明にかかる卵パック収容ケースでは、前記ケース本体の底面(底部内面)と前記卵パックの底面(底部外面)との間に空隙部が構成(形成)されているので、クッション性が向上し、卵パックに収容されている卵、特に、殻が薄い、LやLLの大玉の卵の破損のおそれが低減する。
さらにまた、収容された卵パックの移動を阻止するためのリブを設けているので、搬送や持ち歩きに際し、卵パックの移動が確実に阻止され、卵の損傷を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明にかかる卵パック収容ケースの一実施形態を示した斜視図である。
【
図2】
図1に示す卵パック収容ケースの上面図である。
【
図5】
図1に示す卵パック収容ケースに卵パックが収容された状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明にかかる卵パック収容ケースの実施の形態を、添付の図面に基づいて具体的に説明する。
なお、この発明の卵パック収容ケースは、図示の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲内で改良を加えることができるものである。
【0019】
この発明にかかる卵パック収容ケース1は、汎用されている縦長の卵パックEP(
図6参照)の複数を収容できる大きさを有するケース本体1aを主体とするものである。
この実施例においては、前記ケース本体1aは、2個の卵パックEPを収容できる大きさを有する略方形に近い矩形状を有し、樹脂シートからなるものであるが、紙シートなどでもよい。
【0020】
前記ケース本体1aは、その上部外周縁を囲繞して、
図1に示されているように、前記卵パックの外縁部に形成されているヒンジ部と、このヒンジ部に連続する短辺側のフランジ部と当接するフランジ部2が一体的に形成されている。
なお、前記フランジ部2の先端面は、下方に向かって弧状に折り曲げて形成し、端縁による指又は手への損傷を防止するとともに、前記ケース本体1aの強度を確保するよう構成されている。
【0021】
かかるケース本体1aは、長手方向に沿って所定の間隔を存して3つの縦区画壁3,3,3を底面上に突出形成させて横4列の凹部を形成するとともに、当間隔で配される4つの横区画壁4,4,4,4によって、二つの卵パックEPの計20個の卵収容部を受け入れることのできる卵収容部収容用の凹部5,5・・・を形成したものである。
【0022】
前記横区画壁4のうち、短辺側に位置する隔壁4a,4aは、いずれも上方に突出させた状態で形成することによって、卵パックに形成された前後の卵収容部間に挿入可能としたもので、かかる構成によって、卵パックが前後方向への移動が阻止される。
【0023】
なお、前記ケース本体1aは、
図1および
図2で明らかなように、ケース本体1の適宜の部位に補強用のリブRが形成され、ケース本体1の全体の強度を向上させるよう構成されている。
その際、前記横区画壁4aと同様の横区画壁を、
図2の中心に位置する部位に設けることによって、より一層全体の強度を向上させることが可能となるとともに、より確実にケース本体1a内において卵パックEPを保持することができる。
【0024】
さらに、この実施例において、前記横区画壁4aは、横方向に沿って、上下に二つ設けられているが、縦方向に沿って設けるようにしてもよいし、二つ以上設けてもよい。
【0025】
前記構成の卵パックEPは、汎用品と同様にPETなどの合成樹脂シートにより形成されたものであって、
図6に示すように、卵の下半部を受け入れる容器本体6と、卵の上半部を受け入れる蓋体7とをヒンジ部8を介して開閉自在に結合させたものである。
前記容器本体6には、この実施例においては、計10個の卵10を収容するための卵収容部9が設けられている。
【0026】
この発明の卵パック収容ケース1は、上記のような構成を有するため、
図6に示されるように、卵パックEPは、その卵収容部9の下部を前記ケース本体1aに設けられた卵収容用の凹部5内に挿入し、前記卵パックEPのヒンジ部8とこのヒンジ部8と連続するフランジ部を前記ケース本体1aのフランジ部2に当接させれば、ケース本体1aに収容され、安定に保持される。
【0027】
その際、この発明においては、前記ケース本体1aの底面上には、短辺側に位置させて横区画壁4a,4aが設けられている。
したがって、これらの横区画壁4a,4aが、卵パックEPの前後の隙間に挿入され、前記卵パックEPの縦方向への移動を妨げるよう機能するので、卵パックEPは、より安定に保持される。
【0028】
さらに、前記ケース本体1aの周縁(上部外周縁)に形成されたフランジ部2は、少なくとも卵パックEPのヒンジ部8と、このヒンジ部8に連続する短辺側のフランジ部8a,8aと当接する。
具体的には、前記ケース本体1aの上部外周縁に設けられたフランジ部2は、その上面に卵パックEPのヒンジ部8の端面と、短辺側フランジ部8a,8aが載置されるよう構成されている。
【0029】
さらにまた、この発明にかかる卵パック収容ケース1では、前記ケース本体1aの底面と前記卵パックの底面との間に、空隙部11が構成される。
この実施例において、前記ケース本体1aは、
図6に示されるように、卵収容用の凹部5の底面(底部内面)からフランジ部2の上面までの高さが、卵パックEPの卵収容凹部9の底面(底部外面)からヒンジ部8下面(ヒンジ部8の、フランジ部2との当接面)までの高さよりも高くなるよう構成されている。
【0030】
したがって、前記卵収容用の凹部5の底面と、卵パックEPの前記卵収容部9の底面との間には、空隙部11が形成される。
このような空隙部11の形成によるクッション性の向上と、前記ケース本体1aの底面と卵パックEPの底面との直接的な接触が避けられることによって、卵パックEPに収容されている卵10の破損のおそれが大幅に低減される。
【0031】
なお、この実施例においては、卵パック収容ケース1を、10個入りの卵パックを収容する構成としたが、4又は6個入りなど、適当な個数の卵パックを収容するように構成してもよい。
さらに、この実施例においては、卵パック収容ケース1を、卵パックを2つ収容する構成としたが、3つ以上収容できるように構成してもよい。
【0032】
さらにまた、この発明の卵パック収容ケース1は、上記構成によってクッション性が向上しているので、通常のサイズ(SやM)の卵の他、殻が薄い、LやLLの大玉の卵を収容する卵パックにも適用可能である。
【0033】
なお、この発明において、卵パックを収容した状態にある卵パック収容ケースを、従来法によって密封してもよい。
その際、例えば、卵パック収容ケースに収容された卵パックの上部全体をカバーできる蓋体を用いて密封する方法や、シュリンク包装によって前記卵パック収容ケース全体を密封する方法を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明にかかる卵パック収容ケースは、複数の卵パックの収容を可能とするもので、卵の大量販売を可能とし、販売後において複数の消費者間での卵の分配が容易となる。
したがって、特に食品業界において幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0035】
1 卵パック収容ケース
1a ケース本体
1b 側縁
2 フランジ部
3 縦区画壁
4 横区画壁
4a 横区画壁(移動阻止壁)
5 収容凹部(卵収容部収容用の凹部)
6 卵パックの容器本体
7 卵パックの蓋体
8 卵パックのヒンジ部
8a 短辺側フランジ部
9 卵パックの卵収容凹部
10 卵
11 空隙部
EP 卵パック
R リブ