(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950315
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】汚水沈砂池の除砂装置及び除砂方法
(51)【国際特許分類】
E03F 5/14 20060101AFI20160630BHJP
B01D 21/30 20060101ALI20160630BHJP
B01D 21/18 20060101ALI20160630BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
E03F5/14
B01D21/30 G
B01D21/30 F
B01D21/18 K
B01D21/24 M
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-45422(P2015-45422)
(22)【出願日】2015年3月9日
(62)【分割の表示】特願2014-22935(P2014-22935)の分割
【原出願日】2007年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-110904(P2015-110904A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088731
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】川上 直哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢二
(72)【発明者】
【氏名】大原 利隆
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−118207(JP,A)
【文献】
西堀清六,下水管きょ・ポンプ場,株式会社地人書館,1977年10月15日,第5版,P142、147、155、156
【文献】
遠山啓,土木施工法講座14下水道施工法,株式会社山海堂,1978年 4月15日,第4刷,P258
【文献】
真島卯太郎,下水処理機械計算法,工学図書株式会社,1978年 7月25日,第3版,P5
【文献】
集砂ノズルを用いた揚砂ポンプシステム技術マニュアル−2005年3月−,財団法人下水道新技術推進機構,2005年 3月31日,P1、4−6、9、11、13、32、34
【文献】
第一種指定事業者のうち下水道業を営む者による中長期的な計画の作成のための指針解説,国土交通省都市・地域整備局下水道部,2005年 6月,下水道部からのからのお知らせ,P.11〜13,「第一種指定事業者のうち下水道業を営む者による中長期的な計画の作成のための指針解説」(改訂版)について<http://www.mlit.go.jp/crd/city/sewerage/info.html>
【文献】
下水道維持管理指針前編−2003年版−,社団法人日本下水道協会,2003年 8月20日,P273、275、276、279,287
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00〜 11/00
B01D 21/00〜 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時汚水が流入される汚水沈砂池の除砂装置であって、汚水沈砂池は夫々長手方向に延びる複数が並列に配置され、
各沈砂池においては、その流入側に入口ゲートが取り付けられ、
その流出側に出口ゲートが取り付けられ、
その入口ゲートおよびその出口ゲートは、夫々、制御回路からの駆動信号により低水量となる所定時間帯に汚水の常時流入を確保しつつ汚水の流入を阻止した汚水沈砂池での除砂動作を行なうべく開閉制御され、
その汚水沈砂池での除砂のため、
その汚水沈砂池の最も低い位置に集砂ピットが設けられ、
その汚水沈砂池の底部はその汚水の流下方向と直交する方向に沈砂池の側壁側が高い傾斜面に形成され、
その傾斜面の側壁側には散水ノズルが開口され、
その集砂ピットの底面付近に揚砂ポンプの吸引口が開口するとともに、
その揚砂ポンプの排出口は汚水沈砂池の外部へ接続されることを特徴とする汚水沈砂池の除砂装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除砂装置による除砂方法であって、その複数の汚水沈砂池の一つの汚水沈砂池の除砂動作は、
入口ゲートおよび出口ゲートを制御回路からの駆動信号により閉じ、
その汚水沈砂池内の揚砂ポンプを稼動させ、その汚水沈砂池の傾斜面を排水状態とし、
その散水ノズルから低圧水を噴出することにより、その傾斜面に堆積した沈砂を集砂ピットへ集砂し、
集砂ピット内の沈砂を水とともにその揚砂ポンプにより汚水沈砂池の外に移送し、
その一つの汚水沈砂池の除砂が終了した後、その一つの汚水沈砂池の入口ゲートおよび出口ゲートを制御回路からの駆動信号により開放させ、その一つの汚水沈砂池に汚水を流入させることにより行い、
その一つの汚水沈砂池とは別他の汚水沈砂池についても、入口ゲートおよび出口ゲートを制御回路からの駆動信号により閉じることにより開始するその一つの汚水沈砂池における上記除砂動作と同様な一連の除砂動作を順次行うことを特徴とする汚水沈砂池の除砂方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は常時通水下にある下水道における
汚水沈砂池の除砂装置及び
徐砂方法に関し、合流式下水道や分流式下水道における汚水沈砂池における効率的な集砂のため採用しうるものである。ここに集砂とは沈砂池に堆積した沈砂を沈砂池の所定部位である集砂ピットに集積し、集砂ピットから揚砂ポンプにより沈砂分離機等の沈砂回収部位に排出するまでの一連の操作を意味する。
【背景技術】
【0002】
合流式下水道や分流式下水道における汚水沈砂池は常時通水されており、通水下で沈砂池に堆積した沈砂の集砂・排出のため従来はスクリュコンベヤ式の集砂装置(特許文献1)や、ノズルからの噴射水圧力による所謂高圧集砂装置や中圧集砂装置(特許文献2)を使用していた。すなわち、スクリュコンベヤ式の集砂装置では沈砂池の下面に堆積した沈砂を汚水と一緒にスクリュコンベヤにより揚砂し、沈砂分離機で沈砂を分離していた。また、噴射水圧力による高圧集砂装置や中圧集砂装置においては、沈砂池底面に沿って加圧水をスプレーすること水圧により沈砂を集砂ピットに集め、集砂ピットに設けたジェットポンプにより汚水と共に吸引揚砂し、沈砂分離機で沈砂を分離する仕組みとなっていた。
【0003】
他方、低圧にて集砂を行う方式としては、この出願の出願人により提案された、分流式若しくは合流式下水道における雨水沈砂池に使用するタイプ(所謂低圧集砂方式)のものが提案されている。即ち、雨水沈砂池の場合は通常の場合は天候が回復すると通水がなく、他方沈砂池の底面中央部に長手方向に設けた集砂ピットには揚砂ポンプが設けられている。そして、沈砂池底面は両側が高くなるように傾斜されており、この高くなった沈砂池底面の両側部位に散水ノズルが開口している。散水ノズルから沈砂池底面に沿って散水が行われ、沈砂池底面に溜まった沈砂はスプレー水により傾斜面に沿って流下せしめられ、沈砂は集砂ピットに集められ、沈砂は水と混合状態で集砂ピットに設けられた揚砂ポンプにより沈砂分離機に吸引搬送(揚砂)し、沈砂分離を行う仕組みとなっている。集砂時に沈砂池は空となっているため、低圧の水流(スプレー水)でも沈砂を沈砂池底面に沿って集砂ピットに向け流下させることができ、低圧のスプレー水でも沈砂の効率的な採集が可能であり、また集砂ピットに採集された沈砂を汚水と一緒に運ぶ揚砂ポンプとしても低圧のポンプが使用可能となる(特許文献3)。以上のように、低圧集砂方式とは、沈砂池を実質的に空の状態で沈砂池底面に沿って散水を行うことで沈砂池底面に堆積した沈砂を集砂ピットに採集し、沈砂池に溜まった汚水と一緒に沈砂をポンプにて揚砂する集砂方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−160417号公報
【特許文献2】特開平8−229310号公報
【特許文献3】特開平7−100306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクリュコンベヤ式の集砂装置は機械式であるため、常時通水される汚水沈砂池のための集砂装置としてはメンテナンスが煩雑となる問題があった。所謂高圧集砂装置や中圧集砂装置は噴射水圧力により沈砂を集砂ピットに集め、ジェットポンプにより排出するため、メンテナンスは容易であるが、高揚程ポンプが必要となり、その消費電力が大きくなり、また、集砂効率が高くない問題点があった。
【0006】
所謂低圧集砂方式のものは、雨水沈砂池での使用を意図したものであり、通水がない状態において沈砂池を実質的に完全に空にして沈砂の採集及び排出を行うため、加圧水の圧力を下げることができる上、ポンプとしても低揚程のもので良い利点がある。しかしながら、集砂に際して沈砂池への汚水の流入を阻止しかつ沈砂池を空とする必要があり、常時通水の必要がある汚水沈砂池にこの方式を使用することはこれまで考慮されたことがなかった。
【0007】
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、常時通水される合流式下水道や分流式下水道の汚水沈砂池においてメンテナンスを煩雑とすることなく低消費エネルギで高効率にて集砂を行い得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば、常時汚水が流入される汚水沈砂池の除砂装置であって、汚水沈砂池は夫々長手方向に延びる複数が並列に配置され、
各沈砂池においては、その流入側に入口ゲートが取り付けられ、
その流出側に出口ゲートが取り付けられ、
その入口ゲートおよびその出口ゲートは、夫々、制御回路からの駆動信号により
低水量となる所定時間帯に汚水の常時流入を確保しつつ汚水の流入を阻止した汚水沈砂池での除砂動作を行なうべく開閉制御され、
その汚水沈砂池での除砂のため、
その汚水沈砂池の最も低い位置に集砂ピットが設けられ、
その汚水沈砂池の底部はその汚水の流下方向と直交する方向に沈砂池の側壁側が高い傾斜面に形成され、
その傾斜面の側壁側には散水ノズルが開口され、
その集砂ピットの底面付近に揚砂ポンプの吸引口が開口するとともに、
その揚砂ポンプの排出口は汚水沈砂池の外部へ接続されることを特徴とする汚水沈砂池の除砂装置が提供される。
この発明によれば、上記除砂装置による除砂方法であって、その複数の汚水沈砂池の一つの汚水沈砂池の除砂動作は、
入口ゲートおよび出口ゲートを制御回路からの駆動信号により閉じ、
その汚水沈砂池内の揚砂ポンプを稼動させ、その汚水沈砂池の傾斜面を排水状態とし、
その散水ノズルから低圧水を噴出することにより、その傾斜面に堆積した沈砂を集砂ピットへ集砂し、
集砂ピット内の沈砂を水とともにその揚砂ポンプにより汚水沈砂池の外に移送し、
その一つの汚水沈砂池の除砂が終了した後、その一つの汚水沈砂池の入口ゲートおよび出口ゲートを制御回路からの駆動信号により開放さ
せ、その一つの汚水沈砂池に汚水を流入させることにより行い、
その一つの汚水沈砂池とは別他の汚水沈砂池についても、入口ゲートおよび出口ゲートを制御回路からの駆動信号により閉じることにより開始するその一つの汚水沈砂池における上記除砂動作と同様な一連の除砂動作を順次行うことを特徴とする汚水沈砂池の除砂方法が提供される。
この発明の集砂装置が設置された下水道は常時通水下にある。汚水の流れ方向に並列に複数の沈砂池が設けられる。各沈砂池は底面に集砂ピットを形成し、かつ集砂ピットへの水流による沈砂採集手段及び集砂ピットからの沈砂排出手段を備える。汚水の流れを常時維持しつつ低圧集砂方式の集砂を行うため、沈砂池は個別的に汚水の流入を阻止することができるように流入側には入口ゲートが設けられ、流出側はポンプ井を個別化するか、複数の沈砂池でポンプ井を共用の場合は夫々の沈砂池に出口ゲートを設けることで沈砂池間を分離し、汚水の流入阻止と相俟ってその沈砂池を実質的に空とすることが可能である。夜間などの低流量時に入口ゲートを順次閉鎖することによりその沈砂池への汚水の流入を阻止すると共に、その沈砂池を実質的に空とし、沈砂池が実質的に空の状態において、その沈砂池に堆積した沈砂を沈砂池底面に沿った低圧水流により集砂ピットに集積し揚砂ポンプにより排出することにより集砂作動を行うようにしている。
【0009】
複数の沈砂池からの集砂は夜間などの低水量となる特定時間帯において行われる。この時間帯をタイマにより検出すると、沈砂池からの集砂作動が順次行われる。例えば、複数の沈砂池のうち一つの沈砂池のみゲートを閉鎖し、残余の沈砂池は開放しておき、閉鎖中の沈砂池において集砂、即ち沈砂の集積及び排出が行われ、この間も集砂中の沈砂池以外の沈砂池の入口ゲートは開放のままであることから他の沈砂池においては汚水の流通及び排出は継続される。ゲートが閉の沈砂池からの集砂作業の完了後に集砂完了の沈砂池のゲートを開放し、汚水の流入を再開し、次に集砂を行う沈砂池のゲートを閉鎖しかつその沈砂池を空とし、同様に集砂作業を行う。このようにして、順次沈砂池からの集砂を行い、全ての沈砂池からの集砂が完了するとこの時間帯での作業の完了となる。
【発明の効果】
【0010】
複数の沈砂池を並列に設置し、各沈砂池への汚水の流入を個別的に制御可能とし、深夜などの低流量時に、複数の沈砂池への汚水の流入を順次停止し、かつ残余の沈砂池から分離することで、汚水の流入停止の間においてその沈砂池を実質的に空とし、沈砂池を空とした状態で沈砂池底面に溜まった沈砂を沈砂池底面に沿った水流で汚水ピットに採集し、揚砂ポンプで排出することで、汚水の流通は確保しつつ、低圧集砂方式の集砂作業を行うことができるため、常時流通のある汚水沈砂池にあっても低圧下で効率的な集砂作業を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1はこの発明の第1の実施形態の汚水沈砂池の概略的平面図である。
【
図2】
図2は一つの汚水沈砂池の概略的長手方向断面図(
図1のII−II線に沿った断面図)である。
【
図3】
図3は一つの汚水沈砂池の概略的横断面図(
図2のIII−III線に沿った断面図)である。
【
図4】
図4は第1実施形態における集砂のための動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図5】
図5はこの発明の第2の実施形態の汚水沈砂池の概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下この発明を分流式下水道の汚水沈砂池に応用した場合を説明するが、この発明は合流式下水道における汚水沈砂池にも応用可能である。
図1において、8は分流式下水道における汚水流入管を示し、汚水流入管8からの汚水の流れ方向(矢印)に並列に3個の沈砂池10が並列に設けられる。3個の沈砂池10を区別するときは、10a, 10b, 10cのように添字を付すものとする。各沈砂池10の入口には流入ゲート12(12a, 12b, 12c)が設けられ、出口には出口ゲート14(14a, 14b, 14c)が設けられる。分流式下水道では汚水は常時通水状態にあり、流入ゲート12及び出口ゲート14は通常は開放されている。流入ゲート12及び出口ゲート14は電動式となっており、その開閉制御のための電動モータが設けられる。ゲート12, 14の駆動のための電動モータは
図1には示されないが、
図2では模式的にM12, M14にて表示されている。
図1において、夫々の沈砂池からの出口ゲート14の下流にポンプ井16が配置され、この実施形態ではポンプ井16は沈砂池10a, 10b, 10cで共用され、ポンプ井16には排水ポンプ18が設けられ、沈砂池10を通過後の汚水は排水ポンプ18により活性汚泥処理設備などの汚水処理設備に送られる。出口ゲート14a, 14b, 14cはこの実施形態において本発明における、集砂中の汚水沈砂池を通水中の汚水沈砂池に対し分離せめしる分離手段として機能する。
【0013】
沈砂池10における集砂方式は所謂低圧集砂として雨水沈砂池における集砂方式として本発明の出願人と同一の出願人により提案され広く採用されている方式と同様のものであり、本発明ではこの集砂方式を常時通水される汚水沈砂池の集砂にも利用し得るよう工夫したものである。沈砂池10における集砂方式について詳細に説明すると、沈砂池10の底面における長手方向に集砂ピット20(
図2)が延設される。集砂ピット20は沈砂池における最も低い部位に位置し、両側は沈砂池側面10-1まで延びる傾斜面22(
図3)を呈している。傾斜面22には間隔をおいて狭くかつ浅いトラフ24が幅方向に延設され、各トラフ24間における沈砂池側面10-1近くに散水ノズル26が開口している。集砂時の散水のためノズル26は図示しない沈殿池などの給水源に給水管28(
図2に示された散水ノズル26とで本発明の沈砂採集手段を構成する)を介して連通され、給水管28には給水ポンプ(本発明の沈砂排出手段)30が設けられる。そして、長手方向における集砂ピット20の中央部に揚砂ポンプ32(この発明の沈砂及び汚水の排出手段)が設けられる。揚砂ポンプ32はその吸引口32-1が集砂ピット20の底面付近に開口しており、排出口32-2は揚砂管34を介して図示しない沈砂分離機に接続されている。
【0014】
図2において、制御回路36は沈砂池における各ゲート12(12a, 12b, 12c), 14(14a, 14b, 14c)やモータM12, M14やポンプ18, 30, 32の制御のため設けられ、シーケンス制御回路でもマイクロコンピュータにより構成してもよい。タイマ38はこの発明の実施形態の夜間の集砂制御のため設けたものである。
【0015】
次に、この発明の集砂作業を
図4の概略的フローチャートを参照しながら説明すると、処理が開始されると、ステップ50では集砂作業の開始時間か否かタイマ38によりチェックされる。汚水沈砂池には常時通水があり、他方、各沈砂池10a, 10b, 10cの集砂のためには夫々の沈砂池への汚水の流入を阻止しその沈砂池が空にされることが必要であり、この発明では通水量が少ない夜間、例えば、午前2時〜午前4時の間といった特定の時間帯において沈砂池10a, 10b, 10cへの汚水の流入を順次阻止してゆき、汚水の流入が阻止された沈砂池を空になるように排水することで低圧集砂方式の集砂作業を行うようにしている。ステップ50では集砂作業の開始時間が到来したか否かを判断し、否の場合はステップ52で通常制御が行われる。通常の場合、ゲート12a, 12b, 12c及びゲート14a, 14b, 14cは開放されており、汚水は全ての汚水沈砂池10a, 10b, 10cを流通され、排水ポンプ18によって沈殿池などの以降の汚水処理部位に搬出される。
【0016】
集砂作業を行う特定時間との判断のときはステップ50からステップ54a以下に進み、第1の沈砂池10aでの集砂作業を行う。先ずステップ54aでは沈砂池10aへの入口ゲート12aの閉鎖のため、入口ゲート12aの駆動モータM12への駆動信号によりゲートを
図2の想像線12´のように閉鎖し、沈砂池10aへの汚水の流入を停止する。次に、ステップ56aでは出口ゲート14aの駆動モータM14への駆動信号によりゲート14aを
図2の想像線14´のように閉鎖し、沈砂池10aを他の沈砂池10b, 10cから分離する。沈砂池10aへの汚水の流入を阻止し、かつ他の沈砂池10b, 10cから分離した状態で低圧集砂方式による集砂が行われる。即ち、ステップ58aでは揚砂ポンプ32が駆動され、当初は沈砂池10aは低水位とはいえ汚水が残っているが揚砂ポンプ32の回転により沈砂池10aの汚水は排出され、液面が揚砂ポンプの吸引口32-1の少し手前まで下がると、揚砂ポンプ32は一旦停止される。そして、ステップ60aでは給水ポンプ30を駆動すべく制御回路36より信号が送られ、散水ノズル26より水が噴射される。散水ノズル26からスプレーされた水は斜面22上を流下し、斜面22上に堆積した沈砂は集砂ピット20に集められる。集砂のためのノズル26からの散水のための水圧は0.3Mpa以下、より好ましくは0.0002から0.005MPaである。次にステップ62aでは揚砂ポンプ32を再び駆動すべく信号が制御回路36より送られ、沈砂池10aの底面の集砂ピット20に集められた沈砂は汚水と共に揚砂ポンプ32によって図示しない地上の沈砂分離設備に吸水搬送され、ここで沈砂は水とが分離され、沈砂はトラックなどにより処分場に陸上輸送される。ステップ64aでは、入口ゲート12aの駆動モータM12への駆動信号によりゲートを
図2の実線のように開放すると共に出口ゲート14aの駆動モータM14への駆動信号によりゲート14aを
図2の実線のように開放する。即ち、流入ゲート12a及び出口ゲート14aが共に開放される本来の状態に戻り、汚水流入管8からの汚水は沈砂池10aに再び流入される。以上の沈砂池10aの集砂動作の間、残余の沈砂池10b, 10cではゲート12b, 12c, 14b, 14cは開放のままで、通水及び排水ポンプ18による排水は通常のように行われている。
【0017】
第1の沈砂池10aの沈砂処理がこのようにして完了し、第1の沈砂池10aは通常の通水状態に戻るとステップ54b〜64bで第2の沈砂池10bでの沈砂処理が同様に行われる。即ち、入口ゲート12bを閉鎖し(ステップ54b)、出口ゲート14bを閉鎖し(ステップ56b)、揚砂ポンプ32により沈砂池10bを空とし(ステップ58b)、ノズル26からの散水による沈砂の採集を行い(ステップ60b)、揚砂ポンプ32により沈砂を沈砂分離機まで搬送し(ステップ62b)、このようにして第2の沈砂池10bの集砂処理が完了するとゲート12b, 14bを開ける(ステップ64b)。第2の沈砂池10bが通常の通水状態に戻ると、ステップ54c〜64cで第3の沈砂池10cでの沈砂処理が同様に行われる。即ち、入口ゲート12cを閉鎖し(ステップ54c)、出口ゲート14cを閉鎖し(ステップ56c)、揚砂ポンプ32により沈砂池10cを空とし(ステップ58c)、ノズル26からの散水による沈砂の採集を行い(ステップ60c)、揚砂ポンプ32により沈砂を沈砂分離機まで搬送し(ステップ62c)、このようにして
第3の沈砂池10cの集砂処理が完了するとゲート12c, 14cを開ける(ステップ64c)。
【0018】
図5はこの発明の第2の実施形態を示しており、この実施形態においては、3つの沈砂池10a, 10b, 10cの下流にポンプ井16a, 16b, 16cが個別的に設けられる。即ち、ポンプ井16a, 16b間及びポンプ井16b, 16c間は堰70, 72にて区分され、独立化される。即ち、ポンプ井16a, 16b, 16c間では流通がなく、ポンプ井16a, 16b, 16cには排水のための夫々のポンプ18a, 18b, 18cが設けられる。
図1に示す第1実施形態における沈砂池10a, 10b, 10cの出口側のゲート14a, 14b, 14cはこの第2の実施形態では設置されていない。ポンプ18a, 18b, 18cはポンプ井16a, 16b間及びポンプ井16b, 16c間に堰70, 72が設けられており、堰70, 72は、集砂中の汚水沈砂池を他の通水中の汚水沈砂池に対し分離せめしる本発明の分離手段として機能させることができる。
【0019】
この第2の実施形態の動作を説明すると、通常時は入口ゲート12a, 12b, 12cは開放され、各沈砂池10a, 10b, 10cに汚水は流入され、沈砂池10a, 10b, 10cからの汚水は夫々のポンプ18a, 18b, 18cにより沈殿池等の次段階の汚水処理設備に送られる。集砂を行う深夜などの所定の時間帯において沈砂池10a, 10b, 10cの通水が順次停止され、通水停止された沈砂池が空とされ、低圧集砂方式による集砂が行われる。即ち、最初は沈砂池10aでの集砂のため入口ゲート12aは閉鎖され、揚砂ポンプ32により排水が行われ、沈砂池10aは空とされる。この間、残余のゲート12b, 12cは開であるため、沈砂池10b, 10cへの汚水の流入及びポンプ18b, 18cによる汚水の排出は継続される。沈砂池10aが空となった状態において、散水ノズルからの水のスプレーによる集砂ピット20への沈砂の採集、その後、揚砂ポンプ32の駆動により揚砂という集砂作動が第1の実施形態と同様に行われる。沈砂池10aでの集砂の完了後に入口ゲート12aは再び開けられ、沈砂池10aへの汚水の流入が再開される。次は、2番目の沈砂池10bの入口ゲート12bが閉鎖され、揚砂ポンプ32による排水が行われ、沈砂池10bは空とされ、散水ノズルからの水のスプレーによる集砂ピット20への沈砂の採集、その後、揚砂ポンプ32の駆動により揚砂という低圧集砂方式による集砂が沈砂池10bにおいて実施される。この間は沈砂池10a, 10cへの汚水の流入及びポンプ18a, 18cによる汚水の排出は継続される。沈砂池10bでの低圧集砂方式による集砂が完了すると、最後に、第3番目の沈砂池10cの入口ゲート12cが閉鎖され、揚砂ポンプ32による排水が行われ、沈砂池10cは空とされ、散水ノズルからの水のスプレーによる集砂ピット20への沈砂の採集、その後、揚砂ポンプ32の駆動により揚砂という低圧集砂方式により集砂が沈砂池10cにおいて実施される。この間は沈砂池10a, 10bへの汚水の流入及びポンプ18a, 18bによる汚水の排出は継続される。このようにして、全ての沈砂池10a, 10b, 10cでの低圧集砂方式の集砂が完了すると、この時間帯での集砂作業は完了し、全ての沈砂池10a, 10b, 10cへの汚水の流入及びポンプ18a, 18b, 18cによる排出が行われる通常の動作に復帰する。
【符号の説明】
【0020】
8…汚水流入管
10(10a, 10b, 10c)…沈砂池
12(12a, 12b, 12c)…流入ゲート
14(14a, 14b, 14c)…流出ゲート
16(16a, 16b, 16c)…ポンプ井
18(18a, 18b, 18c)…排水ポンプ
20…集砂ピット
24…トラフ
26…散水ノズル
28…給水管
30…給水ポンプ
32…揚砂ポンプ
34…揚砂管
36…制御回路
38…タイマ
M12, M14…ゲート駆動モータ