特許第5950317号(P5950317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社ICS SAKABEの特許一覧

特許5950317コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム
<>
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000002
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000003
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000004
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000005
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000006
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000007
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000008
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000009
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000010
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000011
  • 特許5950317-コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5950317
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 9/32 20060101AFI20160630BHJP
   G06K 9/46 20060101ALI20160630BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20160630BHJP
   B07C 3/14 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G06K9/32
   G06K9/46 G
   H04N1/387
   B07C3/14
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-34810(P2016-34810)
(22)【出願日】2016年2月25日
【審査請求日】2016年3月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514145349
【氏名又は名称】有限会社ICS SAKABE
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】坂部 好則
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健
(72)【発明者】
【氏名】藤井 昌之
【審査官】 佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−308689(JP,A)
【文献】 特開平6−282684(JP,A)
【文献】 特開2000−036908(JP,A)
【文献】 特開2000−113173(JP,A)
【文献】 特開2003−016386(JP,A)
【文献】 特開2004−046528(JP,A)
【文献】 特開2005−182660(JP,A)
【文献】 特開2006−072524(JP,A)
【文献】 特開2012−190422(JP,A)
【文献】 費 立徳、外2名,“案内看板文字の傾きの自動補正”,第64回(平成14年)全国大会講演論文集(2) 人工知能と認知科学,日本,社団法人情報処理学会,2002年 3月12日,pp.135-136
【文献】 日並 遼太、外3名,“四直線推定に基づく情景画像中の文字認識”,情報処理学会 研究報告 コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM),日本,情報処理学会,2015年 9月 7日,Vol.2015-CVIM-198, No.22,pp.1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 9/32,9/46
H04N 1/387
B07C 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルを撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記ラベルの撮像画像を処理する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部が、前記撮像画像を処理し、複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが数字である確率Pr1を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて前記記号が並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を実行するコード認識システム。
【請求項2】
複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルを撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記ラベルの撮像画像を処理する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部が、前記撮像画像を処理した処理画像を複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが数字である確率Pr1を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて、前記処理画像の傾きを打ち消す方向に回転させた補正処理画像を求めるステップと、
前記補正処理画像に基づいて、前記コードを認識するステップと、を実行するコード認識システム。
【請求項3】
複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルの撮像画像を処理し、複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが数字である確率Pr1を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて前記記号が並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を含むコード認識方法。
【請求項4】
複数の記号から構成され向きが不定のコードが表示された対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記対象物の撮像画像を処理する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部が、前記撮像画像を処理し、複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが前記記号である確率を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて、前記コードの並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を実行するコード認識システム。
【請求項5】
複数の記号から構成され向きが不定のコードを認識するコード認識方法であって、
前記コードを含む画像を複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが前記記号である確率を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて、前記コードの並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を含むコード認識方法。
【請求項6】
複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルを撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記ラベルの撮像画像を処理し、前記コードを認識する画像処理部と、
前記画像処理部が認識した前記コードに基づいて、前記荷物を仕分ける仕分部と、を備え、
前記画像処理部が、前記撮像画像を処理し、複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが数字である確率Pr1を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて前記記号が並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を実行する荷物仕分システム。
【請求項7】
請求項3又は5記載のコード認識方法をコンピュータに実行させるコード認識プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小荷物の自動分類用装置が記載されている。
この自動分類用装置は、分類されるべき一連の品物であって、そのような各品物にそれぞれの機械可読識別コードがマーク付けされており、かつ、その一連の品物で品物ごとに異なるそのコードに対する位置にそれぞれの文字がマーク付けされている一連の品物の1つの品物を受け取るように構成された自動分類用装置であって、品物上のコードの場所を確定し、そのコードの場所に応じてその品物上の文字の位置を見つけ、その文字を処理してその品物の宛先を確定するように構成されたプロセッサを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−500974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、荷物に貼付されたラベルの向きが定まっていないため、ラベルに表記された荷物の行き先を示すコードを画像認識することは困難であった。なお、このコードは、宅配業者によって「宅配コード」や「仕分けコード」などと呼ばれ、複数の記号から構成されている。
本発明は、向きが定まっていないコードを認識できるコード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係るコード認識システムは、複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルを撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記ラベルの撮像画像を処理する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部が、前記撮像画像を処理し、複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが数字である確率Pr1を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて前記記号が並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を実行する。
【0006】
前記目的に沿う第2の発明に係るコード認識システムは、複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルを撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記ラベルの撮像画像を処理する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部が、前記撮像画像を処理した処理画像を複数のブロブ分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが数字である確率Pr1を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて、前記処理画像の傾きを打ち消す方向に回転させた補正処理画像を求めるステップと、
前記補正処理画像に基づいて、前記コードを認識するステップと、を実行する。
【0007】
前記目的に沿う第3の発明に係るコード認識方法は、複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルの撮像画像を処理し、複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが数字である確率Pr1を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて前記記号が並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を含む。
【0008】
前記目的に沿う第4の発明に係るコード認識システムは、複数の記号から構成され向きが不定のコードが表示された対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記対象物の撮像画像を処理する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部が、前記撮像画像を処理し、複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが前記記号である確率を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて、前記コードの並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を実行する。
【0009】
前記目的に沿う第5の発明に係るコード認識方法は、複数の記号から構成され向きが不定のコードを認識するコード認識方法であって、
前記コードを含む画像を複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが前記記号である確率を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて、前記コードの並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を含む。
【0010】
前記目的に沿う第6の発明に係る荷物仕分システムは、複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルを撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記ラベルの撮像画像を処理し、前記コードを認識する画像処理部と、
前記画像処理部が認識した前記コードに基づいて、前記荷物を仕分ける仕分部と、を備え、
前記画像処理部が、前記撮像画像を処理し、複数のブロブに分割するステップと、
前記各ブロブの傾きを打ち消す方向に当該ブロブを回転させ、当該ブロブが数字である確率Pr1を求めるステップと、
前記複数のブロブの中から、前記確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる前記ブロブを抽出するステップと、
抽出された前記ブロブの傾きの代表値に基づいて前記記号が並ぶ方向及び間隔を求め、当該方向及び当該間隔が予め決められた条件を満たす前記ブロブを前記コードとして認識するステップと、を実行する。
【0011】
前記目的に沿う第7の発明に係るコード認識プログラムは、第3又は第5の発明に係るコード認識方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、向きが定まっていないコードを認識できるコード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る宅配コード認識システムの構成図である。
図2】同宅配コード認識システムの動作を示すフローチャートである。
図3】(A)、(B)はそれぞれ、ブロブ処理A及びブロブ処理Bを示すフローチャートである。
図4】同宅配コード認識システムの動作のステップSa2にて処理された処理画像である。
図5】同宅配コード認識システムの動作のステップSa4にて処理された画像である。
図6】同宅配コード認識システムの動作のステップSa5−1における処理を示す説明図である。
図7】同宅配コード認識システムの動作のステップSa5−3にて並べ替えられたブロブを示す説明図である。
図8】同宅配コード認識システムの動作のステップSa6にて処理された画像である。
図9】同宅配コード認識システムの動作のステップSa8にて処理された画像である。
図10】同宅配コード認識システムの動作のステップS10における処理を示す説明図である。
図11】本発明の第2の実施の形態に係る宅配コード認識システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0015】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係る宅配コード認識システム(コード認識システム)10は、図1に示すコンベヤCV上を流れる荷物Pに貼付されたラベル(図4参照)を撮像し、ラベルに表示された、荷物の行き先を示すコード(以下、「宅配コード」という。)を認識できる。
ここで、宅配コードは、例えば、図4に示すコード「081405」のように、全6桁の数字(複数の記号の一例)で構成されており、右側の3桁の数字は左側の3桁の数字よりも大きさが小さくなっている。
【0016】
宅配コード認識システム10は、図1に示すように、撮像部20及び画像処理部30を備えている。
撮像部20は、図示しないカメラも含めた複数のカメラ202を有し、荷物Pの底面以外のいずれかの面に貼付されたラベル(対象物の一例)を撮像できる。
【0017】
画像処理部30は、撮像部20に接続され、撮像部20が撮像した撮像画像を処理できる。画像処理部30はCPU(不図示)を有し、このCPUが実行するソフトウェア(コンピュータプログラム)によって実現される。
【0018】
次に、宅配コード認識システム10の動作(コードの認識方法)について説明する。宅配コード認識システム10は、図2及び図3に示すステップSa1〜Sa10に従って実行される。
なお、これらのステップSa1〜Sa10は、画像処理部30にて実行されるコンピュータプログラム(コード認識プログラム)により実現される。
【0019】
(ステップSa1)
図1に示すように、撮像部20がコンベヤCV上を搬送される荷物Pのラベルを撮像する。撮像された画像データは、画像処理部30に送信される。
【0020】
(ステップSa2)
画像処理部30が、撮像されたラベルの撮像画像に対して必要な前処理を行い、図4に示す処理画像を得る。
具体的には、画像処理部30が、撮像画像をグレースケール化する。また、画像処理部30が、必要に応じて照明及び光学系をシェーディング補正したり、ダイナミックレンジを伸長したりする。更に、画像処理部30が、例えばメディアンフィルターによりノイズを低減する。
前処理は、これらの処理に限定されるものではなく、撮像画像に応じて適切な前処理が採用される。
【0021】
(ステップSa3)
画像処理部30が、前ステップSa2にて前処理された処理画像を基に、数字を含む文字領域を切り出す。本ステップにより、背景と認識対象となる文字領域とが分けられる。
具体的には、画像処理部30が、例えば固定しきい値によりグレースケール画像を2値化する。
【0022】
(ステップSa4)
画像処理部30が、切り出された文字領域を複数のブロブB1に分割する。なお、図5において矩形状の枠で示された各部分がブロブB1であり、ラベル上部左側に表示された宅配コード「081405」を構成する数字がそれぞれ矩形状の枠で囲まれている。
なお、画像処理部30は、分割された複数のブロブB1を大きさや形状等に基づいてフィルタリングし、数字が含まれていない可能性が高いブロブB1を排除する。
【0023】
(ステップSa5)
(1)各ブロブの傾き補正(ステップSa5−1)
画像処理部30が、各ブロブB1に外接する長方形を求める。画像処理部30は、その長方形の基準座標軸に対する長辺が延びる方向の傾きθがゼロとなるように、ブロブB1の傾きをそれぞれ補正する。なお、図6は、宅配コード「081405」を構成する数字「0」についての補正を示している。
すなわち、画像処理部30は、各ブロブB1の傾きを打ち消す方向にそのブロブB1を回転させる。
(2)確率計算(ステップSa5−2)
画像処理部30が、例えばニューラルネットワークを用いたパターン認識により、各ブロブB1が0〜9のいずれかの数字である確率Pr1を求める。
(3)ブロブB1の抽出(ステップSa5−3)
画像処理部30が、確率Pr1が予め決められた大きさ以上となる各ブロブB1を抽出した後、確率Pr1が大きい順に並べ替え、例えば図7に示すような処理結果を得る。図7は、数字である確率Pr1が高い順に上から並べられたブロブを示している。この処理により、数字を表すブロブと数字以外を表すブロブとが区別される。
(4)傾き推定(ステップSa5−4)
画像処理部30が、抽出したブロブB1の補正前の長辺の傾きθをそれぞれ調べる。画像処理部30は、これら長辺の傾きθの平均値θaveを、ステップSa2にて得られた処理画像の傾きとして推定する。
なお、処理画像の傾きとして推定される値は、長辺の傾きθの平均値θaveに限定されるものではない。処理画像の傾きとして推定される値は、そのグループの長辺の傾きの傾向を表す適切な代表値であれば任意でよい。他の代表値の一例として、中央値や最頻値が挙げられる。
【0024】
(ステップSa6)
画像処理部30が、推定された傾きに基づいて、ステップSa2にて得られた処理画像全体の傾きを補正し、傾きが補正された補正処理画像(図8参照)を得る。本ステップにより、基準座標軸に対する宅配コードの位置及び向きが定まる。
【0025】
(ステップSa7)
画像処理部30が、前ステップSa6にて得られた補正処理画像を基に、数字を含む文字領域を切り出す。本ステップにより、背景と認識対象となる文字領域とが分けられる。
具体的には、画像処理部30が、例えば固定しきい値によりグレースケール画像を2値化する。
【0026】
(ステップSa8)
画像処理部30が、切り出された文字領域を複数のブロブB2に分割する。なお、図9において矩形状の枠で示された各部分がブロブB2であり、ラベル上部左側に表示された宅配コード「081405」を構成する数字がそれぞれ矩形状の枠で囲まれている。
なお、画像処理部30は、分割された複数のブロブB2を大きさや形状等に基づいてフィルタリングし、数字が含まれていない可能性が高いブロブB2を排除する。
【0027】
(ステップSa9)
(1)確率計算(ステップSa9−1)
画像処理部30が、例えばニューラルネットワークを用いたパターン認識により、各ブロブB2が0〜9のいずれかの数字である確率Pr2を求める。
(2)ブロブB2の抽出(ステップSa9−2)
画像処理部30が、確率Pr2が大きい各ブロブB2について、そのy座標が予め決められた範囲にある各ブロブB2を抽出する。
【0028】
(ステップSa10)
画像処理部30が、抽出したブロブB2をx座標の順に並べ替えることで、全6桁の宅配コードが得られる。例えば、図10に示すように、y座標yが予め決められた範囲にある「0」、「8」、「1」、「4」、「0」、「5」を示すブロブB2をx座標x、x、x、x、x、xの順に並べ替えることで、宅配コード「081405」が認識される。
すなわち、本ステップにおいて、画像処理部30は、宅配コードを構成する数字が並ぶ方向及び間隔を調べ、この数字が並ぶ方向及び間隔が予め決められた条件を満たすブロブB2を宅配コードとして認識する。
【0029】
このように、本実施の形態に係る宅配コード認識システム10によれば、向きが定まっていない宅配コードを認識できる。
付言すると、宅配コードが認識できれば、認識した宅配コードに基づいて、荷物Pを行き先毎に仕分けをすることが容易となる。すなわち、図1に示すように、本実施の形態に係る宅配コード認識システム10と、画像処理部30によって認識された宅配コードに基づいて荷物を仕分ける仕分部40と、を備えた荷物仕分システム50を構成することもできる。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る宅配コード認識システムについて説明する。第1の実施の形態に係る宅配コード認識システム10と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0031】
本実施の形態に係る宅配コード認識システム10は、第1の実施の形態に係る宅配コード認識システム10とその動作(コードの認識方法)のみが相違する。
宅配コード認識システム10は、図11に示すステップSb1〜Sb7に従って実行される。ただし、ステップSb1〜Sb5については、それぞれ第1の実施の形態に係るステップSa1〜Sa5(図2及び図3参照)と同一であるためその説明は省略し、以下、ステップSb6、Sb7についてのみ説明する。
なお、ステップSb1〜Sb7は、画像処理部30にて実行されるコンピュータプログラム(コード認識プログラム)により実現される。
【0032】
(ステップSb6)
画像処理部30が、抽出されたブロブB1について、推定された傾きに基づいて処理画像全体の傾きを補正したと仮定した場合にそのブロブB1の移動先となる移動後の座標をそれぞれ演算する。演算された座標は、移動後座標(x,y)として求められる。
すなわち、本ステップにおいては、画像処理部30が、処理画像全体を補正することなく、補正によって移動する各ブロブB1の座標のみを演算する。
続いて画像処理部30が、移動後座標のy座標yが予め決められた範囲にある各ブロブB1を抽出する。
【0033】
(ステップSb7)
画像処理部30が、抽出したブロブB1を移動後座標のx座標xの順に並べ替えることで、全6桁の宅配コード「081405」が得られる。
すなわち、画像処理部30は、宅配コードを構成する数字が並ぶ方向及び間隔を調べ、この数字が並ぶ方向及び間隔が予め決められた条件を満たすブロブB1を宅配コードとして認識する。
【0034】
このように、本実施の形態に係る宅配コード認識システム10によれば、向きが定まっていない宅配コードを認識できる。
付言すると、宅配コードが認識できれば、認識した宅配コードに基づいて、荷物Pを行き先毎に仕分けをすることが容易となる。すなわち、図1に示すように、本実施の形態に係る宅配コード認識システム10と、画像処理部30によって認識された宅配コードに基づいて荷物を仕分ける仕分部40と、を備えた荷物仕分システム50を構成することもできる。
【0035】
なお、本実施の形態においては、画像処理部30が、抽出された各ブロブB1について、移動後の座標をそれぞれ演算したが、ブロブB1の座標を規定する基準座標系自体を、推定された傾きの分だけ回転させ、回転後の基準座標系におけるブロブB1の座標に基づいて宅配コードを認識してもよい。すなわち、画像処理部30は推定された傾きに基づいて、宅配コードを構成する数字が並ぶ方向及び間隔を調べ、この数字が並ぶ方向及び間隔が予め決められた条件を満たすブロブB1を宅配コードとして認識できればよい。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
宅配コードは、全6桁の数字に限定されるものではなく、任意の桁数であってもよい。また、宅配コードは数字や文字を含む任意の記号であってもよく、宅配コードを構成する記号が、前述のコードの認識方法におけるステップSa5又はステップSb5にてパターン認識されればよい。
更に、認識対象は宅配コードに限定されず、任意の対象物に表示された向きが不定の任意のコードであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 宅配コード認識システム
20 撮像部
30 画像処理部
40 仕分部
50 荷物仕分システム
202 カメラ
CV コンベヤ
P 荷物
【要約】
【課題】向きが定まっていないコードを認識できるコード認識システム、コード認識方法、コード認識プログラム、及び荷物仕分システムを提供する。
【解決手段】コード認識方法は、複数の記号から構成され荷物の行き先を示すコードが表示されたラベルを撮像し、撮像画像を得るステップSa1と、撮像画像を処理した処理画像を複数のブロブB1に分割するステップSa4と、各ブロブB1の傾きを打ち消す方向にブロブB1を回転させ、ブロブB1が数字である確率Pr1を求めるステップSa5と、複数のブロブB1の中から、確率Pr1が予め決められた大きさ以上となるブロブB1を抽出するステップSa5と、抽出されたブロブB1の傾きの代表値に基づいて記号が並ぶ方向及び間隔を求め、方向及び間隔が予め決められた条件を満たすブロブB1をコードとして認識するステップSa6〜Sa10と、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11