特許第5950337号(P5950337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950337
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】ライブラリ装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 15/68 20060101AFI20160630BHJP
   G11B 33/02 20060101ALI20160630BHJP
   G11B 23/50 20060101ALI20160630BHJP
   G11B 17/22 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G11B15/68
   G11B33/02 505Z
   G11B23/50 Z
   G11B17/22
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-78291(P2012-78291)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-206527(P2013-206527A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−312616(JP,A)
【文献】 特開平06−267257(JP,A)
【文献】 実開平04−098481(JP,U)
【文献】 特開昭63−239953(JP,A)
【文献】 特開2000−048534(JP,A)
【文献】 特開2007−073104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B15/675−15/68
G11B17/22 −17/30
G11B23/00 −23/50
G11B33/00 −33/08
G11B33/12 −33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体が内部に収容されたカートリッジを複数格納するマガジンと、該カートリッジ内の記憶媒体に対してデータの書き込み及び読み出しを行うドライブ装置と、これらマガジンとドライブ装置との間でカートリッジの搬送を行うアクセッサと、を有するライブラリ装置であって、
前記アクセッサは、前記カートリッジを収容するカートリッジ収納部と、該カートリッジ収納部に対して前記カートリッジを出し入れするためのピッカ機構とを有し、
前記ドライブ装置又は前記アクセッサには、
回転支持軸を介して回転自在に支持され、該カートリッジ収納部に出し入れされるカートリッジの表面をクリーニングする回転するブラシと、
前記ピッカ機構による前記カートリッジの出し入れに応じて、前記ブラシを回転させるブラシ回転機構と、が具備され、
前記ブラシ回転機構は、前記カートリッジを押圧する場合における前記ピッカ機構の直線移動を、前記ブラシの回転に変換することを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
前記ブラシ回転機構は、前記ピッカ機構による前記カートリッジの出し入れに応じて、前記ブラシを段階的に回転させるように構成され、
前記ピッカ機構による前記カートリッジの出し入れに応じて、前記ブラシの回転をロック又は該ロックを解除するブラシ回転制御機構と、がさらに具備されていることを特徴とする請求項1に記載のライブラリ装置。
【請求項3】
前記ピッカ機構には、ピッカによるカートリッジ押し出し動作又は引き込み動作に連動するピッカアームが設けられ、
前記ブラシ回転制御機構には、カートリッジ押し出し時に前記ピッカアームにより押圧され、かつ押圧時に前記ブラシの回転ロックを解除する第1の回転式レバーが設けられ、
前記ブラシ回転機構には、カートリッジ押し出し方向に沿う前記第1の回転式レバーの後方位置に設けられて、カートリッジ押し出し時に前記ピッカアームにより押圧され、かつ押圧時に前記ブラシを回転させる第2の回転式レバーが設けられ、
前記ピッカアームは、前記ピッカ機構によるカートリッジの押し出し動作に応じて、前記第1の回転式レバー、前記第2の回転式レバーを順次押圧する請求項2に記載のライブラリ装置。
【請求項4】
前記カートリッジ収納部は、その前側に設けられた開口部を経由して前記カートリッジを収容するように構成され、前記ピッカ機構のピッカアームは、該ピッカ機構による押し出しにより、前記カートリッジがカートリッジ収納部の開口部を通過する際に、前記ブラシ回転制御機構の第1の回転式レバー、及び前記ブラシ回転機構の第2の回転式レバーを順次動作させることを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載のライブラリ装置。
【請求項5】
前記ブラシの回転範囲に交差するように配置されて、該ブラシに付着したゴミを掻き取る清掃用リブが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のライブラリ装置。
【請求項6】
前記ピッカ機構のピッカによるカートリッジ把持箇所は、前記カートリッジの引出し方向に沿う中心線からずれた位置であり、
前記ブラシ回転機構のブラシによるクリーニング箇所は、前記中心線を挟んで前記カートリッジ把持位置と反対側に位置していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のライブラリ装置。
【請求項7】
前記ブラシは、回転中心から外方に向けて突出する複数のブラシ植毛体が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のライブラリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のカートリッジ(記録媒体)をマガジンに収納するライブラリ装置に係り、カートリッジを出し入れ及び運搬するためのアクセッサに清掃ブラシを具備し、該カートリッジの表面を効率良く清掃できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の関連する技術として、特許文献1に示されるライブラリ装置が知られている。
この特許文献1に示されるライブラリ装置は、記憶媒体となるカートリッジを複数格納するマガジンと、記憶媒体に対してデータの書き込み及び/又は読み出しを行うドライブ装置と、これらマガジンとドライブ装置との間でカートリッジの搬送を行うアクセッサと、を有し、該アクセッサのカートリッジ取込み口の開口部近傍に、カートリッジの表面をクリーニングするクリーニングブラシが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−73104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記に示す特許文献1では、カートリッジの表面にゴミが堆積すると、堆積したゴミが摩擦抵抗となって、ドライブ装置に対する投入/排出障害や、アクセッサの搬送障害が発生しやすくなるだけでなく、ドライブ装置内に侵入したゴミが記憶媒体の記録面に付着し、記録品質などが低下する恐れもある。
【0005】
そして、このような問題を解決するために、アクセッサのカートリッジ取込み口の開口部近傍に、カートリッジの表面をクリーニングするクリーニングブラシが備えられている。
しかしながら、このようなクリーニングブラシはアクセッサのカートリッジ取込み口に固定した状態で設けられているので、除去したゴミがクリーニングブラシに付着した状態となり、クリーニング効果が低下するという問題がある。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、除去したゴミがクリーニングブラシに付着することを防止し、ゴミが付着していないクリーニングブラシで効率良くカートリッジをクリーニングすることができるライブラリ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、記憶媒体が内部に収容されたカートリッジを複数格納するマガジンと、該カートリッジ内の記憶媒体に対してデータの書き込み及び読み出しを行うドライブ装置と、これらマガジンとドライブ装置との間でカートリッジの搬送を行うアクセッサと、を有するライブラリ装置であって、前記アクセッサは、前記カートリッジを収容するカートリッジ収納部と、該カートリッジ収納部に対して前記カートリッジを出し入れするピッカ機構とを有し、前記ドライブ装置又は前記アクセッサには、回転支持軸を介して回転自在に支持され、該カートリッジ収納部に出し入れされるカートリッジの表面をクリーニングする回転するブラシと、前記ピッカ機構による前記カートリッジの出し入れに応じて、前記ブラシを回転させるブラシ回転機構と、が具備されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドライブ装置又はアクセッサに、カートリッジ収納部に出し入れされるカートリッジの表面をクリーニングするブラシを設け、ブラシ回転機構により、ピッカ機構によるカートリッジの出し入れに応じて該ブラシを段階的に回転させるようにした。
すなわち、本発明では、ブラシ回転機構により、ピッカ機構によるカートリッジ収納部へのカートリッジの出し入れに応じて、該ブラシを回転させるようにしたので、該ブラシで効率良くカートリッジの表面をクリーニングすることができる。
また、本発明では、ブラシの回転力により、カートリッジの表面をクリーニングするとともに該ブラシに付着した埃を落下させることができる一方で、該ブラシに付着した埃を、例えば清掃用リブなどで掻き落とすことで、ゴミが付着していないブラシで効率良くカートリッジをクリーニングすることができる。
また、本発明では、別途設置したブラシ回転制御機構により、ピッカ機構によるカートリッジの出し入れに応じて該ブラシの回転をロック又は該ロック解除することで、ブラシが一定の範囲(角度)でしか回転しないように調整することができ、ブラシによるカートリッジのクリーニングを均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明が適用されるライブラリ装置1の概略を示す外観図である。
図2】アクセッサAに収容されたカートリッジCをドライブ装置5に押込む際の動作を示す斜視図である。
図3図2の動作の続きを示す斜視図である。
図4図3の動作の続きを示す斜視図である。
図5】ドライブ装置5の投入搬出口6付近にてブラシ支持部材12に支持されたブラシ13の部分を示す斜視図である。
図6図5をVI方向から視た斜視図である。
図7】可動式レバー22に設けられた回転式レバー24及び25を示す図であって、(A)は図5をVII(A)方向から視た斜視図、(B)図7(A)をVII(B)方向から視た斜視図である。
図8】(A)は回転止め板27を示す斜視図、(B)はギア26を構成する変則ギアを示す斜視図である。
図9】アクセッサA内に設けられた回転式レバー24及び25の動作を説明するための説明図である。
図10図9の動作の続きを示す説明図である。
図11図10の動作の続きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、図1図11を参照して説明する。
図1は本発明が適用されるライブラリ装置の全体を示す概略構成図、図2図4はライブラリ装置のアクセッサAの部分を示す斜視図である。
図1に示されるライブラリ装置1では、記憶媒体が内部に収容された被収納物となるカートリッジC(記録媒体)を、正面側の開口部2を経由して収容するマガジンセル3を複数並べてなるマガジン4と、マガジン4の各マガジンセル3に対してカートリッジCを出し入れするためのアクセッサAと、を有している。
また、このライブラリ装置1では、カートリッジCに対して各種データの読み込み又は読み出しを行うドライブ装置5も併設されている。
【0011】
このドライブ装置5は、正面側の投入搬出口6を経由してアクセッサAにより搬送されたカートリッジCを収納部(図示略)に受け入れ、該カートリッジCに対して各種データの読み込み又は読み出しを行う。また、このドライブ装置5は、各種データの読み込み又は読み出しを行なった後のカートリッジCを、投入搬出口6を経由してアクセッサAに受け渡す。
なお、本例では、マガジンセル3の開口部2又はドライブ装置5の投入搬出口6の正面は全体として平面(矢印x−yでなす平面)を形成し、この平面に沿うようにアクセッサAが移動する。
【0012】
アクセッサAは、内部にカートリッジCを収容するカートリッジ収納部7(図2図4参照)を有する搬送機A1を有するものであって、この搬送機A1には、水平レール8及び垂直ガイドレール9の案内により、マガジン4の開口部2又は及びドライブ装置5の投入搬出口6付近にまで平行移動(x−y方向に移動)するための駆動機構(図示略)が設けられている。
また、アクセッサAのカートリッジ収納部7には、マガジン4の開口部2及びドライブ装置5の投入搬出口6と対向可能に位置して、これら開口部2及び投入搬出口6に対して、カートリッジCが出し入れされる開口部7Aが形成されている。
また、アクセッサAの搬送機A1内には、図2図4に示すように、カートリッジ収納部7と、マガジン4又はドライブ装置5との間でカートリッジCを授受するためのピッカ機構Pが設けられている。
【0013】
そして、このアクセッサAでは、コントロール装置50からの制御信号に基づき、搬送機A1が特定のマガジンセル3の開口部2又はドライブ装置5の投入搬出口6にまで移動した場合に、マガジンセル3又はドライブ装置5に対して、内部のピッカ機構PによりカートリッジCの後部を把持して矢印z方向(矢印z1、z2方向)に出し入れする。このとき、アクセッサAでは、カートリッジ収納部7と、特定のマガジンセル3の開口部2又はドライブ装置5の投入搬出口6とが互いに対向かつ正対した位置関係となるように搬送機A1を位置決めする。
【0014】
アクセッサA内のピッカ機構Pは、矢印z方向に移動可能なピッカ10を有し、該ピッカ10によりカートリッジCの後部を把持することで、図2図4に示すように、マガジン4の各マガジンセル3又はドライブ装置5の投入搬出口6に対してカートリッジCを挿入し(矢印z1方向に押し出し移動)、該カートリッジCを引き込む(矢印z2方向に移動)といった出し入れする処理を行う。
【0015】
なお、図2図4では、ドライブ装置5の投入搬出口6に対して段階的にカートリッジCを挿入する(矢印z1方向に押し出し移動させる)例を示している。すなわち、図2はアクセッサAのカートリッジ収納部7内にカートリッジCが収容されている状態を示す図、図3はピッカ機構Pのピッカ10の押圧によりカートリッジCがカートリッジ収納部7からドライブ装置5に一部が受け渡された状態を示す図、図4はピッカ機構Pのピッカ10の押圧によりカートリッジCがカートリッジ収納部7からドライブ装置5に大部分が受け渡された状態を示す図である。
また、このアクセッサAのピッカ機構Pには、ピッカ10の矢印z方向(矢印z1、z2方向)への移動に連動して、該ピッカ10と同一の方向に移動するピッカアーム11(図4参照)も内部に備えられている。
【0016】
また、ドライブ装置5の投入搬出口6には、該ドライブ装置5の筐体と一体なブラシ支持部材12に軸支された回転支持軸13A(図5参照)を介して、回転自在なブラシ13が設けられている。このブラシ13は、図5及び図6に示されるように、回転中心から外方に向けて突出する複数のブラシ植毛体14が設けられたものであって、回転支持軸13Aを中心に回転することで、アクセッサAのカートリッジ収納部7に出し入れされるカートリッジCの側部表面をクリーニングする。また、このブラシ13は、ブラシ回転機構20及びブラシ回転制御機構21によって、回転及びその回転量が制御される。
【0017】
次に、図5図11を参照して、ドライブ装置5の投入搬出口6に備えられるブラシ回転機構20及びブラシ回転制御機構21について詳細に説明する。なお、これらブラシ回転機構20及びブラシ回転制御機構21は構成の主要部を共通としているが、これについては後述する。
【0018】
図5及び図6に示されるように、まず、ブラシ支持部材12には、L字状の突出部材12Aが固定されており、該突出部材12Aには可動式レバー22が設置されている。
この可動式レバー22は、図示しないガイドバーに沿って該ピッカアーム11と同じ矢印z方向に移動自在に設けられているものであって、ピッカ機構Pのピッカアーム11の先端で押されることで、矢印z1方向(カートリッジCの押し出し方向)に移動する。また、この可動式レバー22と、ブラシ支持部材12の突出部材12Aとの間には、可動式レバー22を矢印z2方向(カートリッジCの引き込み方向)に付勢する可動式レバー用コイルばね23が設置されている。
この可動式レバー用コイルばね23は、ピッカアーム11による可動式レバー22の押圧が解除されたときに、該可動式レバー22を矢印z2方向(カートリッジCの引き込み方向)に強制移動して、初期位置に戻すために設けられている。
【0019】
可動式レバー22の先端部には、図6及び図7に示されるように、矢印z1方向(カートリッジCの押し出し方向)に沿うように、2種類の回転式レバー24・25が揺動自在に順次設けられている。
第1の回転式レバー24は、可動式レバー22の先端側にて回転軸24Aを中心に揺動自在に設けられているものであって、該可動式レバー22の矢印z1方向(カートリッジCの押し出し方向)への移動に伴い、図9図11に示すように、ギア26(詳細は後述する)の回転止め板27を(矢印(イ)方向に)押圧する。また、第1の回転式レバー24の前面側は傾斜面に形成されており、例えば、回転止め板27の側部に対して45°の角度で接することにより、該回転式レバー24の矢印z1方向への移動を、回転止め板27の矢印(イ)方向に変換する。
【0020】
回転止め板27は、可動式レバー22の移動経路に対して近接離間するように矢印(イ)−(ロ)方向に移動自在に設けられるものであって、図示しない付勢手段によって、可動式レバー22に対して近接する矢印(ロ)方向に付勢されている。また、該回転止め板27の表面には、図8図11に示されるようなロックピン28が固定されており、第1の回転式レバー24による矢印(イ)方向への押圧がない場合に、付勢手段による矢印(ロ)方向への付勢によって、ギア26のギア歯26Aに対して該ロックピン28を係合させている。これによって回転止め板27のロックピン28は、ギア26の回転を規制する。
また、前述の第1の回転式レバー24によって、付勢手段の付勢力に抗して、回転止め板27が(矢印(イ)方向に)押圧された場合には、ギア26のギア歯26Aに対するロックピン28の係合が解除され、該ギア26を自由に回転できるフリーな状態とする。
【0021】
また、第2の回転式レバー25は、第1の回転式レバー24の後方に位置し、かつ回転軸25Aを中心に揺動自在に設けられているものであって、可動式レバー22の矢印z1方向(カートリッジCの押し出し方向)への移動に伴い、ギア26のギア歯26Aに係合して該ギア26を(図6図10に示される矢印(ハ)方向に)押圧及び回転させる。
【0022】
ギア26は、図5及び図6に示されるようにブラシ13の回転支持軸13A下部に固定され、かつ図6及び図8図11に示されるようにギア歯26Aが一定の間隔及びパターンで形成された変則ギアである。そして、このギア26は、回転止め板27のロックピン28によるロックが解除された状態で、第2の回転式レバー25との係合により、矢印(ハ)方向に押圧及び回転させられた場合に、回転支持軸13Aを介してブラシ13を同方向に回転させる。これによってブラシ13はカートリッジ収納部7の開口部7Aを通過するカートリッジCの側面を一定範囲で清掃することが可能となる。
【0023】
また、回転式レバー24及び25には、これら回転式レバー24・25の揺動範囲を規制し、常時、定位置に保持するためのレバー戻し用板ばね24B・25Bが設けられている。
また、回転式レバー24及び25の後部側(ピッカ機構P側)は傾斜面となっており、可動式レバー22が矢印z2方向に移動した場合に、該傾斜面を介して、回転止め板26及びギア26と摺動する。これによる回転式レバー24及び25は初期位置(可動式レバー22に押圧される前の位置)に復帰することになる。
また、ブラシ支持部材12には、ブラシ13の回転範囲に交差するように清掃用リブ30が配置されている。この清掃用リブ30は、ブラシ13が回転した場合に、該ブラシ13と摺動して該ブラシ13に付着したゴミを掻き落とすためものである。また、この清掃用リブ30の下方には、掻き落とされたゴミを受けるトレーが設置されているが、図面では省略されている。
【0024】
なお、上記のような構成要素において、「可動式レバー22、コイルばね23、第2の回転式レバー25、ギア26」によって、ブラシ回転機構20が構成されている。また、「可動式レバー22、コイルばね23、第1の回転式レバー24、回転止め板27、ロックピン28」によってブラシ回転制御機構21が構成されている。
【0025】
そして、上記のように構成されたブラシ回転機構20及びブラシ回転制御機構21の動作をまとめると、図9図10のようになる。
(1)図9に示すように、ピッカ機構Pのピッカ10が、カートリッジCをドライブ装置5に収納するために、矢印z1方向(カートリッジCの押し出し方向)に移動した場合、これに連動してピッカアーム11も同方向の矢印z1方向に移動する。
【0026】
(2)上記(1)のピッカアーム11の押圧により、ブラシ支持部材12に設置された可動式レバー22が矢印z1方向(カートリッジCの押し出し方向)移動され、これと同時に、該可動式レバー22の先端側に位置する第1の回転式レバー24も矢印z1方向(カートリッジCの押し出し方向)に移動する。その結果、図10に示すように、第1の回転式レバー24が、回転止め板27を矢印(イ)方向に押圧し、これにより回転止め板27上のロックピン28によるギア26のギア歯26Aの係合を解除し、該ギア26を自由に回転できるフリーな状態とする。
【0027】
(3)その後、ピッカアーム11とともに可動式レバー22が矢印z1方向にさらに移動した場合には、図11に示すように、第1の回転式レバー24の後方に位置する第2の回転式レバー25がギア26に係合して、上記(2)によりフリーな状態にあるギア26を矢印(ハ)方向に押圧及び回転させる。その結果、該ギア26の回転支持軸13Aを介してブラシ13が、回転式レバー25で押圧されている間、矢印(ハ)方向に一定範囲の角度で回転し、これによって該ブラシ13を通過するカートリッジCの表面が清掃される。また、ブラシ13が回転した場合に、清掃用リブ30がブラシ13と摺動して、該ブラシ13に付着したゴミが掻き落とされる。
【0028】
(4)その後、ピッカ機構Pのピッカ10により、ドライブ装置5へのカートリッジCの収納が完了し、該ピッカ10が矢印z2方向に後退した場合には、ピッカアーム11による可動式レバー22の押圧も解除されることになる。これにより可動式レバー22は、コイルばね23の付勢により矢印z2方向に移動し、これに伴い、回転式レバー24による回転止め板27の矢印(イ)方向への押圧も解除される。その結果、回転止め板27が、図示しない付勢手段の付勢力により矢印(ロ)方向に移動して、該回転止め板27上のロックピン28がギア26をロックし、矢印(ロ)方向に一定範囲回転した後のギア26がその停止位置で保持されることになる。
【0029】
また、可動式レバー22が矢印z2方向に移動した場合に、回転式レバー24及び25がそれぞれ回転止め板26及びギア26と当接することになる。このとき、これら回転式レバー24及び25は揺動自在でかつ後部側(ピッカ機構P側)が傾斜面となっているので、該傾斜面を介して、これら回転止め板26及びギア26と摺動して、初期位置(可動式レバー22に押圧される前の位置)に支障なく復帰することができる(図11参照)。
【0030】
以上詳細に説明したように本実施形態に示されるライブラリ装置1によれば、ドライブ装置5の投入搬出口6に、カートリッジ収納部7に出し入れされるカートリッジCの表面をクリーニングするブラシ13を設け、ブラシ回転機構20により、ピッカ10によるカートリッジCの出し入れに応じて該ブラシ13を段階的に回転させるようにし、かつブラシ回転制御機構21により、ピッカ10によるカートリッジCの出し入れに応じて該ブラシ13の回転をロック又は該ロックを解除するようにした。
すなわち、本実施形態に示されるライブラリ装置1では、ブラシ回転機構20及びブラシ回転制御機構21により、ピッカ10によるカートリッジ収納部7へのカートリッジCの出し入れに応じて、該ブラシ13を回転させ、かつ該ブラシ13の回転をロック又は該ロックを解除するようにしたので、該ブラシ13で効率良くカートリッジCの表面をクリーニングすることができる。
【0031】
また、本実施形態に示されるライブラリ装置1では、ブラシ13の回転力により、カートリッジCの表面をクリーニングするとともに該ブラシ13に付着した埃を落下させることができる一方で、該ブラシ13に付着した埃を、例えば清掃用リブ30などで掻き落とすことで、ゴミが付着していないブラシ13で効率良くカートリッジCをクリーニングすることができる。
また、本実施形態に示されるライブラリ装置1では、ブラシ回転制御機構21により、ピッカ10によるカートリッジCの出し入れに応じて該ブラシ13の回転をロック又は該ロックを解除するようにしたので、ブラシ13が一定の範囲(角度)でしか回転しないように調整することができ、ブラシ13によるカートリッジCのクリーニングを均一化することができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、第2の回転式レバー25がギア26を押圧する範囲、及びギア26の径及び形状パターンなどによって、ブラシ13が回転する角度が決定されるが、これは、カートリッジCの形態などにより適宜定めるようにしても良い。例えば、特に清浄な状態を必要とする(データ読み取り又は読み出しに係わる)カートリッジCの先端部の範囲に対応して、第2の回転式レバー25がギア26を押す範囲、及びギア26の径及び形状パターンなどを適宜、決定すると良い。
【0033】
また、ブラシ回転機構20及びブラシ回転制御機構21は、ドライブ装置5の投入搬出口6に設けることなく、アクセッサAのカートリッジ収納部7の開口部7A付近に設けても良い。
【0034】
また、ピッカ機構Pのピッカ10によるカートリッジ把持箇所は、カートリッジCの引出し方向に沿う中心線(カートリッジCの中央に位置する中心線)からずれた位置にある。このとき、ブラシ回転機構20のブラシ13によるカートリッジ側面のクリーニング箇所は、カートリッジCの磨耗粉が発生し易い、該中心線を挟んでカートリッジ把持位置と反対側に位置することが好ましい。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、多数のカートリッジ(記録媒体)をマガジンに収納するライブラリ装置に係り、カートリッジを出し入れ及び運搬するためのアクセッサに清掃ブラシを具備し、該カートリッジの表面を効率良く清掃する技術に関する。
【符号の説明】
【0037】
1 ライブラリ装置
3 マガジンセル
4 マガジン
5 ドライブ装置
6 投入搬出口
7 カートリッジ収納部
7A 開口部
10 ピッカ
13 ブラシ
14 ブラシ植毛体
13A 回転支持軸
20 ブラシ回転機構
21 ブラシ回転制御機構
30 清掃用リブ
A アクセッサ
C カートリッジ(記録媒体)
P ピッカ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11