特許第5950385号(P5950385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950385
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】車輌用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20160630BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20160630BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20160630BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20160630BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20160630BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160630BHJP
【FI】
   F21S8/12 140
   F21S8/10 170
   F21V5/04 550
   H01L33/58
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-12925(P2012-12925)
(22)【出願日】2012年1月25日
(65)【公開番号】特開2013-152844(P2013-152844A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀忠
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−062402(JP,U)
【文献】 特開2008−234858(JP,A)
【文献】 特開平03−122902(JP,A)
【文献】 特開2008−171773(JP,A)
【文献】 特開2008−262755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10 − 8/12
F21V 5/00 − 5/04
H01L 33/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源として用いられる半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射される光を投影して照射面から外部へ照射する投影レンズとを備え、
前記投影レンズは前記照射面における少なくとも中心部が第1の制御部として形成され前記照射面における少なくとも外周部のうち少なくとも一部が第2の制御部として形成され、
前記投影レンズの焦点を通る光軸上の発光点から出射された光が前記第2の制御部からは光軸に平行な線分に対して外側に照射され、
前記投影レンズの少なくとも前記第1の制御部が光を拡散する拡散部として形成され、
前記拡散部から照射される光が拡散されて配光パターンの外周部に到達する
ことを特徴とする車輌用前照灯。
【請求項2】
前記投影レンズの少なくとも左右両端部に前記第2の制御部が形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項3】
前記第2の制御部から照射される光の前記線分に対する角度が前記投影レンズの外周に近付くに従って大きくなるようにされた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用前照灯に関する。詳しくは、投影レンズの外周部に光軸と平行よりも外側に光が照射される第2の制御部を形成すると共に少なくとも第2の制御部以外の面に拡散部を形成して色収差の発生等を抑制し良好な配光パターンを形成する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、カバーとランプボデイによって形成された灯具外筐の内部に、光源として半導体発光素子が配置されたものがある(例えば、特許文献1、図3参照)。
【0003】
特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、半導体発光素子から出射された光が投影レンズに入射され、入射された光が投影レンズによって平行光として外部へ照射される。
【0004】
【特許文献1】特開2007−213877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、投影レンズを介して外部へ照射される光は、その成分毎に投影レンズにおける屈折率が異なるため、例えば、屈折率の大きな青色の成分は投影レンズの中心側へ向かい、色収差が発生して配光パターンにおける外周部に青色が生じてしまう。
【0006】
特に、光源として複数の半導体発光素子が左右方向に並んで配置されたアレイを用いたときに、投影レンズの焦点面より後方にアレイを配置して境界部分をぼかし配光パターンにおける光のスジの発生を低減する場合には、発光点が焦点面に存在しないため色収差が発生し易い。
【0007】
そこで、本発明車輌用前照灯は、色収差の発生等を抑制し良好な配光パターンを形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
車輌用前照灯は、上記した課題を解決するために、光源として用いられる半導体発光素子と、前記半導体発光素子から出射される光を投影して照射面から外部へ照射する投影レンズとを備え、前記投影レンズは前記照射面における少なくとも中心部が第1の制御部として形成され前記照射面における少なくとも外周部のうち少なくとも一部が第2の制御部として形成され、前記投影レンズの焦点を通る光軸上の発光点から出射された光が前記第2の制御部からは光軸に平行な線分に対して外側に照射され、前記投影レンズの少なくとも前記第1の制御部が光を拡散する拡散部として形成され、前記拡散部から照射される光が拡散されて配光パターンの外周部に到達するものである。
【0009】
従って、車輌用前照灯にあっては、第2の制御部から光軸に対して平行光でない光が照射されると共に拡散部によって拡散された光が配光パターンにおける外周部に達する。
【発明の効果】
【0010】
本発明車輌用前照灯は、光源として用いられる半導体発光素子と、前記半導体発光素子から出射される光を投影して照射面から外部へ照射する投影レンズとを備え、前記投影レンズは前記照射面における少なくとも中心部が第1の制御部として形成され前記照射面における少なくとも外周部のうち少なくとも一部が第2の制御部として形成され、前記投影レンズの焦点を通る光軸上の発光点から出射された光が前記第2の制御部からは光軸に平行な線分に対して外側に照射され、前記投影レンズの少なくとも前記第1の制御部が光を拡散する拡散部として形成され、前記拡散部から照射される光が拡散されて配光パターンの外周部に到達することを特徴とする。
【0011】
従って、半導体発光素子から出射された光の青色の成分が配光パターンにおける外周部に到達し難くなり色収差が発生し難くなると共に拡散部から照射される光が拡散されて青色の成分に混じり易くなるため、配光パターンにおける青色の発生が抑制され良好な配光パターンを形成することができる。
【0012】
請求項2に記載した発明にあっては、前記投影レンズの少なくとも左右両端部に前記第2の制御部が形成されている。
【0013】
従って、左右方向における色収差の発生を抑制することができ、良好な配光パターンを確実に形成することができる。
【0014】
請求項3に記載した発明にあっては、前記第2の制御部から照射される光の前記線分に対する角度が前記投影レンズの外周に近付くに従って大きくなるようにされている。
【0015】
従って、投影レンズの外周側から照射される光によって発生し易い色収差を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明車輌用前照灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
車輌用前照灯1は、ランプボデイ2とランプボデイ2の前端部に取り付けられたカバー3とによって構成された灯具外筐4の内部が灯室5として形成され、灯室5に第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7が左右に離隔して配置されている(図1及び図2参照)。
【0018】
第1の灯具ユニット6は反射鏡8と反射鏡8に取り付けられた光源9と光源9から出射される光の一部を遮蔽するシェード10とを有し、近距離を照射するロービーム用として設けられている。光源9としては、例えば、放電バルブが用いられている。
【0019】
反射鏡8には外方へ突出された三つの連結部8a、8a、8aが設けられている。
【0020】
第1の灯具ユニット6は反射鏡8の連結部8a、8a、8aにそれぞれ螺合されて連結されたエイミング軸11、11、11を介してランプボデイ2に傾動自在に支持されている。エイミング軸11が回転されると、このエイミング軸11が螺合された以外の連結部8a、8aを支点として第1の灯具ユニット6が左右方向又は上下方向へ傾動され、第1の灯具ユニット6の光軸調整(エイミング調整)が行われる。
【0021】
第2の灯具ユニット7は灯室5に配置されたブラケット12に所要の各部が取り付けられて成り、遠距離を照射するハイビーム用として設けられている。
【0022】
ブラケット12は熱伝導性の高い金属材料によって形成され、上下両端部に被支持部12a、12a、12aが設けられている。ブラケット12の後面には放熱部材(放熱フィン)13が取り付けられている。放熱部材13の後面には放熱用ファン14が取り付けられている。
【0023】
ブラケット12の前面における中央部には発光体15が取り付けられている。発光体15は、図3に示すように、ブラケット12の前面に取り付けられたベース板16とベース板16の前面に左右に離隔して搭載された半導体発光素子17、17、・・・とを有している。半導体発光素子17、17、・・・は光源として機能する。
【0024】
半導体発光素子17は後側に位置する半導体層と半導体層の前面に積層された蛍光体層とを有している。半導体発光素子17、17、・・・のうち左右方向における中央部に位置された半導体発光素子17は中央半導体発光素子17Aとして設けられている。
【0025】
半導体発光素子17、17、・・・としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。
【0026】
半導体発光素子17、17、・・・には図示しない点灯回路から各別に駆動電流が供給され、駆動電流が供給された半導体発光素子17、17、・・・は点灯され、駆動電流が供給されなかった半導体発光素子17、17、・・・は消灯された状態が維持される。
【0027】
また、半導体発光素子17、17、・・・に対しては、点灯回路から供給される駆動電流の電流値を変更する制御を各別に行うことが可能とされている。
【0028】
ブラケット12の前面にはレンズホルダー18が取り付けられている(図1参照)。レンズホルダー18は前後方向に貫通された略円筒状に形成され、発光体15を覆うようにしてブラケット12に取り付けられている。
【0029】
レンズホルダー18の前端部には投影レンズ19が取り付けられている。投影レンズ19は前方に凸の略半球状に形成され、焦点Fを通る焦点面Sを有し、半導体発光素子17、17、・・・から出射された光を前方へ投影する。
【0030】
発光体15は焦点面Sの後方に位置され、焦点Fの真後ろに中央半導体発光素子17Aが位置されている。
【0031】
第2の灯具ユニット7はブラケット12の被支持部12a、12a、12aにそれぞれ螺合されて連結されたエイミングスクリュー20、20、20を介してランプボデイ2に傾動自在に支持されている。エイミングスクリュー20が回転されると、このエイミングスクリュー20が螺合された以外の被支持部12a、12aを支点として第2の灯具ユニット7が左右方向又は上下方向へ傾動され、第2の灯具ユニット7の光軸調整(エイミング調整)が行われる。
【0032】
尚、車輌用前照灯1にあっては、図示しないレベリングアクチュエーターを設け、レベリングアクチュエーターの駆動により第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7がそれぞれ上下方向へ傾動されて車載物の重量に応じて光軸の向きを調整するレベリング調整が行われるようにしてもよい。
【0033】
以下に、上記した投影レンズ19の具体的な構成について説明する(図4及び図5参照)。図4及び図5は、投影レンズ19の形状及び投影レンズ19を透過される光を水平断面において模式的に示す図である。
【0034】
投影レンズ19は、上記したように、前方に凸の略半球状に形成され、前方側の凸面である照射面21と後方を向く平面状の入射面22とを有している。
【0035】
照射面21は中心側の部分が第1の制御部21aとして形成され第1の制御部21a以外の部分のうち下端部を除く部分が第2の制御部21bとして形成されている。第2の制御部21bの曲率は第1の制御部21aの曲率より小さくされている。
【0036】
尚、投影レンズ19は照射面21における少なくとも中心部が第1の制御部21aとして形成され照射面21における少なくとも外周部のうち少なくとも一部が第2の制御部21bとして形成されていればよい。
【0037】
照射面21には光を拡散する拡散形状を有する拡散部23が形成され、拡散部23の拡散形状としては、例えば、波型形状やシボ形状が用いられている。拡散部23は照射面21の外周部を除く部分に形成されている。即ち、第1の制御部21aは全体が拡散部23としても形成され、第2の制御部21bは外周部を除く部分が拡散部23としても形成されている。
【0038】
尚、投影レンズ19は少なくとも第1の制御部21aが拡散部として形成されていればよい。
【0039】
次に、投影レンズ19の第1の制御部21a、第2の制御部21b及び拡散部23の形成範囲の具体例を示した上で、第1の制御部21aと第2の制御部21bの光に対する作用を主に図4を参照して説明し、投影レンズ19の拡散部23の光に対する作用を主に図5を参照して説明する。
【0040】
尚、図4に示す矢印は、第1の制御部21aと第2の制御部21bによる光の制御状態(光路)を示しており、図5に示す矢印は、拡散部23による光の制御状態(光路)を示している。但し、図4図5は説明の理解のために制御状態を便宜上分けて記載した図であり、投影レンズ19においては照射面21から光が照射されるときに第1の制御部21aと第2の制御部21bと拡散部23による制御が同時に行われる。また、図4及び図5に示す点線Lは投影レンズ19に拡散部23が形成されていないとした場合の仮想線である。
【0041】
投影レンズ19にあっては、図4に示すように、焦点Fを通る光軸(中心軸)P上に存在する発光体15の発光点V(中央半導体発光素子17A)から出射された光の光軸Pを基準にした角度が、例えば、20°以下の範囲(θ1、θ1)に相当する照射面21の部分が第1の制御部21aとして形成されている。
【0042】
また、投影レンズ19にあっては、発光体15の発光点Vから出射された光の光軸Pを基準にした角度が、例えば、20°より大きく36°以下の範囲(θ2、θ2)に相当する照射面21の部分が第2の制御部21bとして形成されている。第2の制御部21bからは光軸Pに平行な線分Q、Q、・・・に対して外側に角度α、α、・・・傾斜した方向へ光が照射される。
【0043】
第2の制御部21bにおいては、照射される光の線分Qに対する角度α、α、・・・が内周から外周へ近付くに従って大きくなるようにされ、角度αの最大値が、例えば、1.6°にされている。
【0044】
投影レンズ19にあっては、図5に示すように、照射面21の外周部を除く部分が拡散部23として形成されている。拡散部23は照射面21の外周に近付くに従って徐々に拡散形状が消失するように形成されている。従って、拡散部23から照射される光の拡散角度β、β、・・・は、照射面21の外周に近付くに従って徐々に小さくなるようにされている。
【0045】
尚、投影レンズ19にあっては、拡散部23は発光体15の発光点Vから出射された光の光軸Pを基準にした角度が、例えば、25°以下の範囲(θ3、θ3)に相当する部分が略均一な拡散形状に形成されていてもよい。この場合には、拡散部23におけるθ3、θ3の範囲から照射される光の拡散角度は略均一にされる。
【0046】
投影レンズ19にあっては、上記したように、照射面21において第1の制御部21a以外のうち下端部を除く部分が第2の制御部21bとして形成されており、第1の制御部21a以外の部分のうち下端部は第1の制御部21aより曲率の大きな上向き照射部として形成されている。
【0047】
上向き照射部からは光が線分Qに対して内側(上側)に傾斜した方向へ照射される。このように上向き照射部を形成して上側への光を照射することにより、ハイビームの配光パターンを容易に形成することが可能になる。
【0048】
上記のように構成された発光体15の各半導体発光素子17、17、・・・から光が出射されると、出射された光は投影レンズ19に入射面22から入射され、投影レンズ19の照射面21から外部へ照射されて投影され、ハイビーム用の配光パターンTHが形成される(図6参照)。また、第1の灯具ユニット6の光源9から光が出射されると、ロービーム用の配光パターンTLが形成される。
【0049】
ハイビーム用の配光パターンTHは各半導体発光素子17、17、・・・から出射された光の分布T1、T2、・・・が合成されて形成され、光の分布T1、T2、・・・は左右方向において重なり合っている。
【0050】
光の分布T1、T2、・・・にあっては、左右方向における中央部において左右の幅が最も小さく、左右方向における外側へ行くに従って左右の幅が順次大きくされている。また、光の分布T1、T2、・・・にあっては、左右方向における中央部において上下の幅が最も大きく、左右方向における外側へ行くに従って上下の幅が順次小さくされている。
【0051】
投影レンズ19においては、上記したように、第1の制御部21aからは拡散部23によって拡散された光が照射され、光軸Pに平行な平行光が照射され、第2の制御部21bからは光軸Pに平行な線分Qに対して外側に傾斜された光が照射される。このとき光の成分によって投影レンズ19における屈折率が異なり、色分散により、例えば、青色の成分は赤色の成分よりも内側に向く方向へ照射されるが、第2の制御部21bにおいては線分Qに対して外側に光が照射されるように制御されているため、青色の成分も内側への傾斜角度が小さくなる。
【0052】
従って、投影レンズ19から照射される光が配光パターンTHとして投影された状態において、青色の成分が配光パターンTHにおける外周部に到達し難くなり、色収差が発生し難い。
【0053】
また、投影レンズ19の拡散部23から照射される光(白色光)が拡散されて配光パターンTHの外周側に到達する青色の成分に混じり易くなるため、配光パターンTHにおける青色の発生が抑制される。
【0054】
次に、発光体の第1の変形例及び第2の変形例について説明する(図7及び図8参照)。
【0055】
第1の変形例に係る発光体15Aは、上記した発光体15と比較して、反射部材が設けられていることのみが相違する。従って、発光体15Aについては、発光体15と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については発光体15における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0056】
第1の変形例に係る発光体15Aは、図7に示すように、ブラケット12の前面に取り付けられたベース板16とベース板16の前面に左右に離隔して搭載された半導体発光素子17、17、・・・とを有している。
【0057】
ブラケット12の前面には反射部材24が取り付けられている。反射部材24は半導体発光素子17、17、・・・の前面側に位置された前後方向を向く板状のリフレクター形成部25とリフレクター形成部25の外周部から後方へ突出された被取付部26とから成り、被取付部26がブラケット12に取り付けられている。
【0058】
リフレクター形成部25には左右に並ぶ複数のリフレクター27、27、・・・が形成され、リフレクター27、27、・・・がそれぞれ半導体発光素子17、17、・・・に応じて位置されている。
【0059】
このように発光体15Aにあっては、リフレクター27、27、・・・を有しているため、半導体発光素子17、17、・・・から出射される光を所望の方向に反射して光の進行方向を制御することができ、所望の配光パターンを形成することができる。
【0060】
第2の変形例に係る発光体15Bは、上記した発光体15と比較して、ベース板の形状が異なることのみが相違する。従って、発光体15Bについては、発光体15と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については発光体15における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0061】
第2の変形例に係る発光体15Bは、図8に示すように、ブラケット12の前面に取り付けられたベース板16Bとベース板16Bの前面に左右に離隔して搭載された半導体発光素子17、17、・・・とを有している。
【0062】
ベース板16Bは左右方向における中央部が最も前側に位置し左右両端部が最も後側に位置する階段状に形成されている。ベース板16Bの各段差16a、16a、・・・間に位置された前方を向く面はそれぞれ配置面16b、16b、・・・として形成されている。
【0063】
半導体発光素子17、17、・・・はそれぞれ配置面16b、16b、・・・に左右に離隔して一つ又は複数が配置されている。
【0064】
尚、ベース板16Bの段数は複数であればよく、図8に示すように、3段にされていてもよく、また、2段や4段以上にされていてもよい。
【0065】
上記のように発光体15Bにあっては、ベース板16Bの左右方向における中央部が最も前側に位置する階段状に形成されているため、左右方向における両端側に位置する半導体発光素子17、17、・・・と投影レンズ19の焦点面Sとの距離が大きくなる。
【0066】
従って、配光パターンTHの左右の両端側の部分を形成する光の分布の左右方向における幅が大きくなり、光の分布の重なりが大きくなるため、配光パターンTHにおいて各半導体発光素子17、17、・・・から出射された光の分布間である境界部分の照度が低くなって生じ得る光のスジの発生を抑制することができる。
【0067】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1にあっては、投影レンズ19の焦点Fを通る光軸P上の発光点Vから出射された光が、第1の制御部21aからは光軸Pに平行な平行光として照射されると共に第2の制御部21bからは光軸Pに平行な線分Qに対して外側に照射され、投影レンズ19に拡散部23が形成されている。
【0068】
従って、半導体発光素子17、17、・・・から出射された光の青色の成分が配光パターンTHにおける外周部に到達し難くなり色収差が発生し難くなると共に拡散部23から照射される光が拡散されて青色の成分に混じり易くなるため、配光パターンTHにおける青色の発生が抑制され良好な配光パターンTHを形成することができる。
【0069】
また、投影レンズ19の少なくとも左右両端部に第2の制御部21bが形成されているため、左右方向における色収差の発生を抑制することができ、良好な配光パターンTHを確実に形成することができる。
【0070】
さらに、第2の制御部21bから照射される光の線分Qに対する角度が投影レンズ19の外周に近付くに従って大きくなるようにされているため、特に、投影レンズ19の外周側から照射される光によって発生し易い色収差を効果的に抑制することができる。
【0071】
尚、上記には、光源として複数の半導体発光素子17、17、・・・が並んで配置されたアレイを用いた例を示したが、光源として複数の半導体発光素子17、17、・・・を必要とすることはなく、一つの半導体発光素子17が光源として用いられていてもよい。
【0072】
また、上記には、発光体15が焦点面Sの後方に位置された例を示したが、少なくとも一つの半導体発光素子17が焦点F上に位置されていてもよい。
【0073】
上記した最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1図2乃至図8と共に本発明車輌用前照灯の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の概略水平断面図である。
図2】車輌用前照灯の概略正面図である。
図3】発光体の拡大断面図である。
図4図5と共に投影レンズの形状及び投影レンズを透過される光を水平断面において示すものであり、本図は、第1の制御部と第2の制御部の光に対する作用を説明するための模式図である。
図5】拡散部の光に対する作用を説明するための模式図である。
図6】配光パターンを示す模式図である。
図7】第1の変形例に係る発光体の拡大断面図である。
図8】第2の変形例に係る発光体の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1…車輌用前照灯、17…半導体発光素子、19…投影レンズ、21…照射面、21a…第1の制御部、21b…第2の制御部、23…拡散部、F…焦点、P…光軸、Q…光軸に平行な線分、V…発光点、TH…配光パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8