(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検知部は前記チェッカーが前記検知位置にあるときには、前記コネクタ本体に係止して、前記チェッカーを前記検知位置に保持することを特徴とする請求項2に記載の配管用コネクタ。
前記チェッカーは、前記仮保持位置にあるときに、前記コネクタ本体から径方向外方へ突出するとともに、前記チェッカーが前記仮保持位置と前記検知位置との間で変位する方向は、前記コネクタ本体の軸方向と交差する方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管用コネクタ。
前記カバー部には、前記チェッカーが検知位置にあるときに前記解除操作部の前縁部を前方から覆う覆い壁が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管用コネクタ。
前記コネクタ本体の側面には、前記チェッカーの移動方向に沿う方向の途中に頂点部を有する抵抗付与面が形成され、前記チェッカーの検知部は、前記チェッカーが前記仮保持位置から前記検知位置へ移動する間に前記抵抗付与面と摺接するようになっており、
前記抵抗付与面は、前記検知部が前記抵抗付与面の頂点部に至るまでの間は前記脚部の開脚角度を増大させて前記チェッカーに対する押し込み抵抗を増大させ、前記頂点部を通過して前記検知部に至るまでの間は前記脚部が弾性復帰することで前記押し込み抵抗を減じるようになっていることを特徴とする請求項2又は8に記載の配管用コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0012】
(1)本発明の配管用コネクタは、コネクタ本体の両側面には前記差し込み孔へ連通する一対の開口領域が形成される一方、前記チェッカーには、前記カバー部の両側縁から前記コネクタ本体を跨ぐように形成されて開脚方向への撓み可能な一対の脚部が設けられるとともに、前記両脚部の先端には検知部が内向きに屈曲して形成され、この検知部は、前記チェッカーが前記仮保持位置にあるときには前記開口領域から前記差し込み孔内へ突出し、前記開口領域の開口縁に係止することで前記チェッカーを前記仮保持位置から前記検知位置へ移動不能にし、前記配管が前記差し込み孔内へ正規深さまで挿入されたときには前記フランジと摺接して前記脚部を開脚変形させつつ前記開口領域から外方へ退避して前記開口領域の開口縁との係止を解除することによって、前記チェッカーを前記仮保持位置から前記検知位置への移動を可能にする構成としてもよい。
この構成によれば、配管が差し込み孔内に正規深さまで挿入されていない状態では、検知部が開口領域の開口縁に係止しているため、チェッカーを検知位置へ移動させることができない。しかし、配管が差し込み孔内へ正規深さまで挿入されると、フランジが検知部に摺接し、これに伴って脚部が開脚変形して検知部が開口領域からコネクタ本体の外方へ退避する。このことにより、検知部は開口領域の開口縁との係止が解除されるため、チェッカーを検知位置へ移動させることができ、これをもって作業者は配管が正規深さまで挿入されていることを知ることができる。
【0013】
(2)前記検知部は前記チェッカーが前記検知位置にあるときには、前記コネクタ本体に係止して、前記チェッカーを前記検知位置に保持するようにしてもよい。
この構成によれば、検知部がコネクタ本体に係止することで、チェッカーが検知位置に保持されるため、解除操作部がカバー部によって覆われた状態に保持される。
【0014】
(3)前記コネクタ本体には前記差し込み孔へ連通し前記係止脚が差し込み可能なリテーナ挿通孔が開口し、前記両係止脚の端部同士は前記解除操作部によって連結され、前記リテーナは解除操作部への押圧操作によって押し下げ方向への変位が可能であり、前記コネクタ本体には前記リテーナの押し下げ操作に伴って前記両係止脚の先端と摺接し前記両係止脚を開脚変形させて前記フランジに対する係止状態を解除する傾斜面が形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、チェッカーを検知位置から仮保持位置へ移動させた後に、リテーナの解除操作部を押圧操作すると、両係止脚がコネクタ本体の傾斜面に摺接して開脚変形する。これによって、係止脚は配管のフランジに対する係止が解除されるため、配管をコネクタ本体から抜き取ることができる。したがって、リテーナをコネクタ本体から抜き取ることなく、配管の抜き取りが可能になるため、配管の抜き取り作業性に優れる。
【0015】
(4)前記チェッカーは、前記仮保持位置にあるときに、前記コネクタ本体から径方向外方へ突出するとともに、前記チェッカーが前記仮保持位置と前記検知位置との間で変位する方向は、前記コネクタ本体の軸方向と交差する方向である構成としてもよい。
この構成によれば、チェッカーを仮保持位置から検知位置への一方向への移動操作によって解除操作部を覆うことができる。また、チェッカーが仮保持位置にあるときにコネクタ本体から径方向外方へ突出した状態にあるため、チェッカーの検知位置への操作忘れを目視にて容易に確認することができる。
【0016】
(5)前記カバー部には、前記チェッカーが検知位置にあるときに前記解除操作部の前縁部を前方から覆う覆い壁が形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、チェッカーが検知位置にあるときに覆い壁によってリテーナの解除操作部の前縁部が前方から覆われるため、斜め方向からの視線によっても解除操作部を見ることができない。したがって、配管の正規挿入の検知機能の精度を高めることができるとともに、リテーナの解除操作部が前方から不用意に解除されてしまう事態を回避することができる。
【0017】
(6)前記コネクタ本体には前記解除操作部の後縁部を後方から覆う高さを有する鍔部が張り出し形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、鍔部によってリテーナの解除操作部の後縁部が後方から覆われるため、リテーナの解除操作部が後方から不用意に解除されてしまう事態を回避することができる。
【0018】
(7)前記チェッカーの前記脚部は、前記配管の挿入方向に関する前後方向に前脚と後脚とに分岐して形成され、前記前脚の先端部には前記検知部が形成され、かつ前記後脚の先端部には前記開口領域を通して前記差し込み孔内に突出する当接部が内向きに屈曲して形成されるとともに、前記当接部は、前記チェッカーが前記仮保持位置にあるときに前記リテーナの前記係止脚の外側面に当接することで、前記後脚が前記係止脚の開脚動作に連動して撓み可能となっている構成としてもよい。
この構成によれば、配管の差し込みによりフランジがリテーナの係止脚を撓み変形させると、当接部と係止脚との当接によって、チェッカーの後脚が連動して撓み変形する。この時には係止脚の弾性反力に加えて後脚の弾性反力も加わるため、その分、挿入抵抗が高められている。逆に、フランジが係止脚を通過した直後には係止脚及び後脚が共に弾性復帰して、挿入抵抗が一気に低下するため、このときの慣性によって配管を確実に正規挿入位置に導くことができる。また、この間の挿入抵抗の落差によって正規挿入の際の節度感を付与することができる。
【0019】
(8)前記コネクタ本体の側面には、前記チェッカーの移動方向に沿う方向の途中に頂点部を有する抵抗付与面が形成され、前記チェッカーの検知部は、前記チェッカーが前記仮保持位置から前記検知位置へ移動する間に前記抵抗付与面と摺接するようになっており、前記抵抗付与面は、前記検知部が前記抵抗付与面の頂点部に至るまでの間は前記脚部の開脚角度を増大させて前記チェッカーに対する押し込み抵抗を増大させ、前記頂点部を通過して前記検知部に至るまでの間は前記脚部が弾性復帰することで前記押し込み抵抗を減じるようになっている構成としてもよい。
この構成によれば、チェッカーが検知位置へ移動する途上において、検知部が抵抗付与面の頂点部に至るまでの間は、抵抗付与面によって押し込み操作の際の抵抗が増大する。しかし、抵抗付与面の頂点部を通過し検知位置へ至るまでの間は、脚部が弾性復帰し押込み抵抗が減少する。この押込み抵抗の落差をもってチェッカーが検知位置へ至ったことの節度感とすることができる。
【0020】
(9)前記解除操作部と前記カバー部とは異なる色が付されている構成としてもよい。
この構成によれば、チェッカーが検知位置に至ると、解除操作部の色がチェッカーのカバー部によって隠されるため、チェッカーが検知位置に至ったことを視覚的に把握することができる。
【0021】
(10)前記チェッカーには、同チェッカーが前記検知位置にあるときに前記係止脚に対し前記配管の差し込み方向後方に位置して前記係止脚が後方へ撓み変位するのを規制する押さえ片が形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、チェッカーが検知位置にあるときに押さえ片が係止脚の後方への撓みを規制するために、配管の抜け防止機能を一層高めることができる。また、このような機能をチェッカーに設けることで、チェッカーが多機能化され、部品点数が増加することを回避することができる。
【0022】
<実施例1>
以下、本発明の配管用コネクタを具体化した実施例1及び2について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1〜
図35は本発明の実施例1を示している。以下の説明における前後方向の称呼は、
図1を基準とし左方向が「前」、右方向が「後」とする。また、左右方向の称呼は
図2を基準とし、上下方向の称呼は
図1および
図2を基準とする。
【0024】
さて、本実施例のコネクタは、コネクタ本体1、リテーナ2およびチェッカー3とから構成され、いずれも合成樹脂材によって一体に形成されている。本実施例においては、それぞれは異なる色が付してあり、例えばコネクタ本体1は黒色、リテーナ2は白色、チェッカー3は赤色である。
【0025】
(コネクタ本体1:主として
図3〜
図9参照)
コネクタ本体1は中空状に形成され、両端部において二つの配管(図面では片側のパイプPのみ示してある。)を接続するようにしている。その一端側はほぼ直角に屈曲して接続筒部4を構成している。接続筒部4は図示しない一方の配管の端部の内側へ差し込み可能であり、その外周面には図示しない配管への引っ掛かりを強化するための凹凸5が軸方向に沿って複数条形成されている。
【0026】
コネクタ本体1の他端側には他の配管(パイプP)を内側へ差し込み可能とする差し込み孔6が軸方向に沿って形成されている。
図17等に示すように、差し込み孔6内の奥部には2つのOリング7が配置され、その間にはスペーサ8が介在されている。これらOリング7およびスペーサ8は差し込み孔6内に装着された筒状の抜け止め部材9によって抜け止めがされている。
【0027】
他の配管であるパイプPは端部寄りの外周面にフランジ10を有している。
図23等に示すように、パイプPは、先端部が差し込み孔6を経て抜け止め部材9、Oリング7を貫通する位置まで差し込み可能である。パイプPは、フランジ10が抜け止め部材の後端に当接することによって、これ以上の差し込みが規制されるようになっている。
【0028】
図3,4に示すように、コネクタ本体1の外周面における後端には第1鍔部11が張り出し形成されている。
図5に示すように、第1鍔部11はコネクタ本体1の後面視において上縁部の左右両端が斜めに切り取られた形状をなしており、コネクタ本体1の外周面に対しては、下縁部を除き両側縁部および上縁部のそれぞれが外方へ張り出すように形成されている。第1鍔部11の
前面側であって、上縁の中央部には前方へ向けて姿勢保持片12が水平に突出している(
図3,4参照)。この姿勢保持片12はチェッカー3が後述する仮保持位置と検知位置との間を移動する際の姿勢保持を行う。
【0029】
コネクタ本体1の外周面であって、第1鍔部11から軸方向前方へ所定距離だけ離れた位置には第2鍔部13が張り出し形成され、第1鍔部11と平行に並んでいる。第2鍔部13は、第1鍔部11に比べて薄肉に形成され外周縁が方形をなすとともに、コネクタ本体1の外周面から左右方向へ張り出すように形成されている。第2鍔部13が左右方向へ張り出す長さは第1鍔部11とほぼ同じである。両鍔部11,13がコネクタ本体1から左右方向へ張り出すことで、両鍔部11,13間には後述するチェッカー3の移動動作を案内するガイド溝14が形成される。
【0030】
第1、第2の鍔部11,13の間であって、コネクタ本体1の上面にはリテーナ2を組み付けるためのリテーナ挿通孔15が開口して差し込み孔6へと通じている。リテーナ挿通孔15は
図4に示すように、中央に形成された仕切り片16によって左右に仕切られた状態で開口している。仕切り片16の左右方向に関する幅は姿勢保持片12の幅とほぼ同寸法に形成されている。両リテーナ挿通孔15の孔壁のうち前面側に位置する壁面には、仕切り片16を挟んで一対の係止凹部17が凹み形成されている(
図5〜9参照)。両係止凹部17は後述するリテーナ2の位置決め突起18が嵌め込まれることによって、リテーナ2をコネクタ本体1に対して取り付け状態に保持する役割を果たす。
【0031】
図3に示すように、コネクタ本体1の左右両側面であってガイド溝14の内側領域には、一対の窓孔Wが開口している。両窓孔Wは相互に連通する第1乃至第3の開口領域19〜21よりなっている。各開口領域19〜21の上縁の高さ位置は揃えられ、チェッカー3に対する抜き取り規制縁22となっている。
【0032】
第1の開口領域19の下縁は最も高い位置にあり、チェッカー3が仮保持位置から下方へ移動してしまうのを規制する落ち込み規制縁23となっている。この落ち込み規制縁23は尖って形成され、これより下側のコネクタ本体1の外面は、
図6等に示すように、断面弧状に形成されて抵抗付与面24が形成されている。この抵抗付与面24は上下方向(チェッカー3の移動方向)の中間部に頂点部(最も外方へ膨れ出す部位)を有するように円弧状に湾曲している。この抵抗付与面24はチェッカー3を仮保持位置から検知位置へ押し込み操作する際に所要の抵抗を付与し、かつその間の開脚動作を円滑に行わせる役割を果たす。
【0033】
第2の開口領域20は3つの開口領域のうち、最も広い角度範囲に亘って形成されている(
図9参照)。第2の開口領域20における開口縁のうち下縁部はほぼ鉛直に切り立って形成されている。第2の開口領域20と第3の開口領域21とで形成される開口領域は、リテーナ2の係止脚26がコネクタ本体1に対し出入りできる大きさをもって形成されている。
【0034】
図8等に示すように、第3の開口領域21の開口縁のうち下縁部は薄肉のチェッカー用係止受け面27が形成されている。このチェッカー用係止受け面27はチェッカー3が検知位置に至ったときに、チェッカー3の後脚38が弾性復帰して同面に当接する。チェッカー用係止受け面27の上縁は内側に向かって徐々に上り勾配となる傾斜面27Aが連続し、さらにその上縁はリテーナ用係止受け面29が切り立つようにして形成されている。このリテーナ用係止受け面29は、リテーナ2の両係止脚26が開脚状態から弾性復帰したときに、両係止脚26の下端部の内面側に当接する。
【0035】
(リテーナ2:主として
図10〜
図13参照)
リテーナ2は、その上部に解除操作部28を有している。解除操作部28はチェッカー3が仮保持位置にあるときに、リテーナ2によるパイプPの抜け止め状態を解除するためのものである。この解除操作部28はコネクタ本体1の第1、第2の両鍔部11,13の間の前後幅よりも狭い前後幅をもって形成され、かつコネクタ本体1の外周面形状にほぼ適合した円弧形状に形成されている。リテーナ2がコネクタ本体1に対して装着された状態では、
図18等に示すように、解除操作部28の頂部の下面と仕切り片16との間は離間しており、このことによって解除操作部28の頂部は押圧操作によって上下方向に撓み可能である。そして、解除操作部28の撓み変形に伴い、後述する係止脚26が開脚方向へ弾性変形し、もってパイプPの抜き取りが可能となる。本実施例の場合、リテーナ2によるパイプに対する抜け防止の解除は、上記した解除操作部28への押圧操作による場合と、解除操作部28に対し解除治具による持ち上げ操作による場合との二つの方法で可能となっている。後者の場合について説明すると、
図17等に示すように、解除操作部28は第2鍔部13の上縁から僅かに突出するようにしてある。チェッカー3を取り外した状態(あるいは仮保持位置にある状態)で、図示しない解除治具を解除操作部28の頂部の下面側へ突っ込んで持ち上げ操作することにより、リテーナ2をコネクタ本体1から抜き取り可能である。
【0036】
図13、
図18等に示すように、解除操作部28は、その左右方向の両端が両リテーナ挿通孔15の開口縁の外側の端部に係止できる長さ寸法をもって形成されている。解除操作部28における上面の後部側でかつ左右方向の中央部には逃がし凹部30が切欠き形成され、リテーナ2をコネクタ本体1に対して径方向から装着するときに姿勢保持片12との干渉を避けるようにしてある。
【0037】
解除操作部28の下面側であって後部寄りには一対の係止脚26が下向きに形成されている。両係止脚26はリテーナ挿通孔15を通してコネクタ本体1内へ挿通可能に形成され、かつ開脚方向への撓み変形が可能である。両係止脚26はリテーナ2がコネクタ本体1に装着された状態では、
図18等に示すように、差し込み孔6内に突出し、つまりパイプPの進入経路内に突出した状態で待機している。また、両係止脚26の前面側には、パイプPのフランジ10の基部に形成されたR部との干渉回避のために浅い除肉部31が形成されている。
【0038】
図10,12に示すように、両係止脚26の付け根には一対のずれ止め突起32が左右方向に向き合って突出している。
図18等に示すように、両ずれ止め突起32はリテーナ2をコネクタ本体1に装着したときに仕切り片16を左右から挟むようにしてあり、これによってリテーナ2の上部が左右方向へ傾斜姿勢とならないよう規制している。両係止脚26の前面側であって、ずれ止め突起32よりやや下方の高さ位置には一対の位置決め突起18(本願発明の係止部に相当する)が
前方へ向けて突出している。前記したように、これらはコネクタ本体1の係止凹部17にそれぞれ嵌り込んでリテーナ2の抜けや位置ずれを規制する。但し、係止凹部17は左右方向へ長い長孔状に形成されていて、係止脚26の開脚・閉脚の動作を阻害しないよう、この動作時に位置決め突起18が内部で遊動できるようになっている。
【0039】
両係止脚26における後面側の下端部は突出部33となって後方および左右方向外方へそれぞれ張り出すようにして形成されている。突出部33が係止脚26から張り出した部分の上面には係止段部33Aが形成され、チェッカー3が仮保持位置にあるときに、チェッカー3の後脚38側と係止可能となって、チェッカー3が不用意に検知位置へ落ち込まないよう、後脚38側における規制を行っている。
【0040】
係止脚26の後面で突出部33に至る領域は、ガイド弧面41が深く抉って形成され、パイプPが挿入されるときの係止脚26の開脚動作を円滑に行うことができるような曲面形状をもって形成されている。
図17等に示すように、リテーナ2がコネクタ本体1内に装着された状態では、両係止脚26の主部は第2の開口領域20に、突出部33は第3の開口領域21にそれぞれ対向するようになっていて、係止脚26の開脚動作がなされるときには対応する開口領域から外方へ突出することができる。そして、パイプPが差し込み孔6へ正規位置まで挿入された状態では、両係止脚26および突出部33はパイプPの外周面を左右方向から挟み付けつつフランジ10の後面側に位置するとともに、後面視においてフランジ10の一部と重複した位置関係となっている。これによって、パイプPの抜け止めが達成される。
【0041】
(チェッカー3:主として
図14〜
図16参照)
チェッカー3はコネクタ本体1に対し装着高さの異なる二位置で保持され、この二位置の間を変位することができるようになっている。一つの位置は、コネクタ本体1から上方へ突出した状態で保持される仮保持位置(
図1,
図17等参照)であり、他の一つはコネクタ本体1に接近した状態で保持される検知位置(
図29,
図33等参照)である。
【0042】
チェッカー3は上部にカバー部34を有している。カバー部34は平板状に形成され、チェッカー3が検知位置にあるときには、リテーナ2の解除操作部28を覆って平面視で解除操作部28の全体を外部に露出させない大きさに形成されている。カバー部34の左右方向に関する中央部は前後方向に沿って上方へ膨出して膨出部35が形成されている。膨出部35の下面側は逆に凹むことになり、チェッカー3が検知位置にあるときに、リテーナ2の解除操作部28と干渉しないようにしている。カバー部34の後端部で左右方向の中央部には切欠き部36が形成されており、チェッカー3が検知位置にあるときに第1鍔部11の姿勢保持片12と嵌り合って干渉を回避する。
【0043】
カバー部34の左右両側縁には、左右一対の脚部Lが垂下して形成されており、開脚方向への撓み変形が可能である。両脚部Lは共に前後二股に分岐し、それぞれ前脚37と後脚38となっている。両脚部Lはカバー部34に対し後方へ偏った位置に配されることで、カバー部34は脚部Lから前方に張り出した部分を有している。この張り出した部分は、カバー部34の上面を拡張してチェッカー3の押し込み操作を容易にするとともに、チェッカー3が検知位置にあるときにリテーナ2の解除操作部28をより確実に覆うことができるようにする役割を果たす。
【0044】
張り出し部分の下面における左右方向の中央部であって、前縁からやや後方へ離れた位置には覆い壁42が下向きに形成されている。
図29に示すように、覆い壁42はチェッカー3が検知位置にあるときに、第2鍔部13の上方において僅かな間隔をおいて対向することで、斜め前方からの視線を遮ってリテーナ2の解除操作部28を見えないようにしている。
【0045】
なお、カバー部34の膨出部35の前端側の開口43は、
図33に示すように、チェッカー3が検知位置にあるときに、第1鍔部11より上方に全体が露出するようにしてあり、ここへ図示しない解除治具を差し込んで持ち上げ操作を可能にしている。
【0046】
チェッカー3の脚部Lはカバー部34の左右両側縁からほぼ直角に屈曲して下方へ延出している。脚部Lはコネクタ本体1のガイド溝14の溝幅よりやや細めの前後幅をもって形成されている。脚部Lは前後方向の中央部において下端からほぼ半分の高さ位置までスリット40が切り込まれることで、前後に二股に分岐して形成されている。
【0047】
図1に示すように、前側に位置する前脚37は側面視においてリテーナ2の係止脚26より前方に位置し、かつコネクタ本体1の第1の開口領域19の左右方向外方に位置し、同開口領域とほぼ同じ前後幅をもって形成されている。前脚37の下端は内方へほぼ直角に屈曲して検知部39が形成されている。検知部39の先端部は第1開口領域19を通してコネクタ本体1の内部へ進入している。
【0048】
検知部39の先端部の後面側にはテーパ状の開脚案内面39Aがそれぞれ形成されていて、パイプPのフランジ10と当接することによって、前脚37の開脚動作を案内可能である。また、検知部39の先端部は上下両方向に突出しており、チェッカー3が仮保持位置にあるときには、上側の突部は前側の抜き取り規制縁22より内側に入り込んで同縁に緩く係止することによって、左右方向外方へ不用意に抜け出ないようになっている。チェッカー3が仮保持位置にあり、かつパイプPがコネクタ本体1に対して正規位置まで挿入されていない状態では、下側の突部も落ち込み規制縁23より内側に入り込んでいるが、同規制縁23よりもわずかに上方に位置している。チェッカー3が仮保持位置にあるときに、パイプPがコネクタ本体1に対して正規位置まで挿入された状態では、検知部39の先端面がフランジ10の周面に当接して左右方向へ押し出される。このときには、検知部39の下側の突部は落ち込み規制縁23より外方に位置する設定としてある。
【0049】
図28に示すように、チェッカー3が仮保持位置を脱して検知位置へ至る過程では、開脚変形をしつつ検知部39が抵抗付与面24上を摺接し、
図31に示すように、チェッカー3が検知位置に至ったときには、自然状態へと復帰して検知部39がコネクタ本体1の下面に係止する。これによって、チェッカー3全体がコネクタ本体1に対して上方への抜き取りが不能になる。
【0050】
一方、後脚38は前脚37よりも前後幅が狭く形成されており、このため、後脚38は前脚37に比較して撓み剛性が低い。したがって、側面視でパイプPのフランジ10が後脚38に達して後脚38が開脚させられた状態での撓み支点の高さは、パイプPのフランジ10が前脚37に達して前脚37が開脚させられた状態での撓み支点の高さより低くなる。つまり、後脚38が開脚変形する場合、その撓み支点はほぼスリット40の付け根の高さ位置にあるため、後脚38は独立して開脚変形するだけでその撓みの影響は殆ど前脚37に及ばない(
図21、
図22参照)。しかし、パイプPのフランジ10によって前脚37が開脚変形させられる場合、その撓み支点はスリット40の上端よりも上部で前後の脚を連結している領域の上部に位置するため、前脚37が開脚変形したことの影響は後脚38に及び、前脚37の開脚動作に連動して後脚38も開脚する(
図27、
図28参照)。
【0051】
後脚38は、側面視においてリテーナ2の係止脚26の後部側の一部と重複する位置関係にある。すなわち、後脚38は第2の開口領域20の後部側から第3の開口領域21のほぼ全幅に亘る前後幅をもって形成されている。後脚38の先端は内方へほぼ直角に屈曲して当接部44が形成されている。この当接部44はチェッカー3が仮保持位置にあるときに、リテーナ2の係止脚26の側面に当接するよう延び、
図21に示すように、係止脚26の開脚動作時には後脚38が連動して開脚するようにしている。このことによって、パイプPのフランジ10の通過時には、係止脚26を開脚させるのに必要な操作力に、後脚38を開脚させるに必要な操作力が加わるため、パイプPの通過抵抗が増強される。しかし、フランジ10が通過した直後はその通過抵抗から一気に解放されるため、作業者はこのときの通過抵抗の急激な低下によってパイプ挿入作業完了の節度感を得る。
【0052】
パイプPの正規挿入後、チェッカー3が仮保持位置から検知位置へ移動する間は、前脚37の開脚動作に伴って(
図28状態)、後脚38も連動して開脚し、当接部44とリテーナ2の係止段部33Aとの係止が解除されるようになっている。チェッカー3が検知位置に至ったときは、
図30に示すように、当接部44の先端面がコネクタ本体1のチェッカー用係止受け面27に突き当てられるようにしてある。
【0053】
チェッカー3が仮保持位置にあるときには、
図18に示すように、当接部44はコネクタ本体1の抜き取り規制縁22に係止してチェッカー3の抜け規制の機能を発揮するとともに、係止脚26における突出部33の係止段部33Aに対しても係止可能な位置にあって、チェッカー3の仮保持位置から検知位置への不用意な落ち込み規制にも機能する。
【0054】
図14に示すように、カバー部34の後縁には左右一対の押さえ片45が下向きに突出している。両押さえ片45の付け根部分はカバー部34の後縁から後脚38の後縁上部にかけて連結されている。両押さえ片45が相互に対向している縁部には、上下方向に真っ直ぐ延びる直線部分が形成され、この直線部分同士の間は保持溝46となっている。チェッカー3が仮保持位置にあるときには保持溝46の下端部分はコネクタ本体1の姿勢保持片12よりやや上方に位置している。
チェッカー3が仮保持位置から検知位置へと移動する間において、姿勢保持片12と保持溝46との嵌り合いを通じてチェッカー3を直立した姿勢に保持する役割を果たす。
【0055】
両押さえ片45の下端縁はパイプPの外周面形状に対応した円弧面45Aが形成され、
図14、
図35に示すように、チェッカー3が検知位置にあるときにパイプPの外周面に対しては僅かなクリアランスが保有されるようになっている。チェッカー3が仮保持位置にあるときには、両押さえ片45の先端部は差し込み孔6の上方に待機してパイプPの挿入を阻害しないような高さ位置に保持されている。チェッカー3が検知位置にあるときには、
図29、
図35に示すように、両押さえ片45は差し込み孔6内に進入し、リテーナ2の両係止脚26の後面側においてほぼ隙間なく位置し、かつ突出部33の上方に位置している。また、このときの状態の後面視(
図35参照)から明らかなように、両押さえ片45の先端部は係止脚26に重複するように位置している。このことによって、両押さえ片45は、パイプPが抜き取り方向の力を受けて係止脚26が後方へ撓もうとした場合の撓み変形を規制することができる。
【0056】
引き続き、上記のように構成された本実施例の作用効果を具体的に説明する。チェッカー3が仮保持位置にある状態で、パイプPを差し込み孔6へ向けて軸方向から挿入する。パイプPのフランジ10がリテーナ2の両係止脚26のガイド弧面41に当接し、そのままパイプPの挿入が進行すると、フランジ10とガイド弧面41との摺接によって、両係止脚26は円滑に開脚動作を行い(
図20、
図21状態)、差し込み孔6から突出するようにして外方へ退避するため、パイプPのフランジ10はリテーナ2の係止脚26を通過することができる。
【0057】
両係止脚26が開脚するときにはチェッカーの当接部44との当たり合いによって後脚38も連動して開脚する(
図21状態)。このため、作業者は係止脚26に加えて後脚38の開脚に必要な挿入力(挿入抵抗)をもってパイプの押し込みを行わねばならないが、フランジ10が係止脚26を通過して係止脚26が弾性復帰すると、この際において挿入抵抗が急激に低下するため、このことが節度感となって作業者はフランジ10が係止脚26を通過してパイプPが正規位置に至ったことを感じることができる。
【0058】
パイプPがコネクタ本体1に対する正規位置に達すると(
図23状態)、リテーナ2の両係止脚26は弾性復帰してパイプPに対して仮係止状態となる(
図24状態)。この状態では、リテーナ2の上部はずれ止め突起32が仕切り片16を挟んで位置し、リテーナ2の下部では両係止脚26の下端部がリテーナ用係止受け面29を挟んでいる。このことによって、リテーナ2は左右方向や周方向への位置ずれが回避され、正規の直立姿勢に保持される。
【0059】
また、パイプPが正規位置に至った状態では、フランジ10がチェッカー3の前脚37部分に当接する。このとき、フランジ10が検知部39の開脚案内面39Aの案内作用によって前脚37は開脚させられている。これによって、検知部39の下側の突部が落ち込み規制縁23より外側に移動して同縁との係止が外れる(
図25状態)。また、前述したように、前脚37の開脚動作の影響を受けて後脚38も同時に開脚するため、後脚38の当接部44とリテーナ2の係止段部33Aとの係止が外れる(
図24状態)。
【0060】
かくして、チェッカー3は前脚37および後脚38共に押し込み規制が解除された状態となる。この状態で、カバー部34の上面を押圧してチェッカー3全体をコネクタ本体1へ向けて押し下げる。この間、前脚37の検知部39は抵抗付与面24の曲面形状に沿って摺接する。したがって、チェッカー3が検知位置へ向けて移動を開始してから前半期は抵抗付与面が最も張り出す中央部に向けて開脚角度が広がり、これに伴って後脚38も同様に開脚角度が大きくなる(
図27、
図28状態)。したがって、チェッカー3に対する押し込みの操作力は押し込みの前半期において徐々に増加して湾曲頂部においてピークを迎え、ここを通過した以後は操作抵抗が低下するため、チェッカー3に対する押し下げ動作は慣性力により、検知部39がコネクタ本体1の下面に係止する状態にまで一気に進む(
図31状態)。このため、抵抗付与面24の途中の位置で留められてしまう事態を確実に回避することができる。また、作業者は検知部39が抵抗付与面24の湾曲頂部の通過前後の操作抵抗の変化を、チェッカー3が検知位置へ至ったことの節度感として感じ取る。このように、作業者はパイプPを正規位置まで挿入したときにリテーナ2によってもたらされる節度感(一度目の節度感)に続いて、チェッカー3を検知位置に至らしめたときにチェッカー3によってもたらされる節度感(二度目の節度感)を得る。すなわち、作業者が連続して行う二段階の操作のいずれにも節度感が付与されるため、一連の作業が正常に終了したことの安心感を各作業の都度、もたらすことができる。
【0061】
なお、万一、リテーナ2が正規状態から浮き上がってしまっている事態が生じていたとしても、チェッカー3を仮保持位置から検知位置へ押し下げる過程で、カバー部34がリテーナ2の解除操作部28を押し込んで正規装着状態に矯正することができる。
【0062】
一方、パイプPが正規位置まで挿入されない場合には、前記した一度目の節度感が得られないことに加え、チェッカーの前脚37の検知部39と落ち込み規制縁23との係止が解除されないままであることから、チェッカーを仮保持位置から押し下げることができない。このことをもって作業者はパイプPが不完全挿入(未挿入も含む)であることを知り、パイプPの正規位置への挿入を促すことができる。また、万一、チェッカー3が仮保持位置のまま放置されるようなことがあっても、仮保持位置ではチェッカー3はコネクタ本体1から径方向外方へ大きく突出した状態にあることから、操作忘れの発見が容易である。また、チェッカー3に対する押し込み不足が原因で検知位置の手前位置で放置されてしまう事態が生じていたとしても、同様にして容易に発見することができる。
【0063】
ところで、チェッカー3が検知位置に至っている状態では、カバー部34がリテーナ2の解除操作部28を覆っているため、チェッカー3が正しく検知位置へ至ったこと、つまりパイプPが正規位置にあることを視覚的に確認することができる。しかも、本実施例ではコネクタ本体1、リテーナ2、チェッカー3をそれぞれ異なる色彩としたため、視覚による判断をより確実なものとすることができる。また、第1鍔部11に比較して背の低い第2鍔部13側からの視線を覆い壁42によって遮ることができるため、検知状況を誤認してしまう虞もない。さらに、解除操作部28がカバー部34によって覆われる、ということは、リテーナ2に対する不用意な解除操作を未然に回避する、という顕著な効果ももたらす。さらにまた、チェッカー3はパイプPの挿入検知機能を果たした後もコネクタ本体1に装着されたまま残るから、従来のように無用な廃棄物と化してしまうこともない。
【0064】
また、チェッカー3が検知位置にあるときに、パイプPに対し抜き取り方向の力が作用しフランジ10が係止脚26の前面側に当接しても、係止脚26の前面側には後面側のようなガイド弧面41は形成されておらず、係止脚26が開脚方向への変位が案内されてしまうことはない。パイプPに抜き取り方向の力が作用したときには、係止脚26は後方へ撓み変位しようとする。しかし、本実施例においては、両押さえ片45がリテーナ2の係止脚26の後面側においてほぼ隙間なく位置して、係止脚26の後方への撓み変形が規制されるため、係止脚26を正規の直立姿勢に保持することができる(本係止)。かくして、パイプPに対する抜け規制をより確実なものとすることができる。このように、チェッカー3にパイプPの抜け防止機能を新たに付加することにより、部品点数の増加を招くことも回避されている。
【0065】
パイプPの抜き取り作業を行う場合には、検知位置にあるチェッカー3に対し、検知部39の係止を解除しつつカバー部34の膨出部35の前端側開口43へ図示しない解除治具を差し込んで解除方向へ引っ掛け操作をし、チェッカー3を仮保持位置へと戻しておく。次に、解除操作部28の上面を押圧操作すると、
両係止脚26はそれぞれの下端部がコネクタ本体1におけるリテーナ用係止受け面29からチェッカー用係止受け面27へと至る傾斜面27Aに沿って摺接することで開脚方向への変形動作が案内される。その結果、フランジ10に対する
係止脚26の抜け止め状況が解除されるため、パイプPをコネクタ本体1から抜き取ることができる。
【0066】
また、前述したように、パイプPの抜き取りは次のようにして行ってもよい。すなわち、チェッカー3をコネクタ本体1から抜き取る等した後に、リテーナ2の解除操作部28の前部側下面に図示しない解除治具を差し込み、第2鍔部13の上縁を支点としててこ操作する。これによって、リテーナ2は位置決め突起18と係止凹部17との係止が解除され、リテーナ2をコネクタ本体1から抜き取ることができ、その後、パイプPをコネクタ本体1から抜き取るようにしてもよい。
【0067】
<実施例2>
図36〜
図59は本発明の実施例2を示している。実施例1ではチェッカー3の脚部Lに当接部44を設けてリテーナ2の係止脚26に当接させるようにし、パイプPの挿入時には係止脚26に加えて脚部Lの弾性反力も付加するようにすることで挿入抵抗を高めるようにしていた。これに対し、本実施例2ではリテーナ50の係止脚51の剛性を高めて挿入抵抗を係止脚51の弾性反力のみに基づいて確保されるようにしている。
【0068】
まず、実施例2における構成部品を説明するが、実施例2におけるコネクタ本体1の構成は実施例1と同じであるため、図面中に同一符号を付すことで説明は省略する。
【0069】
(リテーナ50:主として
図36〜
図39参照)
本実施例2のリテーナ50も解除操作部54を有する他、基本的構造は実施例1と同様であるが、次の点において相違する。実施例1では、
図11及び
図12に示すように、係止脚26における後面側の下端部が突出部33となって後方および左右方向外方へ張り出していたが、実施例2の突出部52は後方へ張り出さず、
図37に示すように、両係止脚51の前後方向の幅は略均一幅でありかつ実施例1の係止脚26よりも前後幅が広めに形成されて、その分、剛性が高められている。また、本実施例2の突出部52は、実施例1のような上面が水平な係止段部33Aを介して張り出すのではなく、下り勾配の傾斜面53を介して左右方向外方へ張り出し形成されている。
【0070】
リテーナ50に関する他の構成は実施例1と同様であり、同様な構成については図面中に同一符号を付して説明は省略する。
【0071】
(チェッカー60:主として
図40〜
図42参照)
実施例2のチェッカーが実施例1と相違する点は、実施例2の脚部61は実施例1の脚部Lのように前後に分岐していない点、および当接部44を有していない点である。
【0072】
実施例2では、カバー部64の両側に形成された脚部61は、実施例1のように下端から切り込まれるスリット40を有しておらず(
図41及び
図43参照)、略均一な前後幅をもった平板状に形成されている。検知部62は脚部61の内面側の下端であって、前端部に形成されているが、その後方には実施例1のような当接部44は形成されていない。検知部62の先端部の後面側にはテーパ状の開脚案内面63がそれぞれ形成されていて、パイプPのフランジ10と当接することによって、脚部61の開脚動作を案内可能である。
【0073】
チェッカー60に関する他の構成は実施例1と同様であり、同様な構成については図面中に同一符号を付して説明は省略する。
【0074】
次に、実施例2の作用効果を説明する。
図43〜
図46はチェッカー60が仮保持位置にあり、パイプPの挿入前の状態を示している。実施例1の場合と相違する点は、
図45に示すように、チェッカー60における脚部61の後部側は当接部を有さないため、脚部61はコネクタ本体1の外側に位置し、コネクタ本体1の内部へは進入していない点である。脚部61の前部側は、実施例1と同様、検知部62が形成されており、コネクタ本体1の窓孔Wを介して差し込み孔6内に進入している。
【0075】
図47〜
図49はパイプPがコネクタ本体1内に差し込まれ、フランジ10がリテーナ50の係止脚51のガイド弧面41に当接する深さに至った状態を示している。このときには、フランジ10とガイド弧面41との摺接により、両係止脚51は開脚動作をし、コネクタ本体1の外方へ突出して退避する。かくして、パイプPのフランジ10は両係止脚51の間を通過可能となる。このときには、実施例1とは異なり、リテーナ50の係止脚51のみが開脚し、チェッカー60の脚部61は開脚しない(
図21と
図48とを比較参照)。したがって、このときのパイプPの挿入抵抗は、実施例1に比較して増強された係止脚51の弾性反力のみに基づいて生じる。そして、フランジ10が両係止脚51を通過し終われば、挿入抵抗は急激に低下するため、作業者は慣性によってパイプPを正規位置まで差し込むことができる。作業者は挿入抵抗の急激な低下が節度感となって、パイプPの挿入が完了したことを知ることができる。
【0076】
図50〜
図52はパイプPがコネクタ本体1内に正規深さまで挿入された状態を示している。この状態では、弾性復帰した両係止脚51がパイプPのフランジ10に後面側から係止しているため、パイプPは抜け止め状態となっている。同時に、フランジ10がチェッカー60の検知部62の開脚案内面63に摺接することに伴って、脚部61全体が開脚する。これにより、検知部62の下側の突部が落ち込み規制縁23より外側に移動して同縁との係止が外れる(
図52状態)。
【0077】
図53〜
図55はチェッカー60を仮保持位置から検知位置へ移動させる過程を示している。チェッカー60のカバー部64の上面が押圧されると、検知部62が抵抗付与面24の側面形状に沿って摺接する。したがって、検知部62が抵抗付与面24の頂点部(最も外方へ膨れ出した部位)に至るまでの間、脚部61は後部側も含め全体が開脚角度を徐々に大きくする。
【0078】
図56〜
図58はチェッカー60が検知位置に至った状態を示している。チェッカー60の検知部62が抵抗付与面24の頂点部を通過した後は、脚部61は後部側を含め全体の開脚角度が徐々に小さくなり、抵抗付与面24を通過した後は、脚部61全体が弾性復帰し、検知部62がコネクタ本体1の下面に係止する。これによって、チェッカー60が検知位置に保持される。
【0079】
図59はパイプPの抜き取り操作の一例を示している。この操作では、チェッカー60は検知位置から仮保持位置へ戻される。その後、リテーナ50の解除操作部54の上面を押圧操作すると、解除操作部54とコネクタ本体1の仕切り片16との間には隙間があるため、リテーナ50全体は押し下げが可能である。リテーナ50の押し下げに伴って、両係止脚51の下端がコネクタ本体1の傾斜面27Aに沿って摺接する。このことによって、両係止脚51は開脚してフランジ10の通過が可能になるため、パイプPをコネクタ本体1から抜き取ることができる。
【0080】
以上のように、実施例2による作用効果は、チェッカー60が検知位置にあるときにはリテーナ50の解除操作部54が
カバー部64に覆われて不用意な解除操作を未然に回避することができる等、実施例1とほぼ同様である。
【0081】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)上記実施例では、チェッカー3,60を仮保持位置と検知位置との間でコネクタ本体1の径方向に沿って移動するようにしたが、これに代えて、コネクタ本体1の外周面上を軸方向に沿って移動するようにしてもよい。あるいは周方向への角変位操作によって移動させるようにしてもよい。
(2)上記実施例では、チェッカー3,60は仮保持位置から検知位置への移動はカバー部34,64に対する押し込み操作によって行うようにしたが、これに代えてコネクタ本体1の反対側から引っ張り操作によって行うようにしてもよい。
【0083】
(3)上記実施例では、解除操作部28,54を押圧操作して係止脚26,51を強制的に開脚変形させることにより、リテーナ2,50をコネクタ本体1から抜き取ることなくパイプPの抜き取りを可能にした。しかし、このような解除方式に代え、解除操作部28,54を治具にて持ち上げ操作し、コネクタ本体1に対するリテーナ2,50の係止を強制的に解除してリテーナ2,50全体をコネクタ本体1から持ち上げあるいは抜き取り、その状態でパイプPの抜き取りを行うようにしてもよい。つまり、解除操作部28,54は同部への操作によってパイプPの抜き取りが可能になるような部位であれば良い。