特許第5950436号(P5950436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950436
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】電子部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20160630BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   H05K13/08 Q
   H05K13/04 M
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-7214(P2012-7214)
(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2013-149672(P2013-149672A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2015年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】500548884
【氏名又は名称】ハンファテクウィン株式会社
【氏名又は名称原語表記】HANWHA TECHWIN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益
(74)【代理人】
【識別番号】100105577
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 隆人
(72)【発明者】
【氏名】畑瀬 貴之
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−278323(JP,A)
【文献】 特開2009−283572(JP,A)
【文献】 特開2000−200999(JP,A)
【文献】 特開平07−012517(JP,A)
【文献】 特開2001−168600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K3/30,13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を吸着する吸着ノズルがノズル保持部材に上下方向に移動可能に設けられ、前記ノズル保持部材がプリント基板を載置する基台に対して水平面内で相対変位するとともに前記吸着ノズルが上下方向に移動することにより、吸着ノズルに吸着された電子部品をプリント基板上に実装するように構成された電子部品実装機であって、
吸着ノズルの先端部分を側方から撮像可能であり、その光学系及び照明系が前記ノズル保持部材に固定されている側方撮像手段を備え、
前記側方撮像手段は、その光学系の光軸が、吸着ノズルの吸着面に対し水平でなく、上方から所定の角度をなすように電子部品を撮像し前記側方撮像手段の照明系は、上方から所定の角度をなすように電子部品を照明し、かつ、当該側方撮像手段の視野内において、吸着ノズルに吸着された電子部品には照明光が当たるが、プリント基板上の既設の電子部品には照明光が当たらないように照明光を発することを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記側方撮像手段の照明系は、少なくとも2方向の照明光を発し、この2方向の照明光が吸着ノズルに吸着された電子部品の位置で交差するように照明光を発する、請求項1に記載の電子部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップ等の電子部品をプリント基板上に実装する電子部品実装装置に関する。なお、本明細書では、電子部品実装装置のことを単に実装装置ともいい、電子部品のことを単に部品ともいう。
【背景技術】
【0002】
一般的に、実装装置は、電子部品を吸着する吸着ノズルを有するノズル保持部材により、電子部品を部品供給部から吸着してプリント基板上に移送し、プリント基板上の所定位置に実装するように構成されている。
【0003】
このような実装装置では、不良部品の実装や実装ずれ、あるいは実装ミス(未実装)等を未然に防止するために、部品吸着後、プリント基板への実装に先立って吸着ノズルの先端部分を撮像し、部品の有無、あるいは部品の吸着状態等を画像認識することが行われている。また、部品が実装されたことを確認するために、実装処理後、再度吸着ノズルの先端部分を撮像して部品の有無(部品持帰り)を画像認識することが行われている。
【0004】
吸着ノズルの先端部分を撮像する撮像手段の一つとして、吸着ノズルの先端部分を側方から照明、撮像する側方撮像手段が知られている。従来の側方撮像手段は、特許文献1〜3に見られるように、吸着ノズルの先端部分を水平方向から照明、撮像する。側方撮像手段の光学系は、吸着ノズルとともにノズル保持部材に設けられるが、吸着ノズルが上下動可能であるのに対し、側方撮像手段の光学系はノズル保持部材に固定されている。すなわち、従来の側方撮像手段の光学系の光軸は水平である。
【0005】
このように光学系の光軸が水平である構成において、部品を実装する前に吸着ノズルへの吸着状態を検査する際には、その部品を撮像するために、吸着ノズルに吸着された部品を、吸着ノズルを上下方向に移動させることにより光学系の光軸とほぼ同じ高さ位置に移動させる必要がある。一方で、部品を実装する場合、既に実装された部品がプリント基板上にあるため、その部品との干渉を避けるため、光学系の下端は、部品の最大高さより高い位置に配置する必要がある。つまり、光学系の光軸が水平である場合、部品を吸着し、その吸着状態を検査してからプリント基板に実装するまでの吸着ノズルの上下方向の移動量(下降量)は、(部品の最大高さ+光学系下端までの距離)に対応する距離となる。
【0006】
実装工程の高速化、実装精度の向上のためには、吸着ノズルの上下方向の移動量は減らしたいところではあるが、上述の制限があるため、移動量を減らすことは困難であった。また、移動量を減らすためには、部品の高さを減らす必要があり、このことは装置仕様上の欠点となっていた。
【0007】
これに対して本願出願人は、先に特願2011−122144において、側方撮像手段の光学系の光軸が、吸着ノズルの吸着面に対し水平でなく、上方から所定の角度をなすようにした構成を提案した。これにより、吸着ノズルをより下方に位置させた状態で部品を撮像することができ、結果として、撮像後、プリント基板上に実装するまでの下降距離が短くなるので、吸着ノズルの上下方向の移動量を減らすことができるようになった。
【0008】
しかし、上記構成のように、側方撮像手段の光学系の光軸が上方から所定の角度をなすように構成すると、図6に示すように、側方撮像手段で撮像された画像には、検査すべき吸着ノズルA先端の部品B1だけでなく、背後にあるプリント基板C上の既設の部品B2も現れる。更に、光学系Dに付随する照明系Eからの照明光も、検査すべき吸着ノズルA先端の部品B1だけでなく、背後にあるプリント基板C上の既設の部品B2にも当たり、撮像された画像の認識において両者の見分けがつかなくなってしまうことがあるという新たな問題が発生した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−78309号公報
【特許文献2】特開2004−349346号公報
【特許文献3】特開2006−41158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、電子部品を吸着する吸着ノズルの先端部分を撮像する側方撮像手段の光学系の光軸が上方から所定の角度をなすように構成された電子部品実装装置において、検査すべき吸着ノズルの先端の部品だけを確実に画像認識できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実装装置は、電子部品を吸着する吸着ノズルがノズル保持部材に上下方向に移動可能に設けられ、前記ノズル保持部材がプリント基板を載置する基台に対して水平面内で相対変位するとともに前記吸着ノズルが上下方向に移動することにより、吸着ノズルに吸着された電子部品をプリント基板上に実装するように構成された電子部品実装機であって、吸着ノズルの先端部分を側方から撮像可能であり、その光学系及び照明系が前記ノズル保持部材に固定されている側方撮像手段を備え、前記側方撮像手段は、その光学系の光軸が、吸着ノズルの吸着面に対し水平でなく、上方から所定の角度をなすように電子部品を撮像し前記側方撮像手段の照明系は、上方から所定の角度をなすように電子部品を照明し、かつ、当該側方撮像手段の視野内において、吸着ノズルに吸着された電子部品には照明光が当たるが、プリント基板上の既設の電子部品には照明光が当たらないように照明光を発することを特徴とするものである。
【0012】
本発明において、前記側方撮像手段の照明系は、少なくとも2方向の照明光を発し、この2方向の照明光が吸着ノズルに吸着された電子部品の位置で交差するように照明光を発するようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実装装置では、側方撮像手段の照明系が、当該側方撮像手段の視野内において、吸着ノズルに吸着された電子部品以外の電子部品に照明光が当たらないように照明光を発するので、側方撮像手段を、その光学系の光軸が吸着ノズルの吸着面に対し水平でなく、上方から所定の角度をなすように電子部品を撮像するように構成していたとしても、吸着ノズルに吸着された電子部品だけを確実に画像認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実装装置における側方撮像手段の構成を示す概念図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は撮像された画像を示す。
図2】本発明の実装装置の一実施例を示す斜視図で、(a)はその要部の構成、(b)はノズル保持部材近傍の構成を示す。
図3】側方撮像手段の構成例を示す断面図である。
図4図3に示す側方撮像手段の照明系の詳細を示す斜視図である。
図5図4においてスリットを取り除いた状態を示す斜視図である。
図6】従来の側方撮像手段の構成を示す概念図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は撮像された画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実装装置における側方撮像手段の構成を示す概念図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は撮像された画像を示す。
【0016】
本発明の実装装置において、側方撮像手段は、その光学系Dの光軸が吸着ノズルAの吸着面に対し水平でなく、上方から所定の角度をなすように部品B1を撮像するよう構成されている。
【0017】
このため、先に図6でも説明したように、側方撮像手段で撮像された画像には、検査すべき吸着ノズルA先端の部品B1だけでなく、背後にあるプリント基板C上の既設の部品B2も現れる。
【0018】
これに対して、本発明における側方撮像手段の照明系Eは、当該側方撮像手段の視野F内において、吸着ノズルAに吸着された部品B1以外の部品(プリント基板C上の既設の部品B2)に照明光が当たらないように照明光を発する。このように、部品B2には照明光が当たらないので部品B2の撮像画像は薄くなり、撮像された画像の認識において、部品B1と部品B2を明確に見分けることができ、部品B1だけを確実に画像認識できる。
【0019】
照明系Eの構成例を説明すると、図1の例では、照明系Eが、指向性を有する2方向の照明光を発するようにし、更に照明光源と部品B1との間にスリットE1を配置して照明光の出射範囲を制御することで、照明光が側方撮像手段の視野F内において部品B2には当たらないようにしている。照明光の指向性を精密に調整すればスリットE1は省略可能である。また、スリットE1の代わり又はこれと併用して照明光源の一部を覆うマスクを使用してもよい。一方、スリットE1による照明光の出射範囲の制御を精密にすれば、照明光は必ずしも指向性を有する必要はない。要するに、側方撮像手段の視野F内において、吸着ノズルAに吸着された部品B1以外の部品(プリント基板C上の既設の部品B2)に照明光が当たらないように照明系Eを構成すればよい。
【0020】
図1の例において、照明系Eは、2方向の照明光が吸着ノズルAに吸着された部品B1の位置で交差するように照明光を発する。また、図1(b)に示すように高さ方向においても部品B1だけに光が当たり、部品B2には光が当たらないように照明光を発する。これにより、部品B1が多角的に照明され、この部品B1だけをより確実に画像認識できる。交差させる照明光の本数は2本に限らず、2本以上であればよい。
【0021】
ここで、照明系Eの照明光が側方撮像手段の視野F内において部品B2に当たらないようにするには、プリント基板C上の部品B2の位置、大きさ、高さ等の情報を把握する必要がある。通常、実装装置では実装可能な部品の位置、大きさ、高さ等が装置仕様として決まっている。したがって、プリント基板C上の部品B2に関する情報は、この装置仕様により得ることができ、これに基づき照明光が部品B2に当たらないように照明系Eを構成する。
【実施例】
【0022】
図2は、本発明の実装装置の一実施例を示す斜視図で、(a)はその要部の構成、(b)はノズル保持部材近傍の構成を示す。
【0023】
電子部品を吸着する吸着ノズル1は、ノズル保持部材2に上下方向に移動可能に設けられる。本実施例では、ノズル保持部材2の下面部に、円周方向に沿って複数の吸着ノズル1を設けている。ノズル保持部材2は、装置本体に設けたX方向のガイドレール3及びY方向のガイドレール4に沿って移動可能であり、水平面内でX−Y方向に移動自在である。すなわち、図2に示す実装装置は、ノズル保持部材2がプリント基板5を載置する基台6に対して水平面内で相対変位するとともに、吸着ノズル1が上下方向に移動することにより、吸着ノズル1に吸着された電子部品をプリント基板5上に実装するように構成されている。
【0024】
図2(b)に示すように、ノズル保持部材2には側方撮像手段7が固定されている。この側方撮像手段7は吸着ノズル1の先端部分を側方から撮像する。なお、本実施例では、ノズル保持部材2に複数の吸着ノズル1を設けているが、これらは水平面内でローテーション可能に設けられているので、側方撮像手段7によりそれぞれの吸着ノズル1の先端部分を撮像可能である。
【0025】
図3は、側方撮像手段7の構成例を示す断面図である。図3に示す側方撮像手段7は、CCDセンサ7aと、照明系としてLEDからなる照明光源7b、マスク7c及びスリット7dと、光学系としてレンズ7e及び反射ミラー7fとを備える。部品B1を吸着した吸着ノズル1の先端部分で反射された照明光源7bからの照明光は、反射ミラー7fで反射されたのちにレンズ7eを介してCCDセンサ7aに到達し、画像として認識される。本発明の実装装置において側方撮像手段7は、その光学系の光軸が、部品B1を吸着する吸着ノズル1の吸着面に対し水平でなく、上方から所定の角度θをなすようにして部品B1を撮像する。この角度θは4度以上40度以下とすることが好ましく、本実施例では、反射ミラー7fを水平から3.5度傾けることで、光学系の光軸の傾斜角度θを7度としている。
【0026】
図4は、図3に示す側方撮像手段7の照明系の詳細を示す斜視図、図5は、図4においてスリットを取り除いた状態を示す斜視図である。
【0027】
本発明の実装装置において側方撮像手段7は、先に図1で説明したように、当該側方撮像手段の視野内において、吸着ノズルに吸着された電子部品以外の電子部品に照明光が当たらないように照明光を発するよう構成される。具体的には、本実施例の側方撮像手段7は、照明光源7bの一部を覆うマスク7cと、照明光源7bからの照明光の出射範囲を制御するスリット7dを備える。これにより、図1に示したように、側方撮像手段の視野内において、吸着ノズルに吸着された電子部品以外の電子部品に照明光が当たらないようにすることができる。なお、マスク7cで覆われている部分に照明光源7bが最初から無ければ、マスク7cは不要である。
【符号の説明】
【0028】
A 吸着ノズル
B1,B2 部品
C プリント基板
D 側方撮像手段の光学系
E 側方撮像手段の照明系
E1 スリット
F 側方撮像手段の視野
1 吸着ノズル
2 ノズル保持部材
3,4 ガイドレール
5 プリント基板
6 基台
7 側方撮像手段
7a CCDセンサ
7b 照明光源(照明系)
7c マスク(照明系)
7d スリット(照明系)
7e レンズ(光学系)
7f 反射ミラー(光学系)
図1
図2
図3
図4
図5
図6