特許第5950445号(P5950445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950445
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】収容構造
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20160630BHJP
   H01H 33/48 20060101ALI20160630BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   H02B1/08 J
   H01H33/48
   H02B3/00 K
   H02B1/08 H
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-109553(P2012-109553)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-240134(P2013-240134A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503322250
【氏名又は名称】新電元熊本テクノリサーチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢胤
(72)【発明者】
【氏名】青木 義雄
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智司
(72)【発明者】
【氏名】篠原 孝輔
(72)【発明者】
【氏名】本城 純治
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−191331(JP,A)
【文献】 実開平01−083374(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3021416(JP,U)
【文献】 米国特許第05169221(US,A)
【文献】 実開昭58−051476(JP,U)
【文献】 実開昭54−114022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/30
H01H 33/48
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に形成された凹所内に作業対象を設けると共に、該凹所の開口をカバー部材によって開閉自在に覆う作業対象の収容構造であって、
前記凹所が、互いに隣り合って異なる方向に傾斜する二つの平坦な外面に開口し、
前記カバー部材が、第一外面に開口する前記凹所の第一開口を覆う第一カバー部と、第二外面に開口する前記凹所の第二開口を覆う第二カバー部とを備え、
前記第一カバー部が、前記第一外面に沿って該第一外面と前記第二外面との角部に対して近接離間する一方向に直線移動可能とされて、前記第一開口を開閉自在とし、
前記第二カバー部が、前記第一開口を覆う位置に配された前記第一カバー部のうち前記角部に位置する一端部に対して回動可能に連結されて、前記第二開口を開閉自在とし、
前記第二カバー部が前記第二開口を覆う位置に配された状態では、前記第一開口を覆う位置から開く位置への前記第一カバー部の直線移動を規制し、
前記第二カバー部が前記第二開口を開く位置に配された状態では、前記第一開口を覆う位置から開く位置への前記第一カバー部の直線移動を許容し、
前記筐体に、前記第一開口を開く位置に配された前記第一カバー部を係止する係止部材が設けられていることを特徴とする収容構造。
【請求項2】
前記筐体に、前記第二開口を覆う位置に配された前記第二カバー部を係止する係止部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の収容構造。
【請求項3】
前記第一開口の縁部をなす前記凹所の内側面に、前記一方向に延在すると共に前記第二外面に開口する一対の軌道溝が形成され、
前記第一カバー部は、その両側部が各軌道溝に挿入されることで該軌道溝の延在方向に摺動可能とされ、
前記第一カバー部が前記第一開口を覆う位置に配されると共に前記第二カバー部が前記第二開口を開く位置に配された状態で、前記第二カバー部の両側部が各軌道溝に挿入可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収容構造。
【請求項4】
前記第一カバー部に連結された前記第二カバー部の基端部には、前記第二開口を覆う位置に配された状態で前記第二外面に当接する当接面から、前記第二カバー部の基端に向かうにしたがって前記第二外面から漸次離間するように、前記当接面に対して傾斜する傾斜案内面が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の収容構造。
【請求項5】
前記作業対象が、配線によって電力供給源に電気接続された接続端子であり、
前記第一開口を覆う位置から開く位置への前記第一カバー部の直線移動に連動して、前記配線を導通状態から非導通状態に切り換える第一切換スイッチと、
前記第二開口を覆う位置から開く位置への前記第二カバー部の回動に連動して、前記配線を導通状態から非導通状態に切り換える第二切換スイッチとを備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の収容構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業対象を凹所内に収容する収容構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力設備等では、作業対象の誤操作等を防いで安全性を確保するために、例えば特許文献1に示すような工夫がなされている。
すなわち、特許文献1には、筐体(操作パネル)にその平坦な外面(板面)から窪む凹所を形成した上で、作業対象(操作スイッチ)を凹所の底面に設置し、凹所の上部開口をカバー部材によって覆う収容構造が記載されている。カバー部材は、ヒンジによって筐体に対して回動自在に取り付けられ、カバー部材の回動動作のみによって、凹所の上部開口を開閉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−188705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、凹所が一つの平坦な外面(一面)にのみ開口しているため、作業者が手を凹所に挿入し難く、その結果として、作業対象を操作し難くなる場合がある。すなわち、作業対象を操作する作業性が低い、という問題がある。
また、カバー部材の一つの動作だけで、凹所の上部開口が開閉されてしまうため、不意の外力がカバー部材に作用すると、カバー部材が動いて凹所の上部開口が開いてしまう場合がある。この場合、作業対象の誤操作が発生する虞がある。
【0005】
本願発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、凹所に配された作業対象の作業性を向上できると共に、凹所を覆うカバー部材が不意に動いて凹所が開口してしまうことも防止できる収容構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明の収容構造は、筐体に形成された凹所内に作業対象を設けると共に、該凹所の開口をカバー部材によって開閉自在に覆う作業対象の収容構造であって、前記凹所が、互いに隣り合って異なる方向に傾斜する二つの平坦な外面に開口し、前記カバー部材が、第一外面に開口する前記凹所の第一開口を覆う第一カバー部と、第二外面に開口する前記凹所の第二開口を覆う第二カバー部とを備え、前記第一カバー部が、前記第一外面に沿って該第一外面と前記第二外面との角部に対して近接離間する一方向に直線移動可能とされて、前記第一開口を開閉自在とし、前記第二カバー部が、前記第一開口を覆う位置に配された前記第一カバー部のうち前記角部に位置する一端部に対して回動可能に連結されて、前記第二開口を開閉自在とし、前記第二カバー部が前記第二開口を覆う位置に配された状態では、前記第一開口を覆う位置から開く位置への前記第一カバー部の直線移動を規制し、前記第二カバー部が前記第二開口を開く位置に配された状態では、前記第一開口を覆う位置から開く位置への前記第一カバー部の直線移動を許容し、前記筐体に、前記第一開口を開く位置に配された前記第一カバー部を係止する係止部材が設けられていることを特徴とする。
なお、この構成では、第一カバー部が所定の力で係止されるように係止部材を設定しておけばよい。
【0007】
上記収容構造では、凹所の開口がカバー部材によって完全に覆われている状態では、第一カバー部及び第二カバー部がそれぞれ凹所の第一開口及び第二開口を覆っている。この状態から凹所の開口を完全に開くためには、はじめに、第二開口を覆う位置から開く位置まで第二カバー部を回動させ、その後に、第一開口を覆う位置から開く位置まで第一カバー部を直線移動させる必要がある。このため、凹所の開口が完全に覆われている状態で、不意の外力がカバー部材に作用しても、第二カバー部が回動するだけであり、凹所の開口が完全に開いてしまうことを確実に防止できる。したがって、凹所内に配された作業対象の誤操作が発生することを確実に防ぐことができる。
また、このように凹所の開口が完全に開いた状態においては、凹所が隣り合う二つの外面に開口しているため、凹所内に手を容易に挿入して作業対象の操作等を簡便に行うことができる。すなわち、作業対象を操作する作業性の向上を図ることができる。
また、この構成では、所定以上の力が第一開口を開く位置に配された第一カバー部に作用しない限り、凹所の第一開口が覆われることはない。言い換えれば、凹所の第一開口が意図せず閉じてしまうことをより確実に防ぐことができる。
また、凹所の第一開口の向きによって、第一カバー部が重力によって不意に動くことも確実に防止できるため、凹所の第一開口の向きを任意に設定することも可能となる。
【0008】
そして、前記収容構造においては、前記筐体に、前記第二開口を覆う位置に配された前記第二カバー部を係止する係止部材が設けられているとよい
お、この構成では、第二カバー部が所定の力で係止されるように係止部材を設定しておけばよい。
【0009】
この構成では、所定以上の力が第二開口を覆う位置に配された第二カバー部に作用しない限り、凹所の第二開口が開くことはない。言い換えれば、凹所の第二開口が意図せず開いてしまったりすることをより確実に防ぐことができる。
また、凹所の第二開口の向きによって、第二カバー部が重力によって不意に動くことも確実に防止できるため、凹所の第二開口の向きを任意に設定することも可能となる。
【0010】
さらに、前記収容構造においては、前記第一開口の縁部をなす前記凹所の内側面に、前記一方向に延在すると共に前記第二外面に開口する一対の軌道溝が形成され、
前記第一カバー部は、その両側部が各軌道溝に挿入されることで該軌道溝の延在方向に摺動可能とされ、
前記第一カバー部が前記第一開口を覆う位置に配されると共に前記第二カバー部が前記第二開口を開く位置に配された状態で、前記第二カバー部の両側部が各軌道溝に挿入可能であるとよい。
【0011】
上記構成では、第一カバー部が第一開口を覆う位置に配されると共に第二カバー部が第二開口を開く位置に配された状態から、第一開口を覆う位置から開く位置に向けて第一カバー部を直線移動させる際に、第二カバー部の両側部が各軌道溝に挿入されて第二カバー部が第一カバー部と同様に軌道溝の延在方向に摺動する。
そして、第二カバー部の両側部が各軌道溝に挿入された状態では、第一カバー部に対する第二カバー部の回動が軌道溝によって規制されるため、第一カバー部及び第二カバー部を滑らかに直線移動させて、カバー部材による第一開口の開閉を簡便に行うことが可能となる。
また、第一カバー部及び第二カバー部の両側部が各軌道溝に挿入された状態では、第一カバー部及び第二カバー部が第一外面に沿うように配されるため、第一外面上の空間が狭くても凹所の第一開口を容易に開閉することも可能である。
【0012】
また、前記収容構造においては、前記第一カバー部に連結された前記第二カバー部の基端部には、前記第二開口を覆う位置に配された状態で前記第二外面に当接する当接面から、前記第二カバー部の基端に向かうにしたがって前記第二外面から漸次離間するように、前記当接面に対して傾斜する傾斜案内面が形成されていることが好ましい。
【0013】
上記構成では、第二開口を覆う位置から開く位置まで第二カバー部を回動させる際に、第二カバー部全体が第一外面(あるいは第二外面に隣り合う軌道溝の内面)を含む仮想平面よりも上方に位置するように、第二カバー部を回動させなくても、第一開口を覆う位置から開く位置まで第一カバー部を容易に直線移動させることが可能となる。
具体的に説明すれば、第二開口を開く位置に配された第二カバー部の一部が上記仮想平面よりも下方に位置している状態で、第一開口を開く位置に向けて第一カバー部を直線移動させると、第二カバー部の傾斜案内面が第二外面と第一外面(あるいは軌道溝の内面)との角部(筐体角部)に当接する。そして、この当接状態から第一カバー部をさらに直線移動させると、傾斜案内面によって第一カバー部を移動させる力が第二カバー部を仮想平面の下方から上方に回動させる力に変換され、第二カバー部全体が仮想平面よりも上方に位置するまで第二カバー部が回動することになる。その結果として、第一カバー部を第一開口位置まで直線移動させることが可能となる。
以上のことから、凹所の開口を開くカバー部材の移動操作を容易に行うことが可能となる。
【0014】
また、前記収容構造において、前記作業対象が、配線によって電力供給源に電気接続された接続端子である場合には、前記第一開口を覆う位置から開く位置への前記第一カバー部の直線移動に連動して、前記配線を導通状態から非導通状態に切り換える第一切換スイッチと、前記第二開口を覆う位置から開く位置への前記第二カバー部の回動に連動して、前記配線を導通状態から非導通状態に切り換える第二切換スイッチとを備えるとよい。
なお、上記構成において、接続端子には、蓄電池や負荷装置等の受電装置、あるいは、ヒューズ等の電気部品を接続することが可能である。これにより、電源装置や蓄電池等の電力供給源から接続端子を介して受電装置や電気部品に電力を供給することができる。
【0015】
そして、上記構成では、凹所の開口が完全に閉じたときだけ、配線が二つの切換スイッチによって導通状態とされ、電力供給源と接続端子とが配線によって電気接続されるため、作業者の手が接続端子に誤って触れることを確実に防止できる。すなわち、感電事故が発生することを確実に防止できる。
また、凹所が完全に開いた状態において、例えば作業者の手が一方の切換スイッチに触れる等して一方の切換スイッチが配線を導通状態に切り換えたとしても、他方の切換スイッチは配線を非導通状態に保持しているため、電力供給源と接続端子とが電気接続されることはない。したがって、接続端子に対する受電装置や電気部品の着脱を行う際に接続端子と受電装置や電気部品との間に放電が生じること(活線挿抜の発生)を確実に防止できる。すなわち、接続端子に対する受電装置や電気部品の着脱を、確実かつ安全に実施することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、凹所に配された作業対象の作業性を向上できると共に、凹所を覆うカバー部材が不意に動いて凹所が開口してしまうことも防止できる。
また、凹所に配される作業対象が接続端子である場合には、凹所の開口が完全に閉じたときだけ接続端子に電力供給源の電圧が印加されるため、感電事故及び活線挿抜の発生を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る収容構造であって、カバー部材によって凹所の開口を完全に覆っている状態を示す斜視図である。
図2図1に示す収容構造において、凹所に収容される接続端子を含む回路構成の一例を示す概略図である。
図3図1に示す収容構造において、第二カバー部が第二閉塞位置から第二開口位置に回動した後の状態を示す斜視図である。
図4図3に示す収容構造において、第一カバー部が第一閉塞位置から第一開口位置に直線移動した後の状態を示す斜視図である。
図5図1に示す収容構造おいて、第一カバー部と第二カバー部との連結部分を示す要部拡大断面図である。
図6図3に示す収容構造において、第一カバー部と第二カバー部との連結部分を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜6を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,3,4に示すように、本実施形態に係る収容構造1は、筐体2に形成された凹所3内に接続端子(作業対象)4を設けると共に、凹所3の開口をカバー部材5によって開閉自在に覆うものである。
本実施形態における接続端子4は、例えば図2に示すように、電源側配線(配線)8によって電源装置や蓄電池等の電力供給源6に電気接続されるものである。この接続端子4には、蓄電池や負荷装置等の受電装置7の受電側配線(配線)9が着脱可能に接続されるようになっている。そして、接続端子4に受電側配線9を接続した状態では、電力供給源6から接続端子4を介して受電装置7に電力を供給することが可能である。
【0019】
また、上記回路構成には、電源側配線8の導通/非導通状態を切り換える二つの切換スイッチSW1,SW2が設けられている。これら二つの切換スイッチSW1,SW2は、二つの切換スイッチSW1,SW2両方がONとなった状態でのみ、電力供給源6と接続端子4とが電気接続され、二つの切換スイッチSW1,SW2の少なくとも一方がOFFとなった状態では、電力供給源6と接続端子4とが電気接続されないように設けられている。
なお、二つの切換スイッチSW1,SW2は、図2に示すように、電源側配線8に対して直列に設けられる断路器であってもよいが、これに限ることはない。二つの切換スイッチSW1,SW2は、例えば電源側配線8に設けられた一つの断路器(例えばリレー等)の動作を制御する制御用のスイッチであってもよい。
そして、上述した回路構成において、電源側配線8や切換スイッチSW1,SW2は図1に示す筐体2に設けられるものである。一方、電力供給源6は、例えば筐体2内部に設けられて電源側配線8に常時接続されてもよいし、受電装置7の場合と同様に、別個の接続端子によって電源側配線8に対して着脱可能に接続されてもよい。
【0020】
図1,3,4に示すように、筐体2に形成される凹所3は、互いに隣り合って直交する二つの平坦な外面2a,2bに開口するように形成されている。言い換えれば、凹所3は二つの外面2a,2bの角部に開口している。
本実施形態では、筐体2の第一外面2aに開口する凹所3の第一開口3A、及び、第二外面2bに開口する凹所3の第二開口3Bが、それぞれ平面視矩形状に形成され、互いに連なっている。また、二つの外面2a,2bの角部の長手方向(C方向)に沿う第一開口3A及び第二開口3Bの幅寸法は、互いに等しくなるように設定されている。
【0021】
また、第一開口3Aの縁部をなす凹所3の内側面11(凹所3の内面のうち第一外面2a及び第二外面2bに直交する二つの面)には、一対の軌道溝14が形成されている。各軌道溝14は、第一外面2aに沿って第一外面2aと第二外面2bとの角部に対して近接離間する一方向(AB方向)に延在している。各軌道溝14の延在方向の一端は、第二外面2bに開口している。
さらに、第一開口3Aの縁部をなす凹所3の第二底面13(第二外面2bから窪むように位置して第二外面2bに平行する凹所3の内面)には、凹所3と筐体2内部とを連通させる挿通スリット15が形成されている。この挿通スリット15は、後述するカバー部材5の一部(第一カバー部20)を挿通させる役割を果たす。なお、この挿通スリット15には、前述した各軌道溝14の延在方向の他端が開口している。
【0022】
上記構成の凹所3内に設けられる接続端子4は、複数の受電側配線9(図2参照)を一本ずつネジ止めにより接続する端子台として構成されており、第一外面2aから窪むように位置する凹所3の第一底面12(凹所3の内面のうち第一外面2aに平行する面)に固定されている。また、接続端子4に接続される電源側配線8(図2参照)は、筐体2内部に設けられている。
【0023】
カバー部材5は、凹所3の第一開口3Aを覆う第一カバー部20と、第二開口3Bを覆う第二カバー部30とを備えている。これら第一カバー部20及び第二カバー部30は、それぞれ第一開口3A及び第二開口3Bに対応する平面視矩形の板状に形成されている。なお、本実施形態では、外部から凹所3内の接続端子4を容易に視認できるように第一カバー部20及び第二カバー部30がアクリル等のように光透過率の高い樹脂材料によって形成されているが、これに限ることはなく、任意の材料によって形成されてよい。
【0024】
第一カバー部20は、第一外面2aに沿って第一外面2aと第二外面2bとの角部に対して近接離間する一方向(AB方向)に直線移動可能とされて、凹所3の第一開口3Aを開閉自在としている。
具体的に説明すれば、第一カバー部20の両側部は各軌道溝14に挿入されており、これによって、第一カバー部20は軌道溝14の延在方向(AB方向)に摺動可能となっている。また、第一カバー部20は、第一開口3Aを覆う位置(第一閉塞位置20A)に配された状態から、軌道溝14の延在方向の一端側から他端側に向かう方向(A方向・第一外面2aと第二外面2bとの角部から離れる方向)に直線移動することで、挿通スリット15から筐体2内部に入り込み、第一開口3Aを開く位置(第一開口位置20B)に配される。
【0025】
この第一カバー部20は、第一閉塞位置20Aと第一開口位置20Bとの間でのみ直線移動可能とされており、この範囲を超える移動は筐体2に形成された規制部16,17によって規制されている。
すなわち、各軌道溝14の延在方向の一端側には、第一閉塞位置20Aに配された第一カバー部20の両側部を当接させる第一規制部16が形成されている。これにより、第一カバー部20は、第一閉塞位置20Aから筐体2外部に抜け出る方向(B方向)に移動することが規制されている。言い換えれば、第一規制部16は、第一カバー部20が軌道溝14の一端から抜け落ちることを防止している。
一方、筐体2の内部には、第一開口位置20Bに配された第一カバー部20に当接する第二規制部17が形成されている。すなわち、第一カバー部20は、第二規制部17によって第一開口位置20Bからさらに筐体2内部に入り込む方向(A方向)に移動することが規制されている。
【0026】
さらに、第二規制部17には、第一開口位置20Bに配された第一カバー部20を係止する第一係止部材(係止部材)18が設けられている。本実施形態では、第一係止部材18が磁石からなり、第一カバー部20のうち第一係止部材18に当接する部分には、磁力で磁石に吸着する鉄等の磁性体(被係止部)21が設けられている。このため、第一カバー部20が第一開口位置20Bに配された状態では、第一カバー部20の磁性体21が磁力によって筐体2側の第一係止部材18に吸着することで、第一カバー部20が第一開口位置20Bに保持される。なお、第一カバー部20は所定の大きさの磁力(所定の力)によって第一係止部材18に係止されているため、所定以上の力であれば、第一カバー部20を第一開口位置20Bから第一閉塞位置20Aに向けて直線移動させることが可能である。
【0027】
第二カバー部30は、蝶番40によって、二つの外面2a,2bの角部の長手方向(C方向)に沿う軸線を中心として、第一閉塞位置20Aに配された第一カバー部20のうち二つの外面2a,2bの角部に位置する一端部に対して回動可能に連結されている。これにより、第二カバー部30は、第一カバー部20が第一閉塞位置20Aに配された状態でDE方向に回動することで、凹所3の第二開口3Bを開閉自在としている。
この第二カバー部30が第二開口3Bを覆う位置(第二閉塞位置30A)に配された状態では、第二開口3Bに対向する第二カバー部30の主面の周縁部分が筐体2の第二外面2bのうち第二開口3Bの周縁部分に当接している。なお、本実施形態では、筐体2の二つの外面2a,2bが互いに直交しているため、図5に示すように、第一カバー部20に対する第二カバー部30の角度θ1が90度となる。
また、第二カバー部30が第二閉塞位置30Aに配された状態では、第二カバー部30の主面が第二外面2bに当接するため、第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bへの第一カバー部20の直線移動(A方向への移動)が規制されている。
【0028】
そして、第二カバー部30は、第二閉塞位置30Aに配された状態から、図3,6に示すように、第二外面2bから離間する方向(D方向)に回動することで、第二開口3Bを開く位置(第二開口位置30B)に配される。
なお、第二カバー部30が第二開口位置30Bに配されると共に第一カバー部20が第一閉塞位置20Aに配されている状態、すなわち、第二開口3Bのみが開いている状態では、作業者の手指を凹所3内に挿入できない、あるいは、作業者の手指が凹所3内に挿入されても接続端子4には到達できない。言い換えれば、第二開口3Bの大きさや接続端子4の配置は、作業者の手指を第二開口3Bのみから凹所3内に挿入できない程度、あるいは、作業者の手指が凹所3内に挿入されても接続端子4には到達しない程度に設定されている。
【0029】
また、第二カバー部30が第二開口位置30Bに配された状態では、第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bに向かう第一カバー部20の直線移動に伴って、第二カバー部30の両側部を各軌道溝14に挿入することが可能である(図3,4参照)。したがって、第二カバー部30が第二開口位置30Bに配された状態では、第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bへの第一カバー部20の直線移動(A方向への移動)が許容されている。
なお、図3に示す第二カバー部30の第二開口位置30Bは、第二カバー部30を第二閉塞位置30AからD方向に90度回動させた位置となっているが、少なくとも第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bへの第一カバー部20の直線移動が許容されている位置であればよい。すなわち、第二開口位置30Bは、例えば第二カバー部30を第二閉塞位置30AからD方向に90度以下の角度で回動させた位置(図5,6参照)や、D方向に90度よりも大きな角度で回動させた位置も含む。
【0030】
そして、図1,3,4に示すように、第二カバー部30のうち第一カバー部20の一端部に連結された基端部とは反対側の先端部には、第二カバー部30の厚さ方向に貫通する挿通孔31が形成されている。この挿通孔31は、凹所3内の接続端子4に接続される受電側配線9を凹所3の内外に挿通させる役割を果たすものである。
そして、この挿通孔31は、第二カバー部30の主面の周縁のうち第二カバー部30の先端部分に開口している。言い換えれば、挿通孔31は、第二カバー部30の主面の周縁のうち第二カバー部30の先端部分から内側に窪むように形成されている。このため、接続端子4に接続された受電側配線9が凹所3内から外部に延びていても、受電側配線9が第二開口3Bを開閉する第二カバー部30の回動を阻害することを防止できる。
なお、挿通孔31の大きさは前述した第二開口3Bよりも小さいため、第二カバー部30を第二閉塞位置30Aに配した状態では、凹所3内の接続端子4に接続される受電側配線9を挿通孔31に挿通できるものの、作業者の手指を挿通孔31から凹所3内に挿入できない、あるいは、作業者の手指が挿通孔31から凹所3内に挿入されても接続端子4に到達することは無い。
【0031】
また、この第二カバー部30には、作業者がカバー部材5を操作するための把持部32が設けられている。把持部32は、第二カバー部30を第二閉塞位置30Aに配した状態で、第二外面2bから離間するように第二カバー部30から突出している。なお、図示例における把持部32は、棒状部材をC字状に屈曲させた上でその両端を第二カバー部30に固定しているが、把持部32の形状や大きさ等は任意であってよい。
【0032】
さらに、図5に示すように、第一カバー部20の一端部に連結された第二カバー部30の基端部には、傾斜案内面34が形成されている。傾斜案内面34は、第二閉塞位置30Aに配された状態で第二外面2bに当接する第二カバー部30の主面の周縁部分(当接面33)から、第二カバー部30の基端に向かうにしたがって第二外面2bから漸次離間するように、当接面33に対して傾斜している。そして、本実施形態では、第二カバー部30が第二閉塞位置30Aに配された状態において、当接面33と傾斜案内面34との境界が、第二外面2bに隣り合って第一外面2aに平行する軌道溝14の内面14aを含む仮想平面P1よりも下方に位置し、傾斜案内面34の一部が仮想平面P1よりも上方に位置している。
【0033】
以上のように構成される第二カバー部30は、図1,3,4に示すように、第二閉塞位置30Aに配された状態で筐体2に設けられた第二係止部材(係止部材)19によって係止されるようになっている。
具体的に説明すれば、第二係止部材19は、第一係止部材18と同様の磁石からなり、筐体2のうち第二開口3Bの縁部をなす凹所3の内側面11に設けられている。一方、第二カバー部30のうち第二係止部材19に当接する部分には、磁力で磁石に吸着する鉄等の磁性体(被係止部)35が設けられている。このため、第二カバー部30が第二閉塞位置30Aに配された状態では、第二カバー部30の磁性体35が磁力によって第二係止部材19に吸着することで、第二カバー部30が第二閉塞位置30Aに保持される。なお、第二カバー部30は所定の大きさの磁力(所定の力)によって第二係止部材19に係止されているため、所定以上の力であれば、第二カバー部30を第二閉塞位置30Aから第二開口位置30Bに向けて回動させることが可能である。
【0034】
以上のように構成されるカバー部材5に対し、本実施形態の回路構成をなす第一切換スイッチSW1は、筐体2内部のうち第一カバー部20の移動経路の途中に配されている。本実施形態の第一切換スイッチSW1は、押下スイッチの一種であり、外力によって押し下げられた状態で電源側配線8を非導通状態(OFF状態)とし、押し下げられていない状態で電源側配線8を導通状態(ON状態)とするように構成されている。
そして、この第一切換スイッチSW1は、第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bへの第一カバー部20の直線移動に連動して、電源側配線8を導通状態から非導通状態に切り換えるように設定されている。具体的に説明すれば、第一カバー部20が第一閉塞位置20Aに配されている状態では、第一カバー部20が第一切換スイッチSW1から離れて位置し、第一切換スイッチSW1は押し下げられておらずONとなっている。このON状態から、第一カバー部20が第一開口位置20Bに向けて直線移動させると、第一切換スイッチSW1が第一カバー部20によって押し下げられてOFFとなる。
【0035】
一方、第二切換スイッチSW2は、第二開口3Bの周縁をなす第二外面2bから突出するように筐体2に設けられている。本実施形態の第二切換スイッチSW2は、第一切換スイッチSW1と同様の押下スイッチの一種であるが、外力によって押し下げられた状態で電源側配線8を導通状態(ON状態)とし、押し下げられていない状態で電源側配線8を非導通状態(OFF状態)とするように構成されている。
そして、この第二切換スイッチSW2は、第二閉塞位置30Aから第二開口位置30Bへの第二カバー部30の回動に連動して、電源側配線8を導通状態から非導通状態に切り換えるように設定されている。具体的に説明すれば、第二カバー部30が第二閉塞位置30Aに配されている状態では、第二切換スイッチSW2が第二カバー部30によって押し下げられてONとなっている。このON状態から、第二カバー部30が第二開口位置30Bに向けて回動すると、第二カバー部30が第二切換スイッチSW2から離れて第二切換スイッチSW2の押し下げ状態が解除され、第二切換スイッチSW2がOFFとなる。
【0036】
次に、以上のように構成される本実施形態の収容構造1の作用について、以下の表1も参照して説明する。
なお、表1における「接触可否」の欄は、作業者による凹所3内の接続端子4への接触の可否を示している。また、「電気接続」の欄は、電力供給源6と接続端子4との電気接続状態を示し、「○」が電気接続されている状態、「×」が電気接続されていない状態をそれぞれ示している。
【0037】
【表1】
【0038】
本実施形態の収容構造1において、図1に示すように、凹所3の開口がカバー部材5によって完全に覆われている状態(表1における「状態1」)では、第一カバー部20及び第二カバー部30がそれぞれ凹所3の第一開口3A及び第二開口3Bを覆っている。このため、作業者は凹所3内の接続端子4に触れることができない。また、この状態においては、第二カバー部30が第二係止部材19によって所定の力で第二閉塞位置30Aに保持されている。さらに、この状態においては、第一切換スイッチSW1及び第二切換スイッチSW2の両方がONとなっており、電力供給源6と接続端子4とが電気接続されている。
なお、この状態においては、第二カバー部30が第二閉塞位置30Aに配されているため、第一カバー部20のみを第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bに向けて直線移動させることはできない。
【0039】
そして、図1に示す状態から、例えば凹所3内の接続端子4に受電装置7の受電側配線9を接続する場合には、はじめに、作業者が把持部32を掴んで、図3に示すように、第二カバー部30を第二閉塞位置30Aから第二開口位置30BまでD方向に回動させる。この回動後の状態(表1における「状態2」)では、第二開口3Bが開いているものの第一開口3Aは閉じている。このため、作業者は凹所3内の接続端子4に触れることができない。また、この状態においては、第一切換スイッチSW1がONとなっているが、第二切換スイッチSW2がOFFとなるため、電力供給源6と接続端子4とは電気接続されない。
【0040】
次いで、作業者が把持部32を掴んだままで、図4に示すように、第一カバー部20を第一閉塞位置20Aから第一開口位置20BまでA方向に直線移動させる。この移動の際には、第二カバー部30を第二外面2b側から軌道溝14に挿入し、第二カバー部30も第一カバー部20と同様にA方向に直線移動させる。この移動後の状態(表1における「状態3」)では、第一開口3A及び第二開口3Bの両方が開いている、すなわち、凹所3の開口が完全に開いた状態となる。また、この状態においては、第一カバー部20が第一係止部材18によって所定の力で第一開口位置20Bに保持されている。
なお、図4に示す状態では、第一開口3Aの一部が第二カバー部30によって覆われているものの、第二カバー部30の大きさは第一カバー部20よりも十分に小さいため、また、第二カバー部30に挿通孔31が形成されているため、作業者は容易に凹所3内の接続端子4に触れて作業することができる。また、この状態においては、第一切換スイッチSW1及び第二切換スイッチSW2の両方がOFFとなり、電力供給源6と接続端子4とは電気接続されない。
【0041】
したがって、作業者は、接続端子4に電力供給源6の電圧が印加されていない状態で、受電側配線9を接続端子4に接続することができる。なお、図4に示す状態では、第二切換スイッチSW2が外部に露出しているため、作業者の手指等によって不意に押し下げられてONとなる場合がある(表1の「状態4」参照)。しかし、このような場合であっても、第一切換スイッチSW1が第一カバー部20によってOFF状態に保持されているため、電力供給源6と接続端子4とが電気接続されることはない。
【0042】
そして、接続端子4に対する受電側配線9の接続が完了した後は、作業者が把持部32を掴んで、第一カバー部20及び第二カバー部30をB方向に直線移動させ、図3に示すように、第一カバー部20を第一閉塞位置20Aに配した後、さらに第二カバー部30を第二開口位置30BからE方向に回動させて、第二閉塞位置30Aに配すればよい。ここで、第二カバー部30には挿通孔31が形成されているため、上記回動の際に、凹所3内から外部に引き出された受電側配線9が第二カバー部30に干渉することを防止できる。
この状態(表1の「状態1」)では、凹所3の開口がカバー部材5によって完全に覆われると共に、第一切換スイッチSW1及び第二切換スイッチSW2の両方がONとなるため、電力供給源6と接続端子4とが電気接続される。すなわち、電力が電力供給源6から接続端子4を介して受電装置7に供給されることになる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の収容構造1によれば、凹所3の開口を完全に開いた状態では、凹所3が隣り合う二つの外面2a,2bに開口しているため、凹所3内に作業者の手指を容易に挿入して接続端子4に対する操作等を簡便に行うことができる。すなわち、接続端子4を操作する作業性の向上を図ることができる。
また、凹所3の開口が完全に閉じている状態では、第一カバー部20の第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bへの移動が第二カバー部30によって規制されているため、仮に、不意の外力(所定以上の力)がカバー部材5に作用したとしても、第二カバー部30が回動するだけであり、凹所3の開口が完全に開いてしまうことを確実に防止できる。したがって、凹所3内に配された接続端子4に対する作業者の操作ミス(誤操作)を確実に防ぐことができる。
【0044】
特に、本実施形態の収容構造1では、凹所3の開口が完全に閉じているときだけ、電源側配線8が導通状態とされ、電力供給源6と接続端子4とが電気接続されるため、作業者の手が接続端子4に誤って触れることを確実に防止できる。すなわち、作業者の操作ミスによる感電事故が発生することを確実に防止できる。
また、受電側配線9を接続端子4に対して着脱する際に、外部に露出する第二切換スイッチSW2がONになったとしても、第一切換スイッチSW1はOFF状態に保持されるため、上記着脱の際に、受電側配線9と接続端子4との間に不意の放電が生じること(活線挿抜の発生)を確実に防止できる。したがって、活線挿抜に基づく受電側配線9や接続端子4の焼損の発生や、電力供給源6や受電装置7等の回路の支障発生を確実に防止できる。
以上のことから、接続端子4に対する受電側配線9の着脱を安全かつ確実に実施することが可能となる。なお、この効果は、電力供給源6が高電圧(例えばDC500V)である場合に、特に有効である。
【0045】
また、本実施形態の収容構造1によれば、凹所3の開口が完全に閉じている状態では、第二カバー部30が第二係止部材19によって所定の力で第二閉塞位置30Aに保持されているため、所定以上の力が第二カバー部30に作用しない限り、第二開口3Bが開くことはない。すなわち、第二開口3Bが意図せず開いてしまうことをより確実に防ぐことができる。
一方、凹所3の開口が完全に開いている状態では、第一カバー部20が第一係止部材18によって所定の力で第一開口位置20Bに保持されているため、所定以上の力が第一カバー部20に作用しない限り、第一開口3Aが閉じることはない。すなわち、第一開口3Aが意図せず閉じてしまうことをより確実に防ぐことができる。
【0046】
さらに、これら係止部材18,19によって凹所3の開口が完全に閉じた状態あるいは開いた状態に保持されるため、凹所3の第一開口3Aや第二開口3Bの向きを任意に設定することが可能となる。
具体的に説明すれば、例えば第二開口3Bが鉛直下向きとなるように筐体2が配置された場合、第二閉塞位置30Aに配された第二カバー部30が自重によって第二開口位置30Bに向けてD方向に回動する虞があるが、第二係止部材19が設けられていることで、第二カバー部30を第二閉塞位置30Aに保持することができる。すなわち、凹所3の開口を完全に閉じた状態に保持できる。
【0047】
また、上記のように筐体2が配置された場合、第一開口位置20Bに配された第一カバー部20が自重によってB方向に直線移動する虞があるが、第一係止部材18が設けられていることで、第一カバー部20を第一開口位置20Bに保持することができる。すなわち、凹所3の開口を完全に開いた状態に保持でき、その結果として、接続端子4を操作する作業性を確保できる。
したがって、本実施形態の収容構造1によれば、例えば、第二開口3Bが鉛直下向きとなるように筐体2を建物等の壁に設置することも可能となる。
【0048】
また、本実施形態の収容構造1によれば、第一カバー部20を第一閉塞位置20Aと第一開口位置20Bとの間で直線移動させる際には、第二カバー部30の両側部が軌道溝14に挿入されているため、第一カバー部20に対する第二カバー部30の回動が軌道溝14によって規制されることになる。したがって、第一カバー部20及び第二カバー部30を滑らかに直線移動させて、カバー部材5による第一開口3Aの開閉を簡便に行うことが可能となる。
さらに、第一カバー部20及び第二カバー部30の両側部が各軌道溝14に挿入された状態では、第一カバー部20及び第二カバー部30が第一外面2aに沿うように配されるため、第一外面2a上の空間が狭くても、凹所3の第一開口3Aを容易に開閉することも可能である。言い換えれば、本実施形態の収容構造1は、狭いスペースに設置して使用することも可能である。
【0049】
さらに、本実施形態の収容構造1では、第二カバー部30の基端部に傾斜案内面34が形成されていることで、例えば図6に示すように、第二開口位置30Bに配された第二カバー部30全体が、軌道溝14の内面14aを含む仮想平面P1よりも上方に位置していなくても、第一カバー部20を第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bまで容易に直線移動させることが可能である。
具体的に説明すれば、第二開口位置30Bに配された第二カバー部30の一部が仮想平面P1よりも下方に位置している状態(第二カバー部30が第二閉塞位置30AからD方向に90度以下の角度で回動させた位置に配されている状態)で、第一開口位置20Bに向けて第一カバー部20をA方向に直線移動させた際には、傾斜案内面34が第二外面2bと軌道溝14の内面14aとの角部(筐体角部)に当接する。
【0050】
そして、この当接状態から第一カバー部20をさらにA方向に移動させると、筐体角部に当接した傾斜案内面34によって、第一カバー部20をA方向に直線移動させる力が第二カバー部30をD方向に回動させる力に変換されるため、第二カバー部30全体が仮想平面P1よりも上方に位置するまで第二カバー部30がD方向に回動することになる。その結果として、第二カバー部30の両側部が軌道溝14に挿入され、第一カバー部20を第一開口位置20Bまで直線移動させることが可能となる。
以上のことから、凹所3の開口を開くカバー部材5の移動操作を容易に行うことが可能となる。
【0051】
以上、上記実施形態により本発明の詳細を説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、第二カバー部30に形成される挿通孔31が、第二カバー部30の主面の周縁のうち第二カバー部30の先端部分に開口しているが、少なくとも第一カバー部20に連結された基端部を除く第二カバー部30の主面の周縁に開口していればよい。したがって、挿通孔31は、例えば側部に位置する第二カバー部30の主面の周縁のうち第二カバー部30の側部に開口してもよい。
【0052】
また、筐体2には、第一カバー部20や第二カバー部30を第一外面2aよりも下側においてAB方向に直線移動させるための軌道溝14及び挿通スリット15が形成されることに限らず、少なくとも第一カバー部20を第一閉塞位置20Aと第一開口位置20Bとの間で直線移動させるための構造が形成されていればよい。したがって、筐体2には、例えば第一カバー部20を第一外面2a上において直線移動させるためのガイドレールが形成されてもよい。このような構成では、第一カバー部20を第一閉塞位置20Aから第一開口位置20Bに向けて移動させる際には、第二カバー部30も第一外面2a上に配されることになる。また、第一切換スイッチSW1や第二規制部17、第一係止部材18は、上記実施形態のように筐体2内部に配されるのではなく、第一外面2aから突出するように設けられていればよい。
【0053】
さらに、第一係止部材18及び第二係止部材19は、上記実施形態のように磁石に限らず、少なくとも所定の力で第一カバー部20を第一開口位置20Bに保持したり、第二カバー部30を第二閉塞位置30Aに保持したりする任意の部材であればよい。したがって、第一係止部材18や第二係止部材19は、例えば留め金であってもよい。
また、第一係止部材18及び第二係止部材19は、上記実施形態において示した位置に配されることに限らず、少なくとも筐体2に設けられていればよい。
さらに、第一係止部材18及び第二係止部材19は、特に設けられていなくても構わない。
【0054】
さらに、凹所3内に収容される接続端子4は、受電側配線9をネジ止めにより接続する端子台に限らず、例えば差込型のコネクタであってもよい。この場合、受電側配線9にも接続端子4に差込可能なコネクタを設ければよい。
また、接続端子4には、受電側配線9が接続されることに限らず、例えばヒューズ、コンデンサ等の各種電気部品が着脱可能に接続されてもよい。この場合、接続端子4に接続された電気部品は、凹所3内に収容されると共にカバー部材5によって覆われることが好ましく、接続端子4に対する電気部品の活線挿抜を確実に防止できる。
また、凹所3内には、接続端子4が収容されることに限らず、操作スイッチ等のように誤操作を防止すべき任意の作業対象が収容されればよい。
【0055】
また、凹所3が開口する二つの平坦な外面2a,2bは、上記実施形態のように互いに直交することに限らず、少なくとも互いに異なる方向に傾斜していればよい。
【符号の説明】
【0056】
1 収容構造
2 筐体
2a 第一外面
2b 第二外面
3 凹所
3A 第一開口
3B 第二開口
4 接続端子(作業対象)
5 カバー部材
6 電力供給源
7 受電装置
8 電源側配線(配線)
11 内側面
14 軌道溝
18 第一係止部材(係止部材)
19 第二係止部材(係止部材)
20 第一カバー部
20A 第一閉塞位置
20B 第一開口位置
30 第二カバー部
30A 第二閉塞位置
30B 第二開口位置
33 当接面
34 傾斜案内面
SW1 第一切換スイッチ
SW2 第二切換スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6