(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記侵入検出機器は、水平材や支柱等に取り付けられるので、不法侵入者に発見されやすいといった問題点があった。そのため、不法侵入者が侵入検出機器を避けて通ったり、不法侵入者によって侵入検出機器が壊されたりすることがあった。
【0007】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、不法侵入者の侵入を検出するための侵入検出機器が不法侵入者に容易に気づかれ難い仮設足場用階段を提供することを、その課題とする。また、この仮設足場用階段を用いた仮設足場用防犯システムを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される仮設足場用階段は、仮設足場に用いられ、踏面が略水平方向に沿うようにして配設される複数の踏板部材を有する仮設足場用階段であって、昇降側に位置する侵入者を検出するための検出手段と、前記検出手段を前記踏板部材に取り付けるための取付部材とを備え、前記取付部材は、前記昇降側とは反対の前記踏板部材の奥行き側に配設されて
おり、一端にフランジ片を有する矩形状の本体板からなるとともに、前記踏板部材の奥行き側端部に添装される前記フランジ片と、下方から締め込み可能な締結部材とによって前記踏板部材を上下方向に挟み込むことにより、前記踏板部材に取り付けられることを特徴としている。
【0010】
本発明の仮設足場用階段において、前記取付部材は、前記複数の踏板部材のうち下方に配設されるいずれかの踏板部材に取り付けられるとよい。
【0011】
本発明の仮設足場用階段において、前記踏板部材は、アルミニウム合金製でありかつ少なくとも前記奥行き側端部がボックス状に形成されているとよい。
【0012】
本発明の仮設足場用階段において、前記検出手段は、前記侵入者の存在を電磁波によって検出するパッシブセンサであるとよい。
【0013】
本発明の第2の側面によって提供される仮設足場用防犯システムは、本発明の第1の側面によって提供される仮設足場用階段と、前記検出手段から出力される検出信号を受信する受信手段と、前記受信手段が前記検出信号を受信することに基づいて外部に報知する報知手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の仮設足場用階段によると、検出手段(例えば検出センサ)が取付部材によって踏板部材の奥行き側に取り付けられるので、仮設足場へ侵入する不法侵入者に検出手段が容易に気づかれ難くなり、検出手段が不法侵入者に避けて通られたり壊されたりすることを抑制することができる。また、現場作業で用いられる例えば生コン、モルタル及び塗料等が飛散しても、検出手段に付着し難くなる。したがって、検出手段自体の動作不良を引き起こす可能性を少なくすることができる。
【0015】
また、本発明の仮設足場用防犯システムによると、検出手段からの検出信号は受信手段に送られ、報知手段によって外部に報知される。そのため、例えば報知手段が警報器の場合、警報に驚いた不法侵入者を仮設足場から退散させることができ、仮設足場やマンション等への不法侵入者の侵入を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る仮設足場用階段を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図2は、
図1に示す検出センサの正面図である。
図3は、
図2に示すA−A矢視図である。
【0019】
本実施形態に係る仮設足場用階段1(以下、単に「階段1」という。)は、例えば建築現場等の仮設足場に設置され、現場作業者が仮設足場の上層と下層との間を昇降するために用いられる。仮設足場は、図示しない複数の支柱とそれらに係止する複数の水平材Hを備え、隣り合う水平材H間に例えば床付き布枠Bが掛止される。現場作業者は、この床付き布枠B上を歩行して仮設足場内を移動することができる。
【0020】
階段1は、
図1(b)に示すように、地面Gと仮設足場の二層目に配設された床付き布枠Bとの間に配置される。あるいは、図示していないが層ごとに配設された床付き布枠B同士間に配置される。
【0021】
階段1は、例えばアルミニウム合金製とされ、複数の踏板部材2と、これらの踏板部材2を左右から支持するための一対の支持部材3と、支持部材3の最下端部同士を連結するための連結部材4とによって構成される。複数の踏板部材2は、その踏面が略水平方向に沿うようにして等間隔に並列配置されている。
【0022】
踏板部材2は平板状とされ、より詳細には、
図3及び
図4に示すように、長尺状の平板5と、その長手方向に沿う奥行き側(
図3では左側)端部に形成されるボックス体6と、その長手方向に沿う手前側(
図3では右側)端部に形成されるボックス体7と、その長手方向に沿う中央部に形成されるボックス体8と、その短手方向に沿う両端部に設けられる断面略コ字状のはり材9,10(
図4参照)とを有している。上記ボックス体6〜8は、それぞれ中空構造とされ、踏板部材2を補強する目的で設けられている。
【0023】
複数の踏板部材2のうち、いずれかの踏板部材2(例えば下から2番目の踏板部材2)には、検出センサ11が設けられている。検出センサ11は、取付部材12によって横付けされて踏板部材2に取り付けられる。
【0024】
取付部材12は、側面視で略E字状に形成され、略矩形状の平板状に形成された本体板13と、本体板13の上端から水平方向に延びた上部フランジ片14と、本体板13の下端から水平方向に延びた下部フランジ片15と、本体板13の中央やや上部から水平方向に延びたボルト支持片16とによって構成される。上部フランジ片14は、踏板部材2に添装するためのものである。下部フランジ片15は、検出センサ11を保護するためのものである。
【0025】
ボルト支持片16には、両端部近傍にそれを貫通するように2つの開口(図略)が形成され、これらの開口に一致する上面の位置にナット17がそれぞれ溶接されている。ボルト支持片16の開口及びナット17には、ボルト18が下方から締結可能とされている。
【0026】
取付部材12は、
図2及び
図3に示すように、踏板部材2の奥行き側端部に上部フランジ片14を添装し、上記2つのボルト18を下方から締め付けることにより、踏板部材2のボックス体6を上部フランジ片14とボルト18とで挟み込むようにして踏板部材2に取り付けられる。
【0027】
本実施形態では、
図3に示すように、本体部14の表面からナット17の中心軸までの最短距離Lが上部フランジ片14の短手方向の幅Wの約1/2に設定されている。この構成によれば、取付部材12が上部フランジ片14とボルト18とによってボックス体6を挟み込む際、上部フランジ片14の短手方向の幅Wにおいて十分な長さが確保されているので、取付部材12が踏板部材2から外れ難くなっている。
【0028】
検出センサ11は、いわゆるパッシブセンサであって、例えば侵入者の移動によって生じる遠赤外線(電磁波)の変化に反応して不法侵入者の存在を検出するセンサである。検出センサ11は、検出領域を定める検出角度が平面視で例えば約5度とされ、側面視で約70度とされている。また、検出センサ11は、その正面方向の検出距離が約7mとされている。なお、検出センサ11は、その検出角度が若干程度、可変自在とされている。
【0029】
検出センサ11は、板状の本体11aとそれに取付自在とされたカバー11bとによって構成されている。本体11aは、図示しないセンサ部を有している。カバー11bは、半円筒状とされ例えばポリエチレン樹脂からなる。
【0030】
検出センサ11は、不法侵入者の存在を検出した場合にその検出信号を例えば426MHz帯の電波にして図略のコントローラ21(後述)に出力する機能を有する。なお、検出センサ11は、不法侵入者の存在を検出するものであれば、上記したパッシブセンサに限るものではない。
【0031】
上記構成によれば、不法侵入者が仮設足場に侵入し、検出センサ11が取り付けられた階段1を昇降しようとすると、検出センサ11が不法侵入者を検出する。これにより、検出センサ11はオン状態となり、検出信号を外部のコントローラ21(後述)に出力する。
【0032】
この場合、検出センサ11は、上記したように踏板部材2において昇降側と反対側の奥行き側といった、不法侵入者の目に入り難い箇所に取り付けられているため、不法侵入者に容易に気づかれ難くなっている。そのため、不法侵入者を適切に検出できるとともに、検出センサ11が不法侵入者に避けて通られたり、壊されたりすることを抑制することができる。
【0033】
また、検出センサ11は、踏板部材2の奥行き側に取り付けられるため、現場作業者が建築材料や足場材等を運搬中に検出センサ11にぶつける可能性が少なくなる。また、現場作業で用いられる、例えば生コン、モルタル及び塗料等の材料が飛散して付着することを抑制することができる。そのため、現場作業者が建築材料等をぶつけたり、あるいは生コン等の材料が検出センサ11に付着して固化したりすることによって動作不良を引き起こす可能性を少なくでき、検出センサ11を長期的に使用することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、踏板部材2がアルミニウム合金製とされている。アルミニウム合金は、例えば鋼板に比べ軟性が高いため、
図5に示すように、取付部材12を踏板部材2に取り付ける際にボルト18を比較的強めに締め込むようにすれば、踏板部材2のボックス体6の底部は、押し込まれるように撓んで変形する。したがって、取付部材12を踏板部材2に、より強固に固定することができる。また、本実施形態によれば、ボックス状のボックス体6に対してボルト18を締結するので、例えば板状に形成された踏板部材に比べて、ボルト18の締め込み量を少ない量ですませることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0035】
検出センサ11のカバー11bはポリエチレン樹脂で形成されているため、例えば太陽光が照射されることによって表面が劣化するおそれがある。しかし、本実施形態によれば、検出センサ11は踏板部材2の裏面側に配置されるため、雨にさらされたり太陽光が直接的に照射したりする可能性が少なくなり、検出センサ11の劣化を抑制することができる。
【0036】
検出センサ11の踏板部材2における取付位置は、
図6に示すように、仮設足場が一層のみの構成の場合、例えば下方に配置される踏板部材2(例えば下から2番目)が望ましい(横線部に検出領域を示す。)。取付部材12が下方に配置されると、不法侵入者Mの視界に入り難くなり、階段1の近傍にいる不法侵入者Mを確実に検出することができる。
【0037】
検出センサ11の踏板部材2における取付位置は、
図7に示すように、仮設足場が二層構成の場合、二層目の例えば下方に配置される踏板部材2(例えば下から2番目)が望ましい。すなわち、二層目に配された階段1の下方位置に検出センサ11が配されると、検出センサ11の検出領域が広範囲にわたることになり、二層目に昇っている不法侵入者Mを検出することができるとともに、一層目にいる不法侵入者Mをも検出することができる。したがって、階段1を昇降する不法侵入者Mを検出したい場合には、層ごとに検出センサ11を設置する必要がなく、設置数を削減することができ、ひいては部品コストの低減化を図ることができる。
【0038】
上記の階段1は、不法侵入者が仮設足場へ侵入するのを防止するための仮設足場用防犯システム(
図8参照)に適用することができる。すなわち、仮設足場用防犯システムは、検出センサ11、コントローラ21及び携帯電話機22によって構成される。
【0039】
コントローラ21は、検出センサ11からの検出信号を受信すると携帯電話機22にその旨を無線によって伝達するものである。なお、検出センサ11とコントローラ21との間には、検出センサ11からの検出信号を中継してコントローラ21に伝達するための中継機が必要に応じて設けられていてもよい。
【0040】
上記構成によると、検出センサ11は、上述したように不法侵入者を検出すると、検出信号を無線にしてコントローラ21に出力する。コントローラ21は、その検出信号を受信すると、その旨を携帯電話機22に送信する。これにより、携帯電話機22では、音声通話、メール又は呼び出し音等で不法侵入者が侵入したことが報知される。携帯電話機22を携帯している者は、建築現場にいない場合であっても、仮設足場に不法侵入者が侵入したことを知ることができ、適切な処置を施すことができる。なお、携帯電話機22に代えて、パソコン等であってもよい。
【0041】
また、この場合、検出センサ11は、検出信号を無線によって現場事務所側のコントローラ21に伝達するので、有線で信号を伝達する場合に比べ例えばケーブルの引き回しが不要であり、低コスト化を図ることができる。なお、検出センサ11は、センサ部と検出信号を無線にして出力する部分とが別途独立して設けられていてもよい。
【0042】
図9は、仮設足場用防犯システムの他の構成を示す図である。
図9に示すように、仮設足場側及び現場事務所側において不法侵入者が侵入したことを外部に警報するための警報機が設けられていてもよい。すなわち、仮設足場には足場側警報機23が設けられ、現場事務所には事務所側警報機24が設けられている。
【0043】
この場合、コントローラ21は、足場側警報機23及び事務所側警報機24を動作させるための機能を有する。すなわち、コントローラ21は、検出センサ11からの検出信号を受信すると、足場側警報機23に対して動作信号を無線によって伝達するとともに、同じ現場事務所に設けられた事務所側警報機24に対して動作信号を無線(又は有線)によって伝達する。
【0044】
足場側警報機23は、不法侵入者に警告したり不法侵入者を威嚇したりするためのものである。足場側警報機23は、例えば図示しない信号受信部、音声出力部及び光出力部を有している。足場側警報機23は、コントローラ21からの動作信号を信号受信部で受信すると、音声出力部から警告音を発したり、光出力部から点滅光を発したりする。
【0045】
なお、足場側警報機23は、音声出力部及び光出力部のうちいずれか一方のみが設けられていてもよい。また、足場側警報機23は、仮設足場の水平材や支柱に取り付けられていてもよいが、不法侵入者の目につき難い箇所、例えば検出センサ11と同様に階段1の踏板部材2の奥行き側に配置されることがより望ましい。また、足場側警報機23は、検出センサ11が検出したことをコントローラ21を介して受信するのではなく、検出センサ11から直接的に検出信号を受信し、それに基づいて外部に報知するようにしてもよい。
【0046】
事務所側警報機24は、不法侵入者を検出した場合に現場事務所内にいる現場作業者に報知するためのものである。事務所側警報機24は、足場側警報機23と同様に、図示しない信号受信部、音声出力部及び光出力部を有している。事務所側警報機24は、コントローラ21からの動作信号を信号受信部で受信すると、音声出力部から警告音を発したり、光出力部から点滅光を発したりする。
【0047】
この仮設足場用防犯システムによれば、仮設足場において検出センサ11によって不法侵入者が侵入するのを検出すると、コントローラ21にその旨を示す検出信号が伝達され、足場側警報機23及び事務所側警報機24において報知される。そのため、不法侵入者は足場側警報機23による報知に驚きその場を退散する可能性が高い。したがって、それ以上の仮設足場への侵入やマンション等の建築物への侵入を抑制することができる。また、現場事務所において、事務所側警報機24が報知することにより、現場事務所にいる作業員は、仮設足場に不法侵入者が侵入したことを確実に知ることができる。
【0048】
なお、上記構成においては、足場側警報機23及び事務所側警報機24のうちいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0049】
仮設足場用防犯システムは、上記構成に限らず、不法侵入者ではなく仮設現場で作業する現場作業者が、検出センサ11が設けられた階段1に近づいた場合には、足場側警報機23の報知を禁止する構成としてもよい。すなわち、例えば
図10に示すように、上述した
図9に示す構成に加えて、現場作業者が常時携帯する携帯発信機25と、携帯発信機25からの発信信号を受信する受信機26とを備えていてもよい。
【0050】
現場作業者が、検出センサ11が取り付けられた階段1に近づいた場合には、足場側警報機23で報知する必要がない。そのため、現場作業者が携帯する携帯発信機25から発信信号を発信させ、受信機26でこの発信信号を受信した場合には、検出センサ11にコントローラ21へ出力する検出信号を禁止する禁止信号を送信する。これにより、携帯発信機25を携帯する現場作業者が検出センサ11によって検出されても足場側警報機23は鳴動しないので、現場作業者は安心して作業を行うことができ、すなわち不法侵入者と現場作業者との区別を明確にすることができる。なお、受信機26は、検出センサ11と一体的に構成されていてもよい。
【0051】
なお、本発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態では、踏板部材2がアルミニウム合金製とされたが、これに限るものではなく、例えば鋼板製であってもよい。また、上記階段1、踏板部材2、取付部材12及び検出センサ11等は、上記した実施形態の形状、数量及び位置関係等に限るものではない。