(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950461
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】通線具、配線の検知方法と配線の取り出し方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/08 20060101AFI20160630BHJP
H02G 3/38 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
H02G1/08
H02G3/38 010
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-66739(P2013-66739)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-193032(P2014-193032A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年7月23日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年10月18日〜19日、NTTアクセスサービスシステム研究所において開催された、つくばフォーラム2012にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504415223
【氏名又は名称】株式会社ツール・ディポ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】疋田 慧
(72)【発明者】
【氏名】秋間 哲
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 毅
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】山岸 亮介
(72)【発明者】
【氏名】小椋 道弘
(72)【発明者】
【氏名】石関 明宏
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−037362(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3016111(JP,U)
【文献】
特開昭59−191411(JP,A)
【文献】
特開平10−201034(JP,A)
【文献】
特表2012−510789(JP,A)
【文献】
特開2005−278276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/08
H02G 3/38
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作側の支持筒と径の異なる複数の筒部が伸縮可能に配設された伸縮部とを備えた略L字状の外筒部と、
該外筒部内を進退可能で先端側にカメラを備えたケーブルと、
前記ケーブルの先端と前記伸縮部の先端の筒部とを連結した開口筒部と、
前記ケーブルに接続されていて前記カメラで撮影された画像を表示するディスプレイとを備え、
前記ケーブルを進退させることで前記伸縮部の複数の筒部を連動して伸縮させるようにしたことを特徴とする通線具。
【請求項2】
前記ケーブルには照明具が設けられている請求項1に記載された通線具。
【請求項3】
前記開口筒部には、把持部材が取り付けられている請求項1または2に記載された通線具。
【請求項4】
前記把持部材はフックまたは磁石部材である請求項3に記載された通線具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載された前記通線具の伸縮部を収縮させた状態で閉鎖空間の穴に挿入し、
前記カメラで撮影した配線ケーブル等の配線の画像を前記ディスプレイに表示させるようにしたことを特徴とする配線の検知方法。
【請求項6】
前記ケーブルを閉鎖空間内にある伸縮部に押し込むことで前記開口筒部を介して前記複数の筒部を前記ケーブルと共に直線状に伸張させるようにした請求項5に記載された配線の検知方法。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載された前記通線具の伸縮部を収縮させた状態で閉鎖空間の穴に挿入し、
前記ケーブルを伸ばして伸縮部を伸張させて前記カメラで撮影した配線ケーブル等の配線の画像を前記ディスプレイに表示し、
前記開口筒部に設けた把持部材によって前記配線を把持して、前記伸縮部を収縮させて閉鎖空間の穴から外部に持ち出すようにしたことを特徴とする配線の取り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば天井裏内の配線ケーブル等の各種の配線を検知する通線具と、この通線具を用いた配線の検知方法と配線の取り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の電線管の中に新たな電線やケーブル類を通線する手段として、特許文献1に記載された通線用呼び線捕捉工具が提案されている。この通線用呼び線捕捉工具は、一方のマンホールから通線ロッドを電線管内に挿通させて他方のマンホールで通線ロッドの呼び線を引き出して呼び線に新たな電線やケーブル類を接続して、一方のマンホールへ戻すようにしている。
この呼び線捕捉工具は、呼び線をとらえるためのフックを先端に装着した竹の子状の複数の短筒を備えた伸縮部材を先端に備え、更にその後方にカメラ装置、リンク部材、関節部材、長筒等を順次連結して備えている。そして、呼び線捕捉工具の後端部に設けた中空状の取っ手部材内に伸縮部材の先端側の短筒に連結したワイヤを挿入して、ワイヤの進退で伸縮部材を進退させている。
【0003】
この呼び線捕捉工具では、伸縮部材と取っ手部材の間に設けた関節部材をピニオンの回転によって屈曲可能とし、更にリンク部材を外部に露出する紐の巻き取りによって湾曲状に屈曲させるようにしている。このように、呼び線捕捉工具は屈曲可能な関節部材を備えたことで呼び線を捕捉できるエリアが拡大するとしている。
【0004】
また、
図7に示すように、従来、例えば家屋やマンションの部屋100の天井裏101には例えばメタルケーブル104をバインドハンガー105で吊るして配設している。しかし、天井裏の仕切り壁に設けた配管102から天井裏101内に配線ケーブル103を挿入する場合、天井裏101に配線ケーブル103を誘導する配管がないため、配管102から天井裏101内に配線ケーブル103を挿入して天井裏101内に落下させていた。そして、作業者が、天井のダウンライトの穴106から天井裏101にアクセスして配線ケーブル103を目視で探して手作業で取り出すことで通線を試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−37362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、家屋やマンションの部屋100の天井裏101に設けた配管102から天井裏101内に配線ケーブル103を挿入した場合、ダウンライトの穴106が小さく天井裏101は暗く障害物もあるので、作業者が天井裏101に落下した配線ケーブル103を探して取り出すことが困難であった。
また、作業者がダウンライトの穴106から天井裏101にアクセスできない場合には、部屋100の所有者の了承を得て天井に開口を形成して配線ケーブル103の通線を試みているが、配線ケーブル103の天井裏での落下位置を室内から検知することが困難であり、配線ケーブル103を取り出すために開口を大きく形成せざるを得ないため、その後に修復したとしても工事が煩雑であり、しかも部屋100内の見栄えが悪かった。
【0007】
また、上述した呼び線捕捉工具を用いてダウンライトの穴106から天井裏の配線ケーブルを捕捉しようとしても、呼び線捕捉工具はその長さが長いため、穴106から天井裏に呼び線捕捉工具を挿入することが困難であった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、天井裏等の狭い閉鎖空間であっても挿入可能で配線を探知できるようにした通線具、この通線具を用いた配線の検知方法と配線の取り出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による通線具は、操作側の支持筒と径の異なる複数の筒部が伸縮可能に配設された伸縮部とを備えた略L字状の外筒部と、外筒部内を進退可能で先端側にカメラを備えたケーブルと、ケーブルの先端と伸縮部の先端の筒部とを連結した開口筒部と、ケーブルに接続されていてカメラで撮影された画像を表示するディスプレイとを備え、ケーブルを進退させることで伸縮部の複数の筒部を連動して伸縮させるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、天井裏等の閉鎖空間の小さな穴や開口等の狭いスペースであっても通線具の伸縮部を収縮させた状態で挿入可能であり、伸縮部を伸張させて閉鎖空間内の配線等をカメラで撮影することでディスプレイで確認できる。
【0010】
また、ケーブルには照明具が設けられていてもよい。
閉鎖空間内の配線を照明具で照明してカメラで撮影できる。
【0011】
また、開口筒部には、把持部材が取り付けられていることが好ましい。
ディスプレイで表示された配線等を把持部材で把持して通線具を引き戻すことで配線等を取り出すことができる。
【0012】
また、把持部材はフックまたは磁石部材であってもよい。
フックまたは磁石部材によって配線等を把持することができる。
【0013】
本発明による配線の検知方法は、上述した通線具の伸縮部を収縮させた状態で閉鎖空間の穴に挿入し、カメラで撮影した配線ケーブル等の配線の画像をディスプレイに表示させるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、通線具は支持筒と伸縮部とで略L字状に形成されているため、伸縮部を収縮させた状態で閉鎖空間の穴に挿入し、カメラで閉鎖空間内に載置された配線を撮影してディスプレイで表示するので、作業者が目視確認できる。
【0014】
また、ケーブルを閉鎖空間内にある伸縮部に押し込むことで開口筒部を介して複数の筒部をケーブルと共に直線状に伸張させるようにしてもよい。
ケーブルは可撓性により自重で湾曲したりして直進できないが、伸縮部の複数の筒部を押し込んだケーブルによって直線状に伸ばすことができるので、直線状に進退させることができて、操作が容易になる。
【0015】
本発明による配線の取り出し方法は、上述した通線具の伸縮部を収縮させた状態で閉鎖空間の穴に挿入し、ケーブルを伸ばして伸縮部を伸張させてカメラで撮影した配線ケーブル等の配線の画像を前記ディスプレイに表示し、開口筒部に設けた把持部材によって配線を把持して閉鎖空間の穴から外部に持ち出すようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、通線具の伸縮部を収縮させて穴から閉鎖空間内に挿入し、伸縮部を伸張させて配線を探し、通線具のカメラで撮影した配線をディスプレイで確認する。そして、伸縮部の開口筒部に設けた把持部材によって配線を把持し、その後、伸縮部を収縮させて閉鎖空間の穴から引き出すことで配線を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による通線具は、天井裏等の閉鎖空間の小さな穴や開口等の狭いスペースであっても通線具の伸縮部を収縮させた状態で挿入可能であり、伸縮部を伸張させる等して閉鎖空間内の配線等を探してカメラで撮影することでディスプレイ上で確認できる。しかも、ケーブルが可撓性を有していても複数の筒部を伸張収縮することで直線的に進退させることができるので、操作が容易である。
【0017】
本発明による配線の検知方法によれば、通線具は支持筒と伸縮部とで略L字状に形成されているため、伸縮部を収縮させた状態で閉鎖空間の穴に挿入でき、カメラで閉鎖空間内に載置された配線を撮影してディスプレイで表示するので、作業者が容易に目視確認できる。
【0018】
本発明による配線の取り出し方法によれば、穴から閉鎖空間内に挿入した通線具のカメラで撮影した配線をディスプレイで確認でき、伸縮部の先端の開口筒部に設けた把持部材によって配線を把持して伸縮部と共に閉鎖空間の穴から取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態による通線具を天井裏に差し込んで配線ケーブルを検知する状態を示す説明図である。
【
図3】
図2に示す通線具の先端を示す要部断面図である。
【
図4】通線具の伸縮部を収縮した状態を示す部分拡大図である。
【
図5】通線具の先端に設けた開口筒部にフックまたは磁石部材を装着した状態の斜視図である。
【
図6】通線具を天井のダウンライトの穴へ挿入する状態を示す具体例の説明図である。
【
図7】従来技術における天井裏に落下した配線ケーブルを検知する状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態による通線具とこれを用いた天井裏の配線ケーブル取り出し方法について添付の
図1〜
図6に基づいて説明するが、上述した従来技術と同一または同様な部分や部材には同一の符号を用いて説明する。
図1において、例えば家屋やマンション等の部屋100の天井裏101に設けた配管102にはメタルケーブル104が天井裏101内に進入し、メタルケーブル104はケーブル固定部材であるバインドハンガー105によって支持され、更に天井裏101内から側部に延びて壁面3に設けたモジュラージャック4に連結されている。
【0021】
また、各部屋の天井裏101の仕切り部に設けた配管102には、メタルケーブル104と共に光ケーブル等の配線ケーブル103が挿通されており、この配線ケーブル103は端子部分が天井裏101内の天井2上に落下している。そして、天井2に予め形成されたダウンライトの穴106には本発明の実施形態による通線具1が配設されている。
【0022】
次に、通線具1について
図2から
図5により説明する。
図2に示す通線具1は、操作する側に設けた筒状の支持筒8と伸縮可能な伸縮部9とが金属製の曲がり部10を介して略L字状に形成されている。これら支持筒8、曲がり部10、伸縮部9は外筒部11を構成する。伸縮部9は曲がり部10に連結された最大径の第一筒部12、第二筒部13、第三筒部14、第四筒部15、最小径の第五筒部16が順次小径となって形成され、互いに伸縮可能に接続されている。これら第一〜第五筒部12〜16はいずれも円筒状のストレート構造とされている。
なお、伸縮部9は6つ以上の筒部を接続して形成してもよいし、4つ以下の筒部を接続して形成してもよい。また、曲がり部10について天井2のダウンライトの穴106に当たる等し易いため金属製とし、支持筒8と第一乃至第五筒部12〜16はカーボン等の強度が高く軽量の材質を用いることが好ましい。
【0023】
図3は伸縮部9における隣接する筒部同士の接続構造を示すものであり、例えば最小径の第五筒部16と次に大径の第四筒部15とにおいて、第四筒部15の先端にはリング状に内外に突出する先端フランジ部15aが形成され、第五筒部16の後端にはリング状に外側に突出する後端フランジ部16bが形成され、第四筒部15の先端フランジ部15aに第五筒部16の後端フランジ部16bが係合することで第五筒部16が第四筒部15から離脱しないように進退可能に接続されている。
上述の構成は第一筒部12と第二筒部13、第二筒部13と第三筒部14、第三筒部14と第四筒部15との間にも形成されている。そのため、第一乃至第五筒部12〜16が最も伸張した接続状態が
図2に示すものであり、最も収縮した接続状態が
図4に示すように各筒部12〜15の先端フランジ部12a、13a、14a、15aが互いに当接した構成となっている。なお、第五筒部16には先端フランジ部は設けられていないので
図4に現れない。通線具1は、L字状の外筒部11の全長部分のうちの伸縮部9を最も収縮させた状態で、天井2のダウンライトの穴106から侵入させて天井裏101内に保持することができる。
【0024】
そして、
図2において、支持筒8、曲がり部10及び伸縮部9はいずれも筒状に形成され、その内部には先端にカメラ18と照明具19を内蔵した線状のファイバーケーブル20が配設されている。
図3に示す伸縮部9の先端には第五筒部16の先端開口から更にファイバーケーブル20が突出して配設され、第五筒部16の先端外周面には雄ねじ部16cが形成され、ファイバーケーブル20の先端外周面にも雄ねじ部20aが形成されている。
【0025】
そして、伸縮部9の先端に装着される開口筒部21は内部貫通孔が二段に形成され、後端側の内周面には第五筒部16の雄ねじ部16cに螺合する拡径雌ねじ部21aが形成され、先端側の内周面にはファイバーケーブル20の雄ねじ部20aに螺合する小径雌ねじ部21bが形成されている。開口筒部21の拡径雌ねじ部21aと小径雌ねじ部21bが第五筒部16の雄ねじ部16cとファイバーケーブル20の雄ねじ部20aに螺合することで一体化されている。
そのため、支持筒8の後方において、ファイバーケーブル20を進退させることで、ファイバーケーブル20の先端部と伸縮部9の第一から第五筒部12〜16が一体に伸縮することになる。
【0026】
図2において、ファイバーケーブル20の後端部には、アダプタ22とディスプレイ23が連結されている。
また、
図3には、ファイバーケーブル20の先端部に撮影カメラ25と照明具26とが配設され、照明具26で照明した対象物である配線ケーブル103の先端を撮影カメラ25で撮影してファイバーケーブル20で送信させてディスプレイ23で画像を表示できる。
【0027】
また、
図5に示す開口筒部21において、先端面21cには1または複数、例えば4つの孔部27が形成され、これらの孔部27には、配線ケーブル103の先端部を掴むための把持部材が着脱可能とされている。
把持部材として、例えば
図5に示すように磁石部材28が設けられ、磁石部材28は、磁性を帯びていて配線ケーブル103を吸着する磁石体28aと孔部27へ嵌合される嵌合基部28bとで形成されている。
また、把持部材として、
図5に示すようにフック29を採用してもよい。フック29は予め先端を折り曲げた配線ケーブル103を引っ掛けるフック部29aと開口筒部21の孔部27に嵌合可能な嵌合基部29bとを有している。
【0028】
本実施形態による通線具1は上述の構成を備えており、次にその使用方法を説明する。
まず、
図1において、部屋100の天井裏101を仕切る壁面に設けられた配管102を通して配線ケーブル103を天井裏101内に侵入させ、天井2に落下させる。次に、通線具1における支持筒8内のファイバーケーブル20を引き出し、伸縮部9における第一から第四筒部12〜15を互いの先端フランジ部12a〜15aが当接するように収縮させ且つ第五筒部16に連結した開口筒部21が先端フランジ部15aに当接するように最短長さに収縮させる。そして、開口筒部21の孔部27に例えば磁石部材28の嵌合基部28bを嵌合させて、通線具1の伸縮部9を天井2に対して
図6に示すように斜めにして、天井2に形成されたダウンライトの穴106から挿入する。そして、
図1に示すように伸縮部9を略水平な状態に保持する。
【0029】
次に、天井裏101内で、ファイバーケーブル20の照明具26で周囲を照らし、撮影カメラ25で天井裏101の撮影画像を撮影してディスプレイ23に表示して配線ケーブル103を探す。撮影カメラ25の撮影方向を変えるには支持筒8を把持して通線具1を旋回させればよい。その際、随時、ファイバーケーブル20を支持筒8内に押し込んで伸縮部9の第一から第五筒部12〜16を伸張させて配線ケーブル103を探すことができる。
作業者がディスプレイ23で配線ケーブル103を見つけた場合、ファイバーケーブル20を支持筒8内に押し込んで通線具1の先端の開口筒部21を第五筒部16と共に引き伸ばし、開口筒部21の孔部27に嵌合させた磁石部材28に配線ケーブル103を吸着させる。そして、通線具1の伸縮部9を収縮させた後、伸縮部9の姿勢を斜めにしてダウンライトの穴106から部屋100内に戻して配線ケーブル103を引き出す。
そして、配線ケーブル103を磁石部材28から外して、壁面に沿わせて例えばモジュラージャック4の配線に接続する。
【0030】
或いは、モジュラージャック4に接続されたMJ用配線ケーブル31が天井裏101内に延びている場合には、再度、通線具1の伸縮部9をダウンライトの穴106から天井裏101内に挿入する。そして、照明具26で周囲を照射しながら撮影カメラ25で撮影し、伸縮部9を旋回させてMJ用配線ケーブル31を探す。
そして、MJ用配線ケーブル31をディスプレイ23で見つけると、配線ケーブル103と同様に伸縮部9の磁石部材28で吸着する。その後、ファイバーケーブル20を支持筒8から引き出して伸縮部9を収縮させて、ダウンライトの穴106から引き出すことができる。そして、配線ケーブル103とMJ用配線ケーブル31を接続することができる。
【0031】
なお、配線ケーブル103やモジュラージャック4のMJ用配線ケーブル31の先端を予め折り曲げておき、通線具1の開口筒部21にフック29を嵌合させてフック29で配線ケーブル103やMJ用配線ケーブル31を引っ掛けて天井裏101から部屋100内に引き込んでもよい。
【0032】
図6は部屋100から天井2のダウンライトの穴106を通して天井裏101内へ通線具1を挿入する際の一例を示すものである。
例えば天井裏101の高さを20cmとし、通線具1の収縮状態での伸縮部9の長さを30cm以下とし、ダウンライトの穴106の内径を10cmとする。この場合、通線具1の伸縮部9を天井2に対して45°の角度で穴106内に挿入することで天井裏101内に容易に挿入が可能である。
【0033】
上述のように本実施形態による通線具1によれば、通線具1を略L字状に形成して伸縮部9を伸縮可能にしたから、伸縮部9を収縮状態にしてダウンライトの穴106から天井裏101に挿入し、配線ケーブル103やMJ用配線ケーブル31を磁石部材28やフック29で吸着または係合させ、穴106から部屋100内に容易に取り出すことができる。
しかも通線具1は第一から第五筒部12〜16がそれぞれ直線状である上に伸縮部9においてファイバーケーブル20と第五筒部16を開口筒部21で結合したから、ファイバーケーブル20が可撓性があって湾曲し易くても第一筒部12〜第五筒部16を直線状に伸縮させることでファイバーケーブル20も直線状に伸縮できるので、撮影カメラ25や磁石部材28またはフック29の操作が容易になる。
【0034】
また、本実施形態による配線ケーブル103やMJ用配線ケーブル31の取り出し方法によれば、通線具1の伸縮部9をダウンライトの穴106から挿入して、ファイバーケーブル20を進退させることで伸縮部9の第一から第五筒部12〜16を直線状に伸縮させて撮影カメラ25の撮影画像をディスプレイ23で観察することで、配線ケーブル103やMJ用配線ケーブル31を探知して把持することができる。そのため、ダウンライトの小さな穴106から通線具1の伸縮部9を挿入して天井裏101内で伸縮部9を直線状に伸縮させて配線ケーブル103やMJ用配線ケーブル31の発見と把持と取り込みを容易に行うことができる。
【0035】
なお、本発明による通線具1や、これを用いた配線ケーブル103やMJ用配線ケーブル31の取り出し方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り適宜の変更や置換等を採用することができる。
例えば、上述した実施形態では、通線具1で取り出す対象物として配線ケーブル103やMJ用の配線ケーブル31等の配線を説明したが、本発明は上述した配線ケーブル103、31に限定されることなく、適宜の配線を探して取り出すことができる。
また、上述の実施形態では、天井裏101にダウンライトの穴106から通線具1を挿入して配線ケーブル103やMJ用の配線ケーブル31を探知するようにしたが、本発明は天井裏101での探知に限定されるものではなく、配管内での探知等、適宜の閉鎖空間での配線ケーブル103、31等の各種の配線の検知方法や取り出し方法に適用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 通線具
2 天井
8 本体筒
9 伸縮部
10 湾曲部
11 外筒部
12 第一筒部
13 第二筒部
14 第三筒部
15 第四筒部
16 第五筒部
20 ファイバーケーブル
21 開口筒部
23 ディスプレイ
25 撮影カメラ
26 照明具
27 孔
28 磁石部材
29 フック
31 MJ用配線ケーブル
100 部屋
101 天井裏
102 配管
103 配線ケーブル