(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ミストサウナ装置を運転するために要求される温水の温度は、機器使用者の快適性を充分に確保するとの観点から設定されており、機器設計上、むしろ、安全側(高温側)の温水温度となっている場合が多い。
このような高温側の温水温度は、ミストサウナ装置を、最も安定且つ快適性の高い状態で運転するための最低温度として設定されているのである。しかし、例えば、ミストサウナ装置を使用する使用者が、省エネルギーの観点から少々の不便を容認できるのであれば、この使用者の意図に従った運転が可能となっているほうが良い。
さらに、上記の排熱を温水として回収するシステム、或いは、集熱した熱を温水として利用するシステムを温水供給機器として採用する場合の何れであっても、特許文献1に記載のように、少なくとも補助熱源機を運転して燃料を消費することとなり、省エネルギーの観点からは逆行することとなる。つまり、補助熱源機を運転せずに、元来生成又は保有している温水をそのまま使用するほうが、省エネルギーの観点から好ましい。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、省エネルギー意識の高い利用者の意図に従って運転することができるミストサウナ装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るミストサウナ装置の特徴構成は、
吸気口を通して室内から空気を吸引し、吸引した室内の空気を吹出口を通して室内に吹出すことができる循環ファンと、温水供給機器から熱媒循環路を通して供給される温水と循環ファンによって室内から吸引された空気との熱交換を行うことができる空調用熱交換器とを有することで、室内から
空気を吸引するとともに、
前記温水供給機器から供給される温水により
、吸引した室内の空気を加温して温風として室内に戻す運転を行う内気循環機構
、及び
、前記温水供給機器から
前記熱媒循環路を通して供給される温水により加温したミスト用水をミストとして室内に噴霧する運転を行うミスト噴霧機
構を備え、
コントローラに入力される運転指令に基づいて、第1温度の温水の供給を前記温水供給機器に指令するとともに、供給を受けた温水を前記内気循環機構の運転及び前記ミスト噴霧機構の運転に利用する通常運転状態で作動可能に構成され、
前記内気循環機構が働いて前記温風を室内に戻す内気循環開始タイミングを、前記温水供給機器から供給された温水の温度である入り温水温度に基づいて決定し、
前記ミスト噴霧機構が働いて前記ミストを室内に噴霧するミスト噴霧開始タイミングを、前記温水供給機器に戻す温水の温度である戻り温水温度に基づいて決定するミストサウナ装置であって、
前記コントローラに、エコ運転状態での運転指令であるエコ運転指令を受付けるエコ運転スイッチを備え、
前記エコ運転指令を受付けた場合に、前記第1温度より低温の第2温度の温水の供給を前記温水供給機器に指令するとともに、供給を受けた温水を前記内気循環機構の運転及び前記ミスト噴霧機構の運転に利用するエコ運転状態で作動可能に構成され、
前記通常運転状態と前記エコ運転状態とで、前記内気循環開始タイミングの決定閾値温度及び前記ミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度が異ならせてあり、
それぞれの前記決定閾値温度に関し、前記エコ運転状態の決定閾値温度が前記通常運転状態の決定閾値温度より低く設定されて
おり、
前記通常運転状態において、前記内気循環機構の運転開始後、前記ミスト噴霧機構の運転開始前に、前記室内から吸引する空気の温度である戻り内気温度を検出し、前記戻り内気温度が所定の設定閾値温度以上であり、且つ前記戻り温水温度が前記ミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことを条件として、前記ミスト噴霧機構の運転を開始し、
前記エコ運転状態において、前記内気循環機構の運転開始後、前記戻り温水温度が前記ミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことのみを条件として、前記ミスト噴霧機構の運転を開始する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、エコ運転指令を受け付けていない場合には、ミストサウナ装置は、通常運転状態で必要な、即ち、ミストサウナ用途としての快適性を考慮して予め設定されている第1温度の温水の供給を温水供給機器から受けて、その第1温度の温水の熱を利用して温風を発生すると共にミスト用水を加温することで、ミストサウナ用途として快適性の高い温度の温風及びミストの発生及び浴室への供給を行うことができる。
これに対して、エコ運転指令を受け付けている場合には、ミストサウナ装置は、第1温度よりも低い第2温度の温水の供給を温水供給機器から受けて、その第2温度の温水で温風を発生すると共にミスト用水を加温する。つまり、通常運転状態で必要な第1温度よりも低い第2温度の温水の熱を利用して発生した温風及びミストは、第1温度の温水の熱を利用して発生した温風及びミストよりもミストサウナ用途としての快適性は低くなるものの、省エネルギー性は高くなる。従って、省エネルギー性を重視しながら、ある程度の快適性を確保した上で、ミストサウナ運転を行うことができる。
【0010】
更に、内気循環開始タイミングに到達すれば、内気循環機構を働かせて温風を室内に供給する運転を行うことが許容される。そして、内気循環開始タイミングに到達したと決定されるには、上記入り温水温度が上記内気循環開始タイミングの決定閾値温度に到達していることを必要としている。同様に、ミスト噴霧開始タイミングに到達すれば、ミスト噴霧機構を働かせてミストを室内に噴霧する運転を行うことが許容される。そして、ミスト噴霧開始タイミングに到達したと決定されるには、上記戻り温水温度が上記ミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度に到達していることを必要としている。
つまり、上記決定閾値温度が相対的に低ければ、上記入り温水温度を決定閾値温度に到達させるために温水供給機器側で要するエネルギーは相対的に低くなる。これに対して、上記決定閾値温度が相対的に高ければ、上記入り温水温度を決定閾値温度に到達させるために温水供給機器側で要するエネルギーは相対的に高くなる。従って、エコ運転状態の決定閾値温度を通常運転状態の決定閾値温度より低く設定することで、ミストサウナ装置をエコ運転状態で作動させるのに要するエネルギーを、ミストサウナ装置を通常運転状態で作動させるのに要するエネルギーよりも低くすることができる。
従って、省エネルギー意識の高い利用者の意図に従って運転することができるミストサウナ装置を提供できる。
【0012】
加えて、通常運転状態では、戻り内気温度が設定閾値温度以上であり且つ戻り温水温度がミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことが、ミスト噴霧運転の開始条件とされる。つまり、戻り内気温度は室内の温度を示しているため、戻り内気温度が設定閾値温度以上であるということは室内の快適性が確保された状態であることを意味する。
また、戻り温水温度は、利用した後に温水供給機器に戻す温水の温度であるため、温水が保有している熱のうち、ミスト噴霧機構で新たに消費される熱が少なくなると、即ち、ミスト噴霧機構での熱消費による温度低下が小さくなると、戻り温水温度は相対的に高くなる。つまり、戻り温水温度が上記ミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度以上という高温を保つことができる状態であるということは、ミスト用水を昇温する際に奪われる熱が小さくなる、即ち、ミスト用水を充分に加温できる準備が整った状態であることを意味する。言い換えると、ミスト噴霧機構から快適なミストを噴霧できる状態であることを意味する。
従って、通常運転状態において、戻り内気温度が所定の設定閾値温度以上であり且つ戻り温水温度がミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことをミスト噴霧運転の開始条件とすることで、室内の温度の快適性と噴霧するミストの温度の快適性とを両立できる。これに対して、エコ運転状態において、戻り温水温度がミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことのみをミスト噴霧運転の開始条件とすることで、室内の温度の快適性を担保できるか否かについては不明確であるものの、噴霧するミストの温度の快適性を少なくとも確保できる。
【0013】
本発明に係るミストサウナ装置の更に別の特徴構成は、前記温水供給機器が、
熱源機から排出される熱を回収して或いは太陽熱を利用して熱を得る太陽熱集熱器により温水を生成する主温水生成機器と
、燃料を消費して熱を発生し、当該主温水生成機器で生成した温水を
当該熱により更に加熱可能な補助熱源機とを備え、前記通常運転状態に対応して、前記補助熱源機により前記第1温度に昇温した温水が供給され、前記エコ運転状態に対応して、前記補助熱源機を働かせることなく、前記主温水生成機器により生成した前記第2温度の温水が供給される点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、
主温水生成機器は、熱源機から排出される熱を回収して或いは太陽熱を利用して熱を得る太陽熱集熱器により第2温度の温水を得ることができる。通常運転状態では第2温度の温水を補助熱源機を用いて第1温度に昇温した上でミストサウナ装置に供給し、エコ運転状態では第2温度の温水を補助熱源機を用いずにそのままの温度(即ち、第2温度)でミストサウナ装置に供給する。つまり、エコ運転状態では、補助熱源機を用いないので、通常運転状態では発生していた補助熱源機の消費エネルギー分を削減できる。
また、太陽熱集熱器により集熱した熱を有効利用することで、省エネルギー性を高めることができる。
【0017】
本発明に係るミストサウナ装置の更に別の特徴構成は、前記主温水生成機器が、
前記熱源機から排出される熱を回収して或いは
太陽熱を利用して熱を得る前記太陽熱集熱器により前記第2温度の温水を
得て貯湯タンクに貯湯し、温水供給指令の受領に伴って、前記貯湯タンクから前記第2温度の温水を供給する機器である点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、
主温水生成機器は、熱源機から排出される熱を回収して或いは太陽熱を利用して熱を得る太陽熱集熱器により第2温度の温水を得ることができる。その結果、温水供給機器からミストサウナ装置に対して、補助熱源機を運転させなくても第2温度の温水を供給できる。更に、第2温度の温水を貯湯タンクに一時的に貯留して、温水の需要タイミングに合わせてその第2温度の温水を供給することで、温水の有効利用を図ることができる。
【0019】
本発明に係るミストサウナ装置の更に別の特徴構成は、前記温水供給機器が、燃料の燃焼により発生する熱で前記第1温度又は前記第2温度の温水を生成して供給する機器である点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、燃料の燃焼により発生する熱量を調整することで、生成する温水の温度を第1温度と第2温度とに調整できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して第1実施形態のミストサウナ装置について説明する。
図1は、ミストサウナ装置及び温水供給機器を備える温水利用システムの構成を示す図である。
図2は、温水供給機器の構成を示す図である。
ミストサウナ装置は、浴室4内から内気を吸引するとともに、温水供給機器2から供給される温水により内気を加温して温風として浴室4内に戻す運転を行う内気循環機構Aと、温水供給機器2から供給される温水により加温したミスト用水をミストとして浴室4内に噴霧する運転を行うミスト噴霧機構Mとを備える。そして、ミストサウナ装置は、各種の制御指令を入力可能なコントローラとしてのリモコン装置Rに入力される運転指令に基づいて、第1温度の温水の供給を温水供給機器2に指令するとともに、供給を受けた温水を内気循環機構Aの運転及びミスト噴霧機構Mの運転に利用する通常運転状態で作動可能に構成される。尚、本実施形態で説明するミストサウナ装置は、浴室の暖房運転、換気運転、乾燥運転、涼風運転、ミストサウナ運転の各運転を実施可能な浴室暖房乾燥機の一機能として実現されるものである。
【0023】
ミストサウナ装置の具体的な構成例について説明すると、ミストサウナ装置の装置本体1は、浴室4内の空気を循環通風するための循環ファン7、その循環ファン7にて通風される空気を加熱する空調用熱交換器8、浴室4を換気するための換気ファン9、給水路10を通して供給されるミスト用水を浴室4内にミスト状に噴出する2個のミストノズル11等を本体ケーシング12内に装備して構成されている。この装置本体1は、浴室4の天井裏に配置してある。そして、本体ケーシング12を浴室4の天井板6の裏側に入り込ませた状態で、本体ケーシング12の下方にグリル板13が浴室4の天井の表面側に位置するように設置されている。
【0024】
グリル板13には、吸気口14と吹出口15が並設される。本体ケーシング12内には、吸気口14を通して浴室4内の空気を吸引して吹出口15を通して吹出すための循環通風路16が形成されている。循環ファン7は、吸気口14に吸引作用してその吸気口14から吸引した浴室4内の空気を吹出口15から浴室4内に吹出すように通風作用する状態で循環通風路16内に設けられている。また、その循環通風路16内における循環ファン7よりも通風方向上流側に空調用熱交換器8が設けられ、温水供給機器2から循環供給される温水との熱交換により、循環通風路16内を通風する空気を加熱するよう構成されている。このように、ミストサウナ装置は、循環ファン7の通風作用により、吸気口14を通して浴室4内の空気を吸引し、空調用熱交換器8にて加熱して吹出口15を通して浴室4内に吹出して、浴室4内を暖房する暖房運転を実行可能に構成されている。
つまり、本実施形態では、循環ファン7及び空調用熱交換器8は、被乾燥空間としての浴室4から内気を吸引して、その内気を温水により加温して温風として浴室4に戻す内気循環機構Aとして機能する。
【0025】
浴室4の外部に設置された温水供給機器2から温水が供給される熱媒循環路17の往路18は、2つの熱媒分岐路19、20に分岐している。そして、そのうちの一方の熱媒分岐路20が空調用熱交換器8に接続され、且つ、その熱媒分岐路20における空調用熱交換器8の下流側が熱媒循環路17の復路21に接続されており、温水供給機器2にて加熱された温水が熱媒循環路17を通して空調用熱交換器8に循環供給されるように構成されている。熱媒分岐路20の途中には、その熱媒分岐路20の流路を開閉することにより空調用熱交換器8への温水の供給を断続自在な熱動弁22が設けられている。
他方の熱媒分岐路19には、その熱媒分岐路19を断続自在で且つ熱交換器29への温水の通流量を変更調整自在な熱媒流量調整弁39が設けられている。
また、熱媒循環路17の往路18には、通流する温水の温度を検出する温水温度検出手段としての熱媒サーミスタ5が設けられている。熱交換器29よりも下流側の熱媒分岐路19には、熱交換器29においてミスト用水の昇温に利用した後で温水供給機器2に戻す温水の温度を検出する戻り温度サーミスタ56が設けられている。
【0026】
循環通風路16内における空調用熱交換器8よりも上流側の箇所には、通流する空気の温度を浴室4内の温度として検出する浴室温度サーミスタ23が設けられている。吹出口15には、図示しない電動モータにより揺動駆動される可動ルーバ24が設けられ、この可動ルーバ24により、吹出口15から浴室4内に吹出される空気の吹出し方向を変更することができる。
【0027】
換気ファン9は、吸気口14から吸引した浴室4内の空気を排気ダクト25を通して外部に排気するように、本体ケーシング12内に設けられる。この換気ファン9の通風作用により、浴室4内の空気が排気ダクト25を通して外部に排出されて、浴室4が換気される。
グリル板13における吸気口14と吹出口15との間の箇所に、2個のミストノズル11が温水の噴出方向を下向きにした状態で支持されている。
【0028】
本体ケーシング12の上部には、ミスト用の温水を発生してミストノズル11に供給するための温水発生ユニット26が設けられている。この温水発生ユニット26は、ミスト用ケーシング27内に、水道等からミスト用水が供給される給水路10、その給水路10を開閉する給水弁28、給水路10から供給されるミスト用水を温水供給機器2から循環供給される温水との熱交換により加熱する熱交換器29、給水路10から供給されて熱交換器29にて加熱されたミスト用水が通流する下手側通流路30、その下手側通流路30から分岐された排水路31の流路を開閉する排水弁32、下手側通流路30を通流する温水の温度を検出するミスト用温水サーミスタ33等を備える。
【0029】
下手側通流路30からは排水路31とは別のミスト供給路34が分岐形成され、このミスト供給路34は、本体ケーシング12内にまで延びる状態で配管されている。ミスト供給路34は、その経路途中でさらに2つの分岐路35、36に分岐されて、それらの分岐路35、36が各ミストノズル11に夫々接続されている。そして、2つの分岐路35、36には、夫々、通路を開閉することにより各ミストノズル11への温水の供給を断続自在なミスト開閉弁37、38が設けられている。
【0030】
以上のように、給水路10から供給されるミスト用水は熱交換器29にて加熱され、その加熱された温水が、下手側通流路30及びミスト供給路34を通してミストノズル11に供給され、温水をミストノズル11から浴室4内にミスト状に噴出するミスト運転を行えるように構成されている。
つまり、本実施形態では、ミスト開閉弁37,38及び給水弁28及びミストノズル11及び熱交換器29は、温水供給機器2から供給される温水により加温したミスト用水をミストとして浴室4内に噴霧する運転を行うミスト噴霧機構Mとして機能する。
【0031】
排水路31は、前回にミストサウナ運転を実行してから長時間にわたりミストサウナ運転が行われていない場合に、給水路10の内部や熱交換器29の内部配管等に滞留していた汚れたミスト用水を外部に排出させるためのものである。排水路31を用いた排水処理は、ミスト開閉弁37、38を閉弁状態に維持したまま、給水弁28及び排水弁32を開弁状態に切り換えることで実施される。
【0032】
次に
図2を参照して温水供給機器2の構成について説明する。
本実施形態では、温水供給機器2は、主温水生成機器2Aと補助熱源機2Bとを備えて構成される。主温水生成機器2Aは、熱源機50と蓄熱装置60とを備える。熱源機50は、エンジン51と、そのエンジン51によって駆動される発電機52とを有する。発電機52によって発生された電気は電力消費装置(図示せず)に供給される。
【0033】
エンジン51は、エンジン冷却水によって冷却可能な構成となっている。本実施形態では、エンジン冷却水は、冷却水循環路54を通ってエンジン51と熱交換器53とを順に循環する。冷却水循環路54の途中には冷却水ポンプ55が設けられており、その冷却水ポンプ55の動作に応じて冷却水循環路54におけるエンジン冷却水の流速が調整される。熱交換器53では、後述する相対的に低温の温水とエンジン冷却水とが熱交換することで、エンジン冷却水から温水へと熱が伝達される。
【0034】
蓄熱装置60は、熱源機50からの排熱を回収して蓄える貯湯タンク61を有する。貯湯タンク61は温水を貯えており、その温水は貯湯用温水循環路62を通って熱交換器53で加熱され、再び貯湯タンク61に帰還する。本実施形態では、貯湯タンク61は、その上部に相対的に高温の温水が貯えられ、その下部に相対的に低温の温水が貯えられて、貯湯タンク61の内部で温度成層が形成されるように構成されている。貯湯用温水循環路62の途中には貯湯用循環ポンプ63が設けられており、その貯湯用循環ポンプ63の動作に応じて貯湯用温水循環路62における温水の流速が調整される。具体的には、貯湯用温水循環路62における温水の流速を低くすると、即ち、熱交換器53を単位時間当たりに通過する温水の流量を少なくすると、熱交換器53を通過後の温水の温度は相対的に高くなる。これに対して、貯湯用温水循環路62における温水の流速を高くすると、即ち、熱交換器53を単位時間当たりに通過する温水の流量を多くすると、熱交換器53を通過後の温水の温度は相対的に低くなる。例えば、貯湯タンク61には、60℃の温水が貯留されるように、貯湯用循環ポンプ63の動作が制御されて排熱回収運転が行われる。
【0035】
補助熱源機2Bは、燃料を消費して熱を発生し、その熱で温水を昇温する装置である。補助熱源機2Bは、燃料としてのガスを燃焼する燃焼器72と、燃焼器72に供給するガスの量を調整する流量調整弁70と、燃焼器72に酸素(空気)を供給するブロア71とを備える。また、補助熱源機2Bの内部には、貯湯タンク61から温水送出用ポンプ64によって送出された温水が通流する熱媒循環路17の往路18が引き込まれている。この熱媒循環路17の往路18は、補助熱源機2Bが備える熱交換器73の内部を通流する。また、熱交換器73には、燃焼器72で発生した燃焼熱が与えられる。その結果、熱媒循環路17の往路18を流れる温水は、燃焼器72で発生した燃焼熱によって昇温される。尚、燃焼器72から熱媒循環路17の往路18を流れる温水に対して与えられる熱量は、燃焼器72で発生する燃焼熱量に応じて変化する。つまり、燃焼器72に対して供給するガス量及び空気量を調整することで、熱媒循環路17の往路18を流れる温水に対して与える熱量を調整できる。例えば、熱交換器73よりも下流側の往路18に設けられる温水サーミスタ74の温度が所定の温度となるように、燃焼器72に対して供給するガス量及び空気量を調整する。
【0036】
図3は、リモコン装置のスイッチ配置を説明する図である。本発明のコントローラとしてのリモコン装置Rには、運転用のタイマー時間を表示するタイマー表示部40、ミストサウナ運転を指令するミストサウナ運転スイッチ41、運転用タイマー時間を変更設定するためのタイマー設定スイッチ42、可動ルーバ24の吹き出し方向の変更を指令する風向スイッチ43、乾燥運転を指令する乾燥運転スイッチ44、浴室4の暖房を行う暖房運転を指令する暖房運転スイッチ45、換気ファン9を作動させる換気運転を指令する換気運転スイッチ46、循環ファン7を作動させる涼風運転を指令する涼風運転スイッチ47、各運転を停止させる停止スイッチ48等が設けられている。更に、後述するように、リモコン装置Rには、通常運転状態から外れた運転状態であるエコ運転状態での運転指令を与えるためのエコ運転スイッチ49が設けられている。
【0037】
加えて、各運転スイッチ41、44、45、46、47、49がON操作状態にある場合に点灯させられる各種ランプ(ミストサウナ運転ランプ41a、乾燥運転ランプ44a、暖房運転ランプ45a、換気運転ランプ46a、涼風運転ランプ47a、エコ運転ランプ49a)が上記各運転スイッチに隣接して設けられている。
【0038】
以下、ミストサウナ装置の暖房運転、換気運転、乾燥運転、涼風運転、ミストサウナ運転の各運転について簡単に説明する。
【0039】
〔暖房運転〕
ミストサウナ装置の暖房運転は、浴室4内の空気を取り込んで加熱した上で、浴室4内に加熱後の空気を吹き出す運転である。具体的には、換気ファン9を停止させ且つ循環ファン7を作動させるとともに、温水供給機器2からミストサウナ装置へと温水を供給させて、吹出口15での温風温度が設定温度範囲に維持されるように、熱動弁22の開閉と温水供給機器2の温水供給動作を制御して空調用熱交換器8に温水を循環供給する。その結果、空調用熱交換器8により加熱された循環空気が吹出口15から浴室4内に吹き出される。このように、ミストサウナ装置は、暖房運転において、温水供給機器2から温水の供給を受けて温風を発生している。また、浴室4内に通風される空気の通風量を暖房用の通風量となるように循環ファン7の動作状態を調整するとともに、可動ルーバ24を揺動させるようにしている。
【0040】
〔換気運転〕
換気運転は、浴室4内から吸引した空気を排気ダクト25から排気する運転である。具体的には、循環ファン7の作動を停止し且つ熱動弁22を閉状態に維持した状態で、換気ファン9を作動させる。また、可動ルーバ24が閉状態となるように作動状態を調整する。
【0041】
〔乾燥運転〕
乾燥運転は、例えば、入浴後、或いは、水分を含んだ衣類などの被乾燥物が配置された被乾燥空間としての浴室4内から吸引した空気の一部を排気ダクト25を通して屋外に排出させながら、残りの空気を空調用熱交換器8により加熱した上で吹出口15から浴室4内に吹き出す運転である。具体的には、循環ファン7を作動させ且つ温水供給機器2からミストサウナ装置へと温水を供給させて、吹出口15での温風温度が設定温度範囲に維持されるように、熱動弁22の開閉と温水供給機器2の温水供給動作を制御して、空調用熱交換器8に温水を循環供給するとともに、換気ファン9を作動させる。
【0042】
〔涼風運転〕
涼風運転は、浴室4内から吸引した空気を加熱することなく循環通風路16を通して浴室4内に吹き出す運転である。具体的には、熱動弁22を閉状態に維持した状態で循環ファン7を作動させるとともに、換気ファン9を作動させて、浴室4内から吸引した空気の一部を排気ダクト25を通して屋外に排出させながら、残りの空気を加熱することなく循環通風路16を通して浴室4内に吹き出す運転である。また、浴室4内への空気の吹き出し方向が、涼風運転用の設定吹出方向となるように、可動ルーバ24の向きを調整する。
【0043】
〔ミストサウナ運転〕
ミストサウナ運転は、浴室4内の暖房運転を行いながら、浴室4内にミストを噴霧する運転である。具体的には、換気ファン9を停止させ且つ循環ファン7を作動させるとともに、温水供給機器2からミストサウナ装置へと温水を供給させて、吹出口15での温風温度が設定温度範囲に維持されるように、熱動弁22の開閉と温水供給機器2の温水供給動作を制御して空調用熱交換器8に温水を循環供給する。その結果、上述したのと同様の暖房運転が行われる。更に、ミストノズル11に供給される水量を調整する給水弁28の開閉制御、並びに、ミストノズル11に供給される水の昇温が行われる熱交換器29への温水の通流量を変更調整自在な熱媒流量調整弁39の開閉制御を行って、加熱された水がミストノズル11から浴室4内に噴霧されることでミストサウナ運転が行われる。
【0044】
〔通常運転状態及びエコ運転状態〕
以上のような暖房運転、換気運転、乾燥運転、涼風運転、ミストサウナ運転の各運転のうち、暖房運転、乾燥運転、ミストサウナ運転では、温水供給機器2からミストサウナ装置へと温水を供給し、その温水の熱を空調用熱交換器8で放出することによって温風を発生する必要がある。そのため、温水供給機器2からミストサウナ装置へと供給される温水の温度は、暖房運転、乾燥運転、ミストサウナ運転の快適性や利便性を向上させるために重要である。
運転制御部3は、暖房運転、乾燥運転、ミストサウナ運転が行われている間にリモコン装置Rでエコ運転スイッチ49がON操作されたことを検出すると、ミストサウナ装置の動作モードとしてエコ運転状態が指令されたと判定する。エコ運転スイッチ49は、通常運転状態から外れた運転状態であるエコ運転状態での運転指令であるエコ運転指令を受付けるためのスイッチである。これに対して、運転制御部3は、ミストサウナ運転が行われている間にリモコン装置でエコ運転スイッチ49がON操作されたことが検出されていない間は、ミストサウナ装置の動作モードとして通常運転状態が指令されたと判定する。尚、エコ運転スイッチ49が先にON操作されてエコ運転ランプ49aが点灯している状態で、後からミストサウナ運転の運転開始をミストサウナ運転スイッチ41で指令してもよい。
以下、通常運転状態とエコ運転状態とについて説明する。
【0045】
運転制御部3は、通常運転状態が指令されている場合、通常運転状態で温水利用温風発生装置が必要とする第1温度の温水の供給を温水供給機器2に指令する。本実施形態においてこの第1温度は80℃である。
【0046】
これに対して、ミストサウナ装置は、エコ運転指令を受付けた場合に、上記第1温度とは異なる温度の温水の供給を受けて、その温水で温風を発生するエコ運転状態で作動する。
本実施形態では、
図2に示したように、ミストサウナ装置に供給される温水の源は、主温水生成機器2Aの貯湯タンク61であり、この貯湯タンク61には熱源機50から熱を回収した温水が貯留されている。例えば、上述したように貯湯タンク61に対して所定温度(例えば、第1温度(80℃)とは異なる第2温度(60℃))の温水が貯留されている場合、貯湯タンク61からミストサウナ装置に対してその所定温度の温水を供給できる。つまり、補助熱源機2Bで第1温度(80℃)まで温水を昇温しなくても、ミストサウナ装置に供給される温水の温度は比較的高いことが確保されている。そのため、快適性や利便性が不十分となる可能性はあるが、補助熱源機2Bで第1温度まで温水を昇温せずにミストサウナ装置に供給して、その第1温度よりも低温の温水を用いて暖房運転、乾燥運転、ミストサウナ運転を実行できる。このように、運転制御部3は、エコ運転状態に対応して、補助熱源機2Bを働かせることなく、ミストサウナ装置に対して貯湯タンク61に貯留されているままの温度の温水を供給する。つまり、運転制御部3は、エコ運転指令の受付確認を実行して、補助熱源機2Bの運転禁止指令を出力して貯湯タンク61から供給される温水の第1温度への昇温が行われないようにしながら、エコ運転指令の受付が確認された場合に、第2温度の温水の供給を温水供給機器2に指令するとともに、ミストサウナ装置に対して第2温度の温水の供給を温水供給機器2に指令している。
以上のように、ミストサウナ装置は、エコ運転指令の受付が確認された場合、補助熱源機2Bの運転禁止指令を出力し及び第2温度の温水の供給を温水供給機器2に指令するとともに、第2温度の温水の供給を受けてエコ運転状態で作動し、エコ運転指令の受付が確認されなかった場合、補助熱源機2Bの運転許可指令を出力するとともに、第1温度の温水の供給を受けて通常運転状態で作動する。
【0047】
次に通常運転状態及びエコ運転状態の切換制御について説明する。
図4は、運転制御部3が行う通常運転状態及びエコ運転状態の切換制御のフローチャートである。
運転制御部3は、暖房運転スイッチ45及び乾燥運転スイッチ44及びミストサウナ運転スイッチ41の何れかがON操作されることで、暖房運転及び乾燥運転及びミストサウナ運転の何れかの運転を開始したとき、
図4に示す運転状態切換制御を行う。具体的には、工程#10において運転制御部3は、上記運転スイッチがON操作されたことを検出すると、温水供給機器2からの温水供給を開始させる。但し、運転制御部3は、補助熱源機2Bの運転は停止させる。次に、工程#12において運転制御部3は、設定時間以内にエコ運転スイッチ49がON操作されたか否かの判定を行う。そして、運転制御部3は、エコ運転スイッチ49がON操作された場合には工程#14に移行し、エコ運転スイッチ49がON操作されていない場合には工程#16に移行する。
【0048】
工程#14において運転制御部3は、エコ運転スイッチ49がON操作されたこと(即ち、エコ運転指令を受け付けたこと)に応じて、上述したように上記第1温度とは異なる温度の温水の供給を受けてその温水で温風を発生するエコ運転状態でミストサウナ装置を作動させる。
これに対して、工程#16において運転制御部3は、エコ運転スイッチ49がON操作されないこと(即ち、通常運転指令を受け付けたこと)に応じて、補助熱源機2Bの運転を開始し、工程#18に移行して上記第1温度の温水の供給を受けてその第1温度の温水で温風を発生する通常運転状態でミストサウナ装置を作動させる。
【0049】
次に通常運転状態での運転開始制御及びエコ運転状態での運転開始制御について説明する。
図5は、通常運転状態での運転開始制御を説明するフローチャートであり、
図7は、エコ運転状態での運転開始制御を説明するフローチャートである。
【0050】
〔通常運転状態での運転開始制御〕
図5に示すように、工程#20において運転制御部3は、熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続しているか否かの判定を行う。つまり、熱媒サーミスタ5は、温水供給機器2からミストサウナ装置に供給される温水の温度が少なくとも58℃以上で安定しているか否かを判定している。その温水は空調用熱交換器8に供給されて温風を生成するために利用され、及び、熱交換器29に供給されてミスト用水を昇温するために利用されるので、温水の温度が少なくとも58℃以上で安定しているということは、温水供給機器2から供給される温水が温風を生成するため及びミスト用水を昇温するために充分な温度を有していると言える。
運転制御部3は、熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続している場合には次の工程#22に移行し、そうでない場合には工程#20を繰り返す。
【0051】
工程#22において運転制御部3は、供給される温水を利用して温風を生成するべく、循環ファン7を作動させる。その結果、浴室4から吸引された空気が空調用熱交換器8で昇温されて吹出口15から浴室4内に供給され、浴室4内の空気が暖められ始める。このように、通常運転状態では、内気循環機構Aとしての循環ファン7及び空調用熱交換器8が働いて温風を浴室4内に戻す内気循環開始タイミングを、温水供給機器2から供給された温水の温度である入り温水温度(即ち、熱媒サーミスタ5の検出温度)に基づいて決定している。
【0052】
次に工程#24において運転制御部3は、浴室温度サーミスタ23の検出温度が25℃以上である状態が5秒以上連続しているか否かの判定を行う。つまり、浴室4内の空気が充分に暖められたか否かを判定している。運転制御部3は、浴室温度サーミスタ23の検出温度が25℃以上である状態が5秒以上連続している場合には次の工程#26に移行し、そうでない場合には工程#24を繰り返す。
【0053】
次に運転制御部3は、工程#26において3秒間待機した後、工程#28に移行して、戻り温度サーミスタ56の検出温度が60℃以上である状態が5秒以上連続している場合には次の工程#30に移行し、そうでない場合には工程#28を繰り返す。つまり、戻り温度サーミスタ56の検出温度が60℃以上である状態が5秒以上連続しているということは、熱交換器29を通過した後の温水が高温の状態を維持している、即ち、熱交換器29が充分に昇温されたことを意味しており、ミスト用水を熱交換器29で昇温できる状態になっていることを意味する。その結果、運転制御部3は、引き続く工程#30でミスト開閉弁を開状態に切り換え、及び、工程#32で給水弁28を開状態に切り換えることで、ミスト用水が熱交換器29を経てミストノズル11から室内に噴霧されるようにする。このように、通常運転状態では、ミスト噴霧機構Mとしてのミスト開閉弁37、38及び給水弁28及びミストノズル11及び熱交換器29が働いてミストを室内に噴霧するミスト噴霧開始タイミングを、温水供給機器2に戻す温水の温度である戻り温水温度(即ち、戻り温度サーミスタ56の検出温度)に基づいて決定している。
【0054】
尚、その後の通常運転状態での運転では、運転制御部3は、浴室4に噴出されるミストの温度(
図6に示す「噴出ミスト温度」)が75℃又は60℃又は55℃の何れかとなるように制御している。
図6は、浴室4へ噴出させるミスト温度の制御を説明する図である。本実施形態では、浴室4へ噴出させるミスト温度をミスト用温水サーミスタ33で検出できる。また、ミスト用温水サーミスタ33で検出されるミスト用水の温度(即ち、浴室4へ噴出させるミスト温度)を調節するためには、運転制御部3が、給水路10を流れるミスト用水の流速を制御すればよい。
【0055】
図6において、横軸は、浴室4の検出温度(浴室温度サーミスタ23の検出温度)から、ミストサウナ運転を行う場合に予め設定されている浴室4の目標温度(図中では「設定浴室温度」と記載する)を減算した値である。図示するように、横軸に示す温度差が大きいほど、浴室4へ噴出させるミスト温度を小さくする関係が設定されている。つまり、実際の浴室4の検出温度が設定浴室温度よりも高くなれば、実際の浴室4の検出温度を低下させるべく噴出ミスト温度を低下させる。
具体的には、運転制御部3は、現在の噴出ミスト温度が75℃である場合、「実際の浴室4の検出温度−設定浴室温度<+1℃」であれば噴出ミスト温度をそのまま75℃に維持し、「+1℃≦実際の浴室4の検出温度−設定浴室温度」であれば噴出ミスト温度を60℃に切り換える。
また、運転制御部3は、現在の噴出ミスト温度が60℃である場合、「+0.5℃<実際の浴室4の検出温度−設定浴室温度<+4℃」であれば噴出ミスト温度をそのまま60℃に維持し、「+4℃≦実際の浴室4の検出温度−設定浴室温度」であれば噴出ミスト温度を50℃に切り換え、「実際の浴室4の検出温度−設定浴室温度≦+0.5℃」であれば噴出ミスト温度を75℃に切り換える。
或いは、運転制御部3は、現在の噴出ミスト温度が50℃である場合、「+3.5℃<実際の浴室4の検出温度−設定浴室温度」であれば噴出ミスト温度をそのまま60℃に維持し、「実際の浴室4の検出温度−設定浴室温度≦+3.5℃」であれば噴出ミスト温度を60℃に切り換える。
【0056】
〔エコ運転状態での運転開始制御〕
図7に示すように、工程#40において運転制御部3は、熱媒サーミスタ5の検出温度が38℃以上である状態が5秒以上連続しているか否かの判定を行う。つまり、熱媒サーミスタ5は、温水供給機器2からミストサウナ装置に供給される温水の温度が少なくとも38℃以上で安定しているか否かを判定している。エコ運転状態では、温水の温度が少なくとも38℃以上で安定している場合に、温水供給機器2から供給される温水が温風を生成するため及びミスト用水を昇温するために充分な温度を有していると見なしている。
運転制御部3は、熱媒サーミスタ5の検出温度が38℃以上である状態が5秒以上連続している場合には次の工程#42に移行し、そうでない場合には工程#40を繰り返す。
【0057】
工程#42において運転制御部3は、供給される温水を利用して温風を生成するべく、循環ファン7を作動させる。その結果、浴室4から吸引された空気が空調用熱交換器8で昇温されて吹出口15から浴室4内に供給され、浴室4内の空気が暖められ始める。このように、エコ運転状態でも、通常運転状態の場合と同様に、内気循環機構Aとしての循環ファン7及び空調用熱交換器8が働いて温風を浴室4内に戻す内気循環開始タイミングを、温水供給機器2から供給された温水の温度である入り温水温度(即ち、熱媒サーミスタ5の検出温度)に基づいて決定している。
【0058】
次に工程#44において運転制御部3は、戻り温度サーミスタ56の検出温度が40℃以上である状態が5秒以上連続している場合には次の工程#46に移行し、そうでない場合には工程#44を繰り返す。つまり、エコ運転状態では、戻り温度サーミスタ56の検出温度が40℃以上である状態が5秒以上連続している場合に、ミスト用水を熱交換器29で昇温できる状態になっていると見なしている。その結果、運転制御部3は、引き続く工程#46でミスト開閉弁を開状態に切り換え、及び、工程#48で給水弁28を開状態に切り換えることで、ミスト用水が熱交換器29を経てミストノズル11から室内に噴霧されるようにする。このように、エコ運転状態でも、通常運転状態の場合と同様に、ミスト噴霧機構Mとしてのミスト開閉弁37、38及び給水弁28及びミストノズル11及び熱交換器29が働いてミストを室内に噴霧するミスト噴霧開始タイミングを、温水供給機器2に戻す温水の温度である戻り温水温度(即ち、戻り温度サーミスタ56の検出温度)に基づいて決定している。
尚、エコ運転状態では、運転制御部3は、浴室4へ噴出させるミスト温度(即ち、ミスト用温水サーミスタ33の検出温度)が、実際の浴室4の検出温度などに関わらず55℃で一定となるような制御を行っている。
【0059】
以上のように、通常運転状態では、内気循環開始タイミングの決定閾値温度は58℃であり、ミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度は60℃である。これに対して、エコ運転状態では、内気循環開始タイミングの決定閾値温度は38℃であり、ミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度は40℃である。このように、それぞれの決定閾値温度に関し、エコ運転状態の決定閾値温度が通常運転状態の決定閾値温度より低く設定されている。決定閾値温度が相対的に低ければ、熱媒サーミスタ5の検出温度である入り温水温度を決定閾値温度に到達させるために温水供給機器2側で要するエネルギーは相対的に低くなる。これに対して、決定閾値温度が相対的に高ければ、入り温水温度を決定閾値温度に到達させるために温水供給機器側で要するエネルギーは相対的に高くなる。従って、エコ運転状態の決定閾値温度を通常運転状態の決定閾値温度より低く設定することで、ミストサウナ装置をエコ運転状態で作動させるのに要するエネルギーを、ミストサウナ装置を通常運転状態で作動させるのに要するエネルギーよりも低くすることができる。
【0060】
更に、本実施形態では、運転制御部3は、通常運転状態において、工程#22において内気循環機構A(循環ファン7及び空調用熱交換器8)の運転開始後、ミスト噴霧機構M(ミスト開閉弁37、38及び給水弁28及びミストノズル11及び熱交換器29)の運転開始前に、浴室4内から吸引する内気の温度である戻り内気温度(浴室温度サーミスタ23の検出温度)を検出し、その戻り内気温度が所定の設定閾値温度以上であり(工程#24)、且つ戻り温水温度(戻り温度サーミスタ56の検出温度)がミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いこと(工程#28)を条件として、工程#30及び工程#32においてミスト噴霧機構Mの運転を開始している。これに対し、運転制御部3は、エコ運転状態において、内気循環機構Aの運転開始後、戻り温水温度がミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことのみを条件として、ミスト噴霧機構Mの運転を開始している。
【0061】
このように、通常運転状態では、戻り内気温度が設定閾値温度以上であり且つ戻り温水温度がミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことが、ミスト噴霧運転の開始条件とされる。つまり、戻り内気温度は室内の温度を示しているため、戻り内気温度が設定閾値温度以上であるということは室内の快適性が確保された状態であることを意味する。
また、戻り温水温度は、利用した後に温水供給機器に戻す温水の温度であるため、温水が保有している熱のうち、温水が供給される内気循環機構A及びミスト噴霧機構Mで新たに消費される熱が少なくなると、即ち、内気循環機構A及びミスト噴霧機構Mでの熱消費による温度低下が小さくなると、戻り温水温度は相対的に高くなる。つまり、戻り温水温度が上記ミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度以上という高温を保つことができる状態であるということは、ミスト用水を昇温する際に奪われる熱が小さくなる、即ち、ミスト用水を充分に加温できる準備が整った状態であることを意味する。言い換えると、ミスト噴霧機構Mから快適なミストを噴霧できる状態であることを意味する。
従って、通常運転状態において、戻り内気温度が所定の設定閾値温度以上であり且つ戻り温水温度がミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことをミスト噴霧運転の開始条件とすることで、室内の温度の快適性と噴霧するミストの温度の快適性とを両立できる。これに対して、エコ運転状態において、戻り温水温度がミスト噴霧開始タイミングの決定閾値温度より高いことのみをミスト噴霧運転の開始条件とすることで、室内の温度の快適性を担保できるか否かについては不明確であるものの、噴霧するミストの温度の快適性を少なくとも確保できる。
【0062】
<第2実施形態>
ミストサウナ装置及び温水供給機器を備える温水利用システムにおいて、温水供給機器の構成を変更してもよい。以下に、別の温水供給機器の構成について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0063】
図8は、温水供給機器の構成を示す図である。
本実施形態では、温水供給機器2は、主温水生成機器2Aと補助熱源機2Bとを備えて構成される。主温水生成機器2Aは、自然エネルギーである太陽熱を利用して熱を得る太陽熱集熱器80を備える。具体的には、太陽熱集熱器80が集めた熱は、熱媒循環路82を流れる熱媒に伝達される。熱媒循環路82は、太陽熱集熱器80と貯湯タンク81に設けられる熱交換器84とを順に通流する。この熱交換器84において、熱媒循環路82を流れる熱媒と、貯湯タンク81に貯留されている温水との間での熱交換が行われる。つまり、主温水生成機器2Aでは、熱交換器84において、太陽熱集熱器80で集めた熱が貯湯タンク81に貯留されている温水に伝達されるように構成されている。
【0064】
本実施形態でも、熱媒循環路82の途中には貯湯用循環ポンプ83が設けられており、その貯湯用循環ポンプ83の動作に応じて熱媒循環路82における温水の流速が調整される。具体的には、熱媒循環路82における温水の流速を低くすると、即ち、太陽熱集熱器80を単位時間当たりに通過する温水の流量を少なくすると、太陽熱集熱器80を通過後の温水の温度は相対的に高くなる。これに対して、熱媒循環路82における温水の流速を高くすると、即ち、太陽熱集熱器80を単位時間当たりに通過する温水の流量を多くすると、太陽熱集熱器80を通過後の温水の温度は相対的に低くなる。例えば、貯湯タンク81には、60℃の温水が貯留されるように、貯湯用循環ポンプ83の動作が制御されて排熱回収運転が行われる。
以上のように、主温水生成機器2Aを、自然エネルギーから集熱して第2温度の温水を得る機器である太陽熱集熱器80で構成することで、省エネルギー性の高い温水供給機器2を得ることができる。
【0065】
<別実施形態>
<1>
上記第1実施形態では、温水供給機器2が主温水生成機器2Aと補助熱源機2Bとを備えて構成される例において、主温水生成機器2Aが備える熱源機50がエンジン51を熱源として有する例を説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、主温水生成機器2Aが備える熱源機50が燃料電池を熱源として有するように構成してもよい。
以上のように、温水供給機器2は、熱源機(例えば、上記エンジン51や燃料電池等)から排出される熱を回収して、第2温度の温水を得る機器であればよい。或いは、温水供給機器2は、第3実施形態で説明したように、自然エネルギーから集熱して、第2温度の温水を得る機器でもよい。
【0066】
尚、上記実施形態では、温水供給機器2を、主温水生成機器2A及び補助熱源機2Bという複数の熱源で構成する例を説明したが、温水供給機器2を単一の熱源で構成してもよい。例えば、
図9に示すように、上述した補助熱源機2Bのみで温水供給機器2を構成してもよい。この場合、運転制御部3が、熱交換器73よりも下流側の往路18に設けられる温水サーミスタ74の温度が適当な温度(例えば、上述した第1温度及び第2温度)となるように、燃焼器72に対して供給するガス量及び空気量を調整すれば、上述した通常運転状態及びエコ運転状態でミストサウナ装置を作動させることができる。この場合、
図4に示したフローチャートの工程#10では、補助熱源機2Bの運転を行っては第2温度の温水を生成することで、温水供給機器2からの温水供給を開始させるような制御を行えばよい。
【0067】
<2>
上記実施形態では、運転制御部3が、エコ運転スイッチ49がON操作されたか否かのみを判定基準として通常運転状態及びエコ運転状態の切換制御を行う例について説明したが、他の判定基準に基づいて通常運転状態及びエコ運転状態の切換制御を行うようにしてもよい。以下に説明するように、ミストサウナ装置は、温水供給機器2から供給される温水の温度を検出する熱媒サーミスタ5(温水温度検出手段の一例)を備えるとともに、熱媒サーミスタ5により検出される温水温度を参照して、通常運転状態若しくはエコ運転状態との間で運転状態を切り換える運転制御部3(運転状態切換手段の一例)を備える。以下に、運転制御部3が行う通常運転状態及びエコ運転状態の切換制御について説明する。
【0068】
図10は、通常運転状態及びエコ運転状態の切換制御のフローチャートである。
運転制御部3は、暖房運転スイッチ45及び乾燥運転スイッチ44及びミストサウナ運転スイッチ41の何れかがON操作されることで、暖房運転及び乾燥運転及びミストサウナ運転の何れかの運転を開始したとき、
図10に示す運転状態切換制御を行う。具体的には、工程#50において運転制御部3は、上記運転スイッチがON操作されたことを検出すると、温水供給機器2からの温水供給を開始させる。但し、運転制御部3は、補助熱源機2Bの運転は停止させる。次に、工程#52において運転制御部3は、温水供給機器2から供給される温水の温度を検出する熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続しているか否かの判定を行う。そして、運転制御部3は、熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続している場合には工程#54に移行し、熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続していない場合には工程#58に移行する。
【0069】
ここで、工程#52において熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続している状態というのは、補助熱源機2Bを作動させなくても温水供給機器2から第2温度(60℃)程度の温水を安定して供給できる状態であることを意味する。
これに対して、熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続していない状態というのは、補助熱源機2Bを作動させていないときに温水供給機器2から第2温度の温水を安定して供給できない状態を意味する。この場合、エコ運転指令を受け付けて温水利用温風発生装置をエコ運転状態で作動させようとした場合、温水供給機器から供給される温水の温度が低過ぎるため、その温水を用いて発生させることのできる温風の快適性や利便性も非常に低くなってしまう。
【0070】
そこで、熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続していない場合、工程#58において運転制御部3は、補助熱源機2Bの運転を開始する。つまり、温水供給機器2から第2温度の温水すら安定して供給できない状態であるので、運転制御部3は、エコ運転スイッチ49がON操作されたか否かに関わらず強制的に補助熱源機2Bを運転させて(工程#58)、通常運転状態でミストサウナ装置を作動させる(工程#60)。このように、エコ運転指令を受け付けたとしてもミストサウナ装置をエコ運転状態で作動させない(特に、通常運転状態で作動させる)ことで、利便性の非常に低い温風の発生を回避できる。
【0071】
これに対して、熱媒サーミスタ5の検出温度が58℃以上である状態が5秒以上連続している場合、工程#54において運転制御部3は、設定時間以内にエコ運転スイッチ49がON操作されたか否かの判定を行う。そして、運転制御部3は、エコ運転スイッチ49がON操作された場合には工程#56に移行し、エコ運転スイッチ49がON操作されていない場合には上記工程#58に移行する。
【0072】
工程#56において運転制御部3は、エコ運転スイッチ49がON操作されたこと(即ち、エコ運転指令を受け付けたこと)に応じて、上述したように上記第1温度とは異なる温度の温水の供給を受けてその温水で温風を発生するエコ運転状態でミストサウナ装置を作動させる。この場合、温水供給機器2から第2温度(60℃)程度以上の温水を安定して供給できる状態であるので、ミストサウナ装置において発生される温風は、利便性が著しく低くなることはない。
これに対して、運転制御部3は、エコ運転スイッチ49がON操作されないこと(即ち、通常運転指令を受け付けたこと)に応じて、上述したように工程#58において補助熱源機2Bの運転を開始すると共に、工程#30において上記第1温度の温水の供給を受けてその第1温度の温水で温風を発生する通常運転状態でミストサウナ装置を作動させる。
【0073】
<3>
上記実施形態では、エコ運転指令を受け付けるための特別のエコ運転スイッチ49を、各種の制御指令を入力可能なコントローラとしてのリモコン装置Rに備える例を説明したが、特別のエコ運転スイッチを備えない構成であってもよい。例えば、
図11は、別実施形態のリモコン装置のスイッチ配置を説明する図である。この例では、エコ運転指令を受け付けるための特別のエコ運転スイッチはリモコン装置Rに設けられていない。その代わり、運転制御部3は、例えば暖房運転が行われている間に暖房運転スイッチ45が再度ON操作されると、そのON操作をエコ運転指令の入力であると判定する。同様に、運転制御部3は、乾燥運転又はミストサウナ運転が行われている間に乾燥運転スイッチ44又はミストサウナ運転スイッチ41が再度ON操作されると、そのON操作をエコ運転指令の入力であると判定する。そして、運転制御部3は、エコ運転指令を受け付けるとエコ運転ランプ49aを点灯させて、使用者に対してエコ運転状態でミストサウナ装置を作動させていることを知らせる。
【0074】
<4>
上記実施形態では、温水の温度を例示して説明を行ったが、上述した温度は適宜変更可能である。例えば、第1温度の例として80℃を挙げ、第2温度の例として60℃を挙げたが、第1温度及び第2温度として他の温度を採用してもよい。