特許第5950640号(P5950640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950640
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】振出竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20160630BHJP
   A01K 87/04 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   A01K87/00 610A
   A01K87/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-59971(P2012-59971)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-192464(P2013-192464A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100149342
【弁理士】
【氏名又は名称】小副川 義昭
(72)【発明者】
【氏名】下野 誠
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−023004(JP,U)
【文献】 実開平05−007074(JP,U)
【文献】 実開昭57−052170(JP,U)
【文献】 特開2000−189007(JP,A)
【文献】 実公昭44−025334(JP,Y1)
【文献】 特開2006−014610(JP,A)
【文献】 特開2008−220265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00−87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ガイドを取り付けている元上竿とリールシートを取り付けている元竿とを備えた振出竿であって、
前記固定ガイドを、前記元上竿表面に装着される板状の脚部と、前記脚部から外方に向けて突設される支持フレーム部と、前記支持フレーム部に取り付けられている釣り糸挿通用のガイド枠部とで構成し、前記元上竿における前記脚部が載置された部位より竿尻側に取付座を形成するとともに、前記取付座にリング状ストッパ体を着脱自在に取り付けるべく構成し、前記リング状ストッパ体の外径を前記元竿の竿先側開口端の内径より大径に形成し、
前記取付座の竿先側と竿尻側とに鍔部を形成するとともに、前記竿尻側鍔部の外径を、前記元竿の竿先側開口の内径より小径に形成している振出竿。
【請求項2】
前記リング状ストッパ体のリング状を呈する本体の一部に切欠き部を形成して内径を拡大可能に構成し、前記取付座に対して前記リング状ストッパ体を着脱自在に構成してある請求項1記載の振出竿。
【請求項3】
前記リング状ストッパ体の断面形状を、竿先側端面から中間部に向けて穏やかに外径を拡大する半円弧状に形成するとともに前記中間部より竿尻側端面に向けて穏やかに縮径する半円弧状に形成して、竿先側端面から竿尻側端面に掛けて全体として山形形状に形成してある請求項1又は2に記載の振出竿。
【請求項4】
前記リング状ストッパ体を樹脂で形成してある請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の振出竿。
【請求項5】
前記取付座を、金属製の取付具として形成し、前記取付具の竿先側と竿尻側とに鍔部を形成するとともに、竿先側鍔部と竿尻側鍔部との間に、前記リング状ストッパ体を嵌め込み装着する嵌装着座部を形成し、前記鍔部の外径を、前記脚部を前記元上竿表面に取付固定している取付糸の外周面径より大径に形成している請求項1〜4の内のいずれか一項に記載の振出竿。
【請求項6】
前記取付座をプリプレグで形成し、竿先側と竿尻側とに鍔部を形成するとともに、竿先側鍔部と竿尻側鍔部との間に、前記リング状ストッパ体を嵌め込み装着する嵌装着座部を形成し、前記鍔部の外径を、前記脚部を前記元上竿表面に取付固定している取付糸の外周面径より大径に形成している請求項1〜4の内のいずれか一項に記載の振出竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投げ竿として使用される振出竿であって、固定ガイドを取り付けている元上竿とリールシートを取り付けている元竿とを備えた振出竿に関する。
【背景技術】
【0002】
投げ竿用の釣り糸ガイドとして構成されるものに次のようなものがある。
釣り糸ガイドとしては、並継竿用であれ、振出竿用であれ、かつ又、移動ガイドであれ、固定ガイドであれ、何れの形態を採る釣り糸ガイドも、釣り竿の外周面に外篏される筒ボス状の脚部と、その脚部から外方に向けて突設される支持フレーム部と前記支持フレーム部に取り付けられている釣り糸挿通用のガイド枠部とで構成してあった。
そして、移動ガイドであれば、筒ボス状の脚部を釣り竿に外嵌して移動自在に、また、固定ガイドであれば、筒ボス状の脚部を釣り竿に外嵌固定して移動不能に装着していた。
【0003】
しかし、上記構成の釣り糸ガイドでは、投げ竿として使用する場合に、仕掛けとともに投げ操作される釣り糸と釣り糸挿通用のガイド枠部との摩擦抵抗が高く、釣り人が目標とするポイントに正確に投げ入れることが困難なことがあった。
また、脚部として筒状ボス部が釣り竿に外嵌してあるので、その嵌合部分で竿自体の弾性が抑制されることになり、仕掛けを投げ入れる際の釣り竿全体のシナリが少なく、十分な仕掛けの飛距離を稼げないという課題もあった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−191833号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、特許文献1における第5図に示されているように、並継竿に使用されている、釣り糸ガイドを使用することが考えられた。
つまり、第5図に示すように、この釣り糸ガイドは、釣り竿の外周面に載置され取付用の糸を巻いて固定される板状の脚部と、その脚部から外方竿先側に向けて突設される支持フレーム部と前記支持フレーム部に取り付けられている釣り糸挿通用のガイド枠部とで構成してあった。
このことによって、前記した欠点については解消されたのであるが、別の課題が生じた。
【0006】
つまり、釣りを終えて振出竿内の水抜きをしようとする場合に、尻栓を外して振出竿を上下向き姿勢にすると元上竿が元竿の竿尻端側に移動することとなって、元上竿の竿先端に取付固定してある釣り糸用ガイドの支持フレーム部か又は釣り糸挿通用のガイド枠部が、元竿の竿先端側開口端(玉口)に当接して、釣り糸用ガイドを痛めるということがある。
一方、前記した筒ボス状脚部を備えた振出竿用ガイドでは、上記した水抜き作業時に、その筒ボス状脚部が元竿の竿先端側開口端に当接するとしても、脚部が筒ボス状のものであるので、左程、釣り用ガイドが影響を受けることは少なかった。
【0007】
本発明の目的は、投げ釣りを十分に楽しみながら、釣りを終えて振出竿から水抜きをする場合に、釣り糸ガイドを傷めることのない振出竿を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、元上竿に固定ガイドを備えるとともに、前記固定ガイドを、前記元上竿表面に装着される板状の脚部と、前記脚部から外方に向けて突設される支持フレーム部と、前記支持フレーム部に取り付けられている釣り糸挿通用のガイド枠部とで構成し、前記元上竿における前記脚部が載置された部位より竿尻側に取付座を形成するとともに、前記取付座にリング状ストッパ体を着脱自在に取り付けるべく構成し、前記リング状ストッパ体の外径を前記元竿の竿先側開口端の内径より大径に形成し、前記取付座の竿先側と竿尻側とに鍔部を形成するとともに、前記竿尻側鍔部の外径を、前記元竿の竿先側開口の内径より小径に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】
〔作用〕
つまり、振出竿形式を維持するものでありながら、元上竿に使用する釣り糸ガイドとしては、前記元上竿表面に装着される板状の脚部と脚部から外方に向けて突設される支持フレーム部と前記支持フレーム部に取り付けられている釣り糸挿通用のガイド枠部とで構成した前記固定ガイドを採用した。
そして、その固定ガイドの欠点を解消する為に、前記元上竿における前記脚部が載置された部位より竿尻側に取付座を形成するとともに、前記取付座にリング状ストッパ体を着脱自在に取り付けるべく構成した。
【0010】
このことによって、釣竿を仕舞って移動等する場合、元竿に元上竿等の中竿を仕舞い込む場合にも、元竿の玉口部が固定ガイド支持フレームに当たって損傷することがなく、また釣りを終えて振出竿を水抜き水洗いする場合に、尻栓を外しても、リング状ストッパ体が釣り糸ガイドに先行して元竿の竿先側端面に当接するので、釣り糸ガイドが元竿に接触することはなく、釣り糸ガイド自身が損傷することはない。
【0011】
一方、前記したリング状ストッパ体は、釣りを終えて水抜き水洗いする際に釣り糸ガイドが元竿の竿先側端面に当接することを阻止出来れば十分であるので、通常の釣り操作時は取り外しておくことができる。
このように取り外すことによって、仕掛けを投げ操作する際に、元竿の竿先側開口端の内径より大径に設定されているリング状ストッパ体の外径面が仕掛けとともに投げ操作される釣り糸に接触することを回避でき、仕掛けの飛距離を十分に確保できる。
【0012】
〔効果〕
したがって、釣り竿を仕舞い操作する水抜き水洗い時の釣り糸ガイドの損傷といったものを未然に防ぐことができるとともに、仕掛けの投げ入れ時には邪魔にならず、目標のポイントに容易に仕掛けを投げ入れることができる振出竿を提供できるに至った。
【0013】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記リング状ストッパ体のリング状を呈する本体の一部に切欠き部を形成して内径を拡大可能に構成し、前記取付座に対して前記リング状ストッパ体を着脱自在に構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
前記リング状ストッパ体を取付座から外したり、その取付座に取り付けたりする場合には、切欠き部を少し広げる操作を加えることによって、リング状ストッパ体を緩め操作することができ、着脱操作が可能である。
【0015】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記リング状ストッパ体の断面形状を、竿先側端面から中間部に向けて穏やかに外径を拡大する半円弧状に形成するとともに前記中間部より竿尻側端面に向けて穏やかに縮径する半円弧状に形成して、竿先側端面から竿尻側端面に掛けて全体として山形形状に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0016】
〔作用効果〕
このように、リング状ストッパ体の断面形状が、穏やかに山形形状を呈するものであるので、仕掛けとともに投げられた釣り糸がリング状ストッパ体の外周面に接触しても引っ掛かることがなく、飛距離に影響しない。
したがって、通常は釣り時にはリング状ストッパ体を取り外すこととなるが、敢えて装着し続けていても、仕掛けの投げ操作に対する影響は少ない。
【0017】
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記リング状ストッパ体を樹脂で形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0018】
〔作用効果〕
天然ゴムや合成ゴムでリング状ストッパ体を形成した場合に比べて、吸湿性が低いので寸法変化が少なく、取付座への取付状態が安定するとともに、接触抵抗が少なく釣り糸と接触しても抵抗と成り難く、仕掛けの飛距離等に与える影響は少ない。
樹脂としては、ABS樹脂、ナイロン樹脂、POMなどから選択できる。
例えば、POMであれば、ポリプラスチック社の商品名ジュラコン、又はデユポン社の商品名デルリンを採用する。
【0019】
〔構成〕
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記取付座を、金属製の取付具として形成し、前記取付具の竿先側と竿尻側とに鍔部を形成するとともに、竿先側鍔部と竿尻側鍔部との間に、前記リング状ストッパ体を嵌め込み装着する嵌装着座部を形成し、前記鍔部の外径を、前記脚部を前記元上竿表面に取付固定している取付糸の外周面径より大径に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0020】
〔作用効果〕
取付座を金属で形成することによって、投げだされた釣り糸との接触抵抗を小さくできる。
しかも、竿先側鍔部と竿尻側鍔部とでリング状ストッパ体を両側より挟み込み保持できるので、安定して保持できる。
【0021】
〔構成〕
請求項6に係る発明の特徴構成は、前記取付座をプリプレグで形成し、竿先側と竿尻側とに鍔部を形成するとともに、竿先側鍔部と竿尻側鍔部との間に、前記リング状ストッパ体を嵌め込み装着する嵌装着座部を形成し、前記鍔部の外径を、前記脚部を前記元上竿表面に取付固定している取付糸の外周面径より大径に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0022】
〔作用効果〕
取付座をプリプレグで形成することによって、釣り竿と同じ材質で製造することができ、釣り竿制作時に同時に制作でき、かつ、釣り竿と取付座との馴染みもよく、取付状態が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、投げ釣り用の振出竿を示す側面図である。
図2図2は、投げ釣り用の振出竿の分解側面図である。
図3図3は、(a)リング状ストッパ体を取付座に装着した状態を示す斜視図と、(b)I-I縦断側面図である。
図4図4は、(a)リング状ストッパ体が元竿の竿先側開口端から離間している状態を示す縦断側面図、(b)リング状ストッパ体が元竿の竿先側開口端に当接している状態を示す縦断側面図である。
図5図5はリング状ストッパ体を示し、(a)側面図、(b)II-II縦断正面図、(c)底面図である。
図6図6は取付座(取付具)を示し、(a)側面図、(b)縦断正面図である。
図7図7は元上竿における固定ガイド及ぶ取付座を固定するための取付シート構成についての説明図である。
図8図8はリング状ストッパ体の別実施形態を示し、(a)側面図、(b)側面図である。
図9図9はリング状ストッパ体の別実施形態を示し、(a)側面図、(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願発明は、投げ釣りを十分に楽しみながら、釣りを終えて振出竿を水抜き水洗いする場合に、尻栓を外して釣り竿を上下方向に切り替えても、釣り用ガイドを傷めることのない振出竿を提供することを目的として、元上竿に固定ガイドを備えるとともに、前記固定ガイドを前記元上竿表面に装着される脚部と脚部から外方に向けて突設される支持フレーム部と前記支持フレーム部に取り付けられている釣り糸挿通用のガイド枠部とで構成し、前記元上竿における前記脚部が載置された部位より竿尻側に取付座を形成するとともに、前記取付座にリング状ストッパ体を着脱自在に取り付けるべく構成し、前記リング状ストッパ体の外径を前記元竿の竿先側開口端の内径より大径に形成し、元上竿に取付固定された固定ガイドが損傷するのを防止しながら、仕掛けの投入時には、出来るだけリング状ストッパ体と釣り糸との接触を回避できるものを提供する点にある。
【0025】
〔第1実施形態〕
図1、2に示すように、投げ釣り用の振出竿Aは、穂先竿1、二番竿2、三番竿(元上竿)3、元竿4で構成されている。穂先竿1には、穂先端にトップガイド1Aが固定してあり、中間位置に3個の移動ガイド1Bが装着してある。二番竿2にも、竿先端に固定ガイド2Aと1個の移動ガイド2Bが装着してある。元上竿3には竿先端に固定ガイド3Aだけが装着してある。元竿4には、中間位置にリールシート5が取り付けてあり、スピニングリール6等を装着するようになっている。竿尻端には、やや大径の握り部4Aが形成してあり、投げ釣り操作時に、振り操作される釣り竿の姿勢を安定させるように、補助の手がシッカリ握ることができるように形成してある。
【0026】
釣り竿Aを構成する穂先竿1等は次のように製作される。つまり、炭素繊維等の強化繊維cを一方向に引き揃え、その引き揃え強化繊維群にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(又は熱可塑性樹脂)を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを略台形状に裁断した複数のものをマンドレルに巻回し、複数のプリプレグシートを巻回して構成した竿素材をマンドレルに巻回した状態で炉に入れて焼成し、焼成後マンドレルを脱芯して円筒状の竿素材を取り出しその竿素材を所定長に裁断して、仕上加工を施し竿体とする。
【0027】
プリプレグを構成する強化繊維cとしては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。また、プリプレグとしては、強化繊維を編み込んだ織り物に樹脂を含浸させて構成したものであってもよい。
【0028】
元上竿3に取り付けられる部品について説明する。図1、2に示すように、固定ガイド3Aは、前記元上竿表面に装着される板状の脚部3aと脚部3aから外方に向けて突設される支持フレーム部3bと前記支持フレーム部3bに取り付けられている釣り糸挿通用のガイド枠部3cとで構成してある。
【0029】
板状の脚部3aは、竿先側と竿尻側との二か所に離れて載置され、元上竿3の円弧状表面に沿うように、やや円弧状を呈している。二つの板状脚部3a、3aは、取付糸aによって元上竿3に固定されている。
釣り糸挿通用のガイド枠部3cは、両板状脚部3a、3aの中間位置上方に位置しやや斜め前方に向けて傾斜する姿勢にあり、中心位置に円形の釣り糸挿通孔を形成してあり、釣り糸挿通孔の内側縁に硬質のガイドリング3dが装着してある。
支持フレーム部3bは、竿先側板状脚部3aから後方上方に立ち上げ釣り糸挿通用のガイド枠部3cの下端を支持する単一の前支持フレーム部3baと、竿尻側板状脚部3aから前方上方に立ち上げ釣り糸挿通用のガイド枠部3cの左右端を支持する左右一対の後支持フレーム部3bbとでなる。
この固定ガイド3Aは、チタンやアルミ等の金属材料で作られている。
【0030】
元上竿3における脚部3aが載置された部位より竿尻側に取付座7を形成するとともに、取付座7にリング状ストッパ体8を装着できるように構成する。
取付座7は、ステンレス製の部品であり、釣り竿Aとは別個に形成されて、元上竿3の所定位置に嵌着されて、接着剤を使用して固定される。
【0031】
図1、2、及び図6に示すように、取付座7は、ステンレス製の長尺筒状の取付具として形成してあり、取付具における竿先側と竿尻側とに大径の鍔部7A、7Bを形成するとともに、竿先側鍔部7Aと竿尻側鍔部7Bとの間に、リング状ストッパ体8を嵌め込み装着する嵌装着座部7Cを形成してある。
材料としてステンレスを使用しているが、チタン等を使用してもよい。
【0032】
竿先側鍔部7Aと竿尻側鍔部7Bにおける嵌装着座部7Cを挟んで向かい合う面7a、7bは、略軸線Xに直交する垂直面となっているのに対して、竿先側鍔部7Aの頂点から更に竿先側端面7eに向けて穏やかに傾斜して縮径する傾斜面7cとなっている一方、竿尻側鍔部7Bの頂点から更に竿尻側端面7fに向けて穏やかに傾斜して縮径する傾斜面7dとなっている。
また、竿先側鍔部7Aの頂点及び竿尻側鍔部7Bの頂点においては、先鋭な角を形成するのではなく、丸みを帯びた円弧面の面取り7eが行われている。
【0033】
以上のように、取付具7はステンレス製であるが、竿先側鍔部7Aの頂点及び竿尻側鍔部7Bの頂点や、竿先側端から更に竿先側鍔部7Aの頂点に向う傾斜面7cや、竿尻側鍔部7Bの頂点から更に竿尻側端に向う傾斜面7dは、円滑な面形状に仕上げ形成されており、投げ操作された釣り糸が接触しても、大きな移動抵抗とならないように形成してある。
【0034】
次に、樹脂製のリング状ストッパ体8について説明する。図5に示すように、リング状ストッパ体8は、樹脂であるジュラコンを使用して作られており、表面自体が円滑性に富むものである。
ただし、リング状ストッパ体8としては、他の樹脂を使用することができる。
つまり、他の樹脂としては、前記したように、ABS樹脂、ナイロン樹脂、POMを選択できる。
例えば、POMならば、ポリプラステック社の商品名ジュラコン、又は、デユポン社の商品名デルリンを採用する。
この材料をリング状に成形してある。中心に装着用の孔8Aを形成し、その孔8Aを囲むリング状本体8Bの断面は、竿先側端面8aから中間部8bに向けて穏やかに外径を拡大する半円弧状に形成するとともに前記中間部8bより竿尻側端面8cに向けて穏やかに縮径する半円弧状に形成して、竿先側端面から竿尻側端面に掛けて全体として山形形状に形成してある。竿先側端面8aと竿尻側端面8cは、僅かに、軸線Yに直交する直線状の端面に形成してある。また、中間部8bは、軸線Yに平行な或る幅を持った直線状の端面に形成してある。
【0035】
このような構成に加えて、更に、リング状本体8Bの円周方向一か所には、略円周角度で略90度に達する切欠き部8Cが設けてある。この切欠き部8Cの存在によって、リング状本体部8Bが中心の装着用の孔8Aを拡縮径することができて、取付具7への装着を容易にしている。
【0036】
図5(a)に示すように、切欠き部8Cの左右端よりリング状本体8Bの開口端面には、直線上で外側に向けてやや傾斜する平坦傾斜面8dが形成してあり、リング状ストッパ体8を取付具7に装着した状態で、切欠き部8Cの左右端面が釣り糸と接触しないように形成してある。また、前記傾斜面8dの互いに向き合う端面には、軸心Yに向けて内側に切れ込む切込み面8eが形成してあり、このことによって、リング状ストッパ体8を取付具7に取付た状態で切込み面8eが取付具7より突出しない。
【0037】
以上のような構成になるリング状ストッパ体8を取付具7に装着した状態で、リング状本体8Bの中間部8bの外径Dは、元竿4の竿先側開口端4aの内径dより大径に形成してある。一方、取付具7の鍔部7A、7Bの外径D1は元竿4の竿先側開口端4aの内径dより小径である。
【0038】
これによって、図4(b)に示すように、リング状ストッパ体8を取付具7に取付た状態で、釣りを終えて振出竿を水抜き水洗いする場合に、尻栓を外しても、取付具7の元竿側の一部は、元竿4内に入り込んでしまうが、リング状ストッパ体8が、釣り糸ガイドに先行して元竿4の竿先側開口端4aの端面に当接するので、固定ガイド3Aが元竿4に接触することはなく、固定ガイド自身が損傷することはない。
【0039】
次に、固定ガイド3A、取付具7、リング状ストッパ体8と元上竿3の竿面の繋がりについて説明する。図4に示すように、固定ガイド3Aの板状脚部3aを固定している取付糸aの外周面径に対して取付具7の竿先側端面7eの外径D1は大径に形成されている。
また、リング状ストッパ体8の竿先側端面8aから中間部8bに向けて穏やかに外径を拡大する半円弧状に形成された外周面は、取付具7に装着された状態で、取付具7の竿先側端から更に竿先側鍔部7Aの頂点に向う傾斜面7cに滑らかに繋がり、かつ、リング状ストッパ体8の中間部8bから竿尻側端面8cに向けて穏やかに外径を縮小する半円弧状に形成され外周面は、取付具7の竿尻側鍔部7Bの頂点から更に竿尻側端に向う傾斜面7dに滑らかに繋がっている。
【0040】
以上のような構成に加えて、取付具7を装着している元上竿3における竿尻側の外周面3Bにおいては、取付具7の竿尻側端面7fの外径と略同一の外径を呈しており、その同一の外径部より竿尻側に向けて、穏やかに縮径するものに形成されている。
このように、固定ガイド3A、取付具7、リング状ストッパ体8と元上竿3の竿面は、段差なく繋がるように配置構成されているので、釣り糸が接触しても、大きな移動抵抗と成らないような構成となっている。
【0041】
しかも、取付具7の鍔部7A、7Bの外径D1は固定ガイド3Aの脚部3aを固定している取付糸aの外周面径より大径であるので、投げ操作に伴って移動する釣り糸もこの鍔部7A、7Bに遮られて、脚部3aに巻き付けられた取付糸aの部分に接触することが抑制されている。
【0042】
また、リング状ストッパ体8の取付形態として、切欠き部8C部分を元上竿3の固定ガイド3Aにおける脚部3aの竿尻側に位置するように装着する場合には、次のようなことが言える。つまり、脚部3aに巻回されている取付糸aの外径とリング状ストッパ体8の装着部分が段差の少ない連続状態となり、投げ出される釣り糸が接触しても抵抗を及ぼすことが少なくなる。
【0043】
固定ガイド3A及び取付具7を取付けている元上竿3について説明する。図7に示すように、元上竿3を構成するプリプレグシートとしては、炭素繊維等の強化繊維cがクロスする状態に編みこまれたものであり、これによって、固定ガイド3A及び取付具7の取付部位の変形に対する抵抗が大きくなっている。
そのために、元上竿3の竿先側開口端の開口形状が崩れにくく、振出竿として、二番竿2を元上竿3より引き出した状態で、二番竿2の竿尻側端部の外周面が元上竿3の竿先側端部の内周面にキッチリと内接して、二番竿2の伸長状態が安定して維持される。
【0044】
しかも、元上竿3の竿先側開口端の開口形状が安定することによって、取付具7を元上竿3に取付固定する場合にも、取付具7の内周面が元上竿3の竿先側端部の外周面に密着するので、取付具7の取付状態も安定したものとなり、それに装着されるリング状ストッパ体8の装着状態が安定し、元竿4の竿先側開口端に当接した場合にも、確実に当接して十分ストッパ機能を発揮する。
【0045】
〔別実施形態〕
(1)リング状ストッパ体8としては、次のような構成を採るものでもよい。図8(a)(b)に示すように、リング状本体8Bの周方向一か所に切込み8fを形成し、装着用の孔8Aが拡径するように構成してもよい。このような構成を採ることによって、リング状ストッパ体8を元上竿3に対して着脱自在なものにできる。
この場合の材料としては、合成ゴム等を使用することも可能である。
【0046】
(2)リング状ストッパ体8としては、次のような構成を採るものでもよい。図9(a)(b)に示すように、リング状本体8Bの周方向一か所に鍵状の切離し部8gを形成し、装着用の孔8Aが拡径するように構成してもよい。このような構成を採ることによって、リング状ストッパ体8を元上竿3に対して着脱自在なものにできる。
この場合の材料としては、合成ゴム等を使用することも可能である。
【0047】
(3)取付座7として、プリプレグで作成する形態について説明する。取付具7としては、図6に示す形態のものを、型に嵌めて成形し、その成形品を元上竿3に接着固定する方法か、元上竿3の所定位置に型を装着し、その型内にプリプレグを配置して、元上竿3に一体成型する方法とが採れる。
(4)本発明は固定ガイドのみならず、移動ガイドの竿にも利用できることは当業者にとって自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明は、投げ竿において、振出竿と並継竿用釣り糸ガイドを融合させたものであり、投げ竿として、仕掛けの投入操作を容易にする釣り竿である。
【符号の説明】
【0049】
1 穂先竿
1B 移動ガイド
3 元上竿
3A 固定ガイド
3a 脚部
3b 支持フレーム部
3c ガイド枠部
4 元竿
4a 竿先側開口端
5 リールシート
7 取付座(取付具)
7A 竿先側鍔部
7B 竿尻側鍔部
7C 嵌装着座部
8 リング状ストッパ体
8B ストッパ本体
8C 切欠き部
8a 竿先側端面
8b 中間部
8c 竿尻側端面
D リング状ストッパ体の外径
d 元竿の竿先側開口端の内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9