特許第5950647号(P5950647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5950647-基準電圧回路 図000002
  • 特許5950647-基準電圧回路 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950647
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】基準電圧回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/28 20060101AFI20160630BHJP
   H03K 19/00 20060101ALI20160630BHJP
   H03M 1/74 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G05F3/28
   H03K19/00 A
   H03M1/74
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-65986(P2012-65986)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-196622(P2013-196622A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今井 靖
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−072189(JP,A)
【文献】 特開2002−372554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/28
H03K 19/00
H03M 1/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルと、前記メモリセルのゲート電圧を調整する定電圧回路と、前記メモリセルのセル電流を折り返すためのカレントミラー回路とを有する複数の回路と、
前記折り返された複数のカレントミラー電流を加算し、該加算された電流を電圧に変換するIV変換素子と、を有し、
前記メモリセルと前記カレントミラー回路の間には前記メモリセルの選択スイッチを備え
前記メモリセルの書き込み深さを可変することにより、前記メモリセルの各々のセル電流の電流値の範囲が異なるように調整することを特徴とする基準電圧回路。
【請求項2】
前記定電圧回路の電圧値を可変して、前記メモリセルのゲート電圧を調整することにより、前記メモリセルの各々のセル電流の電流値の範囲が異なるように調整することを特徴とする請求項記載の基準電圧回路。
【請求項3】
前記複数の回路において、前記カレントミラー回路のミラー比を調整して前記カレントミラー回路の各々の出力電流の電流値の範囲が異なるように調整することを特徴とする請求項または記載の基準電圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基準電圧回路について説明する。図2は、従来の基準電圧回路を示す図である。
メモリ部に記憶されたデジタルデータを変更する事により、D/Aコンバータの出力(アナログ電圧)を調整し、基準電圧を調整する。メモリ部はEEPROMなどの不揮発性メモリにより構成されており、メモリ部に記憶されたデジタルデータを書き換えることにより、任意の基準電圧に何度でも変更することができる。また、10ビット以上のメモリセルを用いることで、基準電圧を高精度に制御することができる。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−372554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、基準電圧を高精度に制御しようとすると、10ビット以上のメモリセルを用いる必要があり、精度に応じてメモリセルのビット数が増えてしまう。また、メモリセルのビット数に対応したD/Aコンバータが必要であり回路規模が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、D/Aコンバータを必要としない少数のメモリセルを用いた、回路規模が小さく高精度な基準電圧回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、アナログ素子として使用する数ビットのメモリセルと、メモリセルのセル電流Ionを折り返すためのカレントミラー回路と電流を電圧に変換するIV変換素子と、を備えた基準電圧回路を提供する。メモリセルの書き込み深さを可変することにより、各々のメモリのセル電流Ionの電流値の範囲が異なるように調整し、各々のカレントミラー回路の出力電流を加算してIV変換素子で電圧に変換する。電流値の調整範囲が異なるメモリのセル電流Ionを加算するので基準電圧を高精度に制御することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の基準電圧回路では、メモリセルをアナログ素子として使用するので、D/Aコンバータを使用しない。また、電流値の範囲が異なるメモリのセル電流Ionを加算するので、数ビットのメモリセルで基準電圧を高精度に制御できる。
従って、D/Aコンバータを使用せず、回路規模が小さく高精度に基準電圧を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の基準電圧回路を示す図である。
図2】従来の基準電圧回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、基準電圧回路の構成について説明する。図1は、本発明の基準電圧回路を示す図である。
【0010】
本発明の基準電圧回路は、メモリセル1、2、3、NMOSトランジスタ31、32、33、カレントミラー回路のPMOSトランジスタ11、12、13、21、22、23、抵抗R0、定電圧回路101、102、103を備える。
【0011】
メモリセル1は、ゲートを定電圧回路101に、ドレインをNMOSトランジスタ31のソースに、ソースを接地端子VSSに接続する。定電圧回路101の反対側端子は接地端子VSSに接続する。NMOSトランジスタ31は、ゲートをノード201に、ドレインをPMOSトランジスタ11のゲートとドレイン、PMOSトランジスタ21のゲートに接続する。PMOSトランジスタ11は、ゲートをPMOSトランジスタ21のゲートに、ソースを電源端子VCCに接続する。PMOSトランジスタ21は、ソースを電源端子VCCに、ドレインをPMOSトランジスタ22のドレイン、PMOSトランジスタ23のドレイン、抵抗R0、出力端子VREFに接続する。抵抗R0の反対側端子は接地端子VSSに接続する。
【0012】
メモリセル2は、ゲートを定電圧回路102に、ドレインをNMOSトランジスタ32のソースに、ソースを接地端子VSSに接続する。定電圧回路102の反対側端子は接地端子VSSに接続する。NMOSトランジスタ32は、ゲートをノード202に、ドレインをPMOSトランジスタ12のゲート、ドレイン、PMOSトランジスタ22のゲートに接続する。PMOSトランジスタ12は、ゲートをPMOSトランジスタ22のゲートに、ソースを電源端子VCCに接続する。PMOSトランジスタ22は、ソースを電源端子に接続する。
【0013】
メモリセル3は、ゲートを定電圧回路103に、ドレインをNMOSトランジスタ33のソースに、ソースを接地端子VSSに接続する。定電圧回路103の反対側端子は接地端子VSSに接続する。NMOSトランジスタ33は、ゲートをノード203に、ドレインをPMOSトランジスタ13のゲート、ドレイン、PMOSトランジスタ23のゲートに接続する。PMOSトランジスタ13は、ゲートをPMOSトランジスタ23のゲートに、ソースを電源端子VCCに接続する。PMOSトランジスタ23は、ソースを電源端子に接続する。
【0014】
次に、本発明の基準電圧回路の動作について説明する。
メモリセル1、2、3は、メモリセルの書き込み深さを可変することにより、各々のメモリのセル電流Ionの電流値の範囲が異なるように調整する。例えば、メモリセル1のセル電流Ionを10〜90uAとした場合、メモリセル2のセル電流値Ionは、1〜9uAに調整し、メモリセル3のセル電流値Ionは、0.1〜0.9uAに調整する。
【0015】
PMOSトランジスタ11、21で構成されるカレントミラー回路51は、メモリセル1のセル電流値Ionと同値の電流を流す。カレントミラー回路52、カレントミラー回路53も、同様である。
【0016】
NMOSトランジスタ31、32、33は選択スイッチとして動作する。
例えば、メモリセル1、2、3のセル電流値Ionを加算したい時、ノード201、ノード202、ノード203に“H”を入力するように制御する。
【0017】
IV変換素子である抵抗R0は、加算したメモリセル電流を電圧に変換する。電流値の調整範囲が異なるメモリのセル電流Ionを加算するので、基準電圧を高精度に制御でき、D/Aコンバータなどを必要としないので回路規模を小さくすることができる。
【0018】
以上、図1の回路を基に本発明の第1の実施形態を説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した内容の範囲内で種々の変更が可能である。上記第1の実施形態では、3ビットのメモリセルを用いたが、精度に応じてメモリセルのビット数を設定すればよい。また、上記第1の実施形態のIV変換素子は、抵抗に限定されるものではない。
【0019】
以上説明した実施例では、メモリセルの書き込み深さを可変することにより、各々のメモリのセル電流Ionの電流値の範囲が異なるように調整しているが、例えば定電圧回路101、102、103の電圧値を可変して、メモリセルのゲート電圧を調整することにより、各々のセル電流Ionの電流値の範囲が異なるように調整し、メモリセルの書き込み深さの微調整で基準電圧を制御することができる。
【0020】
また別の実施例として、例えばセル電流Ionの電流値の調整範囲は同じとし、カレントミラー回路のミラー比を調整してPMOSトランジスタ21、22、23の電流値の範囲が異なるように調整し、メモリセルの書き込み深さの微調整で基準電圧を制御することができる。
【0021】
さらに、定電圧回路によるメモリセルのゲート電圧調整と、カレントミラー回路のミラー比による電流調整は組み合わせて使うことができる。
【符号の説明】
【0022】
VCC 電源端子
VSS 接地端子
VREF 出力端子
1〜3 メモリセル
51〜53 カレントミラー回路
101〜103 定電圧回路
図1
図2