(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部の電力系統に電気的に接続された状態で電力消費装置に対して給電可能な連系運転状態と、前記電力系統とは電気的に遮断された状態で前記電力消費装置に対して給電可能な自立運転状態とを切り換えて動作可能な電源手段を備える電源装置であって、
前記電源手段の運転に伴って累積される累積運転指標値を管理する指標値管理手段と、
前記指標値管理手段が管理している前記累積運転指標値の大きさが、前記電源手段の点検を行うために必要な運転停止の強制基準値に到達したか否かを判定する判定手段と、
前記運転停止の強制基準値に到達したと前記判定手段によって判定されたとき、前記連系運転状態に切り換えられているときは前記電源手段の運転の強制停止を行い、前記自立運転状態に切り換えられているときは前記電源手段の運転の強制停止を行なわない強制停止管理手段とを備え、
前記判定手段は、前記電源手段が前記自立運転状態で動作しているとき、前記指標値管理手段が管理している前記累積運転指標値の大きさが、前記運転停止の強制基準値よりも後の時点に設定される猶予終了基準値に到達したか否かを判定し、
前記強制停止管理手段は、前記自立運転状態に切り換えられた状態で前記猶予終了基準値に到達したと前記判定手段によって判定されたとき前記電源手段の運転の強制停止を行う電源装置。
前記判定手段は、前記指標値管理手段が管理している前記累積運転指標値の大きさが、前記運転停止の強制基準値よりも前の時点に設定される点検推奨基準値に到達したか否かを判定し、
前記点検推奨基準値に到達したと前記判定手段によって判定されたとき、前記点検推奨基準値に到達していることを報知する報知手段を備える請求項1に記載の電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の装置では、点検時期が到来すると、外部の電力系統からの電力供給が正常に行われているか否かに関わらず、電力変換装置の運転が停止されてしまう。尚、外部の電力系統からの電力供給が正常に行われる間であれば、点検時期の到来に伴って電力変換装置の運転を強制的に停止し、その結果、発電装置からの電力供給が途絶えても、電力消費装置は電力系統からの電力供給を受けることができる。つまり、発電装置を発電運転させるという経済的メリットは得られないが、電力系統から供給される電力で電力消費装置を確実に動作させることができる。
しかし、外部の電力系統からの電力供給が正常に行われていない間に電力変換装置の運転を強制的に停止すると、発電装置の自立発電機能を生かすことができなくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電源手段の点検が確実に行われるようにしながらも、電源手段からの自立運転状態での電力供給能力を有効に活用できる電源装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る電源装置の特徴構成は、外部の電力系統に電気的に接続された状態で電力消費装置に対して給電可能な連系運転状態と、前記電力系統とは電気的に遮断された状態で前記電力消費装置に対して給電可能な自立運転状態とを切り換えて動作可能な電源手段を備える電源装置であって、
前記電源手段の運転に伴って累積される累積運転指標値を管理する指標値管理手段と、
前記指標値管理手段が管理している前記累積運転指標値の大きさが、前記電源手段の点検を行うために必要な運転停止の強制基準値に到達したか否かを判定する判定手段と、
前記運転停止の強制基準値に到達したと前記判定手段によって判定されたとき、前記連系運転状態に切り換えられているときは前記電源手段の運転の強制停止を行い、前記自立運転状態に切り換えられているときは前記電源手段の運転の強制停止を行なわない強制停止管理手段とを備え
、
前記判定手段は、前記電源手段が前記自立運転状態で動作しているとき、前記指標値管理手段が管理している前記累積運転指標値の大きさが、前記運転停止の強制基準値よりも後の時点に設定される猶予終了基準値に到達したか否かを判定し、
前記強制停止管理手段は、前記自立運転状態に切り換えられた状態で前記猶予終了基準値に到達したと前記判定手段によって判定されたとき前記電源手段の運転の強制停止を行う点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、電源手段が連系運転状態に切り換えられているときは、累積運転指標値の大きさが運転停止の強制基準値に到達すると電源手段の運転の強制停止が行われて、電源手段の点検が適宜行われるようになる。その結果、電源手段の点検が行われないまま無制限に運転され続けるような事態を自動的に回避できる。また、電源手段が連系運転状態に切り換えられている状態は、外部の電力系統からの電力供給が正常に行われている状態であるので、電源手段の運転を強制停止しても電力消費装置に対してはその電力系統からの電力供給を継続して行うことができる。
これに対して、電源手段が自立運転状態に切り換えられているときは、累積運転指標値の大きさが運転停止の強制基準値に到達しても電源手段の運転の強制停止を行わず、電源手段の運転継続が許容される。電源手段が自立運転状態に切り換えられている状態は、外部の電力系統からの電力供給が正常に行われていない状態であり、電力消費装置に対する電力供給は電源手段のみから可能となっている状態であるので、このように電源手段の運転継続を許容することで、電力消費装置に対する電力供給を継続できる。
また、電源手段が自立運転状態に切り換えられているときは、累積運転指標値の大きさが猶予終了基準値に到達すると電源手段の運転の強制停止が行われて、電源手段の点検が適宜行われるようになる。その結果、電源手段が自立運転状態に切り換えられている場合においても、電源手段の点検が行われないまま無制限に運転され続けるような事態を自動的に回避できる。
従って、電源手段の点検が確実に行われるようにしながらも、電源手段からの自立運転状態での電力供給能力を有効に活用できる電源装置を提供できる。
【0011】
本発明に係る電源装置の更に別の特徴構成は、前記判定手段は、前記指標値管理手段が管理している前記累積運転指標値の大きさが、前記運転停止の強制基準値よりも前の時点に設定される点検推奨基準値に到達したか否かを判定し、前記点検推奨基準値に到達したと前記判定手段によって判定されたとき、前記点検推奨基準値に到達していることを報知する報知手段を備える点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、累積運転指標値の大きさが点検推奨基準値に到達していることを報知することで、運転停止の強制基準値が近いことを使用者に認識させることができる。
【0013】
本発明に係る電源装置の更に別の特徴構成は、情報の入力を受け付ける情報受付手段を備え、前記指標値管理手段は、前記情報受付手段が前記電源手段の点検が終了したことを受け付けると、管理している前記累積運転指標値の大きさを零に変更する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、電源手段の点検が終了すると、累積運転指標値の大きさが零に変更されるので、その後、次の点検時期を把握するための累積運転指標値の計数を正確に行うことができる。
【0015】
本発明に係る電源装置の更に別の特徴構成は、前記累積運転指標値が、前記電源手段の運転に伴って累積される累積運転期間である、或いは、前記累積運転指標値が、前記電源手段の運転に伴って累積される累積給電電力量である点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、電源手段は累積運転期間が長くなるほど或いは累積給電電力量が大きくなるほど劣化が進行するため、その累積運転期間又は累積給電電力量を指標値として用いて、電源手段の点検時期の到来を把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態の電源装置10A(10)について説明する。
図1は、電源装置10Aが設けられる電力供給システムの構成を説明する図である。電力供給システムは、電力消費装置3に対して、外部の電力系統1及び電源装置10Aの少なくとも何れか一方から電力を供給可能に構成されている。
以下に、電力供給システムの構成について具体的に説明する。
【0019】
電源装置10Aは、外部の電力系統1に電気的に接続された状態で電力消費装置3に対して給電可能な連系運転状態と、電力系統1とは電気的に遮断された状態で電力消費装置3に対して給電可能な自立運転状態とを切り換えて動作可能な電源手段11を備える。
電源装置10Aが備える電源手段11は、各種発電装置や蓄電装置などである。例えば、電源手段11として、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機や、燃料電池や、太陽光発電装置などを用いることができる。また、蓄電池(例えば、化学電池)や電気二重層キャパシタなどの蓄電装置を上記電源手段11として用いることができる。
【0020】
分電盤2には、外部の電力系統1と、電源装置10Aが有する電源手段11と、電力消費装置3A(3)とが接続される。電力系統1から電力供給が正常に行なわれているとき、この分電盤2を経由して、電力消費装置3Aに対して電力供給が行なわれる。また、分電盤2に対して電源手段11が接続されているとき、電源手段11の電力を分電盤2に供給可能である。このように、電源手段11を電力系統1に連系している連系運転状態では、分電盤2に対して、電力系統1及び電源手段11の双方から電力供給可能な状態になっている。分電盤2には、電力消費装置3A、及び、連系用電気コンセント4が電気的に接続されている。連系用電気コンセント4には、電力消費装置3B(3)を接続可能である。
図1に示す例では、連系用電気コンセント4に接続できる電力消費装置3として、電力消費装置3Bを例示している。電力消費装置3Bは電気プラグ6に対して電気的に接続されており、その電気プラグ6を連系用電気コンセント4に装着することで、分電盤2を経由した電力供給を受けることができる。
【0021】
本実施形態において、電力消費装置3Aは、分電盤2を経由した電力供給が途絶えた場合(即ち、電力系統1が停電した場合)に電力供給が遮断されても構わないような装置(例えば、一部の照明装置等)である。電力消費装置3Bは、分電盤2を経由した電力供給が途絶えた場合であっても電力供給を必要とする装置(例えば、テレビ、携帯電話用充電器、冷蔵庫、一部の照明装置など)である。尚、どのような装置を上記電力消費装置3A又は上記電力消費装置3Bと分類するのかは使用者が適宜変更可能である。
【0022】
電源装置10Aは、電源手段11と、電源手段11の動作を制御する動作制御手段12とを有する。例えば、電源手段11が上記発電装置で構成される場合、動作制御手段12は、その発電装置の発電運転の開始制御、発電運転の停止制御、発電電力の制御などを行う。また、電源手段11が上記蓄電装置で構成される場合、動作制御手段12は、その蓄電装置の充電動作及び放電動作の切り換え制御、充電電力又は放電電力の制御などを行う。
【0023】
また、電源装置10Aは、その使用者が切換操作を行う連系/自立切換スイッチ13を備える。この連系/自立切換スイッチ13は、電源装置10Aに対して連系運転状態及び自立運転状態のうちの何れの運転状態での動作を許容するのかを切り替えるスイッチである。また、電源手段11には、電力を出力可能な電力端子が2系統設けられている。一つは、連系運転状態での動作時に電力を分電盤2へと供給するときに用いる連系用電力端子11aであり、もう一つは自立運転状態での動作時に電力を自立用電気コンセント5へ供給するときに用いる自立用電力端子11bである。
【0024】
動作制御手段12は、連系/自立切換スイッチ13の切換状態を逐次検出でき、その切換状態に応じた動作指令が動作制御手段12から電源手段11へと伝達される。具体的には、連系/自立切換スイッチ13が「連系運転状態」に切り換えられると、動作制御手段12は、連系/自立切換スイッチ13が切り換えられたことを検知して電源手段11に対して連系運転モードでの動作を許容する。従って、連系/自立切換スイッチ13が連系運転状態に切り換えられているとき、電源手段11から出力される電力は、連系用電力端子11aを介して分電盤2に供給可能であるが、自立用電力端子11bを介して自立用電気コンセント5に供給されることは無い。これに対して、連系/自立切換スイッチ13が「自立運転状態」に切り換えられると、動作制御手段12は、連系/自立切換スイッチ13が切り換えられたことを検知して電源手段11に対して自立運転モードでの動作を許容する。従って、連系/自立切換スイッチ13が自立運転状態に切り換えられているとき、電源手段11から出力される電力は、自立用電力端子11bを介して自立用電気コンセント5に供給可能であるが、連系用電力端子11aを介して分電盤2に供給されることはない。
【0025】
電力系統1の停電等の理由により電力系統1からの電力供給が正常に行われていない場合、使用者が、連系/自立切換スイッチ13を操作して電源装置10Aを自立運転状態に切り換える。その結果、上述したように、電源手段11からは、自立用電力端子11bを介して自立用電気コンセント5へ電力の供給を行える状態になる。また、使用者は、電気プラグ6を自立用電気コンセント5に接続して、電力消費装置3Bに対して電源手段11からの電力が供給されるようにする。
その後、電力系統1からの電力供給が正常に行なわれるようになると、使用者は、連系/自立切換スイッチ13を操作して電源装置10を連系運転状態に切り換える。また、使用者は、電気プラグ6を連系用電気コンセント4に接続して、電力消費装置3A及び電力消費装置3Bに対して、電力系統1から供給される電力及び電源手段11から供給される電力の少なくとも一方が分電盤2を介して供給される状態にする。
【0026】
次に、第1実施形態の電源装置10Aの構成について更に具体的に説明する。
本実施形態で説明する電源装置10Aは、上述したように自立運転状態での電力供給能力を有効に活用するような仕組みを備えている。具体的には、
図1に示すように、電源装置10Aは、電源手段11の運転に伴って累積される累積運転指標値の大きさを管理する指標値管理手段14と、指標値管理手段14が管理している累積運転指標値の大きさが、電源手段11の点検を行うために必要な運転停止の強制基準値に到達したか否かを判定する判定手段15と、運転停止の強制基準値に到達したと判定手段15によって判定されたとき、連系運転状態に切り換えられているときは電源手段11の運転の強制停止を行い、自立運転状態に切り換えられているときは電源手段11の運転の強制停止を行なわない強制停止管理手段16とを備える。
【0027】
指標値管理手段14は、電源手段11の運転に伴って累積される累積運転指標値の大きさを管理する。例えば、累積運転指標値としては、電源手段11の運転に伴って累積される運転期間又は通電期間(以下、「累積運転期間」と記載することもある)がある。或いは、累積運転指標値として、電源手段11が発電装置である場合に、その運転に伴って累積される発電電力量(即ち、発電されて電力消費装置3に給電される電力量)などの給電電力量(以下、「累積給電電力量」と記載することもある)を採用することもできる。電源手段11を構成する部品や機器は、累積運転期間が長くなるほど或いは累積給電電力量が大きくなるほど通常は劣化が進むため、点検や交換の目安となる累積運転期間や累積給電電力量などに関する基準値が定められている。従って、前回に点検や交換が行われてからの累積運転指標値を管理しておくことで、次の点検や交換の時期を把握できるようになる。尚、本願において「点検」には、点検に伴う部品や消耗品の交換なども含む。また、累積運転指標値を、電源手段11に設けられる複数の部品毎及び複数の機器毎に管理してもよい。
【0028】
そして、電源手段11を構成する部品などの劣化に備えて、定期的に点検を行う必要がある。また、点検を行うためには、電源手段11を停止させる必要がある。電源手段11が、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とで構成される場合、例えば、エンジンオイルの交換時期、エンジンのバルブクリアランスの調整時期などを把握できるようにしておくことが好ましい。電源手段11が、燃料電池で構成される場合、例えば、イオン交換樹脂の交換時期、空気フィルターの交換時期、ガスセンサの交換時期などを把握できるようにしておくことが好ましい。電源手段11が、太陽光発電装置や、蓄電装置で構成される場合、例えば、それらに用いられる電力変換装置(半導体素子)の交換時期などを把握できるようにしておくことが好ましい。
【0029】
判定手段15は、指標値管理手段14が管理している累積運転指標値の大きさが、電源手段11の点検を行うために必要な運転停止の強制基準値に到達したか否かを判定する。この判定手段15によって、点検の時期が到来したことを確実に判定できる。
【0030】
強制停止管理手段16は、運転停止の強制基準値に到達したと判定手段15によって判定されたとき、電源手段11が連系運転状態に切り換えられていれば、電源手段11の運転の強制停止を行う。その結果、電源手段11の点検が行われないまま無制限に運転され続けるような事態を自動的に回避できる。また、電源手段11が連系運転状態に切り換えられている状態は、電力系統1から電力の供給が正常に行われている状態であるので、電源手段11の運転を強制停止しても、電力系統1から電力消費装置3Bへの電力供給を継続して行うことができる。
【0031】
これに対して、強制停止管理手段16は、運転停止の強制基準値に到達したと判定手段15によって判定されたとき、電源手段11が自立運転状態に切り換えられていれば、電源手段11の運転の強制停止を行なわない。電源手段11が自立運転状態に切り換えられている状態は、電力系統1から電力の供給が正常に行われていない状態であるので、電源手段11の運転を強制停止すると、電力消費装置3Bに対する電力供給がどこからも行われない状態になってしまう。そこで、本実施形態では、電源手段11の運転停止の強制基準値に到達したとしても、電力消費装置3Bに対する電力供給が途切れることなく行われることを優先して、電源手段11の強制停止を行わないようにしている。つまり、電源手段11の運転継続を許容することで、電力消費装置3Bに対する電力供給を継続できる。
【0032】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の電源装置10B(10)について説明する。
図2は、第2実施形態の電源装置10Bが設けられる電力供給システムの構成を説明する図である。本実施形態の電源装置10Bは、電源手段11の運転停止の強制基準値よりも前の時点に、点検推奨基準値を設定している。そして、電源装置10Bが備える判定手段15は、指標値管理手段14が管理している上記累積運転指標値の大きさが点検推奨基準値に到達したか否かを判定する。図示するように、本実施形態の電源装置10Bは報知手段17を備えており、この報知手段17は、点検推奨基準値に到達したと判定手段15によって判定されたとき、点検推奨基準値に到達していることを使用者に対して報知する。
【0033】
報知手段17は、文字、記号、図形などの形態で情報を出力させることのできる表示装置や、音声の形態で情報を出力させることのできる音声出力装置などを用いて実現できる。例えば、累積運転指標値の大きさが点検推奨基準値に到達したとき、「点検時期になりました」などの情報を文字や音声などの形態で報知手段17から報知するように構成できる。その結果、使用者は、電源手段11の点検時期に到達したことを認識できる。
【0034】
電源装置10Bは、更に、情報の入力を受け付ける情報受付手段18を備えてもよい。累積運転指標値が点検推奨基準値に到達して、その後、実際に、部品が交換されるなどの点検が行われた場合、累積運転指標値が新たに計数されるべきである。そこで、指標値管理手段14は、情報受付手段18が電源手段11の点検が終了したことを受け付けると、管理している累積運転指標値の大きさを零に変更する。具体的には、電源手段11の点検者が、情報受付手段18に対して、電源手段11の点検が終了したことを入力すると、その情報受付手段18が受け付けた情報に応じて、指標値管理手段14が、管理している累積運転指標値の大きさを零に変更する。このように、電源手段11の点検が終了すると累積運転指標値の大きさが零に変更されるので、その後、次の点検時期を把握するための累積運転指標値の計数を正確に行うことができる。
【0035】
次に、電源装置10Bの動作例を説明する。
図3は、第2実施形態の電源装置10Bが行う点検制御の動作例を説明するフローチャートである。尚、
図3では、上記累積運転指標値が、電源手段11の運転に伴って累積される累積運転期間である場合を例示する。
【0036】
図3に示す工程#10において、判定手段15は、指標値管理手段14が管理している累積運転期間の長さが、運転停止の強制時期(即ち、上記強制基準値の一例)よりも前の時点に設定される点検推奨時期(即ち、上記点検推奨基準値の一例)に到達したか否かを判定する。そして、累積運転期間の長さ点検推奨時期に到達していた場合(工程#10で「Yes」の場合)には、その情報が報知手段17に伝達され、報知手段17が、上述したように、累積運転期間の長さが点検推奨時期に到達していることを使用者に対して報知する。その結果、電源装置10Bの使用者は、点検推奨時期に到達したこと、及び、電源手段11の運転停止の強制時期が近いことを認識して、電源手段11のメンテナンス会社に連絡する等の点検の準備を行うことができる。
尚、判定手段15が、指標値管理手段14が管理している累積運転期間の長さが点検推奨時期に到達していないと判定したとき(工程#10で「No」の場合)、
図3の点検制御のフローチャートの最初にリターンする。
【0037】
次に、工程#14において、判定手段15は、指標値管理手段14が管理している累積運転期間の長さが運転停止の強制時期に到達しているか否かを判定する。判定手段15は、累積運転期間の長さが運転停止の強制時期に到達するまで工程#14を繰り返す。そして、累積運転期間の長さが運転停止の強制時期に到達すると、工程#16に移行する。また、累積運転期間の長さが運転停止の強制時期に到達したという情報は、判定手段15から強制停止管理手段16に伝達される。工程#14を繰り返している間、報知手段17は、点検推奨時期を過ぎていることを報知し続けていてもよい。
【0038】
工程#16において、強制停止管理手段16は、電源手段11の運転状態が連系運転状態であるか又は自立運転状態であるかを識別する。具体的には、強制停止管理手段16は、連系/自立切換スイッチ13がどちらに切り換えられているかの情報に基づいて識別する。そして、強制停止管理手段16は、電源手段11が連系運転状態に切り換えられているときは電源手段11の運転の強制停止を行う(工程#18)。これに対して、強制停止管理手段16は、電源手段11が自立運転状態に切り換えられているときは電源手段11の強制停止を行わない(工程#20)。但し、工程#20において強制停止管理手段16は、累積運転期間が猶予終了時期(即ち、上記猶予終了基準値の一例)に到達しているか否かを判定する。そして、強制停止管理手段16は、累積運転期間の長さが猶予終了時期に到達するまで工程#20を繰り返す。工程#20を繰り返している間、報知手段17は、点検推奨時期を過ぎていることを報知し続けていてもよい。
【0039】
そして、累積運転期間の長さが猶予終了時期に到達すると、強制停止管理手段16は、工程#22に移行して、電源手段11を強制停止させる。このように、電源手段11が自立運転状態に切り換えられているときは、累積運転期間の長さが猶予終了期間に到達すると電源手段11の運転の強制停止が行われて、電源手段11の点検が適宜行われるようになる。その結果、電源手段11が自立運転状態に切り換えられている場合においても、電源手段11の点検が行われないまま無制限に運転され続けるような事態を自動的に回避できる。
【0040】
以上のように、本実施形態では、累積運転指標値の大きさを検証することを目的として、点検推奨基準値、運転停止の強制基準値、猶予終了基準値という3つの基準値を設定している。一例を挙げると、電源手段11が、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とで構成される場合、点検推奨基準値として例えば実際の累積運転時間が6000時間に到達した時点、運転停止の強制基準値として例えば実際の累積運転時間が6200時間に到達した時点、猶予終了基準値として例えば実際の累積運転時間が6300時間に到達した時点などのタイミングを採用できる。電源手段11が、燃料電池や、太陽光発電装置や、蓄電池(例えば、化学電池)或いは電気二重層キャパシタなどの蓄電装置で構成される場合も、点検推奨基準値、運転停止の強制基準値、猶予終了基準値という3つの基準値について具体的に適宜設定できる。
【0041】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態において、点検推奨基準値、運転停止の強制基準値、猶予終了基準値などの各基準値は、電源装置10の種類、電源装置10に用いている部品や消耗品などの耐久性などに応じて適宜設定可能である。
【0042】
<2>
上記実施形態において、報知手段17による報知の具体的な態様については適宜設定可能である。例えば、報知手段17が、累積運転指標値が上記点検推奨基準値に到達するよりも前の段階で、点検推奨基準値への到達が近いと予測されること等を報知するような変更を行ってもよい。
【0043】
<3>
上記実施形態では電源装置10の構成について具体例を挙げて説明したが、それらの具体例はあくまでも例示目的で説明したものであり、本発明に係る電源装置10がそれらの具体例に限定されることはない。例えば、電源装置10が電気に加えて熱を発生させる熱電併給装置で構成される場合であれば、電源装置がその熱を蓄える蓄熱装置を更に備えていてもよい。
【0044】
<4>
上記実施形態では、連系/自立切換スイッチ13が使用者によって操作されるスイッチである例を説明したが、使用者の操作によらず自動的に切り換えられるスイッチを採用することもできる。例えば、電力系統1の電圧値を検出し、その電圧値が所定の電圧値未満になると電力系統1で停電が発生したと判定して「自立運転状態」に切り換え、電圧値が所定の電圧値以上になると電力系統1から正常に電力供給が行われていると判定して「連系運転状態」に切り換えるような連系/自立切換スイッチ13を採用することができる。