(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インナーキャップの筒状壁が、該筒状壁の外側に連結部を介して一体に成形された外側筒状壁を有し、該外側筒状壁の上端に前記複数個の切り欠き部が形成されている共に、外側筒状壁の外面に上下2段の周方向突条及びストッパーバンドを係止する位置決め用リブが形成されており、前記オーバーキャップのストッパーバンド内面に、前記位置決め用リブと係止する係止部が形成され、該ストッパーバンドの下端が少なくとも筒状壁の下端より下方に位置している請求項1記載の複合容器蓋。
前記ICタグが、開封検出用アンテナ回路を備えており、前記カッターとなる突起は該開封検出用アンテナ回路を破断可能に設けられている請求項1または2の何れかに記載の複合容器蓋。
口部を備えた容器と、該容器の口部に設けられる外周面に螺子が形成された容器係止部材と、該容器係止部材の螺子と係合するインナーキャップ、該インナーキャップに被せて設けられるオーバーキャップ、及びICタグからなる複合容器蓋とを有する包装容器において、
前記インナーキャップは、頂板と、該頂板周縁から垂下し且つ内面に前記容器係止部材の外面と螺子係合する螺条を備えた筒状壁とからなり、前記頂板上面には、ICタグが取り付けられており、
前記オーバーキャップは、頂壁パネルと、該頂壁パネル周縁から垂下したスカートから成り、前記頂壁パネル下面には、前記ICタグの一部を破断するためのカッターとなる突起が形成されており、
前記ICタグは、少なくともICチップ及び情報送受信用アンテナを備えた樹脂フィルムから成り、
前記インナーキャップの上面の周縁部には、複数個の切り欠き部が形成されていると共に、前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、前記複数個の切り欠き部に嵌合可能な複数個の凸部が形成されており、
前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、オーバーキャップの閉栓方向且つ下方に垂下する少なくとも1個のスプリングタブが形成されていると共に、前記インナーキャップの頂板上面には、オーバーキャップを閉栓方向に回転させたときに、前記スプリングタブの先端と係合可能な係合部が形成されており、
前記容器係止部材は、円形の天面と該天面の周縁部から垂下する側壁とからなり、該側壁の外面には螺条が形成され、該容器係止部材は天面の中心を通り軸方向に延びる平面により切り離された2部材から形成されており、
前記オーバーキャップのスカート下端には、開栓に際してスカートから切り離し可能なストッパーバンドが形成されていると共に、前記容器係止部材の側壁外面またはインナーキャップの筒状壁外面には、インナーキャップの頂板上面とオーバーキャップの頂壁パネルの下面との間に、前記突起がインナーキャップの頂板に取り付けられたICタグに当接することがない距離の間隔が保持されるように、前記ストッパーバンドと係止可能な位置決め用リブが形成されており、
前記オーバーキャップのスカートの内面には、係止突部が形成されていると共に、前記インナーキャップの筒状壁外面には、上下2段の周方向に延びる突条が形成されており、前記ストッパーバンドの切り離し前は、前記係止突部の係止面が上段突条の下面で係止することによりストッパーバンドの上昇が抑制されており、
前記ストッパーバンドが切り離され、前記オーバーキャップを下方に降下させることにより、前記突起がICタグを破壊すると共に、開栓方向への回転の際に、前記オーバーキャップに形成された複数個の凸部とインナーキャップに形成された複数個の切り欠き部が嵌合して、オーバーキャップによるインナーキャップの開栓方向への回転が可能になると同時に、前記係止突部の係止面が下段の突起の下面と係合することによりオーバーキャップの上昇が規制され、オーバーキャップ及びインナーキャップが一体に容器口部から取外し可能となることを特徴とする包装容器。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の製品には、製造年月日、製造・販売者名、使用期限などの製品情報を表示したバーコードが広く利用されている。ところで、バーコードは、コード化された情報をリーダーで読取るため、バーコードの印刷面を平面とする必要があり、このため、ボトルやキャップなどの包装材料の分野では、バーコードの印刷面が制限され、また、コード化できる情報量も限られたものとなってしまうという問題がある。
【0003】
そこで、最近では、ICタグを用いた情報表示の技術が利用されるようになってきた。ICタグとは、RFID(Radio Frequency Identification)とも呼ばれるものであり、所定の情報が記憶されたICチップを無線アンテナと共に樹脂やガラス等の誘電体材料に埋め込んでタグ(荷札)状に形成した超小型の通信端末である。このようなICタグは、無線通信により、ICチップに記憶された製品情報を読取るものであり、例えばICチップのメモリには、数百バイトのデータを記録することができ、多くの製品情報を記録できるという利点がある。また、ICタグは、非接触で記録された情報を読取ることができ、接触による摩耗などの問題もなく、さらには、商品の形態に併せた形状に加工したり、小型化、薄型化なども可能であるという利点がある。
例えば、特許文献1には、頂板にICタグが埋め込まれたキャップが開示されている。
【0004】
このようなICタグを、容器の開封履歴の表示のために使用することも提案されており、例えば、特許文献2には、容器口部に設けられるキャップにICタグが設けられ、キャップを開封したとき、ICタグ中のICチップとアンテナとを結ぶリード線が断線することにより、開封を検出する方法が提案されている。
また、特許文献3には、容器口部に装着されるキャップ本体に連結された上蓋を開封した時、キャップ本体に設けられているアンテナが破断され、これにより、開封の事実を認識できることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2及び3に記載されたキャップにおいては、キャップ(上蓋)を開封すればICタグが破壊され、容器の開封の事実を認識することが可能であるが、ICタグはキャップを開封しない限り破壊されないことから、キャップを開封することなくキャップ全体を容器口部から取り除くことができれば、ICタグを破壊することなく、内容物を入れ替えて、再キャップすることが可能になる場合もあり、偽造販売や悪質ないたずら等に対処するには未だ充分満足するものではなかった。
従って本発明の目的は、開封しない限りキャップを容器口部から取外すことができず、開封時にICタグのアンテナ回路が確実に破断され通信不可能になるか或いは破断されたことが通信情報として読み取れることで、優れた開封明示機能及び品質保証機能を有する複合容器蓋及び包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、螺子係合により容器の口部に設けられるインナーキャップ、該インナーキャップに被せて設けられるオーバーキャップ、及びICタグからなる複合容器蓋において、
前記インナーキャップは、頂板と、該頂板周縁から垂下し且つ内面に容器の口部外面と螺子係合する螺条を備えた筒状壁とから成り、該筒状壁の下端には、破断可能な弱化部を介してタンパーエビデントバンドが形成されており、前記頂板上面には、ICタグが取り付けられており、
前記オーバーキャップは、頂壁パネルと、該頂壁パネル周縁から垂下したスカートから成り、前記頂壁パネル下面には、前記ICタグの一部を破断するためのカッターとなる突起が形成されており、
前記ICタグは、少なくともICチップ及び情報送受信用アンテナを備えた樹脂フィルムから成り、
前記インナーキャップの上面の周縁部には、複数個の切り欠き部が形成されていると共に、前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、前記複数個の切り欠き部に嵌合可能な複数個の凸部が形成されており、
前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、オーバーキャップの閉栓方向且つ下方に垂下する少なくとも1個のスプリングタブが形成されていると共に、前記インナーキャップの頂板上面には、オーバーキャップを閉栓方向に回転させたときに、前記スプリングタブの先端と係合可能な係合部が形成されており、
前記オーバーキャップのスカート下端には、開栓に際してスカートから切り離し可能なストッパーバンドが形成されていると共に、前記インナーキャップの筒状壁外面には、インナーキャップの頂板上面とオーバーキャップの頂壁パネルの下面との間に、前記突起がインナーキャップの頂板に取り付けられたICタグに当接することがない距離の間隔が保持されるように、前記ストッパーバンドと係止可能な位置決め用リブが形成されており、
前記オーバーキャップのスカートの内面には、係止突部が形成されていると共に、前記インナーキャップの筒状壁外面には、上下2段の周方向に延びる突条が形成されており、前記ストッパーバンドの切り離し前は、前記係止突部の係止面が上段突条の下面で係止することによりストッパーバンドの上昇が抑制されており、
前記ストッパーバンドが切り離され、前記オーバーキャップを下方に降下させることにより、前記突起がICタグを破壊すると共に、開栓方向への回転の際に、前記オーバーキャップに形成された複数個の凸部とインナーキャップに形成された複数個の切り欠き部が嵌合して、オーバーキャップによるインナーキャップの開栓方向への回転が可能になると同時に、前記係止突部の係止面が下段突条の下面と係合することによりオーバーキャップの上昇が規制され、オーバーキャップ及びインナーキャップが一体に容器口部から取外し可能となることを特徴とする複合容器蓋が提供される。
【0008】
本発明の複合容器蓋においては、
1.インナーキャップの筒状壁が、該筒状壁の外側に連結部を介して一体に成形された外側筒状壁を有し、該外側筒状壁の上端に前記複数個の切り欠き部が形成されている共に、外側筒状壁の外面に上下2段の周方向突条及びストッパーバンドを係止する位置決め用リブが形成されており、
前記オーバーキャップのストッパーバンド内面に、前記位置決め用リブと係止する係止部が形成され、該ストッパーバンドの下端が少なくとも筒状壁の下端より下方に位置していること、
2.ICタグが、開封検出用アンテナ回路を備えており、前記カッターとなる突起は該開封検出用アンテナ回路を破断可能に設けられていること、
が好適である。
【0009】
更に、本発明の包装容器によれば、口部を備えた容器と、該容器の口部に設けられる外周面に螺子が形成された容器係止部材と、該容器係止部材の螺子と係合するインナーキャップ、該インナーキャップに被せて設けられるオーバーキャップ、及びICタグからなる複合容器蓋とを有する包装容器において、
前記インナーキャップは、頂板と、該頂板周縁から垂下し且つ内面に前記容器係止部材の外面と螺子係合する螺条を備えた筒状壁とからなり、前記頂板上面には、ICタグが取り付けられており、
前記オーバーキャップは、頂壁パネルと、該頂壁パネル周縁から垂下したスカートから成り、前記頂壁パネル下面には、前記ICタグの一部を破断するためのカッターとなる突起が形成されており、
前記ICタグは、少なくともICチップ及び情報送受信用アンテナを備えた樹脂フィルムから成り、
前記インナーキャップの頂板上面の周縁部には、複数個の切り欠き部が形成されていると共に、前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、前記複数個の切り欠き部に嵌合可能な複数個の凸部が形成されており、
前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、オーバーキャップの閉栓方向且つ下方に垂下する少なくとも1個のスプリングタブが形成されていると共に、前記インナーキャップの頂板上面には、オーバーキャップを閉栓方向に回転させたときに、前記スプリングタブの先端と係合可能な係合部が形成されており、
前記容器係止部材は、円形の天面と該天面の周縁部から垂下する側壁とからなり、該側壁の外面には螺条が形成され、該容器係止部材は天面の中心を通り軸方向に延びる平面により切り離された2部材から形成されており、
前記オーバーキャップのスカート下端には、開栓に際してスカートから切り離し可能なストッパーバンドが形成されていると共に、前記容器係止部材の側壁外面またはインナーキャップの筒状壁外面には、インナーキャップの頂板上面とオーバーキャップの頂壁パネルの下面との間に、前記突起がインナーキャップの頂板に取り付けられたICタグに当接することがない距離の間隔が保持されるように、前記ストッパーバンドと係止可能な位置決め用リブが形成されており、
前記オーバーキャップのスカートの内面には、係止突部が形成されていると共に、前記インナーキャップの筒状壁外面には、上下2段の周方向に延びる突条が形成されており、前記ストッパーバンドの切り離し前は、前記係止突部の係止面が上段突条の下面で係止することによりストッパーバンドの上昇が抑制されており、
前記ストッパーバンドが切り離され、前記オーバーキャップを下方に降下させることにより、前記突起がICタグを破壊すると共に、開栓方向への回転の際に、前記オーバーキャップに形成された複数個の凸部とインナーキャップに形成された複数個の切り欠き部が嵌合して、オーバーキャップによるインナーキャップの開栓方向への回転が可能になると同時に、前記係止突部の係止面が下段の突起の下面と係合することによりオーバーキャップの上昇が規制され、オーバーキャップ及びインナーキャップが一体に容器口部から取外し可能となることを特徴とする包装容器が提供される。
【0010】
本発明の包装容器においては、ICタグが、開封検出用アンテナ回路を備えており、前記カッターとなる突起は該開封検出用アンテナ回路を破断可能に設けられていること、が好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の複合容器蓋及び包装容器においては、ICタグの一部の回路を破壊することなく、複合容器蓋を容器口部から取外すことができないため、確実に開封履歴を明示することができ、内容物の詰め替え等の悪質ないたずらや偽造販売を有効に防止でき、優れた内容物の品質保証機能を有している。
またICタグの破損のおそれなく、複合容器蓋を容器口部に装着することができ、キャッピング性にも優れている。
更にオーバーキャップの回転が確実にインナーキャップに伝達されるため、複合容器蓋全体が一体となってスムーズに回転するため、リシール性にも優れている。
またインナーキャップの筒状壁に外側筒状壁を更に設け、オーバーキャップでインナーキャップ全体を覆うようにすることによって、インナーキャップに外側から触れることが困難であることから、インナーキャップに何らかの操作を加えて、複合容器蓋全体を容器口部からすっぽ抜けさせることを更に有効に防止できる。
更にまた、容器口部に既存のキャップが装着された容器口部の形状に対応した容器係止部材を容器口部に固定することによって、内容物が充填され且つ口部にキャップが装着されている既存の包装容器にも効果的に適用することが可能になり、携帯電話等を用いての開封確認を行うことができ、また、各種キャンペーンや懸賞の応募に極めて効果的に使用できる。
【0012】
本発明の複合容器蓋及び包装容器においては、ICタグとして、ICチップ及び情報送受信用アンテナと共に、容器の開封を示すための専用の回路(開封検出用アンテナ回路)が設けられたものを使用することにより、開封に際しては、開封検出用アンテナ回路が破断され、この回路の破断に伴って生じる電気抵抗変化に付随する電圧変化などを外部読み取り装置で読み取り、開封の事実を知ることができ、開封された場合においても、ICチップに記憶された情報は、そのまま読み取ることができるため、ICチップの故障と開封とを明確に区別とができ、極めて優れた開封明示機能を示す。この結果、内容物の入れ替えやいたずらなどの不正使用を有効に防止でき、内容物の品質保証機能が格段と向上する。更に、開封後にもICチップの情報を読み取ることができ、このような情報の読み取りが携帯電話でも可能であることから、各種キャンペーンの応募などにも有効に利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の包装容器を添付図面に基づいて説明する。
図1乃至
図6に示す本発明の包装容器の一例においては、ボトル等の容器の口部(全体として20で示す)に、螺子係合によりインナーキャップ(全体として30で示す)が装着されており、このインナーキャップ30の上に、オーバーキャップ(全体として40で示す)が被せられている。
容器口部20の外面には、上方に螺条21が形成され、その下方に顎部23が形成されている。このような容器口部20の外面は、タイプの異なる他の包装容器でも基本的には同じである。尚、
図4乃至
図6に示す容器口部への適用例においては、容器口部先端には、容器開口を覆うようにシール部材22が施され、容器内部の密封性を保持しているが、インナーキャップ30の頂板31の下面周縁部分に、インナーリングを設けることによって、容器口部の内周面や外周面に密着し、容器内部の密封性を保持することもできる。
【0015】
インナーキャップ30は、
図1及び
図4から明らかなように、頂板31と、頂板周縁から降下している筒状壁32とを有しており、筒状壁32の内面には、螺条33が設けられている。即ち、この螺条33と容器口部20の外面の螺条21との螺子係合により、インナーキャップ30は、容器口部20に保持されている。
また、上記の筒状壁32の下端には、インナーキャップの開封履歴を示すためのタンパーエビデントバンド34が、破断可能な弱化部35を介して筒状壁32と一体に設けられている。すなわち、このタンパーエビデントバンド34は、
図4に示されているように、容器口部20の外面の顎部23の下側にまで延びており、その内面には、顎部23の下側の面と係合する係合突起(或いはフラップ片)34aが形成されている。
【0016】
インナーキャップ30の頂板31の上面には、その中心部分に、後述するオーバーキャップの突起を受け入れ可能な凹部31aが形成されており、上面には、
図4に示されているように、凹部31aを覆うようにICタグ10が取り付けられている。ICタグ10は図に示すように、頂板31上に接着剤或いはヒートシール等によって載置されていてもよいが、頂板31に嵌め込まれていてもよい。
また、頂板31の上面の周縁部分には、ICタグ10が取り付けられた頂板31を取り囲むように、筒状壁32が上方に延びており、この筒状壁32の上端には切り欠き部36,36・・・が等間隔に複数個形成されている。また頂板31に取り付けられたICタグ10の位置よりも外側の位置には、後述するオーバーキャップのスプリングタブの先端を係合可能な係合部37,37・・・が形成されている。
更に、インナーキャップ30の筒状壁32の外面下方には、
図4に示すように、後述するオーバーキャップに形成されるストッパーバンドを係止可能な周方向に延びる位置決め用リブ38が外方に突出して形成されている。これによりインナーキャップの頂板31に設けられたICタグの上面とオーバーキャップの頂壁パネルの下面との間に、ICタグ破壊のためにオーバーキャップに形成されるカッターとなる突起が、ICタグに当接することがない距離の間隔が保持される。
【0017】
インナーキャップ30の筒状壁32の外面上方には、
図1(B)及び
図4に示すように、後述する、オーバーキャップの係止突部と係合する上下2段の周方向に延びる突条39a,39bが形成されている。この上段突条39a及び下段突条39bの下面39a1,39b1は、係止突部の係止面と係合可能であり、閉栓状態では、係止突部が上段突条39aと係止可能であり、オーバーキャップを下降させると、係止突部は下段突条39bを乗り越え、下段突条39bの下面39b1と係止可能になる。このようにオーバーキャップがインナーキャップから取り外せない状態となっている。この際、図に示す具体例では下段突条39bの上面には、下方に行くに従ってインナーキャップの外径を増加させる傾斜面39b2が形成されており、係止突部が下段突条39bを容易に乗り越えるようになっている。
【0018】
図2乃至6に示されるように、上述したインナーキャップ30に被せて固定されるオーバーキャップ40は、頂壁パネル41と、頂壁パネル41の周縁から降下したスカート42とを有している。
またスカート42の下端には、弱化部43を介してストッパーバンド44がスカート42と一体に成形されており、このストッパーバンド44には、弱化部43を破断するための摘み部45が形成されている。尚、このストッパーバンド44には、弱化部43に連続する縦方向弱化部45aが摘み部45の付け根近傍に形成されている。
【0019】
オーバーキャップ40の頂壁パネル41の内面中央には、ICタグを破壊するためのカッターとなる先端が鋭利な突起46が形成されている。またこの突起46を取り囲むように、頂壁パネル41の下面から閉栓方向且つ下方に垂下するスプリングタブ47,47・・・が4つ形成されている。このスプリングタブ47は、オーバーキャップ及びインナーキャップの間に軸方向の反発力を付与してオーバーキャップ40とインナーキャップ30の間にがたつきが生じることを防止すると共に、オーバーキャップ40を閉栓方向に回転させると、スプリングタブ47の先端がインナーキャップ30の係合部37,37・・・と係合することから、インナーキャップ30及びオーバーキャップ40を一体に容器口部にキャッピングすることが可能になる。
またオーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面周縁部には、オーバーキャップ40を降下させると、前述したインナーキャップ30の切り欠き部36,36・・・に嵌合可能な凸部48,48・・・が形成されている。この凸部48,48・・・が、インナーキャップ30の切り欠き部36,36・・・に嵌合することにより、オーバーキャップ40の回転によってインナーキャップ30をオーバーキャップと共に回転させることが可能となる。
また、スカート42の外面には、オーバーキャップ40の回転を容易にするためのローレット49が形成されている。
【0020】
オーバーキャップ40のスカート42の内面には、前述したインナーキャップ30の上下2段の周方向突条39a,39bと係合可能な、周状の係止突部50が形成されている。
図4に示すようにオーバーキャップに形成される突起46が、インナーキャップ30の頂板31に設けられたICタグ10に当接することがないように、オーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面とインナーキャップの頂板とが間隔を有している状態においては、オーバーキャップがスプリングタブ47によって上方に付勢され、係止突部50がインナーキャップ30の上段突条39aと係合しているのであり、
図6に示すように突起46が、ICタグ10のアンテナ回路を破断しているオーバーキャップの降下位置においては、係止突部50がインナーキャップ30の下段突条39bと係合しているのである。
またこの係止突部50は、上面に係止面及び下面に下方に行くに従ってオーバーキャップの内径が増加するテーパ面を有することにより、オーバーキャップ40の上方への移動を規制すると共に、オーバーキャップの降下を容易にすることが可能となる。
【0021】
本発明の複合容器蓋においては、上述したインナーキャップ30にオーバーキャップ40を被せた状態で容器口部にキャッピングするが、前述した通り、オーバーキャップ40及びインナーキャップ30は、スプリングタブ47と係合部37が閉栓方向に係合することから、両者を一体に容器口部にキャッピングすることが可能である。
また
図4に示すように、閉栓状態では、インナーキャップの頂板上面とオーバーキャップの頂壁パネルの下面との間に、突起46がICタグに当接することがない間隔が保持されるように、ストッパーバンド44の下端と位置決め用リブ38の係止により、オーバーキャップ40のインナーキャップ30に対する下限位置が制御され、スプリングタブ47による弾性力と、オーバーキャップ40の係止突部50とインナーキャップ30の上段突条39aの係合によって、オーバーキャップ40とインナーキャップ30のがたつきを防止すると共にオーバーキャップ40の上方への移動を規制する。
【0022】
本発明の複合容器蓋の開封操作を説明する
図5及び
図6に示すように、ストッパーバンド44をオーバーキャップ40から取外すことにより、オーバーキャップ40を上方から押圧することが可能になる(
図5)。次いでオーバーキャップ40を押圧し、下降させると、突起46によってICタグ10のアンテナ回路が破壊されると共に、係止突部50と下段突条39bが係合して、この状態が保持される。また同時に、インナーキャップ30の切り欠き部36,36・・・にオーバーキャップ40の凸部48が嵌合することによって、オーバーキャップ40とインナーキャップ30は互いに周方向に規制されることになり、インナーキャップ30はオーバーキャップ40の回転に従属するようになる。オーバーキャップ40を開栓方向に回すとインナーキャップ30はオーバーキャップ40と一体となって回転して、容器口部20から取外すことが可能になる。この際、インナーキャップ30の上昇により、タンパーエビデントバンド34を筒状壁32に接続する弱化部35が破断され、タンパーエビデントバンド34は容器口部に取り残され、ICタグのアンテナ回路の破壊と共に一旦開封されたものであることを明示する。
【0023】
このようにして容器口部20から取り外されたインナーキャップ30及びオーバーキャップ40は、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールに供することができる。
またインナーキャップ30にタンパーエビデントバンド34が形成されていることから、オーバーキャップ40のストッパーバンド44を切り離すことなく、オーバーキャップ40及びインナーキャップ30が
図4に示す状態を維持したまま、すなわちICタグのアンテナ回路を破壊することなく、キャップ全体を容器口部から取り除くことができないので、内容物を入れ替えるような、悪質な偽造販売やいたずら等に対処することが可能になる。
【0024】
本発明の包装容器においては、前述したように、(i)オーバーキャップのストッパーバンドとインナーキャップの位置決め用リブによる軸方向の係止、(ii)オーバーキャップのスプリングタブによる、オーバーキャップとインナーキャップ間の反発力及びインナーキャップとの係合による複合容器蓋の閉栓、(iii)係止突部と上下2段の周方向突条による軸方向の係合、(iv)オーバーキャップの凸部とインナーキャップの切り欠き部による周方向の係合、が確保されている限り種々の変更が可能である。
例えば、
図7乃至10に示す本発明の包装容器の他の態様においては、オーバーキャップがインナーキャップを完全に覆うことができるように変更されている。
【0025】
すなわち、インナーキャップ30の筒状壁32の外側には、破断不可能な連結部301を介して一体に成形された外側筒状壁302が形成されている。この外側筒状壁302の下端は、筒状壁32の下端とほぼ同じ位置にあり、オーバーキャップ40のストッパーバンド44の下端は、筒状壁32の下端より下方に位置しており、この実施態様では更にインナーキャップのタンパーエビデントバンド34の下端よりも下方に位置する。従って、オーバーキャップ40がインナーキャップ30を完全に覆っており、インナーキャップは外部から触ることができないことから、インナーキャップ30に何らかの操作を加え、複合容器蓋全体を容器口部から取外せる可能性がなく、内容物の入れ替え後に再び複合容器蓋を再シールして販売するような不正使用を確実に防止することができる。尚、ストッパーバンド44の下端が、筒状壁32の下端より下方に位置していても、不正使用の防止には有効である。
尚、この態様においてはオーバーキャップがインナーキャップを完全に覆うことができればよく、筒状壁の肉厚を大きくできれば、外側筒状壁を筒状壁の間に存在する空隙303は必ずしも必要ではないが、使用樹脂量を低減させる観点から肉抜きにより空隙を形成することが好適である。また
図10に示すように、筒状壁32と外側側壁302を連結する破断不可能な連結部301は、複数個所(
図10では4箇所)で均一に両者を連結しており、図に示す具体例では、連結部301が形成されている箇所に、スプリングバンド47と閉栓方向に係合する係合部37,37・・・が形成されている。
【0026】
この態様においては、外側筒状壁302の上端には切り欠き部360が、筒状壁32に形成される代わりに形成されている。
また外側筒状壁302の外面には係止突部50と係合する上下2段の周方向の突条390a、390b、及びストッパーバンド44を係止する位置決め用リブ380が形成されている。
一方、オーバーキャップ40のストッパーバンド44の内面上部には、外側筒状壁302の下端に形成された位置決め用リブ380と係止し、オーバーキャップ40の下降を規制するための係止部440が形成されている。
【0027】
この態様の包装容器の開封操作を説明するための
図8及び9に示すように、ストッパーバンド44をオーバーキャップ40から取外すことにより、オーバーキャップ40を上方から押圧することが可能になる(
図8)。次いでオーバーキャップ40を押圧し、下降させると、突起46によってICタグ10のアンテナ回路が破壊されると共に、係止突部50の上面と下段突条390bの下面が係合すると同時に、インナーキャップ30の切り欠き部360,360・・・にオーバーキャップ40の凸部48が嵌合し、インナーキャップ30はオーバーキャップ40の回転に従属するようになる。尚、押圧されたオーバーキャップ40は、係止突部50と下段突条390bによって上方への移動が規制されると共に、オーバーキャップ40の頂壁パネル41の内面に外側筒状壁302の上端が当接することによって下方への移動が規制され、
図9に示す状態が保持される。
【0028】
オーバーキャップ40を開栓方向に回すと、外側筒状壁302は、連結部301で筒状壁32に強固に連結されているので、オーバーキャップ40の回転は筒状壁32に確実に伝達されることから、インナーキャップ30はオーバーキャップ40と一体となって回転して、容器口部20から取外すことが可能になる。この際、インナーキャップ30の上昇により、タンパーエビデントバンド34を筒状壁32に接続する弱化部35が破断され、タンパーエビデントバンド34は容器口部に取り残され、複合容器蓋がICタグのアンテナ回路の破壊と共に一旦開封されたものであることを明示する。
【0029】
上述した本発明の複合容器蓋は、
図11乃至13に示すように、内容物が充填され且つ口部にキャップ100が装着されている既存の包装容器にも効果的に適用することができる。
この態様においては、基本構造は
図1乃至6と同様であるが、インナーキャップ30とオーバーキャップ40からなる複合容器蓋が、容器口部20(既存のキャップ100が巻き締められた容器口部)に対応する外面を有する容器係止部材110,110に螺子係合する点が重要な特徴である。この容器係止部材110,110は、円形の天面114と天面114の周縁部から垂下する側壁115とからなり、側壁115の外面にはインナーキャップ30の筒状壁32が螺子係合するように螺条111が形成され、容器係止部材110は天面110の中心を通り軸方向に延びる平面により切り離された2部材から形成されている。
また容器係止部材110,110の下方外面には、
図11に示すように、オーバーキャップ40のストッパーバンド44が切り離される前は、ストッパーバンド44の係止部である段差部440と係合する位置決め用リブ112が形成されている。尚、この位置決め用リブ112は、容器係止部材110,110の外面に形成される代わりに筒状壁32の外面に設けることもできる。
【0030】
キャップ100が装着されている既存の包装容器105のノズル部に、これを取り囲むように、キャップ100が装着された容器口部20に対応する外面を有する容器係止部材110,110を嵌め込む。この時、容器口部に巻き締められたキャップの裾部に係止するように側壁115の外面下方には内方に突出する係合突部113が形成されている。この状態で、前述したインナーキャップ30とオーバーキャップ40からなる複合容器蓋を設けることにより、本発明を既存の包装容器105に適用することが可能となる。
この場合、インナーキャップ30及びオーバーキャップ40を前述した方法で除去した後、容器係止部材110,110を取り外し、さらに、キャップ100を常法にしたがって取り外すことにより、容器内容物を取り出すことができる。
【0031】
本発明の複合容器蓋に用いる、インナーキャップやオーバーキャップは、熱可塑性樹脂の圧縮成形、射出成形等により製造されるものであり、このような熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂或いはポリカーボネート等が使用される。
【0032】
本発明で用いるICタグは、少なくともICチップ及び情報送受信用アンテナを備えて成り、ICタグ中のICチップとアンテナが断線することにより、開封を検出することができるものでもあってもよいが、前述した通り、好適には、開封検出用アンテナ回路を更に備えているものを用いることが好適である。
これにより、前述した
図1乃至6に示した包装容器において、インナーキャップ30が一旦容器口部20から取り外されて容器が開封されると、オーバーキャップ40に設けられているICタグ10中の開封検出用アンテナ回路9が破断するが、ICチップ3やアンテナ5及びリード線7は破壊されていないため、外部読み取り装置によってICチップ3に入力されている情報を読み取ることができ、この情報の中には、開封検出用アンテナ回路が破断されているという情報も含まれる。
従って、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールされていた場合にも、一般の需要者は、例えば携帯電話などを用いてICチップ3の情報を読み取ることにより、開封されたことの事実を正確に読み取り、認識することができる。或いは、アンテナ5やリード線7或いは開封検出用アンテナ回路9等が破断されて、一般需要者がICタグ10の情報を読み取ることができない場合に、開封されたことの事実を正確に認識することができる。このことから、このような包装体は、いたずら防止機能に優れ、また内容物入れ替えなどの不正使用も、開封事実を認識することにより有効に防止することができる。
【0033】
本発明において、特に好適に用いられるICタグを示す
図13において、全体として10で示すこのICタグは、樹脂フィルム1の表面にICチップ3及び金属アンテナ5が設けられており、金属アンテナ5は、リード線7により、ICチップ3に電気的に接続されている。
本発明においては、好適には、さらに、このICタグ10には、開封検出用アンテナ回路9が設けられており、この開封検出用アンテナ回路9もリード線7を介してICチップ3に接続されている。
【0034】
樹脂フィルム1は、一般に熱溶着可能な熱可塑性樹脂から形成されている。このような熱可塑性樹脂としては特に制限されないが、一般には。このICタグ10が取り付けられるオーバーキャップやインナーキャップ(これらのキャップについては後述する)を構成する樹脂基材と同様の樹脂が使用される。例えば、ポリオレフィン製のキャップにICタグ10を設ける場合には、ポリオレフィンによりフィルム1を形成するのがよい。また、ICチップ3や金属アンテナ5がポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムに設けられた状態で市販されているICタグ10もあるが、このような場合には、適宜、酸変性オレフィン系樹脂などの接着剤を用いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム1の裏面にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂層を積層させておくことが、キャップにICタグ10を取り付ける上で好ましい。
【0035】
ICチップ3は、フリップチップ実装などにより、上記のアンテナ5に導通するように設けられるものであり、このICタグ10が取り付けられる製品に関する情報が記憶されるものであり、上記のアンテナ5を介しての信号の送信により、所定の情報が記憶され、またアンテナ5を介してICタグ10に記憶された情報が読み取られるものである。
尚、上記のICチップ3は、一般に、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂などの電気絶縁性の硬化樹脂等により、封止されて保護されている。
【0036】
このようなICチップ3には、既に述べた通り、包装容器に充填されている内容物に関する情報(例えば生産者、製造業者、生産年月日、出荷日時など)や容器に関する情報などが入力されており、開封を示す電圧変化などの情報も入力されている。このような情報の入力や出力は、高周波信号により行われ、現在では、一般にUHF帯(860〜960MHz)と13.56MHzの2つの周波数帯が主に使用されるようになっている。
【0037】
ICチップ3への信号の送受信のために使用されるアンテナ5は、使用される信号の周波数に応じた共振長さなどを有する。
また、開封検出用アンテナ回路9は、これが切断したときの抵抗変化によりICチップ3での電圧変化などをもたらすものであればよい。
上記のようなアンテナ5や開封検出用アンテナ回路9、及びこれらをICチップ3に接続するリード線7は、通常、アルミニウム、銅、銀、金などの低抵抗金属の薄膜(厚みが5乃至50μm程度)からなる。
【0038】
尚、樹脂フィルム1の厚みは、その表面にICチップ3を実装する作業やアンテナ5、開封検出用アンテナ回路9及びリード線7を形成するためのメッキ作業などを行い得る程度の強度を示すようなものであればよく、後述するキャップへの装着形態に応じて適宜の厚みとすることができる。例えば、樹脂フィルム1の裏面(ICチップ等が設けられていない側の面)或いは表面の金属製アンテナが存在しない部分でのヒートシールによりオーバーキャップに装着する場合には、比較的薄肉でよいが、嵌め込みなどによりキャップに装着する場合には、比較的厚肉とすることが必要である。このような観点から、樹脂フィルム1の厚みは、一般に、5乃至1000μm程度の範囲とし、この範囲内で、装着形態に応じた厚みとすることが好適である。
また、
図14では、樹脂フィルム1は円板形状を有しているが、その取り付け形態や開封検出用アンテナ回路9の破断位置などに応じて適当な形状を有していればよく、円形である必要はない。