(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属製のバックプレートに絶縁性のパッド部が接合されているブレーキパッドにおける、パッド部の接合面を除くバックプレートの外面と、パッド部の摩擦面を除く外周側面とを、静電式塗装ガンから吐出された粉体塗料により塗装するブレーキパッドの粉体塗装方法において、塗装ブース内に、ブレーキパッドのパッド部を下に向けて載置する載置面を設け、この載置面が、塗装ブース内を通過する移動台車からなり、この移動台車の載置面にアース部を、線状又は点状に設置し、パッド部に導電剤を散布してパッド部を介してバックプレートのアースを行うことを特徴とするブレーキパッドの粉体塗装方法。
金属製のバックプレートに絶縁性のパッド部が接合されているブレーキパッドにおける、パッド部の接合面を除くバックプレートの外面と、パッド部の摩擦面を除く外周側面とを、静電式塗装ガンから吐出された粉体塗料により塗装するブレーキパッドの粉体塗装方法において、塗装ブース内に、ブレーキパッドのパッド部を下に向けて載置する載置面を設け、この載置面にアース部を設置し、このアース部が、スプリングによって載置面から出没するアースピンからなり、パッド部に導電剤を散布してパッド部を介してバックプレートのアースを行うことを特徴とするブレーキパッドの粉体塗装方法。
金属製のバックプレートに絶縁性のパッド部が接合されているブレーキパッドにおける、パッド部の接合面を除くバックプレートの外面と、パッド部の摩擦面を除く外周側面とを、静電式塗装ガンから吐出された粉体塗料により塗装するブレーキパッドの粉体塗装方法において、塗装ブース内に、ブレーキパッドのパッド部を下に向けて載置する載置面を設け、この載置面にアース部を設置し、このアース部が、パッド部の外周側面を挟むバネ片からなり、パッド部に導電剤を散布してパッド部を介してバックプレートのアースを行うことを特徴とするブレーキパッドの粉体塗装方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ブレーキパッドは、金属製のバックプレート(裏金)に、摩擦部材であるパッド部を接着したものであるが、防錆、防食の観点から、従来は、金属製のバックプレートの外面だけを塗装することが多い。
【0007】
ところが、ブレーキパッドは、アルミホイールの隙間から見える部品であるため、最近では、意匠性の観点から、バックプレートだけではなく、バックプレートに接着されたパッド部の外面も、摩擦面を除いて塗装されるようになっている。
【0008】
摩擦部材であるパッド部は、基材繊維、充填材、摩擦調整剤、樹脂結合剤等の成形材料を押し固めて形成されている。
【0009】
パッド部の基材繊維には、アラミド繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維などの有機繊維、チタン酸カリウム繊維、ロックウール繊維、あるいはスチール繊維、ステンレス繊維などの金属繊維を、単独又は複数を組み合わせて使用している。
【0010】
また、充填材としては、例えば、硫酸バリュウム、炭酸マグネシュウム、硫酸鉛のアルカリ土類金属の硫酸塩や、シリカ、マイカ、炭酸塩、タルク、グラファイト、二硫化モリブデンの固体潤滑剤、タイヤゴム粉末などの有機粉粒体、銅合金、アルミニュウム、亜鉛などの金属粉や、金属片、黒鉛粉などの無機粉粒体の摩擦調整剤が使用されている。
【0011】
また、樹脂結合剤としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂などが使用されている。
【0012】
ところで、ブレーキパッドのパッド部は、摩耗部品であるため、パッド部の材料中に金属材料が含まれていると、金属粉の飛散が環境ホルモンの問題となるため、パッド部の成形材料から金属材料が徐々に除かれ、パッド部が絶縁性になりつつある。
【0013】
パッド部の成形材料中に金属材料を含んでいる場合には、パッド部も導電性を有するため、バックプレートと一緒にパッド部をアースすることにより、バックプレートとパッド部を、静電粉体塗装することが可能である。
【0014】
しかしながら、パッド部が絶縁性になってくると、静電気による粉体塗料の付着力が弱く、静電式塗装ガンから粉体塗料を吹き付けた場合に、粉体塗料が一旦パッド部に付着しても、パッド部に付着した粉体塗料が静電式塗装ガンの吐出エアーによって吹き飛ばされてしまう。
【0015】
特に、摩擦帯電式塗装ガンの場合には、強い搬送エアーによって摩擦帯電を行うために、粉体塗料と共に吐出されるエアーも強く、この吐出エアーによりパッド部に付着した粉体塗料が吹き飛ばされ易い。
【0016】
また、パッド部が絶縁性の場合、塗装箇所のパッド部の側面に界面活性剤などの導電剤を散布した上で、金属製のバックプレートにアースを行って静電粉体塗装すると、パッド部に粉体塗料が付着しても、パッド部の膜厚に比較して、
金属製のバックプレートの膜厚が厚くなるため、キャリパーに取り付ける際に、キャリパーの規格に入らないほど全体の厚みが厚くなってしまうという問題があった。
【0017】
そこで、この発明は、パッド部が絶縁性の場合でも、パッド部の外周側面に粉体塗料を十分に付着させることができる、ブレーキパッドの塗装方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の課題を解決するために、この発明は、金属製のバックプレートに絶縁性のパッド部が接合されているブレーキパッドにおける、パッド部の接合面を除くバックプレートの外面と、パッド部の摩擦面を除く外周側面とを、静電式塗装ガンから吐出された粉体塗料により塗装するブレーキパッドの粉体塗装方法において、塗装ブース内に、ブレーキパッドのパッド部を下に向けて載置する載置面を設け、
この載置面が、塗装ブース内を通過する移動台車からなり、この移動台車の載置面にアース部を、線状又は点状に設置し、パッド部に導電剤を散布してパッド部を介してバックプレートのアースを行うようにしたものである。
【0021】
前記アース部は、アースピンがスプリングによって載置面から出没するように構成することができる。
【0022】
前記アース部は、パッド部の外周側面を挟むバネ片によって構成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、上記のように、塗装時に、静電気が金属製のバックプレートもパッド部を経由して流れるので、金属製のバックプレートの膜厚が厚くならず、絶縁性のパッド部にも粉体塗料が安定的に付着するので、金属製のバックプレートと、パッド部の膜厚が均一になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の粉体塗装方法の被塗装物であるブレーキパッドをバックプレート側から見た斜視図である。
【
図2】この発明の粉体塗装方法の被塗装物であるブレーキパッドをパッド部側から見た斜視図である。
【
図3】この発明の第1の実施形態の塗装ラインを示す概略図である。
【
図4】この発明の第1の実施形態を示す部分斜視図である。
【
図5】この発明の第1の実施形態を示す部分側面図である。
【
図6】この発明の第1の実施形態の塗装ラインを示す概略平面図である。
【
図7】この発明のアース部の別の実施形態を示す部分斜視図である。
【
図9】この発明の導電剤を散布するミストスプレー部分の側面図である。
【
図10】この発明の第2の実施形態を示す概略平面図である。
【
図11】この発明の第2の実施形態を示す概略平面図である。
【
図12】この発明の第3の実施形態を示す概略側面図である。
【
図13】(a)(b)は
図12の実施形態のアース部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明に係る粉体塗装方法の被塗装物であるブレーキパッド1は、
図1及び
図2に示すように、金属製のバックプレート2に摩擦部材であるパッド部3を接合したものである。
【0026】
被塗装物であるブレーキパッド1の塗装面は、パッド部3の接合面を除く金属製のバックプレート2の外面と、パッド部3の摩擦面を除いた外周側面である。
【0027】
図3は、ブレーキパッド1の塗装ラインを示しており、ブレーキパッド1は、塗装ブース4内で塗装した後、移載コンベア5によって焼付け乾燥炉に導かれる。
【0028】
塗装ブース4には、搬送コンベア6が設置され、搬送コンベア6の上方に静電式塗装ガン7が設置されている。
【0029】
塗装ブース4の底面には、オーバースプレー粉を回収する回収ダクト8が設置されている。搬送コンベア6の塗装ブース4の出口側の下面には、搬送コンベア6に付着したオーバースプレー粉を清掃するエアーブロー装置9が設置されている。
【0030】
この発明の第1の実施形態では、
図4〜
図6に示すように、塗装ブース4を通過する搬送コンベア6のベルト面に、塗装を行わないパッド部3の摩擦面を下にして、金属製のバックプレート2が上になるように載置し、静電式塗装ガン7として摩擦帯電式塗装ガンを使用して塗装を行っている。
【0031】
そして、第1の実施形態では、搬送コンベア6のベルト面に、搬送コンベア6の走行方向に沿って線状にアース部10を設け、ブレーキパッド1を載置する載置面からアースを行うようにしている。
【0032】
アース部10は、搬送コンベア6のベルト面に、
図4に示すように、カーボン繊維からなるアース線を埋め込んで形成してもよいし、銅テープ等の金属製テープを貼り付けたり、導電性塗料を塗布したりして形成してもよい。
【0033】
搬送コンベア6のベルトは、例えば、ポリエステル帆布表面にポリウレタン樹脂をコーティングした平滑性のベルト(日本ジークリング社製の)を用いることができる。
【0034】
静電式塗装ガン7からブレーキパッド1に粉体塗料を吹き付ける前に、絶縁性のパッド部3の表面に、導電剤11の散布を行う。
【0035】
ブレーキパッド1の絶縁抵抗値は、導電剤11の種類や希釈によって異なるが、粉体塗装前は、金属製のバックプレート2が0Ωであるのに対し、パッド部3は、それより抵抗値が高く一般に1MΩ〜100MΩ(1000V×2000MΩ絶縁抵抗計)である。
【0036】
絶縁性のパッド部3の表面に、導電剤11の散布を行うことにより、金属製のバックプレート2は、導電剤11が塗布されたパッド部3を介して、搬送コンベア6のベルト面に設置されたアース部10からアースされる。
【0037】
導電剤11は、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は、例えば、陽イオン系の表面塗布型帯電防止剤(花王製 商品名 エレクトロストリパーQN)を、重量比3%を水にて希釈したものを使用することができ、マイクロミストスプレー17によりパッド部3に表面散布を行なって絶縁抵抗値の調整を行なう。第1の実施形態では、絶縁抵抗値の調整に陽イオン系を用いたが、両イオン系、非イオン系のものを使用してもよい。また、導電剤11の希釈には、IPA(イソプロピルアルコール)などを用いることができる。
【0038】
第1の実施形態では、静電式塗装ガン7として摩擦帯電式塗装ガンを使用し、複数本の吐出チューブ12を、搬送コンベア6のベルト面の上方位置で対向するように設置している。摩擦帯電式塗装ガンは、搬送エアーによって粉体塗料を摩擦帯電し、摩擦帯電した粉体塗料11が、吐出チューブ12から搬送エアーと共に吐出される。
【0039】
この発明の第1の実施形態では、搬送コンベア6のベルト面に、アース部10を設置し、導電剤が塗布されたパッド部3を介して金属製のバックプレート2をアースしている。
【0040】
この第1の実施形態のように、導電剤11が塗布されたパッド部3を介して、搬送コンベア6のベルト面のアース部10からアースを行った場合と、金属製のバックプレート2からアースを行った場合の塗装比較実験を、
図1及び
図2に示す形状の4輪用のブレーキパッド1について行った。
【0041】
比較実験は、コンベアスピードを5.0m/min、吐出量33g/min×2ガン=66g/min、室温23℃、エポキシ系の黒色の粉体塗料を使用して行った。4輪用のブレーキパッド1の基準膜厚は、バックプレート2の外表面、外周側面、パッド部3の外周側面で、20〜40μmである。
【0042】
比較実験の結果は、表1の通りである。
表1は、1回のテストで、3個のブレーキパッド1を塗装し、3個のブレーキパッド1について3点の測定箇所の最小値μmと最大値μmを示している。
【0043】
実験を行ったブレーキパッド1のパッド部3の抵抗値は、導電剤11の散布した状態で塗装前に1000V×2000MΩの絶縁抵抗計(横河製の形式3213A)によって測定すると、1MΩ〜100MΩであった。
【0045】
表1の比較実験からも明らかなようにバックプレート2からアースをして塗装を行った場合、バックプレート2の膜厚は、ブレーキパッド1をキャリパーへ取付けできないほど厚くなった。
【0046】
金属製のバックプレート2(0Ω)から直接アースを取ると金属製のバックプレート2の静電気は塗装時に瞬時流れるが、パッド部3は抵抗値が大きいために、その流れが制限される。このため、金属製のバックプレート2の膜厚は、パッド部3の肉厚に比べて厚くなりやすい。搬送コンベア6のベルト面のアース部10から、つまり、パッド部(1〜100MΩ)からアースを取ると、塗装時に、静電気が金属製のバックプレート2もパッド部3を経由して流れる。したがって、表1の通り、この発明によると、金属製のバックプレート2と、パッド部3を均一な膜厚で塗装することができる。
【0047】
前記第1の実施形態では、
図6に示すように、搬送コンベア6の走行方向に沿って線状にアース部10を設置したが、
図7及び
図8に示すように、搬送コンベア6のベルト面に、点状のアース部10を、金属板などの導電性材料によって設置してもよい。
【0048】
パッド部3に散布する導電剤としては、アルキエーテル、アルキルアミンからなる界面活性剤など、通電性を保持するものであれば、種類を選ばない。
【0049】
次に、
図10及び
図11は、静電式塗装ガン7としてコロナガンを使用して塗装を行うこの発明の第2の実施形態を示している。
【0050】
この第2の実施形態では、
図10及び
図11に示すように、搬送コンベア6のベルト面に載置したブレーキパッド1のパッド部3の外周側面を、ピアノ線等の弾性を有するバネ片で挟み、このバネ片をアース部10として使用している。
【0051】
この実施形態では、ブレーキパッド1のパッド部3の外周側面を、バネ片で挟んでアースを行っているので、バネ片で挟まれたところが塗装されないが、
図10に示すように、塗装終了段階で、バネ片からブレーキパッド1のパッド部3から離れると、バネ片で挟まれて塗装されていなかった箇所に粉体塗料が付着するため、塗装不良は生じない。
【0052】
この第2の実施形態により、導電剤が塗布されたパッド部3を介して、搬送コンベア6のベルト面のアース部10からアースを行った場合と、金属製のバックプレート2からアースを行った場合の塗装比較実験を、
図1及び
図2に示す形状の4輪用のブレーキパッド1について行った。なお、4輪用のブレーキパッド1の基準膜厚は、バックプレート2の外表面、外周側面、パッド部3の外周側面で、15〜40μmである。
【0053】
比較実験は、コンベアスピードを3.5m/min、吐出量38g/minのコロナガン、室温20℃、エポキシ系ポリエステルの黒色の粉体塗料を使用して行った。導電剤11は、両イオン系の表面塗布型帯電防止剤(花王製 商品名 エレクトロストリパーAC)を、希釈剤としてイソプロピルアルコール(IPA)を使用し、重量比換算で5%に希釈したものを使用した。
【0054】
比較実験の結果は、表2の通りである。
【0055】
表2は、1回のテストで、4個のブレーキパッド1を塗装し、4個のブレーキパッド1について3点の測定箇所の最小値μmと最大値μmを示している。
実験を行ったブレーキパッド1のパッド部3の抵抗値を、導電剤の散布した状態で塗装前に1000V×2000MΩの絶縁抵抗計(横河製の形式3213A)によって測定すると、100MΩ〜1000MΩであった。
【0057】
表2の比較実験からも明らかなようにバックプレート2からアースをして塗装を行った場合、バックプレート2の膜厚は、ブレーキパッド1をキャリパーへ取付けできないほど厚くなったが、パッド部(100〜1000MΩ)からアースを取ると、塗装時に、静電気が金属製のバックプレート2もパッド部3を経由して流れる。したがって、表2の通り、この発明によると、金属製のバックプレート2と、パッド部3の膜厚の均一性が増す。
【0058】
次に、この発明の第3の実施形態を
図12に基づいて説明する。
この第3の実施形態は、被塗装物であるブレーキパッド1を移動台車13に載置して、塗装ブース1内を通過させるようにしている。
【0059】
移動台車13は、アルミニウム製であり、ブレーキパッド1の載置面には、加熱成形された物温が120〜130℃のブレーキパッド1を塗装ブース1内に直接搬入できるように、常温から150℃までの耐熱性を有する樹脂製の載置板14が設置されている。載置板14を形成する樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトンを使用することができる。
【0060】
ブレーキパッド1を載置した載置板14の上面には、ブレーキパッド1のパッド部3からアースを行えるようにアース部10が設置されている。
【0061】
アース部10は、
図13(a)(b)に示すように、アースピン15をスプリング16によって載置面から出没するようにしたものを使用することができる。
【0062】
ブレーキパッド1を載置板14の上面に載置すると、ブレーキパッド1のパッド部3がアース部10のアースピン15と接触してアースが完了する。
【0063】
ブレーキパッド1のパッド部3への導電剤のミストスプレー17による散布は、別ラインにて行なわれる。
【0064】
導電剤11としては、アルキルエーテル系をIPAにて5%重量比にて希釈したものを使用した。導電剤11は、パッド接地面のアースピン15との接触箇所にも散布される。導電剤を11散布したブレーキパッド1は、自然乾燥後にストックラインに搬送される。その後、ブレーキパッド1は、ストックヤードから、移動台車13に移載されて塗装される。
【0065】
この第3の実施形態により、導電剤11が塗布されたパッド部3を介して、移動台車13のアース部10からアースを行った場合と、金属製のバックプレート2からアースを行った場合の塗装比較実験を、
図1及び
図2に示す形状の4輪用のブレーキパッド1について行った。なお、4輪用のブレーキパッド1の基準膜厚は、バックプレート2の外表面、外周側面、パッド部3の外周側面で、20〜40μmである。
【0066】
比較実験は、移動台車13のスピードを6.0m/min、吐出量38g/minのコロナガンを1ガン、室温20℃、エポキシ系ポリエステルの黒色の粉体塗料を使用して行った。導電剤11は、両イオン系の表面塗布型帯電防止剤(花王製 商品名 エレクトロストリパーAC)を、希釈剤としてイソプロピルアルコール(IPA)を使用し、重量比換算で5%に希釈したものを使用した。
【0067】
比較実験の結果は、表3の通りである。
表3は、1回のテストで、4個のブレーキパッド1を塗装し、4個のブレーキパッド1について3点の測定箇所の最小値μmと最大値μmを示している。
【0068】
実験を行ったブレーキパッド1のパッド部3の抵抗値を、導電剤の散布した状態で塗装前に1000V×2000MΩの絶縁抵抗計(横河製の形式3213A)によって測定すると、50MΩ〜500MΩであった。
【0070】
表3の比較実験からも明らかなようにバックプレート2からアースをして塗装を行った場合、バックプレート2の膜厚は、ブレーキパッド1をキャリパーへ取付けできないほど厚くなったが、パッド部3(50〜500MΩ)からアースを取ると、塗装時に、静電気が金属製のバックプレート2もパッド部3を経由して流れる。
【0071】
ブース1内にて塗装を行なった後、ブレーキパッドは乾燥炉ラインに移載される。移動台車13は、ブース1内を通過して原点に戻る。移動台車13に付着した粉体塗料は、ブース1内でエアーブローされる。この第3の実施形態においても、金属製のバックプレート2からアースを行った場合との比較では、パッド部3からのアースを行った場合の方が、膜厚が均一であった。