特許第5950774号(P5950774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950774
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】サプライ丸チャンバ
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   F24F13/02 D
   F24F13/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-203447(P2012-203447)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-59082(P2014-59082A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕之
(72)【発明者】
【氏名】早坂 等
(72)【発明者】
【氏名】小崎 良男
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−57967(JP,A)
【文献】 特開2009−228957(JP,A)
【文献】 特開平7−208797(JP,A)
【文献】 特開2008−275204(JP,A)
【文献】 特開昭48−56563(JP,A)
【文献】 米国特許第5314212(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状で、一端側の周面に切欠部を有する第1の本体および第2の本体と、
前記第1の本体と前記第2の本体とを、それぞれの前記切欠部を対向させた状態で接続する本体接続カラーと、
前記本体接続カラーで接続した前記第1の本体と前記第2の本体の切欠部に配設された機器接続部と、
を備えることを特徴とするサプライ丸チャンバ。
【請求項2】
前記第1の本体および第2の本体の周面には、ダクト接続カラーが接続可能な開口部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のサプライ丸チャンバ。
【請求項3】
前記第1の本体および第2の本体は、一端側が他端側より幅広に形成された平板を、ロール加工して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のサプライ丸チャンバ。
【請求項4】
円筒状で、周面にダクト接続カラーが接続可能な開口部が形成された第1の本体および第2の本体の前記各開口部に、ダクト接続カラーを接続するダクト接続カラー接続工程と、
前記ダクト接続カラー接続工程の後に、前記ダクト接続カラーを接続した第1の本体および第2の本体の一端側の周面に形成された切欠部を対向させた状態で本体接続カラーによって接続する本体接続カラー接続工程と、
前記ダクト接続カラー接続工程の後に、前記第1の本体と前記第2の本体の切欠部に機器接続部を接続する機器接続部接続工程と、によりサプライ丸チャンバを形成し、
空調機と、前記サプライ丸チャンバの前記機器接続部とを接続し、
前記サプライ丸チャンバの外周に断熱材を貼り付け、
前記サプライ丸チャンバの軸方向端部にダクトを取り付け、
一体化された前記空調機と前記サプライ丸チャンバと前記ダクトとを、天井から吊り込みする、
ことを特徴とするサプライ丸チャンバの配管工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、隠ぺいパッケージユニット(PAC)やファンコイルユニット(FCU)などのサプライ丸チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
隠ぺいパッケージユニット(PAC)やファンコイルユニット(FCU)などには、室内ユニットなどの空調機側から吹き出した空気を吹出口へ分岐するためにサプライチャンバが接続される。サプライチャンバは、主として空調機側との接続口と、吹出口側との接続口とを有している。このサプライチャンバには、図17に示すような箱型状のチャンバボックス300と、図2に示すような円筒状の丸チャンバがある。
【0003】
チャンバボックス300は、図16図17に示すように、空調機100側とキャンバス継手310を介して接続され、複数の吹出口120側と長尺フレキシブルダクト(長尺ダクト)110を介して接続されている。また、チャンバボックス300は、図17に示すように、吊金具130によって天井Cから吊下げられている。
【0004】
このチャンバボックス300を用いた施工手順は、図18に示すように、空調機100を吊金具130によって天井Cに吊り込みした後に(ステップS11)、空調機100の接続サイズやダクトの配管状況に合わせて、空調機100にキャンバス継手310を取り付ける(ステップS12)。そして、チャンバボックス300を吊金具130によって天井Cに吊り込みして(ステップS13)、チャンバボックス300とキャンバス継手310とを接続する(ステップS14)。そして、チャンバボックス300の接続口(図示略)に長尺フレキ110の一端側を接続して、他端側を吹出口120に接続する(ステップS15)。また、チャンバボックス300を吊り込みした後に、断熱材(図示略)を貼り付ける。これらの作業は、高所作業車を用いて行う必要がある。
【0005】
また、組立を容易に行なうことができる吹出しチャンバに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この技術は、ネジ止によって結合させていた従来の吹出しチャンバと比較すると、吹出しチャンバの組立を短時間で容易に行なうことができるとともに、ネジを大幅に削減することができるので、コストの削減を図ることができるものである。
【0006】
さらに、施工性を向上させ、チャンバの排出口から排出されるエアの排出量を平均化するとともに、導入されたエアの圧力損失を軽減する空気調和装置用分岐型チャンバに関する技術(例えば、特許文献2参照。)が知られている。この技術は、複数の排出口を、放射状に配置したものである。
【0007】
さらにまた、丸チャンバについては、小型、軽量で簡単な構成であって、設置作業がなしやすく、また、エアの流れがスムーズで圧力損失を生じにくい分岐型サプライ丸チャンバに関する技術(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4467119号公報
【特許文献2】特開2003−074958号公報
【特許文献3】特開2006−057967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の技術は、空調機の接続サイズやダクトの配管状況などに合わせてチャンバボックスを取り付ける必要があるため、手間と時間とを要し、取り付けコストが増加してしまう。また、空調機の接続サイズやダクトの配管状況などに合わせたチャンバボックスを製造する必要があるため、製造コストが増加してしまう。さらに、空調機を天井に吊り込みした後にチャンバボックスを吊り込みする必要があり、高所作業車による作業が多くなるので、取り付けコストが増加してしまう。さらにまた、チャンバボックスの吊り込み後に断熱材の貼り付け作業を行うため、作業が困難となり手間と時間とを要していた。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術は、チャンバの加工が難しく、コストが高いという問題がある。また、チャンバが長尺になると中央部の強度が低下してしまい、角筒型接続部の中央部がたわんでしまうおそれがある。
【0011】
そこで、この発明は、前記の課題を解決し、加工が容易で、高強度のサプライ丸チャンバを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、円筒状で、一端側の周面に切欠部を有する第1の本体および第2の本体と、前記第1の本体と前記第2の本体とを、それぞれの前記切欠部を対向させた状態で接続する本体接続カラーと、前記本体接続カラーで接続した前記第1の本体と前記第2の本体の切欠部に配設された機器接続部と、を備えることを特徴とするサプライ丸チャンバである。
【0013】
この発明によれば、第1の本体と第2の本体とが、それぞれの切欠部を対向させた状態で本体接続カラーによって接続され、本体接続カラーで接続した第1の本体と第2の本体の切欠部に機器接続部が配設される。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載のサプライ丸チャンバにおいて、前記第1の本体および第2の本体の周面には、ダクト接続カラーが接続可能な開口部が形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1に記載のサプライ丸チャンバにおいて、前記第1の本体および第2の本体は、一端側が他端側より幅広に形成された平板を、ロール加工して形成されている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、円筒状で、周面にダクト接続カラーが接続可能な開口部が形成された第1の本体および第2の本体の前記各開口部に、ダクト接続カラーを接続するダクト接続カラー接続工程と、前記ダクト接続カラー接続工程の後に、前記ダクト接続カラーを接続した第1の本体および第2の本体の一端側の周面に形成された切欠部を対向させた状態で本体接続カラーによって接続する本体接続カラー接続工程と、前記ダクト接続カラー接続工程の後に、前記第1の本体と前記第2の本体の切欠部に機器接続部を接続する機器接続部接続工程と、によりサプライ丸チャンバを形成し、空調機と、前記サプライ丸チャンバの前記機器接続部とを接続し、前記サプライ丸チャンバの外周に断熱材を貼り付け、前記サプライ丸チャンバの軸方向端部にダクトを取り付け、一体化された前記空調機と前記サプライ丸チャンバと前記ダクトとを、天井から吊り込みする、ことを特徴とするサプライ丸チャンバの配管工法である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、第1の本体と第2の本体とを本体接続カラーで接続するので、第1の本体と第2の本体の接続部が内側から本体接続カラーによって補強されて強度が増す。このため、第1の本体と第2の本体の接続部近傍に配設された機器接続部がたわむことを防止できる。
【0018】
また、第1の本体と第2の本体に分割されていることにより、円筒状にロール加工することが容易になり、製造コストを削減できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、第1の本体の周面と第2の本体の周面には、ダクト接続カラーが接続可能な開口部が形成されているので、ダクトの接続口である開口部の数を増やすことが出来る。すなわち、サプライ丸チャンバの周面に接続口が形成されるので、省スペースにも関わらず、複数のダクトとの接続が可能となる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、第1の本体と第2の本体をそれぞれ円筒状にロール加工して形成するため、加工が容易になり、製造コストを削減できる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、接続されて一体化された空調機とサプライ丸チャンバとダクトとを、ユニットとして一度の高所作業車による作業で吊り込むことが出来る。このため、作業が容易になり、作業に要する手間と時間とを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係るサプライ丸チャンバを用いた空調設備の配管を示す概略図である。
図2図1のサプライ丸チャンバを用いた空調設備の配管を示す概略図である。
図3図1のサプライ丸チャンバの斜視図である。
図4図1のサプライ丸チャンバの正面側の斜視図である。
図5図1のサプライ丸チャンバの第1の本体と第2の本体をロール加工する前の平板の平面図である。
図6図5のサプライ丸チャンバの第1の本体と第2の本体をロール加工した状態の斜視図である。
図7図6のサプライ丸チャンバの第1の本体にダクト接続カラーを取り付け、第2の本体にダクト接続カラーを取り付ける状態を示す正面図である。
図8図7のサプライ丸チャンバの第1の本体と第2の本体とを本体接続カラーで接続し、機器接続部を取り付ける状態を示す正面図である。
図9図8のサプライ丸チャンバの機器接続部を示す斜視図である。
図10図8のサプライ丸チャンバの第1の本体と第2の本体とを本体接続カラーで接続し、機器接続部を取り付けた状態を示す正面図である。
図11図1のサプライ丸チャンバの正面図である。
図12図1のサプライ丸チャンバを用いた空調設備の配管手順を示すフローチャートである。
図13】この発明の比較例に係るサプライ丸チャンバの本体をロール加工する前の平板の平面図である。
図14図13のサプライ丸チャンバの本体をロール加工した状態の斜視図である。
図15図13のサプライ丸チャンバの斜視図である。
図16】従来のサプライ丸チャンバを用いた空調設備の配管を示す概略図である。
図17】従来のサプライ丸チャンバの機器接続部に空調機を取り付けた状態を示す正面図である。
図18】従来のサプライ丸チャンバを用いた空調設備の配管手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1ないし図12は、この発明の実施の形態を示している。サプライ丸チャンバ1は、図1に示すように、空調機100側から吹き出した空気を吹出口120へ分岐するためのものであり、複数の長尺ダクト110を介して吹出口120へ給気するようになっている。図2に示すように、サプライ丸チャンバ1は、上流側に配設された機器接続部7が、天井Cから吊金具130によって吊下げられた空調機100に接続され、下流側に配設されたダクト接続カラー5が、長尺ダクト110に接続されている。さらに、長尺ダクト110は吹出口120と接続されている。
【0024】
このサプライ丸チャンバ1は、図3図4に示すように、主として、第1の本体2と、第2の本体3と、ダクト接続カラー4、5と、本体接続カラー6(図3図4においては後述するフランジ61のみが表れている)と、機器接続部7とを備えている。
【0025】
第1の本体2は、図3に示すように、円筒状で、第2の本体3との接続側(他端側)の周面上側に後述する機器接続部7と接続可能な切欠部2Aが形成され、周面下側にダクト接続カラー4が接続可能な開口部23が形成されているものである。第1の本体2は、図5に示すように、一端部21が他端部22より幅広に形成された略T字状の平板を、ロール加工して、図6に示すように円筒状に形成したものである。具体的には、平板は、図5に示すように、一端部21の辺2eの長さが、他端部22の辺2aの長さよりも長くなるように設定されている。この平板をロール加工する際は、図5に示す平板の一端部21の辺2dと2f、他端部22の辺2bと2hが近づくようにして、図6に示すようにロール加工する。これにより、第1の本体2は、辺2a、2eを端部とする略円筒状となる。また、第1の本体2の辺2a側は、後述する本体接続カラーを介して第2の本体3と接続される。さらに、図3図4に示すように、第1の本体2にダクト接続カラー4と機器接続部7とが配設された状態では、辺2eから数cm程度離れて平行にフランジ24が形成されている。そして、第1の本体2のフランジ24が形成された辺2e側は、長尺ダクト110が接続可能となる。
【0026】
開口部23は、図3図5図6に示すように楕円形状で他端部22の辺2a寄りに配設されている。この開口部23は、図3に示すように第1の本体2がロール加工されて円筒状に形成された状態で、その断面形状がダクト接続カラー4の外周と係合する円形状となるように位置、大きさ、形状が設定されている。
【0027】
切欠部2Aは、図3図6ないし図8図10に示すように第1の本体2の他端部22の周面上側に形成されるものである。具体的には、図6に示すように、切欠部2Aは、一端部21の辺2dと2fとを当接した状態で接合した際に、第1の本体2の周面において辺2bと2hとの間に生じるスペースによって形成される。この切欠部2Aは、図8図10図11に示すように、機器接続部7の外周と係合する形状となるように位置、大きさ、形状が設定されている。すなわち、第1の本体2は切欠部2Aによって、その長手方向において第1の本体2の2分の1以上の長さで、断面において円の上部の4分の1以下の高さで削がれ、開口した形状となっている。
【0028】
第2の本体3は、第1の本体2と同様に形成されている。第2の本体3は、図3に示すように、円筒状で、第1の本体2との接続側(他端側)の周面上側に後述する機器接続部7と接続可能な切欠部3Aが形成され、周面下側にダクト接続カラー5が接続可能な開口部33が形成されているものである。第2の本体3は、図5に示すように、一端部31が他端部32より幅広に形成された略T字状の平板を、ロール加工して、図6に示すように円筒状に形成したものである。具体的には、平板は、図5に示すように、一端部31の辺3eの長さが、他端部32の辺3aの長さよりも長くなるように設定されている。この平板をロール加工する際は、図5に示す平板の一端部31の辺3dと3f、他端部32の辺3bと3hが近づくようにして、図6に示すようにロール加工する。これにより、第2の本体3は、辺3a、3eを端部とする略円筒状となる。また、第2の本体3の辺3a側は、後述する本体接続カラーを介して第1の本体2と接続される。さらに、図3図4に示すように、第2の本体3にダクト接続カラー5と機器接続部7とが配設された状態では、辺3eから数cm程度離れて平行にフランジ34が形成されている。そして、第2の本体3のフランジ34が形成された辺3e側は、長尺ダクト110が接続可能となる。
【0029】
開口部33は、図3図5図6に示すように楕円形状で他端部32の辺3a寄りに配設されている。この開口部33は、図3に示すように第2の本体3がロール加工されて円筒状に形成された状態で、その断面形状がダクト接続カラー5の外周と係合する円形状となるように位置、大きさ、形状が設定されている。
【0030】
切欠部3Aは、図3図6ないし図8図10に示すように第2の本体3の他端部22の周面上側に形成されるものである。具体的には、図6に示すように、切欠部3Aは、一端部31の辺3dと3fとを当接した状態で接合した際に、第2の本体3の周面において辺3bと3hとの間に生じるスペースによって形成される。この切欠部3Aは、図8図10図11に示すように、機器接続部7の外周と係合する形状となるように位置、大きさ、形状が設定されている。すなわち、第2の本体3は切欠部3Aによって、その長手方向において第2の本体3の2分の1以上の長さで、断面において円の上部の4分の1以下の高さで削がれ、開口した形状となっている。
【0031】
ダクト接続カラー4は、図1に示すような長尺ダクト110を接続するためのものであり、図7に示すように第1の本体2の開口部23(図7においては図示略)に接続される。具体的には、図6に示すように平板をロール加工して形成された円筒状の第1の本体2に配設される。このとき、図7に示すように、外径が開口部23の内径よりわずかに小さな外径を有するように形成されたダクト接続カラー4を、切欠部2A側から第1の本体2の内側に挿入し、開口部23から突出させた状態で、上端周縁に形成した折返し(フランジ)を第1の本体2の内周面に当接させて、スポット溶接によって接合する。このダクト接続カラー4の上端側は、図4図7に示すように、第1の本体2の開口部23の内側周縁部と係合するような、大きさ、形状に設定されていて、折返しは周縁の全周に渡って軸方向の切込を入れて外側に屈曲させて形成されている。
【0032】
ダクト接続カラー5は、ダクト接続カラー4と同様に形成されている。ダクト接続カラー5は、長尺ダクトを接続するためのものであり、図7に示すように第2の本体3の開口部33に接続される。具体的には、図6に示すように平板をロール加工して形成された円筒状の第2の本体3に配設される。このとき、図7に示すように、開口部33の内径よりわずかに小さな外径を有するように形成されたダクト接続カラー5を、切欠部3A側から第2の本体3の内側に挿入し、開口部33から突出させた状態で、上端周縁に形成した折返し(フランジ)を第2の本体3の内周面に当接させて、スポット溶接によって接合する。このダクト接続カラー5の上端側は、図4図7に示すように、第1の本体2の開口部23の内側周縁部と係合するような、大きさ、形状に設定されていて、折返しは周縁の全周に渡って軸方向の切込を入れて外側に屈曲させて形成されている。
【0033】
本体接続カラー6は、図8に示すように、第1の本体2と第2の本体3とを、それぞれの切欠部2A、3Aを対向させた状態で接続するものである。本体接続カラー6は、第1の本体2と第2の本体3の内径よりもわずかに小さな外径を有するように設定されており、周面の略中央に全周に亘るフランジ61が形成されている。この本体接続カラー6の両端側から、第1の本体2と第2の本体3をそれぞれ差し込んで、スポット溶接によって接合する。本体接続カラー6は、リング状であるので、図10に示すように第1の本体2の切欠部2Aと第2の本体3の切欠部3Aにおいては、周面の一部が露出した状態となる。
【0034】
機器接続部7は、図3図4に示すように、断面形状が長方形の角筒状で、接続された第1の本体2と第2の本体3の軸方向が長辺となる矩形状に形成されており、例えば4枚の平板をスポット溶接などにより接合させて形成するようになっている。この機器接続部7の上端側は、空調機100と直接接続可能な大きさ、形状に設定されており、図10に示すように、第1の本体2の切欠部2Aと第2の本体3の切欠部3Aと係合するようになっている。また、機器接続部7の下端側は、図3図4に示すように、第1の本体2の切欠部2Aの周縁部、第2の本体3の周縁部と係合するような、大きさ、形状に設定されている。具体的には、図9に示すように、下端周縁に形成した折返し(フランジ)71、72を第1の本体2と第2の本体3の内周面に当接させてスポット溶接により接合できる構成としている。折返し71、72は下端周縁に切込を入れて外側に屈曲させて形成することができる。また、長辺側の面(第1の本体2と第2の本体3の軸方向の面)の下端に形成した折返し71は、その中央部に折返しの先端から切欠かれた切欠き73が配設されている。当該切欠き73は、組み立ての際に本体接続カラー6のフランジ61との干渉を避けるためのものであり、機器接続部7の長辺側の面の下端部分がフランジ61との干渉を避けることができる形状、高さに設定されている。
【0035】
このような本体2、3、ダクト接続カラー4、5、本体接続カラー6や機器接続部7は、板厚0.5〜1.6mmの亜鉛メッキ鋼板から製作することができる。
【0036】
このような構成のサプライ丸チャンバ1においては、機器接続部7から流入した空気が、第1の本体2と第2の本体3を通って、第1の本体2と第2の本体3の端部側にそれぞれ接続された長尺ダクト110と、ダクト接続カラー4、5にそれぞれ接続された長尺ダクト110を介して吹出口120から吹き出すようになっている。
【0037】
次に、このような構成のサプライ丸チャンバ1の製造方法と、そのサプライ丸チャンバ1を適用した空調設備の配管方法について説明する。
【0038】
まず、第1の本体2と第2の本体3とを形成する平板が、鋼板から図5に示すような形状に板取りされて、切断される。このとき、第1の本体2と第2の本体3に、開口部23、33が形成される。
【0039】
そして、図6に示すように、平板状の第1の本体2と第2の本体3がロール加工されて、辺2dと辺2f、辺3dと辺3fがスポット溶接されて、第1の本体2と第2の本体3が円筒状に加工される。
【0040】
そして、図7に示すように、ロール加工された第1の本体2と第2の本体3の開口部23、33に、ダクト接続カラー4、5がスポット溶接される。
【0041】
そして、図8に示すように、本体接続カラー6の上方から機器接続部7を、折返し中央部の切込73とフランジ61とを合わせて当接させて保持し、本体接続カラー6の両端側から、第1の本体2と第2の本体3がそれぞれ差し込まれる。このとき、第1の本体2の切欠部2Aと第2の本体3の切欠部3Aに機器接続部7が係合されるようにし、機器接続部7の折返し71、72は第1の本体2と第2の本体3の内側に入るようにする。そして、図10に示すように本体接続カラー6と第1の本体2と第2の本体3が、機器接続部7と第1の本体2と第2の本体3が、それぞれスポット溶接される。これにより、第1の本体2と第2の本体3と機器接続部7とが一体化される。
【0042】
さらに、図11に示すように、一体に接続された第1の本体2と第2の本体3の両端部側にフランジ24、34が例えばプレス加工などにより形成されて、サプライ丸チャンバ1が完成する。
【0043】
つづいて、このようにして形成されたサプライ丸チャンバ1の配管手順について図12に示すフローチャートに従って説明する。まず、組み立てられたサプライ丸チャンバ1や空調機100、長尺ダクト110、吹出口120が施工現場に搬入される。
【0044】
床面上で、空調機100にサプライ丸チャンバ1の機器接続部7が取り付けられる(ステップS1)。
【0045】
そして、サプライ丸チャンバ1の外周に断熱材(図示略)が貼り付けられて、サプライ丸チャンバ1が断熱される(ステップS2)。このとき、断熱材は、綱や紐などによって巻き付けて固定される。
【0046】
そして、サプライ丸チャンバ1の第1の本体2の辺2e側、第2の本体3の辺3e側、ダクト接続カラー4、5に長尺ダクト110が取り付けられる(ステップS3)。
【0047】
そして、図1図2に示すように接続されて一体化された空調機100とサプライ丸チャンバ1と長尺ダクト110とが、高所作業車を使って天井Cから吊り込みされる(ステップS4)。このとき、図2に示すように、サプライ丸チャンバ1は、吊金具130によって吊り込みされた空調機100によって支持されるので、吊金具130で吊り込む必要がない。
【0048】
このようにして、サプライ丸チャンバ1が吊り込みされると、空調機100から吹き出して、機器接続部7から流入した空気が、第1の本体2と第2の本体3を通って、第1の本体2の辺2e側、第2の本体3の辺3e側にそれぞれ接続された長尺ダクト110と、ダクト接続カラー4、5にそれぞれ接続された長尺ダクト110を介して吹出口120から吹き出される。
【0049】
以上のように、この実施の形態に係る発明によれば、第1の本体2と第2の本体3とを本体接続カラー6で接続するので、第1の本体2と第2の本体3の接続部が内側から本体接続カラー6によって補強されて強度が増す。このため、第1の本体2と第2の本体3の接続部近傍に配設された機器接続部7がたわむことを防止できる。
【0050】
また、第1の本体2と第2の本体3に分割されていることにより、円筒状にロール加工することが容易になり、製造コストを削減できる。
【0051】
さらに、機器接続部7は、第1の本体2と第2の本体3とをロール加工して、本体接続カラー6で一体化した後に配設するので、例えば、機器接続部7を第1の本体2や第2の本体3の一部として板取りする場合よりもロール加工が容易になり、製造コストを削減できる。
【0052】
さらにまた、接続されて一体化された空調機100とサプライ丸チャンバ1と長尺ダクト110とを、ユニットとして一度の高所作業車による作業で吊り込むことが出来るため、作業が容易になり、作業に要する手間と時間とを削減できる。このとき、サプライ丸チャンバ1は、吊金具130で吊り込む必要がないので、吊金具130の数を削減するととともに、作業をより簡素化することができる。
【0053】
ここで、比較例として、図13ないし図15に示すサプライ丸チャンバ200について説明する。このサプライ丸チャンバ200の本体210は、図13に示すように1枚の平板をロール加工して円筒状に加工される点でのみ、平板状の第1の本体2と第2の本体3がロール加工されて、円筒状に加工された後に本体接続カラー6で一体化されるサプライ丸チャンバ1とは異なる。このため、サプライ丸チャンバ1と同等の構成については、同一符号又は対応する符号を付することで、その説明を省略する。
【0054】
本体210は、図13に示すように1枚の平板状で、側端部212、213の辺212e、213eの長さが、中央部211の幅(辺211bと辺211hとの間の距離)よりも長くなるように設定されている。この平板をロール加工する際は、図14に示すように、側端部212の辺212fと212d、側端部213の辺213dと辺213fが、近づくようにロール加工する。また、図15に示すように側端部212の辺212e、側端部213の辺213eから数cm程度離れて平行にフランジが形成される。
【0055】
開口部214、215は、図13に示すように楕円形状で中央部211の中央寄りに所定距離離れて配設されている。
【0056】
このようにサプライ丸チャンバ200は、図13に示すように中央部211となる部分が大きく切欠かれた1枚の平板を用いるので、円筒状にロール加工する際に、たわみを生じやすくなり加工が困難になる。また、ロール加工後も、図14に示すように長尺の円筒形状で中央部211が大きく切欠かれた形状となるので、この切欠き部分でたわみを生じやすくなり、ダクト接続カラー4、5や機器接続部7との接続、辺212d、212f、辺213d、213fの接合などの作業も困難になる。
【0057】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【0058】
例えば、第1の本体2、第2の本体3のロール加工時などにスポット溶接をしているが、ネジ止めによって固定するようにしてもよいことはもちろんである。
【0059】
また、例えば、サプライ丸チャンバ1において、第1の本体2、第2の本体3とダクト接続カラー4、5との接続部、第1の本体2、第2の本体3と機器接続部7との接続部などは、シール処理をして、気体が外部に漏れるリークを防止するようにしてもよいことはもちろんである。
【0060】
さらに、サプライ丸チャンバ1は、次のように製造してもよい。具体的には、ロール加工された第1の本体2と第2の本体3の開口部23、33に、ダクト接続カラー4、5をスポット溶接した後に、第1の本体2および第2の本体3の一端側の周面に形成された切欠部2A、3Aを対向させた状態で本体接続カラー6によって接続する。そして、本体接続カラー6で接続した第1の本体2と第2の本体3の切欠部2A、3Aに機器接続部7を接続してサプライ丸チャンバ1を形成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 サプライ丸チャンバ
2 第1の本体
2a 開口部
2A 切欠部
3 第2の本体
3a 開口部
3A 切欠部
4 ダクト接続カラー
5 ダクト接続カラー
6 本体接続カラー
7 機器接続部
図1
図2
図3
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図5
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