(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1押さえ部材は、前記第3回動姿勢から前記トレイに搬送されるシートの搬送方向の上流側へ前記第2押さえ部材が回動することを規制するストッパーを前記延出端に有する請求項1に記載のシート押さえ機構。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態は適宜変更できる。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るスキャナー10の概略構成を示す模式図である。スキャナー10は、本発明の画像処理装置の一例であって、原稿の画像を読み取る画像読取処理(画像処理)を実行するものである。以下の説明において、スキャナー10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向34を定義し、
図1において手前側を正面として前後方向36を定義し、スキャナー10を正面から見て左右方向35を定義する。なお、
図1では、後述の中間トレイ16及びスイッチバックローラー45の図示が省略されている。
【0013】
スキャナー10は、プリンターや複写機、ファクシミリ、又はこれらの機能を備えた複合機などに代表される画像形成装置と連結されて用いられる。スキャナー10は、主として、画像形成装置の上部に設けられる。本発明は、以下に説明するようにスキャナー10の単体装置としても実現可能であるが、スキャナー10が搭載された画像形成装置としても実現可能である。
【0014】
スキャナー10は、移動原稿読取方式と静止原稿読取方式の2つの読取方式によって原稿の画像を読み取る。前記移動原稿読取方式は、予め定められた読取位置P
1(
図1参照)に後述の光源ユニット19が配置された状態で、ADF13による搬送中の原稿の画像を読み取る方式である。前記静止原稿読取方式は、静止された原稿に対して光源ユニット19を走査させて原稿の画像を読み取る方式である。
【0015】
図1に示されるように、スキャナー10は、画像読取部12と、自動原稿送り装置13(以下「ADF13」と称する。)と、を備えている。画像読取部12は、本発明の画像処理部の一例である。
【0016】
画像読取部12の上面には、前記移動原稿読取方式による画像読取時に原稿が通過するガラス板からなる読取窓22と、前記静止原稿読取方式による画像読取時に原稿が載置されるコンタクトガラス21とが設けられている。画像読取部12の上面において、読取窓22は左端に設けられており、コンタクトガラス21は、読取窓22の右側に設けられている。
【0017】
画像読取部12の内部には、光源ユニット19と、CCD25と、光学レンズ26と、ミラー28,29と、制御部32とが設けられている。
【0018】
光源ユニット19は、原稿に光を照射するための複数のLED31と、ミラー27と、これらを収容するキャリッジ20とからなる。キャリッジ20は画像読取部12の内部において、
図1における左右方向35へ移動可能なように画像読取部12のフレームなどに支持されている。
【0019】
光学レンズ26及びミラー28,29は、
図1において前後方向36(
図1の紙面に垂直な方向)に配置されている。複数のLED31から照射されて原稿で反射された反射光は、適宜配置されたミラー27〜29によって光学レンズ26に導かれる。光学レンズ26は、入射した光を集光してCCD25に入射させる。CCD25に光が入射すると、CCD25は受光した光の量(受光量)に応じた電気信号を生成し、この生成された電気信号がA/Dコンバーター(不図示)によってデジタル信号に変換された後に、原稿の画像データ(スキャン画像)として制御部32に入力される。なお、本実施形態では、撮像素子としてCCD25を用いた例について説明するが、CCD25による読取機構に代えて、CCD25よりも焦点距離の短い密着型のイメージセンサー(CIS: Contact Image Sensor)を用いた読取機構を適用することも可能である。
【0020】
ADF13は、画像読取部12の上部に配置されている。ADF13は、読取窓22の上面に沿って
図1における左右方向35の右向きへ通過するように、原稿を移動させる。具体的には、ADF13は、原稿トレイ11にセットされた原稿を順次搬送して、原稿の読取面が読取窓22に対向するように原稿を搬送する。また、ADF13は、画像読取部12の上面を覆うカバーとしての役割も担っており、画像読取部12の上面を開閉可能なように画像読取部12に取り付けられている。なお、ADF13の詳細な構成については後述する。
【0021】
スキャナー10による原稿画像の読み取りは、以下の手順で行われる。前記移動原稿読取方式による画像読取では、原稿の画像読取指示が操作パネルなどから入力されると、読取窓22へ向けて光を照射することができる位置P
1に光源ユニット19が配置される。一方、ADF13による原稿の搬送が開始される。光源ユニット19が位置P
1に配置されると、光源ユニット19の複数のLED31から読取窓22へ向けて光が照射される。ADF13によって原稿が読取窓22の上面を左右方向35の右向きへ搬送されると、光源ユニット19からの光が原稿に照射される。そして、原稿から反射された反射光がミラー27〜29及び光学レンズ26を介してCCD25に導かれて、CCD25及び前記A/Dコンバーターによって画像データを示すデジタル信号が生成される。一方、前記静止原稿読取方式による画像読取では、原稿の画像読取指示が入力されると、光源ユニット19が左右方向35の右向きへ移動される。そして、その移動過程において複数のLED31からコンタクトガラス21に載置された原稿へ向けて光が照射される。そして、原稿から反射された反射光がミラー27〜29及び光学レンズ26を介してCCD25に導かれ、CCD25及び前記A/Dコンバーターによって画像データを示すデジタル信号が生成される。
【0022】
ADF13は、本発明のシート搬送装置の一例であって、原稿(本発明のシートの一例)を搬送路37に沿って搬送するものである。ADF13は、
図2に示されるように、原稿トレイ11と、排出トレイ14と、中間トレイ16と、搬送ガイド39と、ピックアップローラー42と、搬送ローラー43と、排出ローラー44と、スイッチバックローラー45と、シート押さえ機構60と、を備えている。シート押さえ機構60は、本発明のシート押さえ機構の一例である。
【0023】
図3に示されるように、排出トレイ14は、本発明のトレイの一例であって、前記移動原稿読取方式による画像読取処理が行われた後に搬送路37から排出された複数の原稿を積載するものである。排出トレイ14は、ADF13の底部に設けられている。原稿トレイ11は、画像を読み取らせる複数の原稿を積載するものであり、排出トレイ14の上側に設けられている。したがって、排出トレイ14及び原稿トレイ11は、上下二段構成となるように設けられている。中間トレイ16は、両面画像読取の際にスイッチバックされた原稿を一時的に載置するものであり、原稿トレイ11と排出トレイ14との間に設けられている。原稿トレイ11は、ピックアップローラー42によって一度に連続して搬送可能な最大量の原稿を積載することができる。また、排出トレイ14と中間トレイ16との間には、一度に連続して搬送可能な最大量の原稿を排出トレイ14に積載することができる十分なスペースが確保されている。
【0024】
ADF13の内部には、原稿トレイ11と排出トレイ14とを連結する搬送路37が形成されている。ADF13は、原稿トレイ11から搬送路37を経て排出トレイ14へ向かう方向を搬送方向として、原稿を原稿トレイ11から排出トレイ14へ自動的に連続して1枚ずつ搬送する。
【0025】
図2に示されるように、搬送路37は、原稿トレイ11と排出トレイ14とを連続的に連結している。搬送路37は、湾曲形状に形成されている。搬送路37に沿って、搬送路37の経路に応じた形状の複数の搬送ガイド39が適宜配置されている。搬送路37は、上側搬送路37Aと、湾曲搬送路37Bと、下側搬送路37Cと、スイッチバック搬送路37Dとからなる。上側搬送路37Aは、原稿トレイ11から
図2の左方向へ延出されている。湾曲搬送路37Bは、上側搬送路37Aから下方へ向かって湾曲されている。下側搬送路37Cは、湾曲搬送路37Bから排出トレイ14へ向けて
図2の右方向へ延出されている。スイッチバック搬送路37Dは、下側搬送路37Cから分岐して中間トレイ16を経て上側搬送路37Aに合流している。この搬送路37を原稿が搬送されると、原稿は湾曲搬送路37Bにおいて湾曲された状態で搬送路37内を搬送方向へ移動する。
【0026】
ADF13の下側搬送路37Cには、読取窓22に原稿を露出させるための開口が設けられている。この開口を原稿が通過する際に、原稿に対して光学ユニット19からの光が照射されて、原稿の画像が読み取られる。
【0027】
ピックアップローラー42は、原稿トレイ11に載置された複数の原稿から一枚ずつ原稿を取り出して上側搬送路37Aへ送るものであり、上側搬送路37Aの搬送方向上流側の給送口47付近に設けられている。ピックアップローラー42は、図示しないモーターから伝達された駆動力によって回転駆動される。
【0028】
搬送ローラー43は、搬送路37に給送された原稿を搬送方向下流側へ搬送するものであり、搬送路37に沿って適宜配置されている。本実施形態では、搬送路37に沿って3つの搬送ローラー43が設けられている。搬送ローラー43は、図示しないモーターから伝達された駆動力によって回転駆動される。各搬送ローラー43に対向する位置に従動ローラー50が設けられている。従動ローラー50は、不図示のバネなどによって搬送ローラー43側へ付勢されている。搬送路37に給送された原稿は、搬送ローラー43と従動ローラー50とによって所定の圧接力で挟持搬送されることにより搬送方向下流側へ搬送される。
【0029】
排出ローラー44は、本発明の搬送手段の一例であって、搬送路37を搬送される原稿を排出トレイ14へ排出するものである。排出ローラー44は、下側搬送路37Cの搬送方向下流側の排出口48付近に設けられている。排出ローラー44は、図示しないモーターから伝達された駆動力によって回転駆動される。排出ローラー44に対向する位置に従動ローラー51が設けられている。従動ローラー51は、不図示のバネなどによって搬送ローラー44側へ付勢されている。搬送路37に給送された原稿は、排出ローラー44と従動ローラー51とによって所定の圧接力で挟持搬送されることにより排出トレイ14へ搬送される。
【0030】
スイッチバックローラー45は、スイッチバック搬送路37Dに搬送された原稿に対してスイッチバック(原稿が搬送される向きを入れ替える動作)を行うものである。スイッチバックローラー45は、スイッチバック搬送路37Dに設けられている。スイッチバックローラー45は、図示しないモーターから伝達された駆動力によって正転方向又は逆転方向へ回転駆動される。スイッチバックローラー45に対向する位置に従動ローラー52が設けられている。下側搬送路37Cからスイッチバック搬送路37Dに搬送された原稿は、スイッチバックローラー45によって中間トレイ16に向けて搬送される。そして、搬送方向の後端部をスイッチバックローラー45に挟持された状態でスイッチバックローラー45の回転方向が逆転されると、原稿が搬送される向きが入れ替えられて、上側搬送路37Aへ向けて搬送される。このようにスイッチバックされることにより、表面の画像が読み取られた原稿の裏面が読取窓22に対向するように原稿を搬送することができ、これにより、一度の搬送において両面の画像を読み取ることが可能となる。
【0031】
本実施形態のADF13においては、上述したように搬送路37が形成されているため、原稿が湾曲搬送路37Bを湾曲されて搬送されることにより、原稿にカールが生じることがある。また、ピックアップローラー42や搬送ローラー43、排出ローラー44などのローラー表面が原稿の表面を圧接した状態で原稿が搬送されることも原因となって、原稿にカールが生じることがある。原稿のカールは、特に搬送方向の両端部に大きく現れる。このようなカールが生じた原稿が排出トレイ14に載置されると、原稿における搬送方向上流側の端部(以下「後端部」という。)のカール部分によって排出口48が塞がれる場合がある。この場合に、更に原稿が排出口48から排出されると、後に排出される原稿が排出トレイ14に載置された原稿のカール部分に衝突したり、排出トレイ14に載置された原稿の下側に潜り込んだりして、排出トレイ14における原稿の積載状態や積載順序が乱れるという積載不良が生じる。このような積載不良を防止するために、本実施形態では、ADF13にシート押さえ機構60が設けられている。以下、シート押さえ機構60の構成について詳細に説明する。
【0032】
シート押さえ機構60は、排出トレイ14に搬送された原稿の後端部を押さえ付けるものである。
図4に示されるように、シート押さえ機構60は、排出口48の近傍に設けられている。シート押さえ機構60は、ADF13のフレームに回動可能に支持された上側フラップ61と、この上側フラップ61に回動可能に支持された下側フラップ62とを備えている。上側フラップ61は、本発明の第1押さえ部材の一例である。また、下側フラップ62は、本発明の第2押さえ部材の一例である。
【0033】
図5に示されるように、排出トレイ14の上側に2つの支持部63が設けられている。支持部63は、シート押さえ機構60を回動可能に支持するものであり、ADF13のフレーム等に一体に連結されている。2つの支持部63は、ADF13の前後方向36(
図4の紙面に垂直な方向)、つまり、排出ローラー44の回転軸44Aの軸方向と同じ方向に互いに対向するように配置されている。各支持部63には、前後方向36に貫通する軸孔65が形成されている。軸孔65は、排出ローラー44と従動ローラー51とのニップ部55よりも上方に配置されている。この軸孔65に上側フラップ61が回動自在に支持されている。
【0034】
上側フラップ61は、例えばABSなどの合成樹脂を射出成形して得られるものであり、
図5(A)に示されるように、ベース67と、ベース67の両端それぞれから延出された2つのアーム68とを有する。ベース67は、板状に形成されており、その両端それぞれが2つのアーム68それぞれの内側面に連結している。
【0035】
2つのアーム68それぞれには、回動軸70が設けられている。回動軸70は、本発明の第1支軸の一例である。回動軸70は、アーム68に一体に形成されている。アーム68は、概ね長方形状に形成された板状の部材である。アーム68の長手方向の一方端、具体的には、
図5においてアーム68の上端部68Aに回動軸70が設けられている。回動軸70は、アーム68の外側面から外側、つまり前方又は後方へ突出している。回動軸70の外径は、支持部63の軸孔65の内径よりも小さく設定されている。この回動軸70が、支持部63の軸孔65に挿入されている。具体的には、
図5(A)に示されるように、支持部63の内側面から回動軸70が軸孔65に挿入され、支持部63の外側面に貫通している。これにより、上側フラップ61のアーム68の上端部68Aが、排出トレイ14の上側の軸孔65の中心を回動中心として、回動自在に支持されている。このように支持された上側フラップ61は、その自重によって、アーム68の長手方向が鉛直方向(上下方向34)と一致する第1姿勢(
図5(C)の実線で示される姿勢)となる。言い換えると、上側フラップ61は、その回動軸70が支持部63に支持されることにより、外力が加えられていない状態で、回動軸70から鉛直下方の排出トレイ14側へ延出された第1姿勢となる。この第1姿勢は、本発明の第1回動姿勢に相当する。
【0036】
図4に示されるように、前記第1姿勢において、アーム68は、下側搬送路37Cからニップ部55を経て排出トレイ14に至るまでの原稿の排出経路75(排出経路75の延長線を含む)に交差する長さに形成されている。つまり、アーム68は、前記第1姿勢において、回動軸70から排出経路75よりも下側の位置まで延出されている。本実施形態では、上側フラップ61は、前記第1姿勢から排出方向下流側へ回動されると、排出トレイ14側とは反対側の上方へ移動して、排出経路75よりも上方へ退避する第2姿勢(
図4及び
図5(C)の破線で示される姿勢)となる。この第2姿勢は、本発明の第2回動姿勢に相当する。つまり、上側フラップ61は、回動軸70を中心にして前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で回動可能に支持されている。
【0037】
アーム68において、上端部68Aとは反対側の下端部68Bには、ADF13の前後方向36と同方向に貫通する軸孔73が形成されている。軸孔73に下側フラップ62が回動自在に支持されている。
【0038】
図5(A)に示されるように、アーム68の下端部68Bの外側面には、下側プラップ62の回動動作を規制するストッパー71が設けられている。このストッパー71は、下端部68Bの外側面から外方向へ突出するリブ状に形成されており、下端部68Bの外側面において左端部に配置されている。ストッパー62に下側フラップ62が当接することによって、下側フラップ62が搬送方向上流側へ回動することが規制される。
【0039】
下側フラップ62は、上側フラップ61と同様に、例えばABSなどの合成樹脂を射出成形して得られるものである。下側フラップ62は、
図5(A)に示されるように、板状のベース80と、ベース80の一方端に設けられた突起部81と、突起部81とは反対側の端部の両端に設けられた回動軸82とを有する。ベース80は、概ね四角形の板状に形成されている。
【0040】
ベース80の前後方向36の両端部に2つのアーム84が設けられている。アーム84は、ベース80の前後方向36の両端部それぞれに切り欠き86を形成することにより得られる。2つのアーム84それぞれに回動軸82が設けられている。回動軸82は、本発明の第2支軸の一例である。回動軸82は、アーム84の一方端、つまり、上側フラップ61側の端部84Aの内側面から内側へ突出している。回動軸82の外径は、上側フラップ61の下端部68Bの軸孔73の内径よりも小さく設定されている。この回動軸82が、軸孔73に挿入されている。具体的には、
図5(A)に示されるように、下端部68Bの外側面から回動軸82が軸孔73に挿入され、下端部68Bの内側面に貫通している。これにより、下側フラップ62が下端部68Bに設けられた軸孔の中心を回動中心として、回動自在に支持されている。このように支持された下側フラップ62は、その自重によって、ベース80が鉛直方向と一致する第3姿勢(
図5(B)の実線で示される姿勢)となる。言い換えると、下側フラップ62は、その回動軸82が上側フラップ61に支持されることにより、外力が加えられていない状態で、回動軸82から鉛直下方の排出トレイ14側へ延出された前記第3姿勢となる。
【0041】
本実施形態では、上側フラップ61が前記第1姿勢であり、下側フラップ62が前記の状態で、下側フラップ62の下端部が排出トレイ14の上面、つまり原稿が載置される原稿載置面付近まで延出されている。
【0042】
突起部81は、本発明の当接部の一例であって、ベース80の下方端に設けられている。突起部81は、排出ローラー44によって原稿が排出トレイ14に排出されたときに原稿に当接する部分である。突起部81は、原稿との接触摩擦を低減するために、例えば、フッ素樹脂などのコーティング剤が塗布されている。このようなコーティングが本発明の低摩擦部材の一例である。もちろん、前記コーティング剤に代えて、原稿との当接部に回転コロを設けるなど、接触摩擦を低減させる如何なる手段でも適用可能である。
【0043】
本実施形態では、下側フラップ62は、前記第3姿勢から排出方向下流側へ回動されると、
図5(B)の破線に示されるように制限なく回動する。一方、前記第3姿勢から排出方向上流側へ回動されると、下側フラップ62は、
図5(B)の点線に示されるように、上側フラップ61のストッパー71に当接して、排出方向上流側への回動が制限される。
【0044】
以下、
図6及び
図7を参照して、原稿の排出動作とシート押さえ機構60の動作とともに、シート押さえ機構60の作用効果について説明する。
【0045】
まず、
図6を参照して、排出トレイ14に原稿が積載されていない場合の動作について説明する。
図6に示されるように、排出ローラー44によって排出口48から原稿が排出されると、原稿の排出方向下流側の先端部がシート押さえ機構60の上側フラップ61に当接する(
図6(A)参照)。その後、更に原稿が排出されると、上側フラップ61が排出方向下流側へ押されて、前記第1姿勢から前記第2姿勢まで回動し、上側フラップ61の回動動作に伴って下側フラップ62も
図6(B)に示されるように同方向へ回動する。これにより、原稿の排出経路75の上側へシート押さえ機構60が退避する。これにより、原稿が排出トレイ14へ排出可能となる。一方、更に原稿が排出されて、原稿の後端部が排出ローラー44のニップ部55を通過すると、排出ローラー44による支持がなくなるので、シート押さえ機構60の上側フラップ61が自重により前記第2姿勢から前記第1姿勢へ戻ろうとする。このとき、原稿の後端部が下方へ押しつけられる(
図6(C)参照)。その後、原稿が排出トレイ14の原稿載置面に支持されるとともに、上側フラップ61が前記第1姿勢となり、下側フラップ62が前記第3姿勢となる(
図6(D)参照)。このとき、原稿の後端部に大きなカールがある場合は、下側フラップ62の突起部81によって原稿の後端部が下方へ押しつけられる。これにより、搬送路37を通過した原稿の後端部が大きくカールしていたとしても、そのカールは下側フラップ62によって抑制される。
【0046】
また、
図6(D)に示される状態では、下側フラップ62の突起部81と原稿載置面との間に隙間があるため、原稿の後端部のカールが完全に抑制されていないが、原稿の排出量が増加して、突起部81と原稿の上面との隙間が徐々に小さくなると、その分だけ原稿の後端部のカールが抑制される。そして、
図7(A)に示されるように、突起部81と原稿載置面との隙間が排出トレイ14における原稿の積載量と同一になると、原稿の後端部のカールがほぼ完全に抑制される。
【0047】
そして、更に原稿の積載量が増えて、原稿の積載位置が高くなると、
図7(B)に示されるように、上側フラップ61は前記第1姿勢のままであるが、下側フラップ62は、原稿排出後に
図7(B)の破線で示される姿勢から前記第3姿勢まで戻らなくなる。この場合、下側フラップ62の突起部81が原稿の上面を押さえ付けるポイントが原稿の排出方向の下流側(
図7において右側)へずれるが、従来の押さえ付け部材に比べて下側フラップ62の長さが短いため、原稿の後端部のカールを積載不良が生じない程度に抑制することができる。また、上側フラップ61が前記第1姿勢のままであるため、原稿の後端部に大きなカールが生じていても、上側フラップ61の下端部68Bによってカールが抑制される。
【0048】
また、
図7(B)に示される状態では、上側フラップ61の下端部68Bと最上位の原稿との間に隙間があるため、原稿の後端部のカールが完全に抑制されていないが、原稿の排出量が増加して、下端部68Bと最上位の原稿との隙間が徐々に小さくなると、その分だけ原稿の後端部のカールが下端部68Bによって抑制される。そして、
図7(C)に示されるように、下端部68Bと最上位の原稿との間の隙間が無くなると、原稿の後端部のカールがほぼ完全に抑制される。
【0049】
そして、更に原稿の積載量が増えて、原稿の積載位置が高くなると、
図7(D)に示されるように、上側フラップ61は、原稿排出後に前記第2姿勢から前記第1姿勢まで戻らなくなり、排出方向の下流側(
図7において右側)へ傾斜した姿勢となる。この場合、上側フラップ61の下端部68Bが原稿の上面を押さえ付けるポイントが原稿の排出方向の下流側へずれるが、従来の押さえ付け部材に比べて上側フラップ61の長さが短いため、原稿の後端部のカールを積載不良が生じない程度に抑制することができる。
【0050】
このように、シート押さえ機構60が構成されているため、排出トレイ14における原稿の最上位面の位置が低位置であっても高位置であっても、常に原稿の後端部又は後端部に近い部分が上側フラップ61又は下側フラップ62のいずれかによって下方へ押さえ付けられる。このため、排出トレイ14における原稿の積載量の関わらず、原稿の後端部に生じるカールを確実に抑制することができ、その結果、原稿の積載不良を確実に防止することができる。
【0051】
なお、上述の実施形態において、シート押さえ機構60がADF13に複数設けられていてもよい。例えば、原稿の後端部の両端が特にカールし易いという実情に対処するために、2つのシート押さえ機構60が前後方向34に隔てられて配置された構成であってもかまわない。もちろん、原稿の後端部の幅方向全域を押さえ付ける機構でも、原稿の後端部の幅方向の一部のみを押さえ付ける機構であってもかまわない。
【0052】
また、上述の実施形態では、上側フラップ61の下端部68Bに下側フラップ62が回動可能に支持された例としたが、本発明の他の実施例として、下側フラップ62の下端に更に別のフラップが回動可能に支持された構成も考えられる。
【0053】
また、上述の実施形態では、本発明のシート搬送装置としてADF13を例示したが、本発明のシート搬送装置は、少なくとも、排出トレイ14に原稿を搬送する排出ローラー44と、上述のシート押さえ機構60とを備えた構成であればよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、本発明の画像処理装置として、ADF13を備えたスキャナー10を例示したが、印刷用紙に対して電子写真方式又はインクジェット記録方式などの画像形成方式で画像を形成する画像形成装置において、画像形成後の印刷用紙が積載される排出トレイに印刷用紙を搬送する機構にも、上述のシート押さえ機構60を適用することが可能である。また、画像形成装置によって画像が形成された印刷用紙に対してステープル処理又は穿孔処理等の後処理を行う後処理装置において、画像形成後の印刷用紙が一時的に載置される中間トレイに印刷用紙を搬送する機構にも、上述のシート押さえ機構60を適用することが可能である。また、前記後処理後の印刷用紙が排出される排出トレイが前記後処理装置に設けられている場合は、前記後処理後の印刷用紙を排出トレイに搬送する機構にも、上述のシート押さえ機構60を適用することが可能である