特許第5950797号(P5950797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5950797盛土斜面の補強工法及びこれに用いる削孔ツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950797
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】盛土斜面の補強工法及びこれに用いる削孔ツール
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20160630BHJP
   E02D 5/80 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   E02D17/20 106
   E02D5/80 Z
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-245370(P2012-245370)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-95179(P2014-95179A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230788
【氏名又は名称】日本基礎技術株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 武志
(72)【発明者】
【氏名】永山 克彦
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−124957(JP,A)
【文献】 特開2011−106253(JP,A)
【文献】 特開昭61−158520(JP,A)
【文献】 特開昭61−134425(JP,A)
【文献】 特開2000−282474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00−17/20
E02D 5/22− 5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔ツールを用いて削孔した孔にグラウト材を充填し、芯材を挿入する盛土斜面の補強工法であって、
前記削孔ツールを回転させながら盛土斜面に押し込むことで、掘削土砂を前記孔の内周に押し付けながら削孔し、この際、前記削孔ツールの後端にケーシングを継ぎ足すことで、所定の深度まで削孔する削孔工程と、
前記削孔ツールを前記削孔工程での回転方向と同じ方向に回転させ、前記削孔ツールが備える排出口から前記グラウト材を所定圧で吐出し、該グラウト材の注入圧を確認しながら前記削孔ツールを徐々に引き抜くことで、前記孔を前記グラウト材で加圧充填した充填孔を形成する充填工程と、
前記充填孔に前記芯材を挿入してアンカー体を形成する挿入工程とを含むことを特徴とする盛土斜面の補強工法。
【請求項2】
前記充填工程において、前記削孔ツールを所定の長さだけ引き抜いた後、前記所定の長さよりも短い長さだけ前記削孔ツールを再貫入することを繰り返して、前記充填孔を形成することを特徴とする請求項1記載の盛土斜面の補強工法。
【請求項3】
前記芯材の頭部に支圧板を取り付けると共に、隣接する前記アンカー体同士の前記芯材の頭部を鋼線で連結する連結工程を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の盛土斜面の補強工法。
【請求項4】
前記グラウト材として、セメントミルク若しくは遅延剤を添加したモルタルを用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の盛土斜面の補強工法。
【請求項5】
前記削孔ツールとして、
削孔方向先端に位置する掘削ビットと、外径が一様でない筒状部の外周に螺旋状の螺旋板を備えるスクリュー部と、該スクリュー部よりも削孔方向後端側に位置する円筒形の圧接部とを含み、
前記スクリュー部は、前記筒状部の削孔方向先端側の外周にグラウト材の排出口を備え、前記筒状部の削孔方向後端部から前記排出口に至るまでが中空であり、前記螺旋板の外周が前記筒状部の軸心から一定距離の位置にあり、
前記圧接部は、頂部が略平坦で削孔方向に延びた突条部を、外周の円周方向に複数有し、該複数の突条部を含めた外径が、前記螺旋板の外周で規定される前記スクリュー部の外径と等しく、1箇所若しくは削孔方向に間隔を空けた2箇所に設けられた削孔ツールを用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の盛土斜面の補強工法。
【請求項6】
盛土斜面の補強工法に用いられる削孔ツールであって、
削孔方向先端に位置する掘削ビットと、外径が一様でない筒状部の外周に螺旋状の螺旋板を備えるスクリュー部と、該スクリュー部よりも削孔方向後端側に位置する円筒形の圧接部とを含み、
前記スクリュー部は、前記筒状部の削孔方向先端側の外周にグラウト材の排出口を備え、前記筒状部の削孔方向後端部から前記排出口に至るまでが中空であり、前記螺旋板の外周が前記筒状部の軸心から一定距離の位置にあり、
前記圧接部は、頂部が略平坦で削孔方向に延びた突条部を、外周の円周方向に複数有し、該複数の突条部を含めた外径が、前記螺旋板の外周で規定される前記スクリュー部の外径と等しく、1箇所若しくは削孔方向に間隔を空けた2箇所に設けられることを特徴とする削孔ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐震強化等を目的とした鉄道・道路等の盛土斜面の補強工法と、これに用いる削孔ツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地盤の補強を目的とした様々な工法が開発されている。切土斜面を対象とした工法として、例えば、ケーシングロッドとケーシングロッド内部の芯材との、夫々の先端にビットを装着した二重ビット構造のケーシングロッドを、ロータリーパーカッションドリルにより斜面に打ち込み削孔し、ケーシングロッド先端のビットと芯材先端のビットとの連結を解除して、孔内部にセメントミルクを充填、及び、孔内部にビットを装着した芯材を残置してケーシングロッドを引き抜き、ロックボルトアンカーを形成する方法(特許文献1参照)、ガイドシェルと充填機構と挿入機構とを備えた打設装置をガイドレール上に備えたロックボルト打設機により、ガイドシェルで所定深度の孔を穿孔した後、ガイドシェルを孔から引き抜きながら充填機構で孔内部にセメントミルクを充填し、挿入機構でロックボルトを挿入する方法(特許文献2参照)等がある。
【0003】
又、鉛直方向の地盤改良を目的とした工法として、中空管の貫入時には、成型ローラで側方へ掘削土を転圧して締固めて貫入孔を保持しながら中空管より大径の貫入孔を削孔し、中空管の引き抜き時には、中空管内に所定量の砂を投入し、圧縮空気を吹き込みながら中空管を所定高さまで引き抜くことにより中空管内の砂を排出して孔内に充填し、続いて再度所定高さまで貫入して、成型ローラで側方及び下方へ転圧を行うことにより砂杭の拡径と下方及び側方への圧縮締固めを行い、この中空管の引き抜きと再貫入を繰り返して中空管を段階的に引き抜いて行くことにより、所定径に拡径された締固め砂杭を造成する方法(特許文献3参照)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−184499号公報
【特許文献2】特開平10−266763号公報
【特許文献3】特開2004−116018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では大規模地震の発生に備え、線路構造物等を構成する盛土に対しても、耐震補強対策の必要性が高まっている。
しかしながら、上述したような補強工法を盛土の斜面に適用することを考慮すると、以下のような問題が懸念される。すなわち、特許文献1に記載の方法では、削孔水を含んだ排泥の処理設備が必要となり、削孔にロータリーパーカッションドリルを用いるため、施工時の騒音対策も必要となる。更に、盛土斜面は地盤が軟弱であるため、削孔水を多量に使用すると地盤に緩みが生じやすい。特に鉄道の盛土地盤は、比較的軟弱な土砂を主体としていることから、特許文献1に記載の方法により引き抜き耐力(所定の摩擦力)を確保するためには、アンカー径を大きくする必要があり、そのために削孔径を大きくすると施工性が低下してしまう。これらは、削孔の際に削孔水を使用する、特許文献2に記載の方法においても同様である。
【0006】
又、特許文献3に記載の方法は、鉛直方向の地盤改良を目的とした締固め砂杭を造成する方法であるため、盛土の斜面に適用するには問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、盛土斜面において、削孔残土の発生を抑止しながらも、周辺地盤を緩めることなく摩擦力が高いアンカー体を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)削孔ツールを用いて削孔した孔にグラウト材を充填し、芯材を挿入する盛土斜面の補強工法であって、前記削孔ツールを回転させながら盛土斜面に押し込むことで、掘削土砂を前記孔の内周に押し付けながら削孔し、この際、前記削孔ツールの後端にケーシングを継ぎ足すことで、所定の深度まで削孔する削孔工程と、前記削孔ツールを前記削孔工程での回転方向と同じ方向に回転させ、前記削孔ツールが備える排出口から前記グラウト材を所定圧で吐出し、該グラウト材の注入圧を確認しながら前記削孔ツールを徐々に引き抜くことで、前記孔を前記グラウト材で加圧充填した充填孔を形成する充填工程と、前記充填孔に前記芯材を挿入してアンカー体を形成する挿入工程とを含む盛土斜面の補強工法(請求項1)。
【0009】
本項に記載の盛土斜面の補強工法は、削孔ツールを用いて盛土斜面を削孔する削孔工程と、削孔した孔にグラウト材を充填する充填工程と、グラウト材を充填した孔に芯材を挿入する挿入工程とを含むものである。削孔工程では、削孔機等に取り付けた削孔ツールを、回転させながら盛土斜面に押し込むことで削孔する。この際、削孔ツールの先端側で発生した掘削土砂を、孔内で回転させた削孔ツールの外周部により、孔の内周に押し付ける。そして、削孔ツールの後端にケーシングを継ぎ足すことで、削孔ツールを徐々に深い位置に押し込み、設計値に応じた所定の深度まで削孔する。なお、本盛土斜面の補強工法では、削孔工程において削孔水は使用せず、削孔機にはバイブロ式削孔機やロータリーパーカッション式削孔機等が用いられる。
【0010】
充填工程では、削孔ツールが備える排出口よりグラウト材を所定圧で吐出しながら、削孔工程で削孔した孔の先端部から開口部まで削孔ツールを徐々に引き抜くことで、孔内にグラウト材を充填する。この際、削孔ツールは、削孔工程での回転方向と同じ方向に回転させながら引き抜き、孔内周の安定化を図る。又、グラウト材の吐出は、孔内のグラウト材の注入圧を確認しながら行う。このようにして、盛土斜面にグラウト材で加圧充填した充填孔を形成する。
又、挿入工程では、充填工程で形成した充填孔に、充填孔内のグラウト材が完全に固まる前に、設計値に応じた径及び長さを有する芯材を挿入する。芯材の挿入は、人力や削孔機等を用いて行い、削孔機にバイブロ式削孔機を用いている場合には、芯材に振動を加えながら挿入してもよい。そして、芯材を挿入後に、充填孔のグラウト材を養生し、盛土斜面にアンカー体を形成する。
【0011】
上述の如く施工により、本項に記載の盛土斜面の補強工法は、削孔により発生する掘削土砂が、孔内において削孔ツールにより孔の内周に押し付けられるため、孔周辺の地盤が締め固められると共に、削孔残土として孔の外部に排出されることがほとんどない。更に、削孔時に削孔水を使用しないため、削孔水により周辺地盤が緩まることがなく、削孔水を含んだ排泥処理が不要となる。又、削孔した孔内にグラウト材を加圧充填しているため、孔周辺の地盤が更に締め固められる。そして、孔周辺地盤の締め固めと、孔内へのグラウト材の加圧充填とにより、孔内周と硬化したグラウト材とに大きな摩擦力が確保される。従って、盛土斜面に対し、削孔残土の発生を抑止しながらも、周辺地盤を緩めることなく摩擦力が高いアンカー体を形成することとなる。更に、削孔機にバイブロ式削孔機を用いることとすれば、施工時の騒音を抑止するものとなる。
【0012】
(2)上記(1)項における、前記充填工程において、前記削孔ツールを所定の長さだけ引き抜いた後、前記所定の長さよりも短い長さだけ前記削孔ツールを再貫入することを繰り返して、前記充填孔を形成する盛土斜面の補強工法(請求項2)。
本項に記載の盛土斜面の補強工法は、充填工程において、削孔ツールの引き抜きと再貫入とを繰り返して、削孔ツールを段階的に引き抜いていくものである。削孔ツールの引き抜きの際には、削孔ツールの排出口よりグラウト材を所定圧で吐出しながら、所定の長さ分だけ引き抜くことで、削孔ツールの排出口よりも孔先端側の孔内部にグラウト材を加圧充填する。又、削孔ツールの再貫入の際には、グラウト材は吐出せずに、引き抜いた所定の長さよりも短い長さだけ再貫入することで、引き抜きの際に削孔ツールの排出口よりも孔先端側に加圧充填したグラウト材を、削孔ツールにより押圧する。これにより、孔内部に加圧充填されたグラウト材は、更に加圧されると共に径方向外側へ広がり、孔を拡径させる。従って、孔内のグラウト材の更なる加圧と、孔の拡径による更なる孔周辺地盤の締め固めとにより、孔内周と硬化したグラウト材とに更に大きな摩擦力が確保されるため、アンカー体の摩擦力をより高めることとなる。
【0013】
(3)上記(1)(2)項において、前記芯材の頭部に支圧板を取り付けると共に、隣接する前記アンカー体同士の前記芯材の頭部を鋼線で連結する連結工程を含む盛土斜面の補強工法(請求項3)。
本項に記載の盛土斜面の補強工法は、挿入工程で充填孔に挿入した芯材の頭部に支圧板を取り付け、更に、隣接するアンカー体同士の芯材の頭部を鋼線で連結する、連結工程を含むものである。支圧板には軽量の受圧板を用いることが好ましく、鋼線には高強度のPC鋼線等を用い、高張力で連結をする。そして、支圧板を取り付けることによって、各アンカー体により引き抜き方向の荷重を受ける斜面の範囲を拡大し、更に、鋼線で連結することによって、複数のアンカー体間で引き抜き方向の荷重を均等に分担することとなる。このため、部分的な抜け出しや小崩落等の盛土斜面の変形を、複数のアンカー体を形成した範囲全体にわたって抑止するものとなる。
【0014】
(4)上記(1)から(3)項において、前記グラウト材として、セメントミルク若しくは遅延剤を添加したモルタルを用いる盛土斜面の補強工法(請求項4)。
本項に記載の盛土斜面の補強工法は、削孔した孔内に充填するグラウト材として、セメントミルク、若しくは、遅延剤を添加したモルタルを用いるものである。セメントミルクを用いる場合には、ブリージングの発生を抑制するために、膨張剤や減水剤を添加することとしてもよい。又、遅延剤を添加したモルタルを用いる場合には、孔内からの逸走が抑制されると共に、遅延剤の添加により、孔内への充填中や、芯材の挿入時に完全に硬化することが防止され、施工性を高めることとなる。
【0015】
(5)上記(1)から(4)項において、前記削孔ツールとして、削孔方向先端に位置する掘削ビットと、外径が一様でない筒状部の外周に螺旋状の螺旋板を備えるスクリュー部と、該スクリュー部よりも削孔方向後端側に位置する円筒形の圧接部とを含み、前記スクリュー部は、前記筒状部の削孔方向先端側の外周にグラウト材の排出口を備え、前記筒状部の削孔方向後端部から前記排出口に至るまでが中空であり、前記螺旋板の外周が前記筒状部の軸心から一定距離の位置にあり、前記圧接部は、頂部が略平坦で削孔方向に延びた突条部を、外周の円周方向に複数有し、該複数の突条部を含めた外径が、前記螺旋板の外周で規定される前記スクリュー部の外径と等しく、1箇所若しくは削孔方向に間隔を空けた2箇所に設けられた削孔ツールを用いる盛土斜面の補強工法(請求項5)。
【0016】
本項に記載の盛土斜面の補強工法は、掘削ビット、スクリュー部、圧接部を含む削孔ツールを用いるものである。詳述すると、掘削ビットは、削孔ツールの最も先端(削孔方向先端)に位置し、削孔ツールが回転及び押し込まれることで、押し当たっている箇所の地盤を掘削する。掘削ビットには、必要に応じて様々な形状のものを用いることができる。
又、スクリュー部は、外径が一様でない筒状部と、この筒状部の外周に螺旋状に設けられた螺旋板とで構成されており、螺旋板の外周位置が、筒状部の軸心から一定距離になるように形成されている。従って、螺旋板の径方向の幅は、筒状部の外径が大きい部位では狭くなり、筒状部の外径が小さい部位では広くなる。又、筒状部の外周には、削孔方向先端側の螺旋板に干渉しないような位置に、グラウト材の排出口が形成されている。更に、筒状部は、削孔方向後端部から排出口に至るまでが中空に形成されており、筒状部の内部にグラウト材の注入路が確保されている。このグラウト材の注入路には、排出口の近傍位置に、グラウト材の逆流を防止するための逆止弁が設けられていることが好ましい。
【0017】
又、圧接部は、スクリュー部よりも削孔方向後端側の位置に、1箇所若しくは削孔方向に間隔を空けた2箇所に設けられている。圧接部は、複数の突条部が外周の円周方向に並んで形成された円筒形を成し、各突条部は、略平坦(平面ないし円筒面の一部)な頂部を有して削孔方向に延びて形成されている。このため、圧接部は、削孔方向の断面形状が歯車に似た形状となっており、又、複数の突条部を含めた外径が、螺旋板の外周で規定されるスクリュー部の外径と等しく形成されている。更に、圧接部、及び、圧接部が2箇所に設けられている場合の間の部位には、スクリュー部へと続くグラウト材の注入路が確保されている。以降、説明の便宜上、圧接部が2箇所に設けられている場合の、削孔方向先端側の圧接部を第1の圧接部、もう一方の圧接部を第2の圧接部とする。
【0018】
本項に記載の盛土斜面の補強工法は、上述の如く削孔ツールを用い、削孔工程において、孔の先端を掘削ビットにより掘削し、孔の内周をスクリュー部の螺旋板により削り取ることから、螺旋板の外周で規定されるスクリュー部の外径と、略等しい内径の孔が削孔される。そして、削孔により発生した掘削土砂は、回転したスクリュー部の螺旋板により、削孔方向後端側へ移動する。更に、スクリュー部の筒状部が、削孔方向後端側に向かって外径が広がる態様であれば、掘削土砂は螺旋板により径方向外側へも移動することとなる。これにより、掘削土砂は、やがて圧接部(第1の圧接部)の外周へと到達する。圧接部(第1の圧接部)は、複数の突条部を含めた外径が、スクリュー部の外径と等しいため、孔の内径とも略等しくなる。従って、圧接部(第1の圧接部)の外周に移動した掘削土砂は、削孔ツールが回転することによって、複数の突条部により孔内周に効率よく押し付けられることとなる。更に、圧接部が2箇所に設けられている場合には、第1の圧接部により孔内周に押し付けられなかった一部の掘削土砂は、削孔ツールが孔内を押し進むことによって、やがて第2の圧接部の外周へと到達する。第2の圧接部も、複数の突条部を含めた外径が、孔の内径と略等しくなるように形成されているため、掘削土砂は、第2の圧接部によっても、その複数の突条部により孔内周に効率よく押し付けられることとなる。
【0019】
ここで、削孔ツールの後端に継ぎ足すケーシングとして、複数の突条部を含めた圧接部の外径よりも、小さい外径のケーシングを用いることを考慮すると、盛土斜面を斜め下方向に削孔する本工法において、削孔ツール及び継ぎ足されたケーシングの荷重を、孔内周に接する面積が小さいスクリュー部の螺旋板を除いて、孔の内径と略同じ大きさの外径を有する圧接部で支えることになる。このため、圧接部が1箇所のみに設けられている場合には、削孔ツールにケーシングを継ぎ足し、削孔深度が深くなるに従い、削孔ツール及びケーシングの荷重により、圧接部とケーシングとの外径の差に応じた分だけ、削孔ツールは徐々に鉛直下方向に削孔方向がズレていく傾向がある。一方、削孔方向に間隔を空けた2箇所に、第1の圧接部と第2の圧接部とが設けられた削孔ツールを用いる場合には、削孔ツール及びケーシングの荷重を、第1及び第2の圧接部の2箇所で支えるため、削孔方向の直進性が確保されることとなる。
【0020】
更に、充填工程において、削孔ツールは回転しながら引き抜かれるため、圧接部に設けられた複数の突条部により、孔内周に螺旋状の凹凸部が形成される。これにより、螺旋状の凹凸部が形成された孔内周と、孔内周に加圧充填されて硬化したグラウト材とに、更に大きな摩擦力が確保されるため、盛土斜面に対し、より摩擦力が高いアンカー体を形成することとなる。
【0021】
(6)上記(1)から(5)項において、前記芯材にスペーサを取り付けた盛土斜面の補強工法。
本項に記載の盛土斜面の補強工法は、挿入工程で充填孔に挿入する芯材に、スペーサを取り付けることにより、充填孔に挿入された芯材と、孔内周との間隔を確保し、挿入時の施工性を高めると共に、芯材の片寄りを防止するものである。
【0022】
(7)盛土斜面の補強工法に用いられる削孔ツールであって、削孔方向先端に位置する掘削ビットと、外径が一様でない筒状部の外周に螺旋状の螺旋板を備えるスクリュー部と、該スクリュー部よりも削孔方向後端側に位置する円筒形の圧接部とを含み、前記スクリュー部は、前記筒状部の削孔方向先端側の外周にグラウト材の排出口を備え、前記筒状部の削孔方向後端部から前記排出口に至るまでが中空であり、前記螺旋板の外周が前記筒状部の軸心から一定距離の位置にあり、前記圧接部は、頂部が略平坦で削孔方向に延びた突条部を、外周の円周方向に複数有し、該複数の突条部を含めた外径が、前記螺旋板の外周で規定される前記スクリュー部の外径と等しく、1箇所若しくは削孔方向に間隔を空けた2箇所に設けられる削孔ツール(請求項6)。
本項に記載の削孔ツールは、上記(5)項に記載の盛土斜面の補強工法に用いられることで、上記(5)項に対応する同等の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明はこのように構成したので、盛土斜面において、削孔残土の発生を抑止しながらも、周辺地盤を緩めることなく摩擦力が高いアンカー体を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係る削孔ツールの構成を示す模式図である。
図2図1に示した削孔ツールを用いた、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法を説明するための模式図であり、施工準備の状態を示している。
図3】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法を説明するための模式図であり、(a)は削孔している状態を示し、(b)は(a)の部分的な拡大図である。
図4】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法を説明するための模式図であり、(a)は引き抜きの状態を示し、(b)はグラウト材の充填孔を形成した状態を示している。
図5】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法を説明するための模式図であり、(a)は芯材挿入の状態を示し、(b)は耐力測定の状態を示している。
図6】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法を説明するための模式図であり、芯材の頭部を鋼線で結線した状態を示している。
図7】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法における鋼線での結線の一例を、盛土斜面に対して直交する方向から示す模式図である。
図8】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法の、鉛直下方向に削孔した試験施工のデータを示しており、(a)は各工程の所要時間を示す図表、(b)は削孔工程における深度と時間の関係を示すグラフである。
図9】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法の、鉛直下方向に削孔した試験施工のデータを示しており、(a)は予め測定した深度とN値の関係を示すグラフ、(b)は削孔工程における深度と削孔速度の関係を示すグラフ、(c)は削孔工程における深度と削孔ツールの回転圧力及び押込圧力の関係を示すグラフである。
図10】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法の、水平から下方向に15°傾けて削孔した試験施工のデータを示しており、(a)は各工程の所要時間を示す図表、(b)は削孔工程における深度と時間の関係を示すグラフである。
図11】本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法の、水平から下方向に15°傾けて削孔した試験施工のデータを示しており、(a)は予め測定した深度とN値の関係を示すグラフ、(b)は削孔工程における深度と削孔速度の関係を示すグラフ、(c)は削孔工程における深度と削孔ツールの回転圧力及び押込圧力の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る削孔ツール10を模式的に示している。図示のように、削孔ツール10は、削孔方向の先端側となる図中下側から順に、掘削ビット12、スクリュー部14、第1の圧接部20A、中間部28、第2の圧接部20Bという配置で大略構成されている。掘削ビット12には、図1の例では、4枚羽根のクロス型のビットが用いられているが、用途に応じて他の形状のビットを用いることもできる。
【0026】
スクリュー部14は、円柱状の下部18aと逆円錐台状の上部18bとを有する筒状部18の外周に、下方向に左回りの螺旋状の螺旋板16を備えた構成となっている。そして、螺旋板16は、その外周の位置が、筒状部18の軸心からの距離が一定になるように形成されているため、逆円錐台状の上部18bの外周に位置する螺旋板16は、図中上方向に向かうに従い、径方向の幅が狭くなっている。このように形成された螺旋板16の外周の位置で、スクリュー部14の外径D1が規定されている。又、スクリュー部14は、筒状部18の下部18aの外周から、削孔方向の先端側となる図中下側に向かって斜めに突出した、グラウト材の排出口22を備えており、筒状部18の内部には、この排出口22に通じるグラウト材の注入路24が設けられている。そして、注入路24内の排出口22近傍には、グラウト材の逆流を防止するための逆止弁が設けられている。
【0027】
第1の圧接部20Aと第2の圧接部20Bとは、スクリュー部14よりも削孔方向の後端側である図中上側に、中間部28を挟んで設けられており、後述する突条部26を除いた第1及び第2の圧接部20A及び20Bと、中間部28とは、円柱状を成している。第1及び第2の圧接部20A及び20Bと中間部28の内部には、筒状部18の注入路24に連通する、グラウト材の注入路24が設けられている。第1及び第2の圧接部20A及び20Bは、長方形の板状に突出した複数の突条部26を、円周方向に等間隔に備えており、この突条部26を含めて、第1及び第2の圧接部20A及び20Bの外径D2が規定されている。そして、削孔ツール10は、スクリュー部14の外径D1と、第1及び第2の圧接部20A及び20Bの外径D2とが、等しくなるように形成されている。なお、図1の例では、第1の圧接部20A及び第2の圧接部20Bとして2箇所に圧接部が設けられているが、本発明の実施の形態に係る削孔ツール10は、第1の圧接部20Aの1箇所にのみ圧接部が設けられる構成としてもよい。
【0028】
次に、図2図6を参照して、図1に示した削孔ツール10を用いて行う、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法について説明する。
まず、図2に示すように、ケーシング30を削孔方向の後端側(図中右上側)に接続した削孔ツール10を、削孔機32にセットする。ケーシング30は、内部に貫通孔36(図4(a)参照)が設けられた筒状であり、ケーシング30と削孔ツール10とは、ケーシング30の貫通孔と削孔ツール10の注入路24(図1参照)とが連通するように接続する。そして、補強対象である盛土斜面40の目的とする削孔位置に合わせて、削孔機32の位置や削孔ツール10の角度等を調整する。しかる後、削孔ツール10を所定の方向に回転させながら、盛土斜面40の削孔位置に押し込み、削孔を開始する。この際、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法では、削孔工程に削孔水を使用しない。又、削孔ツール10の回転方向は、削孔ツール10の形状により規定され、図1に示した削孔ツール10の場合には、削孔方向に向かって左回り(反時計回り)に回転させる。なお、図2図5の例では、削孔機32にバイブロ式削孔機を用いており、削孔ツール10に必要に応じて振動を伝達しているが、ロータリーパーカッション式削孔機を用いて施工を行ってもよい。
【0029】
そして、図3(a)に示すように、削孔ツール10の削孔方向後端側にケーシング30を継ぎ足しながら、所定の深度まで削孔していく。ここで、図3(a)の符号Aで示す箇所を拡大した図3(b)を参照し、削孔工程における削孔ツール10周辺の状態を詳しく説明すると、削孔方向の先端に位置する掘削ビット12が、回転しながら押し込まれることにより、孔42先端の地盤を掘削する。又、スクリュー部14が回転することで、螺旋板16によりスクリュー部14周辺の地盤が削り取られ、孔42がスクリュー部14の外径D1(図1参照)と略同じ大きさに拡径される。そして、このように発生した掘削土砂は、左回りに回転しているスクリュー部14の螺旋板16によって、掘削方向後端側及び径方向外側へ運搬され、更に、削孔ツール10が徐々に掘り進むことにより、第1の圧接部20Aの外周まで到達する。到達した掘削土砂は、孔42の内径と略同じ大きさの外径を有する第1の圧接部20Aが回転していることで、第1の圧接部20Aの複数の突条部26により、第1の圧接部20A周辺の孔42の内周へ練り付けられる。
【0030】
更に、第1の圧接部20Aにより練り付けられなかった一部の掘削土砂は、削孔ツール10が徐々に掘り進むことにより、第2の圧接部20Bの外周まで到達する。到達した掘削土砂は、孔42の内径と略同じ大きさの外径を有する第2の圧接部20Bが回転していることで、第2の圧接部20Bの複数の突条部26により、第2の圧接部20B周辺の孔42の内周へ練り付けられる。このように、掘削土砂を孔42の内周へ練り付けながら、所定の深度まで削孔する。なお、上述した削孔工程の際に、削孔機32にバイブロ式削孔機を用いている場合は、ケーシング30を通じて削孔ツール10に振動を加えてもよく、削孔機32にロータリーパーカッション式削孔機を用いている場合は、ケーシング30を通じて削孔ツール10に打撃を加えてもよい。
【0031】
所定の深度まで削孔した後、図4(a)に示すように、孔42にグラウト材50を充填しながら、削孔ツール10及びケーシング30の引き抜きを行う。この際、引き抜いた長さに応じて、削孔ツール10に接続したケーシング30を取り外していく。グラウト材50は、削孔機32に取り付けたスイベル34から注入し、ケーシング30の貫通孔36、削孔ツール10の注入路24を介して、削孔ツール10の排出口22から所定圧で吐出し、排出口22よりも削孔方向先端側の孔42内に充填する。削孔ツール10の注入路24内には、排出口22近傍に逆止弁が設けられているため、加圧充填したグラウト材50が逆流することはない。グラウト材50には、例えば、モルタルやセメントミルク、或いは、それらに膨張剤や遅延剤を添加したものを用いる。又、削孔ツール10の引き抜きは、削孔ツール10を削孔工程での回転方向と同じ方向(図の例では左回り)に回転させながら、所定の長さ(例えば、1m程度)だけ引き抜き、グラウト材50の注入圧が所定の圧力に達したことを確認した後、再度所定の長さだけ引き抜くことを繰返して行う。この際、削孔ツール10の再度の引き抜きの前に、削孔ツール10を所定の長さよりも短い長さ(例えば、0.5m程度)だけ再貫入し、グラウト材50の注入圧を更に高めることとしてもよい。
【0032】
そして、グラウト材50の充填を、削孔ツール10が孔42から引き抜かれるまで行うことで、図4(b)に示すように、盛土斜面40にグラウト材50で充填した充填孔44を形成する。なお、充填孔44内のグラウト材50は、この時点では完全には固まっていない状態である。
続いて、図5(a)に示すように、盛土斜面40に形成した充填孔44内に、スペーサ62を取り付けた芯材60を挿入する。芯材60は、充填孔44の深さに応じた必要な長さになるように、カプラーで接続して継ぎ足しながら挿入する。この際、所定の長さまでは人力により挿入し、以降は、芯材60に後述する支圧板を取り付けるために必要な長さだけ盛土斜面40から突出した状態となるまで、削孔機32等により振動を加えながら挿入する。芯材60には、例えば、D19〜D38(JISG 3112準拠)の全ねじ棒鋼や異形棒鋼、或いは、これらにメッキ処理を施したもの等を用いる。
【0033】
そして、図5(b)に示すように、グラウト材50で充填した充填孔44に、必要な長さの芯材60を挿入し、アンカー体70を形成する。なお、図示の例では、芯材60を、充填孔44の略軸心位置に挿入しているが、人力による挿入のため、芯材60に取り付けたスペーサ62が、充填孔44の内周に接するような位置に挿入する場合がある。しかしながら、この場合においても、芯材60と充填孔44の内周とに、スペーサ62の大きさに応じた距離が確保されるため、アンカー体70の品質には何ら問題はない。本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法では、一例として、径が170mm〜230mm、長さが10mまでのアンカー体70を形成することができる。
【0034】
続いて、アンカー体70の芯材60の頭部(削孔方向の後端部)に、支圧板64を取り付ける。支圧板64には、例えば、軽量受圧板等を使用する。
そして、充填孔44内のグラウト材50が硬化した後、支圧板64から突出した芯材60の頭部に、耐力測定装置80に接続した耐力測定ツール82を取り付け、盛土斜面40に対するアンカー体70の引き抜き方向(図中右上方向)の耐力測定を行う。この耐力測定により、アンカー体70の引き抜き方向の耐力が設計値を満たしていることを確認し、測定終了後、芯材60の頭部から耐力測定ツール82を取り外す。
【0035】
そして、上述したような工法により、図6に示すように、盛土斜面40に必要に応じた数の複数のアンカー体70を形成する。次に、盛土斜面40に形成した複数のアンカー体70の、隣接するアンカー体70同士の芯材60の頭部を、鋼線66により張力をかけて連結する。鋼線66には、例えば、高強度のPC鋼線等を用いる。鋼線66による連結は、図7に示すように、図中左右方向及び上下方向に隣接するアンカー体70同士を連結し、更に、斜め方向に位置するアンカー体70同士を連結することとしてもよい。これにより、盛土斜面40に、鋼線66により一体化した複数のアンカー体70を形成する。
【0036】
続いて、図8図11を参照し、本発明者らが実施した、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法の試験施工について説明する。試験施工には、外径が180mmの削孔ツール10を用いており、図8及び図9は、鉛直下方向へ削孔した試験施工の測定データ、図10及び図11は、水平から下方向に15°傾けて削孔した試験施工の測定データを示している。試験施工にあたり、施工対象となる地山の地層構成やN値等は予め把握しており、これらの事前把握データに基づいて施工を実施した。なお、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法を用いた実際の施工の際にも、ボーリング調査等により事前に施工対象の盛土の地層構成等を調査し、この調査結果に基づいて設計・施工を行う。
【0037】
まず、図8及び図9を参照し、鉛直下方向に削孔した試験施工について説明する。削孔した地山は、鉛直下方向への深度約4.5m〜8mが砂質土層、深度10mまでの他の層が粘質土層となっており、図8(b)のグラフ、及び、図9の各グラフの網掛けで示す領域の深度が、砂質土層であることを示している。なお、削孔ツール10については図1を、各工程については図2図5(a)を適宜参照することとする。
図8(a)は、試験施工で行った各工程の所要時間を施工順に示したものである。図2で示したような準備据付工程では、削孔機32としてバイブロ式削孔機(株式会社ワイビーエム製ECO−7V)を設置し、削孔ツール10等の準備を行い、17分を要した。
又、図3に示した削孔工程では19分を要しているが、このうちの6分は、削孔ツール10に長さ約1mのケーシング30の継ぎ足しを行った時間であり、実削孔時間は13分である。この試験施工における削孔工程については、後で詳しく説明する。
【0038】
次に、13分を要し、グラウト材50の注入段取を行った。試験施工では、グラウト材50として、水対セメント(早強ポルトランドセメント)比が50%のセメントミルクに減水剤(レオビルド4000)を添加したものを用いている。
続いて、図4で示したような、グラウト材50を注入しながらの引き抜き工程では、30分を要している。この際、オペレーターが0.3MPAの注入圧を確認しながら、414Lのグラウト材50の注入を行った。
最後に、16分を要して図5(a)に示したような芯材60の挿入を行い、計95分で試験施工を行った。なお、試験施工では、芯材60を挿入した後の、芯材60の頭部への支圧版64の取り付けや耐力試験(図5(b)参照)、鋼線66による連結(図6参照)等は行っていない。
【0039】
ここで、図8(b)及び図9を参照して、鉛直下方向に削孔した試験施工の削孔工程について詳しく説明する。
図8(b)は、削孔工程時の削孔深度と時間の関係を示した削孔サイクルのグラフである。図示によれば、時間約19分で深度約7.2mまで削孔しており、深度に変化がない横ばいの箇所は、削孔ツール10にケーシング30の継ぎ足しを行った時間帯を示している。
次に、図9(a)は、予め測定した削孔地山のN値を示すグラフ、図9(b)は、深度毎の削孔速度を示すグラフ、図9(c)は、深度毎の削孔ツール10の回転圧力及び押込圧力を示すグラフである。削孔速度を確認すると、深度4.5mまでの粘質土層よりも、深度4.5m以降の砂質土層の方が、削孔速度が遅くなっていることが分かる。これは、削孔した地山のN値が、粘質土層よりも砂質土層の方がやや高く、更に、一般的に砂質土層を削孔していくと、砂質土が締め固められることによって削孔速度が落ちるためである。
【0040】
又、削孔ツール10の回転圧力及び押込圧力は、図9(c)に示したグラフから、砂質土層手前の深度4.0m〜4.5mにおいて、回転圧力にはあまり変化がないものの、押込圧力が上昇していることが分かる。これは、削孔機32を操作しているオペレータが、砂質土層に達する削孔深度において、砂質土層に対して適切な回転圧力及び押込圧力で削孔ツール10が削孔するように、調整を行ったことを示している。このように、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法は、予め把握している削孔地山のN値や地層構成に基づいて、削孔機32のオペレータが削孔ツール10の回転圧力や押込圧力を適切に調整し、削孔するものである。
【0041】
次に、図10及び図11を参照し、水平から下方向に15°傾けて削孔した試験施工について説明する。削孔した地山は、削孔した深度までは全て粘質土層であった。
図10(a)は、試験施工で行った各工程の所要時間を施工順に示したものである。図2で示したような準備据付工程では、52分を要しているが、これは、初めに削孔した位置の土被りが薄く削孔不可となり、削孔ツール10を一度引き抜いて削孔位置を変えた時間が含まれているためである。なお、この試験施工でも、削孔機32としてバイブロ式削孔機(ECO−7V)を使用している。
又、図3に示した削孔工程では35分を要しているが、このうちの11分は、削孔ツール10に長さ約1mのケーシング30の継ぎ足しを行った時間であり、実削孔時間は24分である。この試験施工における削孔工程については、後で詳しく説明する。
【0042】
次に、グラウト材50の注入段取工程で12分を要している。この試験施工でも、グラウト材50として、水対セメント(早強ポルトランドセメント)比が50%のセメントミルクに減水剤(レオビルド4000)を添加したものを用いている。
続いて、図4で示したような、グラウト材50を注入しながらの引き抜き工程では、66分を要している。この際、オペレーターが0.2MPAの注入圧を確認しながら、334Lのグラウト材50の注入を行った。
最後に、10分を要して図5(a)に示したような芯材60の挿入を行い、計175分で試験施工を行った。なお、この試験施工でも、芯材60を挿入した後の、芯材60の頭部への支圧版64の取り付けや耐力試験(図5(b)参照)、鋼線66による連結(図6参照)等は行っていない。
【0043】
ここで、図10(b)及び図11を参照して、水平から下方向に15°傾けて削孔した試験施工の削孔工程について詳しく説明する。
図10(b)は、削孔工程時の削孔深度と時間の関係を示した削孔サイクルのグラフである。図示によれば、時間約35分で深度約8.9mまで削孔しており、深度に変化がない横ばいの箇所は、削孔ツール10にケーシング30の継ぎ足しを行った時間帯を示している。
【0044】
次に、図11(a)は、予め測定した削孔地山のN値を示すグラフ、図11(b)は、深度毎の削孔速度を示すグラフ、図11(c)は、深度毎の削孔ツール10の回転圧力及び押込圧力を示すグラフである。削孔速度を確認すると、深度0.5mまでは速度が遅く、以降は、徐々に速度が上昇しながらも、速度が大きく変化するような箇所がないことが分かる。又、削孔ツール10の回転圧力及び押込圧力は、深度2.5mまでは、押込圧力が略一定で回転圧力が上下動しており、深度2.5m〜7.0mでは、押込圧力と回転圧力が共に上下動しており、深度7.0m以降は、押込圧力と回転圧力が共に略一定となっていることが分かる。このように、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法は、目標とする所定の削孔速度になるように、削孔機32のオペレータが削孔ツール10の回転圧力や押込圧力を適切に調整しながら、削孔するものである。
【0045】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る削孔ツール10は、図1に示すように、掘削ビット12、スクリュー部14、圧接部20(第1及び第2の圧接部20A及び20B)を含む削孔ツールである。詳述すると、掘削ビット12は、削孔ツール10の最も先端(図中下方向先端)に位置し、削孔ツール10が回転及び押し込まれることで、押し当たっている箇所の地盤を掘削する。掘削ビット12には、必要に応じて様々な形状のものを用いることができる。
【0046】
又、スクリュー部14は、図1の例では、円柱状の下部18aと逆円錐台状の上部18bとから成る、外径が一様でない筒状部18と、この筒状部18の外周に螺旋状に設けられた螺旋板16とで構成されており、螺旋板16の外周位置が、筒状部18の軸心から一定距離になるように形成されている。従って、螺旋板16の径方向の幅は、筒状部18の外径が大きい部位では狭くなり、筒状部18の外径が小さい部位では広くなる。又、筒状部18の外周には、削孔方向先端側(図中下側)の螺旋板16に干渉しないような位置に、グラウト材50(図4参照)の排出口22が形成されている。更に、筒状部18は、削孔方向後端部(図中上端部)から排出口22に至るまでが中空に形成されており、筒状部18の内部にグラウト材50の注入路24が確保されている。このグラウト材50の注入路24には、排出口22の近傍位置に、グラウト材50の逆流を防止するための逆止弁が設けられている。
【0047】
又、圧接部20は、スクリュー部14よりも削孔方向後端側(図中上側)の位置に、削孔方向に間隔を空けて第1の圧接部20Aと第2の圧接部20Bとが設けられている。第1及び第2の圧接部20A及び20Bは、複数の突条部26が外周の円周方向に並んで形成された円筒形を成し、各突条部26は、略平坦(平面ないし円筒面の一部)な頂部を有して削孔方向に延びて形成されている。このため、第1及び第2の圧接部20A及び20Bは、削孔方向の断面形状が歯車に似た形状となっており、又、複数の突条部26を含めた外径D2が、螺旋板16の外周で規定されるスクリュー部14の外径D1と等しく形成されている。更に、第1及び第2の圧接部20A及び20Bと、これらの間の中間部28には、スクリュー部14へと続くグラウト材50の注入路24が確保されている。
【0048】
そして、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法は、上述したような削孔ツール10を用いて、盛土斜面を削孔する削孔工程と、削孔した孔にグラウト材を充填する充填工程と、グラウト材を充填した孔に芯材を挿入する挿入工程とを含むものである。削孔工程では、図3(a)に示すように、削孔機32に取り付けた削孔ツール10を、図の例では左方向に回転させながら盛土斜面40に押し込むことで削孔する。この際、削孔ツール10の先端側で発生した掘削土砂を、孔42内で回転させた削孔ツール10の外周部により、孔42の内周に押し付ける。そして、削孔ツール10の後端にケーシング30を継ぎ足すことで、削孔ツール10を徐々に深い位置に押し込み、設計値に応じた所定の深度まで削孔する。なお、本盛土斜面の補強工法では、削孔工程において削孔水は使用せず、削孔機32にはバイブロ式削孔機やロータリーパーカッション式削孔機等が用いられる。
【0049】
より詳しく説明すると、図3(b)に示すように、削孔工程において、孔42の先端を掘削ビット12により掘削し、孔42の内周をスクリュー部14の螺旋板16により削り取ることから、螺旋板16の外周で規定されるスクリュー部14の外径D1(図1参照)と、略等しい内径の孔42が削孔される。そして、削孔により発生した掘削土砂は、回転したスクリュー部14の螺旋板16により、削孔方向後端側(図中右上側)へ移動する。更に、スクリュー部14の筒状部18が、削孔方向後端側に向かって外径が広がる逆円錐台状の上部18b(図1参照)を有しているため、掘削土砂は螺旋板16により径方向外側へも移動することとなる。これにより、掘削土砂は、やがて第1の圧接部20Aの外周へと到達する。第1の圧接部20Aは、複数の突条部26を含めた外径D2(図1参照)が、スクリュー部14の外径D1と等しいため、孔42の内径とも略等しくなる。従って、第1の圧接部20Aの外周に移動した掘削土砂を、削孔ツール10が回転することによって、複数の突条部26により孔42内周に効率よく押し付けることができる。更に、第1の圧接部20Aにより孔42内周に押し付けられなかった一部の掘削土砂は、削孔ツール10が孔42内を押し進むことによって、やがて第2の圧接部20Bの外周へと到達する。第2の圧接部20Bも、複数の突条部26を含めた外径D2が、孔42の内径と略等しくなるように形成されているため、掘削土砂を、第2の圧接部20Bによっても、その複数の突条部26により孔42内周に効率よく押し付けることができる。
【0050】
ここで、削孔ツール10の後端に継ぎ足しているケーシング30は、図3の例では、複数の突条部26を含めた各圧接部の外径D2よりも、小さい外径のケーシング30を用いている。このため、盛土斜面40を斜め左下方向に削孔している図3の例において、削孔ツール10及び継ぎ足されたケーシング30の荷重を、孔42内周に接する面積が小さいスクリュー部14の螺旋板16を除いて、孔42の内径と略同じ大きさの外径D2を有する圧接部20で支えることになる。このため、圧接部20が1箇所のみに設けられている場合には、削孔ツール10にケーシング30を継ぎ足し、削孔深度が深くなるに従い、削孔ツール10及びケーシング30の荷重により、圧接部20とケーシング30との外径の差に応じた分だけ、削孔ツール10は徐々に鉛直下方向に削孔方向がズレていく傾向がある。一方、図3の例のように、削孔方向に間隔を空けた2箇所に、第1の圧接部20Aと第2の圧接部20Bとが設けられた削孔ツール10を用いることとすれば、削孔ツール10及びケーシング30の荷重を、第1及び第2の圧接部20A及び20Bの2箇所で支えるため、削孔方向の直進性を確保することが可能となる。
【0051】
又、図4に示すように、充填工程では、削孔ツール10が備える排出口22よりグラウト材50を所定圧で吐出しながら、削孔工程で削孔した孔42の先端部から開口部まで削孔ツール10を徐々に引き抜くことで、孔42内にグラウト材50を充填する。この際、削孔ツール10は、削孔工程での回転方向と同じ方向に回転(左回転)させながら引き抜き、孔42内周の安定化を図る。又、グラウト材50の吐出は、孔42内のグラウト材50の注入圧を確認しながら行う。このようにして、盛土斜面40にグラウト材50で加圧充填した充填孔44を形成する。
【0052】
又、図5に示すように、挿入工程では、充填工程で形成した充填孔44に、充填孔44内のグラウト材50が完全に固まる前に、設計値に応じた径及び長さを有する芯材60を挿入する。芯材60の挿入は、人力や削孔機32等を用いて行い、図5の例のように、削孔機32にバイブロ式削孔機を用いている場合には、芯材60に振動を加えながら挿入してもよい。ここで、図5の例のように、挿入工程で充填孔44に挿入する芯材60に、スペーサ62を取り付けることとすれば、充填孔44に挿入された芯材60と、孔42内周との間隔が確保できるため、挿入時の施工性を高めると共に、芯材60の片寄りを防止することができる。
そして、芯材60を挿入後に、充填孔44のグラウト材50を養生し、盛土斜面40にアンカー体70を形成する。
【0053】
上述の如く施工により、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法は、削孔により発生する掘削土砂が、孔42内において削孔ツール10により孔42の内周に押し付けられるため、孔42周辺の地盤が締め固められると共に、削孔残土として孔42の外部に排出されることがほとんどない。更に、削孔時に削孔水を使用しないため、削孔水により周辺地盤が緩まることがなく、削孔水を含んだ排泥処理が不要となる。又、削孔した孔42内にグラウト材50を加圧充填しているため、孔42周辺の地盤を更に締め固めることができる。そして、孔42周辺地盤の締め固めと、孔42内へのグラウト材50の加圧充填とにより、孔42内周と硬化したグラウト材50とに大きな摩擦力が確保できる。従って、盛土斜面40に対し、削孔残土の発生を抑止しながらも、周辺地盤を緩めることなく摩擦力が高いアンカー体70を形成することが可能となる。更に、図2図5の例のように、削孔機32にバイブロ式削孔機を用いることとすれば、施工時の騒音を抑止することができる。
【0054】
又、図4に示すような充填工程において、削孔ツール10は回転しながら引き抜かれるため、第1及び第2の圧接部20A及び20Bに設けられた複数の突条部26により、孔42内周に螺旋状の凹凸部が形成される。これにより、螺旋状の凹凸部が形成された孔42内周と、孔42内周に加圧充填されて硬化したグラウト材50とに、更に大きな摩擦力が確保できるため、盛土斜面40に対し、より摩擦力が高いアンカー体70を形成することができる。
【0055】
更に、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法は、充填工程において、削孔ツール10の引き抜きと再貫入とを繰り返して、削孔ツール10を段階的に引き抜いてもよいものである。この場合、削孔ツール10の引き抜きの際には、削孔ツール10の排出口22よりグラウト材50を所定圧で吐出しながら、所定の長さ分(例えば、1.0m程度)だけ引き抜くことで、削孔ツール10の排出口22よりも孔先端側の孔42内部にグラウト材50を加圧充填する。又、削孔ツール10の再貫入の際には、グラウト材50は吐出せずに、引き抜いた所定の長さよりも短い長さ(例えば、0.5m程度)だけ再貫入することで、引き抜きの際に削孔ツール10の排出口22よりも孔先端側に加圧充填したグラウト材50を、削孔ツール10により押圧する。これにより、孔42内部に加圧充填されたグラウト材50は、更に加圧されると共に径方向外側へ広がり、孔42を拡径させる。従って、孔42内のグラウト材50の更なる加圧と、孔42の拡径による更なる孔42周辺地盤の締め固めとにより、孔42内周と硬化したグラウト材50とに更に大きな摩擦力が確保できるため、アンカー体70の摩擦力をより高めることができる。
【0056】
そして、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法は、削孔した孔42内に充填するグラウト材50として、膨張剤を添加したセメントミルクを用いることとすれば、膨張剤を添加しているため、ブリージングを防ぎ、アンカー体70の品質を高めることができる。又、削孔径が比較的大きい場合(例えば、Φ230mm)には、遅延剤を添加したモルタルを用いれば、孔42内からの逸走を抑制すると共に、モルタルに遅延剤を添加しているため、孔42内への充填中や、芯材60の挿入時に完全に硬化することが防止され、施工性を高めることができる。
【0057】
又、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法は、図5(b)に示すように、挿入工程で充填孔44に挿入した芯材60の頭部に支圧板64を取り付け、更に、図6及び図7に示すように、隣接するアンカー体70同士の芯材60の頭部を鋼線66で連結する、連結工程を含むものである。支圧板64には軽量の受圧板を用いることが好ましく、鋼線66には高強度のPC鋼線等を用い、高張力で連結をする。そして、支圧板64を取り付けることによって、各アンカー体70により引き抜き方向の荷重を受ける斜面の範囲を拡大し、更に、鋼線66で連結することによって、複数のアンカー体70間で引き抜き方向の荷重を均等に分担することができる。このため、部分的な抜け出しや小崩落等の盛土斜面40の変形を、複数のアンカー体70を形成した範囲全体にわたって抑止することが可能となる。
【0058】
又、本発明の実施の形態に係る盛土斜面の補強工法は、削孔工程において、図9の各グラフから確認できるように、予め把握している盛土斜面40のN値や地層構成に基づいて、削孔機32のオペレータが削孔ツール10の回転圧力や押込圧力を調整し、削孔するものである。更に、図11の各グラフから確認できるように、目標とする所定の削孔速度になるように、削孔機32のオペレータが削孔ツール10の回転圧力や押込圧力を調整しながら、削孔するものである。これにより、事前に調査したデータや設計値に基づいた、適切な施工が可能となる。
【符号の説明】
【0059】
10:削孔ツール、12:掘削ビット、14:スクリュー部、16:螺旋板、18:筒状部、20A:第1の圧接部、20B:第2の圧接部、22:排出口、26:突条部、30:ケーシング、40:盛土斜面、42:孔、44:充填孔、50:グラウト材、60:芯材、64:支圧板、66:鋼線、70:アンカー体、D1:スクリュー部の外径、D2:圧接部の外径
図1
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