特許第5950857号(P5950857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950857
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】自動車用電子回路の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   F28D15/02 G
   F28D15/02 L
   F28D15/02 101L
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-65231(P2013-65231)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-190585(P2014-190585A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 邦弘
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和輝
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−505416(JP,A)
【文献】 特開2001−267773(JP,A)
【文献】 特開2012−138439(JP,A)
【文献】 特開2013−024456(JP,A)
【文献】 特開2005−321287(JP,A)
【文献】 特開平04−107900(JP,A)
【文献】 特開平11−008485(JP,A)
【文献】 特開2010−177309(JP,A)
【文献】 特開平11−241893(JP,A)
【文献】 特開2005−214565(JP,A)
【文献】 実開昭59−104590(JP,U)
【文献】 特開2011−258831(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102157468(CN,A)
【文献】 特表2008−535278(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0273167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H01L 23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路の一部を構成するパワー半導体素子が固着された受熱ブロックと、該受熱ブロックに接続され、複数枚の放熱フィンが所定の間隔で取り付けられ且つループ状に曲成されたヒートパイプとを有する本体と、
該本体を収容するケースと、を備えた自動車用電子回路の冷却装置であって、
前記本体の前記ヒートパイプの上方には、該ヒートパイプの全体を覆う傘状カバーが配置されると共に、該傘状カバーの前記ヒートパイプと離間する側に排気筒が設けられており、
前記ケースは、台板と、該台板上に固定される箱状の上ケース部とを備え、
前記本体は、該台板上の第1取付部に支持され、前記電子回路が設けられた基板が設けられた支持板を有し、
前記傘状カバーは、前記台板上の前記ヒートパイプの周囲に設けられた第2取付部に支持されていることを特徴とする自動車用電子回路の冷却装置。
【請求項2】
前記ループ状のヒートパイプにおいて、そのヒートパイプの前記受熱ブロックと接続される発熱部が、前記ヒートパイプの前記受熱ブロックと離間する放熱部より下方となっている請求項の自動車用電子回路の冷却装置。
【請求項3】
前記ループ状のヒートパイプにおいて、そのヒートパイプの前記受熱ブロックと接続される発熱部が、前記ヒートパイプの前記受熱ブロックと離間する放熱部より下方となっており、
前記支持板は水平に取り付けられ、
前記ループ状のヒートパイプは、前記支持板に対して傾斜させられている請求項の自動車用電子回路の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路の一部を構成するパワー半導体素子をヒートパイプにより冷却する自動車用電子回路の冷却装置に関し、特にそのパワー半導体素子を冷却する冷却性能を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
充電器やインバータなどの自動車用電子回路の一部には、比較的大きな電流を制御するためのパワー半導体素子が含まれており、そのパワー半導体素子を冷却する冷却装置が必要とされる。その冷却装置の一種に、 (a) そのパワー半導体素子が固着された受熱ブロックと、その受熱ブロックに接続され複数枚の放熱フィンが所定の間隔で取り付けられたヒートパイプとを有する本体と、(b) その本体を収容するケースとを備える形式のものがある。例えは、特許文献1および特許文献2に示す電子回路の冷却装置がそれである。
【0003】
特許文献1の電子回路の冷却装置では、8本以上の複数本のヒートパイプを並列に受熱ブロックから突設して前記パワー半導体素子を冷却している。また、特許文献2の電子回路の冷却装置では、吸気ダクトに設けられた送風機が充電器に送風し、排気ダクトを介して排出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−161880号公報
【特許文献2】特開2011−98632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の電子回路の冷却装置は、8本以上のヒートパイプを受熱ブロックから並列に突出しているので装置が大型となっているが、例えば鉄道車両より非常に小さい乗用自動車に上記特許文献1の冷却装置を用いる場合には、例えば複数本のヒートパイプの本数を減らして省スペース化する必要があった。しかしながら、ヒートパイプの本数を減らすことで所定の冷却効率を維持することができないという問題があった。また、特許文献2は、自動車用充電器の冷却構造を示し、吸気ダクトに設けられた送風機によって充電器へ送風し、排気ダクトから排出させている。しかし、その充電器は、比較的高さが大きく、乗用車には冷却性能を維持しつつさらに扁平な装置が望まれる。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、パワー半導体素子を冷却する冷却性能を向上させて、省スペース化を可能にする自動車用電子回路の冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は以上の事情を背景として種々の解析や検討を重ねた結果、以下に示す事実に到達した。すなわち、ヒートパイプから熱が放熱される際において、例えば特許文献1のように受熱ブロックから突き出るヒートパイプを直線形状にすると空気の流れがヒートパイプ外側に拡散してしまいヒートパイプの周りの空気の流れが比較的遅いが、ヒートパイプをループ状に配置するとそのループ状のヒートパイプの内側に空気の通り道を作ることができ空気の流れが速くなる。すなわちヒートパイプにおいてそのループ形状の軸心方向に沿った気流が促進するという事実が見いだされた。そして、上記のようなループ状のヒートパイプを使用することで前記パワー半導体素子を冷却する冷却性能を従来に比べて向上させることができるという事実が究明された。本発明はこの知見に基づいて為されたものである。
【0008】
すなわち、本発明の要旨とするところは、(a)電子回路の一部を構成するパワー半導体素子が固着された受熱ブロックと、その受熱ブロックに接続され、複数枚の放熱フィンが所定の間隔で取り付けられ且つループ状に曲成されたヒートパイプとを有する本体と、(b)その本体を収容するケースと、を備えた自動車用電子回路の冷却装置であって、(c)前記本体の前記ヒートパイプの上方には、そのヒートパイプの全体を覆う傘状カバーが配置されると共に、その傘状カバーの前記ヒートパイプと離間する側に排気筒が設けられており、(d)前記ケースは、台板と、その台板上に固定される箱状の上ケース部とを備え、(e)前記本体は、その台板上の第1取付部に支持され、前記電子回路が設けられた基板が設けられた支持板を有し、(f)前記傘状カバーは、前記台板上の前記ヒートパイプの周囲に設けられた第2取付部に支持されていることにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自動車用電子回路の冷却装置によれば、前記受熱ブロックに接続され、複数枚の放熱フィンが所定の間隔で取り付けられ且つループ状に曲成されたヒートパイプを有する本体と、その本体を収容するケースとを備え、前記本体の前記ヒートパイプの上方には、そのヒートパイプの全体を覆う傘状カバーが配置されると共に、その傘状カバーの前記ヒートパイプと離間する側に排気筒が設けられている。このため、前記ループ状のヒートパイプの放熱フィンから前記受熱ブロックを介して前記パワー半導体素子で発生した熱が放熱されると、前記ヒートパイプにおいてループ形状の軸心方向に沿った気流が促進され前記放熱フィンから放熱された熱が前記傘状カバーの排出筒から好適に排出されるので、前記パワー半導体素子を冷却する冷却性能が向上する。これにより、ヒートパイプの本数を従来に比べて減らしても所定の冷却効率が得られるので、電子回路の冷却装置の省スペース化が可能となる。また、前記ケースは、台板と、その台板上に固定される箱状の上ケース部とを備え、前記本体は、その台板上の第1取付部に支持され、前記電子回路が設けられた基板が設けられた支持板を有し、前記傘状カバーは、前記台板上の前記ヒートパイプの周囲に設けられた第2取付部に支持されている。このため、例えば、前記電子回路の冷却装置に吸気ダクトや排気ダクトを接続する必要がある場合には、前記台板と前記本体との形状を変更せずに、前記排気ダクトに接続される前記傘状カバーの排気筒の位置や前記吸気ダクトに接続される前記上ケース部に形成された吸気口の位置を適宜変更するだけで、それら吸気ダクトや排出ダクトの取り回しの自由度が向上させられる。
【0011】
ここで、好適には、前記ループ状のヒートパイプにおいて、そのヒートパイプの前記受熱ブロックと接続される発熱部が、前記ヒートパイプの前記受熱ブロックと離間する放熱部より下方となっている。このため、前記パワー半導体素子から発生する熱が前記受熱ブロックを介して前記ヒートパイプの放熱部から好適に放熱される。
【0012】
また、好適には、(a) 前記ループ状のヒートパイプにおいて、そのヒートパイプの前記受熱ブロックと接続される発熱部が、前記ヒートパイプの前記受熱ブロックと離間する放熱部より下方となっており、(b) 前記支持板は水平に取り付けられ、(c) 前記ループ状のヒートパイプは、前記支持板に対して傾斜させられている。このため、前記パワー半導体素子から発生する熱が前記受熱ブロックを介して前記ヒートパイプの放熱部から好適に放熱される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明が適用された冷却装置が備えられた充電器を示す斜視図である。
図2図1の充電器においてその内部の構造を説明するために充電器のケース等の一部が切り欠かれた状態を示す斜視図である。
図3図1の充電器においてその充電器の上ケース部および傘状カバーが取り外された状態を示す斜視図である。
図4図1の充電器において冷却装置による充電器の内部の空気の流れを示す図である。
図5図1の充電器に備えられたケースの台板を示す斜視図である。
図6図1の充電器においてその充電器の上ケース部が取り外された状態を示す斜視図である。
図7図3の矢印A方向から見た図である。
図8図7の矢印B方向から見た図である。
図9】本発明の他の実施例の充電器を示す斜視図である。
図10図9の充電器においてその内部の構造を説明するためにその充電器のケース等の一部が切り欠かれた状態を示す斜視図である。
図11図9の充電器において冷却装置による充電器の内部の空気の流れを示す図である。
図12】本発明の他の実施例の充電器を示す斜視図である。
図13図12の充電器においてその充電器の上ケース部が取り外された状態を示す斜視図である。
図14図12の充電器において冷却装置による充電器の内部の空気の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明が適用された充電器10を示す斜視図である。本実施例の充電器10は、例えば一般家庭などに設置した充電ステーションから延びるコネクタケーブルを車両の差込口に差し込んで、車載されたバッテリを充電するプラグインハイブリッド車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)に好適に用いられる。
【0016】
充電器10には、図1および図2に示すように、前記車両の差込口に差し込まれた前記コネクタケーブルから送電された電力を交流から直流に変換して図示しないバッテリに送電する充電器本体(本体)12と、その充電器本体12を車両内に位置固定に載置させる台板14、その台板14上に固定される箱状の上ケース部16aから構成されるケース16とが備えられている。つまり、充電器本体12は、台板14と上ケース部16aとが組み合わされてできるケース16内の空間18に収容されている。
【0017】
充電器本体12には、図3に示すように、例えばAC−DCコンバータ回路等の電子回路が設けられた基板20が設けられ、たとえば水平に設置される支持板22と、その支持板22に設けられた基板20の電子回路の一部を構成する一対のパワー半導体素子24とが備えられている。
【0018】
また、充電器10には、図2および図4に示すように、図示しない吸気ダクトに設けられた送風機を介して外気をケース16内へ送風し、そのケース16から図示しない排気ダクトを介してその外気を排出させることによって、電子回路、特にパワー半導体素子24で発生する熱を放熱させて冷却させる冷却装置(自動車用電子回路の冷却装置)26が備えられている。上記冷却装置26には、一対のパワー半導体素子24が固着された長手状の受熱ブロック28と、その受熱ブロック28に接続され、複数枚の放熱フィン30が所定の間隔で取り付けられ且つループ状に曲成されたヒートパイプ32とを有する充電器本体12と、その充電器本体12を収容する前述したケース16とが備えられている。なお、上記受熱ブロック28、複数枚の放熱フィン30、およびヒートパイプ32は、例えば熱伝導率が高い金属材料例えば軽金属、Cu、ニッケル等で構成されている。
【0019】
また、充電器10のケース16内において、図2および図4に示すように、充電器本体12のヒートパイプ32の鉛直方向の上方には、ループ状のヒートパイプ32の外周の全体を覆う傘状カバー34が配設されると共に、その傘状カバー34のヒートパイプ32と離間する側すなわちその傘状カバー34の鉛直方向の上方側に筒状の排気筒34aが設けられている。また、上記傘状カバー34は、ケース16の上ケース部16aに貫通された穴部16b(図4参照)内に排出筒34aが突き出されるように台板14に取り付けられており、ケース16内の空間18とケース18の外の空間とが傘状カバー34の排出筒34aを介して連通している。なお、傘状カバー34の排出筒34aには、図示しない排気ダクトが接続されている。
【0020】
台板14には、図5に示すように、その台板14に支持板22すなわち充電器本体12を例えば図示しない締結ネジ等で取り付けるために台板14の底面14aから略円柱形状に突き出された4つの第1取付部14bと、台板14に傘状カバー34を例えば図示しない締結ネジ等で取り付けるために台板14の底面14aにおいてヒートパイプ32が配置される周囲から円柱形状に突き出された4つの第2取付部14cとが備えられている。そして、図3に示すように、充電器本体12は台板14の第1取付部14bに支持され、図6に示すように、傘状カバー34は台板14の第2取付部14cに支持されている。なお、図3は、図5に示す台板14の第1取付部14bに充電器本体12が取り付けられた状態を示す図である。また、図6は、図3に示す台板14の第2取付部14cに傘状カバー34が取り付けられた状態を示す図である。
【0021】
ヒートパイプ32は、図7に示すように、1本のヒートパイプ32の中間部すなわち発熱部32aが受熱ブロック28に一体的に接続され、そのヒートパイプ32の両端部すなわち放熱部32bが曲成されており、全体としてループ状に形成されている。なお、ヒートパイプ32の放熱部32bに放熱フィン30が一体的に固定されている。
【0022】
ヒートパイプ32は、図8に示すように、その受熱ブロック28と接続される発熱部32aがヒートパイプ32の受熱ブロック28と離間する放熱部32bより鉛直方向の下方に設けられるように支持板22すなわち充電器本体12に取り付けられている。また、ヒートパイプ32には、図示しないが、そのヒートパイプ32の内部空間にはたとえば減圧された状態で揮発性の高い冷媒例えばアンモニア、水等が所定量入っている。このため、ヒートパイプ32では、例えば、パワー半導体素子24が発熱しヒートパイプ32の発熱部32a内に溜められた冷媒に熱が加えられてその冷媒が蒸発すると、その蒸発した蒸気がヒートパイプ32の放熱部32bに流れて放熱部32bすなわち放熱フィン30から蒸気の熱が放熱される。また、蒸気の熱が放熱部32bから放熱されて蒸気の温度が低下すると、その蒸気の一部が液化しその液化した冷媒が発熱部32aに流れてもとに戻るようになっている。
【0023】
充電器10が車体に取り付けられた状態において、充電機本体12の支持板22は、水平に取り付けられており、図7に示すように、受熱ブロック28の長手方向から見たループ状のヒートパイプ32は、その支持板22に対して傾斜させられている。また、図7においてループ状のヒートパイプ32の支持板22に対する角度θは、例えば90°<θ<0°の範囲内、好適には45°≦θ<0°の範囲内に設定されている。なお、上記角度θを小さくさせることによって、充電器10内のヒートパイプ32を収容する支持板22の厚み方向のスペースを好適に小さくすることができる。
【0024】
充電器10には、図4に示すように、ケース16の上ケース部16aに貫通された吸気口16cが備えられており、その吸気口16cには図示しない吸気ダクトが接続されている。なお、好適には、充電器10では、例えば充電ステーションから延びるコネクタケーブルを車両の差込口に差し込んで、車載されたバッテリを充電する際には前記吸気ダクトに設けられた送風機が駆動するようになっており、充電か完了すると前記送風機が停止するようになっている。
【0025】
以上のように構成された冷却装置26を備える充電器10では、バッテリを充電時する際には、前記吸気ダクトに設けられた送風機が駆動して外気が前記吸気ダクトを介してケース16内に強制的に送風される。そして、ケース16内に送風された外気は、傘状カバー34の開口部34bから入り排出筒34aを介して前記排気ダクトに排出される。このため、ケース16内では、図4に示すような上昇気流F1が発生させられる。更に、冷却装置26では、ループ状のヒートパイプ32の放熱フィン30から受熱ブロック28を介してパワー半導体素子24で発生した熱が放熱されると、ヒートパイプ32においてループ形状の軸心方向に沿った上昇気流F1が促進される。つまり、ループ形状のヒートパイプ32が環状の空気拡散防止壁として機能することによって、そのヒートパイプ32から放熱された熱による空気の流れの拡散が防がれてループ状のヒートパイプ32の内側に空気の上昇流を作ることで煙突効果により空気の流れが促進される。これによって、ケース16内の気流F1が更に加速されて放熱フィン30から放熱された熱が傘状カバー32の排出筒32aから好適に排出されるので、パワー半導体素子24を冷却する冷却性能が向上する。
【0026】
上述のように、本実施例の充電器10の冷却装置26によれば、受熱ブロック28に接続され、複数枚の放熱フィン30が所定の間隔で取り付けられ且つループ状に曲成されたヒートパイプ32を有する充電器本体12と、その充電器本体12を収容するケース16とを備え、充電器本体12のヒートパイプ32の上方には、そのヒートパイプ32の全体を覆う傘状カバー34が配置されると共に、その傘状カバー34のヒートパイプ32と離間する側に排気筒34aが設けられている。このため、ループ状のヒートパイプ32の放熱フィン30から受熱ブロック28を介してパワー半導体素子24で発生した熱が放熱されると、ヒートパイプ32においてループ形状の軸心方向に沿った上昇気流F1が促進され放熱フィン30から放熱された熱が傘状カバー34の排出筒34aから好適に排出されるので、パワー半導体素子24を冷却する冷却性能が向上する。これにより、ヒートパイプ32の本数を従来に比べて減らしても所定の冷却効率が得られるので、冷却装置26の省スペース化が可能となる。
【0027】
また、本実施例の充電器10の冷却装置26によれば、ケース16は、台板14と、その台板14上に固定される箱状の上ケース部16aとから構成され、充電器本体12は、その台板14上の第1取付部14bに支持され、電子回路が設けられた基板20が設けられた支持板22を有し、傘状カバー34は、台板14上のヒートパイプ32の周囲に設けられた第2取付部14cに支持されている。このため、例えば、充電器10の冷却装置26に吸気ダクトや排気ダクトを接続する必要がある場合には、台板14と充電器本体12との形状を変更せずに、前記排気ダクトに接続される傘状カバー34の排気筒34aの位置や前記吸気ダクトに接続される上ケース部16aに形成された吸気口16cの位置を適宜変更するだけで、それら吸気ダクトや排出ダクトの取り回しの自由度が向上させられる。
【0028】
また、本実施例の充電器10の冷却装置26によれば、ループ状のヒートパイプ32において、そのヒートパイプ32の受熱ブロック28と接続される発熱部32aが、ヒートパイプ32の受熱ブロック28と離間する放熱部32bより下方となっている。このため、パワー半導体素子24から発生する熱が受熱ブロック28を介してヒートパイプ32の放熱部32bから好適に放熱される。
【0029】
また、本実施例の充電器10の冷却装置26によれば、ループ状のヒートパイプ32において、そのヒートパイプ32の受熱ブロック28と接続される発熱部32aが、ヒートパイプ32の受熱ブロック28と離間する放熱部32bより下方となっており、支持板22は水平に取り付けられ、受熱ブロック28の長手方向から見たループ状のヒートパイプ32は、支持板22に対して傾斜させられている。このため、パワー半導体素子24から発生する熱が受熱ブロック28を介してヒートパイプ32の放熱部32bから好適に放熱される。
【0030】
続いて、本発明の他の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例2】
【0031】
本実施例の充電器36の冷却装置(自動車用電子回路の冷却装置)38は、図9乃至図11に示すように、前述の実施例1の充電器10の冷却装置26に比べて上ケース部16aと傘状ケース34とが一体に形成されている点で相違しており、その他は実施例1の充電器10の冷却装置26と略同様である。このため、冷却装置38では、実施例1の冷却装置26と略同様に、図11に示すように、ループ状のヒートパイプ32の放熱フィン30から受熱ブロック28を介してパワー半導体素子24で発生した熱が放熱されると、ヒートパイプ32においてループ形状の軸心方向に沿った上昇気流F2が促進される。
【0032】
充電器36には、図9乃至図11に示すように、台板14とその台板14上に固定される箱状の上ケース部40aから構成されるケース40が備えられている。つまり、充電器本体12は、台板14と上ケース部40aとが組み合わされてできるケース40内の空間に収容されている。
【0033】
ケース40の上ケース部40aには、図9乃至図11に示すように、充電器本体12のヒートパイプ32の鉛直方向の上方に、ループ状のヒートパイプ32の外周の全体を覆う傘状カバー部40bが形成されると共に、その傘状カバー部40bのヒートパイプ32と離間する側すなわちその傘状カバー部40bの鉛直方向の上方側に筒状の排気筒40cが設けられている。なお、傘状カバー部40bの排出筒40cには、図示しない排気ダクトが接続されている。また、上ケース部40aには、図9に示すように、上ケース部40aに貫通された吸気口40dが備えられており、その吸気口40dには図示しない吸気ダクトが接続されている。
【0034】
以上のように構成された充電器36の冷却装置38によれば、前述の実施例1の冷却装置26における上ケース部16aと傘状カバー34とが一体化された上ケース部40aを使用するので、充電器36の冷却装置38の部品点数を好適に減少させることができる。
【実施例3】
【0035】
本実施例の充電器42の冷却装置(自動車用電子回路の冷却装置)44は、図12乃至図14に示すように、前述の実施例1の充電器10の冷却装置26に比べて排気筒34aの位置が変更された筒状の排気筒34cを有する傘状カバー34と、その傘状カバー34の排気筒34cの位置に基づいて穴部16bの位置が変更された穴部16dを有する上ケース部16aとを備える点で相違しており、その他は実施例1の充電器10の冷却装置26と略同様である。なお、排気筒34cは、傘状カバー34のヒートパイプ32と離間する側すなわち傘状カバー34の鉛直方向の上方側に設けられている。このため、冷却装置44では、実施例1の冷却装置26と同様に、ループ状のヒートパイプ32の放熱フィン30から受熱ブロック28を介してパワー半導体素子24で発生した熱が放熱されると、ヒートパイプ32においてループ形状の軸心方向に沿った上昇気流F3が促進される。
【0036】
上記排出筒34cは、その開口が台板14に対して垂直方向を向くように傘状カバー34の上部に設けられている。また、傘状カバー34は、ケース16の上ケース部16aに貫通された穴部16d(図12図14参照)内に排出筒34cが突き出されるように台板14の第2取付部14cに取り付けられており、ケース16内の空間18とケース18の外の空間とが傘状カバー34の排出筒34cを介して連通している。
【0037】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0038】
たとえば、本実施例において、冷却装置26、38、44は、プラグインハイブリッド車の充電器10、36、42に用いられたが、本発明はプラグインハイブリッド車の充電器10、36、42に限定されるものではない。すなわち、本発明は、自動車用電子回路の冷却装置であれば適用することができる。
【0039】
また、本実施例において、ヒートパイプ32は、一本のヒートパイプ32をループ状に曲成していたが、例えば一対のヒートパイプを用いてループ状に曲成しても良い。また、複数本のループ状のヒートパイプ32を並列に配設させても良い。
【0040】
また、本実施例の冷却装置26、38、44において、吸気口16c、40dに接続されていた吸気ダクトには送風機が備えられていたが、必ずしも送風機を設ける必要はなく、冷却装置26、38、44を自然通風方式の冷却装置として使用しても良い。また、冷却装置26、38、44の排気筒に接続されていた排気ダクトに送風機を備えても良い。
【0041】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
12:充電器本体(本体)
14:台板
14b:第1取付部
14c:第2取付部
16:ケース
16a:上ケース部
20:基板
22:支持板
24:パワー半導体素子
26、38、44:冷却装置
28:受熱ブロック
30:放熱フィン
32:ヒートパイプ
32a:発熱部
32b:放熱部
34:傘状カバー
34a、34c:排気筒
図1
図2
図3
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図5
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