特許第5950892号(P5950892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

特許5950892基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
<>
  • 特許5950892-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図000002
  • 特許5950892-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図000003
  • 特許5950892-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図000004
  • 特許5950892-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950892
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20160630BHJP
   H01L 21/205 20060101ALN20160630BHJP
【FI】
   C23C16/455
   !H01L21/205
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-248057(P2013-248057)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-105410(P2015-105410A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2014年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武敏
(72)【発明者】
【氏名】平松 宏朗
(72)【発明者】
【氏名】▲ひろ▼地 志有
【審査官】 吉野 涼
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−066544(JP,A)
【文献】 特開2007−326761(JP,A)
【文献】 特開平11−219918(JP,A)
【文献】 特開平09−036053(JP,A)
【文献】 特開2002−151489(JP,A)
【文献】 特開平07−099162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の裏面の一部を保持する保持機構と前記保持機構を支持する支持部とを有すると共に、基板を処理する際は基板処理ポジションに上昇可能な基板保持部と、
前記基板処理ポジションよりも上方の空間であって、上部容器とシャワーヘッドに囲まれた処理空間を構成する基板処理室と、
前記基板処理ポジションよりも下方の空間であって、下部容器で囲まれた搬送空間を構成する待機室と、
前記上部容器側壁であって、前記基板処理ポジションの周辺に狭空間を形成する狭空間形成部材と、
前記保持機構が基板処理ポジションに位置された状態で、前記基板に複数の処理ガスを交互に前記基板処理室に供給するガス供給部と、
前記保持機構が基板処理ポジションに位置された状態で、前記狭空間にパージガスを供給するパージガス供給部と、
前記基板処理室の雰囲気を排気する排気部と、
前記基板を裏面から加熱するランプと、
前記基板処理室の圧力を前記待機室の圧力よりも高くするよう前記ガス供給部、前記パージガス供給部、前記ガス排気部を制御する制御部と
を有する基板処理装置。
【請求項2】
更に、前記待機室に不活性ガスを供給する待機室不活性ガス供給部を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記パージガス供給部からパージガスの供給を開始した後、前記ガス供給部から第1の処理ガス又は第2の処理ガスの供給を開始するよう制御する請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ガス供給部から第1の処理ガスまたは第2の処理ガスを供給すると共に前記パージガス供給部からパージガスを供給し、所定の時間経過後、前記第1の処理ガスまたは前記第2の処理ガスの供給を停止した後、前記パージガスの供給量を低減するよう制御する請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板の裏面の一部を保持する保持機構と前記保持機構を支持する支持部とを有する基板保持部が、下部容器で囲まれた搬送空間を構成する待機室内に留まった状態で基板を搬入し、前記保持機構上に基板を移載する工程と、
前記保持機構を基板処理ポジションに上昇させ、上部容器とシャワーヘッドで囲まれると共に前記基板処理ポジションよりも上方の空間である処理空間を構成する基板処理室に基板を移動させる工程と、
前記基板の裏面をランプで加熱する工程と、
前記基板処理室の圧力を前記待機室の圧力よりも高くなるよう、複数の処理ガスを交互に前記基板処理室に供給し、前記上部容器側壁であって前記基板処理ポジションの周辺に狭空間を形成する狭空間形成部材から前記保持機構の周辺にパージガスを供給しつつ、排気部から前記処理室の雰囲気を排気する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
基板の裏面の一部を保持する保持機構と前記保持機構を支持する支持部とを有する基板保持部が、下部容器で囲まれた搬送空間を構成する待機室内に内に留まった状態で基板を搬入し、前記保持機構上に基板を移載する手順と、
前記保持機構を基板処理ポジションに上昇させ、上部容器とシャワーヘッドで囲まれると共に前記基板処理ポジションよりも上方の空間である処理空間を構成する基板処理室に基板を移動させる手順と、
前記基板の裏面をランプで加熱する手順と、
前記基板処理室の圧力を前記待機室の圧力よりも高くなるよう、複数の処理ガスを交互に前記基板処理室に供給し、前記上部容器側壁であって前記基板処理ポジションの周辺に狭空間を形成する狭空間形成部材から前記保持機構の周辺にパージガスを供給しつつ、排気部から前記処理室の雰囲気を排気する手順と
を有するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置の製造工程で用いられる枚葉式の基板処理装置は、ウエハ(基板)を処理する際のウエハ加熱方式として、抵抗加熱ヒータを用いている。しかし、抵抗加熱ヒータを用いた方式では、減圧下においては例えば抵抗加熱ヒータとウエハとの接触面から熱が伝熱される為、温度安定までに時間を要し、ひいては生産性を低下させる主要因となっている。解決策として、ウエハにランプを配置し、そのランプからの輻射熱を用いて加熱する方式が有効である。ウエハ全面を均等に加熱することができ、且つ短時間で昇降温できる事から、基板の処理温度まで上昇させるための時間である所謂プレヒート時間の大幅短縮が可能となる。
【0003】
ランプ加熱方式としては、基板処理面(表面)から加熱する方法や、基板裏面から加熱する方法が考えられる。枚葉装置にランプ加熱方式を採用する場合、ガスを均一に供給するために基板表面と対向する処理室天井にガス供給機構を設けることが多く、このような機構的制限から、基板裏面にランプを配置し加熱することが考えられる。
【0004】
基板に薄膜を形成する方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)が存在する。ALD法は、原料ガスと反応ガスを基板表面で反応させて薄膜を形成するものである。この方法では、原料ガスと反応ガスを基板表面以外で反応させないために、各ガスを供給する間に、残ガスを除去するためのパージ工程を有することが望ましい。ALD法は、原子レベルで膜厚を制御可能であることから、例えばステップカバレッジの高い溝等に膜を形成する際に有効な手法である。従って、高い生産性を維持しつつ、ステップカバレッジの高い溝等に薄膜を形成する際は、ランプを用いてALD法で処理することが有効である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ランプ加熱方式をALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)成膜に採用する場合、以下の課題が想定される。
基板裏面に回り込んだガスがランプ表面に付着し、ランプ上(ランプを格納したランプ格納室と処理室との間に形成される窓)に膜を形成してしまうため、熱伝導特性が大幅に変化し、ウエハ温度のばらつきが大きくなる点である。このようなランプ表面への膜付着を防止するために、ウエハ裏面にガスが回りこまないようウエハ裏面の空間の圧力をウエハ表面の圧力よりも高くすることが考えられるが、差圧によってウエハが持ち上がり、その結果ウエハの位置ズレが発生してしまう。ウエハが位置ズレを起こさないよう、ウエハ表面及び裏面領域が同圧になる様に圧力制御することが考えられるが、ガスの供給を切り替えた際の急峻な圧力変動に追従することができず、結果的に基板位置ズレが起きてしまう。基板の位置ズレによってガスがウエハ裏面へ入り込み、ランプ表面への成膜が発生してしまうことが考えられる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、前述した課題を解決し、高い生産性を維持しつつ、ステップカバレッジの高い溝等に薄膜を形成する基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明に係る基板処理装置は、
基板が処理される基板処理室と、
基板を処理する際に複数の処理ガスを交互に前記基板処理室に供給するガス供給部と、
前記基板の裏面の一部を保持する保持機構と、前記保持機構を支持する支持部とを有する基板保持部と、
前記基板を裏面から加熱する加熱部と、
前記基板保持部が待機する待機室と、
前記基板処理室の圧力を前記待機室の圧力よりも高くするよう前記ガス供給部及び/またはガス排気部を制御する制御部と
を有する基板処理装置である。
【0008】
更に別の形態によれば、
基板保持部が待機室で待機すると共に基板処理ポジションにて基板を保持し、基板表面を処理室雰囲気に晒す工程と、
前記基板を前記裏面から加熱しつつ、前記処理室の圧力を前記待機室の圧力よりも高くなるように、複数の処理ガスを交互に処理室に供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い生産性を維持しつつ、ステップカバレッジの高い溝等に薄膜を形成する基板処理装置及び半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る基板処理の成膜シーケンス例である。
図3】本発明の実施形態に係る基板処理の成膜処理のフロー例である。
図4】本発明の実施形態に係るプレヒート時の基板処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0012】
(1)基板処理装置の構成
まず、本発明の一実施形態に係る基板処理装置について説明する。
【0013】
本実施形態に係る基板処理装置100について説明する。基板処理装置100は、基板200上に薄膜を形成する装置であり、図1に示されているように、枚葉式基板処理装置として構成されている。
【0014】
図1に示すとおり、基板処理装置100は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202の側壁や底壁は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。
【0015】
処理容器202は、上部処理容器202aと下部処理容器202b、天井部であるシャワーヘッド230で構成される。
【0016】
上部処理容器202a及びシャワーヘッド230の下端に囲まれた空間であって、ウエハ(基板)200よりも上方の空間を処理空間101と呼び、下部処理容器202bに囲まれた空間であって、ウエハ200よりも下方の空間を搬送空間(待機室)102と呼ぶ。上部処理容器202a及びシャワーヘッド230の下端で構成され、処理空間101を囲む構成を処理室201と呼ぶ。
【0017】
下部処理容器202bの側面には、ゲートバルブ205に隣接した図示しない基板搬入出口が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口を介して図示しない搬送室との間を移動する。下部処理容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。また、後述する基板保持台210及び基板200の裏面方向に加熱部であるランプヒータ213を有している。
【0018】
処理室201内には、ウエハ200を保持する基板保持部210が位置するよう構成される。基板保持部210は、ウエハ200の裏面を保持する保持機構210aとリフトピン207に支持される保持部210bを有する。保持機構210aのウエハ載置面の高さ位置は、保持部210bの表面の高さ位置に比べ低い位置に構成され、載置面にウエハ200が載置される際、ウエハ200の表面が保持部210bの表面と同じ高さとなるよう構成される。このようにすることで、後述する第五ガス供給部から供給されるガス流れが、ウエハ200の側面に影響を与えないようにしている。
また、基板保持部210は、ウエハ200の外周部を支持するよう構成される。下部容器202bには、リフトピン207が貫通する貫通孔が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0019】
基板保持部210はリフトピン207によって支持される。リフトピン207は、処理容器202の底部を貫通しており、更には処理容器202の外部で昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてリフトピン207及び基板保持部210を昇降させることにより、基板保持部210上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、リフトピン207下端部の周囲は図示しないベローズにより覆われており、処理容器202内は気密に保持されている。
【0020】
基板保持部210、ウエハ200の搬送時には、基板載置面が基板搬入出口の位置(ウエハ搬送位置)となるよう下降し、ウエハ200の処理時には図1で示されるように、ウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇する。
【0021】
(ガス導入口)
処理室201の上部に設けられる後述するシャワーヘッド230の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するためのガス導入口241a、ガス導入口241b、ガス導入口241cが設けられている。ガス導入口241a、ガス導入口241b、ガス導入口241cに接続されるガス供給部の構成については後述する。
【0022】
(シャワーヘッド)
ガス導入口241a、ガス導入口241b、ガス導入口241cと処理室201との間には、処理室201に連通するガス分散機構としてのシャワーヘッド230が設けられている。ガス導入口241a、ガス導入口241b、ガス導入口241cは上部容器202aに接続されている。ガス導入口241a、ガス導入口241b、ガス導入口241cから導入されるガスは上部容器202aに設けられた孔を介してシャワーヘッド230のバッファ室232に供給される。バッファ室232は、上部容器202aと分散板234に囲まれるように形成される。
【0023】
シャワーヘッドの蓋部分は導電性のある金属で形成され、バッファ室232内、又は処理室201内でプラズマを生成する場合には、電極として用いられる場合もある。その場合、蓋部分と上部容器202aとの間には絶縁ブロックが設けられ、蓋部分と上部容器202aの間を絶縁している。
【0024】
シャワーヘッド230は、バッファ室232と処理室201の処理空間101との間に、ガス導入口241a、ガス導入口241bから導入されるガスを分散させるための分散板234を備えている。分散板234には、複数の貫通孔が設けられている。分散板234は、ウエハ200の上方にウエハ200と対向するように配置されている。
【0025】
(供給系)
シャワーヘッド230の蓋に相当する上部容器202aに接続されたガス導入口241a、ガス導入口241b、ガス導入口241cには、それぞれガス供給管が接続されている。ガス導入孔241aには、第一ガス供給管243aが接続されており、ガス導入孔241bには、第二ガス供給管243bが接続されている。更に、ガス導入孔241cには第三ガス供給管243cが接続されている。
【0026】
第一ガス供給管243aを含む第一ガス供給部からは第一ガスA(例えばTiCl4)及びキャリアガス(例えばN2)が処理室201に供給され、第二ガス供給管243bを含む第二ガス供給部からは第二ガスB(例えばNH3)及びキャリアガス(例えばN2)が処理室201に供給される。第三ガス供給部からはパージガスが処理室201に供給される。第四ガス供給部からはパージガスが待機室102に供給される。第五ガス供給部からはパージガスが処理室201に供給される。以下に各供給系の詳細を説明する。
【0027】
(第一ガス供給部)
第一ガス供給管243aには、上流方向から順に、第一ガス供給源244a、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)及び開閉弁であるバルブが設けられている。
【0028】
第一ガス供給管243aから、第一元素を含有するガス(以下、「第一元素含有ガス」)が、マスフローコントローラ、バルブ、ガス供給管241a、シャワーヘッド230(バッファ室232)を介して処理室201に供給される。
【0029】
第一元素含有ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。
ここで、第一元素含有ガスは、例えばTiClである。すなわち、第一元素含有ガスは、例えばチタン含有ガスである。なお、第一元素含有ガスは、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良い。第一元素含有ガスが常温常圧で液体の場合は、第一ガス供給源234aとマスフローコントローラとの間に、図示しない気化器を設ければよい。
ここでは気体として説明する。
【0030】
第一ガス供給管243aのバルブよりも下流側には、第一不活性ガス供給管246aの下流端が接続されている。第一不活性ガス供給管246aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源247a、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)及び開閉弁であるバルブが設けられている。
【0031】
ここで、不活性ガスは、例えば、窒素(N)ガスである。なお、不活性ガスとして、Nガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0032】
第一不活性ガス供給管246aからは、マスフローコントローラ、バルブ、第一ガス供給管243aを介して、不活性ガスが、シャワーヘッド230(バッファ室232)、処理室201内に供給される。不活性ガスは、後述する薄膜形成工程(S104)ではキャリアガス或いは希釈ガスとして作用する。
【0033】
主に、第一ガス供給管243a、第一ガス供給管243aに設けられたマスフローコントローラ、バルブにより、第一元素含有ガス供給部(チタン含有ガス供給部ともいう)が構成される。
【0034】
また、主に、第一不活性ガス供給管246a、第一不活性ガス供給管246aに設けられたマスフローコントローラ及びバルブにより第一不活性ガス供給部が構成される。なお、不活性ガス供給源247b、第一ガス供給管243aを、第一不活性ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0035】
更には、第一ガス供給源244a、第一不活性ガス供給部を、第一元素含有ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0036】
(第二ガス供給部)
第二ガス供給管243bの上流には、上流方向から順に、第二ガス供給源244b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)、及び開閉弁であるバルブが設けられている。
【0037】
第二ガス供給管243bからは、第二元素を含有するガス(以下、「第二元素含有ガス」)が、マスフローコントローラ、バルブ、ガス供給管243b、シャワーヘッド230(バッファ室232)を介して、処理室201内に供給される。第二元素含有ガスは、リモートプラズマユニットによりプラズマ状態とされて、ウエハ200上に照射されてもよい。
【0038】
第二元素含有ガスは、処理ガスの一つである。なお、第二元素含有ガスは、反応ガスまたは改質ガスとして考えてもよい。
【0039】
ここで、第二元素含有ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。本実施形態では、第二元素含有ガスは、例えば窒素含有ガスであるとする。具体的には、窒素含有ガスとしては、アンモニア(NH)ガスが用いられる。
【0040】
主に、第二ガス供給管243b、第二ガス供給管243bに設けられたマスフローコントローラ、バルブにより、第二元素含有ガス供給部(窒素含有ガス供給部ともいう)が構成される。
【0041】
また、第二ガス供給管243bのバルブよりも下流側には、第二不活性ガス供給管246bの下流端が接続されている。第二不活性ガス供給管246bには、上流方向から順に、不活性ガス供給源247b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)、及び開閉弁であるバルブが設けられている。
【0042】
第二不活性ガス供給管246bからは、マスフローコントローラ、バルブ、第二ガス供給管243bを介して、不活性ガスが、シャワーヘッド230(バッファ室232)、処理室201内に供給される。不活性ガスは、後述する薄膜形成工程(S104)ではキャリアガス或いは希釈ガスとして作用する。
【0043】
主に、第二不活性ガス供給管246b、第二不活性ガス供給管246bに設けられたマスフローコントローラ及びバルブにより第二不活性ガス供給部が構成される。なお、不活性ガス供給源247b、第二ガス供給管244bを第二不活性ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0044】
更には、第二ガス供給源244b、第二不活性ガス供給部を、第二元素含有ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0045】
(第三ガス供給部)
第三ガス供給管243cには、上流方向から順に、不活性(第三)ガス供給源248、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)、開閉弁であるバルブが設けられている。
【0046】
第三ガス供給管243cから、パージガスとしての不活性ガスが、マスフローコントローラ、バルブをシャワーヘッド232、処理室101に供給される。
【0047】
ここで、不活性ガスは、例えば、窒素(N)ガスである。なお、不活性ガスとして、Nガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0048】
主に不活性ガス供給管243c、マスフローコントローラ、バルブによってパージガス供給部である第三ガス供給部が構成される。尚、不活性ガス源を第三ガス供給部に含めても良い。
【0049】
第三ガス供給部からシャワーヘッド232に供給された不活性ガスによってシャワーヘッド232内のガスを排気する。
【0050】
(第四ガス供給部)
待機室102には、下部容器202bの側面に設けられた、不活性ガスを供給する、第四ガス供給部が設けられている。不活性ガス供給口250aより不活性ガスが供給される。第四ガス供給管250bには、上流方向から順に、不活性(第四)ガス供給源250e、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)250d、及び開閉弁であるバルブ250cが設けられている。
【0051】
第四ガス供給管250bから、パージガスとしての不活性ガスが、マスフローコントローラ250d、バルブ250cを介して待機室102に供給される。このパージガスによって、待機室の雰囲気を排気したり、後述するように処理室201との圧力を相対的に制御する。
【0052】
ここで、不活性ガスは、例えば、窒素(N)ガスである。なお、不活性ガスとして、Nガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0053】
主に不活性ガス供給管250b、マスフローコントローラ250d、バルブ250cによって待機室不活性ガス供給部である第四ガス供給部が構成される。尚、不活性ガス源を第四ガス供給部に含めても良い。
【0054】
(第五ガス供給部)
後述する狭空間領域270には、第五ガス供給部が接続される。第五ガス供給管271aには、上流方向から順に、不活性(第五)ガス供給源271b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)271cd、及び開閉弁であるバルブ271d、バッファ空間271eが設けられている。バッファ空間271eは基板200外周を囲むように円周状に形成されており、基板200の外周に向けて第五ガスを供給する。
【0055】
第五ガス供給管271aから、マスフローコントローラ271c、バルブ271d、バッファ空間271eを介して処理室201内であって、基板200の外周に第五ガスが供給される。
【0056】
ここで、不活性ガスは、例えば窒素(N)ガスである。なお、不活性ガスとして、Nガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0057】
主に不活性ガス供給管271a、マスフローコントローラ271c、バルブ271d、バッファ空間271eによって第五ガス供給部が構成される。尚、不活性ガス源271bを第五ガス供給部に含めても良い。
【0058】
(第一の排気系)
処理室201(上部容器202a)の内壁側面には、処理室201の雰囲気を排気する排気口221が設けられている。排気口221には排気管222が接続されており、排気管222には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(AutoPressure
Controller)等の圧力調整器223、真空ポンプ224が順に直列に接続されている。主に、排気口221、排気管222、圧力調整器223、真空ポンプ224により第一の排気系(排気ライン)が構成される。
【0059】
(第二の排気系)
待機室102には、下部容器202bの内壁側面に設けられた、前述した不活性ガス供給口250aから不活性ガスが供給される。待機室102(下部容器202b)の内壁側面には、待機室102内の雰囲気を排気する排気口225が設けられている。排気口225には排気管226が接続されており、排気管226には、待機室102内を所定の圧力に制御するAPC(AutoPressure
Controller)等の圧力調整器227、真空ポンプ228が順に直列に接続されている。主に、排気口225、排気管226、圧力調整器227、真空ポンプ228により第二の排気系(排気ライン)が構成される。
【0060】
(差圧計)
処理容器202の側面には、処理室201の内部雰囲気と待機室102の内部雰囲気との差圧を測定する差圧計229が設けられている。この差圧計229の出力値を基に、ガス供給部及び/またはガス排気部が、処理室201と待機室102の圧力制御を行う。
【0061】
(コントローラ)
基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ260を有している。コントローラ260は、演算部261及び記憶部262を少なくとも有する。コントローラ260は、上位コントローラや使用者の指示に応じて記憶部から基板処理装置のプログラムや制御レシピを呼び出し、その内容に応じて各構成を制御する制御部として機能する。
【0062】
(狭空間領域)
上部容器202aの内壁側面には、狭空間形成部材5が設けられている。この狭空間形成部材5から基板200の外周の周辺領域に形成した狭空間領域270に、第五ガス供給部から不活性ガスであるパージガス271を供給し、更に、この狭空間領域270より基板200の周辺から均等に基板200上にパージガスが流れ出る構造とする。更に、狭空間領域270の圧力を基板200の表面領域である基板処理室201の圧力より高圧に保持することにより、原料ガスの狭空間領域270への原料ガスの拡散を防止、更には基板200の裏面領域である待機室102への原料ガスの拡散を防止する
【0063】
(2)基板処理工程
次に、基板処理装置100としての基板処理装置100を使用して、ウエハ200上に薄膜を形成する工程について、図2図3図4を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施形態にかかる成膜シーケンス例であり、図3は、本発明の実施形態にかかる成膜工程のフローの例であり、図4は、基板をプレヒートする際の基板200とランプヒータ213の位置関係を示す図である。図4においては、説明の便宜上図1中の関連箇所のみを抜粋しており、一部構成の記載を省略している。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ260により制御される。
なお、図においてランプヒータ213は、むき出しとなっているが、ランプヒータ213を取り囲むようにランプボックスを設けることにより、ランプヒータ213にパーティクル等のごみの付着を防止することも可能である。
【0064】
ここでは、第一元素含有ガスとしてTiClガスを用い、第二元素含有ガスとしてアンモニア(NH)ガスを用い、ウエハ200上に薄膜としてTiN膜を形成する例について説明する。また、例えば、ウエハ200上には、予め所定の膜が形成されていてもよい。また、ウエハ200または所定の膜には予め所定のパターンが形成されていてもよい。
【0065】
(基板搬入工程S101)
処理装置100では基板保持部210をウエハ200の搬送位置まで下降させる。この状態を図4に示す。続いて、ゲートバルブ205を開き、図示しないウエハ移載機を用いて、処理室内にウエハ200(処理基板)を搬入し、基板保持部210上にウエハ200を移載する。これにより、ウエハ200は、基板保持部210上に水平姿勢で支持される。
【0066】
処理容器202内にウエハ200を搬入したら、ウエハ移載機を処理容器202の外へ退避させ、ゲートバルブ205を閉じて処理容器202内を密閉する。
【0067】
(プレヒート工程S102)
基板処理装置100内では基板保持部210をウエハ200の搬送位置まで下降させた状態(この状態を図4に示す)で、ランプヒータ213に供給する電力を調整し、基板温度を昇温させ、基板200の表面温度が所定の処理温度となるように制御する。なお、この時に、基板周辺領域に対向する部分のランプヒータ213を基板の中央部分に対向するランプに対して先行してランプ出力を上昇させ、後に基板中央部分に対向するランプヒータ213のランプ出力を上昇させても良い。このように制御することにより、基板の中央部と周縁部との温度差を小さくできるため、基板の反りを抑えることが可能となる。基板の反りが起きても膜質への影響は少ないが、基板が反ることで基板保持部と基板の間に隙間ができてしまうことが考えられる。その隙間が発生しないよう、反りを防止することが可能となる。
また、基板200の円周方向にゾーン分割してランプの出力を制御するようにすることも考えられる。
【0068】
(リフトアップ工程S103)
その後、基板保持部210を上昇させることにより、基板保持部210上に基板200が載置される。
【0069】
(成膜工程S104)
次に、薄膜形成工程S104を行う。薄膜形成工程S104の基本的な流れについて説明し、本実施形態の特徴部分については詳細を後述する。
【0070】
薄膜形成工程S104では、シャワーヘッド230のバッファ室232を介して、処理室201内にTiClガスを供給する。TiClガスを供給し、所定の時間経過後、TiClガスの供給を停止し、パージガスにより、バッファ室232、処理室201からTiClガスを排出する。
【0071】
TiClガスを排出後、バッファ室232を介して、処理室201内にアンモニアガスを供給する。アンモニアガスは、ウエハ200上に形成されたチタン含有膜と反応し、TiN膜を形成する。所定の時間経過後、アンモニアガスの供給を停止し、パージガスによりシャワーヘッド230、処理室201からアンモニアガスを排出する。
【0072】
成膜工程104では、以上の処理を繰り返すことで、所望の膜厚のTiN膜を形成する。
【0073】
(基板搬出工程S105)
次に、基板保持部210を下降させる。その後、ゲートバルブ205を開き、ウエハ移載機用いてウエハ200を処理容器203の外へ搬出する。その後、基板処理工程を終了する場合は、第三ガス供給部から処理容器202内に不活性ガスを供給することを停止する。
【0074】
次に、薄膜形成工程S104に関して、図2を用い更に詳細に説明する。
図2の「TiCl4」は第一ガス供給部からTiCl4ガスを供給するタイミングを表す。「NH3」は第二ガス供給部からNH3ガスを供給するタイミングを表す。「Carrier A」は第一ガス供給部のキャリアガスを供給するタイミングを表す。「Carrier B」は第二ガス供給部のキャリアガスを供給するタイミングを表す。「処理室内 不活性ガス供給」は、第三ガス供給部から供給する不活性ガス(パージガス)を供給するタイミングを表す。「搬送室内 不活性ガス供給」は、第四ガス供給部から不活性ガス(パージガス)を供給するタイミングを表す。尚、上記工程の間、第一排気系から処理室201の雰囲気を排気し、更に第二排気系から待機室102の雰囲気を排気している。
【0075】
(Step1)
基板表面にTiCl4ガスを供給し、基板上にTi含有膜を形成する。この際、第一ガス供給管のバルブ、第二ガス供給部のバルブ、第三ガス供給部のバルブ、第四ガス供給部のバルブ250cを閉じた状態で第五ガス供給部のバルブを開とし、第五ガス供給部から処理室201内に不活性ガスを供給する。即ち、処理室201内に第一処理ガスであるTiClガスが供給される前に、第五ガス供給部から処理室201内に所定流量のパージガスを流す。第一処理ガスであるTiClガスよりも先にパージガスを供給することで、第一処理ガスを供給した際に生じる圧力変動による基板のズレを抑え込むと共に、第一処理ガス供給前に狭空間領域270に不活性ガスの壁を形成する。
【0076】
仮に基板の載置位置がズレた場合、そのズレによって処理室201と搬送室101が連通する可能性があり、その連通箇所を介してガスがランプヒータ213に供給し、付着されてしまう。
【0077】
本実施形態においては、前述のように基板の載置位置ズレを防ぐことで、基板裏面側の待機室102に、処理ガスであるTiClガスが入り込むのを防止する。更には、狭空間領域270に不活性ガスの壁を形成することで、ガスが狭空間領域に回り込むことない。従って、狭空間内で副生成物が発生されることがない。
【0078】
第五ガス供給部から不活性ガスの供給を開始した後、所定時間経過後、第一ガス供給管243aのバルブ、第一不活性ガス供給管246aのバルブを開として処理ガスであるTiClガスとそのキャリアガスの供給を開始する。TiClガスの供給を開始した後、バルブ250cを開として、待機室201に不活性ガスを供給する。更に、処理室内のガスが第二ガス供給管243bへ流れ込むことを防止するために、第二ガス供給管243bのバルブを閉じた状態で、第二不活性ガス供給管246bのバルブを開とし、処理室201の圧力が搬送室の圧力よりも高くなるような流量で不活性ガスの供給を開始する。このようにして段階的にガス供給を開始することで、圧力変動を少なくするので、基板のズレを抑えることができる。
【0079】
所定の時間経過後、バルブ271d、第一ガス供給管243aのバルブ、第一不活性ガス供給管246aのバルブを開としつつ、バルブ250cを閉じる。更に、所定の時間経過後、第一ガス供給管243aのバルブを閉としてTiClガスの供給を停止する。このようにして段階的にガス供給を停止することで、圧力変動を少なくすると共に、処理室201の圧力が搬送室の圧力よりも高い状態を維持することできるので、基板表面にTi含有膜を形成し次の処理であるStep2に移行する際でも、より確実に基板のズレを抑えることが可能となる。
【0080】
(Step2)
Step1の後、バルブ271dを絞り、狭空間領域270から処理室に供給される不活性ガスの流量を絞る。このとき、第一不活性ガス供給管246aのバルブ、第二不活性ガス供給管246bのバルブの開度をStep1に引き続き維持している。このように制御することで、狭空間領域270に残ガスが入り込まないようにすると共に、処理室201内の雰囲気を排気する。
【0081】
尚、更に排気効率を高める場合や、シャワーヘッド内のガス溜まりから残ガスを除去する場合は、第三ガス供給部のバルブを開として、パージガスとしての不活性ガスを供給しても良い。
【0082】
(Step3)
基板表面にNH3を供給し、基板上にTiN膜を形成する。この際、第一ガス供給管のバルブ、第二ガス供給管のバルブ、第三ガス供給部のバルブ、第四ガス供給部のバルブ250cを閉とし、第一不活性ガス供給管246aのバルブ、第二不活性ガス供給管246bのバルブの開とした状態で、第五ガス供給部のバルブを開とし、第五ガス供給部から処理室201内に不活性ガスを供給する。即ち、処理室201内に第二処理ガスであるNH3ガスが処理室に供給される前に、第五ガス供給部から処理室201内に所定流量のパージガスを流す。第二処理ガスであるNH3ガスよりも先にパージガスを供給することで、第二処理ガスを供給した際に生じる圧力変動による基板のズレを抑え込むと共に、第二処理ガス供給前に狭空間領域270に不活性ガスの壁を形成する。
【0083】
仮に基板の載置位置がズレた場合、そのズレによって処理室201と搬送室101が連通する可能性があり、その連通箇所を介してガスがランプヒータ213に供給し、付着されてしまう。
【0084】
本実施形態においては、前述のように基板の載置位置ズレを防ぐことで、基板裏面側の待機室102に、処理ガスであるNH3ガスが入り込むのを防止する。更には、狭空間領域270に不活性ガスの壁を形成することで、ガスが狭空間領域に回り込むことない。従って、狭空間内で副生成物が発生されることがない。
また、原料ガスの回り込み防止の不活性ガス(パージガス)流量を、原料ガス(処理ガス)とキャリアガスの総流量に比例させ、且つ、同一タイミングで増減する機能を有することも考えられる。
【0085】
第五ガス供給部から不活性ガスの供給を開始した後、所定時間経過後、第二ガス供給管243bのバルブを開として処理ガスであるNH3ガスの供給を開始する。NH3ガスの供給を開始した後、バルブ250cを開として、待機室201に不活性ガスを供給する。更に、処理室内のガスが第二ガス供給管243bへ流れ込むことを防止するために、第二ガス供給管243bのバルブを閉じた状態で、第二不活性ガス供給管246bのバルブを開とし、処理室201の圧力が搬送室の圧力よりも高くなるような流量で不活性ガスの供給を開始する。
【0086】
所定の時間経過後、バルブ271d、第二ガス供給管243bのバルブ、第二不活性ガス供給管246bのバルブを開としつつ、バルブ250cを閉じる。更に、所定の時間経過後、第二ガス供給管243aのバルブを閉としてNH3ガスの供給を停止する。このようにして段階的にガス供給を停止することで、圧力変動を少なくすると共に、処理室201の圧力が搬送室の圧力よりも高い状態を維持することができる。従って、基板表面に所望の膜を形成して次の処理であるStep4に移行する際でも、より確実に基板のズレを抑えることが可能となる。
【0087】
(Step4)
Step3の後、バルブ271dを絞り、狭空間領域270から処理室に供給される不活性ガスの流量を絞る。このとき、第一不活性ガス供給管246aのバルブ、第二不活性ガス供給管246bのバルブの開度をStep1に引き続き維持している。このように制御することで、狭空間領域270に残ガスが入り込まないようにすると共に、処理室201内の雰囲気を排気する。
【0088】
尚、更に排気効率を高める場合や、シャワーヘッド内のガス溜まりから残ガスを除去する場合は、第三ガス供給部のバルブを開として、パージガスとしての不活性ガスを供給しても良い。
【0089】
(Step5)
基板表面にTiCl4を供給し、基板上に所望の膜を形成する。この際、第一ガス供給管のバルブ、第二ガス供給管のバルブ、第三ガス供給部のバルブ、第四ガス供給部のバルブ250cを閉とし、第一不活性ガス供給管246aのバルブ、第二不活性ガス供給管246bのバルブの開とした状態で、第五ガス供給部のバルブを開とし、第五ガス供給部から処理室201内に不活性ガスを供給する。即ち、処理室201内に第一処理ガスであるTiCl4ガスが処理室に供給される前に、第五ガス供給部から処理室201内に所定流量のパージガスを流す。第一処理ガスであるTiClガスよりも先にパージガスを供給することで、第一処理ガスを供給した際に生じる圧力変動による基板のズレを抑え込むと共に、第一処理ガス供給前に狭空間領域270に不活性ガスの壁を形成する。
【0090】
仮に基板の載置位置がズレた場合、そのズレによって処理室201と搬送室101が連通する可能性があり、その連通箇所を介してガスがランプヒータ213に供給し、付着されてしまう。
【0091】
本実施形態においては、前述のように基板の載置位置ズレを防ぐことで、基板裏面側の待機室102に、処理ガスであるTiClガスが入り込むのを防止する。更には、狭空間領域270に不活性ガスの壁を形成するので、ガスが狭空間領域に回り込むことがない。従って、狭空間内で副生成物が発生されることがない。
【0092】
第五ガス供給部から不活性ガスの供給を開始した後、所定時間経過後、第一ガス供給管243aのバルブを開として処理ガスであるTiCl4ガスの供給を開始する。TiCl4ガスの供給を開始した後、バルブ250cを開として、待機室201に不活性ガスを供給する。更に、処理室内のガスが第二ガス供給管243bへ流れ込むことを防止するために、第二ガス供給管243bのバルブを閉じた状態で、第二不活性ガス供給管246bのバルブを開とし、処理室201の圧力が搬送室の圧力よりも高くなるような流量で不活性ガスの供給を開始する。
【0093】
所定の時間経過後、バルブ271d、第一ガス供給管243aのバルブ、第一不活性ガス供給管246aのバルブを開としつつ、バルブ250cを閉じる。更に、所定の時間経過後、第一ガス供給管243aのバルブを閉としてTiClガスの供給を停止する。このようにして段階的にガス供給を停止することで、圧力変動を少なくすると共に、処理室201の圧力が搬送室の圧力よりも高い状態を維持することができる。従って、基板表面に所望の膜を形成して次の処理であるStep2に移行する際でも、より確実に基板のズレを抑えることが可能となる。
【0094】
Step5の後、Step2からStep5を繰り返し、所望の膜厚の窒化チタン膜を形成する。
【0095】
なお、Step1、Step3、Step5において、常に処理室201の圧力を待機室102の圧力よりも高くするよう制御するために、差圧計229によって処理室201と待機室102の圧力差を検出し、その出力結果に基づいて、ガス供給部及び/またはガス排気部をコントローラ(制御部)により制御する。このように、常に処理室201内の圧力が待機室102内の圧力とすることが可能となるため、基板200の位置ズレが防止され、処理ガスが待機室側に入り込むことを抑制することができる。即ち、ランプヒータ213の表面への成膜を防ぐことができる。
【0096】
特に表面積が707cmである基板表面に、1気圧の圧力差により発生する総荷重は、約690kgである。微細加工を施した基板では、5kgfの荷重でも破壊する可能性がある。このため、安全性を見込み、基板表側(処理室201)と裏面(待機室102)側との圧力差を5Torr以下に抑制する事が必要となる。このため、荷重量を考慮し、差圧を0.5〜5Torrの範囲で制御すると好ましい。
【0097】
本発明によって、以下に示す一つ又は複数の効果を奏する。
【0098】
ランプ表面に成膜されないため、ランプの放射特性の変化が抑制されるため基板へ成膜される膜の均一性が向上する。
【0099】
また、基板の位置ズレの発生確率が低減される。
【0100】
また、基板の反り低減を図ることが可能となる。
【0101】
また、基板のズレ、反りが低減されることから、パーティクルの発生を抑制することが可能となる。
【0102】
基板処理装置10で行われる成膜処理には、例えば、CVD、PVD、ALD、Epi、その他酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理や、アニール処理、酸化処理、拡散処理等の処理において、処理過程で圧力が変動するプロセスで実施可能である。
【0103】
また、複数の基板処理装置100に通信回線を介して接続され、複数の基板処理装置100の状態を管理する群管理装置(管理サーバ)及びこのような基板処理装置及び群管理装置を含む基板処理システムにも適用することができる。尚、群管理装置は、基板処理装置と同じフロア(クリーンルーム)に配置する必要はなく、例えば、LAN接続され、事務所に配置してもよい。また群管理装置において、格納部(データベース)や制御部と操作部や表示部を一体にする必要はなく、それぞれを別体にしてもよく、クリーンルーム上に配置されたデータベース内のデータを遠隔で事務所に配置された端末装置による操作画面上の操作(例えばインストール作業等)を行えるように構成しても良い。
【0104】
なお、前述のプログラムとは、例えば、コンピュータ読み取り可能なハードディスク、フレキシブルディスク、コンパクトディスクなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体からシステムの制御部にインストールされたものであっても良い。
【0105】
本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を特徴とするが、さらに次に付記した事項も含まれる。
【0106】
[付記1]
基板が処理される基板処理室と、
基板を処理する際に複数の処理ガスを交互に前記基板処理室に供給するガス供給部と、
前記基板の裏面の一部を保持する保持機構と、前記保持機構を支持する支持部とを有する基板保持部と、
前記基板を裏面から加熱する加熱部と、
前記基板保持部が待機する待機室と、
前記基板処理室の圧力を前記待機室の圧力よりも高くするよう前記ガス供給部及び又はガス排気部を制御する制御部と
を有する基板処理装置。
【0107】
[付記2]
更に、
前記基板保持部が基板処理ポジションに位置した状態でパージガスを供給するパージガス供給部と、
前記待機室に不活性ガスを供給する待機室不活性ガス供給部と
を有する付記1記載の基板処理装置。
【0108】
[付記3]
更に
前記制御部は、前記パージガス供給部からパージガスの供給を開始した後、前記ガス供給部から第1の処理ガス又は前記第2の処理ガスの供給を開始するよう制御する付記2に記載の基板処理装置。
【0109】
[付記4]
更に、
前記制御部は、前記ガス供給部から第1の処理ガスまたは第2の処理ガスを供給すると共に前記パージガス供給部からパージガスを供給し、所定の時間経過後、前記第1の処理ガスまたは前記第2の処理ガスの供給を停止した後、前記パージガス供給部の供給量を低減するよう制御する付記2または3記載の基板処理装置。
【0110】
[付記5]
更に、
前記制御部は、前記ガス供給部から第1の処理ガスまたは第2の処理ガスを供給すると共に、前記パージガス供給部からパージガスを供給して第1の膜を形成し、
第1の膜を形成後、前記第1の処理ガスまたは第2の処理ガスの供給を停止すると共に、前記パージガスを継続して供給し前記第1の処理ガスまたは第2の処理ガスを前記処理室からパージし、
前記処理室から第1の処理ガスまたは第2の処理ガスをパージ後、前記パージガスの供給量を増加し、その後前記第1の膜を形成したガスと異なるガスの供給を開始するよう制御する付記2から4のうち、いずれか1項に記載の基板処理装置。
【0111】
[付記6]
更に、
前記制御部は、前記処理室から第1の処理ガスまたは第2の処理ガスをパージ後、その後前記第1の膜を形成したガスと異なるガスの供給を開始した後、前記待機室不活性ガス供給部から前記待機室に不活性ガスを供給する付記5に記載の基板処理装置。
【0112】
[付記7]
基板保持部が待機室で待機すると共に基板処理ポジションにて基板を保持し、基板表面を処理室雰囲気に晒す工程と、
前記基板を前記裏面から加熱しつつ、前記処理室の圧力を前記待機室の圧力よりも高くなるように、複数の処理ガスを交互に処理室に供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【0113】
[付記8]
また
多数の孔を有するシャワーヘッドを介して基板上に均等に原料を供給する枚葉ALD装置である
【0114】
[付記9]
また、
基板裏面よりランプによって基板を加熱する枚葉ALD装置である。
【0115】
[付記10]
また、
基板の円周方向にゾーン分割してランプの出力を制御する機能を有する枚葉ALD装置である。
【0116】
[付記11]
また、
基板周縁部にパージガスを供給し、原料ガスが基板周縁部及び裏面に回り込まない機構を有する枚葉ALD装置である。
【0117】
[付記12]
また、
原料ガス回り込み防止のパージガス流量を、原料ガスとキャリアガスの総流量に比例させ、且つ、同一タイミングで増減する機能を有する付記11に記載の枚葉ALD装置
【0118】
[付記13]
また、
基板が上部位置にある場合、基板表面領域の圧力が、基板裏面領域の圧力より常時0.5Torrから3Torr高くなる様に圧力制御する枚葉ALD装置である。
【0119】
[付記14]
また、
基板がランプに近接する下部位置でプレヒートを実施した後に、基板を上部位置に移動し成膜を開始する枚葉ALD装置である。
【0120】
[付記15]
また、
プレヒート時、基板周辺領域のランプ出力を中央部に対し先行して上昇させ、後に中央部のランプ出力を上昇させる枚葉ALD装置である。
【符号の説明】
【0121】
5 狭空間形成部材
100 基板処理装置
101 処理空間
102 待機室
200 ウエハ(基板)
201 処理室
260 コントローラ
270 狭空間領域

図1
図2
図3
図4