(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の放熱構造体の態様としては、例えば、
図9に示すような、ヒートシンク10と、ヒートブロック20と、ヒートシンク10とヒートブロック20との間に介在する熱伝導シート60とを備える放熱構造体3が知られている。この放熱構造体3のヒートブロック20は、プリント基板40等に設けられた発熱体50と接触する。これにより、発熱体50から発生する熱は、ヒートブロック20と、熱伝導シート60と、ヒートシンク10とをこの順番に通過して外部へ放出される放熱ルートHR2を辿ることとなる。
【0003】
ここで、熱伝導シート60は、各部品の厚さ方向における寸法公差や各部品間の組立公差を吸収する役割を担うものである。ここで公差とは、各部品の表面に生ずる微小なうねりや傾きと加工/組み立てによるバラツキを意味する。これらの公差を吸収することにより、ヒートシンク10とヒートブロック20との密着性が担保される。
【0004】
また、特許文献1では、
図10に示すように、凸部を有するヒートシンク10と、そのヒートシンク10の凸部に接するように設けられる熱伝導シート60とを備える放熱構造体4が開示されている。ここで、プリント基板40に貫通孔を形成し、ヒートシンク10の凸部をプリント基板40の貫通孔に嵌合させ、発熱体50とヒートシンク10の凸部との間に熱伝導シート60を介在させる。これにより、発熱部50から発生する熱は、熱伝導シート60と、ヒートシンク10とをこの順番に通過して外部へと放出される放熱ルートHR3を辿ることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、熱伝導シートの熱伝導率は、一般的にヒートシンクやヒートブロックの熱伝導率と比較して低い。さらに、熱伝導シートは、前述したように、各部品の厚さ方向における寸法公差や各部品間の組立公差を吸収するものであるため、一定以上の厚みを有することが求められる。上記従来の放熱構造体の態様では、発熱部から発生する熱は、必ず熱伝導シートを介して外部へ放出されることとなる。そのため、放熱構造体の放熱効率が低下するという課題がある。
【0007】
一方、熱伝導シートを使用しなければ、上記のような公差を吸収することができないため、ヒートシンクとヒートブロックとの密着性が低下し、結果的に放熱構造体の放熱効率が低下してしまう。また、熱伝導シートの代わりに、熱伝導シートよりも熱伝導率が大きい熱伝導グリスを介在させることが考えられるが、厚さ方向の寸法公差は大きいため、熱伝導グリスを介在させただけではヒートシンクとヒートブロックとの密着性を十分に担保することはできない。
【0008】
特許文献1に記載の放熱構造体の態様においても、熱伝導シートが使用されており、発熱体から発生する熱は、熱伝導シートを介して外部へと放出されるため、上記と同様の課題を有する。
【0009】
本発明は、従来の放熱構造体と比較して放熱効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の放熱構造体は、発熱体と向かい合う第1面に、
底面及び側面を有する凹部が設けられたヒートシンクと、
上面及び底面及び側面を有し、前記凹部に嵌合するヒートブロックと、前記凹部の側面及び前記ヒート
ブロックの側面の両方に接する熱伝導グリスと
、前記凹部の底面及び前記ヒートブロックの上面の両方に接する熱伝導シートと、を備え、前記ヒートブロックの底面は、前記発熱体と接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の放熱構造体によれば、従来の放熱構造体と比較して放熱効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る放熱構造体を
図1及び2を参照しながら説明する。本発明の実施の形態1に係る放熱構造体1は、
図1及び
図2に示すように、ヒートシンク10と、ヒートブロック20と、熱伝導グリス30とを備える。プリント基板40等に設けられた発熱体50とヒートブロック20とが接触することにより、発熱体50から発生する熱をヒートシンク10から放出することができる。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0014】
ヒートシンク10は、発熱体50と向かい合う第1面11を有しており、第1面11には凹部12が設けられている。凹部12は、側面S1及び底面B1を有する。凹部12は、具体的には円柱形状であって、その中心軸A1の方向はヒートシンク10の第1面11と垂直な方向である。また、ヒートシンク10の第1面11と反対側の第2面13にはフィン14が設けられている。ヒートシンク10の第2面13にフィン14が設けられることにより、ヒートシンク10の表面積が増大されるため、放熱構造体1の放熱効率が向上する。しかしながら、本発明は、ヒートシンク10の第2面13にフィンが設けられるものに限定されない。
【0015】
ヒートブロック20は、上面T2と、側面S2と、底面B2とを有する。ヒートブロック20は、具体的には円柱形状であって、その中心軸A2の方向はヒートシンク10の第1面11と垂直な方向である。ヒートブロック20は、ヒートシンク10の凹部12と嵌合する。ヒートブロック20の底面B2は、発熱体50と接する。ヒートブロック20が発熱体50と接することにより、発熱体50から発生する熱を一旦ヒートブロック20に逃がすことができて、発熱体50は発熱体50自身が発する熱が内部に籠って破損することを防止できる。
【0016】
熱伝導グリス30は、凹部12の側面S1及びヒートブロック20の側面S2との間に介在する。すなわち、両方の側面S1,S2と接する。これにより、凹部12の側面S1とヒートブロック20の側面S2との間の密着性を向上させることができる。熱伝導グリス30は、ペースト状であって容易に変形することが可能で、その厚みは、例えば0[mm]より大きく、0.3[mm]以下の間で変動できる。また、発熱体50とヒートブロック20の底面B2との間の密着性を向上させるため、発熱体50とヒートブロック20との間にも熱伝導グリスを介在させることが好ましい。熱伝導グリス30の材料は、例えばシリコン等が考えられ、その熱伝導率は3.0[W/(m・K)]である。熱伝導率を向上させるために、銀等の金属粒子を混入させても良い。
【0017】
この構成により、発熱体50から発生する熱は、ヒートブロック20、熱伝導グリス30、ヒートシンク10をこの順番に通過して、外部に放出される放熱ルートHR1を辿ることとなる。そのため、従来の放熱構造体と比較して、放熱効率を向上させることができる。以下詳細を説明する。
【0018】
従来の放熱構造体の態様では、
図9に示すように、ヒートシンク10に凹部が設けられておらず、ヒートシンク10は熱伝導シート60を介してヒートブロック20と接触する。そのため、発熱部50から発生する熱は、必ず熱伝導シート60を介して外部へ放出されることとなる。
【0019】
熱伝導シート60の熱伝導率は、一般的にヒートシンク10やヒートブロック20の熱伝導率と比較して低い。例えば、ヒートシンク10やヒートブロック20の材料は銅やアルミニウムであって、銅の熱伝導率は398[W/(m・K)]で、アルミニウムの熱伝導率は236[W/(m・K)]である。これに対して、熱伝導シート60の材料は、例えばシリコンであって、その熱伝導率は2.3[W/(m・K)]である。
【0020】
さらに、熱伝導シート60は、各部品の厚さ方向における寸法公差、すなわちヒートシンク10の厚みの寸法公差と、ヒートブロック20の厚みの寸法公差と、発熱体50の厚みの寸法公差と、プリント基板40の厚みの寸法公差とを吸収する役割を担うものである。さらに、各部品間の組立公差、すなわちプリント基板40と発熱体50との組立公差と、発熱体50とヒートブロック20との組立公差をも吸収する役割を担う。これにより、ヒートシンク10とヒートブロック20との密着性が担保される。これらの公差を吸収するためには、熱伝導シート60は一定以上の弾性と厚みを有することが要求される。
【0021】
例えば、ヒートシンク10の厚みの寸法公差は0.05[mm]で、ヒートブロック20の厚みの寸法公差は0.05[mm]で、発熱体50の厚みの寸法公差は0.1[mm]で、プリント基板40の厚みの寸法公差は0.05[mm]で、プリント基板40と発熱体50との間の組立公差は0.05[mm]で、発熱体50とヒートブロック20との間の組立公差は0.1[mm]である。これらの公差を足し合わせた公差の合計値は0.4[mm]である。この程度の大きな公差を吸収するためには、例えば厚みが0[mm]より大きく0.3[mm]以下で変動するような熱伝導グリスでは不十分であって、厚みが例えば2.0[mm]の熱伝導シート60が使用される。この熱伝導シート60は、ヒートシンク10とヒートブロック20との間で圧縮されて、例えば1.6[mm]となる。
【0022】
ここで、放熱構造体の放熱効率を示す指標として伝熱量を用いる。伝熱量とは、ある物体の一方の表面から他方の表面に移動する熱量を意味し、以下の[数1]に示すように、その物体の面積A、物体の熱伝導率C、及び物体の両面の温度差Dに比例し、物体の厚みBに反比例する。
【0023】
【数1】
従来の放熱構造体3の態様では、ヒートシンク10とヒートブロック20との間は熱伝導シート60を介して接触されるため、ヒートシンク10からヒートブロック20への伝熱量は、熱伝導シート60の伝熱量と等しい。そこで、熱伝導シート60の伝熱量を検討する。
【0024】
熱伝導シート60の直径を14[mm]とすると、その面積は約154[mm
2]となる。さらに熱伝導シート60の厚みを1.6[mm]、熱伝導シート60の熱伝導率を2.3[W/(m・K)]とし、両面の温度差が20[K]である場合、熱伝導シート60の伝熱量は[数1]から4.42[W]となる。
【0025】
本実施の形態に係る放熱構造体1では、ヒートシンク10の第1面11に凹部12が設けられおり、凹部12の側面S1は、熱伝導グリス30を介してヒートブロック20の側面S2と接触する。そのため、ヒートシンク10からヒートブロック20への伝熱量は、熱伝導グリス30の伝熱量と等しい。そこで、熱伝導グリス30の伝熱量について検討する。
【0026】
ヒートブロック20の上面T2の直径を14[mm]、ヒートシンク10の凹部12と接触するヒートブロック20の高さを3.8[mm]とすると、ヒートシンク10とヒートブロック20との間の熱伝導グリス30の面積は167[mm
2]となる。さらに、熱伝導グリス30は、熱伝導シートと同様にヒートシンク10とヒートブロック20との密着性を向上させるものであるが、その厚みは熱伝導シートと比較して薄く、ここでは0.1[mm]とする。そして、熱伝導グリス30の熱伝導率を3.0[W/(m・K)]とし、両面の温度差が20[K]である場合、熱伝導グリス30の伝熱量は[数1]から100.23[W]となる。
【0027】
上記のような熱伝導グリス30と従来の熱伝導シート60との伝熱量を比較すると、面積と、両面の温度差とがそれぞれ同程度であるにもかかわらず、熱伝導グリス30の伝熱量は、熱伝導シート60の伝熱量の22倍以上となった。これは、熱伝導シート60の熱伝導率が2.3[W/(m・K)]であるのに対して、熱伝導グリス30の熱伝導率が3.0[W/(m・K)]と大きいことと、熱伝導シート60の厚みが1.6[mm]であるのに対して、熱伝導グリス30の厚みが0.1[mm]と特に薄いことに基づく。
【0028】
本発明の実施の形態に係る放熱構造体1は、従来のように凹部を有しないヒートシンクとヒートブロックとを接触させることにより放熱を行うものではなく、ヒートシンク10の凹部12の側面S1とヒートブロック20の側面S2とを接触させることにより放熱を行うものである。そのため、放熱構造体1の放熱性に影響を与える公差は、厚さ方向における公差ではなく、径方向における公差である。
【0029】
前述したように、厚さ方向における公差の合計値は、例えば0.4[mm]である。これに対して凹部12の径方向の寸法公差は、例えば0.1[mm]で、ヒートブロック20の径方向の寸法公差も、例えば0.1[mm]である。これらを足し合わせた径方向の公差の合計値はわずか0.2[mm]である。
【0030】
この程度の微小な公差の吸収に対しては、一定以上の厚みを持つ熱伝導シートを介在させる必要がなく、両者間に例えば厚みが0[mm]より大きく0.3[mm]以下で変動するような熱伝導グリス30を介在させるだけでヒートシンク10とヒートブロック20との密着性の問題は解決される。
【0031】
以上より、本発明の実施の形態に係る放熱構造体1は、従来の放熱構造体と比較して、放熱効率を向上させることができる。特に、ファンレスであっても十分な放熱効率が得られる。ただし、本発明はファンレスの放熱構造体に限定されない。ファンを有している場合は、さらに放熱効率が向上する。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る放熱構造体を、
図3を参照しながら説明する。本発明の実施の形態2に係る放熱構造体2は、熱伝導シート60を備える点で実施の形態1に係る放熱構造体と相違するが、その他の構成要素については同様であるため省略する。以下、熱伝導シート60について詳細に説明する。
【0032】
熱伝導シート60は、凹部12の底面B1及びヒートブロック20の上面T2の両方と接する。すなわち、熱伝導シート60は、ヒートシンク10の凹部12の底面B1と、ヒートブロック20の上面T2との間に介在する。熱伝導シート60の熱伝導率は、例えば2.3[W/(m・K)]である。また、熱伝導シート60は、ヒートシンク10の厚さ方向における各部品の寸法公差や部品間の組立公差を吸収する役割を担うものであって、そのために、熱伝導シート60は一定以上の弾性と厚みを有する。熱伝導シート60は、例えば厚みが2.0[mm]のものが使用され、凹部12の底面B1とヒートブロック20の上面T2との間で圧縮されて、例えば1.6[mm]となる。これにより、本実施の形態に係る放熱構造体2は、ヒートシンク10の凹部12の底面B2と、ヒートブロック20の上面T2とを密着させることができる。
【0033】
本実施の形態に係る放熱構造体2によれば、発熱体から発生する熱は、実施の形態1に係る放熱構造体のように、ヒートブロック20、熱伝導グリス30、ヒートシンク10をこの順番に通過して外部に放出される放熱ルートHR1に加えて、従来の放熱構造体のように、ヒートブロック20、熱伝導シート60、ヒートシンク10をこの順番に通過して外部に放出される放熱ルートHR2をも辿ることとなる。
【0034】
したがって、本実施の形態に係る放熱構造体2において、ヒートブロック20からヒートシンク10への伝熱量は、実施の形態1に係る熱伝導グリスの伝熱量と、従来の熱伝導シートの伝熱量とを足し合わせた量となる。例えば、実施の形態1で例示したように、熱伝導グリス30の伝熱量を100.23[W]、熱伝導シート60の伝熱量を4.42[W]とすると、実施の形態2におけるヒートブロック20からヒートシンク10への伝熱量は、104.65[W]となる。したがって、実施の形態2に係る放熱構造体は、実施の形態1に係る放熱構造体よりもさらに放熱効率を向上させることができる。
【0035】
また、実施の形態2では、凹部12の底面B1とヒートブロック20の上面T2との間に熱伝導シート60が介在するため、ヒートブロック20及び発熱体は厚さ方向に押圧されることとなる。そのため、熱伝導シートを使用しない実施の形態1と比較して、発熱体50とヒートブロック20との間の密着性をより向上させることができる。
【0036】
なお、実施の形態1では、ヒートシンク10の凹部12の底面B1とヒートブロック20の上面T2との間に熱伝導シート60が設けられておらず、厚さ方向において両者間が密着しないため、厚さ方向の伝熱量はあまり期待できないが、全く厚さ方向に伝熱されないというわけではない。実施の形態2のように両者間に熱伝導シート60を介在させことで、厚さ方向において両者間を密着できるため、伝熱量を増大できると考えられる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、本発明の実施の形態1及び2に係る放熱構造体の製造方法の一例を、
図4〜7を参照しながら説明する。まず、
図4に示すように、第2面13にフィン14が形成されたヒートシンク10を準備する。ここで、前述したように、ヒートシンク10の第2面13にフィン14が形成されていなくともよい。
【0037】
次に、
図5に示すように、ヒートシンク10の第1面11に凹部12を形成する。ここで、ヒートシンク10自身を成形する際に、まとめて凹部12を形成すると、凹部12の径方向の寸法公差を制御することが困難である場合がある。そこで、ヒートシンク10が一旦成形された後に、別途凹部12を形成することにより、容易に凹部12の径方向の寸法公差を制御することができ、さらに凹部12が形成される場所や凹部12の大きさを必要に応じて変更することができる。例えば、第1面11に凹部12が形成されていないヒートシンク10を成形した後に、ザグリ加工により第1面11に凹部12を形成する方法等が考えられる。ただし、本発明の凹部はザグリ加工によって形成されるものに限定されない。また、最初から凹部が形成されたヒートシンクを成形しても良い。この場合は、ヒートシンクの成形と同時に凹部が形成されるため、別途凹部を形成する工程を省略できて、製造工程を少なくすることができる。
【0038】
そして、
図6に示すように、実施の形態2に係る放熱構造体を製造する場合は、ヒートシンク10の凹部12の底面B2に熱伝導シート60を設ける。ただし、熱伝導シート60は、必ずしも凹部12の底面B1に設けられる必要はなく、凹部12の底面B1とヒートブロック20の上面T2との間に熱伝導シート60を設ければよい。例えば、ヒートブロック20の上面に熱伝導シート60を設けてもよい。実施の形態1に係る放熱構造体を製造する場合は、この工程を行わない。
【0039】
最後に、
図7に示すように、ヒートブロック20を凹部12に嵌合させる。なお、嵌合させる前に、ヒートブロック20の側面S2に熱伝導グリス30を塗布しておく。これにより、ヒートブロック20は凹部12の側面S1と熱伝導グリス30を介して接触する。ヒートブロック20の側面S2に熱伝導グリス30を塗布する代わりに、凹部12の側面S1に熱伝導グリス30を塗布しても良く、両方の側面S1,S2に熱伝導グリス30を塗布しても良い。
【0040】
また、実施の形態2の放熱構造体を製造するために熱伝導シート60を設けた場合は、ヒートシンク10と熱伝導シート60、及び熱伝導シート60とヒートブロック20とが接触するようにする。すなわち、凹部12の底面B1とヒートブロック20の上面T2とが熱伝導シート60を介して接触するようにする。
【0041】
ここで、ヒートブロック20の円柱軸を中心として回転させながら凹部12に嵌合させることが望ましい。以下、詳細を説明する。ヒートシンク20をヒートシンク10の凹部12に嵌合させるには、ヒートブロック20の径と凹部12の径とで寸法の差がなければならない。すなわち、ヒートブロック20の径は、凹部12の径に対して微小に小さい。そこで、ヒートブロック20を回転させながら凹部12に挿入することにより、凹部12の径とヒートブロック20の径との寸法の差を最小限にしても挿入しやすくなる。例えば、凹部12の直径の寸法は、14.2[mm]であり、ヒートブロック20の直径の寸法は14.0[mm]であって、その寸法の差をわずか0.2[mm]とすることができる。これにより、ヒートシンク10の凹部12の側面S1とヒートブロック20の側面S2との密着性を向上させることができ、ひいては放熱構造体の放熱効率を向上させることができる。
【0042】
そして、このように形成された放熱構造体は、
図2又は3に示すように、発熱体50とヒートブロック20の底面B2とを接触させることにより、発熱体50から発生する熱を外部に放出することができる。
【0043】
なお、実施の形態1及び2では、ヒートシンク10の凹部12及びヒートブロック20は、円柱形状であることを述べたが、これに限定されない。例えば、ヒートシンクの凹部及びヒートブロックが多角柱形状であっても、ヒートブロックの側面が熱伝導グリスを介して凹部の側面と接触するため、従来の放熱構造体と比較して放熱効率を向上させることができる。円柱形状の場合は、ヒートブロックを回転させながら凹部に嵌合させることができる。
【0044】
さらに、実施の形態1では、ヒートシンク10の凹部12は底面B1を有し、ヒートブロック20は上面T2を有することを述べたが、これに限られず、ヒートシンクの凹部が底面を有さず、ヒートブロックが上面を有していなくともよい。例えば、
図8に示すように、ヒートシンク10の凹部12及びヒートブロック20の形状が円錐形状や多角錐形状である場合が考えられる。この場合であっても、ヒートブロック20の側面S2は、熱伝導グリス30を介してヒートシンク10の凹部12の側面S2に接するため、従来の放熱構造体と比較して放熱効率を向上させることができる。多角錐形状や円錐形状の場合、円柱や多角柱の場合と比較して側面の面積を大きくすることが可能であるため、より放熱構造を向上させることができる。円錐形状の場合は、ヒートブロックを回転させながら凹部に嵌合させることができる。