(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粒子のバルクを受け取り、前記粒子を単数化し、前記単数化された粒子を前記搬送装置(300)に供給する、供給装置(100、200)をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
前記供給装置(100、200)は、前記粒子を受け取り、前記粒子を前記搬送方向に前記搬送面へ搬送するように構成されたエンドレス供給ベルト(210)を備え、前記粒子を前記搬送面の前記穿孔に吸引させることができる、請求項4に記載の装置。
前記供給ベルト(210)は、前記搬送方向に延びる複数の平行な溝を有する外側面を有し、前記溝は前記搬送面の前記穿孔(314)間の横方向距離に対応する横方向距離を有する、請求項5に記載の装置。
前記搬送面に吸引されなかった粒子を、前記供給装置(100、200)に送り返すための再循環ダクト(120)をさらに備える、請求項4〜6のいずれか1項に記載の装置。
前記光源(411)と前記光検出器(421)は、前記穿孔(314)を通して光を当てるために、前記搬送面の異なる側に配置され、前記光検出器(421)は、前記測定装置(400)を通過して移動する前記搬送面上の粒子を透過した光を受光するように配置される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
前記光源(411)と前記光検出器(421)は、前記搬送面の同じ側に配置され、前記光検出器(421)は、前記測定装置(400)を通過して移動する前記搬送面上の粒子から反射された光を受光するように配置される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
前記測定装置(400)は、異なる横位置で前記測定装置(400)を通過して移動する粒子の分析特性を同時に測定できるように、前記搬送方向に対して横に延びる横方向に沿って配置された複数の光検出器(421)を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
前記搬送装置は、前記搬送面の第1の側の前記穿孔(314)に前記粒子を吸引するように構成され、前記噴射ノズル(511)は、前記搬送面の反対側の第2の側に位置し、前記穿孔(314)を通してエアジェットを生成する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
少なくとも1つの分析特性を決定する前記工程が、前記測定装置(400)を同時に通過して移動する複数の粒子から受光した光の空間分解スペクトルを記録する工程を備える、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
大きさ、形状、色、特定の物質の有無、又は水分、密度、タンパク質含有量等の有機特性等のさまざまな基準に従って、粒状材料を選別するための、多くのシステムが先行技術で提案されてきている。この目的のために、粒子の画像を撮る及び/又は粒子の電磁スペクトルの赤外、可視又は紫外領域のスペクトル特性を測定する測定機構を通過させて、粒子を搬送することが公知である。
【0003】
測定機構を通過させて粒子を搬送するさまざまな手段が提案されている。特に、粒子が測定領域に向かって傾斜台を滑落する又はコンベアベルトで搬送され、自由落下する粒子がこの測定領域を横切るといった、多様な配置が提案されている。選択された粒子を圧縮空気ノズルからの空気流によって別の容器に向きをそらせることにより粒子を選別する。特許文献1、特許文献2及び特許文献3が例として挙げられる。このような配置では、選別中の粒子の取り扱い工程が制御されないので、測定工程及び選別工程を適切に同期させることが困難であり、向きを変えるべき粒子を空気流で打ち損なったり、間違った粒子の向きを変えてしまったりする恐れがある。このような配置のさらなる不利益は、測定工程中の粒子の方位及び正確な軌道が確定できないことである。さらにまた、このような機構は、測定条件に関して非常に限られた適応性しかない。単なる例としては、ある機構がいったん選択されれば、この機構は測定領域を横切る粒子の速度を決定し、従って検出器の最大積分時間を決定する。このことは、もし決定されるべき分析特性が変更されれば、異なる分析特性は検出器の異なる積分時間を必要とするかもしれないので不利益である。他の不利益は、このような配置は、粒子を一般に2つの品質等級にしか選別しないことであり、2より多い品質等級に選別するような改良は実行が難しい、又は実行不可能である。
【0004】
特許文献4は、その内側に多数のポケットを備えた回転ドラムの内側の測定領域に粒子を通過させて搬送する、選別装置を開示している。ドラムは、遠心力で粒子がポケットに単独で保持されるような速度で回転される。ポケットには複数の穿孔が設けられている。検出器はこれらの穿孔を通して粒子の特性を測定し、粒子は空気パルスによって異なる容器に選別される。このような機構の不利な点は、回転ドラムの可能な回転速度(角速度)の範囲が非常に限られることである。もし回転速度が遅すぎれば、粒子は測定及び選別工程中にポケットに適切に保持されない恐れがある。一方、回転速度が速すぎると、ポケットが数個の粒子で過剰充填されるリスクがある。
【0005】
特許文献5は、ビデオ画像によって複数の穀物粒を同時に判断する装置を開示する。穀粒は、複数の横溝を有する振動コンベアベルトによって、ビデオカメラの前を通過して搬送される。穀物粒は第2のコンベアベルトを用いてこれらの溝に広げられる。穀粒を異なる溝から分離するために、第1のベルトの溝と整列させた同様の溝を有する第3のベルトで第1のベルトの溝を覆い、2つのベルトの間に円筒形の管路を形成することが提案されている。圧縮空気源を使用して、選択された管路の穀粒を別の容器に吹き飛ばす。この配置の不利な点は、選択された管路の全ての穀粒が同じ容器に吹き飛ばされることであり、即ち、単一の穀粒を個別に選択することが不可能である。
【0006】
特許文献6は、反射分光法を用いて無機鉱物粒子を選別する装置のさまざまな実施形態を開示する。1つの実施形態では、長手方向に溝が付けられたコンベアベルトに粒子を供給し、反射分光計を通過させて搬送する。分光計から得られたスペクトル情報に基づいて、鉱物粒子を分類し、個別に特定された粒子を、1つの圧縮空気小型サイクロンでコンベアベルトから採集することができる。この装置は、ベルトから個々の粒子を採集するための手段が1つだけなので、多量の粒子サンプルから関心ある比較的少量の粒子を採集することにのみ適している。しかし、このような装置は、同じようなサイズの異なる品質等級に粒子を選別するのには適切ではない。
【0007】
種まき機から、穿孔を有するドラムを用いて同一の種子を分配することが、公知であり、穿孔を吸引して、真空作用によりドラムで種子をピックアップすることができる。このような機械の例が、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10及び特許文献11で提供されている。これらの機械では、種子は、ピックアップ容器又はホッパーからドラムによってピックアップされ、解放領域で表面から解放されるまでずっとドラムの外部表面上を搬送され、そこから土壌に置かれる。解放は、ドラムの内側の受動機械的手段によって真空作用を遮断することにより実行され、ドラムの外側のスクレーパーと組み合わせることも可能である。これらの装置は位置調整機構としてのみ作用し、分析又は選別は全く行われない。これらは通常、農業用トラクター等の農業機械に組み込まれ、低速で前進して土壌に種子を適切に分布させることを可能にする。
【0008】
非特許文献1は、回転ドラムによって、後続の破砕装置に穀物を1粒1粒供給する方法を開示する。ドラムは内部スパイラル溝を有し、ドラムの一端部のU字形溝に穀物を搬送する。U字形の溝は、この溝の内側で穀粒を真空作用によって保持するための6つのピックアップ穴を有する。このように保持された穀粒を遮断溝に搬送し、そこで解放して破砕装置に落下させる。ドラムは30rpmの低速で回転する。搬送能力は毎秒約2粒である。選別は行われない。この機械的設計は、システムを高速にして機能を高めることができないので、急速選別の用途には適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、個々の粒子を類似の分析特性の品質等級に、迅速かつ確実に選別することを可能にする選別装置を提供することであり、2より多い品質等級に選別できるように容易に改良でき、粒子の処理能力と測定パラメータの選択の柔軟性が向上される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の装置によって達成される。
【0013】
本発明はさらに請求項21に記載の選別方法に関する。
【0014】
本発明のさらなる実施形態は従属項に記載される。
【0015】
本発明は、粒子を品質等級に選別するための装置を提供し、この装置は、
前記粒子の少なくとも1つの分析特性を決定するための測定装置と、
前記粒子を前記測定装置を通過させて搬送するための搬送装置と、
前記粒子を前記分析特性に基づいて少なくとも2つの品質等級に選別するための、前記測定装置に動作可能に連結された選別装置とを備える。
【0016】
測定装置を通過させる粒子の効率的で迅速及び明確に規定された搬送を達成するために、搬送装置は、搬送方向に移動するように構成された搬送面を備え、前記搬送面は複数の穿孔を有する。前記搬送装置がさらに、少なくとも搬送面の選択された領域で前記穿孔に圧力差をかけるためのポンプを備え、前記搬送装置に供給された粒子を、前記穿孔に吸引させて、前記搬送面上を前記搬送方向に沿って前記測定装置を通過して前記選別装置へ搬送させる。
【0017】
このように、粒子は、穿孔によって画定された明確に規定された位置で、搬送面の第1の面上を搬送され、これらの穿孔は一般に粒子の最小寸法より小さいので、粒子が穿孔を通過することを防ぐ。真空作用によって粒子を吸引するために、ポンプは搬送面の反対の(第2の)面で囲まれた空間に周囲圧力より低い真空を加える吸引ポンプであることが好ましい。しかし、搬送面の第1の面から第2の面へ穿孔を通過する空気流を発生させるために、ポンプで第1の面に囲まれた空間に超過圧力を加えることもまた考えられ、これにより、第2の面に真空が加えられたのと同じように吸引が引き起こされる。
【0018】
測定装置は、穀物、豆、又は種子などの粒子をその分析特性に関して分析するために、1以上の分光計、イメージング分光計、カメラ、質量分析計、音響同調フィルタ等を含んでもよい。本装置は、調査中の粒子のスペクトル特性(即ち、波長への反射又は透過などの特定の光学特性の依存性)を測定することにより、1つ又はいくつかの分析特性を同時に査定することを可能にする。このような装置及び方法で選別することができる粒子の種類は、穀物、豆、種子、又は小麦、大麦、オート麦、米、トウモロコシ、ソルガムのような穀物の穀粒、大豆、カカオ豆、コーヒー豆等、さらに多くの農産粒子が挙げられるが、これに限定されない。査定できる分析特性の種類は、化学的又は生化学的特性、汚染体及び/又は感染体及び/又はその他の病原体による汚染度、及び/又は、大きさ、形状、色等の幾何学的及び知覚的特性が挙げられるが、これに限定されない。特に、生化学的特性は、生体内の物質の構造、組成、化学反応を反映する性質と理解される。生化学的特性は、タンパク質含有量、油分含有量、糖度、及び/又はアミノ酸含有量、水分含有量、多糖類含有量、特にデンプン含有量又はグルテン含有量、脂肪又は油分含有量、又は、当該分野で一般に公知の、例えば化学分解のマーカー等、特定の生化学又は化学マーカーの含有量が挙げられるが、これに限定されない。汚染又は感染体は有害な化学物質及び微生物を含み、これらは消費者に病気をもたらし、殺菌剤、除草剤、殺虫剤、病原体、バクテリア、菌類等が挙げられるが、これに限定されない。
【0019】
第1の好ましい実施形態では、搬送装置は前記移動可能な面を画定するエンドレス搬送ベルト(コンベアベルト)を備え、ベルトは複数の穿孔を有する。搬送装置はさらに好ましくは、底部に向かって開いているボックスを備え、ボックスの底部は前記搬送ベルトによって覆われ、ボックスはポンプに接続されて、前記ボックスを真空にする。このように、搬送ベルトの明確に規定された領域を非常に簡単な方法で真空にできる。ボックスは前記測定装置及び/又は前記選別装置の少なくとも一部を内蔵してもよい。例えば、ボックスは、粒子を分析するための光源又は音源等の1以上のエネルギー源を内蔵してもよく、粒子を透過した及び/又は粒子から反射又は散乱されたエネルギーを受け取る1以上の検出器、及び/又は、画定された位置で穿孔から粒子を選択的に押し出すための圧縮空気噴射ノズル等の1以上の作動装置を内蔵してもよい。
【0020】
他の好ましい実施形態では、搬送装置は、前記移動可能な面を画定する周囲面又は生成面を有する回転可能な搬送ドラム又はホイールを備える。このとき、好ましくは、ドラムは、ドラムの内部を真空にするためのポンプに接続される。特に、ポンプは、ドラムの中空の中心軸を通ってドラムの内部に接続させることができる。前記測定装置及び/又は前記選別装置の少なくとも一部を前記ドラム内に配置してもよい。
【0021】
全ての実施形態で、穿孔は搬送方向に延びる複数の平行な列に配置されれば好ましい。この方法では、複数の粒子を、明確に規定された位置で、同時に前記測定装置を通過させて移動させることが可能である。列と列の間の横方向距離は、粒子の重なりを防止するために、粒子の(平均)最大寸法より多少大きいことが好ましい。隣り合う列の穿孔は、穿孔が搬送面に長方形格子を形成するように搬送方向に沿って同じ位置に配置してもよく、又は、穿孔が斜め格子又はさらには不規則配置を形成するように搬送方向に沿って異なる位置に配置してもよい。
【0022】
装置は、前記粒子のバルクを受け取り、前記粒子を単数化し、前記単数化された粒子を前記搬送装置に供給する供給装置をさらに備えてもよい。好ましい実施形態では、供給装置は、前記粒子を、場合により振動台等の単数化装置と連結されたホッパー等の貯蔵装置から受け取り、前記粒子を搬送方向に前記搬送面へ搬送するように構成されたエンドレス供給ベルトを備え、前記粒子を前記搬送面の穿孔に吸引させることができる。供給ベルトは好ましくは、粒子が搬送面に吸引されるときに吸引を最適化し、搬送方向の粒子の加速を最小限にするために、搬送面の速度より遅いが近い速度で、好ましくは搬送面の速度の50%〜100%、特に70%〜90%で搬送方向に移動する。これにより、供給ベルトがない場合より、搬送面を高速で移動させることが可能となる。穿孔の下の粒子をよりよい位置にするために、供給ベルトは、搬送方向に延びる複数の平行な溝を有する外側面を有してもよく、溝は搬送面の穿孔間の横方向距離に対応する横方向距離を有する。いくつかの実施形態では、供給ベルトは搬送面と同様に穿孔されてもよく、同様に供給ベルトに圧力差をかけてもよい。供給ベルトにかけられた圧力差は、ゼロか、又は、供給ベルトから搬送面への粒子の吸引ために供給ベルトが搬送面と重なる領域で搬送面にかけられた圧力差よりもかなり小さいことが好ましい。
【0023】
前記搬送面に吸引されなかった粒子を、前記供給装置に送り返すための再循環ダクトをさらに備えてもよい。再循環ダクトは搬送面の圧力差もまた発生させる同じポンプに連結されてもよい。
【0024】
好ましい実施形態では、粒子の分析は光学手段で実行され、前記測定装置は、少なくとも1つの光源と少なくとも1つの光検出器を備える。「光」という用語は、電磁スペクトルの遠赤外(IR)領域から極紫外(UV)へ、又はさらにX線領域までの電磁波放射線の全ての種類を包含すると理解される。光源と光検出器は、前記穿孔を通して光を当てるために、搬送面の異なる側に配置されてもよく、光検出器は、測定装置を通過して移動する前記搬送面上の粒子を透過した光を受光するように配置されてもよい。その他の実施形態では、光源と光検出器は、搬送面の同じ側に配置されてもよく(好ましくは粒子が搬送されるほうの側に)、光検出器は、測定装置を通過して移動する前記搬送面上の粒子から反射された光を受光するように配置されてもよい。装置の処理能力を向上させるために、測定装置は、異なる横位置で測定装置を通過して移動する粒子の分析特性を同時に測定できるように、搬送方向に対して横に延びる横断方向に沿って配置された複数の光検出器を備えてもよい。
【0025】
光検出器は測定装置を通過して移動する粒子から受光した光のスペクトルを記録するように構成された少なくとも1つの分光計を備えてもよい。これらのスペクトルを分析してスペクトルから分析特性を導き出してもよい。幾つかの実施形態では、光検出器は、異なる横位置で測定装置を通過して移動する粒子の空間分解スペクトルを記録するよう構成されたイメージング分光計を備えてもよい。このようにして、これらの粒子のスペクトル特性を分析できるだけではなく、大きさ又は形状等の幾何学的特性もまた得られる。他の実施形態では、光検出器がカメラ、特に、ラインスキャンカメラ又は2次元画像センサを有するカメラを備えてもよい。これにより、他の特性とは独立に、大きさ及び/又は形状の分析が可能となる。
【0026】
選別は、圧縮空気式、圧電式、機械式及びその他のタイプの分類装置を含む、様々な方法で実行してもよい。例えば、選別装置は、前記測定装置に動作可能に連結された少なくとも1つの圧縮空気噴射ノズルを備えてもよく、噴射ノズルを通過して移動する粒子を選択的に搬送面から吹き飛ばすためのエアジェットを生成する。噴射ノズルは、このとき、前記穿孔を通してエアジェットを発生させるように、粒子が搬送される側とは反対の搬送面の側に位置することが好ましい。これにより、選択された単一の粒子の明確に規定された放出が可能となる。
【0027】
本発明による、粒子を品質等級に選別する方法は、
粒子を測定装置を通過させて搬送する工程、
前記測定装置によって前記粒子の少なくとも1つの分析特性を決定する工程、及び
前記分析特性に基づいて少なくとも2つの品質等級に前記粒子を選別する工程を備える。
【0028】
本発明によると、粒子は搬送方向に移動する搬送面によって搬送され、搬送面は複数の穿孔を有し、前記搬送装置に供給された粒子は、前記穿孔に吸引され、前記搬送面上を搬送方向に沿って測定装置を通過して搬送される。
【0029】
分析特性は光学測定(X線測定を含む)、音響測定、及び質量分光測定の1種以上によって決定されてもよい。測定が光学的であれば、粒子は搬送面の一方の側から照明され、前記穿孔から透過された光が搬送面の反対側で検出されてもよい。あるいは、粒子を搬送面の一方の側から照明し、前記搬送面上を測定装置を通過して移動した粒子から反射又は散乱された光が搬送面の同じ側で検出されてもよい。上記で説明したように、測定装置を通過して移動する複数の粒子の分析特性を同時に測定してもよい。上記で説明したように、少なくとも1つの分析特性を決定する工程が、測定装置を通過して移動する粒子から受光した光のスペクトル、特に、測定装置を同時に通過して移動する複数の粒子から受光した光の空間分解スペクトルを記録する工程を備えてもよい。選別の工程が、粒子を搬送面から選択的に吹き飛ばすエアジェットを生成する工程を備えてもよく、前記エアジェットが前記穿孔を貫通して、粒子を搬送面から吹き飛ばすことが好ましい。上記で説明したように、搬送面に吸引されなかった粒子は、前記搬送面から供給装置に戻されて再循環されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照して以下に説明するが、これらは、本発明の好ましい実施形態を説明するためだけのものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0032】
第1の実施形態
本発明の第1の実施形態による選別装置を
図1〜4で説明する。この装置は、供給ユニット100と、加速ユニット200と、搬送ユニット300と、測定ユニット400と、選別ユニット500とを備える。これらのユニットは共通の制御ユニット(図示せず)で制御される。
【0033】
供給ユニット100は振動台に設置されたホッパー110を備え、ホッパーは貯蔵部及び分配ユニットの役割を果たす。ホッパーに粒子が充填され、振動台は、手動又は自動のいずれかで作動させられ、ホッパーに入れられる粒子の数が、規定の時間間隔で分析及び選別のためにホッパーから出ていく粒子の数と大体一致するように設定される。粒子は供給ユニット100から加速ユニット200へ放出される。
【0034】
加速ユニット200は、軸212を有するローラー211にガイドされ、軸受213に支持され、駆動ベルト221、222を介してモーター220によって駆動される第1コンベアベルト210を備える。コンベアベルト210はその外側面に、
図6により詳細に示される複数の長手方向の溝を有する。本実施例では、これらの溝は長手方向のリブ214で形成され、その横方向距離が溝の幅を決定し、分析及び選別される粒子の横寸法とおおよそ一致する。コンベアベルト210は供給ユニット100の出口の下に位置する。コンベアベルト210は、供給ユニット100から粒子を受け取り、単数化された形の粒子を1つずつ複数の列に整列させ、搬送ユニット300に向かって搬送方向に粒子を加速させる働きをする。
【0035】
搬送ユニット300は、
図5〜7により詳細に示されるように、穿孔(貫通穴)314の複数の平行な長手方向列を有する第2コンベアベルト310を備える。搬送ユニット300はさらに、その底部に向かって開いている真空ボックス320を備え、真空ボックス320はその底部でコンベアベルト310によって閉じられる。ボックス320は、真空管140(
図3を参照)を介してエアポンプ130に連結され、ボックス320内に周囲気圧に対して減圧を作り出す。エアポンプ130が作動されると、コンベアベルト130がさらに吸引されて、真空力Fvによって真空ボックス320の下端壁に押し付けられるので、密封が向上して空気の喪失を防止する。これは
図5に概略的に示される。このとき、真空ボックスの底部を閉鎖するコンベアベルト310のその領域では、空気は、穿孔314からのみ真空ボックス320に吸い込まれる。それにより、吸引作用がこれらの穿孔で発生させられ、これは穿孔314の近傍にある粒子を吸引して保持するために十分である。
【0036】
搬送ユニット300の側面はサイドカバー301で覆われており、
図2及び3ではこれらを取り除いて、搬送ユニットの内部を見ることができる。これらの図では、真空ボックスの側壁の1つもまた取り除かれている。
【0037】
第2コンベアベルト310は、第1コンベアベルト210の上方に一定の垂直距離hを隔てて、搬送方向に沿って下流位置に設置され、その結果、2つのベルトは搬送方向に沿って一部だけが重なる。距離hは、一方で、粒子が2つのベルトの間を移動するために十分な空間があり、他方で、第1コンベアベルト210から粒子が吸引されて第2コンベアベルト310の穿孔まで持ち上がるように、選択される。真空ボックス320内の真空によって、第2コンベアベルト310の外側の穿孔314ごとに、1つの粒子がしっかりと保持される。
【0038】
粒子が互いに邪魔にならないことを確実にするために、穿孔314同士の間隙は、粒子の最長線寸法より長くなるように選択される。他方では、不必要にベルト速度を速めることなく、高い搬送及び/又測定能力を達成するために、間隙の距離はできるだけ小さくなるよう選択されなければならない。穿孔314の直径は、粒子が穴を通過して真空ボックス320に入ってしまうことを避けるために、粒子の最短線寸法より小さくしなければならない。
【0039】
粒子の単数化を向上するために、第2コンベアベルトが供給ユニット100から粒子を受け取る領域に、同様の真空系を第1コンベアベルト210にも任意に採用してもよい。第2コンベアベルト310の穿孔への粒子の吸引が妨害されないように、第2コンベアベルト310と重なる領域の第1コンベアベルト210の上では真空を有効にするべきではない。
【0040】
第1コンベアベルト210の線速度は、このコンベアベルト上の粒子が第2コンベアベルト310によって容易に収集できる十分な速度に加速されるように設定されなければならない。第1コンベアベルト210による、粒子のこのような事前加速によって、第2コンベアベルト310により速い速度を使用することができ、又は、換言すれば、向上した搬送能力が得られる。第1コンベアベルト210の最適速度は、第2コンベアベルト310の速度と非常に近くなる。実際、第1コンベアベルト210の速度を第2コンベアベルト310の速度よりかなり遅くすれば、粒子は第2コンベアベルト310によって収集されるために、ほとんど瞬時に加速されなければならず、第2コンベアベルト310から粒子が落下してしまう、又は、高速での効率レベルを下げて集められてしまう恐れがある。
【0041】
このように、粒子は搬送ユニット300によって1つずつ集められて、測定ユニット400に向けて搬送される。搬送ユニット300によって集められずに加速ユニット200から離れる粒子は、再循環ダクト120に落ち、ポンプ130によってホッパー110内に送り返される。
【0042】
測定ユニット400は通常、調査中の粒子を電磁波放射線又は音波にさらすために少なくとも1つのエネルギー源と、調査中の粒子から電磁波放射線又は音波を受け取るように配置された少なくとも1つの検出器を備える。
図1〜4では、エネルギー源は光ファイバーの直線アレイの端部によって概略的に記号化されているにすぎず、各ファイバーはコンベアベルト310の穿孔の1つの長手方向列の上で終端し、これらのファイバーを合わせて全体の照明系410を表している。検出器は、これらの穿孔に保持された粒子を透過した光を受け取るための光ファイバーの対応するアレイによって記号化されており、ともに検出系420全体を示している。
【0043】
好ましい実施形態では,照明系は電磁波放射線(以降は、一般に「光」と呼ぶ)で粒子を照らし、検出系420は、放射線が粒子と相互作用するとすぐにそれを検出する。検出された信号量を増加させるために、例えば、レンズ、鏡、光ファイバー、又はこれらの要素の組み合わせ等の集束、撮像又はガイド系を、粒子に源線を集中させるためと、粒子によって検出器に向かって発せられ、反射され、散乱され、伝送された信号を集めるために使用してもよい。このような要素は、関連する光学分野で周知なので、図には示さない。
【0044】
測定ユニット400は、粒子の生化学的組成又はその他の分析特性等のいくつかの特定の特徴を評価するために、多変量測定を提供することもできる。好ましい実施形態では、多変量測定は、検査中の粒子と相互作用するとすぐに光のスペクトル組成を測定することにより得られる。
【0045】
制御ユニットは測定ユニット400から信号を受信し、これらの信号から各粒子が属する品質等級を決定し、選別ユニット500に関連制御信号を送信する。
【0046】
選別ユニット500は、圧縮空気噴射バルブ512に連結された噴射ノズル511を有する噴射系510と、品質等級ごとに1つの容器として複数の容器を有する収集器520を備える。簡単にするために、
図1〜4では全ての気送管が取り除かれている。1つを除く品質等級それぞれに対して、関連のバルブ512を伴う噴射ノズル511のグループが1つ存在する。例えば、粒子を3つの品質等級に選別する場合には、噴射ノズル511のグループを2つだけ採用する。噴射ノズル511が第2コンベアベルト310の選択された穿孔を通して空気流を作り、それにより、真空によって生成された吸引力を克服し、これらの穿孔に保持された粒子が穿孔から離れ落ち、その品質等級に応じた容器に収集される。どの噴射ノズルでも吹き飛ばされなかった粒子が真空ボックス320の端に達すると、この領域で吸引が消失するため、これらの粒子はここで第2コンベアベルト310から離れ落ちるので、第3の品質等級への選別がこのとき自動的に達成される。残っている粒子を第2コンベアベルト310から機械的に取り除くことができる、スクレーパー又は他の手段等の付加的な受動噴出手段をここで採用することができる。
【0047】
噴射ノズル511の代わりに、第2コンベアベルトから粒子を選択的に取り除くための他の手段を使用してもよく、例えば、圧電素子、磁気素子、移動フラップ、又は、制御ユニットによって作動できて制御できるその他の手段を使用してもよい。
【0048】
選別工程の結果は、最初の異成分からなるバッチから出発し、粒子を同質のバッチに収集することである。
【0049】
選別ユニットから下流では、加速ユニット200からその他の粒子を収集する前に、任意のクリーニングユニットが、残留した不要なダスト又は小さい粒子等のあらゆる種類の材料を搬送ユニット300から除去してもよい。このクリーニングユニットは受動又は能動でもよい。
【0050】
制御ユニットは、(a)機械部品の動作を制御する、(b)真空ポンプを制御する、(c)噴射手段を作動させる、(d)データ収集のための測定ユニットを制御する、(e)記録された信号を処理して校正情報を読み出す、及び(f)選別装置の機能全体を監視する、ために使用される。制御ユニットは、記録された信号を処理するため及び記録された信号に基づいて噴射手段用の制御信号を得るための専用ソフトウェアを実行する、標準ノートブックコンピュータ等の汎用コンピュータを備えてもよい。
【0051】
検出に関する考察
多変量測定が検討される波長の範囲に広帯域照明を提供するために、どのような適切な光源を使用してもよい。好ましい光源は、多変量測定に使用されたスペクトル応答全体を通して光を提供できる光源であるが、代替として、より狭い帯域のいくつかの光源を組み合わせてもよい。このような光源の例として、ハロゲン、タングステンハロゲン、キセノン、ネオン、水銀、LEDなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、360〜2000ナノメートルの範囲の光を提供する、Ocean Optics社製(Ocean Optics Inc.,830 Douglas Ave.,Dunedin,FL 34698,USA)のHL−200光源等のタングステンハロゲンライトが使用される。この光源は光ファイバーと組み合わせて使用されて、サンプルに向かって照明光を導く。
【0052】
照明された粒子から発せられる多変量信号は記録される。このために、検出器を分光測定、即ち、波長に対する光強度の測定の専用にしてもよい。当業者は、検出された信号からスペクトル情報を抽出することが可能であれば、どのような装置を使用してもよいことを理解する。特定の波長範囲の光強度の直接測定は、検出器にフィルタを結合することにより実行できる。このようなフィルタの例として、吸収性色フィルタ、ダイクロイックミラー及び音響光学的可変フィルタが挙げられるが、これらに限定されない。より完全な多変量測定のために、連続スペクトルを、適応したスペクトル範囲にわたって記録することができる。これは、例えばフォトダイオード等の単独の検出器を制御可能な厚さの光キャビティと組み合わせて行うことができ、多くの場合フーリエ変換スペクトルとして公知である。これはまた、いくつかのサブユニット又は画素からなる検出器と連携させて、及び、プリズム、回折格子等の分散素子と連携させて行うこともでき、分散素子は、検出器の画素上に信号を構成する異なる波長を空間的に分離し、多くの場合分散型分光器として公知である。さらに、分散型分光器は1列の画素を使用して1つのスペクトルを提供できるが、画像結合と2次元配列の画素を使用して、数個のスペクトルを同時に監視してもよい。後者の構造は、しばしば「イメージング分光計」と呼ばれる。
【0053】
光源と検出器は、第2コンベアベルト310の同じ側又は反対側に位置させてもよい。以下では、照明の方向と反対の半空間にある方向に沿って粒子から受光した光を、直接又は乱反射、蛍光発光等によって反射されているかどうかにかかわらず、「反射光」と呼ぶ。照明の方向を含む半空間のサンプルから受光した光は、直接透過された又は散乱されたかにかかわらず「透過光」と呼ぶ。反射光及び透過光のこれらの定義は、粒子の周囲において様々な角度で検出されるかもしれない拡散反射率と透過率を考慮に入れることを目的としている。よって、ここで考慮される2つの主な構造は「反射モード」構造と「透過モード」構造と呼ぶことができる。「反射モード」構造では、照明の伝播の方向に対して後方で、粒子によって発せられ、散乱され、反射された放射線を集めるために、光源と検出器の両方が第2コンベアベルト310の同じ側にある。「透過モード」構造では、光源が第2コンベアベルト310の一方の側に配置されるのに対し、検出器は第2コンベアベルト310の他方の側にある。粒子によって発せられ、散乱され、透過された放射線は、照明の伝播の方向に対して前方で検出される。
【0054】
図8〜17は、上記の構造の光源と検出器の可能な配置を説明する。
【0055】
図8は「反射モード」構造を示し、調査中の粒子Kから反射された光が照明軸に対して角度をなして検出される。光源に接続された第1ファイバー412は、粒子Kの方を向いているファイバー端部413で終端する。検出器に接続された第2ファイバー412’は、粒子Kの方を向いているファイバー端部413’で終端し、粒子上で2つのファイバーのそれぞれの視野を重複させる。第2ファイバーは第1ファイバーに対して非ゼロ角度に向けられている。この構造は特に拡散した反射光を集めるのに非常に適している。
【0056】
図9は、単一ファイバーが照明と検出に使用される配置を説明している。ファイバーは結合器/スプリッタ430で分岐され、ファイバーの一方の部分が光源411に接続され、他方の部分が検出器421に接続される。別の構造では、並んで終端する2つの単一ファイバーを分岐ファイバーの代わりに使用してもよい。
【0057】
図10は、単一の光源/検出器ユニット440から複数のファイバーで多重測定をどのように行うことができるかを説明する。
【0058】
図11は「透過モード」構造を説明しており、光は光源411から粒子Kとコンベアベルトの穿孔を通して透過され、集束ユニット422によって集められ、ファイバー412’を通して検出器412に伝達される。
【0059】
図12の(a)では照明用ファイバーと検出用ファイバーが同軸に配置された「透過モード」構造を説明し、(b)ではこれらの2つのファイバーが角度αで配置された別の構造を説明する。後者の配置は拡散した散乱光を検出するのに特に適している。
【0060】
図13は、照明が、全体で照明系410を形成する、複数の個別の光源411によって実行されてもよく、検出が、全体で検出系420を形成する複数の個別の検出器421によって実行されてもよいことを説明する。
図14で説明されるように、別の構造では、単一の光源411が、複数のサブ光源414を形成するように、一束のファイバー、又は、スプリッタ430を介して複数の粒子Kを照明してもよい。あるいは、粒子が検出される領域をカバーする連続照明領域を形成できる。
【0061】
図15〜17はイメージング分光計450の使用を説明する。イメージング分光計450は入射スリット451、感光画素の二次元アレイ453と分散素子と結像系の組み合わせを含む光学ユニット452とを備える。スリットに入射する光のスペクトル組成がアレイの(波長λで表される)一方向に沿って記録され、他方の方向は入射スリットの画像に対応する。
【0062】
上記の配置に、興味のある各ポイントに1つのスペクトル検出器を設けることにより、マルチポイントスペクトル測定を実行してもよく、又は、イメージング分光計を1つの分光装置とともにマルチポイントスペクトル測定に使用してもよい。イメージング分光計はまた粒子の空間情報を集めるためにも使用でき、記録されたスペクトル情報と結合して、各粒子に対して複数の測定ポイントの収集が可能になる。
【0063】
マルチポイント測定は、集合ファイバー束と組み合わせたイメージング分光計で実行されてもよい(
図16)。サンプルからの光を集めるためのファイバー412’が線状の束にされ、イメージング分光計の入射スリットで現れる。各ファイバーは二次元検出器アレイに、一方の方向に沿って異なる場所に結像される。他方の方向は光スペクトルを記録するために使用される。従って、イメージング分光計は各ファイバー出力に対応する光のスペクトル組成の測定を与える。
【0064】
イメージング測定は、イメージング分光計を外部の光学的イメージング系と組み合わせて実行してもよい(
図17)。この光学イメージング系454は、サンプリングユニットの表面でイメージング分光計の入射スリットと検出ラインとの間のイメージ結合を提供する。サンプリングユニットによって運搬された粒子は、この検出ラインに対して垂直方向に移動する。粒子が検出ラインを通過する間にイメージング分光計が一連のスペクトル画像を撮る。ラインスキャニングイメージングとして一般に公知のこの技術により、粒子のスペクトル画像、即ち、そのスペクトル成分に関する粒子の形態画像を再現することができる。
【0065】
使用された照明及び検出の種類にかかわらず、検出器によって記録された値は、制御ユニットによって使用され、各粒子の少なくとも1つの分析特性を導き出す。制御ユニットは測定された特性を使用して、各粒子がどの品質等級に属するかの決定を行う。
【0066】
第2の実施形態
本発明の第2の実施形態を
図18で説明する。第1の実施形態と同様の構成要素には同じ参照符号を付け、重ねて説明はしない。第2の実施形態では、穿孔されて生成された面を有するホイール330が、第2コンベアベルト310の代わりに使用される。供給は、第1コンベアベルト210の代わりに振動台230によって実現されるが、ホイール330を第1コンベアベルト210と併用して使用する、又は、第2コンベアベルト310を振動台230と併用して使用することも同様に十分可能である。
【0067】
ホイール330の両サイドは密封され、例えば特許文献7に記載のように、真空ポンプによってホイールの内部に真空が作られる。この構造は、ホイールの生成面上の穿孔を通して、粒子を捕捉してそれらをその位置にしっかりと保持するために十分強い空気吸引を作り出す。列に置かれて、振動台230によって加速された粒子は、回転するホイール330に到達する。ホイール330の面上の穿孔は平行列に配置されてもよいが、他の構造も可能である。空気吸引により及び穿孔の寸法が小さいことにより、一度に1つの粒子が、ホイールの各穿孔によって捕捉され、ホイールが回転する間その位置に保たれる。
図18に示される粒子の向きは、必ずしも現実に一致しなくてもよく、粒子の搬送と選別がどのように実行されるかを説明するために単に概略的に示されている。いくつかの実施形態では、櫛形プレート、又は、空気流又は他の手段等の位置決め手段(図示せず)が穀物の位置決めを助け、1より多い穀物が各穿孔に捕まえられることを防止する。
【0068】
ホイール330の内側に同軸に配置される固定の内側ホイール331は、測定ユニット400(ここでは光源で象徴される)と噴射系510の一部を運搬する。粒子は3つの容器521,522,523に選別される。スキマー524が、容器521又は522に届かなかった残留粒子を全て確実に容器523内に移動させる。
【0069】
本実施形態では、外側ホイール330と内側ホイール331との間の空間だけを真空にすることが必要である。しかし、ホイールの内部を全部真空にすること、及び、ホイール330の内部の測定ユニットと選別ユニットの一部を、内側ホイール331以外の何か他の構造体上に取り付けることも同様に十分可能である。
【0070】
本実施例では、ホイール330の回転軸は水平を向いているが、回転軸は3次元空間のどの方向を向いていてもよい。回転を発生させる適切なモーター又は何か他のタイプの機械を使用してホイールを動かす。
【0071】
第1の実施形態と同様の、測定ユニット、選別ユニット、制御ユニットのための考察が第2の実施形態にも適用される。
【0072】
さらなる実施形態
さらに別の実施形態では、粒子の加速を伝導系によって達成することができ、粒子は気流によって搬送される。当業者は、高速で粒子を加速、搬送、単数化することができる装置であれば、加速ユニットとして使用できることを理解する。
【0073】
実施例1:小麦のタンパク質
タンパク質含有量は、小麦を取り扱う場合、主要な品質パラメータの1つである。先行技術では、タンパク質含有量は通常、3〜5dlのサンプルを採取し、このサンプルを近赤外分光法NIRSで分析することによって決定される。結果は、サンプル中の穀粒の平均タンパク質含有量である。重大なサンプリング誤差は、副サンプルをロット全体のタンパク質含有量を決定するために使用する場合に生じる。誤差は単一の穀粒を分析することにより低減でき、穀物がさらに処理されると、そのロットの全体値が得られる。
【0074】
小麦穀粒のタンパク質含有量は、畑によって、品種によって、及び、小麦植物の同じ穂(ヘッド)内であっても、著しく異なることが分かっている。2つの穀粒間のタンパク質含有量の違いを数パーセントとすることができることは文献で非常によく知られている。
【0075】
約3dlの3つのサンプルを10kgの穀物バッチから取り出した。各サンプルは先行技術のNIR全粒分析器により測定された。結果は、12.3%、12.4%及び13.1%のタンパク質含有量であった。これらの結果のばらつきはバッチの分布不均一の結果であり、バッチの異なる部分ではタンパク質含有量が異なることを意味する。
【0076】
以下では、本発明の第1の実施形態による装置で、バッチを分析し、単一穀粒レベルに選別した。穀粒の総数Nは186282であった。測定された穀粒のタンパク質含有量P[%]の分布を
図19に示す。平均濃度はP=12.6%であった。
【0077】
図20のように、個別の穀粒測定(P[%])を経時的に(t/a.u.)表示すると、バッチが違う穀物グループで構成されていることがわかる。これは輸送中の分離等の物理的変化によるものと考えられる。10kgのバッチが異なる品種、異なる畑等の穀物のバッチを組み合わせて構成されたとも考えられる。穀物が不均質であり、バッチが実質的に分布不均質であることは、バッチの違う場所のタンパク質濃度が、平均レベルで、異なることを意味する。これは、バッチをNIR分析器で分析した場合に観測されたことであった。副サンプルになされた測定は、単一の穀粒の中の不均質から生じるサンプリング誤差を伴っていた。サンプリング誤差は全ての単一の穀粒を分析すると除去される。
【0078】
10.0%及び13.0%のタンパク質のしきい値が選別に使用された。タンパク質が10%より下の全ての穀粒が1級に選別され、10%より上であるが13%より下の穀粒が2級に選別され、13%より上の穀粒が3級に選別された。表1に、平均タンパク質含有量とともに示した3つの級の穀粒の分布を示す。
【0079】
【表1】
表1:選別後の1、2、3級の穀粒の分布。しきい値を10%と13%に設定した。
【0080】
平均タンパク質含有量は3つの級のそれぞれで異なり、バッチの3分の1のタンパク質含有量は非常に高く、高価値製品に使用できる。
【0081】
このように、小麦バッチ又は連続した流れの小麦を、単一穀粒レベルで分析して選別することができ、穀物の不均質の明確なイメージが可視化でき、サンプリング誤差を除去でき、穀粒を、パスタ、小麦ビール、パンのような様々な目的に使用できる異なる生化学的特性の級に選別できる。
【0082】
実施例2:トウモロコシの昆虫侵入
カビ汚染と昆虫侵入は、貯蔵穀物の収穫後劣化、及び穀物の降級のリスクのせいで損失をもたらすことになる。単一穀粒レベルで穀物を分析及び選別することにより、被害穀粒を除去することができ、貯蔵安定性と一貫した品質を確保することができる。本実施例では、本発明を使用して、トウモロコシのバッチを被害穀粒からどのようにきれいにできるかを明らかにする。貯蔵されたトウモロコシのバッチへの昆虫及びカビの侵入は、収穫後損失又は降級により著しく価値を落とす可能性がある。侵入はバッチ全体を通して不均等に分布しやすいので、検出されない危険性が高い。
【0083】
侵入被害がないことが保証されたトウモロコシのバッチ(約1kg)を、コクゾウムシの侵入が保証された100穀粒と混合した。穀粒は処理を進める前に完全に混合された。穀粒は本発明を使用して単一穀粒レベルで分析及び選別された(総穀粒数2866)。分類アルゴリズムが穀粒を侵入によって分類した。侵入されていると確認された穀粒は選別工程で除去された。結果は、侵入ありと侵入なしの穀粒に2つに分別された。表2は分類の結果を示す。
【0084】
【表2】
表2:昆虫侵入により2866のトウモロコシ粒を分類した分類結果。100粒は侵入されたことがわかっており、そのうち98粒が侵入ありと特定され、2粒が特定されなかった。2766粒は侵入はなかったが、そのうち89粒が侵入ありと特定された。
【0085】
侵入があった穀粒のほぼ全てが特定され、バッチから除去され、それにより、結果として経済的損失を伴う収穫後劣化及び降級の可能性が低減される。
【0086】
実施例3:品種改良によるトウモロコシのデンプン含有量の増加
トウモロコシはバイオ燃料のための重要な作物である。デンプンはバイオ燃料に使用されるエタノールに発酵できる。デンプン含有量に基づく種子穀物の選択は品種改良の効率を向上し、多収穫品種を生み出す。トウモロコシ粒は総油分含有量の信頼性のある結果を得るために透過で分析しなければならない。透過測定は長い積分時間を使用してのみできる。本実施例では、トウモロコシ中のデンプン含有量を決定し、さらなる作業のために穀粒全体から一部を選択するのに、本発明がどのように使用できるかを示す。
【0087】
トウモロコシの種子はバイオ燃料の製造に使用でき、デンプンがエタノールに発酵されてバイオ燃料として使用される。バイオ燃料製造に使用されるトウモロコシの栽培品種は長く複雑な品種改良プログラムの結果である。高デンプン含有量の種子の選択により、品種改良プログラムの効率を向上できる可能性がある。穀粒のデンプン含有量は約30〜70%に及ぶことがある。従って、トウモロコシ粒を個別に非破壊的方法で分析することは、高デンプン含有量の穀粒を分離するのに役立てることができ、バイオ燃料の製造に有利である。
【0088】
トウモロコシ粒の1kgのバッチをデンプンについて分析して含有量によって選別した。しきい値は60%に設定した。この用途では処理能力は重要ではないので、穀粒は、反射モードよりも長い積分時間を必要とする透過モードで分析された。本発明は広範囲の積分時間で動作できるように設計されている。
【0089】
図21はバッチ中の穀粒(穀粒数N)の分布を示す。デンプン含有量S[%]の分布は正規分布に従っている。
【0090】
さらなる作業のためにデンプン含有量が60%より多い穀粒が選択された。本実施例ではデンプン含有量を使用したが、組成に直接関連しないその他の特性もまた測定でき、選別できる。
【0091】
さらなる考察
図22は、一般に楕円形又は卵形の粒子が、長い極軸aと短い赤道軸bとcを有し、穿孔されたコンベアベルト310によって搬送されている状態を示す。ここで、a>b及びa>cであるが、bとcは一般に大きさが類似する。多くの農産物の粒子、特に穀物と種子は、この一般的に楕円の形状によって十分近似され得る形状を有する。このような粒子は一般に穿孔314上で、
図22に示した方位と類似の方位になり、即ち、長軸が搬送面に対して一般に垂直に向く。従って、搬送装置は粒子を明確に規定された(穿孔314の位置によって規定された)位置でのみ搬送するだけでなく、粒子を明確に規定された方位に誘導するようにも作用する。
【0092】
このように、粒子は明確に規定された方位で測定装置を通過して搬送され、それらの長軸は搬送面に対して垂直である。これは特に、粒子の大きさ又は形状が分析特性として判断されるべき場合に有利である。特に、粒子の大きさ又は形状をカメラで記録された画像から判断するデータ分析は、粒子の方位が分かっているとより簡単である。いくつかの実施形態では、1列の画素を画定するセンサを有するラインスキャンカメラを採用してもよく、この列は粒子の長軸に対して平行(即ち、搬送面に対して垂直)である。この場合、粒子の大きさは、粒子からの画像情報を含む画素の数をカウントすることにより、単純に判断してもよい。