(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
口腔内洗浄器具、口腔内吸引器具、及び気管内吸引カテーテルは、一般に呼吸困難、重症疾患、慢性疾患、末期疾患、衰弱、麻痺の状態のヘルスケア患者、又は人工呼吸器による呼吸補助を必要とする患者に使用される。
【0003】
口腔内洗浄を行うために、大抵の介護者は、患者の口腔内を洗浄して湿らせるために、様々な消毒液と共にフォームスワブを使用する。口腔内吸引は一般に、唾液及び粘液を吸引するために患者の口腔及び咽頭内に、しばしばヤンカーサクションと呼ばれる硬質プラスチック管を挿入することによって行われる。口腔内洗浄及び口腔内吸引の目的は、歯磨きなどの口腔ケアを行うことができない患者の口腔内に蓄積する細菌を除去することである。口腔ケアを行うことができない患者において細菌が蓄積することが、高レベルの細菌を有する唾液及び分泌物の誤嚥が原因の院内肺炎、院内感染性肺炎(「HAP」)、及び人工呼吸器関連肺炎(「VAP」)のリスクを増大させることは、様々な研究で示されている。
【0004】
気管内吸引は一般に、患者が自分で分泌物を喀出することができないほど衰弱している場合に、分泌物を吸引するために行われる。気管内吸引は、経鼻気管内吸引又は経口気管内吸引のいずれかによって行うことができる。いずれの場合も、一般に柔軟で曲げやすいプラスチック管又はゴム管である、気管内吸引カテーテルが使用される。経鼻気管内吸引の場合、気管内吸引カテーテルは鼻孔に挿入され、気管に進む。気管内吸引カテーテルが気管に到達すると、不要な分泌物が吸い出される。経鼻気管内吸引は、外傷を引き起こし、鼻腔領域に出血することがある。その上、吸引カテーテルはまた、喉の奥で丸くなる傾向があり、患者の咽頭反射を引き起こすことがある。
【0005】
一般に、経口気管内吸引は、凝固時間が増加しているか、鼻骨骨折、又は鼻中隔彎曲症の患者に、又は経鼻的アプローチで丸くなってばかりいる場合に試される。経口気管内吸引を行うために、気管内吸引カテーテルは、口腔内に挿入され、気管に進む。気管内吸引カテーテルが気管に到達すると、不要な分泌物が吸い出される。経鼻気管内吸引方法と同様に、吸引カテーテルは、喉の奥で丸くなる傾向があり、患者の咽頭反射を引き起こすことがある。
【0006】
患者は通常、鎮静、錯乱、又はおびえにより変化した精神状態にあり、時として口腔内洗浄、口腔内吸引、及び気管内吸引に協力しない。患者は、時には洗浄器具及び吸引器具を噛んで、口腔内洗浄、口腔内吸引、及び気管内吸引のプロセスを中止させることがあり、時には患者の口腔内で器具の一部を折り、介護者の指をも噛む。存在する他の問題は、鼻又は口への器具の挿入による外傷、及び気管内吸引中の口から肺へ細菌が広がることである。
【0007】
また、時には、患者を支援する際に、2つ以上のカテーテル又は同様の装置を使用することが有益な場合がある。このような状況は、医療関係者によって故意に、又は第1カテーテルのトラブルを前提としてやむを得ず生じる可能性がある。例えば、医療専門家は、第1カテーテルに加えて、副鼻腔鏡、生検具、光ファイバースコープ、カメラ、生理食塩水洗浄又は洗浄、様々な薬剤、又は焼灼具を挿入したい場合がある。あるいは、第1カテーテルが詰まるか又は他の機能不良になることがあり、容易に第2カテーテルを挿入できることが有利なことがある。
【0008】
経鼻胃管又は経口胃管は一般に、ヘルスケアの過程で、最も頻繁には手術前、手術中、及び手術後の準備で、経管栄養のために、及び胃減圧又は他の胃腸の問題があるヘルスケアの患者に使用される。一般に、これらの経鼻胃管/経口胃管は、ポリウレタン、ポリエチレン、シリコーンポリマーなどの弾力性のあるプラスチック材料から形成される。また、これらの管は外科用スチールから製造することができる。経鼻胃管及び経口胃管は、一般に、近位端、遠位端、及び中央管腔又は通路を有する。このような管についてのさらなる詳細は、特許文献1及び特許文献2に見られ、これらの開示は参照により本明細書に含まれるものとする。
【0009】
経鼻胃管及び経口胃管は、口又は鼻から咽喉を通って胃の中に挿入される。経鼻胃管及び経口胃管は、患者や臨床医にとって以前から問題となっている。経鼻胃管を患者の鼻に挿入すると、時折、管が咽喉の奥で丸くなり、患者の咽頭反射を引き起こすことがある。口腔内洗浄、口腔内吸引、及び気管内吸引に見られる問題と同様に、患者は時には、経口胃管を噛んでプロセスを中止させることがあり、時には患者の口腔内で管の一部を折り、介護者を指をも噛む。
【0010】
上述の吸引のタイプに加えて、このような吸引を必要とする患者は、挿管を必要とする更なる医療危機に直面することもある。これらの不運な状況では、介護者は通常、吸引とその後の挿管を行うのに異なる装置を使用せざるを得ず、一刻を争うときに処置の全体的な完了を遅らせることになる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜6は、挿入補助装置100の一実施形態を示す。挿入補助装置100の代替的な実施形態は、
図7〜19に示される。挿入補助装置100は、ハンドル102と、舌圧子104と、第1通路106と、光源108と、ガイド110とを備える。
【0018】
図1〜19に示される実施形態では、ハンドル102は、プラスチック、スチールなどの硬質材料、又は他の任意の適切な材料から構成することができる。ハンドル102は、円形断面、又は、矩形、楕円形、三日月形、三角形、五角形、六角形、八角形、D字形、及びI字形を含むがこれらに限定されない他の適切な断面形状を有することができる。しかしながら、ハンドル102は患者又は介護者を傷つける恐れなしに介護者が所望の作業を遂行するために挿入補助装置100を使用することを可能にする任意の適切な形状を有し得ることを、当業者は理解するであろう。一部の実施形態では、ハンドル102は、挿入補助装置100が使用中に滑るのを防ぐためにテクスチャ加工表面を含むことができる。他の実施形態では、ハンドル102は、ハンドル102を把持するときの介護者の指用のくぼみを含むことができる。
【0019】
舌圧子104は、
図1〜19に示されるようにハンドル102に隣接する。一部の実施形態では、舌圧子104はハンドル102と一体的に形成される。
図15及び16に示される実施形態などの他の実施形態では、舌圧子104はハンドル102に連結され、ハンドル102と同じ材料又は異なる材料から形成されることができる。例えば、一部の実施形態では、舌圧子104は、プラスチック、スチールなどの硬質材料、又は他の任意の適切な材料から構成されることができ、ハンドル102は、同様の又は他の材料から形成される。他の実施形態では、舌圧子104は、ゴム又は軟質プラスチックなどの可撓性材料、又は材料自体を用いて成形されるかスタイレットを用いて成形された成形可能材料で構成され、ハンドル102は同様の又は他の材料から形成される。
図1〜19に示される実施形態では、舌圧子104は、患者の口の下面及び舌の形状にほぼ対応する湾曲形状を有する。
図1〜14及び17〜19に示される実施形態などの一部の実施形態では、舌圧子104は、患者の喉に入ることなく、患者の口腔に接触するように構成される。これらの実施形態では、舌圧子104は、舌の押し下げを補助するため及び挿入補助装置100の挿入を補助するために、その長さに沿って下降する面を含む。舌圧子104はまた、徐々に縮小する断面形状を有し、この断面形状は遠位端の方向に次第に小さくなる。しかしながら、舌圧子104は患者又は介護者を傷つける恐れなしに介護者が所望の作業を遂行するために挿入補助装置100を使用することを可能にする任意の適切な形状を有し得ることを、当業者は理解するであろう。
【0020】
図1〜2、4、7〜14及び17〜19に示されるように、第1通路106は舌圧子104に連結され、挿入補助装置100の長手方向軸の少なくとも一部に近接して配置される。しかしながら、第1通路106の任意の適切な配向が挿入補助装置100で使用され得ることを、当業者は理解するであろう。例えば、一部の実施形態では、第1通路106は舌圧子104の外面に沿って配置されることができる。
図1〜2、4、7〜14及び17〜19に示される実施形態などの他の実施形態では、第1通路106は挿入補助装置100内に含まれる。
図1〜2、4、7〜8、10〜14及び18〜19に示される実施形態などの一部の実施形態では、第1通路106は、舌圧子104の近位端に隣接して配置された入口112を含む。
図9及び17に示される実施形態などの他の実施形態では、入口112は、入口112へのより良いアクセスを可能にするためにハンドル102に隣接して配置される。第1通路106はまた、舌圧子104の遠位端に隣接する出口114を含むことができる。
図17に示される実施形態などの一部の実施形態では、第1通路106は、入口112に加えて、少なくとも1つの代替的な入口156を含む。代替的な入口156は、介護者が入口112以外の場所から第1通路106にアクセスすることを可能にする。この付加的なアクセスポイントは、介護者により行われる医療処置を迅速化することができ、入口112で目詰まりなどの問題が生じた場合に有用であり、その場合に、目詰まりを洗い流すのに生理食塩水洗浄又は薬剤洗浄を利用することができる。一部の実施形態では、代替的な入口156はハンドル102に隣接することができる。
図17に示される実施形態などの他の実施形態では、代替的な入口156は舌圧子104の近位端に隣接することができる。
【0021】
図7、10、12〜14及び18〜19に示される実施形態などの代替的な実施形態では、入口112は、介護者が気管内吸引カテーテル126又は他の同様の装置をハンドル102の中心軸から90度未満の角度で挿入できるようにすることによって気管内吸引カテーテル126又は他の類似の装置の挿入を容易にするために、傾斜突出部131を含む。
図17に示される実施形態などの代替的な入口156を含む一部の実施形態では、代替的な入口156はまた、介護者が気管内吸引カテーテル126又は他の同様の装置をハンドル102の中心軸から90度未満の角度で挿入できるようにすることによって気管内吸引カテーテル126又は他の類似の装置の挿入を容易にするために、傾斜突出部157を含むことができる。
【0022】
図8に示される別の代替的なの実施形態では、第1通路106は接続ポート132を含む。接続ポート132の内断面形状は入口112の断面形状にほぼ適合するように構成され、一方、接続ポート132の外断面形状はインライン吸引カテーテル134と係合するように構成される。一般に、インライン吸引カテーテル134は、第1端部138で吸引バルブ140に取り付けられた可撓性の長い管136を備える。吸引バルブ140は、インライン吸引カテーテル134を収集容器と吸引力を生成する装置(図示せず)とに連結する吸引ポート142を含む。管136の反対側の端部144はエルボ146に連結され、エルボ146は呼吸管(気管内チューブ又は気管切開チューブ)ポート148と人工呼吸器ポート150とを含む。インライン吸引カテーテル134は一般に、特に感染しやすい、人工呼吸器をつけた患者に使用されるので、管136は、吸引中の患者への細菌の導入を防ぐために滅菌プラスチックシース152内に封入される。
図8に示される実施形態では、インライン吸引カテーテル134の吸引ポート142は、収集容器と吸引力を生成する装置(図示せず)とに連結される。インライン吸引カテーテル134の呼吸管ポート148は、呼吸管の代わりに、挿入補助装置100の接続ポート132に連結される。一般に人工呼吸器に接続される人工呼吸器ポート150は、このポートが挿入補助装置100でのインライン吸引に必要とされないので、挿入補助装置100と共にインライン吸引カテーテル134が使用される場合には非連結のまま又は覆われたままである。同様に、一般に分泌物を緩めるために呼吸管の下に生理食塩水を注入するのに使用される洗浄ポート154は、挿入補助装置100と共にインライン吸引カテーテル134を使用する場合には必要とされないが、洗浄及びインライン吸引カテーテル134と第1通路106からごみを一掃するのに必要とされる。吸引バルブ140は、インライン吸引カテーテル134を通して吸引を行う場合に制御するために使用される。結果として、挿入補助装置100は、インライン吸引カテーテル134の既存のコンポーネントに後付けされるように構成される。
【0023】
図14に示される別の代替的なの実施形態では、第1通路106の入口112は、孔172を備えるサムポート170と連結するように構成されることができる。サムポート170は、第1通路106を吸引装置そのものに変えるように構成されることができる。
【0024】
図9〜13及び18〜19に示されるような他の実施形態では、挿入補助装置100は少なくとも1つの付加的な通路158を含む。付加的な通路158の断面サイズは、大口径又は小口径などの様々なサイズ、又は必要に応じて他の適切なサイズとすることができる。
図9〜13及び18〜19に示されるように、付加的な通路158は、舌圧子104に連結され、挿入補助装置100の長手方向軸の少なくとも一部に近接して配置される。しかしながら、付加的な通路158の任意の適切な配向が挿入補助装置100内で使用され得ることを当業者は理解するであろう。また、
図18及び19に示されるように、挿入補助装置100に合計2つの通路、合計3つの通路などを備えるように、挿入補助装置100は付加的な通路158をいくつでも含むことができることを、当業者は理解するであろう。
【0025】
例えば、
図12〜13に示されるような一部の実施形態では、付加的な通路158は、挿入補助装置100の外面の少なくとも一部に近接することができる。これらの実施形態では、付加的な通路158は、複数のCクリップ160又は棚状部162、又は他の適切な連結機構を含むがこれらに限定されない、いくつかの手段によって、挿入補助装置100と並んで形成されることができる。
図12に示される実施形態では、例えば、付加的な通路158は、挿入補助装置100の外面に取り付けられたCクリップ160によって形成される。カテーテル、又は他の同様の医療機器は、挿入補助装置100で使用するためにCクリップ160に通されることができる。
図13に示される実施形態でも同様の結果が達成され、この実施形態では、付加的な通路158は、挿入補助装置100の外面に取り付けられた棚状部162によって形成される。
図9〜11に示される実施形態などの他の実施形態では、付加的な通路158は実質的に挿入補助装置100内に配置される。
図18及び19に示される実施形態などの複数の付加的な通路158を含む更に他の実施形態では、付加的な通路158は様々な場所に配置されることができる。
【0026】
図9に示される実施形態などの一部の実施形態では、付加的な通路158は舌圧子104の近位端に隣接して配置された入口164を含む。
図10〜13及び18〜19に示されるような他の実施形態では、入口164はハンドル102に隣接して配置される。付加的な通路158は舌圧子104の遠位端に隣接する出口166を含む。一部の実施形態では、第1通路106及び付加的な通路158は入口112を共有することができる。同様に、一部の実施形態では、第1通路106及び付加的な通路158は出口114を共有することができる。
【0027】
一部の実施形態では、付加的な通路158は、入口164に加えて、少なくとも1つの代替的な入口168を更に含む。代替的な入口168は、介護者が入口164以外の場所から付加的な通路158にアクセスすることを可能にする。この付加的なアクセスポイントは、介護者により行われる医療処置を迅速化することができ、入口164で目詰まりなどの問題が発生した場合に有用であり、その場合に、目詰まりを洗い流すのに生理食塩水洗浄又は薬剤洗浄を使用することができる。一部の実施形態では、代替的な入口168はハンドル102に隣接することができる。他の実施形態では、代替的な入口168は舌圧子104の近位端に隣接することができる。
【0028】
図9に示される実施形態などの他の実施形態では、入口164は、介護者が気管内吸引カテーテル126又は他の同様の装置をハンドル102の中心軸から90度未満の角度で挿入できるようにすることによって気管内吸引カテーテル126又は他の同様の装置の挿入を容易にするために、傾斜突出部169を含む。
【0029】
図1〜19に示される実施形態では、光源108は舌圧子104に連結される。舌圧子104に開口部116が形成され、開口部116は光源108から出射された光が舌圧子104を通過することを可能にする。光源108は電源118に連結される。これらの実施形態では、電源118はハンドル102内に配置される。しかしながら、電源118は挿入補助装置100の内部又は外部のいずれかの任意の適切な場所に配置され得ることを、当業者は理解するであろう。電源118はバッテリ又は電源コードを含むことができる。一部の実施形態では、ハンドル102は充電式電源118を含むことができ、その場合、ハンドル102は電源118を再充電するために使用と使用の間にバッテリ充電器に載置され、舌圧子104は各使用後にハンドル102から取り外され、処分される。他の実施形態では、舌圧子104に複数の光源108が連結されることができる。
【0030】
図1、2及び11に示される実施形態では、スイッチ120は舌圧子104の近位端の近傍に配置される。
図7〜10及び12〜19に示される実施形態などの他の実施形態では、スイッチ120はハンドル102の近位端の近くに配置される。これらの実施形態の各々では、挿入補助装置100の操作者は、スイッチ120を作動させることによって光源108を作動させることができる。光源108は、従来の電球又は発光ダイオード(「LED」)とすることができる。
【0031】
図1〜19に示される実施形態では、ガイド110は舌圧子104の遠位端に配置される。一部の実施形態では、ガイド110は舌圧子104と一体的に形成される。他の実施形態では、ガイド110は舌圧子104に連結され、舌圧子104と同じ又は異なる材料で形成されることができる。例えば、一部の実施形態では、ガイド110は、プラスチック、スチール、又は他の任意の適切な材料などの剛性材料から構成されることができ、舌圧子104は、同様の又は他の材料から形成される。他の実施形態では、ガイド110は、ゴム又は軟質プラスチックなどの可撓性材料で構成され、舌圧子104は、同様の又は他の材料から形成される。更に他の実施形態では、ガイド110は、プラスチック、スチール、又は他の任意の適切な材料などの剛性材料から構成され、その後、軟質ゴム又はシリコーンオーバーモールドで覆われる。
図2、7、8及び11に最も良く示されるように、ガイド110は、出口114の両側に沿って延びる2つの突起124によって形成された凹部122を有する。凹部122は、気管内吸引カテーテル126(
図3及び
図4に示されるような)、経鼻胃管128(
図5に示されるような)、又は経口胃管130(
図6に示されるような)の断面形状を収容するように成形される。
【0032】
図2及び7〜10に示されるような一部の実施形態では、2つの突起124は比例した形状及びサイズのものである。
図11に示される実施形態などの他の実施形態では、2つの突起124は形状及び/又はサイズが異なるか又は比例しないことができる。これらの実施形態では、一方の突起124は他方の突起124よりも幅が広いことができる。この違いは、挿入補助装置100が1つ以上の付加的な通路158を含む実施形態に見ることができる。これらの実施形態では、例えば、1つ以上の付加的な通路158の出口166は、幅広の突起124に隣接することができる。
【0033】
挿入補助装置100の長さは患者の口の寸法に応じて変わり得る。例えば、挿入補助装置100は、幼児から大人までの年齢の、様々な口又は口腔のサイズを有する、様々な患者に使用することができる。挿入補助装置100を様々な口又は口腔で使用することができるので、挿入補助装置100は複数のサイズで製造することができ、その場合、各サイズは特定のサイズの口又は口腔に適合するように構成される。一般に、挿入補助装置100は、長さが約6インチ〜12インチであることができ、周囲が約1インチ〜3インチであることができる。ハンドル102の長さは約3インチ〜4インチであることができる。しかしながら、患者又は介護者を傷つける危険なしに所望の作業を成し遂げる任意の適切な長さが使用され得ることを、当業者は理解するであろう。一部の代替的な実施形態(図示せず)では、挿入補助装置100は、挿入補助装置100の長さを必要に応じて調整することを可能にする、伸縮式のデザインを含むことができる。
【0034】
また、
図15及び16に示される実施形態などの舌圧子104がハンドル102に連結される実施形態では、挿入補助装置100は、喉頭鏡又は他の適切な用途に使用するために構成されることができる。これらの実施形態では、舌圧子104はハンドル102の平面内で回転できるようにハンドル102に旋回可能に連結され、舌圧子104の近位端はハンドル102の遠位端に連結されたままである。
図15及び16に示されるように、舌圧子104は、ハンドル102に対して様々な位置にわたって回転することができ、それによりハンドル102に関連して喉頭鏡として使用されることができる。舌圧子104は、所望の位置に到達した時点で位置を保持することができるようにハンドル102に連結されることができる。
【0035】
これらの実施形態では、舌圧子104は、メカニカルファスナー、スナップフィット、又は他の適切な回転及び/又は解放可能な締結装置を含むがこれに限定されない様々な機構によって、ハンドル102に対して旋回可能に連結され且つ/又は位置を保持されることができる。
【0036】
舌圧子104とハンドル102の旋回可能に連結された関係は、挿入補助装置100に更なる汎用性をもたらす。例えば、気管内吸引を必要とする患者は通常、衰弱状態にあり、挿管されて人工呼吸器にかけられる可能性がある。患者の解剖学的構造の多様性に起因して、挿入補助装置100は、効率的な気管内吸引のための十分なアプローチを得るために、例えば45度などの角度に方向付けことが必要な場合がある。このような角度の挿入補助装置100を用いた良好な気管内吸引は、BiPAP又はCPAP治療と組み合わせた場合に、挿管を阻む可能性がある。しかしながら、患者の状態が悪化し続け、もしかすると呼吸困難になる可能性がある場合、挿入補助装置100は、患者に挿管するために、例えば90度の位置などの更に角度がついた位置に動かし又は方向付けることができ、それにより喉頭鏡になる。
【0037】
野外、緊急治療室、救急車、又は他の場所で患者が意識不明であると分かった他の状況では、患者は、口腔及び咽頭内における大量の嘔吐で呼吸停止状態になっていることがある。このような状況では、挿入補助装置100は、患者に挿管するために、例えば90度の位置などの更に角度のついた位置に動かし又は方向付けることができ、それにより喉頭鏡になる。
【0038】
これらの状況の各々及び他の多くの同様の事例において、このように操作される挿入補助装置100の能力は、一刻を争う場合に、患者の状態に対処する介護者の能力を高める。
【0039】
全実施形態を通じて、舌圧子104は様々な形状及びサイズを有することができる。舌圧子104の形状及びサイズは特定の用途に応じて変えることができる。しかしながら、舌圧子104は患者又は介護者を傷つける恐れなしに介護者が所望の作業を遂行するために挿入補助装置100を使用することを可能にする任意の適切な形状を有し得ることを、当業者は理解するであろう。例えば、一部の実施形態では、舌圧子104の形状及びサイズはマッキントッシュブレードに類似することができる。他の実施形態では、舌圧子104の形状及びサイズはミラーブレードに類似することができる。更に他の実施形態では、舌圧子104の形状及びサイズは他の従来の市販のブレードの形状及びサイズに類似することができる。
【0040】
使用時、挿入補助装置100はいくつかの機能を実施する。具体的には、挿入補助装置100は、口腔内吸引及び洗浄、経鼻及び経口気管内吸引、及び、経鼻及び経口胃管、栄養管、及び他の医療機器(副鼻腔鏡、生検具又は光ファイバースコープを含むが限定されない)の挿入を改善するように設計される。
【0041】
口腔内吸引及び洗浄、経鼻気管内吸引、経口気管内吸引、及び経口胃管挿入を行う場合、介護者は挿入補助装置100を患者の口腔内に挿入することにより各プロセスを開始する。舌圧子104は患者の口腔の下部及び舌と接触して配置される。舌圧子104の形状は、舌を押し下げて患者の口を開いた位置に維持し、患者が介護者に抵抗するのを防ぎ、且つ口腔の視野を改善する。挿入補助装置100が挿入されると、介護者は口腔視野の更なる改善のために光源108を点灯させることができる。挿入補助装置100によって患者の口を開いた位置に保持した状態で、介護者はこれらのプロセスの各々に関連する特定のステップを続けて行うことができる。
【0042】
例えば、介護者は、患者が発泡体スワブ又は吸引装置を噛む恐れなしに、スワブ及び様々な消毒液を使って口腔内洗浄及び/又は口腔内吸引を続けて行う。
【0043】
図3に示されるように、経鼻気管内吸引を行うために、介護者は気管内吸引カテーテル126を患者の鼻孔に挿入する。管が口の奥で目視できると、介護者は次に、不要な分泌物を吸引するのに望ましい気管の深さに達するまで、気管内吸引カテーテル126を気管内に位置決めするためにガイド110を気管内吸引カテーテル126と係合させる。ガイド110は、気管内吸引カテーテル126が喉の奥で丸くなるのを防ぎ、患者の咽頭反射を誘発する可能性を軽減する。
【0044】
図4に示されるように、経口気管内吸引を行うために、介護者は、不要な分泌物を吸引するのに望ましい気管の深さに達するまで、気管内吸引カテーテル126を第1通路106内に挿入する。舌圧子104は患者が気管内吸引カテーテル126を噛むのを防ぐ。第1通路106は、気管内吸引カテーテル126が喉の奥で丸くなるのを防ぎ、患者の咽頭反射を誘発する可能性を軽減する。また、第1通路106は、口腔内への細菌の導入を防ぎ、これにより肺への細菌の導入を防ぎ、感染のリスクを軽減する。
【0045】
図6に示されるように、経口胃管挿入を行うために、介護者は経口胃管130を患者の口腔内に挿入する。管が患者の口の奥に達すると、介護者は次に、咽頭を通して胃の中に経口胃管130を位置決めするためにガイド110を経口胃管130と係合させる。舌圧子104は患者が経口胃管130を噛むのを防ぐ。ガイド110は、経口胃管130が喉の奥で丸くなるのを防ぎ、患者の咽頭反射を誘発する可能性を軽減する。
【0046】
経鼻胃管の挿入を行うために、介護者は、経鼻胃管128を患者の鼻孔から咽頭内に挿入することから始める。経鼻胃管128が患者の口の奥で丸くなる場合、介護者は、上記のように患者の口腔内に挿入補助装置100を挿入する。挿入補助装置100が挿入されると、介護者は口腔視野の更なる改善のために光源108を点灯することができる。挿入補助装置100によって患者の口を開いた位置に保持した状態で、介護者は、患者の口の奥にある経鼻胃管128の先端を見ることができるまで、経鼻胃管128を後退させる。
図5に示されるように、管が患者の口の奥で目視できると、介護者は次に、咽頭を通して胃の中に経鼻胃管128を位置決めするためにガイド110を経鼻胃管128と係合させる。ガイド110は、経鼻胃管128が喉の奥で丸くなるのを防ぎ、患者の咽頭反射を誘発する可能性を軽減する。
【0047】
付加的な通路158を含む実施形態では、付加的な通路158は、上記の処置を補助するために用いられるだけでなく、更なる処置を行うための適応性を提供することができる。
【0048】
例えば、挿入補助装置100の付加的な通路158を利用する方法によって、より直接的な、したがって汚染の少ない呼吸器/痰の培養物を得ることができる。このような方法では、第1通路106は口腔内吸引を行うのに利用され、一方、付加的な通路158は気管内吸引を行うのに利用される。介護者は、不要な分泌物を吸引するのに望ましい気管の深さに達するまで、気管内吸引カテーテル126を付加的な通路158に挿入する。舌圧子104は患者が気管内吸引カテーテル126を噛むのを防ぐ。付加的な通路158は、気管内吸引カテーテル126が喉の奥で丸くなるのを防ぎ、患者の咽頭反射を誘発する可能性を軽減する。また、付加的な通路158は、口腔内への細菌の導入を防ぎ、これにより肺への細菌の導入を防ぎ、感染のリスクを軽減する。介護者は次に、第1通路106を用いて口腔内吸引を行う。口腔内吸引が終わると、介護者は、より直接的な汚染の少ない培養物を得るために、付加的な通路158を用いて直ちに気管内吸引を行うことができる。他の方法では、第1通路106は気管内吸引に利用されることができ、一方、付加的な通路158は口腔内吸引に利用されることができる。
【0049】
介護者は、とりわけ、第1通路106を壁の又はポータブル吸引ホースに接続することにより、口腔内吸引を行うことができる。この接続は、
図14に示されるような、サムポート170により達成され、制御されることができる。介護者は、サムポート170の孔172を覆うことによって口腔内吸引を行い、これにより、第1通路106を吸引手段そのものに変えることができる。介護者は次に、彼又は彼女の親指を孔172から移動させて気管内吸引カテーテル126を作動させた後、気管内吸引を行うことができる。
【0050】
更に他の方法では、第1通路106又は付加的な通路158のいずれかを通して投与されるような生理食塩水を、痰採取前に咳を洗浄し、刺激するのに使用することができる。エアロゾル又は救急用の液剤を、心臓又は呼吸停止中に第1通路106又は付加的な通路158のいずれかを通して吹き掛けることもできる。
【0051】
付加的な通路158はまた、第1通路106が詰まった場合に、特定の処置において有用となる。例えば、経口気管内吸引中に、第1通路106、又は第1通路106を利用するカテーテルが嘔吐物又は他のもので詰まった場合、介護者は、目詰まりの一因となっている物質を吸引するために、又は処置を完了するために、付加的な通路158を使用することができる。
【0052】
付加的な通路158はまた、介護者に、挿入補助装置100を用いて更なる医療処置を行う機会を与える。例えば、第1通路106のみを利用する上記の処置に加えて、付加的な通路158は、介護者が患者の喉を通して患者の体内に副鼻腔鏡、生検具、光ファイバースコープ又はカメラを挿入することを可能にする。また、
図11に示されるような一部の実施形態では、壁の吸引ホース又はポータブル吸引ホースへの付加的な通路158の接続のために付加的な通路158の入口164に接続ポート174を連結し、それにより、付加的な通路158をヤンカーのような吸引装置にすることができる。付加的な通路158はまた、気管内チューブ又は大口径の吸引装置を患者に挿入するのに利用することができる。
【0053】
上記の内容は、本発明の実施形態を例示し、説明し、記述する目的で提供されている。これらの実施形態に対する追加の変更及び適合が当業者には明らかであろう。本発明の特徴及び態様は、例としてのみ説明され又は図示されているので、特に指定のない限り、本発明の必須の又は本質的な要素として解釈されることを意図するものではない。したがって、当然のことながら、上記の内容は本発明の特定の例示的な実施形態のみに関連し、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び追加がなされ得る。