特許第5951104号(P5951104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951104
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】エレベータの改修方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   B66B7/00 K
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-504015(P2015-504015)
(86)(22)【出願日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】JP2013055815
(87)【国際公開番号】WO2014136171
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】吉川 和弘
(72)【発明者】
【氏名】宮原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一浩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良直
【審査官】 芦原 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−196786(JP,A)
【文献】 特開2012−240801(JP,A)
【文献】 特開2011−251826(JP,A)
【文献】 特開2011−068438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真上から見て昇降路内のかごの左右いずれか一側の領域である機器設置領域に油圧ジャッキが設置されている油圧エレベータを、巻上機、釣合おもり、及び一対の釣合おもりガイドレールを備えた2:1ローピング方式の機械室レスエレベータに改修するエレベータの改修方法であって、
前記一対の釣合おもりガイドレールのうちの少なくとも一方を、前記油圧ジャッキを残したまま前記機器設置領域に設置する工程、
前記油圧ジャッキを前記昇降路から撤去する工程、
前記油圧ジャッキの撤去後の空間を利用して、前記機器設置領域の下部に前記巻上機を設置する工程、及び
前記釣合おもりガイドレールの上部にかご返し車及び釣合おもり返し車を設置する工程
を含み、
前記少なくとも一方の釣合おもりガイドレールは、かごガイドレールに対して前記かごの前後方向の前記油圧ジャッキとは反対側の領域に設置するエレベータの改修方法。
【請求項2】
前記一対の釣合おもりガイドレールの両方が、前記油圧ジャッキを残したまま前記機器設置領域に設置される請求項1記載のエレベータの改修方法。
【請求項3】
前記一対の釣合おもりガイドレールの一方は、前記油圧ジャッキを残したまま前記機器設置領域に設置され、他方は、前記油圧ジャッキの撤去後に前記機器設置領域に設置される請求項1記載のエレベータの改修方法。
【請求項4】
真上から見て昇降路内のかごの左右いずれか一側の領域である機器設置領域に油圧ジャッキと一対の油圧ジャッキレールが設置されている油圧エレベータを、巻上機、釣合おもり、及び一対の釣合おもりガイドレールを備えた2:1ローピング方式の機械室レスエレベータに改修するエレベータの改修方法であって、
前記巻上機を、前記油圧ジャッキを残したまま前記機器設置領域の下部に設置する工程、
前記油圧ジャッキを前記昇降路から撤去する工程、及び
前記油圧ジャッキレールを前記釣合おもりガイドレールとして利用して、前記油圧ジャッキレールの間に前記釣合おもりを配置するとともに、前記油圧ジャッキレールの上部にかご返し車及び釣合おもり返し車を設置する工程
を含むエレベータの改修方法。
【請求項5】
真上から見て昇降路内のかごの左右いずれか一側の領域である機器設置領域に油圧ジャッキが設置されている油圧エレベータを、巻上機、釣合おもり、及び一対の釣合おもりガイドレールを備えた2:1ローピング方式の機械室レスエレベータに改修するエレベータの改修方法であって、
前記巻上機を、前記油圧ジャッキを残したまま前記機器設置領域の下部に設置する工程、
前記油圧ジャッキを前記昇降路から撤去する工程、
前記油圧ジャッキの撤去後の空間を利用して、前記釣合おもりガイドレールを前記機器設置領域に設置するとともに、前記釣合おもりガイドレール間に前記釣合おもりを配置する工程、及び
前記釣合おもりガイドレールの上部にかご返し車及び釣合おもり返し車を設置する工程
を含み、
前記巻上機は、かごガイドレールに対して前記かごの前後方向の前記油圧ジャッキとは反対側の領域に設置するエレベータの改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、油圧エレベータを2:1ローピング方式の機械室レスエレベータに改修するエレベータの改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの改修方法では、昇降路内におけるかごの昇降領域の後ろに、既設の油圧ジャッキに並べて、一対の釣合おもりガイドレールが設置される。また、昇降路上部の油圧ジャッキの真上に支持梁が設置される。そして、この支持梁上に巻上機が設置される。改修後、油圧ジャッキは、昇降路内に残されたままとなる(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−215299号公報
【特許文献2】特開2011−20804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のエレベータの改修方法では、重量物である巻上機を昇降路の上部まで揚重する必要があるため、大形の揚重ビームを昇降路の上部に設置する必要があり、工事規模が大きくなり、工事に手間がかかる。また、昇降路の頂部寸法が小さく、巻上機を設置することができない場合がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、改修工事の手間を軽減することができるエレベータの改修方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの改修方法は、真上から見て昇降路内のかごの左右いずれか一側の領域である機器設置領域に油圧ジャッキが設置されている油圧エレベータを、巻上機、釣合おもり、及び一対の釣合おもりガイドレールを備えた2:1ローピング方式の機械室レスエレベータに改修する方法であって、一対の釣合おもりガイドレールのうちの少なくとも一方を、油圧ジャッキを残したまま機器設置領域に設置する工程、油圧ジャッキを昇降路から撤去する工程、油圧ジャッキの撤去後の空間を利用して、機器設置領域の下部に巻上機を設置する工程、及び釣合おもりガイドレールの上部にかご返し車及び釣合おもり返し車を設置する工程を含む。
また、この発明に係るエレベータの改修方法は、真上から見て昇降路内のかごの左右いずれか一側の領域である機器設置領域に油圧ジャッキと一対の油圧ジャッキレールが設置されている油圧エレベータを、巻上機、釣合おもり、及び一対の釣合おもりガイドレールを備えた2:1ローピング方式の機械室レスエレベータに改修する方法であって、巻上機を、油圧ジャッキを残したまま機器設置領域の下部に設置する工程、油圧ジャッキを昇降路から撤去する工程、及び油圧ジャッキレールを釣合おもりガイドレールとして利用して、油圧ジャッキレールの間に釣合おもりを配置するとともに、油圧ジャッキレールの上部にかご返し車及び釣合おもり返し車を設置する工程を含む。
さらに、この発明に係るエレベータの改修方法は、真上から見て昇降路内のかごの左右いずれか一側の領域である機器設置領域に油圧ジャッキが設置されている油圧エレベータを、巻上機、釣合おもり、及び一対の釣合おもりガイドレールを備えた2:1ローピング方式の機械室レスエレベータに改修する方法であって、巻上機を、油圧ジャッキを残したまま機器設置領域の下部に設置する工程、油圧ジャッキを昇降路から撤去する工程、油圧ジャッキの撤去後の空間を利用して、釣合おもりガイドレールを機器設置領域に設置するとともに、釣合おもりガイドレール間に釣合おもりを配置する工程、及び釣合おもりガイドレールの上部にかご返し車及び釣合おもり返し車を設置する工程を含む。
【発明の効果】
【0007】
この発明のエレベータの改修方法は、巻上機を昇降路の上部まで揚重する必要がないため、工事規模が小さくなり、改修工事の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1の改修方法により改修された機械室レスエレベータを示す斜視図である。
図2】実施の形態1の改修前のエレベータにおける主要機器の概略のレイアウトを示す平面図である。
図3図2のエレベータの改修途中の状態を示す平面図である。
図4図3のエレベータの改修後の状態を示す平面図である。
図5】この発明の実施の形態2による改修途中のエレベータにおける主要機器の概略のレイアウトを示す平面図である。
図6図5のエレベータの改修後の状態を示す平面図である。
図7】この発明の実施の形態3の改修方法により改修された機械室レスエレベータを示す斜視図である。
図8】実施の形態3による改修途中のエレベータにおける主要機器の概略のレイアウトを示す平面図である。
図9図8のエレベータの改修後の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の改修方法により改修された機械室レスエレベータを示す斜視図である。昇降路1の底部の床面には、第1ないし第3の基台2〜4が固定されている。
【0010】
第1の基台2上には、一対のかごガイドレール5a,5bが互いに平行かつ鉛直に設置されている。かご6は、かごガイドレール5a,5b間に配置されており、かごガイドレール5a,5bに案内されて昇降路1内を昇降される。かご1の下部には、一対のかご吊り車7a,7bが設けられている。
【0011】
第2の基台3上には、一対の釣合おもりガイドレール8a,8bが互いに平行かつ鉛直に設置されている。釣合おもり9は、釣合おもりガイドレール8a,8b間に配置されており、釣合おもりガイドレール8a,8bに案内されて昇降路1内を昇降される。釣合おもり9の上部には、釣合おもり吊り車10が設けられている。
【0012】
第3の基台4上には、巻上機台11を介して巻上機12が設置されている。巻上機12は、昇降路1内の下部に配置されている。巻上機12としては、軸方向寸法が軸方向に直角な方向の寸法よりも小さい薄形巻上機が用いられている。
【0013】
また、巻上機12は、駆動シーブ13と巻上機本体14とを有している。巻上機本体14には、駆動シーブ13を回転させる巻上機モータと、駆動シーブ13の回転を制動する巻上機ブレーキとが設けられている。昇降路1内には、巻上機12を制御する制御盤(図示せず)が設置されている。
【0014】
釣合おもりガイドレール8a,8bの上端部近傍には、上部支持梁15が水平に固定されている。上部支持梁15の下部には、かご返し車16が支持されている。上部支持梁15上には、釣合おもり返し車17が支持されている。かご返し車16及び釣合おもり返し車17は、かごガイドレール5bの背面に対向している。
【0015】
かごガイドレール5aの上端部近傍には、かご側綱止め部18が固定されている。かご側綱止め部18は、昇降路1上部の既設の綱止め梁に対して固定してもよい。上部支持梁15には、釣合おもり側綱止め部19が設けられている。
【0016】
かご6及び釣合おもり9は、懸架体20により昇降路1内に吊り下げられており、巻上機12により昇降される。懸架体20としては、複数本のロープ又複数本のベルトが用いられている。懸架体20は、かご側綱止め部18に接続された第1の端部(かご側端部)20aと、釣合おもり側綱止め部19に接続された第2の端部(釣合おもり側端部)20bとを有している。
【0017】
また、懸架体20は、第1の端部20a側から順に、かご吊り車7a,7b、かご返し車16、駆動シーブ13、釣合おもり返し車17、及び釣合おもり吊り車10に巻き掛けられている。即ち、かご6及び釣合おもり9は、2:1ローピング方式で吊り下げられている。
【0018】
かごガイドレール5a,5bは、かご6の前後方向の中間部で、かご6の左右両側に配置されている。釣合おもりガイドレール8a,8b、釣合おもり9、巻上機12、上部支持梁15、かご返し車16及び釣合おもり返し車17は、真上から見て昇降路1内のかごの左右いずれか一側(この例ではかごガイドレール5b側)の領域である機器設置領域1a(図4)に配置されている。
【0019】
また、乗場側から見て、釣合おもり9は機器設置領域1aの手前側に配置されており、巻上機12は機器設置領域1aの奥側に配置されている。さらに、巻上機12は、駆動シーブ13の回転軸が水平、かつかご6の幅方向(図4の左右方向)に平行となるように配置されている。さらにまた、巻上機12は、巻上機本体14が駆動シーブ13よりもかご6の昇降領域側に位置するように配置されている。
【0020】
また、真上から見て、かごガイドレール5a,5bの中心を結ぶ直線は、かご6の幅方向に平行である。さらに、真上から見て、釣合おもりガイドレール8a,8bの中心を結ぶ直線は、かご6の前後方向(図4の上下方向)に平行である。
【0021】
かご吊り車7aは、かごガイドレール5a,5bに対してかご6の前後方向の前側に配置されている。かご吊り車7bは、かごガイドレール5a,5bに対してかご6の前後方向の後ろ側に配置されている。かご吊り車7a,7bの回転軸は、互いに平行、かつ水平である。
【0022】
また、かご吊り車7a,7bは、真上から見て、かご吊り車7a,7b間を通る懸架体20がかご6の幅方向に対して傾斜するように配置されている。さらに、真上から見て、かご吊り車7a,7b間を通る懸架体20は、かごガイドレール5a,5bの中心を結ぶ直線と交差している。
【0023】
次に、実施の形態1によるエレベータの改修方法を説明する。図2は実施の形態1の改修前のエレベータ(油圧エレベータ)における主要機器の概略のレイアウトを示す平面図である。
【0024】
機器設置領域1aのかごガイドレール5bよりも後方(乗場から見て奥側)の領域には、油圧ジャッキ21が設置されている。油圧ジャッキ21の上部には、第1及び第2の上部返し車(図示せず)が設けられている。第1及び第2の上部返し車は、油圧ジャッキ21により上下動される。
【0025】
油圧ジャッキ21の両側には、第1及び第2の上部返し車の上下動を案内する一対の油圧ジャッキレール22a,22bが互いに平行かつ鉛直に設置されている。油圧ジャッキ21の下部には、油圧ジャッキ綱止め部23と下部返し車(図示せず)とが設けられている。昇降路1上部の綱止め梁には、上部綱止め部24が設けられている。
【0026】
かご6は、複数本の改修前ロープ(図示せず)により昇降路1内に吊り下げられている。改修前ロープは、上部綱止め部24に接続された第1の端部と、油圧ジャッキ綱止め部23に接続された第2の端部とを有している。また、改修前ロープは、第1の端部側から順に、かご吊り車7a,7b、第1の上部返し車、下部返し車、及び第2の上部返し車に巻き掛けられ、油圧ジャッキ綱止め部23に至る。
【0027】
実施の形態1の改修工事の期間は、事前工事期間と連続停止期間とに分けられる。事前工事期間には、既設の油圧エレベータの運転を連続停止させる必要がない。連続停止期間は、既設及び新設のいずれのエレベータの運転も不可となる期間である。
【0028】
図3図2のエレベータの改修途中の状態を示す平面図である。事前工事期間には、第2の基台3、釣合おもりガイドレール8a,8b、釣合おもり9、上部支持梁15、かご返し車16、釣合おもり返し車17及び釣合おもり側綱止め部19等が、昇降路1内の機器設置領域1aに設置される。これらの機器は、かごガイドレール5bに対してかご6の前後方向の油圧ジャッキ21とは反対側の領域に設置される。
【0029】
このように、事前工事では、油圧ジャッキ21、油圧ジャッキレール22a,22b及び油圧ジャッキ綱止め部23等を残したまま、機器設置領域1a内の空きスペースを利用して設置可能な機器が設置されるため、既設の油圧エレベータの運転を連続停止させる必要がない。
【0030】
事前工事が完了すると、油圧エレベータの運転サービスを終了させ、油圧ジャッキ21、油圧ジャッキレール22a,22b、油圧ジャッキ綱止め部23及び改修前ロープ等が昇降路1から撤去される。
【0031】
そして、図4に示すように、油圧ジャッキ21等の撤去後の空間を利用して、第3の基台4、巻上機台11及び巻上機12等の機器が機器設置領域1aの下部に設置される。また、かご側綱止め部18が昇降路1内の上部に設置される。この後、懸架体20が図1に示すように配置される。
【0032】
このようなエレベータの改修方法では、重量物である巻上機12を昇降路1の上部まで揚重する必要がないため、揚重ビームを設置する場合にも、小形の揚重ビームのみで済み、工事規模が小さくなり、改修工事の手間を軽減することができる。また、昇降路1の頂部寸法が小さい場合にも、改修工事を実施することができる。
【0033】
さらに、殆どの作業が機器設置領域1aに集中しているため、これによっても改修工事の手間を軽減することができる。
【0034】
さらにまた、釣合おもりガイドレール8a,8b等を設置する際には、油圧エレベータの運転を連続停止させる必要がないため、エレベータの運転の連続停止期間(エレベータを全く使用できない期間)を短縮することができる。
【0035】
また、上部支持梁15、かご返し車16、釣合おもり返し車17及び釣合おもり側綱止め部19が釣合おもりガイドレール8a,8bに支持されているため、昇降路1内に支持柱を設置したり、建築に新たな支持梁を設置したりする必要がなく、改修工事が容易である。
【0036】
さらに、かご6に対する懸架体20の平面レイアウト上の位置を改修前ロープと同じ位置に配置できるため、かごガイドレール5a,5b、かご6、かご吊り車7a,7b、及びその他のかご周辺機器など、多くの既設機器を流用することができ、製作・据付コストの削減、工期の短縮、廃棄物の削減を実現できる。
【0037】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2によるエレベータの改修方法について説明する。改修前の油圧エレベータの構成は、図2と同様である。図5は改修途中のエレベータにおける主要機器の概略のレイアウトを示す平面図、図6図5のエレベータの改修後の状態を示す平面図である。
【0038】
実施の形態2では、事前工事期間に、釣合おもりガイドレール8a,8bのうち、かごガイドレール5bから遠い釣合おもりガイドレール8aが機器設置領域1aの空きスペースに設置される。そして、その他の機械室レスエレベータ用の機器は、油圧ジャッキ21等を撤去した後の連続停止期間中に昇降路1内に設置される。
【0039】
また、釣合おもりガイドレール8bは、図6に示すように、かごガイドレール5bよりも後方の領域に設置される。他の構成及び改修方法は、実施の形態1と同様である。
【0040】
このようなエレベータの改修方法では、重量物である巻上機12を昇降路1の上部まで揚重する必要がないため、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、実施の形態1と比べて、釣合おもり9の平面スペースを大きくとることができるため、かご6の質量が大きい場合でも対応することができる。
【0042】
さらに、実施の形態1と比べて、事前工事期間が短く、連続停止期間が長くなるものの、全ての機器を撤去する場合に比べて、連続停止期間を短縮することができる。
【0043】
さらにまた、上部支持梁15、かご返し車16、釣合おもり返し車17及び釣合おもり側綱止め部19が釣合おもりガイドレール8a,8bに支持されているため、昇降路1内に支持柱を設置したり、建築に新たな支持梁を設置したりする必要がなく、改修工事が容易である。
【0044】
また、かご6に対する懸架体20の平面レイアウト上の位置を改修前ロープと同じ位置に配置できるため、かごガイドレール5a,5b、かご6、かご吊り車7a,7b、及びその他のかご周辺機器など、多くの既設機器を流用することができ、製作・据付コストの削減、工期の短縮、廃棄物の削減を実現できる。
【0045】
なお、実施の形態2では、事前工事期間中に、釣合おもりガイドレール8a,8bのうちの釣合おもりガイドレール8aのみを機器設置領域1aに設置したが、機器設置領域1a内の空きスペースに釣合おもりガイドレール8a,8bの両方を設置し、油圧ジャッキ21等を撤去した後、釣合おもりガイドレール8bを移動させ、釣合おもりガイドレール8a,8bの間隔を必要な大きさまで拡げてもよい。
【0046】
実施の形態3.
次に、図7はこの発明の実施の形態3の改修方法により改修された機械室レスエレベータを示す斜視図である。実施の形態3では、乗場側から見て、釣合おもり9及び釣合おもり側綱止め部19が機器設置領域1aの奥側に配置されており、巻上機12、かご返し車16及び釣合おもり返し車17が機器設置領域1aの手前側に配置されている。
【0047】
さらに、かご吊り車7aは、かごガイドレール5a,5bに対してかご6の前後方向の後ろ側に配置されている。かご吊り車7bは、かごガイドレール5a,5bに対してかご6の前後方向の前側に配置されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0048】
次に、この発明の実施の形態3によるエレベータの改修方法について説明する。改修前の油圧エレベータの構成は、図2と同様である。図8は改修途中のエレベータにおける主要機器の概略のレイアウトを示す平面図、図9図8のエレベータの改修後の状態を示す平面図である。
【0049】
実施の形態3では、事前工事期間に、第3の基台4、巻上機台11及び巻上機12が機器設置領域1aの空きスペースに設置される。そして、その他の機械室レスエレベータ用の機器は、油圧ジャッキ21等を撤去した後の連続停止期間中に、油圧ジャッキ21等の撤去後の空間を利用して機器設置領域1aに設置される。また、かご吊り車7a,7bのかご6への取付位置が変更、又は既設のかご吊り車7a,7bが撤去され、新たなかご吊り車7a,7bがかご6の下部に取り付けられる。
【0050】
さらに、釣合おもりガイドレール8a,8bについては、油圧ジャッキレール22a,22bが釣合おもりガイドレール8a,8bとして利用されるか、又は油圧ジャッキレール22a,22bが撤去され、新たな釣合おもりガイドレール8a,8bが設置される。他の改修方法は、実施の形態1と同様である。
【0051】
このようなエレベータの改修方法では、重量物である巻上機12を昇降路1の上部まで揚重する必要がないため、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、事前工事期間中には、空きスペースに巻上機12を設置するだけであるため、実施の形態2よりも事前工事期間を短縮することができる。そして、油圧ジャッキレール22a,22bを改修後の釣合おもりガイドレール8a,8bとして利用した場合、実施の形態2に比べて連続停止期間も短縮することができ、全体の工事期間をさらに短縮することができる。
【0053】
また、上部支持梁15、かご返し車16、釣合おもり返し車17及び釣合おもり側綱止め部19が釣合おもりガイドレール8a,8bに支持されているため、昇降路1内に支持柱を設置したり、建築に新たな支持梁を設置したりする必要がなく、改修工事が容易である。
【0054】
さらに、かごガイドレール5a,5b、かご6、及びその他のかご周辺機器など、多くの既設機器を流用することができ、製作・据付コストの削減、工期の短縮、廃棄物の削減を実現できる。
【0055】
なお、実施の形態3において、改修後の機械室レスエレベータの釣合おもりガイドレール8a,8bの間隔が大きく、釣合おもりガイドレール8bが改修前の油圧エレベータにおける空きスペースに設置される場合、釣合おもりガイドレール8bを事前工事期間に設置してもよい。
また、事前工事期間中に、機器設置領域1a内の空きスペースに釣合おもりガイドレール8a,8bの両方を設置し、油圧ジャッキ21等を撤去した後、釣合おもりガイドレール8aを移動させ、釣合おもりガイドレール8a,8bの間隔を必要な大きさまで拡げてもよい。
【0056】
さらに、実施の形態1〜3の改修方法において、既設のかごガイドレール5a,5b、かご6、かご吊り車7a,7b等は、必ずしも改修後のエレベータに流用しなくてもよく、必要に応じて適宜交換してもよい。
さらにまた、実施の形態1〜3では、機器設置領域1aが昇降路1内のかごガイドレール5b側にあるが、かごガイドレール5a側であってもよい。
また、この発明の改修方法は、実施の形態1〜3の機器配置をかご6の前後方向に反転した機器配置のエレベータにも適用できる。
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図9