(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固形分換算で上記第二コーティング層のバインダー100質量部に対する上記粒子の含有量が50質量部以上500質量部以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の手袋。
上記第二コーティング層形成工程において、第一コーティング層が形成された手袋本体を第二コーティング層形成材料に浸漬させて引き上げた後、指先方向を下に向けた状態で手袋本体を保持することにより上記複数の粒子を凝集させ、粒子凝集領域を形成する請求項9に記載の手袋の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、優れた滑止効果、透湿性及び耐摩耗性を有する手袋及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、
繊維製の手袋本体、
この手袋本体の外面のうち少なくとも掌領域に被着され、複数の気泡を有する第一コーティング層、及び
上記第一コーティング層の外面のうち少なくとも一部に積層され、複数の粒子とそのバインダーとから構成される第二コーティング層を備え、
上記第二コーティング層が散在する粒子凝集領域を有する手袋である。
【0008】
当該手袋は、上述のように繊維製の手袋本体の少なくとも掌領域の最外面に、複数の粒子とそのバインダーとから構成される粒子凝集領域を有する第二コーティング層が形成され、これにより当該手袋表面に不規則な凹凸形状が形成されるため、優れた滑止効果及び耐摩耗性を有する。当該手袋は、この粒子凝集領域が散在するように形成されているため優れた滑止効果を発揮すると同時に、高い柔軟性を有する。また、当該手袋は、第一コーティング層が複数の気泡を有し、第二コーティング層が散在する粒子凝集領域を有するため、透湿性に優れ、作業者の手から生じる汗等の水分を手袋の外部へ効果的に発散することができるため、長時間着用しても優れた着用感を維持することができる。また、当該手袋は、上記気泡の存在によって軽量化及び柔軟性が向上されているため、長時間使用しても手が疲れにくく作業効率を向上することができる。
【0009】
当該手袋は、上記気泡が連続気泡を含むとよい。これにより第一コーティング層の表面と裏面とが連通し、当該手袋の透湿性を向上することができる。その結果、作業者の手から生じる汗等の水分を手袋の外部へ効果的に発散することができ、当該手袋の着用感を向上することができる。
【0010】
当該手袋は、上記第二コーティング層の粒子凝集領域以外の領域が透湿性を有するとよい。これにより当該手袋の透湿性をさらに向上することができ、当該手袋の着用感をより向上することができる。
【0011】
当該手袋は、上記第二コーティング層の面積に対する上記粒子凝集領域の合計面積の割合が20%以上90%以下であるとよい。第二コーティング層の面積に対して、散在する粒子凝集領域の合計面積の割合を上記範囲とすることにより、当該手袋に十分な滑止効果を付与することができる。
【0012】
当該手袋は、上記粒子の平均粒子径が50μm以上900μm以下であるとよい。粒子の平均粒子径を上記範囲とすることにより、粒子凝集領域を形成する際に粒子同士が凝集しやすくなり、十分な面積と固着性とを有する粒子凝集領域を形成することができる。その結果、当該手袋に十分な滑止効果を付与することができる。
【0013】
当該手袋は、上記第二コーティング層のバインダー100質量部に対する上記粒子の含有量が固形分換算で50質量部以上500質量部以下であるとよい。第二コーティング層のバインダー100質量部に対する粒子の含有量を上記範囲とすることにより、粒子凝集領域を形成する際に、第二コーティング層が粒子で埋め尽くされることなく粒子凝集領域と粒子凝集領域以外の領域とを適度に散在させることができる。その結果、当該手袋の柔軟性を向上することができる。
【0014】
当該手袋は、上記第二コーティング層が積層されている領域の透湿度が1000g/m
2・24hr以上であるとよい。第二コーティング層が積層されている領域の透湿度を上記下限以上とすることにより、当該手袋の着用感を向上することができる。
【0015】
当該手袋は、上記粒子がゴム製又は樹脂製であるとよい。これにより粒子凝集領域が適度な弾力性を有し、当該手袋の滑止効果を向上するとともに、被把持物の傷付きを防止することができる。
【0016】
また、上記課題を解決するためになされた発明は、
繊維製の手袋本体の外面のうち少なくとも掌領域に、発泡させた第一コーティング層形成材料を用いて第一コーティング層を形成する第一コーティング層形成工程と、
上記第一コーティング層の外面のうち少なくとも一部に、複数の粒子を含有する第二コーティング層形成材料を積層させて第二コーティング層を形成する第二コーティング層形成工程とを有し、
上記第二コーティング層形成工程において、第一コーティング層が形成された手袋本体を第二コーティング層形成材料に浸漬させて引き上げた後、この第二コーティング層形成材料を流動させることにより上記複数の粒子を凝集させ、粒子凝集領域を形成する手袋の製造方法である。
【0017】
当該手袋の製造方法によれば、繊維性の手袋本体の少なくとも掌領域の外面に気泡を有する第一コーティング層を有し、この第一コーティング層の外面に、散在する粒子凝集領域を有する第二コーティング層がさらに積層された当該手袋を製造することができる。そして、この製造方法によって得られる当該手袋は、既述のように優れた滑止効果、透湿性及び耐摩耗性を有する。
【0018】
上記第二コーティング層形成工程において、第一コーティング層が形成された手袋本体は第二コーティング層形成材料から引き上げた後、指先方向を下に向けた状態で手袋本体を保持することにより上記複数の粒子を凝集させ、粒子凝集領域を形成するとよい。第一コーティング層が形成された手袋本体に第二コーティング層形成材料を被着させた後、指先方向を下に向けた状態で手袋本体を保持することにより、複数の粒子が手袋表面の下方に向かって流動しながら粒子凝集領域を形成するため第二コーティング層全体に均一に散在する粒子凝集領域を形成することができる。その結果、当該手袋の製造方法によって得られる手袋の滑止効果を向上することができる。
【0019】
上記第二コーティング層形成材料の粘度は100mPa・s以上900mPa・s以下であるとよい。第二コーティング層形成材料の粘度が上記範囲であることにより、適度な面積を有する粒子凝集領域を形成することができる。その結果、当該手袋の製造方法によって得られる手袋の滑止効果及び透湿性をバランスさせることができる。
【0020】
なお、当該手袋及びその製造方法において「掌領域」とは、手首から先の部分であり、物を握るときに内側となる部分を意味する。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明は、優れた滑止効果、透湿性及び耐摩耗性を有する手袋及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。
【0024】
当該手袋1は、
図1の(イ)に示すように繊維性の手袋本体2と、この手袋本体2の外面のうち少なくとも掌領域に被着された第一コーティング層3と、この第一コーティング層3の外面のうち少なくとも一部にさらに積層された第二コーティング層4とを備えている。また、
図1の(ロ)に示すように、上記第二コーティング層4は散在する粒子凝集領域5を有している。なお、
図1の(イ)の斜線は、手袋の表面に実際に現れる線ではなく(ロ)の拡大図に示すように、上記粒子凝集領域5が第二コーティング層4の全面に散在することを視覚的に分かりやすくするために付した線である。
【0025】
<手袋本体>
手袋本体2は、繊維を撚った糸や撚り合わせた糸等の編み加工に使用できる糸を手袋状に編成したもので、通気性を有している。糸を構成する繊維としては種々の繊維を採用することができ、例えば綿、麻、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(商品名:「ケブラー(登録商標)」、デュポン社製等)、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維などのアラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維(商品名:「ダイニーマ(登録商標)」、東洋紡績株式会社製等)、ステンレスワイヤーやグラスファイバーをナイロン等でカバーリングした金属複合繊維又はガラス複合繊維等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、柔軟性、汎用性に優れる点で、綿、ポリエステル繊維が好ましく、綿がより好ましい。綿を撚り合わせた綿糸は適度な嵩高さを有し、後述する第一コーティング層形成材料の含浸を抑えることができる。
【0026】
上記繊維の種類は当該手袋1の用途によって適宜変更することができ、例えば耐熱用途にはアラミド糸や綿糸が好ましく、切創防止用途にはアラミド糸や超高強力ポリエチレン糸、金属複合糸、ガラス複合糸が好ましく、発塵防止目的にはナイロン繊維やポリエステル繊維のフィラメント糸が好ましい。
【0027】
また、当該手袋1の触感を向上させるために上記繊維から構成される糸に捲縮加工を施してもよい。捲縮加工を施した糸としては、例えばウーリーナイロン糸、ウーリーポリエステル糸が挙げられ、中でも強度に優れるウーリーナイロン糸が好ましい。
【0028】
上記手袋本体2は、上記繊維から構成される糸を編成して形成されているが、上記繊維を用いた編み布、織布又は不織布を手袋の形に切り抜き、縫製して形成してもよい。なかでも、シームレス編機で編成された手袋本体2が、縫い目がなく柔軟性に優れる点で好ましい。
【0029】
上記手袋本体2として編成された手袋を用いる場合、編みゲージ数は適度な強度と柔軟性を有する手袋本体2が得られれば特に限定されず、例えば綿番手20番の綿糸を1〜6本用いてシームレス編機で手袋本体2を編成する場合の編みゲージ数は10以上18以下が好ましい。
【0030】
上記手袋本体2の平均厚みとしては0.1mm以上1.7mm以下が好ましく、0.3mm以上1.5mm以下がより好ましい。手袋本体2の平均厚みが上記上限値を超える場合、当該手袋1の厚みが大きくなり柔軟性が低下するおそれがある。逆に、手袋本体2の平均厚みが上記下限値未満の場合は、手袋本体2の強度及び耐久性が低下するおそれがある。なお、上記平均厚みは、「Thickness Gage SERIES 547−301(Mitutoyo Corporation製)」を用いて、手袋本体2を構成する生地の任意の5箇所を測定して得た値の平均値である。
【0031】
上記手袋本体2の袖部は、周方向に伸縮性を有しており、これにより径方向に拡縮可能に設けられている。また、手袋本体2の袖部よりも指先側の部分も、周方向に伸縮性を有し径方向に拡縮可能に設けられている。ここで、袖部は、他の部分(袖部から指先側の部分)よりも伸縮性が大きくなるよう構成されており、収縮状態における径が想定される着用者の手首よりも小さくなるように設けられていることが好ましい。これにより着用した際に、手袋本体2の袖部と着用者の手首との間に隙間が生じず、より高いフィット感を得ることができるとともに当該手袋1の不用意な脱落を防止することができる。また、手袋本体2の掌部の収縮状態における径は、想定される着用者の掌よりも僅かに小さくなるよう設けられていることが好ましく、ほぼ同等になるように設けられていることがより好ましい。これにより着用時には当該手袋1が着用者の掌にフィットし優れた着用感を与えることができる。
【0032】
上記手袋本体2は、例えば柔軟剤、撥水撥油剤、抗菌剤等を用いて各種処理が行われていてもよく、また、紫外線吸収剤等を塗布又は含浸させて紫外線防止機能が付与されていてもよい。
【0033】
<第一コーティング層>
第一コーティング層3は、上記手袋本体2の外面のうち少なくとも掌領域に形成されている。具体的には、
図1の(イ)及び
図2に示すように、手袋本体2の掌領域全面、及び甲領域(掌領域の裏面側であって、物を把持した際に外側となる面の手首から指先までの領域)の外周に第一コーティング層3が形成されている。また、手袋本体2の甲領域の中央部分には、第一コーティング層3が形成されない領域があり、所謂背抜き状となるように形成されている。
【0034】
上記第一コーティング層3は、
図3に示すように、手袋本体2の表層に一部が含浸されている。これにより第一コーティング層3が手袋本体2に強固に固着され、第一コーティング層3の剥離を抑制することができる。なお、
図3では手袋本体2を簡略化して図示しているが、第一コーティング層3の含浸部分には手袋本体2の繊維が存在しており、手袋本体2の繊維の隙間に第一コーティング層3の材料が入り込んだ状態となっている。
【0035】
上記第一コーティング層3は、全体に複数の気泡9を含有し透湿性を有している。この複数の気泡9のうち一部は、第一コーティング層3内に埋没し、つまり閉空間部に気体(空気等)を有しており、他部は、第一コーティング層3の表面に凹状の気泡痕として存在する。気泡9は微細な略球状で、後述する当該手袋1の製造工程において第一コーティング層3を形成する際に、予め第一コーティング層形成材料を発泡させて微細な泡を含ませておくことにより形成することができる。
【0036】
上記気泡9の平均直径は1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上80μm以下がより好ましい。上記気泡9の平均直径が上記上限値を超える場合、第一コーティング層3の強度が低下するおそれがある。逆に、上記気泡9の平均直径が上記下限値未満の場合、各気泡9が小さすぎて十分な透湿性及び柔軟性が得られないおそれがある。なお、上記「平均直径」とは、任意の10個の気泡9の長径と短径を平均した値である。
【0037】
また、上記気泡9は連続気泡を含むことが好ましい。このように二つ以上の気泡9が連通している構造を有する連続気泡が第一コーティング層3に含まれることによって、第一コーティング層3の表面と裏面とが繋がり、当該手袋1の透湿性を向上させることができる。その結果、着用者の手から生じる汗等の水分を手袋内部から効果的に発散することができ、当該手袋1の着用感を向上させることができる。
【0038】
上記第一コーティング層3の任意の断面における気泡9の合計面積の割合は10%以上90%以下が好ましく、20%以上80%以下がより好ましい。上記合計面積の割合が上記上限値を超える場合、第一コーティング層3の強度が低下するおそれがある。逆に、上記面積割合が上記下限値未満の場合、当該手袋1が十分な透湿性及び柔軟性を得られないおそれがある。なお、気泡9の合計面積の割合は、株式会社KEYENCE製の「Digital Microscope VHX−900」を用いて、第一コーティング層3の任意の断面1cm
2における気泡9の面積を測定して得た数値である。
【0039】
上記気泡9の数は第一コーティング層3の断面積1cm
2あたり平均10個以上10,000個以下が好ましい。上記気泡9の数が上記上限値を超える場合、第一コーティング層3の強度が低下するおそれがある。逆に、上記気泡9の数が上記下限値未満の場合、第一コーティング層3が十分な透湿性及び柔軟性を得られないおそれがある。
【0040】
第一コーティング層3における上記気泡9の体積割合としては10%以上90%以下が好ましく、20%以上80%以下がより好ましい。上記気泡9の体積割合が上記上限値を超える場合、第一コーティング層3の強度が低下して第一コーティング層3が破損しやすくなるおそれがある。逆に、上記気泡9の体積割合が上記下限値未満の場合、第一コーティング層3が十分な透湿性及び柔軟性を得られないおそれがある。
【0041】
上記第一コーティング層3の平均厚みとしては、0.2mm以上2.0mm以下が好ましく、0.4mm以上1.5mm以下がより好ましい。第一コーティング層3の平均厚みが上記上限値を超える場合、当該手袋1の厚みが大きくなり柔軟性が低下するおそれがある。逆に、第一コーティング層3の平均厚みが上記下限値未満の場合、第一コーティング層3の形成が困難となるおそれがある。また、第一コーティング層3は、手袋本体2を構成する糸の凹凸が隠れる程度の厚みで積層されることが好ましく、具体的には、手袋本体2の表面から第一コーティング層3の外面までの距離が0.1mm以上あることが好ましい。なお、第一コーティング層3の平均厚みには、手袋本体2への含浸部分も含まれる。
【0042】
上記第一コーティング層3の主成分としては、例えばゴム又は樹脂等が挙げられる。上記ゴムとしては、例えばスチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エピクロヒドリンゴム、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。また、上記樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フェノール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記主成分を水等の分散液に分散させたり、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン等の溶媒に溶解させたり、可塑剤等に分散させたりしてペーストゾル状にしたラテックスやエマルジョンを用いてもよい(以下、上記分散液、溶媒を合わせて希釈剤ともいう)。これらのなかでも、第一コーティング層3の主成分としては弾力性、加工性及び経済性に優れる点でゴムが好ましく、天然ゴムラテックスがより好ましい。第一コーティング層3の主成分として天然ゴムラテックスを用いることにより、気泡9の形成が容易となり連続気泡を形成し易くなるため、当該手袋1の透湿性及び柔軟性を向上することができる。なお、上記天然ゴムとは、植物から採取される樹液に由来しポリイソプレンを含む弾性体を意味する。
【0043】
第一コーティング層3の主成分として加硫が必要なゴム又は樹脂を用いる場合、架橋剤として硫黄を用いることが好ましい。硫黄の配合量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部に対して0.1質量部以上3質量部以下が好ましい。硫黄の配合量が上記上限値を超える場合、第一コーティング層3の感触がごわごわとして硬くなるおそれがあり、逆に、硫黄の配合量が上記下限値未満の場合、架橋が不十分となり引張強度等の基本特性が得られにくくなるおそれがある。また過酸化物を使用してパーオキサイド架橋を行うこともできる。
【0044】
上記第一コーティング層3は、上記主成分以外にその他の添加剤をさらに含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば加硫促進剤、老化防止剤(老化防止剤には、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤が含まれる)、金属酸化物、顔料、可塑剤、安定剤、増粘剤等が挙げられる。
【0045】
上記加硫促進剤としては、例えばアルデヒド−アンモニア系、アルデヒド−アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チラウム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系の加硫促進剤等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらの中でも、ジチオカルバミン酸塩系の加硫促進剤が好ましく、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛がより好ましい。加硫促進剤の配合量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下が好ましい。上記上限値を超える場合、第一コーティング層3の触感が硬くなるおそれや、初期加硫が進みスコーチ現象を起こすおそれがある。逆に、上記加硫促進剤の配合量が上記下限値未満の場合、加硫の促進効果が不十分となるおそれがある。
【0046】
上記老化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)等のフェノール系酸化防止剤;ホスファイト系酸化防止剤;チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤が好ましく、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、2,2−メチレンービス(4−メチルー6−tert−ブチルーフェノール)がより好ましい。酸化防止剤の配合量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部に対して0.1質量部以上3質量部以下が好ましい。酸化防止剤の配合量が上記上限値を超える場合、添加量に対する効果が十分に得られず経済性が低下したり物性が低下するおそれがあり、逆に、酸化防止剤の配合量が上記下限値未満の場合、十分な酸化防止効果が得られにくくなるおそれがある。
【0047】
上記金属酸化物としては、例えば酸化亜鉛、酸化鉛、四酸化三鉛等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記金属酸化物の配合量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。金属酸化物の配合量が上記上限値を超える場合、第一コーティング層3の触感がごわごわと硬くなるおそれがある。逆に、上記金属酸化物の配合量が上記下限値未満の場合、架橋が不十分となり引張強度等の基本特性が得られ難くなるおそれがある。なお、第一コーティング層3の強度が十分得られている場合、これらの金属酸化物は使用しなくてもよい。
【0048】
上記顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。上記顔料の配合量は顔料の種類、呈色の度合等により適宜決定することができるが、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部に対し0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。顔料の配合量が上記上限値を超える場合、添加量に対する発色効果が薄れ経済性が低下したり物性が低下するおそれがある。逆に、顔料の配合量が上記下限値未満の場合、十分な着色効果が得られないおそれがある。
【0049】
上記可塑剤としては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類の他、アルキルスルホン酸フェニルエステル、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、エポキシ化大豆油又はポリエーテルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記可塑剤の配合量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部に対し50質量部以上200質量部以下が好ましい。可塑剤の配合量が上記下限値未満の場合、十分な可塑性が得られないおそれがあり、逆に、可塑剤の配合量が上記上限値を超える場合、ブリード現象を起こすおそれがある。
【0050】
上記安定剤としては、例えばBa−Zn系安定剤、Mg−Zn系安定剤、Ca−Zn系安定剤等が挙げられる。上記安定剤の配合量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部に対し1質量部以上10質量部以下が好ましい。安定剤の配合量が上記下限値未満の場合、十分な安定性が得られないおそれがある。逆に、安定剤の配合量が上記上限値を超える場合、安定剤がブリード現象を起こすおそれがある。
【0051】
上記増粘剤としては、例えばシリカ微粉末、炭酸カルシウム微粉末、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリルエマルション等が挙げられる。
【0052】
第一コーティング層3の主成分として湿式加工用ポリウレタン樹脂を用いる場合、成膜助剤を用いることができる。成膜助剤としては、例えばアニオン系やノニオン系のシリコーン等が挙げられる。成膜助剤の配合量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部に対し0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。成膜助剤の配合量が上記下限値未満の場合、十分な効果が得られないおそれがある。逆に、成膜助剤の配合量が上記上限値を超える場合、添加量に対する効果が十分に得られず経済性が低下するおそれがある。なお、この場合、気泡9の大きさや形状は機械発泡や化学発泡とは異なるために上記範囲から外れてもよい。
【0053】
<第二コーティング層>
第二コーティング層4は、上記第一コーティング層3の外面のうち少なくとも一部に積層されており、粒子凝集領域5及び粒子凝集領域以外の領域6から構成される。なお、第二コーティング層4が積層された部分には、下層である第一コーティング層3が露出している部分が存在してもよい。具体的には、
図1の(イ)及び
図2に示すように、第一コーティング層3の外縁から一定幅内側には第二コーティング層4が積層されない部分が残るように第二コーティング層4が積層されている。
【0054】
<粒子凝集領域>
粒子凝集領域5は、凝集した複数の粒子7とそのバインダー8とから構成されており、上記第二コーティング層4の全面にわたって散在している。これにより、上記第二コーティング層4の表面に微細な凹凸形状が形成され、当該手袋1の滑止効果が発揮される。この粒子凝集領域5は、
図1の(ロ)に示すように、それぞれ不均一な形状で、1又は複数に分岐している形状を有しているものが含まれている。このように粒子凝集領域5が分岐形状を有することにより当該手袋1の表面の水切れを向上させることができる。また、上記粒子凝集領域5は天面が略平坦に形成されている。このように粒子凝集領域5の天面が略平坦に形成されていることによって、粒子凝集領域5と被把持物とが当接する面積が広くなり、当該手袋1の滑止効果を向上させることができる。
【0055】
上記粒子凝集領域5の平均面積(粒子凝集領域5を手袋本体2の表面と平行な面に投影した平均面積)は1mm
2以上25mm
2以下が好ましく、2mm
2以上16mm
2以下がより好ましい。粒子凝集領域5の平均面積が上記上限値を超える場合、粒子凝集領域5が大き過ぎて指の関節部分に相当する箇所に形成されると当該手袋1の柔軟性及び滑止効果が低下するおそれがある。逆に、粒子凝集領域5の平均面積が上記下限値未満の場合、各粒子凝集領域5が小さ過ぎて滑止効果が十分に得られないおそれがある。なお、上記粒子凝集領域5の面積は、株式会社KEYENCE製「Digital Microscope VHX−900」により測定した値である。
【0056】
上記第二コーティング層4の面積に対する粒子凝集領域5の合計面積の割合は20%以上90%以下が好ましく、30%以上85%以下がより好ましく、35%以上70%以下がさらに好ましく、40%以上60%以下が最も好ましい。粒子凝集領域5の合計面積の割合が上記上限値を超える場合、第二コーティング層4における粒子凝集領域5の面積が広すぎて表面の凹凸が減少することで当該手袋1の柔軟性が低下したり、粒子凝集領域以外の領域6が相対的に減少することで十分な透湿性が得られないおそれがある。逆に、粒子凝集領域5の合計面積の割合が上記下限値未満の場合、当該手袋1の滑止効果が十分に得られないおそれがある。なお、粒子凝集領域5の合計面積の割合とは、当該手袋1の掌領域中央部分の3cm
2四方の領域における、第二コーティング層4の面積に対する複数の粒子凝集領域5の面積の合計の割合である。
【0057】
上記複数の粒子7の材質としては、特に限定されず、例えばゴム、樹脂、無機物質、天然素材等が挙げられる。上記ゴムとしては、例えばスチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エピクロヒドリンゴム、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。上記樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、フェノール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等が挙げられる。上記無機物質としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。上記天然素材としては、例えば胡桃、籾殻等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでも、弾性を有し、耐磨耗性等に優れる点でゴム又は樹脂が好ましく、天然ゴムがより好ましい。
【0058】
上記粒子7の形状としては、例えば球状、半球状、多面体状、立方体状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状等が挙げられる。これらの中でも被把持物を傷付けるおそれが少ない点では球状が好ましく、被把持物に角で接触し、その追従性を利用して滑止効果を発揮する点では多面体状や立方体状が好ましい。
【0059】
上記粒子7の平均粒子径としては50μm以上900μm以下が好ましく、100μm以上700μm以下がより好ましく、150μm以上600μm以下がさらに好ましく、200μm以上500μm以下が最も好ましい。粒子7の平均粒子径が上記上限値を超える場合、粒子7自体が重くなり粒子7の凝集を妨げるおそれや、粒子7が第二コーティング層4から脱落しやすくなるおそれがある。逆に、粒子7の平均粒子径が上記下限値未満の場合、粒子凝集領域5を形成する際に粒子7が手袋表面を十分にフローせず、粒子凝集領域5が形成し難くなるおそれや、粒子7自体の作成が困難となるおそれがある。なお、上記平均粒子径とは、粒子7の直径のうち一番長いものを粒子径とした場合の平均値である。
【0060】
上記粒子7の含有量としては、固形分換算のバインダー100質量部に対して50質量部以上500質量部以下が好ましく、50質量部以上400質量部以下がより好ましく、100質量部以上300質量部以下がさらに好ましく、150質量部以上250質量部以下が最も好ましい。粒子7の含有量が上記上限値を超える場合、粒子凝集領域5が広くなりすぎて、当該手袋1の表面の凹凸が減少し、滑止効果及び柔軟性が低下するおそれがある。逆に、粒子7の含有量が上記下限値未満の場合、当該手袋1が十分な滑止効果を得られないおそれがある。当該手袋1が十分な滑止効果を得るには、十分な粒子7が必要となり第二コーティング層4の付着量を増やす必要があるが、第二コーティング層4のバインダー8の量が多くなると当該手袋1の柔軟性及び透湿性が低下するおそれがある。
【0061】
上記第二コーティング層4は透湿性を有している。これは粒子凝集領域5の粒子7が周囲にボイド(空隙)を有していたり、粒子凝集領域以外の領域6が部分的には非常に薄く積層されていたり、粒子7の表面張力によりバインダー8が粒子凝集領域に引き寄せられたりすることによるものと推測される。この粒子凝集領域以外の領域6は、後述するバインダー8のみからなる領域と一つの粒子7並びにバインダー8からなる領域とから構成されている。このように、第二コーティング層4が透湿性を有することにより、当該手袋1が透湿性を発現することができ、当該手袋1を長時間着用しても、生じる汗等の水分が当該手袋1の外部に発散され優れた着用感を維持することができる。
【0062】
上記第二コーティング層4が積層されている領域における当該手袋1の透湿度は1000g/m
2・24hr以上5000g/m
2・24hr以下が好ましく、1200g/m
2・24hr以上4000g/m
2・24hr以下がより好ましく、1500g/m
2・24hr以上3000g/m
2・24hr以下がさらに好ましい。第二コーティング層4が積層されている領域の透湿度が上記上限値を超える場合、第二コーティング層4の強度が低下するおそれがある。逆に、上記透湿度が上記下限値未満の場合、十分な透湿性が得られず当該手袋1の着用感が低下するおそれがある。
【0063】
上記バインダー8としては、例えば第一コーティング層3の主成分として挙げられたゴム又は樹脂等が使用でき、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、バインダー8の材料時の形態として、水等の希釈剤に上記ゴム又は樹脂等を分散させたラテックスを用いてもよい。これらの中でも、弾力性、加工性及び経済性に優れる点ではゴムが好ましく、天然ゴムがより好ましい。また、透湿性に優れる点では透湿性のポリウレタン系樹脂が好ましい。バインダー8として透湿性のポリウレタン系樹脂を用いることにより、粒子凝集領域以外の領域6の透湿性を向上することができる。さらに、上記バインダー8としては、上記粒子7と同一の種類を用いることが好ましい。バインダー8と粒子7とを同一の種類とすることにより、バインダー8と粒子7との密着性を向上することができる。
【0064】
上記バインダー8には、上記ゴム又は樹脂以外に、その他の添加剤をさらに含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば上記第一コーティング層3で用いる加硫促進剤、加硫剤、酸化防止剤、金属酸化物、顔料、増粘剤、可塑剤、安定剤等が挙げられる。
【0065】
上記第二コーティング層4の平均厚みは0.05mm以上1.1mm以下が好ましく、0.1mm以上0.7mm以下がより好ましい。第二コーティング層4の平均厚みが上記上限値を超える場合、第二コーティング層4の柔軟性が低下するおそれがある。逆に、第二コーティング層4の平均厚みが上記下限値未満の場合、第二コーティング層4の形成が困難となるおそれや、第二コーティング層4の強度が低下するおそれがある。なお、第二コーティング層4の平均厚みとは、掌部分の粒子凝集領域5が形成されている任意の5箇所を株式会社KEYENCE製「Digital Microscope VHX−900」により測定して得た値の平均値である。
【0066】
上記構成からなる当該手袋1は、手袋本体2の外面に第一コーティング層3及び第二コーティング層4が積層され、この第二コーティング層4が複数の粒子7とそのバインダー8とから構成される粒子凝集領域5を有し、これにより表面に不規則な凹凸形状が形成されるため、優れた滑止効果を有する。また、この粒子凝集領域5は表面に散在しているため、当該手袋1は優れた柔軟性を有する。当該手袋1は、第一コーティング層3が透湿性を有するため、長時間着用しても作業者の手から生じる汗等の水分を当該手袋1の外部へ発散することができ、優れた着用感を維持することができる。また、第一コーティング層3に含有される気泡9の存在により、軽量化及び柔軟性が向上されているため、当該手袋1は長時間着用しても手が疲れにくく作業効率を向上することができる。
【0067】
また、当該手袋1は、上記粒子凝集領域5は天面が略平坦に形成されているため、被把持物と当接する表面積が増えることにより優れた滑止効果を有する。さらに、当該手袋1は、第一コーティング層3の表面にさらに第二コーティング層4が積層されているため、手袋としての弾力性及び耐摩耗性に優れている。
【0069】
次に、上記構成からなる当該手袋1の製造方法について概説するが、本発明の製造方法はこれに限定されるものではない。
【0070】
当該手袋1の製造方法は、繊維製の手袋本体2の外面のうち少なくとも掌領域に第一コーティング層形成材料を用いて第一コーティング層3を形成する第一コーティング層形成工程と、この工程で形成した第一コーティング層3の外面のうち少なくとも一部に、複数の粒子7とそのバインダー8とを含む第二コーティング層形成材料をさらに積層させて第二コーティング層4を形成する第二コーティング層形成工程とを有する。
【0071】
(第一コーティング層形成工程)
第一コーティング層形成工程は、予め調製した第一コーティング層形成材料を繊維製の手袋本体2の外面のうち少なくとも掌領域に被着後、固化させて第一コーティング層3を形成する工程である。第一コーティング層形成材料は、主成分となるゴム又は樹脂等に希釈剤及びその他の添加剤を加えて調製することができる。
【0072】
希釈剤としては、例えば水、可塑剤、有機溶剤等が挙げられる。有機溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、イソプロピルアルコール、キシレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
上記第一コーティング層形成材料は複数の気泡9を有している。第一コーティング層形成材料を発泡させる方法としては、例えば機械発泡及び化学的発泡等が挙げられる。上記機械発泡は、第一コーティング層形成材料をミキサー等を用いて攪拌し発泡させる方法である。上記化学的発泡は、第一コーティング層形成材料に化学発泡剤を添加して熱膨張等を利用することによって発泡させる方法である。このような化学発泡剤としては、例えばトルエンスルホニルヒドラジド、PP’オキシビス(ベンゾスルホニルヒドラジド)、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等の他、熱膨張性マイクロカプセル等が挙げられる。上記化学発泡剤の添加量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部当たり5質量部以下が好ましい。化学発泡剤の添加量が上記上限値を超える場合は、添加量に対する発泡効果が薄れ、経済性が低下するおそれがある。化学発泡剤は独立気泡になりやすく気泡が連通しにくいが、気泡の大きさをコントロールしやすいというメリットがある。したがって機械発泡を行うことが好ましく、目的によっては発泡性を向上させるために機械発泡と化学発泡剤による発泡とを併用することが好ましい。
【0074】
上記気泡9を安定させるために起泡剤又は整泡剤を用いてもよい。起泡剤としては、例えばアルキルコハク酸ソーダ、スルホコハク酸アルキルモノアミドジナトリウム、オレイン酸カリ、ひまし油カリ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等が挙げられる。整泡剤としては、例えばシリコーン系化合物、ステアリン酸アンモニウム、ペプチド、アルキルジプロピオン酸ソーダ等が挙げられる。なお、上記起泡剤と整泡剤との間には明確な区別はなく、起泡剤として記載している化合物を整泡剤として用いてもよいし、整泡剤として記載している化合物を起泡剤として用いてもよい。起泡剤又は整泡剤の添加量は、固形分換算で第一コーティング層3の主成分100質量部当たり0.1質量部以上15質量部以下が好ましい。起泡剤又は整泡剤の添加量が上記上限値を超える場合は、添加量に対する気泡安定効果が薄れ、経済性が低下するおそれがある。逆に、起泡剤又は整泡剤の添加量が上記下限値未満の場合は、十分な効果が得られないおそれがある。
【0075】
上記第一コーティング層形成材料は、加工性の面から主成分の分散体(ラテックスやエマルジョン)や主成分の溶液、または主成分のペーストゾルとして用意されることが好ましい。上記第一コーティング層形成材料に含まれる気体(主に空気)の体積割合は10容量%以上100容量%以下が好ましく、20容量%以上50容量%以下がより好ましい。第一コーティング層形成材料に含まれる気体の体積割合が上記上限値を超える場合、指の股部分に発泡させた第一コーティング層形成材料が溜まりやすく加工性が低下するおそれや、得られる第一コーティング層3の耐摩耗性及び強度が低下するおそれがある。逆に、第一コーティング層形成材料に含まれる気体の体積割合が上記下限値未満の場合は、発泡させた第一コーティング層形成材料が手袋本体2に含浸し易くなることにより加工性が低下するおそれや、得られる第一コーティング層3が十分な透湿性及び柔軟性を有さないおそれがある。第一コーティング層形成材料に含まれる気体の体積は、次式によって求めることができる。なお、下記式中、(A)は発泡前の第一コーティング層形成材料50gの体積、(B)は発泡後の第一コーティング層形成材料50gの体積をそれぞれ表す。
[((B)−(A))/(B)]×100(%)
【0076】
第一コーティング層形成材料の固形分濃度(TSC)は、例えば希釈剤として水を使用する場合30質量%以上65質量%以下が好ましく、35質量%以上60質量%以下がより好ましい。第一コーティング層形成材料の固形分濃度が上記上限値を超える場合、第一コーティング層3の形成が困難となるおそれや第一コーティング層3の厚みが大きくなり当該手袋1の柔軟性が低下するおそれがある。逆に、第一コーティング層形成材料の固形分濃度が、上記下限値未満の場合、形成される第一コーティング層3の被膜が薄くなり強度が低下したり、手袋内面まで浸透しやすくなり手袋の触感が悪化するおそれがある。
【0077】
第一コーティング層形成材料の粘度は、例えば機械発泡を用いる場合、機械発泡後の粘度で1000mPa・s以上6000mPa・s以下が好ましく、2000mPa・s以上5000mPa・s以下がより好ましく、2000mPa・s以上4000mPa・s以下がさらに好ましい。また、希釈剤に可塑剤を使用するペーストゾルの場合、第一コーティング層形成材料の発泡後の粘度は2000mPa・s以上8000mPa・s以下が好ましく、3000mPa・s以上6000mPa・s以下がより好ましい。また、希釈剤に有機溶剤を使用するポリウレタンを湿式加工で成形する場合、第一コーティング層形成材料の粘度は50mPa・s以上1000mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以上500mPa・s以下がより好ましい。なお、希釈剤として有機溶剤を用いたポリウレタンを湿式加工する場合、湿式加工にて気泡9が形成(セル形成)されるため、化学発泡剤の添加や機械発泡処理は不要である。第一コーティング層形成材料の粘度が上記上限値を超える場合、第一コーティング層3が厚くなりすぎて手袋の形成が困難となるおそれがある。逆に、第一コーティング層形成材料の固形分濃度が上記下限値未満の場合、形成される第一コーティング層3の被膜が薄くなることにより強度が低下したり、手袋内面まで浸透することにより手袋の触感が悪化したりするおそれがある。また、化学発泡の場合は、選択する成形方法にてコーティング成形材料が手袋2の内部まで浸透しない粘度であればよい。なお、上記粘度はBM型粘度計(トキメック株式会社(現東京計器株式会社)製)にて測定したV
6値である。
【0078】
第一コーティング層形成材料の粘度を調節して塗膜の厚みを調節するためにpH調整剤を用いることができる。pH調整剤としては、例えば水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリや、例えばアミノ酸、酢酸等の弱酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
第一コーティング層形成材料を手袋本体2の表面に被着させる方法は特に限定されず、例えば浸漬法やシャワー等によって被着させる方法等が挙げられる。なかでも、均一な被膜を形成しやすい点で浸漬法が好ましい。また、第一コーティング層形成材料を手袋本体2へ被着する前に手袋本体2に撥水加工を施してもよい。
【0080】
第一コーティング層形成材料の固化方法としては、例えば酸凝固、熱凝固、塩凝固、自然乾燥等が挙げられる。これらのなかでも、第一コーティング層形成材料がラテックスやエマルジョンの場合に瞬時にゲル化させることができ、気泡9を第一コーティング層3内に保持させやすい点で酸凝固が好ましい。酸凝固とは、第一コーティング層形成材料を被着した手袋本体2を、酢酸水溶液やギ酸水溶液等の凝固剤水溶液に浸漬させて固化させる方法である。凝固剤水溶液は凝固剤の種類にもよるが、例えば酢酸水溶液の場合は10%程度でよい。
【0081】
(第二コーティング層形成工程)
第二コーティング層形成工程は、予め調製した第二コーティング層形成材料を上記第一コーティング層形成工程で形成した第一コーティング層3の外面のうち少なくとも一部に積層させて第二コーティング層4を形成する工程である。第二コーティング層形成材料はバインダー8及び粒子7を含有し、さらに希釈剤及びその他の添加剤を適宜加えて調製することができる。
【0082】
上記第二コーティング層形成材料の固形分濃度は、第二コーティング層形成材料の成分や当該手袋1の使用目的に応じて適宜選択されるが、上記材料にラテックスやエマルジョンを使用する場合、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、25質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。第二コーティング層形成材料の固形分濃度が上記上限値を超える場合、第二コーティング層4の柔軟性が低下するおそれがある。逆に、第二コーティング層形成材料の固形分濃度が上記下限値未満の場合、柔軟性は得られるものの第二コーティング層4の皮膜が薄くなり、粒子凝集領域5の形成が困難となったり、当該手袋1の滑止効果又は耐磨耗性が低下したりするおそれがある。
【0083】
第二コーティング層形成材料の粘度は、第二コーティング層形成材料の成分によって適宜選択されるが、100mPa・s以上900mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以上800mPa・s以下がより好ましく、100mPa・s以上700mPa・s以下がさらに好ましく、150mPa・s以上500mPa・s以下が最も好ましい。第二コーティング層形成材料の粘度が上記上限値を超える場合、第二コーティング層4の柔軟性が低下するおそれや、粒子7が手袋表面を移動し難くなり粒子凝集領域5の形成が困難となるおそれがある。逆に、第二コーティング層形成材料の粘度が上記下限値未満の場合、粒子7がバインダー8と共に手袋から流れ落ちてしまい粒子凝集領域5が形成され難くなり、当該手袋1の滑止効果が低下するおそれがある。なお、上記粘度はBM型粘度計(トキメック株式会社(現東京計器株式会社)製)にて測定したV
6値である。
【0084】
さらに、上記第二コーティング層形成材料の粘度を上記数値範囲に調製するために増粘剤を用いることができる。増粘剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリルエマルション、シリカ微粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
【0085】
また、粒子7を凝集させる際にバインダー8の固化速度を遅らせつつ、粒子7の移動を促進させるために界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられ、これらの中でもノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルがより好ましい。界面活性剤の配合量は、固形分換算で第二コーティング層形成材料のバインダー8の固形分100質量部に対して5質量部以上25質量部以下が好ましい。界面活性剤の配合量が上記上限値を超える場合、バインダー8の固化速度が遅すぎて粒子7が滑り落ち、粒子凝集領域5の形成が困難となるおそれがある。逆に、界面活性剤の配合量が上記下限値未満の場合、第二コーティング層形成材料がゲル化しやすく安定性が低下するおそれがある。
【0086】
第二コーティング層形成材料は、バインダー8及び粒子7以外に上記第一コーティング層形成工程で用いた希釈剤及びその他の添加剤を含有することができる。
【0087】
上記第二コーティング層形成材料は浸漬法によって第一コーティング層3の外面に積層される。具体的には、第一コーティング層3の外縁から一定幅が残るように、所謂背抜き状となるように、上記第一コーティング層3が形成された手袋本体2を第二コーティング層形成材料の中に浸漬させ、引き上げることで第二コーティング層形成材料を積層する。
【0088】
その後、この第二コーティング層形成材料を流動させることにより複数の粒子7を凝集させて粒子凝集領域5を形成する。第二コーティング層形成材料を流動させる方法としては、粒子7が移動する方法であれば特に限定されず、例えば第二コーティング層形成材料を積層した手袋本体2を、指先方向を下に向けた状態若しくは指先方向を上に向けた状態で保持する方法、風を吹きつける方法、親指側を下に小指側を上に向けた状態若しくは親指側を上に小指側を下に向けた状態で保持する方法等が挙げられる。これらのなかでも、不要な粒子7及びバインダー8が指先から落下し仕上がりが美しい点で、指先方向を下に向けた状態で保持する方法が好ましい。これにより複数の粒子7はバインダー8と共に手袋表面を下に向かって移動し、移動しながら複数の粒子7が凝集することによって複数の粒子凝集領域5が形成される。その結果、当該手袋1の表面に不規則な凹凸形状が形成され当該手袋1に滑止効果が付与される。
【0089】
複数の粒子凝集領域5を形成した後、手袋をオーブン等で乾燥させることにより当該手袋1を得ることができる。乾燥条件は第二コーティング層形成材料が固化する条件であれば特に限定されず、例えば120℃で10分〜60分程度乾燥すればよい。
【0090】
[その他の実施形態]
尚、本発明は上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。上記第一コーティング層形成工程では、手袋本体2に第一コーティング層形成材料を被着させる前に手袋本体2の表面を凝固剤で処理してもよい。このように凝固剤で手袋本体2の表面処理を行うことにより、第一コーティング層の気泡の形を維持しやすくなるとともに、第一コーティング層形成材料の乾燥時間を短縮することができる。具体的には、予め調製した凝固剤溶液に、手型に被せた手袋本体2を浸漬させ、すぐに引き上げて、この手袋本体2をオーブン乾燥機等で乾燥させればよい。上記凝固剤溶液としては、例えばメタノール100質量部に硝酸カルシウム3質量部を加えたもの等が挙げられる。
【0091】
また、粒子7とバインダー8との接着力を高めるために、バインダー8にカップリング剤を添加することができる。カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等が挙げられる。これらのなかでも汎用性に優れるシランカップリング剤が好ましい。カップリング剤の添加量は固形分換算で第二コーティング層形成材料の主成分100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましい。カップリング剤の添加量が上記下限値未満の場合、十分な接着性が得られないおそれがあり、逆に、カップリング剤の添加量が上記上限値を超えると添加に対する更なる効果が得られず、かえってバインダー8の強度等の低下を起こすおそれがある。
【0092】
さらに、上記実施形態において、第一コーティング層3及び第二コーティング層4は背抜き状に形成されているが、手の甲も含め手袋全体に第一コーティング層3及び第二コーティング層4が形成されていてもよい。
【実施例】
【0093】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳説するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0094】
[実施例1]
(手袋本体の作製)
綿番手20番の綿糸2本と20番手のポリエステル紡績糸2本とを引き揃えた糸を使用し、10ゲージ横編機(型式「N−SFG」、株式会社島精機製)を用いて手袋本体を編製した。
【0095】
(第一コーティング層形成工程)
編製した手袋本体を手型に被せ、80℃のオーブンで20分間加熱した。続いて、下記表1に従い調整した第一コーティング層形成材料をミキサーで機械発泡させ、体積割合で45容量%の空気を含ませた後、手袋本体の掌領域と指先の甲側が浸かるように、手型ごと手袋本体を第一コーティング層形成材料に浸漬させ、引き上げた。次いで、直ぐに手袋本体を10質量%酢酸水溶液に浸漬して第一コーティング層形成材料を酸凝固させた。その後、この酢酸水溶液を蒸発させるために120℃のオーブンで乾燥させた。
【0096】
(第一コーティング層形成材料)
上記第一コーティング層形成工程で用いた第一コーティング層形成材料の配合割合を以下に示す。なお、第一コーティング層形成材料の固形分濃度(TSC)は55質量%、粘度は2940mPa・sだった。
【0097】
【表1】
【0098】
(第二コーティング層形成工程)
第一コーティング層を形成した手袋本体を、第一コーティング層の外縁から5mm以上10mm以下程度内側には第二コーティング層が被着しないように下記表2に従い調整した第二コーティング層形成材料に浸漬させ、引き上げた。続いて、手袋本体の指先方向が下向きとなる状態で150秒間保持して第二コーティング層形成材料を流動させることにより粒子を凝集させ、粒子凝集領域を形成した。その後、120℃のオーブンで10分間加熱して第二コーティング層形成材料を固化させた後、手型から手袋を外して、水中で洗浄し残留する乳化剤や界面活性剤を除去した。さらに、洗浄した手袋を再度手型に被せて120℃のオーブンで40分間乾燥させて本発明の手袋を得た。得られた手袋は、掌中央部分の領域のJIS L 1099 A法による透湿度が2000g/m
2・24hrであり、十分な透湿性を有していた。また、得られた手袋は、優れた柔軟性及び耐摩耗性を有し、粒子の脱落も見られなかった。
【0099】
(第ニコーティング層形成材料)
上記第二コーティング層形成工程で用いた第二コーティング層形成材料の配合割合を以下に示す。この第二コーティング層形成材料の固形分濃度(TSC)及び粘度を下記表3に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
[実施例2〜6]
第二コーティング層形成材料に使用する粒子の平均粒子径を下記表3に記載の数値に変更した以外は上記実施例1と同様にして実施例2〜6の手袋を得た。
【0102】
[実施例7〜13、比較例1]
第二コーティング層形成材料に使用する粒子の配合量を下記表3に記載の数値に変更した以外は上記実施例1と同様にして実施例7〜13、比較例1の手袋を得た。
【0103】
[実施例14〜18]
第二コーティング層形成材料の粘度を下記表3に記載の数値に変更した以外は上記実施例1と同様にして実施例14〜18の手袋を得た。
【0104】
【表3】
【0105】
<滑止効果試験>
被験者10人に上記実施例1〜20の手袋を着用してもらい、直径8cm、高さ15cmの濡れたガラスコップを握ってもらった。その際の滑止効果について下記の評価基準に基づいて評価し、その平均を求めた。結果を下記表4に示す。
【0106】
(滑止効果の評価基準)
A:滑止効果が非常に高く滑らない
B:滑止効果が高く滑り難い
C:滑止効果が若干高くやや滑り難い
D:どちらともいえない
E:滑止効果が低く滑る
【0107】
<耐摩耗性試験>
耐摩耗性試験は、欧州統一規格EN388:2003の「Protective gloves against mechanical risksの6.1 Abrasion resistance」に従って、摩擦回数をカウントした。数値が大きくなる程破れるまでの摩擦回数が多いことを示しており、耐摩耗性が高いことを意味する。
【0108】
<柔軟性試験>
被験者10人に上記実施例1〜20の手袋を着用してもらい、指を屈伸してもらった。その際の手にかかる力について下記の評価基準に基づいて評価し、その平均を求めた。結果を下記表4に示す。
【0109】
(柔軟性の評価基準)
A:柔軟性に非常に優れ、指の屈伸が極めて良好
B:柔軟性に優れ、指の屈伸が良好
C:柔軟性が有り、指の屈伸に支障はない
D:どちらともいえない
E:柔軟性が無く、指の屈伸が困難
【0110】
【表4】